JP3425494B2 - 硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善方法 - Google Patents
硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善方法Info
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- JP3425494B2 JP3425494B2 JP21266795A JP21266795A JP3425494B2 JP 3425494 B2 JP3425494 B2 JP 3425494B2 JP 21266795 A JP21266795 A JP 21266795A JP 21266795 A JP21266795 A JP 21266795A JP 3425494 B2 JP3425494 B2 JP 3425494B2
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- Removal Of Specific Substances (AREA)
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青潮が発生する程
度の硫化水素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,
湖沼など水圏の環境改善方法に関するものである。
度の硫化水素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,
湖沼など水圏の環境改善方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水圏環境の良否の指標は、水及び底棲の
動植物が生息しているか否かであるが、この水・底棲動
植物の生息を左右するのは、水中の溶存酸素濃度と底質
の酸素含有量であるとされている。この水圏の汚濁が言
われて久しく、この水圏の生態系は環境の変化に合わせ
て変遷してきたのであるが、水中の生物を規定してきた
ものは底泥を含めた水圏の酸素量の変遷である。水圏の
貧酸素化は富栄養化の結果起こるものとされており、酸
素量の多少は酸化還元電位でみると、酸化環境、還元環
境で捉えることができる。
動植物が生息しているか否かであるが、この水・底棲動
植物の生息を左右するのは、水中の溶存酸素濃度と底質
の酸素含有量であるとされている。この水圏の汚濁が言
われて久しく、この水圏の生態系は環境の変化に合わせ
て変遷してきたのであるが、水中の生物を規定してきた
ものは底泥を含めた水圏の酸素量の変遷である。水圏の
貧酸素化は富栄養化の結果起こるものとされており、酸
素量の多少は酸化還元電位でみると、酸化環境、還元環
境で捉えることができる。
【0003】一方、水圏の貧酸素化との関係において、
わが国の都市部の近郊の内湾で青潮の発生が報じられる
が、この青潮の発生は、貧酸素水塊の存在と硫黄の動態
で説明できる。海域が富栄養化した結果として、赤潮が
発生することはよく知られているが、青潮は赤潮と同様
に魚貝類などの水中生物に深刻な被害を与えることが多
い。青潮は強度の還元状態で発生し、特に有機物供給の
多い都市部で海水由来の硫黄との関連が考えられ、その
結果として、遊離酸素の存在しにくい海域が発現してい
る。
わが国の都市部の近郊の内湾で青潮の発生が報じられる
が、この青潮の発生は、貧酸素水塊の存在と硫黄の動態
で説明できる。海域が富栄養化した結果として、赤潮が
発生することはよく知られているが、青潮は赤潮と同様
に魚貝類などの水中生物に深刻な被害を与えることが多
い。青潮は強度の還元状態で発生し、特に有機物供給の
多い都市部で海水由来の硫黄との関連が考えられ、その
結果として、遊離酸素の存在しにくい海域が発現してい
る。
【0004】この青潮は、一般的に海水が青白又は青緑
白色となる現象であるが、その白色は水中に含まれるコ
ロイド状の硫黄粒子に起因していると言われている。こ
の硫黄粒子は、硫化物が存在する貧酸素或いは無酸素状
態の海水と、酸素を豊富に含む海水との接触により硫化
物が酸化されて(H2 S→S0)、形成されると言われて
いる。硫化物は主に海水に含まれるほか、嫌気状態で底
泥から海水中に溶け出したものであるとされている。一
般に海域で青潮が発生し易い条件としては、閉鎖性水
域であること、底層で無酸素或いは貧酸素水塊が形成
されること、底層水に硫化物が存在すること、の3点
である。この3点は、それぞれ深く関わっており、その
うちのの条件が満たされれば、他の条件及びは起
こり易く、青潮が発生する可能性が大きいと言える。つ
まり、水の交換の少ない閉鎖性水域では春から秋にかけ
て水温成層が形成され、底層に無酸素水塊ができ易く、
かつ、そのような水の動きの少ないところは底泥が溜ま
り易く、強度の還元状態が現れやすく底泥由来の硫化物
が溶出した底層水となると思われる。
白色となる現象であるが、その白色は水中に含まれるコ
ロイド状の硫黄粒子に起因していると言われている。こ
の硫黄粒子は、硫化物が存在する貧酸素或いは無酸素状
態の海水と、酸素を豊富に含む海水との接触により硫化
物が酸化されて(H2 S→S0)、形成されると言われて
いる。硫化物は主に海水に含まれるほか、嫌気状態で底
泥から海水中に溶け出したものであるとされている。一
般に海域で青潮が発生し易い条件としては、閉鎖性水
域であること、底層で無酸素或いは貧酸素水塊が形成
されること、底層水に硫化物が存在すること、の3点
である。この3点は、それぞれ深く関わっており、その
うちのの条件が満たされれば、他の条件及びは起
こり易く、青潮が発生する可能性が大きいと言える。つ
まり、水の交換の少ない閉鎖性水域では春から秋にかけ
て水温成層が形成され、底層に無酸素水塊ができ易く、
かつ、そのような水の動きの少ないところは底泥が溜ま
り易く、強度の還元状態が現れやすく底泥由来の硫化物
が溶出した底層水となると思われる。
【0005】図4に、青潮の発生機構の概念図が示され
ている。図示のように、陸風による吹送流が起き、それ
に引き上げられるかたちで無酸素、或いは貧酸素水塊が
湧昇して、酸素を含む海水と接触する。これにより、無
酸素、或いは貧酸素水塊に含まれている硫化物が酸化さ
れて元素状の硫黄粒子が形成され、この硫黄粒子はコロ
イド状に分散する。この状態で白色を呈するが、分散し
た硫黄コロイドは太陽光線を乱反射させ、人の目には青
白色から青緑色の範囲の色彩に見える。ここで、重要な
ことは、無酸素、或いは貧酸素水塊が浮上するだけでな
く、その中に含まれる硫化水素が酸化されることによっ
て、水中の含有酸素が消費され、水中生物が呼吸に必要
とする酸素まで消費されて、この酸素が急激に不足に至
るということである。
ている。図示のように、陸風による吹送流が起き、それ
に引き上げられるかたちで無酸素、或いは貧酸素水塊が
湧昇して、酸素を含む海水と接触する。これにより、無
酸素、或いは貧酸素水塊に含まれている硫化物が酸化さ
れて元素状の硫黄粒子が形成され、この硫黄粒子はコロ
イド状に分散する。この状態で白色を呈するが、分散し
た硫黄コロイドは太陽光線を乱反射させ、人の目には青
白色から青緑色の範囲の色彩に見える。ここで、重要な
ことは、無酸素、或いは貧酸素水塊が浮上するだけでな
く、その中に含まれる硫化水素が酸化されることによっ
て、水中の含有酸素が消費され、水中生物が呼吸に必要
とする酸素まで消費されて、この酸素が急激に不足に至
るということである。
【0006】上記により、青潮発生の機構と、その悪影
響が理解されるが、この青潮発生レベル、ひいては硫化
水素溶存レベルの水圏の改善方法としては、大別して二
つの方法が考えられる。その一つは、硫化水素の元にな
る硫化物を減少させることであり、他の一つは、無酸素
水塊を作らないことである。
響が理解されるが、この青潮発生レベル、ひいては硫化
水素溶存レベルの水圏の改善方法としては、大別して二
つの方法が考えられる。その一つは、硫化水素の元にな
る硫化物を減少させることであり、他の一つは、無酸素
水塊を作らないことである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した硫
化水素溶存レベルの水圏の汚濁化が進んで、その環境が
悪化している実情に鑑み、この水圏の水中に含まれる硫
化水素,硫化物を除去、或いは削減して、その酸化時に
水中の溶存酸素が多量に消費されるのを防止することを
課題としている。
化水素溶存レベルの水圏の汚濁化が進んで、その環境が
悪化している実情に鑑み、この水圏の水中に含まれる硫
化水素,硫化物を除去、或いは削減して、その酸化時に
水中の溶存酸素が多量に消費されるのを防止することを
課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の採用した第1の手段は、青潮が発生する程度
の硫化水素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,湖
沼など水圏の含硫化水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に
導き、光合成硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から
硫黄粒子を析出させて回収することである。この場合に
おいて、硫黄粒子が除去回収された水は、元の水圏に返
送することが望ましい。また、上記課題を解決するため
に本発明の採用した第2の手段は、この第1の手段を用
いることを前提として、水圏の底泥を回分式活性汚泥法
によって富酸素状態に改質して、この改質汚泥を元の水
圏の底泥の表面に覆土することである。
に本発明の採用した第1の手段は、青潮が発生する程度
の硫化水素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,湖
沼など水圏の含硫化水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に
導き、光合成硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から
硫黄粒子を析出させて回収することである。この場合に
おいて、硫黄粒子が除去回収された水は、元の水圏に返
送することが望ましい。また、上記課題を解決するため
に本発明の採用した第2の手段は、この第1の手段を用
いることを前提として、水圏の底泥を回分式活性汚泥法
によって富酸素状態に改質して、この改質汚泥を元の水
圏の底泥の表面に覆土することである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。本実施例では、光合成硫黄細菌を利
用した本発明に係る脱硫黄法と、回分式活性汚泥法とを
組み合わせることによって、本発明の対象である硫化水
素を溶存している水の改善と併せて、底泥の改善をも行
う例である。図1に示されるように、改善の対象となる
閉鎖された汽水域、湖沼などの水圏の水1’は、貧酸素
状態となっていて、還元的な条件下の硫黄根(S
O4 2- ) から硫酸還元菌の作用によって硫化水素(H2
S)が生成されて、水中に多量に溶存していると共に、
この硫化水素(H2 S)が飽和濃度を超えるとガスとし
て大気に放散される状態になっている。一方、この水圏
の底部には底泥(ヘドロ)2’が堆積していて、この底
泥2’は、その内部に鉄分が含まれていると、底泥内の
硫化水素(H2 S)は、この鉄分と化学反応して、硫化
鉄(Fe S)などとなって、これらを含むことになる。
この底泥2’は、無酸素、或いは貧酸素状態であるため
に、還元状態となっている。
に詳細に説明する。本実施例では、光合成硫黄細菌を利
用した本発明に係る脱硫黄法と、回分式活性汚泥法とを
組み合わせることによって、本発明の対象である硫化水
素を溶存している水の改善と併せて、底泥の改善をも行
う例である。図1に示されるように、改善の対象となる
閉鎖された汽水域、湖沼などの水圏の水1’は、貧酸素
状態となっていて、還元的な条件下の硫黄根(S
O4 2- ) から硫酸還元菌の作用によって硫化水素(H2
S)が生成されて、水中に多量に溶存していると共に、
この硫化水素(H2 S)が飽和濃度を超えるとガスとし
て大気に放散される状態になっている。一方、この水圏
の底部には底泥(ヘドロ)2’が堆積していて、この底
泥2’は、その内部に鉄分が含まれていると、底泥内の
硫化水素(H2 S)は、この鉄分と化学反応して、硫化
鉄(Fe S)などとなって、これらを含むことになる。
この底泥2’は、無酸素、或いは貧酸素状態であるため
に、還元状態となっている。
【0010】そして、上記した水圏の底部に自然に、又
は人為的に設けられた集泥凹部3に集泥された底泥2’
を、この部分に設けたポンプP1 により回分式底泥改善
槽4に圧送して、この底泥2’を回分式活性汚泥法によ
り処理する。この処理法自体は公知であり、改善槽4の
底部にエアーレータ5が設けられて、ブロワ(図示せ
ず)から空気が供給されて、処理対象である底泥2’の
内部に噴出し、これにより底泥2’はかく拌される。こ
のエアーレータ5は、モータなどの駆動源Mにより駆動
される。また、処理中の底泥は、その溶存酸素濃度(D
O),水温,酸化還元電位(ORP),pHが計測され
ると共に、溶存酸素濃度(DO)と酸化還元電位(OR
P)とは制御される。そして、回分式底泥改善槽4にお
いては、図2に示されるように、上記水圏の底泥2’を
改善槽4に圧送して流し込む流入工程と、前記エアーレ
ータ5から空気を噴出させて底泥2’内に酸素の供給を
行う曝気工程と、生成された改善底泥2を沈澱させる沈
澱工程と、上層の上澄水1を浮遊物捕捉槽6を介して元
の水圏に放流する放流工程とが繰り返される。また、改
善槽4に沈澱された改善底泥2は、ポンプP2 により元
の水圏の底泥2’の上部に圧送して、この底泥2’を覆
土する。
は人為的に設けられた集泥凹部3に集泥された底泥2’
を、この部分に設けたポンプP1 により回分式底泥改善
槽4に圧送して、この底泥2’を回分式活性汚泥法によ
り処理する。この処理法自体は公知であり、改善槽4の
底部にエアーレータ5が設けられて、ブロワ(図示せ
ず)から空気が供給されて、処理対象である底泥2’の
内部に噴出し、これにより底泥2’はかく拌される。こ
のエアーレータ5は、モータなどの駆動源Mにより駆動
される。また、処理中の底泥は、その溶存酸素濃度(D
O),水温,酸化還元電位(ORP),pHが計測され
ると共に、溶存酸素濃度(DO)と酸化還元電位(OR
P)とは制御される。そして、回分式底泥改善槽4にお
いては、図2に示されるように、上記水圏の底泥2’を
改善槽4に圧送して流し込む流入工程と、前記エアーレ
ータ5から空気を噴出させて底泥2’内に酸素の供給を
行う曝気工程と、生成された改善底泥2を沈澱させる沈
澱工程と、上層の上澄水1を浮遊物捕捉槽6を介して元
の水圏に放流する放流工程とが繰り返される。また、改
善槽4に沈澱された改善底泥2は、ポンプP2 により元
の水圏の底泥2’の上部に圧送して、この底泥2’を覆
土する。
【0011】このようにして処理された改善底泥2は、
曝気により酸素が供給されることにより富酸素底泥と化
しており、この改善された富酸素底泥2により元の水圏
の底泥2’を覆土することにより、溶存酸素濃度の低い
水深の深い部分に酸素が供給されて、水圏の底部が好気
性に改質されると同時に、硫化水素の発生に作用する硫
酸還元菌の活動が抑制されて、硫化水素の発生を抑制す
る効果がある。なお、この改善された富酸素底泥2の覆
土によって、富栄養化の原因となる窒素,リンの溶出を
防止することもできる。
曝気により酸素が供給されることにより富酸素底泥と化
しており、この改善された富酸素底泥2により元の水圏
の底泥2’を覆土することにより、溶存酸素濃度の低い
水深の深い部分に酸素が供給されて、水圏の底部が好気
性に改質されると同時に、硫化水素の発生に作用する硫
酸還元菌の活動が抑制されて、硫化水素の発生を抑制す
る効果がある。なお、この改善された富酸素底泥2の覆
土によって、富栄養化の原因となる窒素,リンの溶出を
防止することもできる。
【0012】一方、硫化水素溶存レベルの水圏において
は、底泥の改善と併せて、水中に含まれている硫化物や
硫化水素を除去、或いは削減する必要がある。即ち、水
中に硫化水素が多く存在すると、改善後の底泥に含まれ
ている酸素、水中の酸素、及び酸化物が、この硫化水素
の酸化に消費されるのである。また、硫化物も硫黄還元
菌や硫酸還元菌の働きによって硫化水素の供給源とな
り、この硫化水素が周辺の酸素を消費する。この化学反
応を最も簡単な化学式で表示すると、
は、底泥の改善と併せて、水中に含まれている硫化物や
硫化水素を除去、或いは削減する必要がある。即ち、水
中に硫化水素が多く存在すると、改善後の底泥に含まれ
ている酸素、水中の酸素、及び酸化物が、この硫化水素
の酸化に消費されるのである。また、硫化物も硫黄還元
菌や硫酸還元菌の働きによって硫化水素の供給源とな
り、この硫化水素が周辺の酸素を消費する。この化学反
応を最も簡単な化学式で表示すると、
【化1】のようになる。
【0013】
【化1】
【0014】分析結果によると、硫化水素ガスの水に対
する最大溶存量は1m3あたり12gであって、この水1
m3中の硫化水素(H2 S)を硫黄粒(S0)に酸化するの
に必要な酸素量は5.6 gであり、水温20°C のとき酸
素を飽和状態まで含んだ飽和酸素水が0.64m3だけ必要と
なる。同様にして、硫黄粒(S0)を硫酸(H2 SO4)
に酸化するのに必要な飽和酸素水は2.46m3である。従っ
て、図3に示されるように、硫化水素を硫酸にまで酸化
するのに必要な飽和酸素水は、3.10m3となる。水中に必
要な酸素量は、この硫化水素の酸化に必要な量の他に、
水中生物が消費する量が必要となる。このことから、硫
化水素を溶存している水中に生物が生息するには、多量
の酸素が必要となることがわかる。
する最大溶存量は1m3あたり12gであって、この水1
m3中の硫化水素(H2 S)を硫黄粒(S0)に酸化するの
に必要な酸素量は5.6 gであり、水温20°C のとき酸
素を飽和状態まで含んだ飽和酸素水が0.64m3だけ必要と
なる。同様にして、硫黄粒(S0)を硫酸(H2 SO4)
に酸化するのに必要な飽和酸素水は2.46m3である。従っ
て、図3に示されるように、硫化水素を硫酸にまで酸化
するのに必要な飽和酸素水は、3.10m3となる。水中に必
要な酸素量は、この硫化水素の酸化に必要な量の他に、
水中生物が消費する量が必要となる。このことから、硫
化水素を溶存している水中に生物が生息するには、多量
の酸素が必要となることがわかる。
【0015】これらのことから、本発明者は、水中に溶
存している硫化水素は、その酸化のために大量の溶存酸
素を消費するので、この硫化水素から硫黄を除去或いは
削減すれば、硫化水素溶存レベルの水圏の改善が図られ
るとの知見を得た。即ち、硫化水素が飽和レベルに達し
ている水圏では、富栄養化が進んで底部或いは上層部ま
で嫌気条件下にあると考えられ、このような条件下にお
いて、酸素が供給されると水中に溶解していた硫化水素
がコロイド状の硫黄粒子となり、更に酸素の供給が続く
と、硫酸根にまで酸化されて水中に溶解してゆく。この
反応は、可逆的で酸素供給が断たれたり、水中の酸素が
消費されると、再び嫌気条件となって、硫酸根は硫酸還
元菌の働きで硫化水素に変化してゆく。このように、硫
黄の動態変化に伴う酸素消費量が大きいので、この硫黄
を水圏から除去することにより、水圏の改善が図られ
る。
存している硫化水素は、その酸化のために大量の溶存酸
素を消費するので、この硫化水素から硫黄を除去或いは
削減すれば、硫化水素溶存レベルの水圏の改善が図られ
るとの知見を得た。即ち、硫化水素が飽和レベルに達し
ている水圏では、富栄養化が進んで底部或いは上層部ま
で嫌気条件下にあると考えられ、このような条件下にお
いて、酸素が供給されると水中に溶解していた硫化水素
がコロイド状の硫黄粒子となり、更に酸素の供給が続く
と、硫酸根にまで酸化されて水中に溶解してゆく。この
反応は、可逆的で酸素供給が断たれたり、水中の酸素が
消費されると、再び嫌気条件となって、硫酸根は硫酸還
元菌の働きで硫化水素に変化してゆく。このように、硫
黄の動態変化に伴う酸素消費量が大きいので、この硫黄
を水圏から除去することにより、水圏の改善が図られ
る。
【0016】ここで、紅色或いは緑色硫黄細菌の関与す
る光合成反応は知られており、[化2]にその化学式が
示されている。
る光合成反応は知られており、[化2]にその化学式が
示されている。
【0017】
【化2】
【0018】また、この硫黄細菌の光合成作用の結果、
自然に析出して層状に集積した硫黄を湖成層から採掘生
産していることは知られている。しかし、この方法で
は、硫化水素を溶存している湖沼から硫黄を採取するこ
とをその目的としていて、水中に存している析出された
硫黄は、嫌気条件となった場合には、再度硫化水素に変
化されることがあり、硫化水素を溶存する水圏の改善の
面からは効率的な手法とは言えない。
自然に析出して層状に集積した硫黄を湖成層から採掘生
産していることは知られている。しかし、この方法で
は、硫化水素を溶存している湖沼から硫黄を採取するこ
とをその目的としていて、水中に存している析出された
硫黄は、嫌気条件となった場合には、再度硫化水素に変
化されることがあり、硫化水素を溶存する水圏の改善の
面からは効率的な手法とは言えない。
【0019】図1の概念図に示されるように、本発明に
おいては、硫化水素を溶存している水圏の水1’をポン
プP3 によって脱硫黄槽7に供給し、この脱硫黄槽7の
部分にて、上記した硫黄細菌の作用によって光合成を行
わせて、溶存されている硫黄を析出させて、硫黄粒子と
して回収するものである。光合成の作用を効果的にする
ために、集光板8によって太陽光を高効率にて集光し
て、光ケーブル9によって脱硫黄槽7の部分に導き、光
合成硫黄細菌を用いて含硫化水素水から硫黄粒子を効率
よく除去回収するものである。そして、硫黄粒子が回収
された脱硫黄槽7の処理水は、前記した浮遊物捕捉槽6
を介して元の水圏に放流させる。この方法によれば、硫
化水素を溶存する水圏から、その上澄水を脱硫黄槽7に
取り出して、この部分において、光合成硫黄細菌の作用
により含硫化水素水から硫黄を析出させているので、析
出された硫黄が還元作用により硫化水素となって水圏に
戻されることはない。
おいては、硫化水素を溶存している水圏の水1’をポン
プP3 によって脱硫黄槽7に供給し、この脱硫黄槽7の
部分にて、上記した硫黄細菌の作用によって光合成を行
わせて、溶存されている硫黄を析出させて、硫黄粒子と
して回収するものである。光合成の作用を効果的にする
ために、集光板8によって太陽光を高効率にて集光し
て、光ケーブル9によって脱硫黄槽7の部分に導き、光
合成硫黄細菌を用いて含硫化水素水から硫黄粒子を効率
よく除去回収するものである。そして、硫黄粒子が回収
された脱硫黄槽7の処理水は、前記した浮遊物捕捉槽6
を介して元の水圏に放流させる。この方法によれば、硫
化水素を溶存する水圏から、その上澄水を脱硫黄槽7に
取り出して、この部分において、光合成硫黄細菌の作用
により含硫化水素水から硫黄を析出させているので、析
出された硫黄が還元作用により硫化水素となって水圏に
戻されることはない。
【0020】
【発明の効果】本発明は、青潮が発生する程度の硫化水
素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,湖沼など水
圏の含硫化水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に導き、光
合成硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子
を析出させて回収する構成であるので、酸素消費量の多
い硫黄を硫化水素溶存レベルの水圏の水中から効率よく
除去回収できて、これを元の水圏に放流させることによ
り、硫化水素を溶存している水圏の環境を効率よく改善
できる。また、外部の脱硫黄槽の部分において、光合成
硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子を除
去回収する技術と、水圏の底泥を回分式活性汚泥法によ
って富酸素状態に改質して、この改質汚泥を元の水圏の
底泥の表面に覆土する技術とを併用させると、水圏の水
中においては酸素消費量の多い硫黄が除去されると共
に、その水圏の底泥も富酸素化されて、水圏のほぼ全域
に亘って、その環境を改善できる。
素が含まれる硫化水素溶存レベルの汽水域,湖沼など水
圏の含硫化水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に導き、光
合成硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子
を析出させて回収する構成であるので、酸素消費量の多
い硫黄を硫化水素溶存レベルの水圏の水中から効率よく
除去回収できて、これを元の水圏に放流させることによ
り、硫化水素を溶存している水圏の環境を効率よく改善
できる。また、外部の脱硫黄槽の部分において、光合成
硫黄細菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子を除
去回収する技術と、水圏の底泥を回分式活性汚泥法によ
って富酸素状態に改質して、この改質汚泥を元の水圏の
底泥の表面に覆土する技術とを併用させると、水圏の水
中においては酸素消費量の多い硫黄が除去されると共
に、その水圏の底泥も富酸素化されて、水圏のほぼ全域
に亘って、その環境を改善できる。
【図1】本発明に係る硫化水素溶存レベルの水圏の環境
改善方法の概念図である。
改善方法の概念図である。
【図2】回分式活性汚泥法の工程図である。
【図3】1m3 の水に最大に溶存している硫化水素の酸
化に要する飽和酸素水の量を示す図である。
化に要する飽和酸素水の量を示す図である。
【図4】青潮発生の機構を示す図である。
P1 〜P3 :ポンプ
1:上澄水
1’:水圏の水
2:改善底泥
2’:底泥
4:回分式底泥改善槽
7:脱硫黄槽
8:集光板
9:光ケーブル
Claims (3)
- 【請求項1】 青潮が発生する程度の硫化水素が含まれ
る硫化水素溶存レベルの汽水域,湖沼など水圏の含硫化
水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に導き、光合成硫黄細
菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子を析出させ
て回収することにより、硫黄の動態変化による酸素消費
を抑制して、遊離酸素のある好気的水圏環境を得やすく
することを特徴とする硫化水素溶存レベルの水圏の環境
改善方法。 - 【請求項2】 硫黄粒子が除去回収された水は、元の水
圏に返送することを特徴とする請求項1に記載の硫化水
素溶存レベルの水圏の環境改善方法。 - 【請求項3】 青潮が発生する程度の硫化水素が含まれ
る硫化水素溶存レベルの汽水域,湖沼など水圏の含硫化
水素水をポンプを用いて脱硫黄槽に導いて、光合成硫黄
細菌の作用によって含硫化水素水から硫黄粒子を析出さ
せて除去した水を元の水圏に返送すると同時に、前記水
圏の底泥を回分式活性汚泥法によって富酸素状態に改質
して、この改質汚泥を元の水圏の底泥の表面に覆土する
ことを特徴とする硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21266795A JP3425494B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | 硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21266795A JP3425494B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | 硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0938693A JPH0938693A (ja) | 1997-02-10 |
JP3425494B2 true JP3425494B2 (ja) | 2003-07-14 |
Family
ID=16626412
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21266795A Expired - Fee Related JP3425494B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | 硫化水素溶存レベルの水圏の環境改善方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3425494B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132416A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-06-12 | Stem:Kk | 人工水底窪地を原因とする青潮発生の抑制方法 |
-
1995
- 1995-07-28 JP JP21266795A patent/JP3425494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132416A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-06-12 | Stem:Kk | 人工水底窪地を原因とする青潮発生の抑制方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0938693A (ja) | 1997-02-10 |
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