JP3075210B2 - 多層ブロー成形品 - Google Patents

多層ブロー成形品

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JP3075210B2
JP3075210B2 JP10162197A JP10162197A JP3075210B2 JP 3075210 B2 JP3075210 B2 JP 3075210B2 JP 10162197 A JP10162197 A JP 10162197A JP 10162197 A JP10162197 A JP 10162197A JP 3075210 B2 JP3075210 B2 JP 3075210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂から
なる多層ブロー成形品に関するものである。更に詳しく
は、本発明は、成形品外面に近い層に特定のゴム変性ス
チレン系樹脂、成形品内面に近い層に特定のゴム変性し
ないスチレン系樹脂を用いた、肉厚が均一で、衝撃強度
が充分高い多層ブロー成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ブロー成形法は、特に、熱可塑性樹脂に
よるプラスチックス容器の製造方法として広く普及して
おり、なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(P
E)、ポリプロピレン(PP)は、それぞれの有する特
徴を生かして、食品・飲料や洗剤・洗髪剤、薬品、工業
用などの容器として各種用いられている。一方、スチレ
ン系樹脂は上記の熱可塑性樹脂に比べ耐衝撃強度に劣る
ため、ブロー成形法によるプラスチック容器にはさほど
用いられていない。しかし、スチレン系樹脂は、剛性が
高く、寸法安定性に優れ、かつ、廉価であることから、
一部の使い捨て容器などに用いられてきている。
【0003】また、近年、容器に限らず、スポイラー等
の自動車部品、業務用ゲーム機器などの枠体等の大型成
形品の分野においてもブロー成形が行なわれており、こ
の分野では、通常、容器の性能として求められる透明性
を必要とはしないため、衝撃強度の高い、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)や、ゴ
ム変性ポリスチレン(HIPS)などのゴム変性スチレ
ン系樹脂が用いられている。
【0004】ブロー成形法は、溶融あるいは軟化樹脂の
パリソンに圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁までパリソ
ンを膨らませるという工程からなる。ブロー成形法では
小さな型締め力で大きな成形品を得ることができる。ブ
ロー成形法は低圧力で成形することが可能なために、必
要とされる金型の強度は射出成形で用いる金型の強度よ
り低い。従って、ブロー成形法は低コストで大型成形品
を得られる優れた成形方法である。しかし、低圧力で成
形するので、成形品外面の金型転写が射出成形法に比べ
て悪い。また、大型成形品をブロー成形法で作る場合に
は、パリソンが激しくドローダウンし、成形品の天地で
肉厚が大きく異なる場合がある。大型成形品は上記のよ
うに枠体など高い強度が求められる用途に多く用いられ
る。肉厚が不均一であると衝撃強度が低下し、成形品は
使用に耐えない。樹脂に配合されるゴム状重合体の量を
増やし、衝撃強度を上げる方法が考えられるが、その場
合一般にパリソンのドローダウンが更に激しくなり、成
形品の肉厚を均一にすることは一層困難になる。肉厚が
不均一であると、成形品を着色した場合、成形品の色目
にムラができ、成形品の商品価値が著しく低下する。
【0005】ドローダウンを抑え、肉厚を均一にするた
めに、スチレン系樹脂の分子量をあげる方法が考えられ
るが、この方法では樹脂の流動性が低下するため、樹脂
を押し出しにくくなる。加えて、この方法では金型転写
が更に悪化する。樹脂温度を下げることで樹脂の溶融粘
度を上げてドローダウンを抑える方法もあるが、当然、
樹脂を押出しにくくなる。この方法でも金型転写が悪化
する。その他の方法として、配合ゴムの分子量を上げる
方法があるがコストアップにつながる。
【0006】また、特開平8−207127号公報に
は、熱可塑性樹脂を押出し成形又は射出成形して作成し
た中空の予備成形体(パリソン)の外面に、特定の溶融
粘度を有する熱可塑性樹脂の被覆層を一体に設け、然る
後にブロー成形する方法が記載されている。同技術によ
れば成形品の肉厚がより均一になるが、工程が非常に繁
雑であり、成形品のコストアップにつながる。
【0007】従って、肉厚が均一で、成形品強度が充分
高く、低コストのブロー成形品は存在しなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況において、
本発明が解決しようとする課題は、スチレン系樹脂を用
い、肉厚が均一で衝撃強度が充分高く、低コストな多層
ブロー成形品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討の結果、特定のゴム変性スチレ
ン系樹脂をブロー成形品の外面に近い層の材料に、特定
のゴム変性しないスチレン系樹脂をブロー成形品の内面
に近い層の材料に、用いることにより、肉厚が均一で、
衝撃強度が高いブロー成形品を得られることを見出し、
本発明に到達したものである。すなわち、本発明は、2
層以上からなる多層ブロー成形品であって、成形品外面
に近い層の材料として、200℃、荷重5kgにおける
メルトフローレートが1〜10g/10分であるゴム変
性スチレン系樹脂(A)を用い、該ゴム変性スチレン系
樹脂からなる層より成形品内面に近い層の材料として、
200℃、荷重5kgにおけるメルトフローレートが
1.5〜10g/10分であるゴム変性しないスチレン
系樹脂(B)を用いた多層ブロー成形品に係るものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、詳細に説明する。本発明に
おいて用いられるゴム変性スチレン系樹脂(A)は、温
度200℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート
が、1〜10g/10分である必要がある。ゴム変性ス
チレン系樹脂組成物(A)のメルトフローレートが1g
/10分未満であると押出しにくく、10g/10分を
超えるとドローダウンが激しい。ここで、メルトフロー
レートの値はJIS K7210に準拠して測定した値
である。
【0011】本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂
(A)中の軟質成分粒子の重量割合は10〜35重量%
が好ましく、更に好ましくは20〜35重量%である。
なお、軟質成分粒子の重量割合は、次の方法により測定
される。すなわち、試料であるゴム変性スチレン系樹脂
約0.5gを秤量(重量:W1)採取し、該試料を室温
(23℃)にてメチルエチルケトン/メタノール混合溶
媒(体積比10/1)50mlに溶解させる。次に、該
溶解時の不溶分を遠心分離により単離し、該不溶分を乾
燥してその重量(W2)を測定する。ゴム変性スチレン
系樹脂中の軟質成分粒子の重量割合は(W2/W1)×
100(重量%)により求められる。
【0012】本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂
(A)中に分散した軟質成分粒子の重量平均粒子径は、
0.2〜5μmが好ましい。なお、ここで重量平均粒子
径は次のように定義される。ゴム変性スチレン系樹脂の
超薄切片を作成し、その透過型電子顕微鏡写真を撮影
し、写真中の軟質成分粒子径を計測し、下式によって計
算する。 重量平均粒子径(D4)=Σnii 4/Σnii 3 (ここでniは粒子径Diの粒子数である。)
【0013】本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂
(A)の膨潤度は通常3〜30、好ましくは8〜20で
ある。ここで、膨潤度とは、ゴム変性スチレン系樹脂中
に分散した軟質成分粒子の硬さを示す指標であり、以下
の方法により測定することができる。すなわち、トルエ
ン50mlに、ゴム変性スチレン系樹脂1gを溶解さ
せ、遠心分離機(10000rpm×30分間)にか
け、不溶分を分離する。上澄み液を捨て、不溶分を秤量
し、その重量をaとする。次に、該不溶分を真空乾燥機
にて乾燥(70℃×3時間)し、乾燥後の重量をbとす
る。膨潤度は(a−b)/b×100により求められ
る。
【0014】ゴム変性スチレン系樹脂(A)の製造方法
は、特に限定されるものではなく、従来のゴム変性スチ
レン系樹脂の製造方法である。ゴム変性スチレン系樹脂
(A)は、例えば、ゴム状重合体の存在下で、スチレン
系単量体を塊状重合することで製造できる。塊状重合方
法は特に限定されるものではなく、例えば、撹拌器を有
する容器に、単量体であるスチレン系化合物及びゴム状
重合体を仕込み、撹拌しながら重合させる方法を挙げる
ことができる。なお、重合温度は通常50〜250℃、
好ましくは90〜150℃、圧力は通常常圧付近であ
る。
【0015】本発明のゴム変性スチレン系樹脂(A)に
用いられるゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ス
チレン−ブタジエン共重合体類、エチレン−プロピレン
−非共役ジエンの三元共重合体類が好ましい。ポリブタ
ジエンとしては、シス含有率の高いハイシスポリブタジ
エン及びシス含有量の低いローシスポリブタジエンのい
ずれも使用できる。
【0016】本発明で用いるゴム変性しないスチレン系
樹脂(B)としては、ポリマー成分としてスチレン系共
重合体を含む。該スチレン系共重合体を構成する単量体
であるスチレン系化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレンなどのα−置換アルキルスチレン、p−メチ
ルスチレンなどの核置換アルキルスチレンなどがあげら
れる。また、本発明で用いるゴム変性しないスチレン系
樹脂(B)においては、上記のスチレン系化合物と共
に、該スチレン系化合物と共重合可能な化合物、例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリ
ル酸、メタクリル酸メチルなどのエステル誘導体などの
ビニルモノマー、更には無水マレイン酸、マレイミド、
核置換マレイミドなどを併用してもよい。
【0017】本発明で用いるゴム変性しないスチレン系
樹脂(B)は、その温度200℃、荷重5kgにおける
メルトフローレートが1.5〜10g/10分、好まし
くは1.5〜8g/10分、さらに好ましくは2〜6g
/10分である。該メルトフローレートが1.5/10
分未満であると押出特性に劣り、10g/10分を越え
るとドローダウンが激しい。ここで、メルトフローレー
トの値は、JIS K7210に準拠して測定した。
【0018】本発明で用いるゴム変性しないスチレン系
樹脂(B)は、その160℃における伸長粘度の立ち上
がり度が好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.
4〜0.8のものである。伸長粘度の立ち上がり度が該
範囲内にあると、肉厚がより均一になり好ましい。
【0019】ここで、伸長粘度の立ち上がり度とは、図
1に示すような、伸長レオメータによって測定された伸
長粘度の時間依存性において、図1中のλ1で示され
る、歪み速度に依存せず緩やかに伸長粘度が上昇する領
域(線形領域)からはずれて、ある時間から伸長粘度が
急激に上昇する領域(非線形領域)での伸長粘度の上昇
の程度を表す指標であり、次のように測定される。すな
わち、まず、例えば、Rheometric Scie
ntific(レオメトリク・サイエンティフィック)
社製、伸長粘度レオメータ(RME)を用いて、測定温
度160℃で、歪み速度を0.01〜1.0(1/s)
の間で変化させた場合の伸長粘度の時間依存性を測定す
る。伸長粘度が急激に立ち上がる時間をt1とした場
合、低歪み速度で微小変形(t< t1)での粘度をλ1
とし、高歪み速度で大変形(t> t1)での粘度をλ
expとする。両者の比をλn=λe xp /λ1とすると、こ
の値が伸長粘度が急激に上昇する程度を表す指標とな
る。λnの対数(ln(λn))を伸長歪みに対してプロ
ットすると図2に示すような曲線が得られる。伸長歪み
が約1以上では歪み速度に依存せず、1本の直線とな
る。この傾きを伸長粘度の立ち上がり度として求める。
図1は伸長粘度の時間依存性を示すグラフであり、図2
は伸長歪みとλnの対数の関係を示すグラフである。上
記の伸長粘度の立ち上がり度、及びその測定方法につい
ては、例えば、小山清人、日本レオロジー学会誌、Vo
l.19、174〜180頁(1991年)に詳細に記
載されている。
【0020】本発明で用いるゴム変性しないスチレン系
樹脂(B)は、Z平均分子量における分岐点の数が1〜
20であるスチレン系共重合体が好ましい。このような
ゴム変性しないスチレン系樹脂を得る方法としては、例
えば、スチレン系化合物と、二個以上のビニル基を含有
する化合物を、スチレン系化合物に対して、100〜1
000重量ppmを混合し、重合する方法があり、特開
平7−166013号公報に開示されている。ここで、
Z平均分子量における分岐点の数とは、ある分子量分布
を有するスチレン系樹脂の高分子量成分を代表する分子
鎖中に含まれる分岐点の数に相当する概念であり、下記
の方法によって求められる。すなわち、検出器として示
差屈折率計及び粘度計をを備えたゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、粘度−G
PC法により求めることができ、詳細は、日本ゴム協会
誌、第45巻、第2号、105〜118頁(1972
年)に記載されている。分子量Mにおける分岐点の数
(Bn(M))は下式により求める。 〔IV(M)/IVL(M)〕2/3=〔(1+Bn(M)
/7)1/2+4/9・Bn(M)〕-1/2 ここで、IV(M)、IVL(M)はそれぞれ、粘度−
GPC法によって測定した試料及び標準試料としての直
鎖状ポリスチレンの分子量Mでの極限粘度である。
【0021】また、本発明で用いるゴム変性しないスチ
レン系樹脂(B)としては、重量平均分子量Mwと数平
均分子量Mnの比(Mw/Mn)が好ましくは2.4〜
5、さらに好ましくは2.5〜4である。ここで、Mw
/Mnは一般的に分子量分布の広さを表す指標である。
【0022】広分子量分布のスチレン系樹脂を得る方法
としては、例えば、高分子量のスチレン系樹脂と低分子
量のスチレン系樹脂をブレンドしたり、又は多段重合法
を用いることにより広分子量分布のスチレン系樹脂とす
る方法があり、特公昭57−30843号公報及び特公
昭62−61231号公報に開示されている。また、広
分子量分布のスチレン系樹脂を得るその他の方法として
は、次の方法がある。すなわち、スチレン系単量体を懸
濁重合、回分式塊状重合または押出流れ型の連続重合装
置で塊状重合を行なって、スチレン系樹脂を製造する方
法において、ジチオカルバメート基を有する化合物、ア
リール基を有するスルフィド化合物、アリールアルキル
基を有するスルフィド化合物及びチアゾール基を有する
スルフィド化合物の中から選ばれる少なくとも一種類の
化合物を、該単量体に対して50〜5000重量ppm
添加して、重合温度が110〜180℃の範囲で、最終
転化率が40重量%以上になるまで重合する方法であ
る。
【0023】ゴム変性スチレン系樹脂(A)及びゴム変
性しないスチレン系樹脂(B)には、必要に応じて、滑
剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、顔料、染料、スチレン−ブタジエンブロック共重合
体などのエラストマーなどを添加してもよく、更に本発
明の効果を損なわない範囲内において、ミネラルオイル
などの可塑剤を添加してもよい。
【0024】上記ゴム変性スチレン系樹脂(A)とゴム
変性しないスチレン系樹脂(B)を用いて、多層ブロー
成形品とする方法としては特に制限がない。例えば、2
種2層ヘッドタイプのブロー成形機を用いて、2層構造
のパリソンを作り、ダイレクトブロー成形法によって、
2層ブロー成形品とする方法が有る。また、延伸ブロー
成形法などの公知の技術を用いることができる。ここ
で、ダイレクトブロー成形法とは、押出機から押し出さ
れたチューブ状の溶融パリソンを金型内にセットし、成
形温度に保持の上、圧縮ガスを吹き込んで金型内面壁ま
で膨らませた後、冷却を経て成形品を取り出す成形方法
である。延伸ブロー成形法とは、押出し成形などで得ら
れた有底パリソンを加熱軟化させ、金型内にセットし、
成形温度に保持の上、ロッドで縦延伸させた後、圧縮ガ
スを吹き込んで金型内面壁まで膨らませ、冷却を経て成
形品を取り出す成形方法である。インジェクションブロ
ー成形法とは、射出成形で得られた有底パリソンを金型
内にセットし、成形温度に保持した上、圧縮空気を吹き
込んで金型内面壁まで膨らませた後、冷却を経て成形品
を取り出す成形方法である。上記のブロー成形法の詳細
については、例えば、(株)プラスチックエージ編、吉
川真价監修「プラスチック成形加工講座ブロー成形」
(1970年)に記載されている。なお、本発明のブロ
ー成形品において、ゴム変性スチレン系樹脂(A)から
なる層の厚さとゴム変性しないスチレン系樹脂(B)か
らなる層の厚さの比の値が1/3より小さいと強度が不
十分となり、3より大きいと成形時のドローダウンが激
しくなる。本発明のブロー成形品は、枠体等の大型成形
品の分野で好適に使用される。
【0025】
【発明の効果】以上、説明したとおり、本発明によれ
ば、スチレン系樹脂を用いた、肉厚が均一で衝撃強度が
高く、低コストな多層ブロー成形品を提供することがで
きる。
【0026】
【実施例】以下実施例により、本発明を説明するが、本
発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、
評価項目のうち、上記に記載した項目以外の項目につい
ては以下のとおり実施した。 (1)伸長粘度の立ち上がり度 ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)のペレットを用
い、200℃にてプレス成形した、150mm×150
mm×2mmの平板を、7mm×70mm×2mmに切
り出したものをサンプルとして用い、Rheometr
ic Scientific(レオメトリク・サイエン
ティフィック)社製、伸長粘度レオメータ(RME)を
用いて、160℃にて、歪み速度0.1(1/s)、
0.5(1/s)及び1.0(1/s)の伸長粘度の時
間依存性を測定した。次に、歪み速度0.5(1/s)
及び1.0(1/s)の伸長粘度と、歪み速度0.1
(1/s)の伸長粘度の比の対数を伸長歪みに対してそれ
ぞれプロットし、各プロットの伸長歪み1〜2.5の間
の傾きの値を回帰直性近似法により求め、その平均値を
伸長粘度の立ち上がり度とした。 (2)ドローダウン スクリュー径120mm、80mmの2つの押出し機を
持つ2種2層ヘッドタイプのダイレクトブロー成形機を
用いて、シリンダ温度190℃、押出量27kg/分に
て、ダイス径63mm、コア径60mmのダイスから溶
融樹脂(パリソン)を押し出した際の、押出開始からパ
リソンが床面へ到達するまでの時間を測定した。該値が
大きいほどドローダウンが小さいことを示す。 (3)成形品天地の肉厚の差 スクリュー径120mm、80mmの2つの押出し機を
持つ2種2層ヘッドタイプのダイレクトブロー成形機、
2分割可動金型(1400mm×700mm×40m
m)を用いて、シリンダ温度190℃、押出量27kg
/分にて、ダイス径63mm、コア径60mmのダイス
から溶融樹脂(パリソン)を押し出し、パリソンの長さ
が1600mm程度になってから可動金型を閉じ、エア
を吹き込んで、板状の大型成形品を作成した。この大型
成形品の重心位置を以下の方法で簡便に計測した。空間
に地面と平行に渡したパイプの上に成形品を置き、パイ
プと成形品の700mmの辺が並行になるように維持し
つつ、成形品をずらしていく。パイプの左右で成形品が
バランスした時のパイプの位置を成形品の重心位置とす
る。成形品の天地で肉厚に違いがあれば、重心位置は成
形品の1400mmの辺の中央からずれる。そのずれ
を、成形品天地での肉厚の違いの指標とし、表に示し
た。 (4)衝撃強度(破壊時における全吸収エネルギー) 上記(3)で成形した板状の大型成形品を150mm×
150mmの平板の形に切り出した。切り出した平板の
落錘強度測定を、東洋精機社製、落錘試験機を用いて行
った。平板の落錘強度測定は、成形品外側の面から撃力
を加える場合と成形品内側の面から撃力を与える場合の
2条件で行った。
【0027】加工条件1 (ゴム変性スチレン系樹脂(A)の製造法)スチレンモ
ノマー89重量%、ゴム状弾性体としてのポリブタジエ
ン7重量%、エチルベンゼン3重量%及び、ミネラルオ
イル1重量%からなる混合物を、攪拌型重合槽に送液
し、温度138℃、攪拌速度30rpmの条件にて、転
化率28%まで重合させた。続いて、得られた重合混合
物を満液型重合槽を用いて、転化率79%まで重合さ
せ、その後220℃の脱気槽で揮発分を除去し、ペレッ
ト状としたものをゴム変性スチレン系樹脂(A)として
用いた。得られたゴム変性スチレン系樹脂(A)の構造
を表1に示した。 (ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)の製造法)2個
以上のビニル基を含有する化合物であるジビニルベンゼ
ン(純度55重量%、東京化成工業社製)を用い、表1
に示す単量体組成に調合した溶液を連続バルク重合反応
層に連続的に供給し、表1に示す重合温度及び最終転化
率まで重合を行い、重合混合物を240℃で真空脱気槽
に通し、未反応モノマーを回収し、樹脂ペレットにした
ものを、ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)として用
いた。 (ブロー成形法)スクリュー径120mm、80mmの
2つの押出し機を持つ2種2層ヘッドタイプのダイレク
トブロー成形機、2分割可動金型(1400mm×70
0mm×40mm)を用いて、シリンダ温度190℃、
押出量27kg/分にて、ダイス径63mm、コア径6
0mmのダイスから溶融樹脂(パリソン)を押し出し、
パリソンの長さが1600mm程度になってから可動金
型を閉じ、エアを吹き込んで、板状の大型成形品を作成
した。成形品の肉厚は3mmに設定した。スクリュー径
120mmの押出し機にゴム変性しないスチレン系樹脂
(B)、スクリュー径80mmの押出し機にゴム変性ス
チレン系樹脂(A)を投入した。ブロー成形品の外面が
(A)、内面が(B)である。ゴム変性スチレン系樹脂
(A)とゴム変性しないスチレン系樹脂(B)の押出し
量の比は1:2である。
【0028】加工条件2 スクリュー径120mmの押出し機の押出し量を調整し
て、ゴム変性スチレン系樹脂(A)とゴム変性しないス
チレン系樹脂(B)の押出し量の比を1:1にした以外
は加工条件1と同様に成形した。
【0029】加工条件3 スクリュー径120mm、80mmの2つの押出し機の
両方に、ゴム変性スチレン系樹脂(A)として表1に示
したものを投入して、加工条件1と同様に成形した。
【0030】実施例1〜2及び比較例1〜3 加工条件1〜3で作成した成形品から、150mm×1
50mmの平板を切り出し、東洋精機社製、落錘強度試
験機で成形品の破壊に消費される全エネルギーを計測し
た。測定は、成形品外側の面から撃力を加えた場合と成
形品内側の面から撃力を加えた場合の2条件で行った。
肉厚が不均一な成形品があるので、測定値は成形品の設
定厚さである3mmの平板を破壊するために必要なエネ
ルギー値に換算してある。結果を表2に示す。本発明の
全ての条件を満たす実施例1、2は全ての評価項目にお
いて優れる。ゴム変性スチレン系樹脂(A)側から撃力
を加えない比較例1、2では衝撃強度が劣る。ゴム変性
スチレン系樹脂を単独で用いた比較例3はドローダウン
が激しく肉厚が不均一である。
【0031】
【表1】 *1 ジビニルベンゼン:数値はスチレン系化合物に対
する重量ppmである。 *2 最終転化率:最終重合反応層から予熱器への配管
途中より抜き取った、重合溶液約0.1gを精秤し、8
0℃で1時間、150℃で2時間真空乾燥させ、乾燥重
量を乾燥前重量で割った値を百分率で表したものを最終
転化率とした。 *3 Mw/Mn:重量平均分子量(Mw)と数平均分
子量(Mn)の比 *4 分岐点の数:Z平均分子量における分岐点の数
{Bn(Mz)}
【0032】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 伸長粘度の時間依存性を示すグラフ
【図2】 伸長歪みとλnの対数の関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−115741(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 49/00 - 49/80 B32B 1/00 - 35/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2層以上からなる多層ブロー成形品であっ
    て、成形品外面に近い層の材料として、200℃、荷重
    5kgにおけるメルトフローレートが1〜10g/10
    分であるゴム変性スチレン系樹脂(A)を用い、該ゴム
    変性スチレン系樹脂からなる層より成形品内面に近い層
    の材料として、200℃、荷重5kgにおけるメルトフ
    ローレートが1.5〜10g/10分であるゴム変性し
    ないスチレン系樹脂(B)を用いた多層ブロー成形品。
  2. 【請求項2】ゴム変性スチレン系樹脂(A)中の軟質成
    分粒子の重量割合が10〜35重量%である請求項1記
    載の多層ブロー成形品。
  3. 【請求項3】ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)の、
    160℃における伸長粘度の立ち上がり度が0.35以
    上である請求項1または2記載の多層ブロー成形品。
  4. 【請求項4】ゴム変性スチレン系樹脂(A)からなる層
    の厚さとゴム変性しないスチレン系樹脂(B)からなる
    層の厚さの比の値が1/3〜3である請求項1、2また
    は3記載の多層ブロー成形品。
  5. 【請求項5】ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)が、
    そのZ平均分子量における分岐点の数が1〜20である
    スチレン系共重合体である請求項1、2、3または4記
    載のブロー成形品。
  6. 【請求項6】ゴム変性しないスチレン系樹脂(B)が、
    その重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比、Mw
    /Mnが2.4以上である請求項1、2、3、4または
    5記載のブロー成形品。
  7. 【請求項7】ゴム変性スチレン系樹脂(A)とゴム変性
    しないスチレン系樹脂(B)をダイレクトブロー成形す
    ることによって得られる、請求項1、2、3、4、5ま
    たは6記載の多層ブロー成形品。
  8. 【請求項8】ゴム変性スチレン系樹脂(A)とゴム変性
    しないスチレン系樹脂(B)を2軸延伸ブロー成形する
    ことによって得られる、請求項1、2、3、4、5また
    は6記載の多層ブロー成形品。
  9. 【請求項9】ゴム変性スチレン系樹脂(A)とゴム変性
    しないスチレン系樹脂(B)をインジェクションブロー
    成形することによって得られる、請求項1、2、3、
    4、5または6記載の多層ブロー成形品。
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