JP3423846B2 - 人工大理石用柄材 - Google Patents

人工大理石用柄材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は御影石調人工大理石
の製造に於いて充填剤として用いる着色粒状樹脂組成
物、所謂、人工大理石用柄材に係わる。更に詳しくはビ
ニルエステル樹脂系人工大理石用途として、該樹脂成形
体が有する優れた外観、加工性を何ら損なうことなく、
機械強度に優れた御影石調人工大理石を提供し得る人工
大理石用柄材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、無機粉末を樹脂に充填、硬化して
得られる人工大理石は、キッチンカウンター、バスタブ
等の用途に広く用いられている。また御影石調として高
級感を付与する目的より、花崗岩、大理石等の天然石の
破砕片を不飽和ポリエステル樹脂中に混合して硬化せし
めた人工大理石はよく知られている。しかしながら、天
然石を用いる方法は樹脂と天然石との比重差が大である
ことより、樹脂硬化時に分散させた天然石が沈析するた
め、所望とする意匠を有する人工大理石が得難いとの欠
点があった。
【0003】これらの欠点を改善する方法として、天然
石に代えて不飽和ポリエステル樹脂やアクリル樹脂に水
酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機粉末お
よび顔料を混合し得られた硬化樹脂組成物を粉砕した着
色粒状樹脂組成物が柄材として不飽和ポリエステル樹脂
やアクリル樹脂中に添加し、高級感のある御影石調人工
大理石を得る方法についても知られている(例えば特開
平2−102155号公報、特開平7−18115号公
報等)。これら方法によれば、天然石の破砕品を使用す
る方法に比較し、意匠性、加工性の点に於いては優れて
いるものの、キッチンカウンター等の用途に於いて要求
される機械的強度、特に耐衝撃強度に於いて満足し得る
ものが存在しない。このためこれら物性を改良する目的
から柄材とガラスマット等の補強材を併用することも考
えられるが、新たにコストアップの問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み本
発明者等は、意匠性、加工性を低下することなく、機械
的強度に優れた御影石調人工大理石を見出すべく鋭意検
討した結果、人工大理石用ベース樹脂としてビニルエス
テル系樹脂を用いるに於いて、柄材の原料樹脂としても
同系の樹脂を用い、これに無機粉末及び顔料を混合、分
散、硬化、粉砕して得られた柄材を特定物質で表面処理
し適用する場合には、上記課題が全て解決し得る事を見
出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ビニ
ルエステル樹脂、無機粉末及び顔料よりなる樹脂組成物
を加熱硬化した後粉砕し、該粉砕物(柄材)表面をシラ
ンカップリング剤で処理してなることを特徴とするビニ
ルエステル樹脂系人工大理石用柄材を提供するにある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明はビニルエステル樹脂をバインダーとした御
影石調人工大理石を製造するに際し、ビニルエステル樹
脂、無機粉末及び顔料よりなる樹脂組成物を加熱硬化し
た後粉砕して得られた粉砕物(柄材)表面をシランカッ
プリング剤で処理した柄材を、バインダーとしてのビニ
ルエステル樹脂で成形、固化することにより意匠性、加
工性に優れ、且つ機械的強度にも優れた御影石調人工大
理石を提供するものである。
【0007】本発明に於いて柄材の製法は特に制限され
ないが、通常ビニルエステル樹脂100重量部に対し、
無機粉末10〜400重量部、好ましくは20〜300
重量部に着色材としての顔料が添加、使用される。使用
される無機粉末は、特に限定されないが、一般的には水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸カルシウム、硅酸カルシウム、硅酸マグネシ
ウム、硅酸アルミニウム、シリカ、ガラスや雲母,硼
砂,黒曜石,大理石等の天然石が、単独或いは二種以上
を混合して使用される。これら無機粉末の平均粒子径は
通常約0.1〜約200μmの範囲、好ましくは約3〜
約100μmの範囲で用いられる。就中、自己消化性を
有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび
水酸化カルシウムが好適である。これら無機粉末は樹脂
との混合に際し、予めこれを水洗し表面を清浄化したり
その表面をシランカップリング剤、チタネートカップリ
ング剤やステアリン酸で処理したものを用いることも可
能である。
【0008】ビニルエステル樹脂、無機粉末及び顔料よ
りなる樹脂組成物は通常公知の混合機、例えばリボンブ
レンダー等を用いて均一に混合した後、成形型内に供給
し、常温、或いは加熱下に硬化して、ハンマーミル等の
粉砕機を用いて粉砕し、柄材を得る。粉砕した柄材は必
要により分級して所望の大きさのものにするが、通常御
影石調人工大理石を製造する場合の成形性や、得られる
成形体の機械的強度等から柄材は約5mm以下、普通に
は0.1mm〜3mmの範囲で使用される。
【0009】このようにして得られた柄材は次いで柄材
表面をシランカップリング材で処理する。本発明で使用
されるカップリング剤としては、一般式RSiX3 (但
し、式中のRはオレフィン系不飽和基又はアミノ基、エ
ポキシ基、メルカプト基を含む一価の炭化水素基、もし
くはハイドロカーボンオキシ基、Xは塩素又は加水分解
し得る有機基を示す)で表される化合物であり、この化
合物を具体的に例示すれば、ビニルトリクロロシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−
(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−
(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−
(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、
γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラ
ン、γ−(アクリロキシプロピル)トリメトキシシラ
ン、γ−(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシ
ラン、γ−(メタクリロキシプロピル)11−ウンデシ
ルトリメトキシシラン、4−(1−メタクリロキシ−4
−メチル−2−フェニル)1−エチルトリメトキシシラ
ン等を挙げることができる。就中、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロ
キシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロ
キシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(メタクリロ
キシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メタク
リロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−(ア
クリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(アク
リロキシプロピル)メチルジメトキシシランの適用が推
奨される。
【0010】柄材へのシランカップリング剤添加量、一
般的には柄材100重量部に対し、シランカップリング
剤約0.1〜約3重量部、好ましくは約0.2〜約1重
量部のシランカップリング剤を使用すればよい。これら
のシランカップリング剤の添加量は目標物性及びコスト
等により適宜決定すればよい。
【0011】柄材に対するシランカップリング剤の添加
方法はシランカップリング剤が均一に柄材表面上に分散
する方法であれば特に限定されないが、一般的にはシラ
ンカップリング剤を直接或いは予め溶媒で希釈して柄材
に供給し、撹拌混合すればよい。シランカップリング剤
の希釈に使用する溶媒としてはシランカップリング剤と
相溶性のある有機溶媒、或いは酸性水溶液、或いはその
混合溶液が好ましい。柄材にシランカップリング剤を混
合した後、溶媒を揮発させシランカップリング剤を柄材
表面に定着する目的で100℃以上の温度で加熱すれば
よい。該混合に際し、必要に応じてシランカップリング
剤の加水分解に必要な水を予め粒状樹脂組成物に添加
し、撹拌混合してもよい。
【0012】このようにして得られたシランカップリン
グ剤で処理した柄材は従来公知の方法でビニルエステル
樹脂と混合し、御影石調人工大理石を製造する。該製造
方法は公知の方法であればよく、特に制限されるもので
はないが、例えば上記方法で得られた柄材とビニルエス
テル樹脂をリボンブレンダー等の通常公知の混合機を用
いて均一に混合した後、該混合物を成形型内に供給し、
常温・常圧、常温・加圧下、加温・加圧下で硬化させた
後、成形型より取り出すことにより、意匠性、加工性は
勿論、機械的強度にも優れた天然石様の外観を有する御
影石調人工大理石が得られる。
【0013】ビニルエステル樹脂に対する柄材の添加量
は特に限定されないが、最終製品の人工大理石に透明性
が要求される場合には、ビニルエステル樹脂100重量
部に対し約1重量部〜約100重量部、好ましくは約2
重量部〜約50重量部の範囲で使用すればよい。ビニル
エステル樹脂は人工大理石用として使用されている公知
のものであればよく、特に制限されない。例えば、ビス
系ビニルエステル樹脂やノボラック系ビニルエステル樹
脂等が使用される。
【0014】本発明に於いては上記人工大理石の製造に
際し、ビニルエステル樹脂と柄材の他に、必要に応じて
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、硅酸カルシウム、硅酸マグネ
シウム、硅酸アルミニウム、シリカ、ガラス、雲母、硼
砂、黒曜石、大理石等の無機充填剤、アルミナ繊維、シ
リカ繊維、ガラス繊維等のセラミックス繊維や顔料、染
料等の着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、酸化防
止剤等を添加し成形することは、勿論可能である。
【0015】
【発明の効果】以上、詳述した本発明の柄材を無機粉末
とともに、ビニルエステル樹脂に充填し樹脂組成物とし
た場合には、通常公知の御影石調人工大理石等と比較
し、外観、加工性は勿論のこと、機械強度をも充分満足
できる御影石調の人工大理石を得ることができるもの
で、その産業的価値は頗る大である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例により何ら制限を受ける
ものではない。
【0017】実施例1 市販のビニルエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製、
商品名:XP−675)100重量部に、市販のシラン
カップリング剤処理した水酸化アルミニウム粉末(住友
化学工業株式会社製、商品名:CWL−325B、平均
二次粒子径約25μm)を200重量部、及び顔料(住
化カラー株式会社製、商品名:KR7A−1024)を
10重量部、硬化剤としてパーキュアーHO(日本油脂
株式会社製)を2重量部及びパーカドックス16(化薬
アクゾ株式会社製)0.5重量部を配合し、金型に流し
込み、90℃で硬化させ、厚さ約10mmの平板状の樹
脂組成物を得た。この板をハンマーミル及び奈良式解砕
機で粉砕し篩別法により10〜100メッシュのサンプ
ルを回収した。さらにこの粒状破砕粒子100重量部に
対し、浄水10重量部と、シランカップリング剤(γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を0.5
重量部添加し混合した後、120℃にコントロールした
エアバス中にて1時間乾燥しシランカップリング剤処理
した柄材(A)を得た。
【0018】上記柄材を用いて御影石調人工大理石を作
製した。御影石調人工大理石の作製は、ビニルエステル
樹脂(XP−675)を100重量部、シランカップリ
ング剤処理水酸化アルミニウム粉末(CWL−325
B)を250重量部、上記柄材(A)を3重量部、直径
10μm×長さ3mmのガラスファイバーの束を2.5
重量部、硬化剤としてパーキュアーHOを2重量部及び
パーカドックス16を0.5重量部を配合し、成型体が
10mm厚となるようにセットされた金型に流し込み、
90℃で硬化させ、厚さ約10mmの平板状の御影石調
人工大理石を得た。この様にして得られた御影石調人工
大理石を30cm角に切断し、落球衝撃試験を行った。
落球衝撃試験は、人工大理石板を35mm角×長さ30
cmの木材をスパン20cmとなるようにセットした固
定台の上に置き、1kgの鉄球を50cm高さから落と
し、人工大理石板が割れるまで10cmずつ高さを上げ
て行き何cmで割れるかを調べる方法で行い、N=10
のテストで評価した。その結果、落球衝撃強度の平均値
は72cm,最大値は100cm,最小値は50cmで
あった。また得られた人工大理石板は美麗で加工性にお
いても何ら問題はなかった。
【0019】実施例2 粒状破砕粒子へのシランカップリング剤の添加量を1.
0重量部に変更する他は実施例1と同条件で、柄材
(B)を得た。この柄材(B)を用いて実施例1と同じ
方法で御影石調人工大理石を作製し、落球衝撃試験を行
った。その結果、落球衝撃強度の平均値は93cm,最
大値は100cm,最小値は80cmであった。また得
られた人工大理石板は美麗で加工性においても何ら問題
はなかった。
【0020】比較例1 粒状破砕粒子へのシランカップリング剤添加を行わない
以外は実施例1と同条件で、柄材(C)を得た。この柄
材(C)を用いて実施例1と同じ方法で御影石調人工大
理石を作製し、落球衝撃試験を行った。その結果、落球
衝撃強度の平均値は62cm,最大値は80cm,最小
値は50cmであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粥川 満 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (72)発明者 三苫 和彦 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (72)発明者 永岡 博 北九州市若松区安瀬1番地18 北九州松 下電工株式会社内 (72)発明者 勝田 治久 北九州市若松区安瀬1番地18 北九州松 下電工株式会社内 (72)発明者 佐野 真人 北九州市若松区安瀬1番地18 北九州松 下電工株式会社内 (72)発明者 佐々木 浩史 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 溝江 利之 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−25539(JP,A) 特開 平4−296364(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルエステル樹脂、無機粉末及び顔料
    よりなる樹脂組成物を加熱硬化した後粉砕し、該粉砕物
    (柄材)表面をシランカップリング剤で処理してなるこ
    とを特徴とするビニルエステル樹脂系人工大理石用柄
    材。
  2. 【請求項2】 粉砕物に対するシランカップリング剤の
    処理量が0.1〜3重量%であることを特徴とする請求
    項1記載の人工大理石用柄材。
  3. 【請求項3】 シランカップリング剤がビニルトリメト
    キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタク
    リロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタク
    リロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ−(メタク
    リロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(メ
    タクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン、γ−
    (アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−
    (アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシランの少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の人
    工大理石用柄材。
  4. 【請求項4】 無機粉末が水酸化アルミニウム、水酸化
    マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる金属水酸化
    物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記
    載の人工大理石用柄材。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物中に占める無機粉末の量がビ
    ニルエステル樹脂100重量部に対し10重量部〜40
    0重量部であることを特徴とする請求項1記載の人工大
    理石用柄材。
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