JP3426162B2 - 耐ドローダウン性に優れる樹脂組成物及びブロー成形品 - Google Patents

耐ドローダウン性に優れる樹脂組成物及びブロー成形品

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JP3426162B2
JP3426162B2 JP17440899A JP17440899A JP3426162B2 JP 3426162 B2 JP3426162 B2 JP 3426162B2 JP 17440899 A JP17440899 A JP 17440899A JP 17440899 A JP17440899 A JP 17440899A JP 3426162 B2 JP3426162 B2 JP 3426162B2
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真人 高久
明夫 植村
聡 中川
悟 黒野
穂純 佐々木
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工時の耐ドロー
ダウン性に優れたポリスチレン系樹脂組成物及びその樹
脂組成物を用いたブロー成形品に関するものである。更
に詳しくは、本発明は、加工時の押出し性に優れ、ドロ
ーダウンが小さく、ブロー成形後の製品の偏肉が少な
く、かつ耐熱性に優れるポリスチレン系樹脂組成物及び
ブロー成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ブロー成形法は、特に熱可塑性樹脂によ
るプラスチックの製造法として広く普及しており、中で
もポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレ
ン(PP)は、それぞれの有する特徴を生かして、食品
・飲料、洗剤・洗髪剤、薬品、工業用などの容器として
各種用いられている。また、スチレン系樹脂は、剛性が
高く、寸法安定性に優れる特徴を生かして、使い捨て容
器の一部などに用いられてきている。
【0003】また、近年、容器に限らず、スポイラー等
の自動車部品、業務用ゲーム機器などの枠体等の大型成
形品の分野においてもブロー成形が行なわれており、こ
の分野では、通常、容器の性能として求められる透明性
が必要ではないため、衝撃強度の高い、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)や、ゴム
変性ポリスチレン(HIPS)などのゴム変性スチレン
系樹脂が用いられている。
【0004】ブロー成形法は、溶融あるいは軟化樹脂の
中空の予備成形体(パリソン)に圧縮ガスを吹き込んで
金型内面壁までパリソンを膨らませるという工程からな
る。ブロー成形法では小さな型締め力で大きな成形品を
得ることができる。ブロー成形法は低圧力で成形するこ
とが可能なために、必要とされる金型の強度は射出成形
で用いる金型の強度より低い。従って、ブロー成形法
は低コストで大型成形品を得られる優れた成形方法であ
る。
【0005】しかし、低圧力で成形するので、成形品表
面の金型転写が射出成形法に比べて悪い。また、大型成
形品をブロー成形法で作る場合には、パリソンが激しく
ドローダウンし、成形品の天地で肉厚が大きく異なる場
合がある。肉厚が不均一であると衝撃強度が低下し、成
形品は使用に耐えない。特に大型の成形品を成形する場
合にその問題は顕著になる。樹脂に配合されるゴム状重
合体の量を増やし、衝撃強度を上げる方法が考えられる
が、その場合一般にパリソンのドローダウンが更に激し
くなり、成形品の肉厚を均一にすることは一層困難にな
る。更に肉厚が不均一であると、成形品を着色した場
合、成形品の色目にムラができ、成形品の商品価値が著
しく低下する。
【0006】ドローダウンを抑え、肉厚を均一にするた
めに、ポリスチレン系樹脂の分子量を高くする方法が考
えられるが、この方法では樹脂の流動性が低下するた
め、加工時に樹脂を押し出しにくくなる。一方樹脂の流
動性を高める一般的な方法として、ミネラルオイルに代
表される可塑剤を添加する方法があるが、この場合には
樹脂の耐熱性が低下し、成形サイクルが長くなると共
に、ドローダウンも大きくなり、得られたブロー成形品
の偏肉が大きくなる。樹脂が押出しにくい場合に、加工
条件からの解決法として、加工温度を上昇させるという
手段が一般に用いられるが、その場合冷却時間が長くな
り、成形サイクルが長くなるという問題が生じる。樹脂
温度を下げることで樹脂の溶融粘度を上げてドローダウ
ンを抑える方法もあるが、当然、樹脂を押出しにくくな
り、金型転写が悪化する。
【0007】特開平10−25394には、ゴム強化ス
チレン系樹脂、特にABS樹脂において、ブロー成形性
及び外観に優れた成形品を製造しうる、高転写ブロー成
形用のゴム強化スチレン系樹脂組成物に関する提案がな
されているが、一般にABS樹脂はポリスチレン樹脂よ
りも高価であり、得られた樹脂組成物全体としてのコス
トが高くなるという問題点を有する。また、加工時の押
出し性と耐ドローダウン性との両方のバランスに優れた
樹脂組成物を必ずしも提供できないという問題を有し、
更に、該樹脂組成物を用いてブロー成形した成形品は偏
肉も大きくなる可能性がある。
【0008】また、特開平8−207127には、熱可
塑性樹脂を押出し成形又は射出成形して作製したパリソ
ンの外壁に、特定の溶融粘度を有する熱可塑性樹脂の被
覆層を一体に設け、然る後にブロー成形する方法が記載
されている。同技術によれば成形品の肉厚がより均一に
なるが、工程が非常に繁雑であり、成形品のコストアッ
プに繋がる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況において、
本発明が解決しようとする課題は、加工時の押出し性に
選れ、ドローダウンが小さく、ブロー成形後の製品の偏
肉が小さく、かつ耐熱性に優れたポリスチレン系樹脂組
成物及びブロー成形品を低コストで提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる状況において、本
発明者は鋭意検討の結果、ブロー成形樹脂材料として、
高い溶融張力を有し、かつ流動性に優れたスチレン系樹
脂組成物を用いることにより、上記課題が達成されるこ
とを見出し、本発明に至った。即ち、本発明のうち第1
の発明は、180℃、押出速度20mm/min、引取
り速度10m/minの条件で測定した場合の溶融張力
(メルトテンション)値(単位:g)<MT>と、20
0℃、5kg荷重で測定したメルトフローレイト値(単
位:g/10min)<MFR>との関係が下記式(1)及び
(2)を満足するポリスチレン系樹脂組成物に係るもの
である。 (1):90<MT + 40 × ln(MFR)<1
50 (2):50<MT <120 本発明のうち第2の発明は、第1の発明に記載のポリス
チレン系樹脂組成物であって、下記(A)〜(C)のう
ち少なくとも2つ以上の成分からなるポリスチレン系樹
脂組成物に係るものである。 (A):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が2
5万〜50万である汎用ポリスチレン(GPPS) (B):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
5万〜30万、ゲル分30重量%以下であるゴム変性ポ
リスチレン(HIPS) (但し、本発明でゴム変性ポリスチレンの場合の重量平
均分子量はゲルを除いた部分の重量平均分子量を示す) (C):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
00万〜500万である、超高分子量ポリスチレン(U
HMW−GPPS)もしくは超高分子量ゴム変性ポリス
チレン(UHMW−HIPS) 本発明のうち第3の発明は、第1または第2の発明に記
載のポリスチレン系樹脂組成物を用いたブロー成形品に
係るものである。
【0011】本発明のうち第4の発明は、第1または第
2の発明に記載のポリスチレン系樹脂組成物をダイレク
トブロー成形することにより得られるブロー成形品に係
るものである。本発明のうち第5の発明は、第1または
第2の発明に記載のポリスチレン系樹脂組成物を射出延
伸ブロー成形することにより得られるブロー成形品に係
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、詳細に説明する。本発明の
ポリスチレン系樹脂組成物に用いる汎用ポリスチレン
(GPPS)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフ法で求めた重量平均分子量Mwの値が25万〜50
万、好ましくは30〜45万である。該値が過小の場合
には加工時のドローダウンが大きく、過大の場合には加
工時の押出し性が悪くなる。
【0013】本発明のポリスチレン系樹脂組成物に用い
るゴム変性ポリスチレン(HIPS)は、ゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフ法で求めたゴム粒子を除い
たポリスチレン部の重量平均分子量Mwの値が15万〜
30万、好ましくは20〜30万である。該値が過小の
場合には加工時のドローダウンが大きく、過大の場合に
は加工時の押出し性が悪くなる。またゲル分が30重量
%以下である必要があり、好ましくは1〜20重量%で
ある。該値が過大の場合には、加工時のドローダウンが
大きくなる。
【0014】ゲル分とは、ゴム変性ポリスチレン樹脂組
成物中の軟質成分粒子の重量割合であり、以下の方法に
より測定できる。即ち、ゴム変性ポリスチレン樹脂組成
物0.5gを秤量(重量:W1)し、該試料を室温(2
3℃程度)においてメチルエチルケトン/メタノール
(10/1体積比)の混合溶媒50mlに溶解させる。
次に該溶解時の不溶分を遠心分離により単離し、該不溶
分を乾燥してその重量(W2)を測定する。軟質成分粒
子の含有量は、(W2/W1)×100(%)により求
められる。
【0015】本発明のポリスチレン系樹脂組成物に用い
る超高分子量のポリスチレン(UHMW−GPPS)も
しくはゴム変性ポリスチレン(UHMW−HIPS)
は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で求め
た重量平均分子量Mwの値が100万〜500万である
必要がある。該値が過小、即ち50万を超え100万未
満の場合、加工時の耐ドローダウン性を満足する樹脂組
成物が得られない。また本発明のポリスチレン系樹脂組
成物に用いる超高分子量のポリスチレン(UHMW−G
PPS)もしくはゴム変性ポリスチレン(UHMW−H
IPS)の含有割合は、全体の10重量%以下であるこ
とが好ましい。含有割合が10重量%を超えると、加工
時の押出し性が極端に悪化する。
【0016】本発明に好ましく用いられる樹脂組成物
は、下記(A)〜(C)のうち少なくとも2つ以上の成
分からなるポリスチレン系樹脂組成物であるポリスチレ
ン系樹脂組成物である。 (A):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が2
5万〜50万である汎用ポリスチレン(GPPS) (B):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
5万〜30万、ゲル分30重量%以下であるゴム変性ポ
リスチレン(HIPS) (C):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
(GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
00万〜500万である、超高分子量ポリスチレン(U
HMW−GPPS)もしくは超高分子量ゴム変性ポリス
チレン(UHMW−HIPS) (A)、(B)及び(C)より選ばれた2種の樹脂より
成る組成物の場合は、下記の組成が好ましい。(A)と
(B)の場合は、(A)40〜99重量%、(B)60
1重量%であり、好ましくは(A)50〜99重量
%、(B)50〜1重量%である。(A)と(C)の場
合は、(A)90〜99重量%、(C)1〜10重量%
であり、好ましくは(A)95〜99重量%、(C)1
〜5重量%、さらに好ましくは(A)97〜99重量
%、(C)1〜3重量%である。(B)と(C)の場合
は、(B)90〜99重量%、(C)1〜10重量%で
あり、好ましくは(B)95〜99重量%、(C)1〜
5重量%、さらに好ましくは(B)97〜99重量%、
(C)1〜3重量%である。
【0017】(A)、(B)及び(C)の3成分を用い
る場合は、(C)が1〜10重量%、好ましくは1〜5
重量%、さらに好ましくは1〜3重量%であり、残りの
(B)と(A)の比率は如何なるものでも良い。
【0018】また本発明のポリスチレン系樹脂組成物
は、180℃、押出速度20mm/min、引取り速度
10m/minの条件で測定した場合の溶融張力(メル
トテンション)値(単位:g)<MT>とメルトフロー
レイト値(単位:g/10min)<MFR>との関係が下記
式(1)及び(2)を満足する必要がある。 (1):90<MT + 40 × ln(MFR)<1
50 (2):50<MT<120 (1)式及び(2)式を満足しない場合には、加工時の
押出し性を悪化させること無く、ドローダウン性が小さ
いポリスチレン系樹脂組成物及びブロー成形品を得るこ
とができない。また(1)式及び(2)式を満足しない
場合には、偏肉の少ないブロー成形品を得ることが出来
ない。ここで、溶融張力(メルトテンション)の測定
は、東洋精機製キャピログラフを用いて、上記条件にて
測定した。また、メルトフローレイトの値はJIS K
7210に準拠して測定した。
【0019】(1)の数値は、好ましくは90<MT
+ 40 × ln(MFR)<130、さらに好ましく
は90<MT + 40 × ln(MFR)<120で
ある。
【0020】また(2)の数値は、好ましくは50<M
T<110、さらに好ましくは、50<MT<100で
ある。
【0021】本発明で用いるスチレン系樹脂組成物に用
いる樹脂成分は、ポリマー成分としてスチレン系共重合
体を含む。該スチレン系共重合体を構成する単量体であ
るスチレン系化合物としては、例えばスチレン、α−メ
チルスチレンなどのα−置換アルキルスチレン、p−メ
チルスチレンなどの核置換アルキルスチレンなどが挙げ
られる。また本発明で用いるスチレン系樹脂組成物に用
いる樹脂成分は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体類、エチレン−プロピレン−非共役ジエンの
三元共重合体類などのゴム成分を添加してゴム変性スチ
レン系樹脂組成物とすることもできる。ゴム成分の添加
方法は特に限定されるものではないが、例えば攪拌器を
有する容器に、単量体であるスチレン系化合物及びゴム
状重合体を仕込み、攪拌しながら重合させる方法を挙げ
ることができる。ポリブタジエンとしては、シス含有率
の高いハイシスポリブタジエン及びシス含有量の低いロ
ーシスポリブタジエンのいずれも使用できる。
【0022】本発明に用いるポリスチレン系樹脂組成物
には、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、
熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、などを添加して
もよく、更に本発明の効果を損なわない範囲内におい
て、ミネラルオイルなどの可塑剤を添加してもよい。
【0023】本発明に用いるポリスチレン系樹脂組成物
としては、本発明の範囲で、好ましくはブレンドしたも
のが用いられるが、そのブレンド方法には制限がなく、
一度押し出し機により再造粒する方法、あるいは複数の
種類のペレットを予め良く混合し、直接加工機に投入す
る方法のいずれの方法でも良い。
【0024】本発明のポリスチレン系樹脂組成物を用い
て、ブロー成形品とする方法としては特に制限がない。
例えば、ダイレクトブロー成形することにより得られる
ブロー成形品や、射出延伸ブロー成形することにより得
られるブロー成形品などが挙げられる。
【0025】ここで、ダイレクトブロー成形法とは、押
出機から押し出されたチューブ状の溶融パリソンを金型
内にセットし、成形温度に保持の上、圧縮ガスを吹き込
んで金型内面壁まで膨らませた後、冷却を経て成形品を
取り出す成形方法である。
【0026】射出延伸ブロー成形法とは、押出し成形な
どで得られた有底パリソンを加熱軟化させ、金型内にセ
ットし、成形温度に保持の上、ロッドで縦延伸させた
後、圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁まで膨らませ、冷
却を経て成形品を取り出す成形方法である。
【0027】上記のブロー成形法の詳細については、例
えば(株)プラスチックエージ編、吉川真价監修「プラ
スチック成形加工講座ブロー成形」(1970年)に記
載されている。
【0028】
【実施例】以下実施例により、本発明を説明するが、本
発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、
評価項目のうち、上記に記載した項目以外の項目につい
ては以下のとおり実施した。
【0029】(1)重量平均分子量Mw ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC
法)に基づき、RI検出器を用い、カラムとして東ソー
製G5000HXL及びG4000HXLの2本(いず
れも長さ30cm)、溶媒としてテトラヒドロフランを
用い、流速1ml/分、温度40℃、注入量0.2m
l、濃度0.2重量%の条件にて測定した。分子量の計
算は標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線を
用いて行った。
【0030】なお、本願でゴム変性ポリスチレンの場合
の重量平均分子量は、テトラヒドロフランへの不溶分
(つまり、ゴム由来のゲル成分)をろ過して除去後の、
テトラヒドロフラン可溶分のみを用いて測定した値を重
量平均分子量とした。
【0031】(2)耐ドローダウン性 スクリュー径40φの押出し機を持つシート押し出し機
を用いて、シリンダ温度220℃、押出量310g/分
にて、ダイス長450mm、リップ長1.3mmのダイ
スから溶融樹脂を押し出した。押出開始から溶融樹脂が
ダイスより下方向20cm、50cm、床面(ダイス下
80cm)へ到達するまでの時間を測定した。該値が大
きいほどドローダウンが小さいことを示す。
【0032】(3)成形品の偏肉性 (株)日本製鋼所製NB3B型ダイレクトブロー成形機
(スクリュー径=50mm、ダイス径/コア径=26/
25mm)及び丸ボトル金型(径72mm×高さ164
mm)を用いて、シリンダー温度210℃、押出し量1
0kg/hr、エア吹き込み10sec、排気3sec
の条件でダイレクトブロー成形した成形品の、底から8
0mmの個所のボトル周りの厚み分布を10mm間隔で
測定し、その平均厚みと、最大値と最小値の差を求め、
以下の式により偏肉性を求めた。該値が小さいほど偏肉
が小さいことを示す。 偏肉性(%)= [ (最大厚み) − (最小厚み)]
× 100/平均厚み (4)耐熱性(ビカット軟化点) 上記のようにして得られたブロー成形品の一部を切り出
し、JIS K6871に準拠し、荷重5kgで測定し
た。
【0033】実施例1 汎用ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン(株)
製GPPSであるBX930(重量平均分子量38
万)、ゴム変性ポリスチレン樹脂として日本ポリスチレ
ン(株)製HIPSであるH758K(ゲル分23重量
%、重量平均分子量26万)を用い、重量比で50:5
0の割合でブレンドしたものを押出機により造粒して均
一なペレットを作成した。このペレットを用いて、40
φシート加工機にて耐ドローダウン性を測定した。また
ブロー成形機にてダイレクトブローした成形品の偏肉性
及び耐熱性を測定した。評価結果を表1に示す。
【0034】実施例2 汎用ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン(株)
製GPPSであるG690N(重量平均分子量30
万)、超高分子量ポリスチレン樹脂として、GESpecia
lty Chemicals 製UHMW−GPPSであるBLEND
EX 28270(重量平均分子量200万)を用い、
重量比で98.5:1.5の割合でブレンドしたものを
押出機により造粒して均一なペレットを作成した。この
ペレットを用いて、40φシート加工機にて耐ドローダ
ウン性を測定した。またブロー成形機にてダイレクトブ
ローした成形品の偏肉性及び耐熱性を測定した。評価結
果を表1に示す。
【0035】実施例3 G690NとBLENDEX 28270のブレンド比
率を重量比で97:3とした他は、実施例2と同一の方
法で評価を実施した。評価結果を表1に示す。 実施例4 ゴム変性ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン
(株)製HIPSであるH758K(ゲル分23重量
%、重量平均分子量26万、超高分子量ポリスチレン樹
脂として、GESpecialty Chemicals 製UHMW−GP
PSであるBLENDEX 28270を用い、重量比
で98.5:1.5の割合でブレンドしたものを押出機
により造粒して均一なペレットを作成した。このペレッ
トを用いて、40φシート加工機にて耐ドローダウン性
を測定した。またブロー成形機にてダイレクトブローし
た成形品の偏肉性及び耐熱性を測定した。評価結果を表
1に示す。
【0036】比較例1 汎用ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン(株)
製GPPSであるG690N(重量平均分子量30万)
を用い、押し出し機で一度造粒して得たペレットを用い
て40φシート加工機にて耐ドローダウン性を測定し
た。またブロー成形機にてダイレクトブローした成形品
の偏肉性及び耐熱性を測定した。評価結果を表2に示
す。
【0037】
【0038】比較例2 ゴム変性ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン
(株)製HIPSであるH640(ゲル分16重量%、
重量平均分子量22万)とBLENDEX28270を
重量比で99.5:0.5の割合でブレンドしたものを
用い、押し出し機により造粒して均一なペレットを作製
した以外は比較例1と同様にして測定した。結果を表2
に示す。
【0039】比較例4 ゴム変性ポリスチレン樹脂として、日本ポリスチレン
(株)製HIPSであるH758K(ゲル分23重量
%、重量平均分子量26万)を用い、押し出し機で一度
造粒すること無くバージンのペレットをそのまま使用し
た以外は比較例1と同様にして測定した。結果を表2に
示す。
【0040】
【表1】 注)表中の重量平均分子量Mw、メルトテンション、メ
ルトフローレイトの値は、実施例1〜4、比較例1〜3
の記述に基づいて得たポリスチレン系樹脂組成物として
の値を示したものである。 注)評価結果の耐ドローダウン性の項目中にある長さ
(cm)は、ダイスの設置されている高さをゼロとし
て、下方向への長さを示し、各秒数の値は、溶融樹脂が
ダイスからその地点に到達するまでの時間を示してい
る。
【0041】
【表2】 注)表中の重量平均分子量Mw、メルトテンション、メ
ルトフローレイトの値は、実施例1〜4、比較例1〜3
の記述に基づいて得たポリスチレン系樹脂組成物として
の値を示したものである。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリスチレン系樹脂組成物は加
工時の押出し性を悪化させること無く、ドローダウンが
小さく、かつ本発明のポリスチレン系樹脂組成物を用い
て得られたブロー成形品は、製品の偏肉が小さく耐熱性
に優れる。
【0043】結果から次のことが分かる。本発明の条件
を満たす実施例1〜4は、加工時のドローダウンが小さ
く、出来た成形品の偏肉が小さく、耐熱性に優れる。一
方、メルトテンション値が本特許の規定範囲から外れる
比較例1〜3のうち、比較例1,2,3は加工時のドロ
ーダウンが大きく、出来た成形品の偏肉が大きい。比較
は更に耐熱性にも劣る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 22:00 B29L 22:00 (72)発明者 黒野 悟 大阪府高石市高砂1丁目6番地 日本ポ リスチレン株式会社内 (72)発明者 佐々木 穂純 大阪府高石市高砂1丁目6番地 日本ポ リスチレン株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−330425(JP,A) 特開 平10−130443(JP,A) 特開 平10−36619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 25/04 - 25/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 180℃、押出速度20mm/min、
    引取り速度10m/minの条件で測定した場合の溶融
    張力(メルトテンション)値(単位:g)<MT>と、
    200℃、5kg荷重で測定したメルトフローレイト値
    (単位:g/10min)<MFR>との関係が下記式(1)
    及び(2)を満足するポリスチレン系樹脂組成物。 (1): 90<MT + 40 × ln(MFR)<
    150 (2): 50<MT<120
  2. 【請求項2】 下記(A)〜(C)のうち少なくとも2
    つ以上の成分からなるポリスチレン系樹脂組成物である
    請求項1記載のポリスチレン系樹脂組成物。 (A):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
    (GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が2
    5万〜50万である汎用ポリスチレン(GPPS) (B):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
    (GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
    5万〜30万、ゲル分30重量%以下であるゴム変性ポ
    リスチレン(HIPS) (但し、本発明でゴム変性ポリスチレンの場合の重量平
    均分子量はゲルを除いた部分の重量平均分子量を示す) (C):ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法
    (GPC法)により求めた重量平均分子量Mwの値が1
    00万〜500万である、超高分子量ポリスチレン(U
    HMW−GPPS)もしくは超高分子量ゴム変性ポリス
    チレン(UHMW−HIPS)
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリスチレン
    系樹脂組成物を用いたブロー成形品
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のポリスチレン
    系樹脂組成物をダイレクトブロー成形することにより得
    られるブロー成形品。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のポリスチレン
    系樹脂組成物を射出延伸ブロー成形することにより得ら
    れるブロー成形品。
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