JP5738499B1 - 水質改善装置及び水質改善方法 - Google Patents
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このような環境の改善方法としては、例えば塩素系の薬剤の散布、紫外線の照射により植物プランクトンや藻草類の細胞を破壊する方法、嫌気性・好気性微生物を活用する方法、マイクロバブルを供給する方法等の様々な技術が提案されてきた。
特許文献1〜3には、鉄材と炭材をバインダーで固めて形成した鉄イオン溶出体を水底に投入し、鉄イオン溶出体から溶出される鉄イオンを餌とする藻、魚介類、微生物等の水中生物を育成、又は増殖させることが開示されている。
特許文献4には、鉄材と炭材を収容した収容容器に振動を与えることで鉄材と炭材を互いに擦れ合わせて鉄イオンの溶出効率を高めることが開示されている。
<1>薬剤や紫外線により植物プランクトンや藻草類の細胞を破壊する方法は生態系に及ぼす悪影響が大きく、又、嫌気性・好気性微生物による方法は設備が大規模となる問題があり、又、マイクロバブルによる方法は水質の改善効果が出るまでに長時間を要するといった問題点がある。
<2>鉄イオン溶出体を使用する特許文献3,4に記載の技術は、微生物の増殖、活性化によるヘドロの分解効果が得られるものの、水中に浮遊する懸濁物質等を浄化することについては開示がなく、しかも水質改善の定量的メカニズムについても明らかにされていない。
<3>鉄イオン溶出体を水中で使用すると、鉄イオンを溶出する際に水中の酸素が使用されるため、多量に使用すると水域における溶存酸素濃度が低下して水生生物の生態環境に悪影響を及ぼす。
<4>鉄イオンの溶出に伴って鉄イオン溶出体の表面に酸化皮膜や凝集フロック等の付着物等が付着するために鉄イオンの溶出効率が低下し、長期間に亘り鉄イオンを安定して溶出することができない。
<5>実際の現場水域は自然界の多様な環境条件の影響下にある。そのため、環境改善を目的として単に鉄イオンを溶出しただけでは、鉄イオンに起因して、鉄バクテリアの増殖、溶存酸素の低減、酸化皮膜や凝集フロック等の付着物等による反応の阻害といった副次的課題が生じる。
上記した副次的課題が未解決であるため、これまでに提案された様々な水質の改善技術は、室内実験では成果があるものの、実際の現場では十分な水質改善効果を得ていないのが実情である。
このようなことから、実際の現場における水質浄化作用を有効に発揮できる技術の提案が切望されている。
本発明は、鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善装置であって、反応室と曝気室を有し、該反応室と曝気室の間が通水可能な処理槽と、前記反応室内の原水に浸水させたときに通水可能な容器と、該容器内に転動可能に収容した鉄イオン溶出体とよりなる単数又は複数の鉄イオン溶出装置と、取水ポンプで取水した原水を鉄イオン溶出装置を配置した反応室内へ供給する取水路と、前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段と、前記曝気室内に配置し、水中で曝気する曝気体と、曝気体へ送気するブロアからなる曝気手段と、を具備し、前記曝気体を鉄イオン溶出装置から離隔した曝気室内に配置し、前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段が、前記容器を振動させる振動手段、又は前記容器を回転させる回転手段であり、前記振動手段又は回転手段により鉄イオン溶出体を容器内で転動可能に構成したことを特徴とする。
本発明は、鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善装置であって、原水に浸水させたときに通水可能な容器と、該容器内に転動可能に収容した鉄イオン溶出体とよりなる単数又は複数の鉄イオン溶出装置と、取水ポンプで取水した原水を鉄イオン溶出装置へ向けて供給する取水路と、前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段と、水中で曝気する曝気体と、曝気体へ送気するブロアからなる曝気手段と、前記取水ポンプとブロアとを取着するフロートとを具備し、曝気が鉄イオン溶出体と直接接触しないように、前記鉄イオン溶出装置から離隔した位置に曝気体を配置し、前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段が、前記容器を振動させる振動手段、又は前記容器を回転させる回転手段であり、前記振動手段又は回転手段により鉄イオン溶出体を容器内で転動可能に構成したことを特徴とする。
本発明は、鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善方法であって、前記した何れかの水質改善装置を使用し、前記鉄イオン溶出装置を原水に浸水させて溶出した鉄イオンをリン酸イオンと反応させて溶解性のリンを低減する反応工程と、前記反応工程で溶存酸素濃度が低減した処理水を前記曝気手段で曝気する曝気工程と、前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段で鉄イオン溶出装置の付着物を除去する工程とを、繰り返し行うことを特徴とする。
さらに本発明では、鉄イオン溶出装置を加振又は回転させることで、鉄イオン溶出装置に付着した酸化皮膜や凝集フロック等の付着物等を除去し、好適な鉄イオン溶出性能を維持できるので、水質改善効果を長期間に亘って保証できる。
図1〜3を参照しながら本発明の水質改善装置について詳しく説明する。
図1に陸上に設置して使用する水質改善装置10の一例を示す。
本例の水質改善装置10は、処理槽20と、処理槽20内へ原水を取り込む取水ポンプP1と、処理槽20内の処理水を原水へ放水する排水ポンプP2と、処理槽20内へ加振可能に配置した単数又は複数の鉄イオン溶出装置30と、処理槽20内の前記鉄イオン溶出装置30から離隔した位置に配置した単数又は複数の曝気体40と、曝気管40へエアを送気するブロア41とを具備する。
尚、処理槽20内の処理水を自然流下させる場合もあるので、排水ポンプP2は必須ではない。
処理槽20は平面形状が矩形または円形を呈する容器であり、本例では隔壁21を介して2つの第1、第2槽20A,20Bを隣接させて構成する場合を示すが、処理槽20を構成する槽の数は1つ、又は3つ以上の槽を隣接させて構成してもよい。
下方を開放した垂下壁22は各槽20A,20Bをふたつに区画していて、垂下壁22を間に挟んでその両側に反応室23と曝気室24とを区画している。
反応室23と曝気室24は垂下壁22の下部空間を通じて水が移動可能である。
各第1、第2槽20A,20Bの両室23,24の間は垂下壁22の下部開口を通じて通水可能である。
隣り合う第1、第2貯槽20A,20Bの間は、隔壁21の一部に開設した透孔25を通じて通水可能である。
原水は取水ポンプP1とホース等の取水路26を通じて、右方の第1槽22の反応室23へ取水可能であり、処理槽20内の処理水は排水ポンプP2とホース等の排水路27を通じて、左方の第2槽20Bの曝気室24から水圏へ排水可能である。
第1、第2槽20A,20Bの内底面はすり鉢状に傾斜していて、その最底部には排泥ポンプP3とホース等の排泥路28を通じて、第1、第2槽20A,20B内の沈殿物を外部へ排出可能である。
尚、取水路26及び排泥路28の途中には、各路を開閉するバルブV1,V2が介装してある。
処理槽20の反応室23内に配置した鉄イオン溶出装置30は、鉄イオンを溶出して反応室23内の原水に溶存するリンや窒素を低減する。
図2に例示した鉄イオン溶出装置30について説明すると、鉄イオン溶出装置30は通水性を有する容器31と、容器31内に収容した公知の鉄イオン溶出体32からなり、吊材33を介して処理槽20の反応室23に垂下してある。
容器31は金網、有孔板等の通水可能な素材で形成し、その全体形状は筒体、立方体の何れでもよく、形状的な制約は特にない。又、容器31にはネット状の袋体も含む。
鉄イオン溶出装置30を交換可能なカートリッジ式に構成すると、鉄イオン溶出体32の溶出性能が低下した際に簡単に交換することができる。
鉄イオン溶出体32は鉄材と炭素材を接触させ水に浸漬させることで二価鉄イオン(Fe2+)を溶出させる公知の鉄イオン溶出体である。
鉄イオン溶出装置30は加振手段を具備していて、鉄イオン溶出装置30を加振することで内部に収容した鉄イオン溶出体32同士を擦れ合わせて、容器31や鉄イオン溶出体32の表面に付着した酸化皮膜や凝集フロック等の付着物を除去することができる。
吊材33を省略し、起振機34の振動を鉄イオン溶出装置30へ直接伝えて加振するようにしてもよい。
このように他の機器の振動を利用して鉄イオン溶出装置30を加振するように構成すれば専用の起振機34は不要となる。
又、鉄イオン溶出装置30の他の加振手段として、超音波振動機を適用することも可能である。
曝気室24に配備した曝気手段は、曝気体40とブロア41とにより構成する。
本例ではブロア41を一台で共有させて形態を示すが、曝気体40毎にブロア41を設けてもよい。
曝気体40は曝気室24内の水中で酸素を放出することで水中の酸素濃度を高めるために機能する。
後述するように、反応室23内で二価鉄イオンが水酸化第二鉄となりリン酸イオンと化学的吸着をする際に水中の酸素が消費されるために水中の溶存酸素量が低減する。
したがって、曝気室24内で曝気して溶存酸素濃度を高めて上記反応の促進をさせるようにしたものである。
溶存酸素量が低減したまま原水へ戻すと、生態環境に大きな悪影響を及ぼす。
そこで、原水へ戻す前に曝気して溶存酸素濃度を高める上記の処理は、生態環境に及ぼす影響を防止する効果も発揮する。
本例では鉄イオン溶出装置30から離れた位置で曝気するようにした。
仮に鉄イオン溶出装置30を配置した反応室23内で曝気すると、曝気が鉄イオン溶出体32に直接触れて、鉄イオン溶出体32の表面に酸化皮膜を生じて鉄イオンの溶出能力が極端に低下する。
鉄イオン溶出体32への酸化皮膜の形成を抑制するために、垂下壁22を間に介在させて反応室23から隔絶した曝気室24内で曝気するようにした。
図3を参照して水質改善装置10を用いた水質の改善方法について説明する。
取水ポンプP1と取水路26を通じて、第1貯槽20Aの反応室23内へ原水を揚水する。
反応室23内において、原水に含まれる土粒子等の各種不純物が自重により第1貯槽20Aの底部へ沈降する。
反応室23内に配置した鉄イオン溶出装置30が水に漬かることで、鉄イオン溶出体32から鉄イオン(二価鉄イオン(Fe2+))を溶出する。溶出した鉄イオンは水中のリン酸イオンと化学的吸着をすることで溶解性のリンが除去される。
この反応により生成された化学的吸着体は第1貯槽20Aの底部へ沈降する。
時間の経過に伴い、反応室23内に取り込んだ原水中の溶解性リンの濃度が低下するとともに、懸濁物質の凝集効果により水の透明度が上昇する。
湖沼等には懸濁物質や鉄バクテリア等が多く含まれるため、鉄イオンの溶出により鉄バクテリアが増殖し、凝集物が装置に付着することでリンの低減効果を発揮させる上で阻害する状況が生じる。
鉄イオンの溶出は溶解性リンの低減と懸濁物質の凝集沈殿の二つの作用がある。
問題は後者の作用が鉄イオン溶出体32や容器31の表面に付着して懸濁物質の被膜をつくり、処理をしようとする原水との反応を阻害することである。
更に、鉄イオン溶出体32が浄化処理する過程において、周囲の酸素と反応してその表面に鉄イオンの溶出を阻害する酸化皮膜を形成する。
そのため、鉄イオン溶出体32による良好な鉄イオン溶出性能を長期間に亘って維持することができる。
又、容器31に付着した凝集フロック等の付着物も併せて除去されるので、容器31の良好な通水性が保たれる。
反応室23内において、二価鉄イオンがリン酸イオンと反応して水酸化第二鉄となる。
反応室23内の原水は、リン酸イオンを化学的に吸着する際に酸素が消費されて水中の溶存酸素濃度が低減したまま、垂下壁22の下方を通過して曝気室24へ流入する。
曝気室24内においては、曝気体40とブロア41とにより曝気されているため、曝気室24内に流入した水の溶存酸素濃度が高くなる。
曝気室24内で曝気することで水中の不純物が沈降して水の透明度が更に増す。
更に、曝気に伴い水中の亜硝酸菌、又は硝酸菌が増殖活性化され、これらの菌が水中の溶存窒素を非可逆的に分解消化することで溶存窒素量が低減する。
鉄イオン溶出装置30の加振によって除去された酸化皮膜や付着物等が沈降する。
又、鉄イオン溶出体32から溶出された鉄イオン(陽イオン)が陰イオンで帯電した懸濁物質や植物プランクトン等を電気的に中和して凝集させ、凝集フロックとなって沈降する。
これらの沈降物は凝集沈殿泥土となって第1槽20Aの底部に堆積する。
しかし、曝気により第1槽20A内が酸化条件となっていることから、リンの再溶出を抑制できるが、第1槽20Aの底部に連通した排泥路28を通じて、堆積した凝集沈殿泥土を外部へ排出することで沈殿したリンの再溶出を確実に防止することができる。
回収した凝集沈殿泥土は栄養塩を多く含むことから肥料として活用することもできる。
処理槽20に振動を与えるには、処理槽20に搭載した起振機34やブロア41の振動を利用することの他に、処理槽20に専用の起振機を取り付ければよい。
第1槽20A内で上水と曝気された処理水は、図1に示すように隔壁21の透孔25を通じて第2槽20Bの反応室23へ流入する。
第2槽20Bにおいても、第1槽20Aと同様に反応室23内において鉄イオン溶出装置30による浄水処理を行った後に、曝気室24内において曝気処理を行い、水中の不純物を更に取り除き、溶存酸素量を増やす。
最終的に水質改善装置10で処理した処理水は、排水ポンプP2と排水路27を通じて元の水圏へ戻す。
水質改善装置10と水圏の間で水を循環させながら原水の水質を徐々に改善していく。
鉄イオン(二価鉄イオンFe2+)を水中に溶出するとリン(全リンT−P)が低減されるという考え方があるが、アオコ等の増殖は溶解性リン(D−T−P)に起因するものであり、不溶性のリン(アオコ等に吸収されたリン)を下げるものではない。
本発明は、アオコ等が栄養源とする溶解性リンを鉄イオンで固定して先取りする(水域の溶解性リンの濃度低減)ことによってアオコ等が増殖し難い環境に改質させるものである。
したがって、水質改善前の原水がリン等を多量に溶存する富栄養であっても、曝気することで溶存酸素量を低減させることなく、原水中のリンや窒素等の栄養塩を効果的に取り除いて正常な栄養状態に整えることができる。
又、水中の酸素濃度が低減して還元側の雰囲気となると、水酸化鉄と溶解性リンが化学的吸着により沈殿するが、水質改善装置10で処理することで、溶存酸素濃度が高まるので、水酸化鉄と溶解性リンの化学的吸着現象を促進させることも可能となる。
上記したように植物プランクトンや藻草類の栄養源であるリン成分が徐々に低減されるので、アオコやヒシ等の植物プランクトンや藻草類が大量に発生している水域であっても、安全に植物プランクトンや藻草類の成長を抑え、早期に衰退させることができる。
更にCOD(化学的酸素要求量)、T−N(全窒素)、T−P(全リン)等を調整して、魚類等の生息に適した良好な生息環境を提供できる。
したがって、最終的に、富栄養化した水域において景観性の問題だけでなく、悪臭、利水、ヘドロ化といった環境問題を解消することができる。
水質改善装置10を適用可能な水域は、池沼、ダム湖、濠等の静水域に限定されず、河川や水路等の流水域への適用も可能である。
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図4に浮体式の水質改善装置10の一例を示す。
本例の水質改善装置10は、原水を取り込む取水ポンプP1と、取水ポンプP1の吐出側に接続した硬質塩ビ管又は鋼管製の取水路26と、取水路26の終端に接続し、内部に鉄イオン溶出体32を収容した単数又は複数の鉄イオン溶出装置30と、鉄イオン溶出装置30から離隔した位置に配置した単数又は複数の曝気体40と、曝気管40へエアを送気するブロア41と、これらの機材を支持するフロート50とを具備する。
本例の水質改善装置10が先の実施例1と異なる点は、鉄イオン溶出装置30と曝気手段(曝気体40とブロア41)を陸上に据え付けるのではなく、フロート50に取り付けたことである。
尚、取水ポンプP1やブロア41の電源としては、陸上側からケーブル送電することの他に、フロート50上に太陽光発電設備や蓄電池等を搭載して給電することも可能である。
フロート50は浮力体であり、その上面にブロア41を搭載し、その下面には取水ポンプP1を取着している。取水路26はフロート50に垂下してある。
取水路26の終端に接続した鉄イオン溶出装置30は、通水性の容器31と、容器31内に収容した鉄イオン溶出体32からなり、取水ポンプP1及び取水路26を通じて取り込んだ原水が通水可能である。
鉄イオン溶出装置30は取水ポンプP1、又はブロア41のモータの振動を活用して加振可能である。
フロート50の上面に搭載したブロア41と、水中で曝気する曝気体40とにより曝気手段を構成する。
本例では曝気体40を複数の鉄イオン溶出装置30,30の中間位置に配置した形態を示すが、曝気体40の配置位置はこの形態に限定されず、鉄イオン溶出装置30の外方に位置させてもよい。
本例の水質改善装置10を用いた水質の改善方法について説明するが、基本的な作用は先の実施例1と同様であるので詳しい説明を省略する。
取水ポンプP1で取り込んだ原水は、取水路26を通じて鉄イオン溶出装置30へ送水される。
鉄イオン溶出装置30へ到達した原水は、容器31内の鉄イオン溶出体32の粒子間を通過する際に、鉄イオン溶出体32から溶出した鉄イオン(二価鉄イオン(Fe2+))が水中のリン酸イオンと反応して化学的吸着体を生成し、この反応によって原水中の溶解性リンが取り除かれる。
鉄イオン溶出装置30を通水して処理された処理水は鉄イオン溶出装置30の下端から排水されて水圏へ戻される。
鉄イオン溶出装置30の周囲に滞留する処理水は既述した反応により溶存酸素濃度が低減しているが、曝気体40により曝気されることで溶存酸素濃度が高くなり、貧酸素状態となることを回避できる。
水質改善装置10は上記した鉄イオンの溶出と曝気を継続的に行うことで、水質改善装置10を浮遊させた周辺水域の水質が徐々に改善されていく。
本例の浮遊式の水質改善装置10にあっては、先の実施例1と同様の効果が得られることにくわえ、陸上で揚水する場合と比べて浮遊式であるため取水位置に制限がなく、岸から離れた沖合の任意の位置で水質改善が行えるといった利点がある。
また図1で示した処理槽20が不要となるので、装置コストを低減できるといった経済的な利点もある。
先の実施例は鉄イオン溶出装置30に付着した酸化皮膜や凝集フロック等の除去手段が、鉄イオン溶出装置30の加振手段である場合について説明した。
図5,6を用いて、他の除去手段について説明する。
図5は縦置き又は横置きした鉄イオン溶出装置30の横断面を示したもので、通水性の容器31はその内部に鉄イオン溶出体32を収容している。
本例は鉄イオン溶出装置30が容器31の回転手段35を更に具備していて、この回転手段35を稼動させて容器31を一方向、又は正逆両方向へ回転させて鉄イオン溶出体32と容器32の付着物を除去するものである。
鉄イオン溶出体32の収容量は、回転中の容器31内で鉄イオン溶出体32が良好に転動し得るように容器31のサイズ等を考慮して適宜選択する。
更に容器31内で鉄イオン溶出体32が転動することで、容器31の内周面に付着した付着物も同時に除去される。
尚、鉄イオン溶出装置30の回転手段35としては、ベルト伝達機構や歯車伝達機構等を適宜組み合せた公知の回転手段を適用できる。
図6は縦置き又は横置きした一対の鉄イオン溶出装置30,30の横断面を示したものである。
本例では鉄イオン溶出装置30が回転手段35と、払拭体36を更に具備していて、この回転手段35を稼動させて容器31を回転させることで、容器31の内外周面に付着した付着物の除去と、鉄イオン溶出体32の付着物の除去を行うものである。
本例では、払拭体36としてブラシ状物を例示するが、払拭体36はその他に耐摩耗性に優れた金属、石、樹脂、板等の硬質材、或いは繊維、スポンジ等の軟質材で形成してもよい。
本例では払拭体36を共有させた形態について示すが、鉄イオン溶出装置30毎に単数又は複数の払拭体36を設けてもよい。
20・・・・・処理槽
20A・・・・第1槽
20B・・・・第2槽
21・・・・・隔壁
22・・・・・垂下壁
23・・・・・反応室
24・・・・・曝気室
25・・・・・透孔
26・・・・・取水路
27・・・・・排水路
28・・・・・排泥路
30・・・・・鉄イオン溶出装置
31・・・・・容器
32・・・・・鉄イオン溶出体
33・・・・・吊材
34・・・・・起振機
35・・・・・回転手段
36・・・・・払拭体
40・・・・・曝気体
41・・・・・ブロア
50・・・・・フロート
P1・・・・・取水ポンプ
P2・・・・・排水ポンプ
P3・・・・・排泥ポンプ
V1,V2・・・・バルブ
Claims (4)
- 鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善装置であって、
原水に浸水させたときに通水可能な容器と、該容器内に転動可能に収容した鉄イオン溶出体とよりなる単数又は複数の鉄イオン溶出装置と、
取水ポンプで取水した原水を鉄イオン溶出装置へ向けて供給する取水路と、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段と、
水中で曝気する曝気体と、曝気体へ送気するブロアからなる曝気手段と、を具備し、
曝気が鉄イオン溶出体と直接接触しないように、前記鉄イオン溶出装置から離隔した位置に曝気体を配置し、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段が、前記容器を振動させる振動手段、又は前記容器を回転させる回転手段であり、前記振動手段又は回転手段により鉄イオン溶出体を容器内で転動可能に構成したことを特徴とする、
水質改善装置。 - 鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善装置であって、
反応室と曝気室を有し、該反応室と曝気室の間が通水可能な処理槽と、
前記反応室内の原水に浸水させたときに通水可能な容器と、該容器内に転動可能に収容した鉄イオン溶出体とよりなる単数又は複数の鉄イオン溶出装置と、
取水ポンプで取水した原水を鉄イオン溶出装置を配置した反応室内へ供給する取水路と、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段と、
前記曝気室内に配置し、水中で曝気する曝気体と、曝気体へ送気するブロアからなる曝気手段と、を具備し、
前記曝気体を鉄イオン溶出装置から離隔した曝気室内に配置し、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段が、前記容器を振動させる振動手段、又は前記容器を回転させる回転手段であり、前記振動手段又は回転手段により鉄イオン溶出体を容器内で転動可能に構成したことを特徴とする、
水質改善装置。 - 鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善装置であって、
原水に浸水させたときに通水可能な容器と、該容器内に転動可能に収容した鉄イオン溶出体とよりなる単数又は複数の鉄イオン溶出装置と、
取水ポンプで取水した原水を鉄イオン溶出装置へ向けて供給する取水路と、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段と、
水中で曝気する曝気体と、曝気体へ送気するブロアからなる曝気手段と、
前記取水ポンプとブロアとを取着するフロートとを具備し、
曝気が鉄イオン溶出体と直接接触しないように、前記鉄イオン溶出装置から離隔した位置に曝気体を配置し、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段が、前記容器を振動させる振動手段、又は前記容器を回転させる回転手段であり、前記振動手段又は回転手段により鉄イオン溶出体を容器内で転動可能に構成したことを特徴とする、
水質改善装置。 - 鉄イオンと曝気により原水を処理する水質改善方法であって、
前記請求項1乃至3の何れか一項に記載の水質改善装置を使用し、
前記鉄イオン溶出装置を原水に浸水させて溶出した鉄イオンをリン酸イオンと反応させて溶解性のリンを低減する反応工程と、
前記反応工程で溶存酸素濃度が低減した処理水を前記曝気手段で曝気する曝気工程と、
前記鉄イオン溶出装置の付着物を除去する手段で鉄イオン溶出装置の付着物を除去する工程とを、繰り返し行うことを特徴とする、
水質改善方法。
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