JPH0558591U - 肥大船の船首構造 - Google Patents

肥大船の船首構造

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JPH0558591U JP547792U JP547792U JPH0558591U JP H0558591 U JPH0558591 U JP H0558591U JP 547792 U JP547792 U JP 547792U JP 547792 U JP547792 U JP 547792U JP H0558591 U JPH0558591 U JP H0558591U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 肥大船の船首部で前方へ反射する反射波によ
る抵抗を低減して波浪中での推進抵抗を低減し得るよう
な船首構造を提供する。 【構成】 方形係数Cbが0.78以上で船首バルブ1
0を有するタンカー1の船首バルブ10に、船首垂線1
2よりも前方において満載吃水線11を上下に貫通する
船首付加物13を突設し、船首付加物13はその前端を
鋭角状に且つ後方程広幅となる形状に形成して、波反射
による抵抗を低減した。尚、船首付加物13は、船首バ
ルブ10から突出させる代わりに、満載吃水線よりも上
方の船首上部から垂設してもよく、また船首上部と船首
バルブ10とに亙って設けてもよい。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、肥大船の船首構造に関し、特に船首部の砕波と波反射による抵抗低 減を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大型タンカー等のように、方形係数Cbが0.78以上で、船首バルブ を有し、且つ満載吃水線付近の船首部形状がブラントな肥大船が波浪中を航行す る際には、その船首部で波を発生させる造波作用による造波抵抗と、船首波の運 動量に関連する抵抗、つまり船首波の波力による抵抗と船首部で波浪を砕波する ことで発生する抵抗と船首波を反射させるさせることによる抵抗とが作用する。 従来、垂線間長と全長を拡大することなく、船首構造を変更して前記波反射に よる抵抗を低減することは殆ど不可能であり、その種の技術は殆ど提案されてい ない。 但し、特開昭59−26386号公報には、砕波などの抵抗を低減させる技術 として、満載吃水線よりも上の船首側面形状を満載吃水線の直上で前方に急激に 長く突出させるとともに、水平断面における幅を徐々に減少して船首先端部で先 鋭に構成してなる船首部構造が提案されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
前記公報に記載の船首構造では、満載吃水線上に大きく突出する船首波を砕波 する性能に優れているものの、満載吃水線における船首部は略垂直状であり、肥 大船の場合にはその満載吃水線における船首部がブラント(肥った)な形状に形 成されるため、波反射による抵抗を低減することが困難であるという問題がある 。本考案の目的は、船首垂線に影響を及ぼすことなく、船首部の砕波と波反射に よる抵抗低減を図り得るような肥大船の船首部構造を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 請求項1に係る肥大船の船首部構造は、方形係数Cbが0.78以上で、船首 バルブを有し、且つ満載吃水線付近の船首部形状がブラントな肥大船において、 前記肥大船の船首部に、船首垂線よりも前方において満載吃水線を上下に貫通す る状態に配設され且つ前端縁が鋭角状で後方程幅広となる砕波と波反射による抵 抗低減用の船首付加物を設けたことを特徴とするものである。
【0005】 請求項2に係る肥大船の船首部構造は、請求項1の船首部構造において、前記 船首付加物は、船首バルブから上方へ突出させたことを特徴とするものである。
【0006】 請求項3に係る肥大船の船首部構造は、請求項1の船首部構造において、前記 船首付加物は、満載吃水線よりも上方の船首上部から垂設したことを特徴とする ものである。
【0007】 請求項4に係る肥大船の船首部構造は、請求項1の船首部構造において、前記 船首付加物は、船首バルブと、満載吃水線よりも上方の船首上部とに亙って設け られたことを特徴とするものである。
【0008】 請求項5に係る肥大船の船首部構造は、方形係数Cbが0.78以上で、船首 バルブを有し、且つ満載吃水線付近の船首部形状がブラントな肥大船において、 前記肥大船の船首垂線の付近の船首部を、砕波と波反射による抵抗低減の為に側 面視にて上方程後方へ退くように、傾斜状に形成したことを特徴とするものであ る。
【0009】
【作用】
請求項1に係る肥大船の船首部構造においては、満載吃水線付近の船首部形状 がブラントな肥大船の船首部に、船首垂線よりも前方において満載吃水線を上下 に貫通する状態に配設され且つ前端縁が鋭角状で後方程幅広となる砕波と波反射 抵抗低減用の船首付加物を設けたので、船首垂線に影響を及ぼすことなく、前端 部が鋭角状な船首付加物の水切り作用により船首波が砕波されて砕波抵抗が低減 するとともに、前方から来る波が側方へ緩やかに反射させたりそらされたりして 波反射による抵抗が大幅に低減し、船首付加物に作用する波力の前進方向成分も 低減する。また、船首付加物の前端部が鋭角状で且つ後方程広幅であるため、船 首部に直接作用する波力も低減する。
【0010】 請求項2に係る肥大船の船首部構造においては、請求項1と同様の作用が得ら れるうえ、前記船首付加物は、船首バルブから上方へ突出させたため、船首付加 物の全高を小さくでき、船首付加物の構造材料を少なくすることが出来る。
【0011】 請求項3に係る肥大船の船首部構造においては、請求項1と同様の作用が得ら れるうえ、前記船首付加物は、満載吃水線よりも上方の船首上部から垂設したた め、満載吃水線よりも上方に突出する船首波を砕波する作用にも優れる。
【0012】 請求項4に係る肥大船の船首部構造においては、請求項1と同様の作用が得ら れるうえ、前記船首付加物は、船首バルブと、満載吃水線よりも上方の船首上部 とに亙って設けられたため、船首付加物は上下両端において船体に固定でき、構 造強度的に有利である。
【0013】 請求項5に係る肥大船の船首部構造においては、満載吃水線付近の船首部形状 がブラントな肥大船の船首垂線の付近の船首部を、砕波と波反射による抵抗低減 の為に側面視にて上方程後方へ退くように、傾斜状に形成したため、船首垂線に 影響を及ぼすことなく、船首部に衝突して前方へ反射する反射波による抵抗と砕 波による抵抗が低減するとともに、船首部に作用する波力の前進方向成分も低減 する。
【0014】
【考案の効果】
前記作用の項で説明したように、次のような効果が得られる。 請求項1に係る肥大船の船首部構造によれば、船首垂線よりも前方において満 載吃水線を上下に貫通する状態に配設され且つ前端縁が鋭角状で後方程幅広とな る砕波と波反射による抵抗低減用の船首付加物を設けたことにより、船首垂線に 影響を及ぼすことなく、船首部の砕波性能を高めて砕波抵抗を低減し且つ波反射 による抵抗を低減でき、船首部に直接作用する波力を低減でき、これにより波か ら船体に作用する抵抗を大幅に低減することが出来る。
【0015】 請求項2に係る肥大船の船首部構造によれば、請求項1と同様の効果が得られ るうえ、前記船首付加物を、船首バルブから上方へ突出させたことで、船首付加 物の全高を小さくして、船首付加物の構造材料を少なくし、その製作コストを節 減出来る。
【0016】 請求項3に係る肥大船の船首部構造によれば、請求項1と同様の効果が得られ るうえ、前記船首付加物を、満載吃水線よりも上方の船首上部から垂設したこと で、満載吃水線よりも上方に突出する船首波を砕波する作用を高め、抵抗低減作 用を高めることが出来る。
【0017】 請求項4に係る肥大船の船首部構造によれば、請求項1と同様の効果が得られ るうえ、前記船首付加物を、船首バルブと、満載吃水線よりも上方の船首上部と に亙って設けたことにより、船首付加物を上下両端において船体に固定でき、構 造強度的に有利である。
【0018】 請求項5に係る肥大船の船首部構造によれば、満載吃水線付近の船首部形状が ブラントな肥大船の船首垂線の付近の船首部を、砕波と波反射による抵抗低減の 為に側面視にて上方程後方へ退くように、傾斜状に形成したことにより、船首垂 線に影響を及ぼすことなく、船首部に衝突して反射する反射波による抵抗と砕波 による抵抗とを低減できるとともに、船首部に作用する波力の前進方向成分も低 減することが出来る。
【0019】
【実施例】
以下、本考案の実施例について図面に基いて説明する。 本実施例は、タンカーの船首部構造に本考案を適用した場合の例である。 図1〜図3に示すように、このタンカー1は、方形係数Cbが0.78以上で 、船首ハルブ10を有し、且つ満載吃水線11付近の船首部形状がブラントな肥 大船である。 前記タンカー1の船首部の下部には、船首バルブ10が設けられ、満載吃水船 11付近の船首部前端は船首垂線12の位置において垂直状に形成され、船首付 加物13は、船首バルブ10の上端から突出され、この船首付加物13は、船首 垂線12よりも前方において満載吃水線11を上下に貫通する状態に配設され、 船首付加物13と船首バルブ10の前端は略垂直状をなしている。
【0020】 前記船首付加物13について、図2に示すように、その前端縁は例えば約45 度をなす鋭角状に形成され、その前端から後方へ向かって左右方向幅が徐々に拡 大するように、船首付加物13の水平断面形状は前端が頂点をなす楔形状に形成 され、船首付加物13の側面形状は略3角形状で、その後端縁14は、船首垂線 12の位置から前方程上方へ移行するように前方上り傾斜状に形成され、また、 前記満載吃水線11と船首垂線12との交点15と、満載吃水線11における船 首付加物13の水線面の後端16間には所定の間隔17が設けられ、満載吃水線 11における船首付加物13の水線面の前端を通り、満載吃水線11におけるタ ンカー1の水線面への接線を18、19とすると、船首付加物13の側面は両接 線18、19間に位置するように設けられる。但し、船首付加物13の水平断面 形状は図2に2点鎖線13aで図示のような形状に形成してもよく、またその水 平断面形状の左右辺は直線である必要はなく曲線状でもよい。また、船首付加物 13の前縁は約45度に限らず鋭角状であればよい。尚、船首付加物13は、中 実又は中空状に形成してもよく、中空状に形成する場合において船首付加物13 の後端縁は開放状であってもよい。
【0021】 次に、前記タンカーの船首部構造の作用について説明する。 前記船首付加物13は、船首垂線12よりも前方において満載吃水線11を上 下に貫通するように設けられ、その前端が鋭角状で後方程広幅となるように形成 してあるため、前方より来る波は、船首付加物13により、側方へ緩やかに反射 させられたりそらされたりし、また船首付加物13により、確実に砕波されて船 首付加物13の左右両側面に沿って流れ、船首垂線12付近のブラントな船首部 に直接衝突して前方へ反射することがなくなるため、波反射による抵抗低減と砕 波抵抗低減により推進抵抗が大幅に低減する。尚、船首付加物13を理想的に設 定する場合にはタンカー1の推進抵抗を約3〜5パーセント程度低減することが 出来る。前記船首付加物13を船首バルブ10から突出させるため、船首付加物 13の全高を小さくでき、その構造材料を節減できる。更に、船首付加物13を 設けることで船首垂線12に影響を及ぼすこともない。
【0022】 第1別実施例・・・図4〜図6参照 本実施例は、前記実施例と同様のタンカーの船首構造に本考案を適用した場合 の例であり、前記実施例と同様のものに同一符号を付して説明を省略し、異なる 構成について説明する。 図4〜図6に示すように、船首付加物13Aは、満載吃水線11よりも上方の 船首上部から垂設されて、船首垂線12よりも前方において満載吃水線11を上 下に貫通する状態に設けられ、この船首付加物13Aの水平断面形状は、前記船 首付加物13と略同様の楔形状に形状に形成され、船首付加物13Aの下端と船 首バルブ10間には所定の間隔が設けられている。
【0023】 前記船首付加物13と同様に、この船首付加物13Aは中実状又は中空状に形 成されるが、鋼板を折り曲げた部材でもって前端と左右両側面を覆い且つ後端と 下面とは開放状の構造に形成してもよい。 この船首付加物13Aの作用については前記実施例と同様であるが、特に船首 付加物13Aは、満載吃水線11よりも上方の船首上部から垂設されて、船首垂 線12よりも前方において満載吃水線11を貫通する状態に設けられているため 、満載吃水線11よりも高く突出する船首波を砕波する作用にも優れる。
【0024】 第2別実施例・・・図7〜図9参照 本実施例は、前記実施例と同様のタンカーの船首構造に本考案を適用した場合 の例であり、前記実施例と同様のものに同一符号を付して説明を省略し、異なる 構成について説明する。 図7〜図9に示すように、船首付加物13Bは、船首バルブ10の上端と、満 載吃水線11よりも上方の船首上部とに亙って、船首垂線12よりも前方におい て満載吃水線11を上下に貫通する状態に設けられ、その上端は船首上部に固着 されまたその下端は船首バルブ10に固着されている。この船首付加物13Bの 水平断面形状は、前記実施例の船首付加物13と同様に楔形状に形成され、中実 状又は忠実状に形成されている。このように、船首付加物13Bの上下両端にお いて船体に固着してあるため、構造・強度的に有利である。 この船首付加物13Bの作用については前記実施例と同様であるため、その説 明は省略する。
【0025】 第3別実施例・・・図10、図11参照 本実施例は、前記実施例と同様のタンカーの船首構造に本考案を適用した場合 の例であり、前記実施例と同様のものに同一符号を付して説明を省略し、異なる 構成について説明する。 このタンカー1の船首構造においては、船首垂線12の付近の船首部20を、 砕波性能向上の為に側面視にて上方程後方へ退くように、例えば約45度の傾斜 状に形成してある。そして、満載吃水線11から所定高さ上方位置において船首 部の傾斜は反転して前方程上方へ移行するように例えば約45度の傾斜状をなし 、船首部の上甲板面積を確保してある。
【0026】 この船首構造の作用について説明すると、満載吃水線11の付近の船首部20 及びそれよりも上方の船首部はブラントな形状であるが、船首垂線12の付近の 船首部20を、側面視にて上方程後方へ退くように、約45度の傾斜状に形成し てあるため、その傾斜により、前記実施例に係る船首付加物の作用と同様に、砕 波性能が向上して砕波抵抗が低減するとともに、波が前方へ反射しにくくなるた め波反射による抵抗が低減し、且つ船首部に作用する波力の前進方向成分も小さ くなって波力による抵抗も低減し、これにより推進抵抗がかなり減少する。しか も、船首垂線12に影響を及ぼすこともない。 尚、この船首構造に、前記船首付加物13、13A、13Bの何れかを採用す ることも考えられる。また、本考案は、タンカーに限らず、鉱石運搬船、バラ積 み船などの種々の肥大船に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンカーの前部の側面図である。
【図2】前記タンカーの前部の満載吃水線水線面を示す
図である。
【図3】前記タカンーの前部の斜視図である。
【図4】第1別実施例に係るタンカーの前部の側面図で
ある。
【図5】前記第1別実施例に係るタンカーの前部の満載
吃水線水線面を示す図である。
【図6】前記第1別実施例に係るタンカーの前部の斜視
図である。
【図7】第2別実施例に係るタンカーの前部の側面図で
ある。
【図8】前記第2別実施例に係るタンカーの前部の満載
吃水線水線面を示す図である。
【図9】前記第2別実施例に係るタンカーの前部の斜視
図である。
【図10】第3別実施例に係るタンカーの前部の側面図
である。
【図11】前記第3別実施例に係るタンカーの前部の斜
視図である。
【符号の説明】
1 タンカー 10 船首バルブ 11 満載吃水線 12 船首垂線 13、13A、13B 船首付加物 20 満載吃水線の付近の船首部

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方形係数Cbが0.78以上で、船首バ
    ルブを有し、且つ満載吃水線付近の船首部形状がブラン
    トな肥大船において、 前記肥大船の船首部に、船首垂線よりも前方において満
    載吃水線を上下に貫通する状態に配設され且つ前端縁が
    鋭角状で後方程幅広となる砕波と波反射による抵抗低減
    用の船首付加物を設けたことを特徴とする肥大船の船首
    構造。
  2. 【請求項2】 前記船首付加物は、船首バルブから上方
    へ突出させたことを特徴とする請求項1に記載の肥大船
    の船首構造。
  3. 【請求項3】 前記船首付加物は、満載吃水線よりも上
    方の船首上部から垂設したことを特徴とする請求項1に
    記載の肥大船の船首構造。
  4. 【請求項4】 前記船首付加物は、船首バルブと、満載
    吃水線よりも上方の船首上部とに亙って設けられたこと
    を特徴とする請求項1に記載の肥大船の船首構造。
  5. 【請求項5】 方形係数Cbが0.78以上で、船首バ
    ルブを有し、且つ満載吃水線付近の船首部形状がブラン
    トな肥大船において、 前記肥大船の船首垂線の付近の船首部を、砕波と波反射
    による抵抗低減の為に側面視にて上方程後方へ退くよう
    に、傾斜状に形成したことを特徴とする肥大船の船首構
    造。
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