JP3426443B2 - 圧電トランス - Google Patents

圧電トランス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極蛍光管の点
灯などに用いる圧電トランスに係るもので、特に点灯開
始時等の高い昇圧比と点灯継続時等の比較的低い昇圧比
の両方を得られる圧電トランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷陰極蛍光管、複写機、静電除去器な
ど、高い駆動電圧を必要とする回路においては、従来、
巻線トランスを用いて入力電圧を一次、二次巻線で昇圧
して出力を得て駆動されている。最近、この昇圧回路に
圧電トランスを利用することが検討され、実用化されつ
つある。
【0003】代表的な圧電トランスは、いわゆるローゼ
ン型と呼ばれるもので、細長い圧電セラミック板の長手
方向の一方の端面側の表裏面に入力電極を形成し、反対
側の端面に出力電極を形成するものである。この種の圧
電トランスにおいては、二次側を開放に近い高インピー
ダンス負荷として使用する場合には、入出力電圧比(昇
圧比) を大きく得ることができる。しかし、負荷インピ
ーダンスが百kΩ程度になると、数倍から十数倍程度し
か昇圧比が得られない。液晶パネルのバックライトとし
て用いる蛍光管を点灯させる場合、点灯開始時には充分
な昇圧比が得られるが、放電開始後の低インピーダンス
負荷の状態では充分な昇圧比が得られない。
【0004】また、駆動電極の構造上、縦振動の共振イ
ンピーダンスを小さくすることには限界があり、大電力
を注入できないといった問題や、負荷インピーダンスの
変化により共振周波数が変動するといった問題もある。
【0005】上記のように、従来の圧電トランスでは低
インピーダンス負荷時の昇圧比が充分でないので、巻線
トランスを併用したりしているが、小型化の上で障害と
なる。そこで、発明者は特願平7-345933等において、長
さ方向の振動モードと幅方向の振動モードが結合する領
域の周波数で駆動する圧電トランスを提案した。これ
は、圧電セラミック板の長さと幅の比を従来と大きく変
えて、長さと幅の比を約2としたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この種の圧電トランス
は、高インピーダンス負荷時には高い昇圧比が得られ、
低インピーダンス時にはそれよりも低い点灯継続等に必
要な昇圧比が得られるが、振動の節点(ノード)が、二
つの振動モードの節となる線の交点となる。そのため、
圧電セラミック板はその部分だけを支持するのが望まし
いが、この点のみの支持では確実に支持することが難し
い。支持の面積を大きくすると共振インピーダンスが高
くなり、振動を抑圧して充分な出力が得られない。本発
明は、振動の抑圧を最小限にして、圧電セラミック板の
支持を確実にするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧電セラミッ
ク板の支持において、振動への影響を小さくできる領域
に、ある程度の面積を有する弾性体を配置することによ
って、上記の課題を解決するものである。
【0008】すなわち、長方形の圧電セラミック板の長
手方向の一方の端面側の表裏面に入力電極を、他方の端
面側に出力電極を具え、長さ方向の振動モードと幅方向
の振動モードが結合する領域の周波数で駆動される圧電
トランスにおいて、長さ方向の振動モードの節と幅方向
の振動モードの節とが交わる節点を結ぶ線の両面に細長
い弾性体が当接されて圧電セラミック板が支持されるこ
とに特徴を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる圧電トランスを図
1に示す。長方形の圧電性のセラミック基板10の長手方
向の一端側の表裏面に銀等を焼き付けて入力電極11を形
成し、反対側の端面に出力電極12を形成したものであ
る。電極構造は従来のローゼン型と同じであるが、圧電
セラミック板のサイズは長さ21mm、幅11mm、厚さ0.5mm
といった程度に小型化されている。
【0010】従来の圧電トランスでは縦振動モードのみ
を利用して出力を得ているが、本発明による圧電トラン
スでは、長さに対する幅の比率が大きくなっているの
で、長さ方向の振動モードだけでなく、幅方向の振動モ
ードも現れる。二つの振動モードの結合する領域の周波
数で駆動すると、冷陰極蛍光管の点灯開始の高インピー
ダンス負荷時に必要な高い昇圧比と低インピーダンスの
点灯継続時に必要な昇圧比のいずれもが得られる。
【0011】圧電セラミック板の長さと幅の比が1.75〜
2.05の範囲内のもので、結合振動周波数で駆動すると、
冷陰極蛍光管の点灯に使用可能な圧電トランスが得られ
る。長さ方向の振動のλモードと幅方向の振動のλ/2
モードとを結合させて得られる広がり振動が最も結合が
強く、大きな出力が得られる。振動の節点は幅方向の中
心線と長さ方向の1/4と3/4の線との交点の二箇所
となる。本発明においては、この二つの交点(節点)を
結ぶ線上に弾性体を圧接、接着して、圧電セラミック板
を支持するものである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0013】長さ21mm、幅11mm、厚さ0.5mm のPZT系
圧電セラミック基板の一端側の表裏面に全長の約1/2
の入力電極を形成し、反対側の端面に出力電極を形成す
る。入力電極の幅は圧電セラミック板の幅と同じである
が、長さ(図1に示したL)が10.5mmのサンプルを作成
した。分極は80°Cのオイル中で、入力電極間は1000〜
1500V、入出力電極間は30〜40Vで30分間電圧を印加し
て行った。
【0014】上記のようにして得られた圧電トランスの
圧電セラミック板の両面に、図2に示した各部分に厚さ
0.6mm の多孔性樹脂の基材に接着剤を含浸してなる両面
接着テープ等の弾性テープを固着して支持し、その時の
共振インピーダンス特性を測定した。二次側を開放、短
絡、 100kΩ負荷として入力側の周波数対共振インピー
ダンスを評価した。その結果を表1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】なお、素子 (圧電セラミック板) の固定状
態の判断方法として、圧電セラミック板の長さ方向から
力を加えて固着状態が剥離するときの力を測定した。表
1に示す剪断剥離力として示したものである。
【0017】上記の実験結果から、振動にあまり影響を
与えないのは、図2の1の節点であるが、荷重1.1kg で
剥がれてしまう。そこで、弾性テープの長さを長くした
のが、図2の2と3であるが、面積が大きくなるにした
がって共振インピーダンスが上がり、振動を抑圧するこ
とになる。図2の3では 4kg以上に耐えるが振動をかな
り抑圧していることになる。
【0018】図2の4は振動の抑圧は少ないが、横から
の荷重に対して影響を受けやすい。図2の5に示したよ
うに、二つの節点の間で、その節点を結ぶ線上に細長い
一個の弾性体を固着したばあい、振動の抑圧は比較的少
なく、剥離力も表1のように2.6kg となっており、良好
な特性が得られた。その他の例では共振インピーダンス
の増加が大きいか、剥離し易くて実用に適さない結果が
得られた。
【0019】二つの節点を結ぶ線上に弾性体を固着する
構造を図3に示す。圧電セラミック板30の上下に両面接
着テープ等の弾性体34a、34bが固着され、上側から支
持板35が被せられ、支持板35に形成された舌辺36が基板
37の貫通孔38に嵌め込まれて折り曲げられる。これによ
って、圧電セラミック板は弾性体34a、34bを介して、
基板37と支持板35の間に支持されることになる。
【0020】なお、弾性体は一個の細長いものだけでな
く、二つ以上に分割したものでもよい。また、圧電セラ
ミック板や基板、支持板の全てに接着する必要はなく、
一部は押圧されているだけでよい。材料としてゴム等を
接着剤を介して圧電セラミック板や基板、支持板に接着
するようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、共振インピーダンスを
あまり上げることなく、すなわち、圧電トランスの振動
の抑圧を小さくした上で、圧電トランスの圧電セラミッ
ク板の支持を確実に行うことができる。また、支持の部
品点数も少なくて済むので、工数、コストの面でも有利
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による圧電トランスの斜視図
【図2】 支持状態を示す平面図
【図3】 本発明の実施例を示す分解斜視図
【符号の説明】
10、30:圧電セラミック板 11:入力電極 12:出力電極 34:弾性体 35:支持板 37:基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/107

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長方形の圧電セラミック板の長手方向の
    一方の端面側の表裏面に入力電極を、他方の端面側に出
    力電極を具え、長さ方向の振動モードと幅方向の振動モ
    ードが結合する領域の周波数で駆動される圧電トランス
    において、長さ方向の振動モードの節と幅方向の振動モ
    ードの節とが交わる2つの節点を結ぶ線上に細長い弾性
    体が当接されて支持されたことを特徴とする圧電トラン
    ス。
  2. 【請求項2】 長方形の圧電セラミック板の長手方向の
    一方の端面側の表裏面に入力電極を、他方の端面側に出
    力電極を具え、長さ方向の振動モードと幅方向の振動モ
    ードが結合する領域の周波数で駆動される圧電トランス
    において、長さ方向の振動モードの節と幅方向の振動モ
    ードの節とが交わる2つの節点を結ぶ線上の両側に細長
    い弾性体が当接されて支持されたことを特徴とする圧電
    トランス。
  3. 【請求項3】 長さと幅の比が約2:1の長方形の圧電
    セラミック板の長手方向の一方の端面側の表裏面に入力
    電極を、他方の端面側に出力電極を具え、長さ方向の振
    動モードと幅方向の振動モードが結合する領域の周波数
    で駆動される圧電トランスにおいて、長さ方向の振動モ
    ードの節と幅方向の振動モードの節とが交わる2つの節
    点を結ぶ線上に細長い弾性体が当接されて支持されたこ
    とを特徴とする圧電トランス。
  4. 【請求項4】 長さと幅の比が約2:1の長方形の圧電
    セラミック板の長手方向の一方の端面側の表裏面に入力
    電極を、他方の端面側に出力電極を具え、長さ方向の振
    動モードと幅方向の振動モードが結合する領域の周波数
    で駆動される圧電トランスにおいて、長さ方向の振動モ
    ードの節と幅方向の振動モードの節とが交わる2つの節
    点を結ぶ線上の両側に細長い弾性体が当接されて支持さ
    れたことを特徴とする圧電トランス。
  5. 【請求項5】 細長い弾性体が前記2つの節点を結ぶ領
    域のみに配置された請求項1ないし請求項4記載の圧電
    トランス。
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