JP3426958B2 - 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法 - Google Patents
一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方向性電磁鋼板
に、張力付加型の絶縁皮膜を形成した際の張力増強方法
に関するものである。
に、張力付加型の絶縁皮膜を形成した際の張力増強方法
に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は磁気鉄芯材料として
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。一般に、鉄損の
低減には鋼板に張力を付与することが有効であることが
知られている。鋼板に張力を付与するためには、鋼板よ
り熱膨張係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成す
ることが有効である。仕上げ焼鈍工程中に鋼板表面の酸
化物と焼鈍分離剤とが反応して生成するフォルステライ
ト皮膜は、鋼板に張力を与えることができるが、更に前
記皮膜の上に、コロイド状シリカ、燐酸塩、クロム酸塩
からなる絶縁皮膜を形成する方法は、鋼板に対する張力
付与の効果が大きく、鉄損低減に有効である。従って、
仕上げ焼鈍工程で生じた皮膜を残した上で、上記のよう
な張力性の絶縁被膜を施すことが一般的な一方向性電磁
鋼板の製造方法となっている。
多用されており、特にエネルギーロスを少なくするため
に鉄損の少ない材料が求められている。一般に、鉄損の
低減には鋼板に張力を付与することが有効であることが
知られている。鋼板に張力を付与するためには、鋼板よ
り熱膨張係数の小さい材質からなる皮膜を高温で形成す
ることが有効である。仕上げ焼鈍工程中に鋼板表面の酸
化物と焼鈍分離剤とが反応して生成するフォルステライ
ト皮膜は、鋼板に張力を与えることができるが、更に前
記皮膜の上に、コロイド状シリカ、燐酸塩、クロム酸塩
からなる絶縁皮膜を形成する方法は、鋼板に対する張力
付与の効果が大きく、鉄損低減に有効である。従って、
仕上げ焼鈍工程で生じた皮膜を残した上で、上記のよう
な張力性の絶縁被膜を施すことが一般的な一方向性電磁
鋼板の製造方法となっている。
【０００３】一方、フォルステライト系被膜と地鉄の乱
れた界面構造が、鉄損に対する被膜張力効果をある程度
相殺していることが判明してきた。そこで、例えば、特
開昭49-96920号公報に開示されているように、仕上げ焼
鈍工程で生ずるフォルステライト被膜を後工程にて除去
するか、あるいはフォルステライト被膜を形成させない
ような仕上げ焼鈍法により、鋼板表面の磁気的平滑性を
向上させた材料上に、張力被膜を改めて形成させ、更な
る鉄損低減を試みる技術が開発された。
れた界面構造が、鉄損に対する被膜張力効果をある程度
相殺していることが判明してきた。そこで、例えば、特
開昭49-96920号公報に開示されているように、仕上げ焼
鈍工程で生ずるフォルステライト被膜を後工程にて除去
するか、あるいはフォルステライト被膜を形成させない
ような仕上げ焼鈍法により、鋼板表面の磁気的平滑性を
向上させた材料上に、張力被膜を改めて形成させ、更な
る鉄損低減を試みる技術が開発された。
【０００４】ところで、本発明による技術の完成のため
には、一種類の絶縁被膜において、従来の二種類の被膜
の合計以上の張力を付与する必要がある。そのために
は、絶縁被膜の単位体積当たりの張力を増大させること
が好ましい。これまで、特開平6-65754 号公報等におい
て、硼酸とベーマイトを含む微粒子分散液を塗布し、焼
き付けることによる新しい酸化物皮膜の形成方法が提案
されている。本発明による被膜は、鋼板に対し従来の張
力型絶縁被膜に比し1.5 〜2.0 倍の高い張力を付与する
ことが可能であるため、磁気的平滑界面（鏡面）を有す
る一方向性電磁鋼板の絶縁被膜への適用が期待される。
しかしながら、さらなる鉄損低減実現のためには、より
大きな張力を付与する必要がある。
には、一種類の絶縁被膜において、従来の二種類の被膜
の合計以上の張力を付与する必要がある。そのために
は、絶縁被膜の単位体積当たりの張力を増大させること
が好ましい。これまで、特開平6-65754 号公報等におい
て、硼酸とベーマイトを含む微粒子分散液を塗布し、焼
き付けることによる新しい酸化物皮膜の形成方法が提案
されている。本発明による被膜は、鋼板に対し従来の張
力型絶縁被膜に比し1.5 〜2.0 倍の高い張力を付与する
ことが可能であるため、磁気的平滑界面（鏡面）を有す
る一方向性電磁鋼板の絶縁被膜への適用が期待される。
しかしながら、さらなる鉄損低減実現のためには、より
大きな張力を付与する必要がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記実情に鑑み、本発
明は、フォルステライト皮膜のない一方向性電磁鋼板表
面上に、張力付加型の絶縁被膜を形成した際の張力付与
効果を増強させる方法を提供するものである。
明は、フォルステライト皮膜のない一方向性電磁鋼板表
面上に、張力付加型の絶縁被膜を形成した際の張力付与
効果を増強させる方法を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、フォルステラ
イト被膜のない一方向性電磁鋼板、表面にフォルステラ
イトを意図的に形成させない条件で仕上焼鈍された一方
向性電磁鋼板、或いは仕上焼鈍後表面に形成されたフォ
ルステライト被膜を除去した一方向性電磁鋼板に、硼酸
とベーマイトを主成分とするコーティング液を塗布し、
連続焼鈍することにより被膜形成後、500 〜1000℃の温
度範囲にて、0.5 時間以上の焼鈍を施す一方向性電磁鋼
板被膜の張力増強方法、を要旨とする。また、上記コー
ティング液における硼酸とベーマイトの組成比が、それ
ぞれ酸化物換算のモル比で、 0.2≦B2O3/Al2O3≦1.0 と
し、さらに、前記0.5 時間以上の焼鈍を、鉄心成形後に
行なう一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法を要旨とす
る。また、上述の方法で被膜が形成され、かつ磁気的平
滑界面を有する一方向性電磁鋼板を要旨とする。
イト被膜のない一方向性電磁鋼板、表面にフォルステラ
イトを意図的に形成させない条件で仕上焼鈍された一方
向性電磁鋼板、或いは仕上焼鈍後表面に形成されたフォ
ルステライト被膜を除去した一方向性電磁鋼板に、硼酸
とベーマイトを主成分とするコーティング液を塗布し、
連続焼鈍することにより被膜形成後、500 〜1000℃の温
度範囲にて、0.5 時間以上の焼鈍を施す一方向性電磁鋼
板被膜の張力増強方法、を要旨とする。また、上記コー
ティング液における硼酸とベーマイトの組成比が、それ
ぞれ酸化物換算のモル比で、 0.2≦B2O3/Al2O3≦1.0 と
し、さらに、前記0.5 時間以上の焼鈍を、鉄心成形後に
行なう一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法を要旨とす
る。また、上述の方法で被膜が形成され、かつ磁気的平
滑界面を有する一方向性電磁鋼板を要旨とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
発明者らは、フォルステライト被膜のない鋼板上に密着
性の優れた絶縁被膜形成のため、以下のような試験を行
った。約3%Siを含有する0.23mm板厚の冷延板を供試材と
し、特開平7-118750号公報で示されているように、Fe系
酸化物の生成しない酸化度の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍を
行い、焼鈍分離剤としてアルミナを用いることにより、
最終仕上げ焼鈍においてフォルステライト皮膜がなく、
かつ鏡面に近い状態（中心線平均粗さ 0.3μm)に達成し
た試料を用いた。
発明者らは、フォルステライト被膜のない鋼板上に密着
性の優れた絶縁被膜形成のため、以下のような試験を行
った。約3%Siを含有する0.23mm板厚の冷延板を供試材と
し、特開平7-118750号公報で示されているように、Fe系
酸化物の生成しない酸化度の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍を
行い、焼鈍分離剤としてアルミナを用いることにより、
最終仕上げ焼鈍においてフォルステライト皮膜がなく、
かつ鏡面に近い状態（中心線平均粗さ 0.3μm)に達成し
た試料を用いた。
【０００８】本試験材に、焼鈍分離剤を除去するための
水洗を行った後、硼酸とベーマイトを主成分とする絶縁
コーティング液（モル比=0.5）を、鋼板表面に溝付きゴ
ムロールで塗布し、800 ℃の温度で2 分間連続焼鈍炉に
て焼き付けた。このときの皮膜張力は、0.98kgf/mm2 で
あった（皮膜量4.5g/m2 片面) 。さらに500 〜1000℃に
て、種々の時間バッチ焼鈍を行い、皮膜張力を測定し
た。
水洗を行った後、硼酸とベーマイトを主成分とする絶縁
コーティング液（モル比=0.5）を、鋼板表面に溝付きゴ
ムロールで塗布し、800 ℃の温度で2 分間連続焼鈍炉に
て焼き付けた。このときの皮膜張力は、0.98kgf/mm2 で
あった（皮膜量4.5g/m2 片面) 。さらに500 〜1000℃に
て、種々の時間バッチ焼鈍を行い、皮膜張力を測定し
た。
【０００９】バッチ焼鈍の温度、時間と通常付着量当た
りの張力増加量の関係を図１に示す。図１の数値は、絶
縁被膜を鋼板片面当たり4.5g/m2 形成したときの張力増
加量(0.98kgf/mm2からの増加代) である。図１より、連
続焼鈍炉にて絶縁被膜形成後、さらにバッチ焼鈍を行う
ことにより、被膜張力は増加することが分かる。特に、
30分以上の焼鈍によりその向上代は大きく、0.1kgf/mm2
以上となるため、本発明における焼鈍時間の範囲を30分
以上とした。
りの張力増加量の関係を図１に示す。図１の数値は、絶
縁被膜を鋼板片面当たり4.5g/m2 形成したときの張力増
加量(0.98kgf/mm2からの増加代) である。図１より、連
続焼鈍炉にて絶縁被膜形成後、さらにバッチ焼鈍を行う
ことにより、被膜張力は増加することが分かる。特に、
30分以上の焼鈍によりその向上代は大きく、0.1kgf/mm2
以上となるため、本発明における焼鈍時間の範囲を30分
以上とした。
【００１０】連続焼鈍により絶縁被膜を形成させた後、
バッチ焼鈍を行うことにより、被膜張力が増加する理由
は、以下のように考えられる。本絶縁皮膜が鋼板に対し
張力を付与する原因は、硼酸とベーマイトの反応におい
て生成される硼酸アルミニウムと、一方向性電磁鋼板の
熱膨張係数差に起因するものである。ところが連続焼鈍
における焼鈍時間は短く、高々数分であるため、絶縁皮
膜中の硼酸とベーマイトの反応が十分であるとはいい難
い。そこで長時間のバッチ焼鈍を施すことにより、未反
応の硼酸とベーマイトが反応し、硼酸アルミニウム生成
され、張力付与効果が大きくなる。
バッチ焼鈍を行うことにより、被膜張力が増加する理由
は、以下のように考えられる。本絶縁皮膜が鋼板に対し
張力を付与する原因は、硼酸とベーマイトの反応におい
て生成される硼酸アルミニウムと、一方向性電磁鋼板の
熱膨張係数差に起因するものである。ところが連続焼鈍
における焼鈍時間は短く、高々数分であるため、絶縁皮
膜中の硼酸とベーマイトの反応が十分であるとはいい難
い。そこで長時間のバッチ焼鈍を施すことにより、未反
応の硼酸とベーマイトが反応し、硼酸アルミニウム生成
され、張力付与効果が大きくなる。
【００１１】本発明において、バッチ焼鈍の温度範囲を
５００℃以上、１０００℃以下とした理由は、硼酸とベ
ーマイトの反応促進の観点から、５００℃以上が好まし
く、経済性の観点から１０００℃以下が望ましいからで
ある。巻鉄心として使用される方向性電磁鋼板に対して
は、レーシングと呼ばれる成形を行った後、加工により
導入された歪みを除去する目的で焼鈍が施される。本発
明において示される条件にてこの焼鈍が実行されれば、
工程を増加させることなく絶縁被膜の張力増加が期待さ
れる。
５００℃以上、１０００℃以下とした理由は、硼酸とベ
ーマイトの反応促進の観点から、５００℃以上が好まし
く、経済性の観点から１０００℃以下が望ましいからで
ある。巻鉄心として使用される方向性電磁鋼板に対して
は、レーシングと呼ばれる成形を行った後、加工により
導入された歪みを除去する目的で焼鈍が施される。本発
明において示される条件にてこの焼鈍が実行されれば、
工程を増加させることなく絶縁被膜の張力増加が期待さ
れる。
【００１２】絶縁被膜コーティング液の組成が、硼酸と
ベーマイトを主成分とする場合には、それぞれの酸化物
換算のモル比で、 0.2≦B2O3/Al2O3≦1.0 とする必要が
ある。この理由は、組成比がこの範囲を超えてB2O3が少
ない場合、被膜張力が小さくなるため十分な鉄損改善効
果が得られず、一方、B2O3が多すぎる場合、化学量論組
成からの過剰分は、未反応物として残存し、耐水性、耐
食性の低下、及び耐熱性、耐スティッキング性の劣化を
招くためである。
ベーマイトを主成分とする場合には、それぞれの酸化物
換算のモル比で、 0.2≦B2O3/Al2O3≦1.0 とする必要が
ある。この理由は、組成比がこの範囲を超えてB2O3が少
ない場合、被膜張力が小さくなるため十分な鉄損改善効
果が得られず、一方、B2O3が多すぎる場合、化学量論組
成からの過剰分は、未反応物として残存し、耐水性、耐
食性の低下、及び耐熱性、耐スティッキング性の劣化を
招くためである。
【００１３】上記コーティング液を鋼板表面に塗布する
手段は、前述したような溝付きゴムロール（ロールコー
ター）を用いる以外に、ディップ法、スプレー吹き付
け、あるいは電気泳動法など、従来公知のいずれの方法
も採用できる。また、張力付与による鉄損低減効果は、
鋼板表面が磁気的平滑界面（鏡面）を有する場合により
効果的である。ここで、磁気的平滑界面とは、中心線平
均粗さで0.4 μm 以下の鋼板表面を意味している。
手段は、前述したような溝付きゴムロール（ロールコー
ター）を用いる以外に、ディップ法、スプレー吹き付
け、あるいは電気泳動法など、従来公知のいずれの方法
も採用できる。また、張力付与による鉄損低減効果は、
鋼板表面が磁気的平滑界面（鏡面）を有する場合により
効果的である。ここで、磁気的平滑界面とは、中心線平
均粗さで0.4 μm 以下の鋼板表面を意味している。
【００１４】
【実施例】（実施例１）供試材は、約3%Siを含有する0.
23mm板厚の冷延板を、Fe系酸化物の生成しない酸化度の
雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてアルミナ
を用いることにより、仕上げ焼鈍において磁気的平滑界
面（中心線平均粗さ 0.3μm)を達成した材料を用いた。
23mm板厚の冷延板を、Fe系酸化物の生成しない酸化度の
雰囲気中で脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてアルミナ
を用いることにより、仕上げ焼鈍において磁気的平滑界
面（中心線平均粗さ 0.3μm)を達成した材料を用いた。
【００１５】上記試料に、硼酸とベーマイトを主成分と
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面にロールコーターにて塗布し、800
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.785W/kg(B8=1.94T) 、被膜張力は、片面当たりの被膜
量4.5g/m2 換算で0.96kgf/m2であった。さらに、850 ℃
にて種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力
の向上代、鉄損W17/50を表１に示す。焼鈍時間0.5 時間
以上で皮膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大き
くなることがわかる。
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面にロールコーターにて塗布し、800
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.785W/kg(B8=1.94T) 、被膜張力は、片面当たりの被膜
量4.5g/m2 換算で0.96kgf/m2であった。さらに、850 ℃
にて種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力
の向上代、鉄損W17/50を表１に示す。焼鈍時間0.5 時間
以上で皮膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大き
くなることがわかる。
【００１６】
【表１】
【００１７】（実施例２）供試材は、約3%Siを含有する
0.23mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、酸洗により
SiO2皮膜を除去した。さらに焼鈍分離剤としてアルミナ
を用いることにより、最終仕上げ焼鈍において磁気的平
滑界面（中心線平均粗さ 0.2μm)を達成した材料を用い
た。
0.23mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、酸洗により
SiO2皮膜を除去した。さらに焼鈍分離剤としてアルミナ
を用いることにより、最終仕上げ焼鈍において磁気的平
滑界面（中心線平均粗さ 0.2μm)を達成した材料を用い
た。
【００１８】上記試料に、硼酸とベーマイトを主成分と
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面にロールコーターにて塗布し、850
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.802W/kg(B8=1.93T) 、被膜張力は片面当たりの被膜量
4.5g/m2 換算で0.94kgf/m2であった。さらに、850 ℃に
て種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力の
向上代、鉄損W17/50を表２に示す。焼鈍時間0.5 時間以
上で被膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大きい
ことがわかる。
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面にロールコーターにて塗布し、850
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.802W/kg(B8=1.93T) 、被膜張力は片面当たりの被膜量
4.5g/m2 換算で0.94kgf/m2であった。さらに、850 ℃に
て種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力の
向上代、鉄損W17/50を表２に示す。焼鈍時間0.5 時間以
上で被膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大きい
ことがわかる。
【００１９】
【表２】
【００２０】（実施例３）供試材は、約3%Siを含有する
0.23mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、MgOを塗布
し仕上げ焼鈍を行ない、フォルステライト皮膜を形成さ
せた。続いて、酸洗によりフォルステライト皮膜を除去
し、鋼板表面に地鉄を露出させた後、化学研磨を行い、
磁気的平滑界面（中心線平均粗さ 0.2μm)を達成させ
た。
0.23mm板厚の冷延板に脱炭焼鈍を施した後、MgOを塗布
し仕上げ焼鈍を行ない、フォルステライト皮膜を形成さ
せた。続いて、酸洗によりフォルステライト皮膜を除去
し、鋼板表面に地鉄を露出させた後、化学研磨を行い、
磁気的平滑界面（中心線平均粗さ 0.2μm)を達成させ
た。
【００２１】上記試料に、硼酸とベーマイトを主成分と
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面に溝付きゴムロールで塗布し、800
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.780W/kg(B8=1.94T) 、被膜張力は片面当たりの被膜量
4.5g/m2 換算で0.94kgf/m2であった。さらに、900 ℃に
て種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力の
向上代、鉄損W17/50を表３に示す。焼鈍時間0.5 時間以
上で被膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大きい
ことがわかる。尚、本試料を10% NaOH溶液に浸し被膜を
除去した後、表面粗度を測定した結果、中心線平均粗さ
で0.2 μm であり、磁気的平滑界面は保たれていた。
する絶縁コーティング液（酸化物換算モル比B2O3/Al2O3
=0.5）を、鋼板表面に溝付きゴムロールで塗布し、800
℃の温度で120 秒間焼き付けた。このとき鉄損W17/50は
0.780W/kg(B8=1.94T) 、被膜張力は片面当たりの被膜量
4.5g/m2 換算で0.94kgf/m2であった。さらに、900 ℃に
て種々の時間バッチ焼鈍を行った。その時の被膜張力の
向上代、鉄損W17/50を表３に示す。焼鈍時間0.5 時間以
上で被膜張力向上が著しくなり、鉄損低減効果も大きい
ことがわかる。尚、本試料を10% NaOH溶液に浸し被膜を
除去した後、表面粗度を測定した結果、中心線平均粗さ
で0.2 μm であり、磁気的平滑界面は保たれていた。
【００２２】
【表３】
【００２３】
【発明の効果】本発明は、フォルステライト被膜のない
方向性電磁鋼板表面上に、張力付加型の絶縁被膜を形成
した際の、絶縁被膜による張力付与効果を増強させるこ
とにより張力付与による鉄損低減効果を最大限に発揮で
きる一方向性電磁鋼板の製造が可能となる。
方向性電磁鋼板表面上に、張力付加型の絶縁被膜を形成
した際の、絶縁被膜による張力付与効果を増強させるこ
とにより張力付与による鉄損低減効果を最大限に発揮で
きる一方向性電磁鋼板の製造が可能となる。
【図１】バッチ焼鈍温度、時間と4.5g/m2 付着量当たり
の被膜の張力増加量の関係を示す図である。
の被膜の張力増加量の関係を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平６−65754（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
C23C 22/00
C21D 1/70
C21D 9/46 501
Claims (6)
- 【請求項１】 鋼板表面にフォルステライト被膜のない
一方向性電磁鋼板に、硼酸とベーマイトを主成分とする
コーティング液を塗布し、連続焼鈍することにより被膜
形成後、500 〜1000℃の温度範囲にて、0.5 時間以上の
焼鈍を施すことを特徴とする一方向性電磁鋼板被膜の張
力増強方法。 - 【請求項２】 表面にフォルステライト被膜を意図的に
形成させない条件で仕上げ焼鈍された一方向性電磁鋼板
に、硼酸とベーマイトを主成分とするコーティング液を
塗布し、連続焼鈍することにより被膜形成後、500 〜10
00℃の温度範囲にて、0.5 時間以上の焼鈍を施すことを
特徴とする一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法。 - 【請求項３】 仕上げ焼鈍後、表面に形成されたフォル
ステライト被膜を除去した一方向性電磁鋼板に、硼酸と
ベーマイトを主成分とするコーティング液を塗布し、連
続焼鈍することにより被膜形成後、500 〜1000℃の温度
範囲にて、0.5 時間以上の焼鈍を施すことを特徴とする
一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法。 - 【請求項４】 硼酸とベーマイトの組成比が、それぞれ
酸化物換算のモル比で、 0.2≦B2O3/Al2O3≦1.0 である
ことを特徴とする、請求項１乃至３のいずれかの項に記
載の一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法。 - 【請求項５】 前記被膜形成後焼鈍を、鉄心成形後に行
なうことを特徴とする請求項１乃至４のいずれかの項に
記載の一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法。 - 【請求項６】 請求項１乃至は５のいずれかの項に記載
した方法で被膜が形成され、かつ磁気的平滑界面を有す
ることを特徴とする一方向性電磁鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11180998A JP3426958B2 (ja) | 1998-04-22 | 1998-04-22 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11180998A JP3426958B2 (ja) | 1998-04-22 | 1998-04-22 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11302858A JPH11302858A (ja) | 1999-11-02 |
| JP3426958B2 true JP3426958B2 (ja) | 2003-07-14 |
Family
ID=14570712
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| JP11180998A Expired - Lifetime JP3426958B2 (ja) | 1998-04-22 | 1998-04-22 | 一方向性電磁鋼板及び一方向性電磁鋼板被膜の張力増強方法 |
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| JP (1) | JP3426958B2 (ja) |
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|---|---|---|---|---|
| KR101596446B1 (ko) * | 2014-08-07 | 2016-03-07 | 주식회사 포스코 | 포스테라이트 피막이 제거된 방향성 전기강판용 예비 코팅제 조성물, 이를 이용하여 제조된 방향성 전기강판 및 상기 방향성 전기강판의 제조방법 |
-
1998
- 1998-04-22 JP JP11180998A patent/JP3426958B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
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