JP3426198B2 - 通気性と防水性を両立させた樹脂製ケース及びその製造方法 - Google Patents

通気性と防水性を両立させた樹脂製ケース及びその製造方法

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JP3426198B2
JP3426198B2 JP2000280383A JP2000280383A JP3426198B2 JP 3426198 B2 JP3426198 B2 JP 3426198B2 JP 2000280383 A JP2000280383 A JP 2000280383A JP 2000280383 A JP2000280383 A JP 2000280383A JP 3426198 B2 JP3426198 B2 JP 3426198B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に電気・電子
部品を収装したコネクタ一体型ケース等のように、通気
性と防水性が要求される樹脂製ケースの技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】コンピュータやその周辺機器には、トラ
ンジスタ等の電子部品を含む回路が設計された基板や、
モータ等の電気部品が使用されている。これらの基板等
はコネクタが一体的に形成された樹脂製ケース(以下、
コネクタ一体型ケースと呼ぶ。)に納められ、基板等に
接続された端子がコネクタから筐体外部に突出し、コネ
クタを介して他の部品に取付けられるようになってい
る。
【0003】図13は従来のコネクタ一体型ケース10
0の斜視図である。また、図14は、図13のコネクタ
一体型ケース100と同一の構成において、蓋体300
に貫通孔500を設けたコネクタ一体型ケース100’
の断面図であり、図13の14−14線断面図に相当す
る。コネクタ一体型ケース100は、プラスチック等の
樹脂で形成された筐体200及び蓋体300で構成さ
れ、筐体200の一側面に設けられたコネクタCの内部
には、筐体200内部から筐体200外部に突出する複
数の端子Tが具えられている(図14参照)。この端子
Tは、一方で筐体200内部に固定された基板Bの回路
に接続され、他方ではコネクタCを介して他の部材に取
付けられる。筐体200内部に基板Bを固定した後、筐
体200端面と蓋体300の間にシールパッキン(図示
せず。)を配し、ねじ等(図示せず。)によって筐体2
00と蓋体300が固定される。
【0004】このようなコネクタ一体型ケース100
は、内部に水分が浸入しないように完全に防水処理が施
されていなければならない。また、外気とコネクタ一体
型ケース100内部とが連通していると、外気の温度や
湿度等、外気の条件によってコネクタ一体型ケース10
0内部の基板Bに影響を与えることがある。特に、多湿
の外気がコネクタ一体型ケース100内部に取り込まれ
ると、外気が含有する水分によって基板Bの回路等の金
属部分が腐食し、電気的な接触不良が発生することが多
い。従って、コネクタ一体型ケース100は気密性に優
れたものでなければならない。
【0005】一方、使用中にコネクタ一体型ケース10
0内部の電気・電子部品が発熱してコネクタ一体型ケー
ス100内部の温度が高くなると、空気が膨張して高圧
になることもあり、条件によっては、内部が大気圧より
も低い負圧になることもある。このようなコネクタ一体
型ケース100内外に発生する圧力差に対応するには、
コネクタ一体型ケース100に貫通孔を設ける必要があ
る。しかし、このような貫通孔を設けると、前述の防水
性及び気密性を必然的に低下させてしまう。
【0006】そこで、従来は、図14の断面図に示すよ
うに、蓋体300上面や筐体200側面に貫通孔500
を形成し、この貫通孔500を、水分や油分を通さずに
空気のみを通過させる機能を具えた織布等で覆って、コ
ネクタ一体型ケース100’の内外圧力差の解消と、防
水性及び気密性の保持の要求を充たそうとしている。こ
のように水分や油分を通さずに空気のみを通過させる機
能を具えた織布の例としては、フッ素樹脂等からなる多
孔質膜400があり、両面テープや接着剤で筐体200
又は蓋体300に固着させられる。
【0007】しかし、貫通孔500を覆う多孔質膜40
0はフッ素樹脂等からなるため、両面テープや接着剤等
では接着力が十分に発揮されず、使用中に多孔質膜40
0が剥がれることがある。そのため、円形に切断した多
孔質膜400を金属リングに嵌め込み、金属リングをか
しめて多孔質膜400を保持させたものを、インサート
成形、又はさらにかしめることによって、この金属リン
グに嵌め込まれた多孔質膜400を筐体200又は蓋体
300の所定の位置に固定するようにしたものもある。
【0008】また、この多孔質膜400は、熱融着やレ
ーザー溶着によって、筐体200又は蓋体300の所定
の位置に接合されることもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多孔質膜40
0の周囲を金属リングでかしめるようにすると、加工の
手間がかかり、さらに、金属リングを強くかしめすぎる
と多孔質膜400が傷付くことがあるという問題を有す
る。
【0010】また、熱融着やレーザー溶着によって多孔
質膜400を接合する場合には、特別な設備が必要であ
り、コストが嵩む。さらに、融着加工の際に、多孔質膜
400を貫通孔500の適当な位置に配置することが困
難である。しかも、多孔質膜400に圧力をかけること
ができないので、十分な接合強度が得られない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、内部に機器な
どが収納される密閉された樹脂製ケースにおいて、前記
樹脂製ケースに貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、空気
は透過させるが液体は透過させない多孔質の撥水・撥油
膜で塞がれており、前記撥水・撥油膜は溶融樹脂の射出
成形による前記樹脂製ケースの成形時に前記加熱溶融し
た樹脂の熱及び/又は圧力により前記樹脂製ケースと
体的に接合されたものであることを特徴とする樹脂製ケ
ースによって、また、内部に機器などが収納される密閉
された樹脂製ケースを樹脂射出成形で製造する方法であ
って、内面に環状突部を具えた第1金型と、前記環状突
部内に受け入れられ、前記樹脂製ケースの一部に貫通孔
を形成する円柱状の突部を具えた第2金型を使用し、前
記第1金型の前記環状突部で囲まれた凹部に空気は透過
させるが液体は透過させない多孔質の撥水・撥油膜を
ットし、前記第1金型と第2金型とを閉じて第1金型と
第2金型の前記円柱状の突部とで撥水・撥油膜の中央側
を挟み外周側を円柱状突部から外にはみ出させた状態で
両金型間のキャビティに加熱溶融した樹脂を射出して、
貫通孔を有する樹脂製ケースを形成するとともに貫通孔
を塞ぐように撥水・撥油膜を前記加熱溶融した樹脂の熱
及び/又は圧力の作用により一体的に接合することを特
徴とする樹脂製ケースの製造方法によって、前記の課題
を解決した。
【0012】
【作用】本発明の樹脂製ケースに設けられた貫通孔は、
撥水・撥油膜で覆われているので、ケース内外の空気は
連通するが、大気中の水分等はケース内に浸入しない。
また、撥水・撥油膜は樹脂製ケースの溶融樹脂による射
出成形時に樹脂製ケースと接合されるので、剥がれにく
い。
【0013】そして、請求項6の製造方法により、樹脂
製ケースの成形時に、加熱溶融した樹脂の熱及び/又は
圧力の作用により撥水・撥油膜を一体的に接合させるこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態の
樹脂製ケース10を示し、図1(a)は筐体20の斜視
図、図1(b)は、図1(a)の筐体20に基板Bを収
納し、蓋体30を取付けた状態のb−b線断面図、図1
(c)は図1(b)の部分拡大図である。この樹脂製ケ
ース10は、プラスチックで射出成形された筐体20及
び蓋体30からなり、筐体20の一側面にコネクタCが
設けられたコネクタ一体型ケースである。以下、この樹
脂製ケース10をコネクタ一体型ケースと呼ぶ。コネク
タCの内部には、筐体20内部から筐体20外部に突出
する複数の端子Tが具えられている。
【0015】従来から、空気等の気体は透過させるが、
水や油等の液体をはじく機能を有する多孔質膜として、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜が知
られている。このようなPTFE多孔質膜の例として
は、直径0.1ミクロン乃至3ミクロン程度の微細孔が
1cm2当たり数億個形成されたものがあり、具体的商
品の例としては、日東電工株式会社の「ミクロテック
」等が商品化されている。このPTFE多孔質膜44
を、撥水・撥油処理を施したポリエチレンテレフタレー
ト(PET)製の不織布、又は織布からなる基材42上
に積層して、撥水・撥油膜40を構成した。
【0016】筐体20の底部には円形の貫通孔50が設
けられ、底部内面には貫通孔50の周囲に環状溝52が
設けられている。その結果、図1(c)に示されるよう
に、貫通孔50の近傍の断面形状は、ほぼL字状になっ
ており、L字状に延びた先端部(縦薄肉部)20a、環
状溝52の下方の中間部(横薄肉部)20b、及び基端
部(一般部)20cからなっている。さらに、底部内
面、すなわち先端部(縦薄肉部)20aの上端面に、貫
通孔50を覆うように、上記の撥水・撥油膜40が溶融
接着されている。
【0017】このコネクタ一体型ケース10には、ケー
ス内部と外気とを連通させる貫通孔50が設けられてい
るので、コネクタ一体型ケース10の内外において圧力
差が生じない。また、貫通孔50は、空気は透過させる
が水や油等の液体は透過させない撥水・撥油膜40で覆
われているため、油分や大気中の水分等はケース10内
に浸入しない。
【0018】図2は、本発明の第2実施形態の樹脂製ケ
ース12の断面図である。この樹脂製ケース12は、第
1実施形態のものと同様に、筐体22及び蓋体32から
なり、筐体22の一側面にコネクタが設けられたコネク
タ一体型ケースであるが、貫通孔50a及び環状溝52
aが蓋体32に設けられている。また、貫通孔50a
は、上記と同様の撥水・撥油膜40で覆われている。
【0019】次に、図3は、本発明の第3実施形態の樹
脂製ケース14の断面図である。この樹脂製ケース14
も、上記と同様に筐体24及び蓋体34からなるコネク
タ一体型ケースであるが、貫通孔50b及び環状溝52
bは筐体24の一側面に設けられ、貫通孔50bが撥水
・撥油膜40で覆われている。
【0020】これらのコネクタ一体型ケース12,14
も、蓋体32又は筐体24に貫通孔50a,50bが設
けられているため、コネクタ一体型ケース12,14の
内外において圧力差が発生しない。また、貫通孔50
a,50bは撥水・撥油膜40で覆われているので、大
気中の水分等がコネクタ一体型ケース12,14内へ浸
入しない。
【0021】上記のとおり、通気性と防水性を両立させ
ることができるため、本発明の樹脂製ケースは、コネク
タ一体型ケースとしてだけでなく、他の用途にも使用す
ることができる。図4乃至図8は、本発明の樹脂製ケー
スの実施形態である自動車用ライトケース100a、モ
ータケース100b、携帯電話ケース100c、外灯ケ
ース100d、及びコピー機のトナーケース100eを
示し、図4乃至図8において、(a)は斜視図、(b)
は(a)のb−b線断面図である。
【0022】図4の自動車用ライトケース100aには
ライトLが収装され、電源ケーブルDがケース外に突出
している。なお、符号Rはリフレクター、符号Aはレン
ズである。図5のモータケース100bにはモータが収
装され、電源ケーブルDがケース外に突出している。図
6に示す携帯電話ケース100cには電気・電子基板B
等が収装されている。図7の外灯ケース100dは、ケ
ース本体200dと蓋体300dからなり、内部にライ
トLが収装されている。図8のコピー機のトナーケース
100eにはトナーが充填され、スクリューSを回転さ
せてケース内部のトナーを撹拌するようになっている。
【0023】これらのケース100a,100b,10
0c,100d,100eは、先に説明したコネクタ一
体型ケースと同様に、貫通孔500a,500b,50
0c,500d,500eが設けられ、この貫通孔50
0a,500b,500c,500d,500eは撥水
・撥油膜40で覆われている。貫通孔を設ける位置はケ
ースによって異なり、これらの図では、自動車用ライト
ケース100a及びモータケース100bの場合は側面
に、携帯電話ケース100cや外灯ケース100dの場
合は底面に、コピー機のトナーケース100eの場合は
上面にそれぞれ設けられている。
【0024】これらの樹脂製ケース100a,100
b,100c,100d,100eには貫通孔500
a,500b,500c,500d,500eが設けら
れているので、内部に収装されたライトやモータ等の電
気・電子部品が発熱したり、外気温が変化しても、ケー
ス内外圧力差が生じることがない。また、貫通孔500
a,500b,500c,500d,500eは撥水・
撥油膜40で覆われているので、大気中の水分がケース
内部に浸入することもない。特に、自動車用ライトケー
ス100a、携帯電話ケース100c、及び外灯ケース
100dの場合には、屋外で使用する際に雨水等で濡れ
てもケース内部に水分が浸入することがない。また、コ
ピー機のトナーケース100eの場合は、内部に設けら
れたスクリューSが回転してもトナーがケース外部に飛
散しない。
【0025】次に、本発明の樹脂製ケースの製造方法
、コネクタ一体型ケース製造方法について説明す
る。なお、第1実施形態乃至第3実施形態のコネクタ一
体型ケース10,12,14は、上記のとおり貫通孔5
0,50a,50bを設ける位置以外は同一の構成であ
り、同一の方法で製造される。そのため、ここでは第1
実施形態のコネクタ一体型ケース10の製造方法につい
てのみ説明する。
【0026】図10は、第1金型60と第2金型70か
らなる金型の拡大断面図であり、図10(a)は両金型
60,70を開いた状態、図10(b)は両金型60,
70を閉じ合わせた状態を示す。第1金型60には環状
突部62に囲まれた円形の凹部64が設けられ、第2金
型70には、第1金型60の凹部64の中心部分に位置
する円柱状の突部72が設けられている。図10(b)
に示すように、閉じ合わせた2つの金型60,70間に
はキャビティ80が形成される。
【0027】両金型60,70を開いた状態において、
第1金型60の凹部64に、凹部64内面と撥水・撥油
膜40の多孔質膜44の表面とが接するように撥水・撥
油膜40を嵌め込み(図10(a)参照。)、2つの金
型60,70を閉じ合わせる。このとき、撥水・撥油膜
40は円柱状の突部72と第1金型60とで中央部分が
挟まれて固定され外周部分は突部72から外側に出っ張
る(図10(a),11(a)〜(c)参照。)その
後、2つの金型60,70間に形成されたキャビティ8
0内に溶融した樹脂を射出すると、樹脂の熱によって第
1金型60の凹部64に嵌め込まれた撥水・撥油膜40
の基材42が溶融し、射出成形される樹脂と一体的にな
る(インサート成形)。
【0028】上記の製造方法によると、筐体20の射出
成形時に、撥水・撥油膜40が筐体20と一体になるの
で、撥水・撥油膜40を取付けるための工程が不要とな
る。さらに、貫通孔50,50a,50bに対する撥水
・撥油膜40の位置決めも容易である。しかも、撥水・
撥油膜40は溶融した樹脂の熱で溶融して筐体20と接
合されるので、接合力は強く、剥がれにくい。また、射
出成形の際、溶融した樹脂が撥水・撥油膜を高圧力(3
00kgf/cm2以上)で均一に加圧するので、成形
後の筐体20と撥水・撥油膜40とは強固に接合され
る。
【0029】コネクタ一体型ケースを製造する際に、射
出成形のための樹脂としては、成形時の樹脂温度が撥水
・撥油膜40を構成する基材42の融点よりも高いもの
を使用することが望ましい。基材42としてPET(融
点264℃)を使用した場合には、射出成形用の樹脂と
しては、成形時の樹脂温度が264℃以上のもの、例え
ば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(P
C)等が適している。
【0030】撥水・撥油膜40を構成する多孔質膜44
は、外部から押圧されると潰れやすい。そのため、第1
金型60の凹部64内に配置された撥水・撥油膜40に
第2金型70の突部72が押し付けられると、撥水・撥
油膜40の多孔質構造が押し潰されて孔が塞がれてしま
う恐れがある。そこで、第1金型の凹部及び/又は第2
金型の突部に凹所を設け、撥水・撥油膜に作用する押圧
力を逃がすことが望ましい。図11は、撥水・撥油膜4
0への押圧力を逃がす構造の金型の部分拡大断面図であ
り、図11(a)は第2金型70’の突部72’端面の
中央部分に凹所76を設けた場合、図11(b)は第1
金型60’の凹部64’の中央部分に凹所66を設けた
場合、図11(c)は第1金型60’の凹部64’及び
第2金型70’の突部72’に、それぞれ凹所66,7
6を設けた場合である。図11(a)のように第2金型
70’の突部72’端面に凹所76が設けられていた
り、図11(b)のように第1金型60’の凹部64’
に凹所66が設けられていると、第1金型と第2金型と
が閉じ合わされたとき、第1金型の凹部内面と第2金型
の突部端面による押圧力を逃がすことができるので、撥
水・撥油膜40の中心部分の多孔構造が押し潰されるこ
とがない。さらに、図11(c)のように、第1金型6
0’の凹部64’及び第2金型70’の突部72’端面
の両方に凹所66,76を設けたものであると、撥水・
撥油膜40にかかる押圧力を、より効果的に逃がすこと
ができる。
【0031】第1金型60の環状突部62は、撥水・撥
油膜40の位置決めを容易にするばかりでなく、キャビ
ティ80内に樹脂を射出したとき、撥水・撥油膜40に
対して直角方向に樹脂圧をかけ、撥水・撥油膜40を確
実に溶融接着させることができる。図12(a)は環状
突部62を具えた第1金型60を用いて成形した本発明
のコネクタ一体型ケース、図12(b)は環状突部を具
えていない第1金型600を用いて成形したコネクタ一
体型ケースのそれぞれについて、キャビティ内の樹脂の
流れを説明するための拡大断面図である。第1金型に環
状突部が設けられていないと、図12(b)に示すよう
に撥水・撥油膜40の位置決めが困難であるばかりでな
く、溶融した樹脂は、図中の矢印で示すように撥水・撥
油膜40に対して平行に流れるため、撥水・撥油膜40
の端部が樹脂圧で変形することがある。一方、図12
(a)のように、第1金型60に環状突部62が設けら
れていると、図中の矢印で示すように、溶融した樹脂は
撥水・撥油膜40に対して直角方向に流れ込むため、撥
水・撥油膜40と樹脂とは効率良く溶融接着される。こ
のことを、成形されるコネクタ一体型ケースの形状とし
て見ると、貫通孔周辺と撥水・撥油膜の溶融接合部が断
面コ字状をなすことになるので、請求項5は、そのよう
に表現したものである。
【0032】図10及び図11に示すように、本発明の
製造方法によると、第1金型60,60’に環状突部6
2が設けられ、撥水・撥油膜40は環状突部62で囲ま
れた凹部64,64’内に嵌め込まれて保持されるた
め、撥水・撥油膜40の位置決めが容易であり、また、
両金型60,60’,70,70’を閉じ合わせる際
に、撥水・撥油膜40がずれることもない。
【0033】上記の樹脂製ケースでは、多孔質膜44を
基材42上に積層してなる撥水・撥油膜40を使用して
いるが、基材42を具えずに多孔質膜44だけを接合す
ることもできる。そして、この場合も、図10及び図1
1に示す金型を使用することができる。多孔質膜44は
融点が327℃以上のPTFEからなるため、キャビテ
ィ内に射出される溶融樹脂(PETの場合は融点264
℃)の熱によって溶融することはない。射出された溶融
樹脂は多孔質膜44の孔内に入り込んで一体となり、そ
の結果、多孔質膜44が樹脂製ケースに接合されること
となる。図9は、多孔質膜44のみからなる撥水・撥油
膜40’を使用した樹脂製ケースの部分拡大断面図であ
る。
【0034】以上に説明した本発明のコネクタ一体型ケ
ースを製造するための金型は、図2及び図3に示す第2
実施形態及び第3実施形態のコネクタ一体型ケース1
2,14の形成の際に使用できることはいうまでもな
い。さらに、図4乃至図8に示す樹脂製ケースを製造す
る場合には、その樹脂製ケースに適した形状の金型を使
用すればよい。
【0035】
【発明の効果】上記のように、本発明の樹脂製ケース
は、貫通孔と貫通孔を覆う撥水・撥油膜によって通気性
と防水性を両立させているので、内外圧力差が生じるこ
とがなく、且つ、外部の水分がケース内に浸入すること
もないという効果を奏する。
【0036】そして、本発明の製造方法によると、ケー
スを射出成形すると同時に、貫通孔を覆う撥水・撥油膜
を一体的に接合させることができるので、撥水・撥油膜
を取付けるための設備や手間がかからないという効果を
奏する。また、第1金型に環状突部が設けられているの
で、撥水・撥油膜の位置決めが容易であり、また、第1
金型内に配置された撥水・撥油膜は第2金型で押さえら
れるので、射出成形の際にずれることもない。さらに、
撥水・撥油膜は、ケースの接合面に直角方向の樹脂圧で
接着されるので、高い接合強度で接合させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のコネクタ一体型ケー
スを示し、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1
(a)のb−b線縦断面図、図1(c)は図1(b)の
部分拡大図。
【図2】 本発明の第2実施形態のコネクタ一体型ケー
スの縦断面図。
【図3】 本発明の第3実施形態のコネクタ一体型ケー
スの縦断面図。
【図4】 本発明の樹脂製ケースである自動車用ライト
ケースを示し、図4(a)は斜視図、図4(b)は図4
(a)のb−b線断面図。
【図5】 本発明の樹脂製ケースであるモータケースを
示し、図5(a)は斜視図、図5(b)は図5(a)の
b−b線断面図。
【図6】 本発明の樹脂製ケースである携帯電話ケース
を示し、図6(a)は斜視図、図6(b)は図6(a)
のb−b線断面図。
【図7】 本発明の樹脂製ケースである外灯ケースを示
し、図7(a)は斜視図、図7(b)は図7(a)のb
−b線断面図。
【図8】 本発明の樹脂製ケースであるコピー機のトナ
ーケースを示し、図8(a)は斜視図、図8(b)は図
8(a)のb−b線断面図。
【図9】 多孔質膜のみからなる撥水・撥油膜を使用し
た樹脂製ケースの部分拡大断面図。
【図10】 図1のコネクタ一体型ケースを製造するた
めの金型を示し、図10(a)は両金型を開いた状態、
図10(b)は両金型を閉じ合わせた状態を示す断面
図。
【図11】 撥水・撥油膜への押圧力を逃がすための金
型を示し、図11(a)は第2金型の突部端面の中央部
分に凹所を設けた場合、図11(b)は第1金型の凹部
の中央部分に凹所を設けた場合、図11(c)は第2金
型の突部及び第1金型の凹部に凹所を設けた場合の部分
拡大断面図。
【図12】 キャビティ内の樹脂の流れを説明するため
の図であり、図12(a)は環状突部を具えた第1金型
を用いて成形したコネクタ一体型ケース、図12(b)
は環状突部を具えていない第1金型を用いて成形したコ
ネクタ一体型ケースの部分拡大断面図。
【図13】 従来のコネクタ一体型ケースの斜視図。
【図14】 従来の他のコネクタ一体型ケースの断面
図。
【符号の説明】
10,12,14,100a,100b,100c,1
00d,100e:コネクタ一体型ケース 20,22,24:筐体 30,32,34:蓋体 40:撥水・撥油膜 42:基材 44:多孔質膜 50,50a,50b,500a,500b,500
c,500d,500e:貫通孔 52,52a,52b:環状溝 60,60’:第1金型 62:環状突部 64,64’:凹部 66:凹所 70,70’:第2金型 72,72’:突部 76:凹所 C:コネクタ T:端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:36 B29L 31:36 (72)発明者 勝浦 崇人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−35807(JP,A) 特開 平3−199022(JP,A) 特開 平6−268391(JP,A) 特開2000−87837(JP,A) 特開 平11−277567(JP,A) 実開 昭62−168577(JP,U) 実開 昭61−161978(JP,U) 実開 昭59−194283(JP,U) 特公 昭45−18221(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 13/52 B29C 45/14 B29C 45/37 B29K 105:20 B29L 31:36

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に機器などが収納される密閉された
    樹脂製ケースにおいて、 前記樹脂製ケースに貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、空気は透過させるが液体は透過させない
    多孔質の 撥水・撥油膜で塞がれており、 前記撥水・撥油膜は溶融樹脂の射出成形による前記樹脂
    製ケースの成形時に前記加熱溶融した樹脂の熱及び/又
    は圧力により前記樹脂製ケースと一体的に接合されたも
    のであることを特徴とする、 樹脂製ケース。
  2. 【請求項2】 前記樹脂製ケースが筐体と前記筐体の開
    口部を覆う蓋体からなり、前記筐体、及び/又は前記蓋
    体に前記貫通孔が設けられている、請求項1の樹脂製ケ
    ース。
  3. 【請求項3】 前記撥水・撥油膜が多孔質膜であり、
    融した樹脂の圧力により前記溶融樹脂が前記多孔質膜の
    孔に入り込むことによって前記樹脂製ケースと接合され
    ている、請求項1又は2の樹脂製ケース。
  4. 【請求項4】 前記撥水・撥油膜が熱可塑性素材からな
    る基材と前記多孔質膜とを積層したものであり、前記基
    材が溶融した樹脂の熱により溶融して前記樹脂製ケース
    と接合されている、請求項1又は2の樹脂製ケース。
  5. 【請求項5】 前記貫通孔周辺と前記撥水・撥油膜の接
    合部が断面コ字状をなす、請求項1から4のいずれかの
    樹脂製ケース。
  6. 【請求項6】 内部に機器などが収納される密閉された
    樹脂製ケースを樹脂射出成形で製造する方法であって、 内面に環状突部を具えた第1金型と、前記環状突部内に
    受け入れられ、前記樹脂製ケースの一部に貫通孔を形成
    する円柱状の突部を具えた第2金型を使用し、 前記第1金型の前記環状突部で囲まれた凹部に空気は透
    過させるが液体は透過させない多孔質の撥水・撥油膜を
    セットし、 前記第1金型と第2金型とを閉じて第1金型と第2金型
    の前記円柱状の突部とで撥水・撥油膜の中央側を挟み外
    周側を円柱状突部から外にはみ出させた状態で両金型間
    のキャビティに加熱溶融した樹脂を射出して、貫通孔を
    有する樹脂製ケースを形成するとともに貫通孔を塞ぐよ
    うに撥水・撥油膜を前記加熱溶融した樹脂の熱及び/又
    は圧力の作用により一体的に接合することを特徴とす
    る、樹脂製ケースの製造方法
  7. 【請求項7】 前記第1金型の前記凹部、及び/又は前
    記第2金型の前記突部端面に凹所が設けられている、請
    求項6の樹脂製ケースの製造方法
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