JP3424033B2 - 生体液成分吸着抑制材料及びその材料からなる生体液取扱い用具 - Google Patents

生体液成分吸着抑制材料及びその材料からなる生体液取扱い用具

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JP3424033B2
JP3424033B2 JP07884693A JP7884693A JP3424033B2 JP 3424033 B2 JP3424033 B2 JP 3424033B2 JP 07884693 A JP07884693 A JP 07884693A JP 7884693 A JP7884693 A JP 7884693A JP 3424033 B2 JP3424033 B2 JP 3424033B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも表面が高分
子電解質錯体からなるグロブリン又はアルブミン吸着抑
制用の材料(好ましくは、生体液の分析用取扱い用具用
の材料)、及びそのグロブリン又はアルブミン吸着抑制
用の材料からなる生体液取扱い用具に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野において、正確な疾病診断や治
療効果の指標を得るために、血液や尿等の生体液を材料
とすることは日常的に行われている。生体液中に含まれ
る指標成分は多岐に渡っており、ある成分の量は極めて
微量(ng/ml〜μg/ml単位)な場合があり、こ
れらを精度良く測定することは重要なことで、測定技術
の開発や分析機器の発展とともに、年々高精度化が進ん
でいる。一方、医療分野以外でも各種成分の生理活性機
能を解明する研究も進んでおり、生体液中の微量成分を
正確に分析することが要求されている。
【0003】これら生体液は、適当な手段(例えば採血
等)によって生体より採取され、保管される。そして、
分析に供される際には、適当な用具に移され、必要に応
じて抽出操作、濾過・精製操作、希釈操作等の処理工程
に付される。また、このような生体液は重要な材料とし
て、適当な容器(例えばガラス容器やポリマーチューブ
等)中で長期間に渡って保存されることも多い。
【0004】しかし、生体液はその由来や種類によって
性状、粘性等の物性、そこに含まれる構成成分等に大き
な差があり多様であり、また、指標となる生体液中の成
分含量が微量の場合もある。そのためしばしば本来目的
とする成分の測定結果が異常値(特に低値)を示した
り、保存検体の場合、初期値と比較して大幅に低減化す
る等の問題が生じている。例えば、糖尿病性腎症の指標
の一つとして用いられている尿中マイクロアルブミンの
測定に−20℃で保存した尿検体を用いた場合、検体の
保存期間が長ければ長いほど測定値が低くなることが、
L.D.Elving et al.(Clin.Ch
em.35.308:1989)や、I.Osberg
et al.(Clin.Chem.36.142
8:1990)により報告されている。これらの原因と
しては、測定系における不充分な条件設定や、保存中の
成分分解等が考えられ、それらの欠点を改善する方法が
従来から多く検討され、実際にかなり改善されてきてい
る。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】しかし、上述のような問題点は全てが解消
されているわけではなく、その他の要因として、生体液
を取扱う用具の材質という点が挙げられる。例えば、生
体液の各種容器や光学的測定用セルなどの取扱い用具の
材料としては、従来、エチレン系やビニル系等の合成高
分子類あるいはガラスが主に汎用されてきた。これらの
材料の表面特性は、その種類によって表面官能基の種類
や量、親和性、電荷等に大きな差がある。このような材
料が有する物性に呼応して、生体液に含まれる成分の中
には材料表面に吸着されてしまい、最終的な測定値に大
きな誤差を与えてしまうものがある。特に、生体液に含
まれるアルブミンやグロブリンに代表されるタンパク質
は、疾病の診断指標や生理活性機能の解明において重要
な成分であると共に、こうした影響を受けやすい成分で
もある。
【0006】従来、このような影響を除去ないし軽減す
る手段として、材料表面を処理して不活性化することが
行われてきた。例えば、材料表面をシリコーンによって
処理する方法、予め材料表面にアルブミンを吸着させて
おく方法、あるいは生体液を希釈する溶液中にアルブミ
ンを共存させておく方法、プラズマ処理等で材料表面に
親水性を付与する方法等の対策が施されていた。しか
し、材料表面を化学的に処理する方法は、操作が煩雑で
ある。また、アルブミンを用いる方法では、アルブミン
が大量に必要となるだけでなく、使用するアルブミンロ
ット差等により効果が不確定であることや、材料表面に
予めアルブミンを吸着させておいても、他のタンパク質
による吸着置換が起きること(Y.Tamada et
al.,Makromol.Chem.,Supp
l.,9.85:1985)、更には、アルブミン自体
が吸着や反応系等に関与してしまう場合もある等、問題
点も多い。そこで、本発明者は、タンパク質を取扱う際
に使用される用具への吸着自体を抑制し、より正確なデ
ーターが得られるような素材とそれを用いた用具を提供
することを目的とし、鋭意検討の結果、意外にも、高分
子電解質錯体には、タンパク質の吸着を抑制する作用が
あることを見出した。本発明はこうした知見に基づくも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って、本発明はアミン
化合物のポリマー、第4級アンモニウム化合物のポリマ
ー、塩基性アミノ酸のポリマー及びカチオン性多糖類か
らなる群から選択された、繰り返し単位中にN+ 原子を
含有するカチオン性高分子電解質と、アニオン性多糖
類、酸性アミノ酸ポリマー、スルホン酸系ポリマー及び
アクリル酸系ポリマーからなる群から選択された、繰り
返し単位中に−COO- 基、−SO3 - 基、−PO3
- 基又は−PO3 2- 基を含有するアニオン性高分子電解
質とを反応させることによって得られる高分子電解質錯
体により、少なくとも表面が形成されていることを特徴
とする、グロブリン又はアルブミン吸着抑制用の材料に
関する。また、本発明は、少なくとも生体液を含む流体
と接触する部位が、前記のグロブリン又はアルブミン
着抑制用の材料からなることを特徴とする、生体液の分
析用取扱い用具にも関する。以下、本発明を詳述する。
【0008】本発明に用いられる高分子電解質錯体(p
olyelectrolyte complex:以
下、PECともいう)は、それ自体公知の物質である。
PECは正荷電を有する高分子電解質であるカチオンポ
リマーの溶液と負荷電を有する高分子電解質であるアニ
オンポリマーの溶液とを混合することにより瞬時に形成
することができる。こうして得られたPECは、特殊な
3元系溶媒(例えば、特定の組成からなる、水/アセト
ン/低分子塩)には溶解するが、一般的な溶媒には不溶
性である。PECは、出発ポリマー(高分子電解質)の
種類、それらの混合比、調製条件などにより、多様な性
質を有する各種の高分子電解質錯体を提供することがで
きる。
【0009】本発明で用いられるカチオンポリマーは、
繰り返し単位中にN+ 原子を含有する高分子電解質であ
り、具体的には
【0010】(a1)一般式(I)
【化1】
【化2】 で表されるカチオンポリマー、即ち4級アンモニウム塩
ポリマー、
【0011】(a2)一般式(II)
【化3】
【化4】 で表されるカチオンポリマー、即ち4級アンモニウム塩
ポリマー、
【0012】(a3)一般式(III)
【化5】 で表されるカチオンポリマー、即ち塩基性アミノ酸ポリ
マー、及び
【0013】(a4)カチオン性多糖類からなる群から
選択された少なくとも1種の化合物である。
【0014】本発明で用いられるアニオンポリマーは、
繰り返し単位中に−COO- 基、−SO3 - 基、−PO
3- 基又は−PO3 2- 基を含有する高分子電解質で
あり、具体的には
【0015】(b1)一般式(IV)
【化6】 で表されるアニオンポリマー、即ち酸性アミノ酸ポリマ
ー、
【0016】(b2)一般式(V)
【化7】 で表されるアニオンポリマー、即ちアクリル酸系ポリマ
ー、及び(b3)アニオン性多糖類からなる群から選択
された少なくとも1種の化合物である。
【0017】前記一般式(I)のカチオンポリマー(a
1)の具体例を挙げれば、第4級ポリエチレンイミンク
ロライド、ポリ(N,N,N’,N’−テトラメチル−
アルキレン−p−キシリレンジアンモニウムクロライ
ド)、ポリ(N,N,N’,N’−テトラメチル−アル
キレン−ジアンモニウムジクロライド)、ポリ(N,
ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロ
ライド)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオ
キシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポ
リ(2−メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド)、ポリ(グリシジルトリメチルアンモ
ニウムクロライド)、ポリ〔(ジメチルイミニオ)エチ
レン(ジメチルイミニオ)メチレン−1,4−フェニレ
ンメチレンジクロライド〕〔一般に、2Xと称され
る〕、ポリ〔(ジメチルイニオ)ヘキサメチレン(ジ
メチルイミニオ)メチレン−1,4−フェニレンメチレ
ンジクロライド〕〔一般に、6Xと称される〕、ポリ
〔(ジメチルイミニオ)ヘキサメチレンクロライド〕
〔一般に、6,6と称される〕、ポリ(N−エチル−4
−ビニルピリジニウムブロマイド)、ポリ(ジメチルジ
アリルアンモニウムクロライド)等である。
【0018】前記一般式(II)のカチオンポリマー(a
2)の具体例を挙げれば、ポリ(ビニルベンジルトリメ
チルアンモニウムクロライド)、ポリビニルピリジウム
クロライド、ポリ(N−ベンジル−4−ビニルピリジウ
ムクロライド)等である。前記一般式(III)のカチオン
ポリマー(a3)の具体例を挙げれば、ポリリジン、ポ
リアルギニン又はこれらポリマーを構成する単量体のコ
ポリマー、更に、これら単量体とグリシン、アラニン、
フェニルアラニン、チロシン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイ
ン、ヒスチジン、プロリン、及び/又はトリプトファン
などとのコポリマーである。カチオン性多糖類(a4)
の具体例としては、WO92/09198号公報に記載
されているように、キトサン及びその誘導体、並びに中
性多糖類のジエチルアミノエチル誘導体を挙げることが
できる。中性多糖類としては、デキストラン、セルロー
ス、マンナン、スターチ又はアガロース等を挙げること
ができる。これら誘導体のジエチルアミノエチル置換度
は、糖残基1個当たり0.5〜2.0基、好ましくは
0.7〜1.5基であり、重合度は、50〜500、好
ましくは100〜1000である。なお、ジエチルアミ
ノエチル基の窒素原子とアニオンポリマーのアニオン基
とが結合する。
【0019】前記一般式(IV)のアニオンポリマー(b
1)の具体例を挙げれば、ポリグルタミン酸、ポリアス
パラギン酸又はこれらポリマーを構成する単量体のコポ
リマー、更に、これら単量体とグリシン、アラニン、フ
ェニルアラニン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロ
イシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイ
ン、ヒスチジン、プロリン、及び/又はトリプトファン
などとのコポリマーである。なお、一般式(III)及び
(IV)で示されるポリアミノ酸は、一般的な酸無水物モ
ノマー法、活性エステル化法、メリーフィールド法等に
よって合成することができる。
【0020】前記一般式(V)のアニオンポリマー(b
2)の具体例を挙げれば、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリイタコン酸モノエステル、ポリマレイン酸
モノエステル、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンス
ルホン酸、これらポリマーを構成する単量体のいずれか
2種以上のコポリマー、更に、これら単量体とその単量
体のカルボキシル基にエステル結合によって結合した炭
素数4〜20個のアルキル基を有するカルボン酸誘導体
とのコポリマーである。アニオン性多糖類(b3)の具
体例としては、例えば、WO92/09198号公報に
記載されているようなセルロース、キチン、アルギン
酸、ヒアルロン酸等及びその塩が挙げられる。
【0021】これらのカチオン性高分子電解質とアニオ
ン性高分子電解質とを通常の方法で反応させることによ
って容易にPECを調製することができる。即ち、前記
のカチオンポリマー及びアニオンポリマーの各水溶液
(好ましくは、イオン席として10-5モル/リットル〜
10-2モル/リットル)を、カチオンポリマーのカチオ
ン席とアニオンポリマーのアニオン席との濃度比(カチ
オン席/アニオン席)が0.25〜4.0の範囲内、好
ましくは0.4〜2.5の範囲内で、水溶液中で混合し
て反応させれば良い。カチオン席とアニオン席の濃度比
が0.25〜4.0の範囲外になると、PECが形成さ
れ難くなるので好ましくない。各ポリマーを溶解する溶
媒としては、精製水や各種緩衝液(例えばリン酸緩衝液
等)、あるいはそれらと水混和性有機溶媒(例えばメタ
ノール、エタノール、アセトン等)との混合液を用いる
ことができる。この反応は比較的活性が高いので、溶液
のpH、イオン強度、温度などは比較的広い範囲である
ことができるが、一般的にはpH3〜9、イオン強度0
〜1.0及び20〜60℃で実施する。
【0022】本発明においては、カチオンポリマーとア
ニオンポリマーとの各種の組合せを広く自由に選択する
ことができ、更に、カチオンポリマーとアニオンポリマ
ーの配合比を変化させることにより、生成するPECの
荷電バランスを容易に変更し、調整することができる。
即ち、種々の荷電バランスを有するPECを用いること
により、タンパク質吸着抑制用の材料の表面電荷を調整
し、その使用条件に従って至適の組合せと表面特性を適
宜選択することが可能となる。本発明で用いるPECの
荷電バランスは、−6〜+6の範囲で選択することがで
きる。ここで、荷電バランスとは、PECの荷電状態
を、その出発原料であるカチオンポリマー及びアニオン
ポリマーの、各々のカチオン席及びアニオン席の濃度比
で表現するものである。例えば、使用するカチオンポリ
マーのカチオン席及びアニオンポリマーのアニオン席の
濃度比が等しい場合は、生成するPECの荷電バランス
は±0となる。濃度比がこれより大きければ(即ち、カ
チオン席の濃度の方が高ければ)荷電バランスはプラス
となり、小さければ(即ち、アニオン席の方が高けれ
ば)マイナスとなる。また、濃度比が1.5の場合は荷
電バランスは+2となり、濃度比が0.5の場合は荷電
バランスは−3.3となる。荷電バランスの調整は、等
濃度のカチオンポリマー溶液及びアニオンポリマー溶液
の混合量を変化させることによって容易に行うことがで
きる。
【0023】こうして得られるPECをそのまま直接使
用するか、生成したPECをフィルム、繊維又は板状等
に成形し、場合により用途に応じて加工して使用する
か、あるいは適当な基材(例えば、高分子材料又はガラ
ス)に被覆した形でタンパク質吸着抑制用の材料として
使用することができる。基材としては、無機材料、例え
ば、ガラス、金属、セラミックス若しくは石英;又は有
機材料、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
アクリル酸、ポリスチレン、ポリエステル、ポリイソプ
レン、ポリプロピレン若しくはポリアミド等の合成高分
子樹脂、綿若しくはパルプ等の天然高分子、キュプロフ
ァン若しくはレーヨン等の再生樹脂等を挙げることがで
きる。
【0024】本発明の生体液取扱い用具は、少なくとも
生体液と接触する部位を、前記のタンパク質吸着抑制
材料から構成する。ここで、生体液取扱い用具とは、
前記の生体液と接触する部位を有する任意の用具を意味
し、生体液の分析用取扱い用具、あるいは、尿、唾液、
髄液、細胞抽出物、及び組織抽出物、並びにそれらの処
理液からなる群から選んだ生体液の取扱い用具が含まれ
る。例えば、前記の生体液の採取、輸送又は保存に用い
る各種用具から、生体表面又は内部に装着して使用する
用具も含まれる。具体的には、生体液と接触する各種容
器、採血管、チューブ類、濾紙フィルター、ビーズ、プ
レート、フィルム、繊維、ピペット類、分析用セル、コ
ンタクトレンズ、バック類(輸液バック等)、注射器、
検査室用品、更には、人工血管等、生体内に埋め込む人
工臓器等である。
【0025】PECの調製時における溶液のpH、塩濃
度及び/又は水混和性有機溶媒の含有量等を変化させる
ことによって、生成PECの物性(例えば、硬度や弾
性)を自由に調整することが可能で、粒子状、板状、フ
ィルム状等の成型も容易に行えるので、PECそれ自体
から直接、前記の生体液取扱い用具を成形することがで
きる。
【0026】また、フィルム、繊維又は板状等に成形さ
れているPEC、更にはPEC被覆体を、用途に応じて
加工することにより、本発明の生体液取扱い用具を成形
することもできる。更に、PECは種々の材質に対して
簡便且つ容易に被覆できる性質を有しているので、目的
の形状に成形されている基材をPECで被覆して本発明
の生体液取扱い用具を製造することもできる。この場
合、少なくとも、生体液と接触する部位をPECで被覆
する。基材としては、前記の無機又は有機基材の他に、
従来法において生体液取扱い用具として用いられている
製品それ自体を用い、それらをPECで被覆して本発明
の生体液取扱い用具を製造することもできる。例えば、
ポリエチレン製等のチューブ類、ポリメチルペンテン製
等の注射器類、ポリスチレン製等の分析用セル等の市販
品ではその容量や形状等がすでに管理されており、従っ
て、それらの市販品を基材として用い、PECで被覆す
ると、種々の規格が管理された本発明による生体液取扱
い用具を簡便に製造することができる。
【0027】PECを基材(又は従来の用具)に被覆さ
せるには、例えば、塗布、噴霧又は浸漬などの方法で行
うことができる。PEC溶液を基材(又は従来の用具)
に単に接触させるだけでも良い。例えば、カチオンポリ
マー溶液とアニオンポリマー溶液とを混合し、その溶液
と基材(又は従来の用具)を0.5〜48時間程度接触
させ、こうして処理した基材(又は従来の用具)を生理
食塩水や精製水で洗浄し、洗浄した基材(又は従来の用
具)を室温で風乾するか、あるいは50〜100℃程度
に加温し乾燥することにより、本発明のタンパク質吸着
抑制用の材料又は生体液取扱い用具を製造することがで
きる。この際、例えばNaCl等の塩を0.01〜5M
の濃度で存在させたり、温度を0〜100℃の範囲で変
化させて、PECを生成し、そして基材(又は従来の用
具)と接触又は浸漬することによって、PECの被覆処
理時間を短縮(例えば温度を高めることによる)した
り、より温和な条件下でPECを被覆することもでき
る。
【0028】本明細書において、生体液とは、生物(動
植物や微生物)の血液、血清、血漿、尿、唾液、髄液等
や、細胞及び組織抽出物等、更にはそれらの処理液(例
えば、希釈液、濃縮液、抽出液等)をいう。また、吸着
抑制の対象となるタンパク質としては、分子量数千のプ
ロタミン類から数千万以上のウイルスタンパク質が含ま
れ、更には分子量数千以下の所謂ポリペプチドも含まれ
る。より具体的には、例えば、単純タンパク質であるア
ルブミンとしての血清アルブミン、オバルブミン、コナ
ルブミン、ラクトアルブミン等、同様に単純タンパク質
である血清グロブリン、フィブリノゲン、クリスタリ
ン、オボグロブリン、ラクトグロブリン等が挙げられ
る。血清グロブリンの中には周知のように、αグロブリ
ン、βグロブリン、γグロブリンが存在し、γグロブリ
ンには免疫グロブリンのIgG、IgA、IgMなどが
あり、この他に血液凝固に関係するタンパク質、補体な
ども含まれる。更にこれらタンパク質が糖、脂質等と結
合した物質も含むものである。
【0029】本発明においては、これらの生体液やタン
パク質の種類、構成及び/又は吸着性、更には用具の使
用目的に応じて、適切な物性を有するPECを適宜選択
することができる。例えば、タンパク質の吸着を効率的
に抑制することができ、微量成分の測定の精度向上や、
長期保存時や連続的接触による吸着等の経時的変化を著
しく改善することができる。
【0030】
【作用】タンパク質は両性高分子であるので、各種のポ
リカチオンやポリアニオンとは静電力を介して相互作用
することが知られている。また、タンパク質の吸着にお
いては、材料表面の親水性・疎水性、表面エネルギー、
ミクロドメイン構造などが深く関与していることが明ら
かになっている。一般に、アルブミンは親水性表面に、
グロブリンは疎水性表面に吸着しやすいことが報告され
ているが、グロブリンの場合は、分子内に親水性部と疎
水性部が局在しているため、材料表面の親水性・疎水性
により特定の配向をして吸着することが明らかとなって
いる。ポリカチオンとポリアニオンとからなるPECが
タンパク質、特にグロブリンの吸着を抑制するのは、対
イオンが相互に高分子化合物であるため、両者の中和反
応が効率よく起こり、両者の荷電が有効に遮蔽されてい
ることが考えられることから、PECとタンパク質間に
は静電的相互作用が殆ど働かなくなることが一つの要因
と思われる。また、PECがミクロドメイン構造を呈す
ることが明らかとなっていることから、グロブリンが配
向して吸着することができないことも要因の一つと考え
られる。更に、PECはハイドロゲルとしても機能して
いるので、物理的な表面の運動性、排除体積効果なども
関与していることが考えられる。このような幾つかの要
因があいまって、従来に無い、極めて優れた吸着抑制作
用を発現しているものと思われる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。なお、以下の実施例に記載の平均分子量は蒸気圧降
下法で測定した数平均分子量である。また、以下の実施
例において使用したポリマー及びその略称を以下に示
す。(1)カチオンポリマー 2X:ポリ[(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチル
イミニオ)メチレン−1,4−フェニレンメチレンジク
ロライド(平均分子量約6000) 6X:ポリ[(ジメチルイミニオ)ヘキサメチレン(ジ
メチルイミニオ)メチレン−1,4−フェニレンメチレ
ンジクロライド(平均分子量約10000 ) PVBMA:ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニ
ウムクロライド)(平均分子量約15000 ) PLL:ポリ(L−リジン)(平均分子量約3000) CS100:キトサン(脱アセチル化度100%;平均
分子量約2000)(2)アニオンポリマー CBA:アクリル酸/ブチルアクリレ−トの共重合体
(アクリル酸含量約70モル%;平均分子量約36000 ) CLA:アクリル酸/ラウリルアクリレートのランダム
共重合体(アクリル酸含量約70モル%;平均分子量約
10000 ) COA:アクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート
のランダム共重合体(アクリル酸含量約70モル%;平
均分子量約8000) CSA:アクリル酸/ステアリルアクリレ−トの共重合
体(アクリル酸含量約70モル%;平均分子量約28000
) PAA:ポリアクリル酸(平均分子量約56000 ) PGA:ポリグルタミン酸(平均分子量約4000) PSS:ポリスチレンスルホン酸(平均分子量約15000
) SLA:スチレンスルホン酸/ラウリルアクリレ−トの
共重合体(スルホン酸含量約70モル%;平均分子量約
25000 ) SOA:スチレンスルホン酸/2−エチルヘキシルアク
リレ−トの共重合体(スルホン酸含量約70モル%;平
均分子量約32000 ) SSA:スチレンスルホン酸/ステアリルアクリレ−ト
の共重合体(スルホン酸含量約90モル%;平均分子量
約18000 ) Alg:アルギン酸ナトリウム(平均分子量約50000 〜
200000) Hya:ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量1400000
) ChS−A:コンドロイチン硫酸(タイプA;平均分子
量約30000 ) ChS−C:コンドロイチン硫酸(タイプC;平均分子
量約40000 ) CCEL:カルボキシメチルセルロ−ス(1ピラノ−ス
酸基当たりの官能基導入率0.9;平均分子量約18000
0) CCHN:カルボキシメチルキチン(1ピラノ−ス酸基
当たりの官能基導入率0.7;平均分子量約59000 ) PCEL:リン酸化セルロ−ス(1ピラノ−ス酸基当た
りの官能基導入率0.5;平均分子量約160000) PCHN:リン酸化キチン(1ピラノ−ス酸基当たりの
官能基導入率1.0;平均分子量約60000 ) SCEL:硫酸化セルロ−ス(1ピラノ−ス酸基当たり
の官能基導入率1.3;平均分子量約120000) SCHN:硫酸化キチン(1ピラノ−ス酸基当たりの官
能基導入率0.74;平均分子量約32000 )
【0032】実施例1:タンパク質の吸着実験 (1)PECコーティングディッシュの調製 カチオンポリマーである2Xを1.45mg/mlの濃
度(イオン席として10-2M;以下10-2UMともい
う)となるよう蒸留水(pH7.0)を用いて調製し、
2X溶液とした。また、アニオンポリマーであるPAA
を0.72mg/mlの濃度(10-2M)となるよう蒸
留水(pH7.0)を用いて調整し、PAA溶液とし
た。24穴マルチウェル(NUNCLON DERTA
24 WELL;親水化処理ポリスチレン)に、2X
溶液及びPAA溶液を順に0.5mlづつ撹拌しながら
各ウェルに分注した。室温で一晩静置した後、上澄を除
去し、65℃で6時間乾燥させた。乾燥後、蒸留水でウ
ェルを洗浄した後、再度乾燥させ、PEC(2X−PA
A:荷電バランス±0)コーティングディシュとし後記
の測定に用いた。前記と同様に表1及び表2に示した各
カチオンポリマー溶液(10-2UM:pH7.0)と各
アニオンポリマー溶液(10-2UM:pH7.0)を調
製した。表1及び表2のような組み合わせからなるPE
C(荷電バランス±0)を用い、前記と同様な操作でコ
ーティングディッシュを調製した。対照用としては、未
処理の24穴マルチウェルを後記の測定に用いた。 (2)アルブミンの吸着性 ウシ血清アルブミン(以下BSAともいう;カッペル
社)を500ng/mlとなるように20mMリン酸緩
衝液(pH7.4)(以下、PBともいう)で調製し、
BSA溶液とした。前記(1)で調製したPECコーテ
ィングマルチウェルに、BSA溶液を1mlずつ加え、
37℃で1時間静置し、吸着を行った。BSAの吸着量
は、吸着反応後の上澄液のBSA濃度の減少量より求め
た。
【0033】(3)BSA測定用プレ−トの調製 イムノプレ−ト(NUNC Immuno Plat
e)に抗ウシアルブミン抗体(バインディングサイト
社)100μl/ウェルを加え、37℃で2時間静置し
た。PB200μlでウェルを3回洗浄した後、蒸留水
で4倍希釈したブロックエ−ス(免疫実験用;雪印乳
業)200μl/ウェルを加え、37℃で1時間静置
し、ブロッキングを行った。Tween−20(化学
用;和光純薬)が0.1(v/v)%となるように蒸留
水で10倍希釈したブロックエ−ス(以下、洗浄液とも
いう)を200μlずつ加え、ウェルを4回洗浄した。
さらに、PB200μlで、ウェルを3回洗浄した後、
再びPB200μl/ウェルを加え、使用時まで4℃で
保存した。 (4)BSAの測定 前記(3)で調製したBSA測定用プレ−トに、前記
(2)における吸着反応前、及び吸着反応後のBSA溶
液100μl/ウェルを加えた。37℃で20分間静置
した後、PB200μlで、ウェルを4回洗浄した。蒸
留水で10倍希釈したブロックエ−スを用いて、ペルオ
キシダ−ゼ標識抗ウシアルブミン抗体(バインディング
サイト社)を1000倍希釈し、この溶液100μl/
ウェルを加えた。4℃で12時間静置した後、洗浄液2
00μlでウェルを4回洗浄した。さらに、PB200
μlで、ウェルを3回洗浄した後、30mMο−フェニ
レンジアミンと0.1%H22 とを含む、0.15M
クエン酸緩衝液(pH5.5)(以下、発色液ともい
う)100μl/ウェルを加えた。37℃で30分間静
置した後、3N−HClを100μl/ウェルの量で加
えて発色を停止させ、波長492nmにおける吸光度よ
り、BSA濃度を測定した。結果を表1及び表2に示
す。表1及び表2から明らかなとおり、未処理ウェルに
比較してPECコーティングウェルは、アルブミンの吸
着抑制能が優れていることが認められた。
【0034】(5)グロブリンの吸着性 ウシイムノグロブリンG(以下B−IgGともいう;カ
ッペル社)を50ng/ml又は500ng/mlとな
るようにPBで調整し、B−IgG溶液とした。前記
(1)で調製したPECコーティングマルチウェルに、
B−IgG溶液を1mlずつ加え、37℃で1時間静置
し吸着を行った。B−IgGの吸着量は、吸着反応後の
上澄液のB−IgG濃度の減少量より求めた。 (6)B−IgG測定用プレ−トの調製 イムノプレ−トに抗ウシIgG(H+L)抗体(バイン
ディングサイト社)100μl/ウェルを加え、37℃
で2時間静置した。PB200μlでウェルを3回洗浄
した後、蒸留水で4倍希釈したブロックエ−ス200μ
l/ウェルを加え、37℃で1時間静置し、ブロッキン
グを行った。洗浄液200μlでウェルを4回洗浄し
後、さらにPB200μlでウェルを3回洗浄した。再
びPB200μl/ウェルを加え、使用時まで4℃で保
存した。
【0035】(7)B−IgGの測定 前記(6)のB−IgG測定用プレ−トに前記(5)の
吸着反応前、及び吸着反応後のB−IgG溶液100μ
l/ウェルを加えた。37℃で20分間静置した後、P
B200μlで、ウェルを4回洗浄した。蒸留水で10
倍希釈したブロックエ−スを用いて、ペルオキシダ−ゼ
標識抗ウシイムノグロブリンG抗体(バインディングサ
イト社)を1000倍希釈し、この溶液100μl/ウ
ェルを加えた。4℃で12時間静置した後、洗浄液20
0μlでウェルを4回洗浄した。さらに、PB200μ
lで、ウェルを3回洗浄した後、発色液100μl/ウ
ェルを加えた。37℃で30分間静置した後、3N−H
Clを100μl/ウェルの量で加えて発色を停止さ
せ、波長492nmにおける吸光度より、B−IgG濃
度を求めた。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2
から明らかなとおり、未処理ウェルに比較して、PEC
コーティングウェルは、グロブリンの吸着抑制能が優れ
ていることが認められた。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】実施例2:β2 −マイクログロブリンの測
(1)チューブ及びセルのPECコーティング カチオンポリマーであるPVBMAを211.5μg/
mlの濃度(10-3UM)となるように0.15M−N
aCl含有10mMリン酸緩衝液(pH7.0)(以
下、PBSともいう)を用いて調整し、PVBMA溶液
とした。また、アニオンポリマーであるCLAを16
5.6μg/mlの濃度(10-3UM)となるようPB
Sを用いて調整し、CLA溶液とした。このPVBMA
溶液とCLA溶液を等量混和(荷電バランス±0)して
PEC溶液を作成し、尿を希釈する際のチューブ(ポリ
スチレン製)及び凝集反応の濁度を測定する際のセル
(ポリスチレン製)に1mlずつ分注し、56℃で30
分間放置した。蒸留水で3回洗浄した後、乾燥させ、P
ECコーティングチューブ及びセルとした。対照用とし
て未処理のチューブ及びセルを用い、後記のβ2 −マイ
クログロブリン(以下、β2 −mともいう)測定を行っ
た。 (2)尿中β2 −mの測定 β2 −m含量が高く、希釈を必要とする尿を試料として
使用する場合に、前記(1)の操作でPECコーティン
グしたチューブを用い、0.15M−NaClで100
倍に希釈した。また、0.05%BSAと0.05%E
DTA,0.15M−NaClを含む0.1Mトリス緩
衝液(pH8.2)を調製し、安定化液とした。原尿検
体又は希釈液検体20μlを前記(1)の操作でPEC
コーティングしたセルにとり、安定化液500μlを加
え、5分間放置した後、常法で調製した抗ヒトβ2 −m
抗体感作ラテックス溶液80μlを加えた。波長950
nmにおける濁度変化によりβ2 −m濃度を測定した。
結果を表3及び表4に示す。原尿をサンプルとして用い
た場合(表3)は、未処理セルと比較して、PECコー
ティングセルでは5%ほどの測定値の上昇が認められ
た。また、希釈検体をサンプルとして用いた場合(表
4)は、PECコーティングチューブとセルを用いるこ
とにより30%前後の測定値の上昇が認められた。この
ように、PEC処理することで、測定時に用いられる用
具のチューブやセルへのβ2 −mの吸着を抑制すること
ができ、より正確な測定値を得ることができる。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】実施例3:尿保存試験 (1)検体保存用容器のPECコーティング カチオンポリマーである2Xを1.45mg/mlの濃
度(10-2UM)となるよう蒸留水(pH7.0)を用
いて調整し、2X溶液とした。また、アニオンポリマー
であるCOAを1.66mg/mlの濃度(10-2
M)となるよう蒸留水(pH7.0)を用いて調整し、
COA溶液とした。この2X溶液1.0mlとCOA溶
液1.1mlを混和してPEC溶液(荷電バランス−
0.5)を作成した。検体保存用容器(アシストチュー
ブ;SARSTEDT)の、検体と接触する可能性のあ
る部分全てをPEC溶液で満たし、室温で一晩静置し
た。上澄を除去し、60℃で3時間乾燥させた後、蒸留
水でチューブ内を洗浄し、再度乾燥させ、PECコーテ
ィング保存容器とした。前記と同様に、カチオンポリマ
ーである2X、アニオンポリマーであるCOA及びSO
Aを10-2UMとなるよう蒸留水(pH7.0)を用い
て調整した。カチオンポリマー−アニオンポリマーの組
み合わせとして、2X−SOA、PVBMA−COA、
PVBMA−SOAをそれぞれ等量混和し、PEC溶液
(荷電バランス±0)を調製し、前記と同様の操作によ
り検体保存用容器をPECコーティングした。対照用と
して、未処理の検体保存用容器を後記の測定に用いた。 (2)尿中マイクロアルブミンの測定 前記(1)の操作で調製したPECコーティング検体保
存用容器及び未処理の検体保存用容器に、由来の異なる
尿10検体(A〜J)をそれぞれ1mlずつ分注し、−
20℃で保存した。保存開始から3日後、1週間後及び
2週間後に各尿中のマイクロアルブミン(以下、m−A
LBともいう)の濃度を測定した。なお、m−ALB濃
度の測定は市販のキット(商品名・ミクロアルブ:マイ
ルス イタリア−ナ社)を用いた。その結果、10検体
中の3検体(B,C,H)について、未処理の容器で保
存した尿検体のm−ALB濃度が低下していることが認
められたが、PEC処理した容器で保存したそれらの3
検体(B,C,H)では、m−ALB濃度の低下は、認
められなかった。表5〜表7から明らかなとおり、未処
理容器に比較して、PECコーティング容器で保存した
検体の測定値は、安定していた。このように、PEC処
理をすることにより、検体保存中のm−ALBの吸着を
抑制することができ、より正確な値を得ることができ
た。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、取扱う生体液やその中
に含まれるタンパク質の種類、構成及び/又は吸着性、
更には用具の使用目的に応じて、適切な物性を有するP
ECを適宜選択して、適切なタンパク質吸着抑制用の
料及びその材料からなる生体液取扱い用具を提供するこ
とができる。従って、例えば、タンパク質の吸着を効率
的に抑制することができ、微量成分の測定の精度向上
や、長期保存時や連続的接触による吸着等の経時的変化
を著しく改善することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−203265(JP,A) 特開 昭53−34887(JP,A) 特開 昭51−23561(JP,A) 特開 昭50−63096(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 24/00 - 33/18 WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミン化合物のポリマー、第4級アンモ
    ニウム化合物のポリマー、塩基性アミノ酸のポリマー及
    びカチオン性多糖類からなる群から選択された、繰り返
    し単位中にN+ 原子を含有するカチオン性高分子電解質
    と、アニオン性多糖類、酸性アミノ酸ポリマー、スルホ
    ン酸系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーからなる群か
    ら選択された、繰り返し単位中に−COO- 基、−SO
    3 - 基、−PO3- 基又は−PO3 2- 基を含有するア
    ニオン性高分子電解質とを反応させることによって得ら
    れる高分子電解質錯体により、少なくとも表面が形成さ
    れていることを特徴とする、グロブリン又はアルブミン
    吸着抑制用の材料。
  2. 【請求項2】 少なくとも生体液を含む流体と接触する
    部位が、請求項1記載のグロブリン又はアルブミン吸着
    抑制用の材料からなることを特徴とする、生体液の分析
    用取扱い用具。
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