JP3427396B2 - 機械式過給機付エンジンの吸気装置 - Google Patents

機械式過給機付エンジンの吸気装置

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JP3427396B2
JP3427396B2 JP25811992A JP25811992A JP3427396B2 JP 3427396 B2 JP3427396 B2 JP 3427396B2 JP 25811992 A JP25811992 A JP 25811992A JP 25811992 A JP25811992 A JP 25811992A JP 3427396 B2 JP3427396 B2 JP 3427396B2
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、吸・排気弁の開弁オー
バラップがエンジンの運転状態に応じて変更されるよう
になっているエンジンの吸気装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、過給機を備えたエンジンにおい
て、吸気弁または排気弁の開閉タイミングを可変とする
ことにより吸・排気弁の開弁オーバラップを可変とする
バルブタイミング可変機構と、運転状態に応じてこのバ
ルブタイミング可変機構を制御する制御手段とを備え、
高負荷域では開弁オーバラップを大きくし、低負荷域で
は開弁オーバラップを小さくするようにした吸気装置が
知られている(特開平2−119641号公報、特開平
2−119621号公報参照)。このような装置による
と、高負荷域では、開弁オーバラップ中の過給気による
燃焼室内残留ガス掃気作用が高められ、これによりノッ
キングの防止、排気温度上昇の抑制などの効果が得ら
れ、一方、低負荷域では燃焼安定性が確保される。 【0003】また、上記特開平2−119641号公報
では、高負荷域における過給圧と排気圧力との差がエン
ジン回転数によって変化するとともに、開弁オーバラッ
プのクランク角による大きさが一定であればその時間が
エンジン回転数の上昇につれて短くなり、これに伴って
掃気性が低下する傾向があることから、高負荷域におい
てエンジン回転数が高くなるにつれて次第に開弁オーバ
ラップを大きくするようにした例も示されている。 【0004】なお、過給機としては、特に機械式過給機
を用いることが、高速高負荷域でも過給圧力が排気圧力
より高くて掃気を可能にする等の面で有利である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、機械式過給
機付エンジンにおいて、上記開弁オーバラップをエンジ
ン回転数に応じて多段階もしくは連続的に変化させよう
とすると、バルブタイミング可変機構およびこれに対す
る制御系統が非常に複雑になり、信頼性などの面でも好
ましくない。このため、開弁オーバラップを、高速域で
はある程度の大きさで低速域から高速域までわたって一
定とし、あるいは、エンジン回転数に応じて変更するに
してもその変更を2段階程度に少なくすることが望まし
い。 【0006】しかし、例えば高負荷域における中速域で
適度の掃気性が得られるように開弁オーバラップを設定
した場合に、高速域では開弁オーバラップが時間的に不
十分となって掃気効果が低下し、また、低速域では、開
弁オーバラップが必要以上に長くなって、排気通路への
燃料の吹き抜けが生じることにより燃費およびエミッシ
ョンの悪化を招く等の問題がある。 【0007】本発明は、上記の事情に鑑み、エンジン回
転数によって開弁オーバラップを多段階に変化させる等
の複雑な構造、制御を要しないようにしつつ、高負荷域
における低速域から高速域までにわたって掃気性を高
め、かつ、低速域での燃料の吹き抜けを防止することが
できるエンジンの吸気装置を提供することを目的とす
る。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、吸気通路に機械式過給機を備えると
ともに、吸・排気弁の開弁オーバラップを変更可能とす
る開弁オーバラップ可変手段と、上記開弁オーバラップ
エンジンの低速低負荷の所定領域において小さく、上
記所定領域外で大きくなるように上記開弁オーバラップ
可変手段を制御するオーバラップ制御手段とを備えた機
械式過給機付エンジンの吸気装置において、吸気行程が
連続しない気筒同士を同一グループとする2グループの
吸気系を有して両吸気系を所定位置で連通させた共鳴系
統を設け、エンジンの上記所定領域外における高負荷領
域を高速高負荷領域、中速高負荷領域、及び低速高負荷
領域に分け、上記高速高負荷領域でのみで上記共鳴系統
を伝播する圧力波による共鳴過給が生じるように、上記
共鳴系統を設定するとともに、上記低速高負荷領域で燃
料供給手段からの燃料供給を吸気行程中に行う一方、上
記中速高負荷領域及び高速高負荷領域では燃料供給手段
からの燃料供給を吸気行程開始前に行うように燃料供給
時期を制御する燃料供給制御手段を設けたものである。 【0009】 【0010】 【0011】 【作用】上記第1の発明によると、低速低負荷の所定領
では開弁オーバラップが小とされることで燃焼安定性
が確保され、上記所定領域外では開弁オーバラップが大
きくされることで開弁オーバラップ中の過給による掃
気作用が高められる。そして、とくに上記所定領域外に
おける高速高負荷領域では、開弁オーバラップが時間的
に短くなることで過給作用が低下する傾向があることに
対し、共鳴過給によって開弁オーバラップ中の過給圧力
が高められることにより、掃気効果が高められる。ま
た、低速高負荷の領域では、開弁オーバラップが時間的
に多少長すぎるようになっても、開弁オーバラップ後に
燃料が供給されることで燃料の吹き抜けが避けられる。 【0012】 【0013】 【0014】 【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例による吸気装置を示す。この図
において、1は複数の気筒2を備えたエンジン本体であ
り、図示の例では、一対のバンク1a,1bに3つずつ
の気筒2を備えたV型6気筒エンジンとなっている。 【0015】上記エンジン本体1に対して吸気を供給す
る吸気通路3には、機械式過給機5が設けられ、この過
給機5は、エンジン出力軸によりベルト6等の伝動機構
を介して駆動されるようになっている。この過給機5よ
り上流の吸気通路3には、エアクリーナ7、吸入空気量
検出のためのエアフローメータ8、アクセル操作に応じ
て吸入空気量を調節するスロットル弁9等が配設されて
いる。また、過給機5より下流の吸気通路3には、過給
機5から吐出された過給気を冷却するインタクーラ10
が設けられている。 【0016】吸気通路3の下流には、各気筒2の吸気ポ
ート11にそれぞれ連通する気筒別の独立吸気通路12
が配設され、一方のバンク1a側の各独立吸気通路12
の上流端側は第1の集合通路部分13に接続され、他方
のバンク1b側の各独立吸気通路12の上流端側は第2
の集合通路部分14に接続されている。また、上記両集
合通路部分13,14は、その一端側と他端側とにおい
てそれぞれ連通部分15,16で接続され、これら集合
通路部分13,14および連通部分15,16により共
鳴用の環状通路17が構成されている。この環状通路1
7は、一端側の連通部分15において共通吸気通路18
に接続されている。 【0017】上記各独立吸気通路12および環状通路1
7により、共鳴系統が構成されている。すなわち、V型
エンジンの一方のバンク1aに属する各気筒2は相互に
吸気行程が連続せず、他方のバンク1bに属する各気筒
2も相互に吸気行程が連続しないので、一方のバンク1
a側の独立吸気通路12および第1の集合通路部分13
と、他方のバンク1b側の独立吸気通路12および第2
の集合通路部分14とが、それぞれ、吸気行程が連続し
ない気筒同志を同一グループとする2グループの吸気系
を構成し、両吸気系が集合通路部分13,14の両側で
連通され、これらにわたる部分の固有振動数に各気筒の
吸入動作による圧力変動が同調する共鳴同調回転数域
で、共鳴効果が生じるようになっている。 【0018】上記各独立吸気通路12には、燃料を噴射
供給するインジェクタ19が配設されている。 【0019】また、各独立吸気通路12の下流端の吸気
ポート11は各気筒2の燃焼室に開口し、図示を省略し
た排気ポートも燃焼室に開口している。上記吸気ポート
11および排気ポートは図外の吸気弁および排気弁によ
り開閉され、これら吸気弁および排気弁は動弁装置によ
り駆動される。この動弁装置には、吸・排気弁の開弁オ
ーバラップを可変とする開弁オーバラップ可変手段が組
み込まれている。 【0020】図示の実施例ではこの開弁オーバラップ可
変手段として、吸気弁の開閉タイミングの位相の変更す
るバルブタイミング可変機構20が設けられ、このバル
ブタイミング可変機構20により、後述のように開弁オ
ーバラップが小さく、かつ吸気弁閉時期が遅いい第1の
タイミングと、この第1のタイミングと比べて開弁オー
バラップが大きく、かつ吸気弁閉時期が早い第2のタイ
ミングとに変更可能となっている。 【0021】バルブタイミング可変機構20の具体的構
造は従来から種々知られているところであって、本発明
で限定するものではないが、例えば、吸気弁用動弁カム
が配設されているカムシャフト21とエンジン出力軸に
連動するカムプーリ22との間に、ヘリカルギヤ等を介
して両者を連結する位相変更部材23を備え、この部材
23が制御信号に応じて作動されることにより、カムプ
ーリ22に対するカムシャフト21の位相を変化させる
ようになっている。 【0022】また、30はコントロールユニット(EC
U)であり、マイクロコンピュータ等からなっている。
このコントロールユニット30は、オーバラップ制御手
段および燃料供給制御手段を構成するものであり、エン
ジン回転数を検出する回転数センサ31、スロットル弁
9の開度を検出するスロットル開度センサ32等からの
信号を受け、これらの信号により調べられる運転状態に
応じ、後記の図3に示すような領域設定に基づいて、バ
ルブタイミングを制御する信号をバルブタイミング可変
機構20に出力するとともに、燃料噴射時期および噴射
量を制御する信号をインジェクタ19に出力するように
なっている。 【0023】図2は、上記バルブタイミング可変機構2
0によって変更される吸気弁の開閉タイミングIVT
1,IVT2を、排気弁の開閉タイミングEVTととも
に示している。この図のように、排気弁の開閉タイミン
グEVTは固定であるが、吸気弁の開閉タイミングは、
バルブタイミング可変機構20の作動により、遅角側の
第1のタイミングIVT1と進角側の第2のタイミング
IVT2とに変更可能となっている。第1のタイミング
IVT1によると、排気弁との開弁オーバラップOL1
は比較的小さくなり、第2のタイミングIVT2による
と、第1のタイミングIVT1と比べ、排気弁との開弁
オーバラップOL2が大きくなる。この第2のタイミン
グによる開弁オーバラップは、高負荷域での通常の過給
状態(共鳴過給が加わっていない状態)において中速域
で適度の掃気性能が得られる程度に設定されている。 【0024】図3は上記コントロールユニット30によ
る上記開弁オーバラップの制御および燃料噴射時期の制
御についての領域設定を示すとともに、共鳴過給が行な
われる領域を示している。この図のように、開弁オーバ
ラップの制御として、低速低負荷の所定領域では、吸気
弁開閉タイミングが上記第1のタイミングIVT1とさ
れることにより開弁オーバラップ(O/L)が小さくさ
れ、一方、上記所定領域外では、吸気弁開閉タイミング
が上記第2のタイミングIVT2とされることにより開
弁オーバラップが大きくされる。また、燃料噴射時期の
制御として、中速高負荷領域及び、高速高負荷領域では
燃料噴射が吸気行程開始前の適当な時期に開始される
が、低速高負荷領域ESLでは、燃料噴射時期が吸気行
程内とされる。 【0025】また、オーバラップが大きくされる上記領
域における高速高負荷領域ESHのみ共鳴過給が行な
われるように、前期の共鳴系統が設定されている。この
設定について次に具体的に説明する。 【0026】図1に示すような吸気通路構成によって生
じ得る吸気の動的効果としては、上記の共鳴効果のほか
に、個々の気筒2に生じる圧力波が独立吸気通路12の
上流端(集合通路部分13,14への開口端)で反転、
反射して自気筒の吸気行程終期に作用する慣性効果があ
り、この慣性効果と上記共鳴効果とは異なるエンジン回
転数域で生じ、慣性同調回転数の方が共鳴同調回転数よ
りも高くなる。この点を考慮して、当実施例の装置で
は、慣性同調回転数がエンジンの許容最高速度よりも高
くなって、共鳴同調回転数がエンジンの許容最高速度に
近い上記高速域ESH に存在するように、独立吸気通路
12および環状吸気通路17が設定されている。つま
り、各独立吸気通路の通路長をl、同通路の段面積を
f、吸気行程中の平均シリンダ容積をVm、吸気弁の開
弁期間をθ、各気筒の独立吸気通路と燃焼室とで構成さ
れる系の固有振動数をν、慣性同調回転数をN1 とする
と、 【0027】 【数1】 【0028】となるが、エンジンの許容最高回転速度を
Nmax として、N1 >Nmax となるように、上記のl,
f,Vm,θなどが設定されている。 【0029】以上のような当実施例の装置によると、
速低負荷の所定の運転領域では、吸気弁が上記第1のタ
イミングIVT1で開閉作動されるようにバルブタイミ
ング可変機構20が制御されて、吸・排気弁の開弁オー
バラップが小さくされることにより、開弁オーバラップ
中の吸気の吹き抜けや排気の吹き返しが抑制され、燃焼
安定性が確保される。 【0030】一方、上記低速低負荷の所定領域外では、
吸気弁が上記第2のタイミングIVT2で開閉作動され
るようにバルブタイミング可変機構20が制御されて、
吸・排気弁の開弁オーバラップが大きくされる。この状
態で、過給機5よる吸気の過給により、充填量が高め
られるとともに、開弁オーバラップ中に燃焼室内の残留
ガスの掃気が行なわれ、この掃気によりノッキング防
止、排気温度上昇抑制等の作用が得られる。この場合
に、高負荷域における中速域で適度の掃気性が得られる
ように開弁オーバラップが設定されるとともに、高速高
負荷領域では共鳴過給が生じ、また低速高負荷領域では
吸気行程中に燃料噴射が行なわれることにより、エンジ
ン回転数に応じて掃気性の調整および燃料の吹き抜け抑
制が適切に行なわれる。このような作用を、図4および
図5によって説明する。 【0031】図4に示す圧力波は、共鳴同調回転数域に
おいて共鳴により各気筒2に作用する圧力波である。こ
の圧力波は、上記各独立吸気通路と環状吸気通路とで構
成される共鳴系統において生じ、同一グループの各気筒
に生じる圧力波が合成されて、所定周期の連続した正弦
波的な波となる。そして、吸気弁開弁期間の終期に圧力
が高められるとともに、吸・排気弁の開弁オーバラップ
(O/L)中にも圧力が高められ、過給機による過給圧
に共鳴の圧力波による圧力上昇が加わることにより、開
弁オーバラップ中に残留ガスを排出する掃気作用が高め
られる。なお、慣性効果による圧力波は、共鳴による圧
力波と異なり、吸気行程終期の圧力だけを高めて開弁オ
ーバラップ中の過給圧力は殆ど高めないので、慣性過給
では掃気性を促進する作用は得られない。 【0032】図5の上方部のグラフは、高負荷域での残
留ガス掃気率とエンジン回転速度との関係を示してお
り、このグラフにおいて、飽和掃気率(ラインA)より
下側では残留ガス掃気率が高くなるほど掃気される残留
ガスが多くなるが、飽和掃気率より上側では上方ほど吸
気の吹き抜け量(オーバラップ中に吸気が排気通路へ吹
き抜ける量)が増加することを意味する。このグラフの
中の曲線Bは、耐ノック性確保のために必要な掃気率の
限界ラインである。図5の中間部のグラフは、高負荷域
でのHC排出量とエンジン回転速度との関係を示してお
り、上記HC排出量は排気通路への燃料の吹き抜け量に
対応するものである。このグラフにおいて、ラインCは
許容レベルを示している。また、図5の下方部のグラフ
は、噴射時間を一定(高負荷時の燃料供給量に見合う程
度)としたときのクランク角による噴射期間とエンジン
回転速度との関係を示しており、このグラフ中のライン
Dは、吸気弁の開弁期間を示している。 【0033】図5の上方部の残留ガス掃気率のグラフに
おいて、線Eは高負荷域の開弁オーバラップを所定の大
きさ(吸気弁開閉タイミングを前記第2のタイミングI
VT2)にした場合の特性である。この特性によると、
中速域では、掃気率が上記限界ラインBより高くなって
耐ノック性が確保され、かつ吸気の吹き抜けが少なく、
HC排出量が許容レベル以下に抑えられる(線F)。 【0034】エンジン回転速度が高くなると、開弁オー
バラップが時間的に短くなることで掃気率が低下するの
で、過給機5による過給作用だけでは線E1のように高
速域で掃気率が上記限界ラインBを下回ってしまう(こ
の時のHC排出量は線F1)が、この高速域では共鳴過
給が行なわれることにより、上記のように掃気が促進さ
れて、線E2のように掃気率が上記限界ラインB以上に
高められ(この時のHC排出量は線F2)、耐ノック性
が確保される。 【0035】また、低速域では、上記の線Eの特性によ
ると開弁オーバラップ中の吸気の吹き抜け量がある程度
多くなるので、吸気行程前に燃料が噴射されていると、
吸気とともに燃料の吹き抜けが生じて、HC排出量が線
F3のように許容レベルを越えるが、この低速域では燃
料噴射時期が吸気行程中とされることにより、開弁オー
バラップ中の燃料の吹き抜けが避けられて、線F4のよ
うにHC排出量が減少する。そして、高負荷域で燃料要
求量に見合う噴射期間は、所定回転数N0 よりも低速側
では吸気弁の開弁期間より短くなるので、低速域では吸
気行程内で要求量の燃料を噴射供給することが可能であ
る。また、燃料の吹き抜けが避けられれば、吸気の多少
の吹き抜けは出力的に許容される。 【0036】なお、図5中の破線Hおよび破線Iは、共
鳴過給を利用せずに高負荷域で開弁オーバラップを極端
に大きくすることで高速域まで掃気性を高めようとした
場合の掃気率およびHC排出量の特性を示しており、こ
のようにすると、低速域で吸気の吹き抜け量が著しく増
大して充填量の低下による出力低下を招き、また、吸気
行程内に燃料を噴射することが期間的に困難な所定回転
数以上の中速域でも吹き抜け量が多くなって、HC排出
量の増加を避けることが困難になる。これに対し、当実
施例によると、開弁オーバラップを極端に大きくせず
に、高速域での掃気性は共鳴過給で助勢していることに
より、各領域で、掃気による耐ノック性の確保およびH
C排出の抑制が達成されることとなる。 【0037】図6は、運転状態に応じた開弁オーバラッ
プの制御等についての別の例を示し、この例では、低速
低負荷域の所定領域で開弁オーバラップを小とし、所定
領域外では開弁オーバラップを低速低負荷域と比べて所
定量だけ大とし、また高負荷域における設定回転数以上
の高速側所定領域では、開弁オーバラップを高負荷域の
低速側と比べてさらに大きい特大としている。従って、
開弁オーバラップを高負荷域で2段階に変更し、低速低
負荷域と合わせて3段階に変更するようにしている。 【0038】そして、開弁オーバラップが特大とされる
高速側所定領域のうちでもとくに高速側の領域ESH
共鳴過給が生じるように吸気通路が設定され、また、開
弁オーバラップが大とされる領域内の低速域ESL で、
燃料噴射時期が吸気行程中とされるように制御されてい
る。 【0039】この実施例によると、最高速度が高くて実
用回転数域が広いエンジンに適用した場合にも、図7に
示すように、広い回転数域にわたって掃気性等が良好に
調整される。 【0040】すなわち、高負荷域の低速側では、開弁オ
ーバラップが低速低負荷域と比べて所定量だけ大とされ
ることにより、掃気率が図7の中の線H1のような特性
となり、この特性でも吸気の吹き抜けが生じる低速域で
燃料噴射時期が吸気行程中とされる。また、エンジン回
転速度がある程度まで上昇して上記線H1の特性による
掃気率が限界ラインB近くまで低下すると、開弁オーバ
ラップが特大とされることにより掃気率の特性が線H2
のように変化して掃気率が高められ、さらに、この線H
2の特性でも掃気率が低くなる最高速度付近の高速域で
は、共鳴過給が生じることにより、線H3のように掃気
率が高められて耐ノック性が確保されることとなる。 【0041】 【0042】 【0043】なお、上記開弁オーバラップを可変とする
手段は、排気弁の開閉タイミングを変更するものであっ
てもよい。 【0044】 【発明の効果】請求項1に記載の発明によると、機械式
過給機および開弁オーバラップ可変手段を備え、吸・排
気弁の開弁オーバラップをエンジンの低速低負荷の所定
領域において小さくするとともに、高速高負荷領域での
で共鳴過給が生じるように共鳴系統を設定し、また
速高負荷領域では燃料供給を吸気行程中に行なうように
しているため、上記開弁オーバラップ中に過給圧力で掃
気を行ない、かつ高速高負荷領域で共鳴過給で掃気作用
を助勢することにより、比較的簡単な構造によりなが
ら、高負荷域における低速域から高速域までわたって掃
気性を高め、しかも低速高負荷領域では開弁オーバラッ
プ中の燃料の吹き抜けを防止することができる。従っ
て、掃気によるノッキング抑制効果を高めるとともに、
低速域での燃料の吹き抜け防止により燃費およびエミッ
ションを改善することができるものである。 【0045】 【0046】
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例のよる吸気装置の全体構造を
示す概略図である。 【図2】吸・排気弁の開閉タイミングを示す説明図であ
る。 【図3】運転領域に応じた制御状態を示す説明図であ
る。 【図4】共鳴過給による圧力波の波形図である。 【図5】高負荷域での残留ガス掃気率、HC排出量およ
び燃料噴射期間と、エンジン回転数との関係を示す図で
ある。 【図6】運転領域に応じた制御状態の別の実施例を示す
説明図である。 【図7】図6の実施例による場合の、高負荷域での残留
ガス掃気率とエンジン回転数との関係を示す図である。 【図8】運転領域に応じた制御状態のさらに別の実施例
を示す説明図である。 【符号の説明】 1 エンジン本体 2 気筒 3 吸気通路 5 機械式過給機 11 吸気ポート 12 独立吸気通路 13,14 集合通路部分 15,16 連通部分 19 インジェクタ(燃料供給手段) 20 バルブタイミング可変機構(開弁オーバラップ可
変手段) 30 コントロールユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 29/08 F02B 27/00 F02D 41/04 335

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 吸気通路に機械式過給機を備えるととも
    に、吸・排気弁の開弁オーバラップを変更可能とする開
    弁オーバラップ可変手段と、上記開弁オーバラップを
    ンジンの低速低負荷の所定領域において小さく、上記所
    定領域外で大きくなるように上記開弁オーバラップ可変
    手段を制御するオーバラップ制御手段とを備えた機械式
    過給機付エンジンの吸気装置において、吸気行程が連続
    しない気筒同士を同一グループとする2グループの吸気
    系を有して両吸気系を所定位置で連通させた共鳴系統を
    設け、エンジンの上記所定領域外における高負荷領域を
    高速高負荷領域、中速高負荷領域、及び低速高負荷領域
    に分け、上記高速高負荷領域のみで上記共鳴系統を伝播
    する圧力波による共鳴過給が生じるように、上記共鳴系
    統を設定するとともに、上記低速高負荷領域で燃料供給
    手段からの燃料供給を吸気行程中に行なう一方、上記中
    速高負荷領域及び高速高負荷領域では燃料供給手段から
    の燃料供給を吸気行程開始前に行なうように燃料供給時
    期を制御する燃料供給制御手段を設けたこと特徴とする
    機械式過給機付エンジンの吸気装置。
JP25811992A 1992-09-28 1992-09-28 機械式過給機付エンジンの吸気装置 Expired - Fee Related JP3427396B2 (ja)

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