JP3426805B2 - バルブ付き船首部構造 - Google Patents

バルブ付き船首部構造

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JP3426805B2 JP24697795A JP24697795A JP3426805B2 JP 3426805 B2 JP3426805 B2 JP 3426805B2 JP 24697795 A JP24697795 A JP 24697795A JP 24697795 A JP24697795 A JP 24697795A JP 3426805 B2 JP3426805 B2 JP 3426805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造波抵抗を減少さ
せるためのバルブをそなえた船首部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のバルブ付き船首部構造としては、
図5および図6に示すようなものや図7および図8に示
すようなものがある。図5および図6は、船体1の船首
垂線FPよりも前方に突出した船首バルブ2の容積が満
載喫水線LWLの近傍に分布している船舶の例を示し、
図7および図8は、同様に突出した船首バルブ2の容積
が船底近傍に分布している船舶の例を示しているが、い
ずれも船首材3が満載喫水線LWLより上方において船
首垂線FPより前方に突出するように設けられている。
【0003】上記構成の船首バルブ2を有する船体1が
航走しているとき、船首バルブ2の作用によって船首部
で生成される波が減少するようになり、これにより造波
に要するエネルギー(このエネルギーは船内の主機から
供給される)が減少するので、その分だけ推進性能が向
上するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、前述のとおり
船舶の船首部において満載喫水線と船底との間に船首バ
ルブ2を設置することにより、造波現象を低減させ、船
体1の航走時の抵抗を減少させる手段が採用されている
が、その場合、船首バルブ2を満載喫水線の近傍で容積
を大きくするように分布させた場合(図5,6参照)、
船舶が満載状態で航走するときには、船体の抵抗(特に
造波抵抗)の低減効果は大きいが、軽荷状態(バラスト
喫水状態)で航走するときは、造波抵抗の低減効果は小
さい。
【0005】逆に船底近傍で船首バルブ2の容積を大き
くするように分布させた場合(図7,8参照)、バラス
ト喫水状態で航走するときは、造波抵抗の低減効果は大
きいが、満載喫水状態で航走するときの造波抵抗の低減
効果は小さくなるという問題点がある。そこで、満載喫
水状態で造波抵抗減少効果の大きい上部バルブとバラス
ト喫水状態で造波抵抗減少効果の大きい下部バルブとを
二段式に設けるようにしたもの(実開昭59−1313
94号公報および実開昭61−68985号参照)も開
発されているが、これらの場合は、満載喫水状態で上部
バルブのみが主として役立つことになり、下部バルブは
バラスト喫水状態で造波抵抗減少効果を奏することにな
る。
【0006】本発明は、上述の諸点に鑑みて、船底近傍
に船首バルブの容積分布をもつ船首部構造を改善して補
助バルブを設けることにより、満載喫水状態およびバラ
スト喫水状態のいずれの場合も十分な造波抵抗減少効果
を得られるようにしながら、バラスト喫水状態での船首
部における水の流れの盛り上がりを上記補助バルブによ
り抑制できるようにして、推進性能をさらに向上させる
ようにしたバルブ付き船首部構造を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
め、本発明のバルブ付き船首部構造は、造波抵抗減少用
バルブをそなえた船首部構造において、同バルブが、ほ
ぼ船底ベースラインとバラスト喫水線との間で船首垂線
よりも前方へ突出するように形成された船首バルブと、
満載喫水線とバラスト喫水線との間で船首垂線よりも前
方へ突出するように形成された補助バルブとをそなえる
ように構成され、上記補助バルブが、丸味を帯びた前端
部と、同前端部から両船側にそれぞれ沿いながら後方へ
延在する側方膨出部とを有するように形成されて、同側
方膨出部の上側面部が後方へ後下がりに延在するように
形成されるとともに、同側方膨出部の下側面部が、バラ
スト喫水状態で水の流れの盛り上がりを抑制して後方へ
導くように、船底ベースラインとほぼ平行に後方へ延在
しながら側方へ張り出すように形成されたことを特徴と
している。これにより、上記船首バルブがバラスト喫水
状態で十分な造波抵抗減少作用を行なうほか、同船首バ
ルブと上記補助バルブとが相まって満載喫水状態でも十
分な造波抵抗減少作用を行なうようになる。そして、上
記補助バルブは、その船底ベースラインと平行な下側面
部によりバラスト喫水状態で水の流れを盛り上がらせな
いように抑制して後方へ導くので、推進性能を向上させ
るようになる。
【0008】また、本発明のバルブ付き船首部構造は、
上記補助バルブを除いた船首垂線での船体横断面が、バ
ラスト喫水線と船底ベースラインとの間の断面積を、満
載喫水線とバラスト喫水線との間の断面積よりも大きく
するように形成されていることを特徴としている。これ
により、上記船首バルブが、バラスト喫水線から下方に
十分に膨大した容積をもつため、バラスト喫水状態で十
分な造波抵抗減少作用を行なうほか、満載喫水状態では
バラスト喫水線上方に付加された補助バルブと協働し
て、十分な造波抵抗減少作用を行なうようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下図面により、本発明の一実施
形態としてのバルブ付き船首部構造について説明する
と、図1はその船首部側面図、図2はその船首部横断面
図である。
【0010】本実施形態のバルブ付き船首部構造では、
船体1の船首部において、ほぼ船底ベースラインBLと
バラスト喫水線BWLとの間で船首垂線FPよりも前方
へ突出するように形成された船首バルブ2と、同船首バ
ルブ2の上方で満載喫水線LWLとバラスト喫水線BW
Lとの間に船首垂線FPよりも前方へ突出するように形
成された補助バルブ4とで造波抵抗減少用バルブが構成
されている。そして、補助バルブ4は、丸味を帯びた前
端部4aと、同前端部4aから両船側にそれぞれ沿いな
がら後方へ延在する側方膨出部4bとを有するように形
成されて、同側方膨出部4bの上側面部4cが後方へ後
下がりに延在するように形成されるとともに、同側方膨
出部4bの下側面部4dが、バラスト喫水状態で水の流
れの盛り上がりを抑制して後方へ導くように、船底ベー
スラインBLとほぼ平行に後方へ延在しながら側方へ急
激に張り出すように形成されている。
【0011】また、本実施形態のバルブ付き船首部構造
では、補助バルブ4を除いた船首垂線FPでの船体横断
面SFPが、バラスト喫水線BWLと船底ベースラインB
Lとの間の断面積aを満載喫水線LWLとバラスト喫水
線BWLとの間の断面積bよりも大きくするように形成
されている。なお図2における符号SAは、図1のA−
A線における船体横断面を示している。また図1に示す
船首材3は満載喫水線LWLより上方において船首垂線
FPよりも前方へ突出するように設けられている。
【0012】本実施形態のバルブ付き船首部構造は、上
述のように構成されているので、バラスト喫水線BWL
よりも下方に設けられた船首バルブ2が、船体1のバラ
スト喫水状態で、航走時に十分な造波抵抗減少作用を行
なうほか、満載喫水状態では船首バルブ2と補助バルブ
4とが相まって、すなわち両バルブ2,4が協働して
分な造波抵抗減少作用を行なうようになる。そして、補
助バルブ4は、その船底ベースラインBLと平行な下側
面部4dにより、バラスト喫水状態で水の流れを盛り上
がらせないように抑制して後方へ導くので、バラスト喫
水状態においても、船体の推進性能が、下方の船首バル
ブ2の消波作用と補助バルブ4の波浪抑制作用と相まっ
て、大幅に向上るようになる。
【0013】さらに本実施形態のバルブ付き船首部構造
では、船首バルブ2が、バラスト喫水線BWLより下方
で十分に膨大した容積をもつため、バラスト喫水状態で
十分な造波抵抗減少作用を行なうほか、満載喫水状態で
はバラスト喫水線BWLの上方に付加された補助バルブ
4と協働して、十分な造波抵抗減少作用を行なうように
なる。そして満載喫水状態では、補助バルブ4の側方膨
出部4bの上側面部4cが後方へ後下がりに延在するよ
うに形成されているので、航走時に船首部に沿う水の流
れは上側面部4cに沿って流れることにより、その流れ
を乱すことはない。
【0014】上述の船体1が航走しているときの造波抵
抗係数Cwについて、満載喫水状態での従来との比較を
図3に示し、バラスト喫水状態での従来との比較を図4
に示す。補助バルブ4を付設された本実施形態の船体1
の場合、満載喫水状態で航走しているときの造波抵抗
は、船首バルブ2の容積が満載喫水線LWLの近傍に分
布している従来の船舶(図5,6参照)と大差なく、軽
荷喫水状態で航走しているときは、船首バルブ2の容積
が船底近傍に分布している従来の船舶(図7,8参照)
とほぼ同等になっている。
【0015】すなわち、本実施形態の補助バルブ4を有
する船舶は、満載喫水状態での造波抵抗の低減効果が大
きい船舶と、バラスト喫水状態での造波抵抗の低減効果
が大きい船舶との双方の性能を有することとなってい
る。なお、図3,4における造波抵抗係数CWおよびフ
ルード数Fnは次の[数1].[数2]式で表される。
【数1】CW=RW/(1/2)ρV22/3
【数2】FN=V/√gL ただし RWは造波抵抗,gは重力加速度,ρは水の密
度,Lは船長,Vは船速,Uは船体の排水容積
【0016】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のバルブ付
き船首部構造によれば、次のような効果が得られる。 (1) 船底ベースラインとバラスト喫水線との間で船首垂
線よりも前方へ突出するように形成された船首バルブに
より、バラスト喫水状態で十分な造波抵抗減少効果が得
られるほか、同船首バルブとその上方の補助バルブとが
相まって満載喫水状態でも十分な造波抵抗減少効果が得
られるようになる。 (2) 上記補助バルブは、その船底ベースラインと平行な
下側面部によりバラスト喫水状態で水の流れを盛り上が
らせないように抑制して後方へ導くので、推進性能を向
上させるようになる。 (3) 上記船首バルブはバラスト喫水線から下方に十分に
膨大した容積をもつため、バラスト喫水状態で十分な造
波抵抗減少作用を行なうほか、満載喫水状態ではバラス
ト喫水線上方に付加された補助バラストと協働して、十
分な造波抵抗減少作用を行なうようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのバルブ付き船首部
構造を示す側面図である。
【図2】図1の船首部構造の横断面図である。
【図3】図1,2の船首部構造を有する船舶の満載喫水
状態での造波抵抗係数を従来の場合と比較して示すグラ
フである。
【図4】図1,2の船首部構造を有する船舶のバラスト
喫水状態での造波抵抗係数を従来の場合と比較して示す
グラフである。
【図5】従来のバルブ付き船首部構造の一例を示す側面
図である。
【図6】図5の船首部構造の横断面図である。
【図7】従来のバルブ付き船首部構造の他の例を示す側
面図である。
【図8】図7の船首部構造の横断面図である。
【符号の説明】
1 船体 2 船首バルブ 3 船首材 4 補助バルブ 4a 補助バルブ前端部 4b 補助バルブ側方膨出部 4c 補助バルブ上側面部 4d 補助バルブ下側面部 FP 船首垂線 BL 船底ベースライン LWL 満載喫水線 BWL バラスト喫水線 CL 船体中心線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−291286(JP,A) 実開 昭59−131394(JP,U) 実開 昭61−155283(JP,U) 実開 昭63−122187(JP,U) 実開 昭61−68985(JP,U) 実開 昭59−45191(JP,U) 実開 昭53−497(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 1/06 B63B 1/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造波抵抗減少用バルブをそなえた船首部
    構造において、同バルブが、ほぼ船底ベースラインとバ
    ラスト喫水線との間で船首垂線よりも前方へ突出するよ
    うに形成された船首バルブと、満載喫水線とバラスト喫
    水線との間で船首垂線よりも前方へ突出するように形成
    された補助バルブとをそなえるように構成され、上記補
    助バルブが、丸味を帯びた前端部と、同前端部から両船
    側にそれぞれ沿いながら後方へ延在する側方膨出部とを
    有するように形成されて、同側方膨出部の上側面部が後
    方へ後下がりに延在するように形成されるとともに、同
    側方膨出部の下側面部が、バラスト喫水状態で水の流れ
    の盛り上がりを抑制して後方へ導くように、船底ベース
    ラインとほぼ平行に後方へ延在しながら側方へ張り出す
    ように形成されたことを特徴とする、バルブ付き船首部
    構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のバルブ付き船首部構造
    において、上記補助バルブを除いた船首垂線での船体横
    断面が、バラスト喫水線と船底ベースラインとの間の断
    面積を、満載喫水線とバラスト喫水線との間の断面積よ
    りも大きくするように形成されていることを特徴とす
    る、バルブ付き船首部構造。
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