JP3416281B2 - α−トコフェロール誘導体の製造方法および触媒 - Google Patents

α−トコフェロール誘導体の製造方法および触媒

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗不妊ビタミン、血中脂
質低下剤、血流促進剤、活性酸素消去剤、細胞老化防止
剤、抗酸化剤などとして有用なα−トコフェロール誘導
体(VII)の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来α−トコフェロール誘導体(VII)
は、下記化学式で表されるトリメチルヒドロキノン(I)
と、
【0003】
【化5】
【0004】下記化学式で表されるフィトール類のいず
れか
【0005】
【化6】
【0006】をフリーデルクラフツ反応により縮合させ
て製造されてきた。
【0007】
【化7】
【0008】フリーデルクラフツ反応においては触媒が
必須であり、具体的には塩化亜鉛、塩化アルミニウム、
塩化第二錫、塩化第二鉄、四塩化チタン、三フッ化ホウ
素・エーテル錯体等のルイス酸、または塩酸、硫酸、リ
ン酸等のプロトン酸とルイス酸の組み合わせが用いられ
てきた。しかし、これらの触媒は、水に対して極めて不
安定であり、反応に伴って生成する水との接触あるいは
水洗時に、分解または失活するため、回収・再利用でき
ない問題点があった。さらに、亜鉛、錫、リン等は環境
対策上処理が難しいなど、いずれも工業的に適した方法
とは言えなかった。
【0009】上記欠点を改善するために、固定化された
触媒の利用が検討されてきた。例えば特公昭56-11709号
公報には置換可能な基がプロトンで置換されたゼオライ
トを用いる方法が、特公昭56-22868号公報にはシリカア
ルミナ、アルミナボリア、ゼオライトおよび硫酸亜鉛、
硫酸ニッケル、硫酸アルミニウムもしくは硫酸鉄をシリ
カアルミナもしくはアルミナに担持した固定酸を用いる
方法が、特公昭60-45195号公報にはルイス酸活性を有す
る金属キレートスルホン酸樹脂を用いる方法が開示され
ている。さらにこれら以外にも、カチオン交換樹脂を固
定触媒として利用できることが公知であった。
【0010】
【本発明が解決しようとする問題点】特公昭56-11709号
公報に記載されたゼオライト系触媒は、原料[トリメチ
ルヒドロキノン(I)]に対し好ましくは1〜50重量部
使用する必要があり、反応容積が著増するため、工業的
に現実的な方法ではなかった。また実施例に示されたよ
うに、得られたα−トコフェロールは、高真空蒸留して
も、GLC純度が89〜94%と低かった。
【0011】また特公昭56-22868号公報に記載されたシ
リカアルミナもしくはアルミナに担持した固定酸も、原
料に対する使用量が多く、収率が20〜65%と低かった。
さらに収率を向上させるためには、パークロルエチレン
(テトラクロロエチレン)のような極めて毒性の高いハ
ロゲン化炭化水素を用いる必要があった。
【0012】次に特公昭60-45195号公報に記載されたル
イス酸活性を有する金属キレートスルホン酸樹脂も、収
率が80〜90%と工業的に十分ではなかった。
【0013】さらにカチオン交換樹脂は、特公昭56-228
68号公報の比較例に記載されているように、収率が10%
と極めて低く実用的ではなかった。
【0014】このように、従来のα−トコフェロール誘
導体(VII)の製造に用いる固定化触媒は、収率が低い、
高毒性の溶媒を必要とするなど、いずれも多くの問題点
があり、これらに代わる工業的に優れた固定化触媒が望
まれていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記従来の固定化触媒の問題点の改善を目指して鋭意研究
を重ねてきた。その結果、金属イオン交換モンモリロナ
イト(IV)、金属イオン交換ベントナイト(V)または金属
イオン交換サポナイト(VI)を用いることにより、所期の
目的を達成してα−トコフェロール誘導体(VII)を工業
的に製造できることを見い出し、本発明を完成した。
【0016】従って本発明の目的は、抗不妊ビタミン、
血中脂質低下剤、血流促進剤、活性酸素消去剤、細胞老
化防止剤、抗酸化剤などとして有用なα−トコフェロー
ル誘導体(VII)の工業的に優れた製造法を提供すること
にある。
【0017】本発明にかかるアリルアルコール誘導体(I
I)は下記一般式で表される。
【0018】
【化8】
【0019】式中、nは0ないし1〜5の整数を、Lは
水酸基、ハロゲン原子、アセトキシ基、メタンスルホニ
ルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスル
ホニルオキシ基またはトルエンスルホニルオキシ基を意
味する。ハロゲン原子とは具体的には、例えば塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等を挙げること
ができる
【0020】さらに具体的には以下の化合物を挙げるこ
とができるが、本発明におけるアリルアルコール誘導体
(II)はこれらに限定されない。さらにこれらの化合物中
には分子内に不斉炭素原子を有するものもあるが、dl体
はもちろん、いずれの光学活性体も含まれることは言う
までもない。 (1) イソプレニルアルコール[別名;3−メチル−2−
ブテン−1−オール] (2) 塩化イソプレニル[別名;1−クロロ−3−メチル
−2−ブテン] (3) 臭化イソプレニル[別名;1−ブロモ−3−メチル
−2−ブテン] (4) ヨウ化イソプレニル[別名;1−ヨード−3−メチ
ル−2−ブテン] (5) 3,7−ジメチル−2−オクテン−1−オール (6) 1−クロロ−3,7−ジメチル−2−オクテン (7) 1−ブロモ−3,7−ジメチル−2−オクテン (8) 1−ヨード−3,7−ジメチル−2−オクテン (9) 3,7,11−トリメチル−2−ドデセン−1−オ
ール (10) 1−クロロ−3,7,11−トリメチル−2−ド
デセン (11) 1−ブロモ−3,7,11−トリメチル−2−ド
デセン (12) 1−ヨード−3,7,11−トリメチル−2−ド
デセン (13) フィトール (14) 塩化フィチル (15) 臭化フィチル (16) ヨウ化フィチル (17) 酢酸フィチル (18) メタンスルホン酸フィチル (19) トルエンスルホン酸フィチル (20) 3,7,11,15,19−ペンタメチル−2−
イコセン−1−オール (21) 1−クロロ−3,7,11,15,19−ペンタ
メチル−2−イコセン (22) 1−ブロモ−3,7,11,15,19−ペンタ
メチル−2−イコセン (23) 1−ヨード−3,7,11,15,19−ペンタ
メチル−2−イコセン (24) 3,7,11,15,19,23−ヘキサメチル
−2−テトラコセン−1−オール (25) 1−クロロ−3,7,11,15,19,23−
ヘキサメチル−2−テトラコセン (26) 1−ブロモ−3,7,11,15,19,23−
ヘキサメチル−2−テトラコセン (27) 1−ヨード−3,7,11,15,19,23−
ヘキサメチル−2−テトラコセン
【0021】次に、本発明におけるアルケニルアルコー
ル(III)は下記一般式で表される。
【0022】
【化9】
【0023】式中、nは前記と同様の意味を有する。さ
らに具体的には以下の化合物を挙げることができるが、
本発明におけるアルケニルアルコール(III)はこれらに
限定されない。さらにこれらの化合物中には分子内に不
斉炭素原子を有するものもあるが、dl体はもちろん、い
ずれの光学活性体も含まれることは言うまでもない。 (1) 2−メチル−3−ブテン−2−オール (2) 3,7−ジメチル−1−オクテン−3−オール (3) 3,7,11−トリメチル−1−ドデセン−3−オ
ール (4) イソフィトール (5) 3,7,11,15,19−ペンタメチル−1−イ
コセン−3−オール (6) 3,7,11,15,19,23−ヘキサメチル−
1−テトラコセン−3−オール
【0024】続いて、本発明にかかる金属イオン交換モ
ンモリロナイト(IV)、金属イオン交換ベントナイト(V)
または金属イオン交換サポナイト(VI)とは、粘土の構成
成分であるモンモリロナイト(Montmorillonite、CAS登
録No.1318-93-0)、ベントナイト(Bentonite、CAS登録N
o.1302-78-9)またはサポナイト{Saponite、Nax[Mg3](Si
4-xAlx)O10(OH)2}の金属イオン(Na+、K+、Mg2+、Ca2+
Al3+等)を、スカンジウム、イットリウム、ランタニド
元素、アルミニウム、鉄、錫、銅、チタン、亜鉛、ニッ
ケル、ガリウムまたはジルコニウムから選ばれた元素の
1種の金属イオンで置換したものである。なお、モンモ
リロナイトまたはベントナイトを、単に製品純度の違い
で分類している場合もあるが、本発明においては限定さ
れず、いずれの製品でもよい。さらにモンモリロナイ
ト、ベントナイトまたはサポナイトには天然品および合
成品があるが、本発明においては限定されず、いずれで
も利用することができる。
【0025】ここでランタニド元素とは、ランタン[L
a]、セリウム[Ce]、プラセオジム[Pr]、ネオジム[Nd]、
プロメチウム[Pm]、サマリウム[Sm]、ユーロピウム[E
u]、ガドリニウム[Gd]、テルビウム[Tb]、ジスプロシウ
ム[Dy]、ホルミウム[Ho]、エルビウム[Er]、ツリウム[T
m]、イッテルビウム[Yb]またはルテシウム[Lu]を意味す
る。
【0026】金属イオン交換モンモリロナイト(IV)とし
てさらに具体的には、例えば以下の化合物を挙げること
ができるが、これらに限定されない。 (1) スカンジウム・モンモリロナイト(以下、Sc-Mon
t) (2) イットリウム・モンモリロナイト(以下、Y-Mont) (3) アルミニウム・モンモリロナイト(以下、Al-Mon
t) (4) 鉄・モンモリロナイト(以下、Fe-Mont) (5) 錫・モンモリロナイト(以下、Sn-Mont) (6) 銅・モンモリロナイト(以下、Cu-Mont) (7) チタン・モンモリロナイト(以下、Ti-Mont) (8) 亜鉛・モンモリロナイト(以下、Zn-Mont) (9) ニッケル・モンモリロナイト(以下、Ni-Mont) (10) ガリウム・モンモリロナイト(以下、Ga-Mont) (11) ジルコニウム・モンモリロナイト(以下、Zr-Mon
t)
【0027】次に、金属イオン交換ベントナイト(V)と
してさらに具体的には、例えば以下の化合物を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。 (1) スカンジウム・ベントナイト(以下、Sc-Bent) (2) イットリウム・ベントナイト(以下、Y-Bent) (3) アルミニウム・ベントナイト(以下、Al-Bent) (4) 鉄・ベントナイト(以下、Fe-Bent) (5) 錫・ベントナイト(以下、Sn-Bent) (6) 銅・ベントナイト(以下、Cu-Bent) (7) チタン・ベントナイト(以下、Ti-Bent) (8) 亜鉛・ベントナイト(以下、Zn-Bent) (9) ニッケル・ベントナイト(以下、Ni-Bent) (10) ガリウム・ベントナイト(以下、Ga-Bent) (11) ジルコニウム・ベントナイト(以下、Zr-Bent)
【0028】さらに、金属イオン交換サポナイト(VI)と
してさらに具体的には、例えば以下の化合物を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。 (1) スカンジウム・サポナイト(以下、Sc-Sap) (2) イットリウム・サポナイト(以下、Y-Sap) (3) アルミニウム・サポナイト(以下、Al-Sap) (4) 鉄・サポナイト(以下、Fe-Sap) (5) 錫・サポナイト(以下、Sn-Sap) (6) 銅・サポナイト(以下、Cu-Sap) (7) チタン・サポナイト(以下、Ti-Sap) (8) 亜鉛・サポナイト(以下、Zn-Sap) (9) ニッケル・サポナイト(以下、Ni-Sap) (10) ガリウム・サポナイト(以下、Ga-Sap) (11) ジルコニウム・サポナイト(以下、Zr-Sap)
【0029】なお、本発明にかかるSc-Mont、Sc-Bentお
よびSc-Sapは新規化合物であり、後掲の製造例に従って
製造することができる。また、それ以外の金属イオン交
換モンモリロナイト(IV)、金属イオン交換ベントナイト
(V)または金属イオン交換サポナイト(VI)は、ビュレテ
ィン・オブ・ケミカル・ソサイエティ・オブ・ジャパン
(Bull.Chem.Soc.Jpn.),60,2689-2691,1987.あるいは同
誌,61,1237-1245,1988.等に記載された方法により製造
することができる。原料のモンモリロナイト、ベントナ
イトおよびサポナイトは、試薬、工業原料などとして容
易に入手可能である。
【0030】最後に、本発明にかかるα−トコフェロー
ル誘導体(VII)は下記一般式で表わされる。
【0031】
【化10】
【0032】式中、nは前記と同様の意味を有する。さ
らに具体的には以下の化合物を挙げることができるが、
本発明におけるα−トコフェロール誘導体(VII)はこれ
らに限定されない。さらにこれらの化合物中には分子内
に不斉炭素原子を有するものもあるが、dl体はもちろ
ん、いずれの光学活性体も含まれることは言うまでもな
い。 (1) 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル
−2−メチル−2H−1−ベンゾピラン−6−オール (2) 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4−メチルペンチル)−2H−1−ベンゾピラ
ン−6−オール (3) 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4,8−ジメチルノニル)−2H−1−ベンゾ
ピラン−6−オール (4) α−トコフェロール (5) 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4,8,12,16−テトラメチルヘプタデシ
ル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール (6) 3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4,8,12,16,20−ペンタメチルヘニ
コシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール
【0033】次に、本発明にかかる製法について、以下
に詳しく述べる。本製造法は、フリーデルクラフツ反応
の常法に従って行うことができるが、通常はトリメチル
ヒドロキノン(I)と触媒を混合し、必要に応じて溶媒を
加え、ここにトリメチルヒドロキノン(I)に対して約0.9
〜1.1当量のアリルアルコール誘導体(II)またはアルケ
ニルアルコール(III)を加える。また反応にあたっては
窒素、アルゴン等の不活性気流下に行うことが好ましい
が、なくても構わず限定されない。
【0034】溶媒を用いる場合、トリメチルヒドロキノ
ン(I)、アリルアルコール誘導体(II)またはアルケニル
アルコール(III)あるいは触媒に対して不活性なもので
あれば限定されない。具体例としては例えばベンゼン、
トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン、ニトロメタン、テトラヒドロフ
ラン、1,2-ジメトキシエタン、エチルエーテル、イソプ
ロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メ
チル、酪酸エチル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロ
ピル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、アセト
ン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサ
ノン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、デカン、デカリン、塩化メチレン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリク
ロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクレン、1,
1,1,2-テトラクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタ
ン、1-クロロプロパン、2-クロロプロパン、1,1-ジクロ
ロプロパン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロ
パン、2,2-ジクロロプロパン、1,4-ジオキサン、1,3-ジ
オキソラン等を挙げることができるが、好ましくはベン
ゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベ
ンゼン、ニトロメタン、イソブチルエーテル、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸
エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、ペンタノール、ペン
タノン、ヘキサノン、ヘプタン、オクタン、塩化メチレ
ン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,
1,2-トリクロロエタン、トリクレンであり、さらに好ま
しくはベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼ
ン、ニトロメタン、イソブチルエーテル、酢酸エチル、
ペンタノール、ペンタノン、ヘプタン、オクタン、塩化
メチレンである。
【0035】溶媒の使用量は限定されないが、通常はト
リメチルヒドロキノン(I)に対して約0.5〜100容を、好
ましくは約0.7〜50容を、さらに好ましくは約1〜20容を
用いる。なお溶媒は単独でも2種類以上の混合物を用い
てもいずれでもよい。
【0036】本発明における触媒の使用量は限定されな
いが、通常はトリメチルヒドロキノン(I)に対して約1〜
200重量%を、好ましくは約10〜100重量%を、さらに好ま
しくは約20〜60重量%を使用する。
【0037】また本発明においては、反応終了後、反応
液を濾過するだけで触媒を回収することができ、回収し
た触媒は、改めて金属イオン交換等の活性化を一切行わ
ずに再利用することができる。さらに使用した触媒は、
濾過のみで100%除去できるため、水洗や廃液処理等の工
程が不要となり、経済的にも操作上も極めて優れた製造
法であると言える。なお再使用する触媒の種類は、本発
明にかかる金属イオン交換モンモリロナイト(IV)、金属
イオン交換ベントナイト(V)または金属イオン交換サポ
ナイト(VI)であれば限定されないが、アルミニウム・モ
ンモリロナイト、アルミニウム・ベントナイトまたはニ
ッケル・サポナイトがより好ましい。
【0038】本発明における反応温度は室温〜溶媒還流
温度において行うことができるが、通常は反応時間短縮
のため加熱還流することが好ましい。加熱還流した場合
は、通常30分〜12時間程度で終了する。また共沸脱水す
ることにより、さらに反応時間を短縮することもでき
る。
【0039】なお生成したα−トコフェロール誘導体(V
II)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、
分子蒸留等の常法により精製することができる。
【0040】続いて、本発明の実施にあたり利用する触
媒の代表例であるSc-Mont、Sc-Bent、Ga-Mont、Ni-Sa
p、Al-PM、Ni-Mont、Ti-MontおよびZr-Montの製造法を
以下に掲げるが、本発明における触媒はこれらに限定さ
れない。
【製造例】製造例1 スカンジウム・ベントナイト(Sc-B
ent)の製造 塩化スカンジウム・6水塩500mg(1.93mmol)を蒸留水(4m
l)に溶解し、室温でベントナイト(ナカライテスク製)
300mgを加えて17時間攪拌した。反応混合物を吸引濾過
し、残渣を蒸留水で洗浄後、再び蒸留水(6ml)に懸濁し
て3時間攪拌した。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄
後、蒸留水(2ml)、メタノール(2ml)の混合液に懸濁し、
2時間攪拌した。再び吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄
後、残渣を集めて減圧下、室温に乾燥した。固まった
粘土状固体を細かく砕き、再び室温で減圧下7時間乾燥
し、灰色粉末状の標題化合物 204mgを得た。
【0041】製造例2 スカンジウム・モンモリロナイ
ト(Sc-Mont)の製造 塩化スカンジウム・6水塩 3.113g(12.0mmol)を蒸留水
(24ml)に溶解し、室温でナトリウム・モンモリロナイト
(クニミネ工業製、クニピア-F)3.0gを加えて1.5時間
攪拌した。反応混合物を吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗
浄後、再び蒸留水(24ml)に懸濁して1.5時間攪拌した。
吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄後、蒸留水(12ml)、メ
タノール(12ml)の混合液に懸濁し、11時間攪拌した。再
び吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄後、残渣を集めて減
圧下、室温に乾燥した。固まった粘土状固体を細かく
砕き、再び室温で減圧下16時間乾燥し、灰色粉末状の標
題化合物 2.815gを得た。
【0042】製造例3 ガリウム・モンモリロナイト(G
a-Mont)の製造 硝酸ガリウム[Ga(NO3)3・nH2O、n=約8] 25g(62.5mmol)を
蒸留水(130ml)に溶解し、室温でナトリウムモンモリロ
ナイト(クニミネ工業(株)社製、クニピア−F) 15.6g
を加えて16時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、残
渣を蒸留水で洗浄した後、再び蒸留水(100ml)に懸濁し
て2時間撹拌した。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄
後、蒸留水(70ml)、メタノ−ル(70ml)の混合液に懸濁
し、2時間撹拌した。再び吸引濾過し、残渣を蒸留水で
洗浄後、残渣を集め減圧下室温で乾燥した。固まった粘
土を細かく砕き、再び室温で減圧下15時間乾燥し、灰色
粉末状の標題化合物 15.5gを得た。
【0043】製造例4 ニッケル・サポナイト(Ni-Sap)
の製造 硝酸ニッケル[Ni(NO3)2・6H2O] 58g(200mmol)を蒸留水(4
00ml)に溶解し、室温でナトリウムサポナイト(クニミ
ネ工業(株)社製、スメクトン SA) 50gを加えて16時間
撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗
浄した後、再び蒸留水(400ml)に懸濁して2時間撹拌し
た。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄後、残渣を集め減
圧下100℃で2時間乾燥した。固まった粘土を細かく砕
き、灰色粉末状の標題化合物 44.39gを得た。
【0044】製造例5 焼成ニッケル・サポナイトの製
製造例4で得られた粘土を、400℃で4時間焼成し、灰
色粉末状の標題化合物2.207gを得た。
【0045】製造例6 アルミニウム−架橋モンモリロ
ナイト(Al-PM)の製造 硝酸アルミニウム[Al(NO3)3・9H2O] 7.5g(20mmol)を蒸留
水(100ml)に溶解し、0.5N-水酸化ナトリウム水溶液(80m
l)を60℃で80分かけて滴下した。そのまま同温で2時
間、さらに室温で1時間撹拌した後、ナトリウムモンモ
リロナイト 2.4gを加えて一晩撹拌した。反応混合物を
吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄した後、残渣を集め、
減圧下100℃で5時間乾燥した。固まった粘土を細かく
砕き、灰色粉末状の標題化合物 2.43gを得た。
【0046】製造例7 焼成アルミニウム−架橋モンモ
リロナイトの製造 製造例6で得られた粘土を、400℃で4時間焼成し、灰
色粉末状の標題化合物1.28gを得た。
【0047】製造例8 1N-塩酸処理ニッケル・モンモ
リロナイト(Ni-Mont)の製造 硝酸ニッケル 116g(400mmol)を蒸留水(800ml)に溶解
し、室温でナトリウムモンモリロナイト 100gを加えて1
3時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、残渣を蒸留
水で洗浄した後、再び蒸留水(400ml)に懸濁して1.3時間
撹拌した。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄した後、蒸
留水(200ml)、メタノ−ル(200ml)の混合液に懸濁し1.3
時間撹拌した。再び吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄し
た後、残渣を集め減圧下100℃で4時間乾燥した。固まっ
た粘土を細かく砕き、50〜90℃で2時間減圧下乾燥し
た。生成した粘土の一部 5gを1N-塩酸(30ml)に懸濁し、
室温で2時間撹拌した。濾過し100℃で10時間乾燥後、
細かく砕き灰色粉末状の標題化合物 4.41gを得た。
【0048】製造例9 5N-塩酸処理ニッケル・モンモ
リロナイト(Ni-Mont)の製造 硝酸ニッケル 116g(400mmol)を蒸留水(800ml)に溶解
し、室温でナトリウムモンモリロナイト 100gを加え13
時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、残渣を蒸留水
で洗浄した後、再び蒸留水(400ml)に懸濁して1.3時間撹
拌した。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄した後、蒸留
水(200ml)、メタノ−ル(200ml)の混合液に懸濁して1.3
時間撹拌した。再び吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄し
た後、残渣を集め減圧下100℃で4時間乾燥した。固ま
った粘土を細かく砕き、50〜90℃で2時間減圧下乾燥し
た。生成した粘土の一部 5gを5N-塩酸(50ml)に懸濁し、
室温で2時間撹拌した。濾過し100℃で10時間乾燥後、
細かく砕き灰色粉末状の標題化合物 3.95gを得た。
【0049】製造例10 チタン・モンモリロナイト(T
i-Mont)の製造 チタニウムイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 56.8g(199mm
ol)を、1N-塩酸(400ml)と濃塩酸(20ml)から調製した塩
酸に溶解し、室温でナトリウムモンモリロナイト 50gを
加え2.5時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、残渣
を蒸留水で洗浄した後、再び蒸留水(400ml)に懸濁して1
4時間撹拌した。吸引濾過し、残渣を蒸留水で洗浄した
後、蒸留水(200ml)に懸濁して2時間撹拌した。この懸
濁、濾過の操作を5回繰り返した後、残渣を蒸留水で洗
浄し、残渣を集め減圧下100℃で6時間乾燥した。固ま
った粘土を細かく砕き、再び減圧下100℃で4時間乾燥
し、灰色粉末状の標題化合物 54.1gを得た。
【0050】製造例11 ジルコニウム・モンモリロナ
イト(Zr-Mont)の製造 四塩化ジルコニウム(ZrCl4) 24g(103mmol)を、蒸留水(2
00ml)に溶解し、室温でナトリウムモンモリロナイト 2
5.8gを加え18時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、
残渣を蒸留水で洗浄した後、再び蒸留水(200ml)に懸濁
して1.5時間撹拌した。この懸濁、濾過の操作を4回繰
り返した後、残渣を蒸留水で洗浄し、残渣を集め減圧下
100℃で6時間乾燥した。固まった粘土を細かく砕き、
再び減圧下90℃で2時間乾燥し、灰色粉末状の標題化合
物 23.422gを得た。
【0051】最後に、本発明を具体的に説明するため以
下に実施例を掲げるが、本発明がこれらに限定されない
ことは言うまでもない。
【実施例】実施例1 α−トコフェロールの合成
【0052】
【化11】
【0053】TMH 200mg(1.316mmol)とSc-Bent 100mgを
トルエン(1ml)に懸濁し、アルゴン気流下にて10分間加
熱還流した。加熱還流下イソフィトール 430mg(1.45mmo
l)のトルエン(1ml)溶液を5分間で滴下した後、さらに
1時間反応させた。反応液を冷却してn-ヘキサン(20ml)
を加え、濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:エーテル系)で精
製し、褐色油状の標題化合物 527mgを得た。(収率; 9
3%、 GLC純度; 99%)本品は、 TLC、HPLC、キャピラリ
ー GLC、1H-NMRスペクトラム、IRスペクトラム、Massス
ペクトラムにて標品と一致した。
【0054】実施例2〜14 α−トコフェロールの合
実施例1と同様にして、以下の結果を得た。
【0055】
【表1】
【0056】実施例15 α−トコフェロールの合成 TMH 24.9g(0.164mol)とTi-Mont 12.5gをオクタン(75ml)
に懸濁し、アルゴン気流下にて20分間加熱還流した。加
熱還流下イソフィトール 46.2g(0.153mol)を3時間で滴
下した後、さらに2時間反応させた。反応液を冷却して
エーテル(150ml)を加え、濾過後、水(150ml×2)、1N-水
酸化ナトリウム(150ml×1)、水(150ml×3)で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して、褐色油状の標
題化合物65.6gを得た。(収率; 100%、 GLC純度; 94.
1%)
【0057】実施例16〜25 α−トコフェロールの
合成 実施例1と同様にして溶媒を代え、以下の結果を得た。
【0058】
【表2】
【0059】実施例26〜29 α−トコフェロールの
合成 実施例6で回収したAl-Montを、繰り返して4回再利用
し、以下の結果を得た。
【0060】
【表3】
【0061】実施例30〜33 α−トコフェロールの
合成 回収したNi-Montを、繰り返して4回再利用し、以下の
結果を得た。
【0062】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−162639(JP,A) 特開 昭57−159751(JP,A) 特開 昭61−165340(JP,A) 特開 昭61−178936(JP,A) 特開 昭61−178937(JP,A) 特開 昭61−178938(JP,A) 特開 昭62−59230(JP,A) 特開 昭62−59231(JP,A) 特開 昭63−203637(JP,A) 特開 昭60−56937(JP,A) 特開 昭63−123442(JP,A) 特開 平7−173114(JP,A) 特開 平7−126228(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 311/72 B01J 21/16 C07B 61/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記化学式で表されるトリメチルヒドロキ
    ノン(I)と、 【化1】 下記一般式で表されるアリルアルコール誘導体(II) 【化2】 [式中、nは0ないし1〜5の整数を、Lは水酸基、ハ
    ロゲン原子、アセトキシ基、メタンスルホニルオキシ
    基、エタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオ
    キシ基、またはトルエンスルホニルオキシ基を意味す
    る。]または下記一般式で表されるアルケニルアルコー
    ル(III) 【化3】 [式中、nは前記と同様の意味を有する。]との縮合反
    応において、金属イオン交換モンモリロナイト(IV)、
    金属イオン交換ベントナイト(V)または金属イオン交
    換サポナイト(VI)の存在下に行うことを特徴とする下
    記一般式で表されるα−トコフェロール誘導体(VII)
    の製造法。 【化4】
  2. 【請求項2】金属がスカンジウム、イットリウム、ラン
    タニド元素、アルミニウム、鉄、錫、銅、チタン、亜
    鉛、ニッケル、ガリウムまたはジルコニウムから選ばれ
    た1種である請求項1記載のα−トコフェロール誘導体
    (VII)の製造法。[ランタニド元素とは、ランタン、
    セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サ
    マリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、
    ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、
    イッテルビウムまたはルテシウムを意味する。]
  3. 【請求項3】溶媒としてベンゼン、トルエン、キシレ
    ン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、イソブチルエーテ
    ル、酢酸エチル、ペンタノール、ペンタノン、ヘプタ
    ン、オクタンおよび塩化エチレンからなる群から選ばれ
    た1種以上を用いることを特徴とする請求項1ないし2
    記載のα−トコフェロール誘導体(VII)の製造法。
  4. 【請求項4】金属イオン交換モンモリロナイト(IV)、
    金属イオン交換ベントナイト(V)または金属イオン交
    換サポナイト(VI)を回収再使用することを特徴とする
    請求項1ないし3記載のα−トコフェロール誘導体(VI
    I)の製造法。
  5. 【請求項5】金属がアルミニウムまたはニッケルである
    請求項4記載のα−トコフェロール誘導体(VII)の製
    造法。
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