JP3415446B2 - 空気浄化フィルタとその製造方法及び高度清浄装置 - Google Patents

空気浄化フィルタとその製造方法及び高度清浄装置

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JP3415446B2 JP17269098A JP17269098A JP3415446B2 JP 3415446 B2 JP3415446 B2 JP 3415446B2 JP 17269098 A JP17269098 A JP 17269098A JP 17269098 A JP17269098 A JP 17269098A JP 3415446 B2 JP3415446 B2 JP 3415446B2
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,例えばクリーンル
ームやクリーンベンチや保管庫などといった高度清浄装
置において使用される,雰囲気中のガス状無機不純物と
ガス状有機不純物を除去するための空気浄化フィルタに
関し,更にそのような空気浄化フィルタの製造方法と空
気浄化フィルタを使用した高度清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】今日,半導体やLCDパネル等の製造に
高度清浄装置が広く利用されている。例えばベアウェハ
から1MDRAMチップを製造するまでに至る半導体製
造ラインは約200程度の工程を含んでおり,また,素
ガラスから9.4型TFTに至るLCDパネル製造ライ
ンは約80程度の工程を含んでいる。これらの製造ライ
ンにおいて,ウェハやガラス基板を各プロセスに常に連
続的に流すことは困難である。例えば,TFT−LCD
の製造ラインでは,前工程で回路が一通り形成された半
製品基板は,後工程に移送されるまでに数時間〜数十時
間を搬送容器(キャリア)内または保管庫(ストッカ)
内にて,高度清浄装置雰囲気に曝しながら待機させてい
る。
【0003】このように,半導体基板やLCD基板を通
常の高度清浄装置雰囲気中に長時間放置すると,それら
の表面には高度清浄装置雰囲気由来のガス状不純物が付
着する。近年,このような高度清浄装置中にガス状で存
在し,半導体製造に使用されるシリコンウェハやLCD
パネル製造に使用されるガラス基板の表面に付着して半
導体やLCDパネルの特性に影響するものとして,酸性
物質,塩基性物質,有機物,ドーパントなどがある。
【0004】ガス状不純物に対する化学汚染対策がなさ
れていない通常のクリーンルーム雰囲気中に含まれる化
学汚染濃度の実測例は,酸性物質が100ppt〜1,
000ppt,塩基性物質が1,000ppt〜10,
000ppt,有機物が1,000ppt〜10,00
0ppt,ドーパントが10ppt〜100ppt程度
である。米国のSEMATECHが1995年5月31
日に発表したTechnology Transfer
#95052812A−TR「Forecast o
f Airborne Molecular Cont
amination Limits for the
0.25 Micron High Performa
nce Logic Process」に掲載された
0.25μmプロセス(’98以降)に必要な化学汚染
許容濃度(ppt)によれば,つぎのような制御が必要
となる。即ち,酸性物質では,シリサイド工程で180
ppt,配線工程で5pptという厳しい制御が必要で
ある。また,塩基性物質については,フォトリソグラフ
ィ工程で1ppbという厳しい制御が必要である。ドー
パントについては,ゲート酸化膜前工程では0.1pp
tという極めて厳しい制御が必要である。特にボロンB
は,TFTトランジスタのチャネル領域を汚染してトラ
ンジスタ特性を劣化させる原因となる。有機物について
は,ゲート酸化膜前工程では1ppb,配線工程では2
ppbという厳しい制御が必要である。
【0005】半導体基板やガラス基板の製造を行う様々
な高度清浄装置,例えばクリーンルーム,クリーンベン
チ,クリーンチャンバ,清浄な製品を保管するための各
種ストッカなど様々な規模の高度清浄装置や,ミニエン
バイロメントと称する局所的な高度清浄装置において
は,前記SEMATECHのTechnology T
ransfer #95052812A−TRによれ
ば,これら高度清浄装置内のガス状汚染物質の制御に関
しては,種々のガス状の酸性物質,塩基性物質,有機
物,ドーパントなどの不純物が問題となる。このうち,
ドーパントは水溶性のホウ酸化合物やリン酸化合物とし
て酸性物質と似た化学的挙動を示し,ガス状の酸性物質
を吸着除去する能力のあるフィルタはドーパントも吸着
除去できる。ゲート酸化膜前工程では有機物とドーパン
トの一括除去,配線工程では酸と有機物の一括除去がそ
れぞれ必要となる。
【0006】これら4種の化学汚染物質のうちで,酸性
物質,塩基性物質,ドーパントの3種については水溶性
のものが多く,イオン交換反応,中和反応を起こし易
い。したがって,これら3種の化学汚染物質を清浄空間
の空気中から除去する手段としては,湿式洗浄(スクラ
バ)による水溶液への溶解除去手段や,イオン交換繊維
や薬品添着活性炭などのいわゆるケミカルフィルタによ
る化学吸着手段があった。一方,4種の化学汚染物質の
うちで,有機物については水に溶けにくいものが多く,
清浄空間の空気中から除去する手段としては,活性炭に
よる物理吸着手段があった。
【0007】ここで,酸性物質,塩基性物質,ドーパン
トのガス状無機不純物は,従来,湿式洗浄,イオン交換
繊維,薬品添着活性炭の3とおりの方法で除去されてき
た。
【0008】湿式洗浄では,液滴噴霧により酸性物質,
塩基性物質,ドーパントを溶解除去する。薬品添着活性
炭を用いたケミカルフィルタの最も簡素な形式として,
所定のケースなどに薬品添着粒状活性炭を詰め込んだ構
成の充填筒が知られている。また,その他の形式とし
て,薬品を添着した繊維状活性炭を低融点ポリエステル
やポリエステル不織布の有機系バインダと複合してフェ
ルト形状にした構成のケミカルフィルタや,薬品を添着
した粒状活性炭をウレタンフォームや不織布に接着剤で
強固に付着させたブロック形状およびシート形状のケミ
カルフィルタも知られている。イオン交換繊維を用いた
ケミカルフィルタは,空気中に含まれる酸性・塩基性の
不純物である各種イオンを,酸性陽イオン交換繊維と塩
基性陰イオン交換繊維を基材とする不織布,抄紙,フェ
ルト等からなるフィルタでイオン交換,除去するもので
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】湿式洗浄は,噴霧装置
のイニシャルコストが大きく,噴霧の高圧力損失による
ランニングコストも無視できない。さらに,半導体素子
(LSI)や液晶ディスプレイ(LCD)の製造時に利
用される高度清浄装置は,温度23〜25℃,相対湿度
40〜55%に保たれているから,高度清浄装置内の空
気を湿式洗浄しながら循環する場合,液滴噴霧後の温度
低下や湿度上昇に対処するため,液滴噴霧後の空気に対
して再度,温湿度制御を行う必要がある。また,液滴噴
霧後の空気中に残存する液滴除去も噴霧装置の後段に必
要となる(いわゆるキャリーオーバの問題)。さらに,
噴霧装置で循環使用される洗浄液の処理,例えばバクテ
リア類の発生防止や溶解汚染物の濃縮分離といった水処
理特有の問題がある。
【0010】薬品添着活性炭やイオン交換繊維を利用し
たいわゆるケミカルフィルタでは,つぎのような問題が
ある。まず,両者に共通する問題点として,例えば,天
井面が清浄空気の吹き出し面となっているクリーンルー
ムの場合についていえば,天井に取り付けられている粒
子除去用フィルタの上流側にケミカルフィルタを配置す
ることが,クリーンルームの空気雰囲気中のガス状不純
物を除去するために極めて有効な手段である。しかし,
活性炭は消防法において指定された可燃物であり,イオ
ン交換繊維も極めて着火しやすい素材であり,火気には
厳重な注意が必要である。このため,防災上の観点か
ら,活性炭やイオン交換繊維を使用したケミカルフィル
タは天井に配置し難い。
【0011】薬品添着活性炭を利用したケミカルフィル
タでは,つぎのような問題がある。即ち,充填筒形式の
従来のケミカルフィルタは,不純物の吸着効率は高い
が,圧力損失(通気抵抗)が高いという欠点を有する。ま
た,フェルト形状やシート形状の従来のケミカルフィル
タは優れた通気性があり,吸着効率も充填筒とさほど劣
らないが,構成材料(例えば,不織布,有機系バインダ
など)や,活性炭をシートに付着させている接着剤(例
えば,ネオプレン系樹脂,ウレタン系樹脂,エポキシ系
樹脂,シリコン系樹脂など)や,濾材を周囲のフレーム
に固着するために用いるシール材(例えばネオプレンゴ
ムやシリコンゴム等)などから発生したガス状有機不純
物がケミカルフィルタ通過後の空気中に含まれてしま
い,半導体の製造に悪影響を与える可能性がある。つま
り,これらフェルト形状やシート形状の薬品添着活性炭
を使用したケミカルフィルタは,クリーンルーム雰囲気
中に含まれるppbオーダの酸性または塩基性の極微量
不純物や,pptオーダのドーパントは除去しておきな
がら,ケミカルフィルタ自身から発生したガス状有機不
純物を通過空気中に混入させてしまう。
【0012】この種のフィルタとして特開昭61−10
3518号に示されるものがある。粉末活性炭とエマル
ジョン型接着剤と固体酸を含む水溶液をウレタンフォー
ムからなる基材に含浸させた後に乾燥させたフィルタで
あるが,エマルジョン型接着剤として示される合成ゴム
ラテックスやその他の水分散系の有機接着剤から,また
基材であるウレタンフォーム自体からもガス状有機物の
脱離が生じる。
【0013】イオン交換繊維を利用したいわゆるケミカ
ルフィルタでは,つぎのような問題がある。即ち,イオ
ン交換繊維を基材とする不織布,抄紙,フェルト等を優
れた通気性を有するフィルタ濾材に加工するために使用
されるバインダや接着剤,および濾材を周囲のフレーム
に固着するために用いるシール材などから発生したガス
状有機不純物がケミカルフィルタ通過後の空気中に含ま
れてしまい,半導体の製造に悪影響を与える可能性があ
る。また,フィルタ濾材からの発塵もある。
【0014】この種のフィルタとして特開平6−633
33号や特開平6−142439に示されるものがあ
る。前者の空気浄化システムに用いられるイオン交換繊
維を利用したいわゆるケミカルフィルタでは,構成材料
の高分子繊維に含まれる種々の添加剤からはガス状有機
物の脱離が生じ,またイオン交換基の一部がカルボン酸
やアンモニアとして脱離することもある。また,後者の
クリーンルーム内の微量汚染空気の浄化方法に用いられ
るイオン交換繊維を利用したいわゆるケミカルフィルタ
では,構成材料の高分子繊維不織布に含まれる種々の添
加剤からはガス状有機物の脱離が生じ,またイオン交換
基の一部がスルホン酸,カルボン酸,リン酸,アンモニ
アやアミンとして脱離することもある。
【0015】ケミカルフィルタ濾材からの発塵に対して
は,下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを設けな
ければならない。ケミカルフィルタの下流側に粒子状不
純物を除去するフィルタ(粒子除去用フィルタ)を設け
る場合,粒子除去用フィルタはガス状有機不純物を発生
する素材を構成要素として含むため,粒子状不純物を除
去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生するとい
う不具合もあった。
【0016】さらに,薬品添着活性炭やイオン交換繊維
を無機不純物除去用の吸着層として利用する従来のケミ
カルフィルタに共通する問題として,酸性と塩基性の両
方の無機不純物を含む空気を処理する場合,酸性不純物
除去用の吸着素材と塩基性不純物除去用の吸着素材をそ
れぞれ別に準備し,それら2種の吸着素材を混合したも
のを一つの吸着層に形成して使用するか,もしくは2種
別々に酸性不純物除去用吸着層と塩基性不純物除去用吸
着層を製作して重ね合わせて使用するという煩雑さがあ
った。
【0017】また,複数のプロセスのクリーンルーム雰
囲気が分離されずに混じり合うような場合,例えば1つ
の大部屋クリーンルームに複数のプロセスが存在する場
合には,つぎのような不都合が生じていた。従来のケミ
カルフィルタを使用して,無機不純物に敏感なあるプロ
セスにおいて,酸,塩基,ドーパントのガス状不純物を
除去したことで基板の品質が向上した。そのプロセスで
はケミカルフィルタ自身が発生するガス状有機不純物は
基板の品質に影響を及ぼさなかった。しかし,同ガス状
有機不純物が同じ部屋にある有機不純物に敏感な別のプ
ロセスにおいて基板の表面汚染を起こし,品質の低下を
招いた。したがって,複数のプロセスが混在する大部屋
クリーンルームにおいては,酸,塩基,ドーパントのガ
ス状無機不純物を除去する目的のケミカルフィルタで
は,これらのガス状無機不純物の除去性能が優れている
のみならず,フィルタ自身がガス状有機不純物を発生し
てはならない。酸,塩基,ドーパントのガス状無機不純
物を除去するのみならずクリーンルーム雰囲気中の基板
表面汚染の原因となるガス状有機不純物をも一括除去で
きるケミカルフィルタの開発が強く望まれていた。
【0018】酸性と塩基性の両方の無機不純物を一括し
て除去できる一種類の吸着素材を無機不純物除去用の吸
着層に利用できれば,吸着層体積の低減,圧力損失の低
減,吸着層製造コストの低減等の利点が期待できる。ま
た,無機不純物と有機不純物が混在して含まれる空気を
処理する場合,従来,無機不純物除去用のケミカルフィ
ルタとは別に活性炭を利用した有機不純物除去用のケミ
カルフィルタが必要であった。無機不純物と有機不純物
の両方が除去できるケミカルフィルタを発明できれば,
フィルタ体積の低減,圧力損失の低減,フィルタ製造コ
ストの低減等の利点が期待できる。
【0019】ケミカルフィルタを酸・塩基性汚染や有機
物汚染を防止できるクリーンルームやクリーンベンチな
どの高度清浄装置に適用するに当たっての留意点は以下
のとおりである。(1)ケミカルフィルタ自身がガス状
不純物や粒子状不純物の汚染源(いわゆる2次汚染源)と
ならないこと。(2)ケミカルフィルタの圧力損失が低
いこと。(3)ガス状不純物の除去性能が高くかつ寿命
が長いこと。前述したように,従来のケミカルフィルタ
はこれらの留意点を満足するものとは言い難い。
【0020】従って本発明の目的は,防災に優れ,かつ
フィルタ自身からのガス状有機不純物やガス状無機不純
物の脱離がなく,しかも処理対象空気中に含まれる微量
のガス状無機不純物のみならず,ガス状有機不純物も同
時に除去して,ガス状不純物による基板などの表面汚染
を防止できる空気浄化フィルタとその空気浄化フィルタ
を利用した高度清浄装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに,本発明にあっては,フライポンタイト鉱物の粉末
を,無機物の粉末をバインダとして,支持体の表面に固
着させて無機材料層を形成し,無機材料層内においてフ
ライポンタイト鉱物の粉末や無機物バインダの粉末の微
粒子が隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成されて
いることを特徴とする空気浄化フィルタである。無機材
料層内においてフライポンタイト鉱物の粉末や無機物バ
インダの粉末の微粒子が隣接する箇所には通気孔となる
間隙が形成され,処理対象ガスは,無機材料層の表面か
ら,該通気孔をかいくぐるように,無機材料層内部に入
り込んだり,逆に無機材料層内部から外部に出て行った
りする。そして,このように無機材料層内を通過する際
に,フライポンタイト鉱物により空気中の酸性や塩基性
のガス状不純物が吸着・除去される。
【0022】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末を,タルク,カオリン鉱物,ベントナイ
ト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナ
の混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガ
ラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種から
なる無機物の粉末をバインダとして,支持体の表面に固
着させて無機材料層を形成し,無機材料層内においてフ
ライポンタイト鉱物の粉末や無機物バインダの粉末の微
粒子が隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成されて
いることを特徴とする空気浄化フィルタである。シリカ
としては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとし
ては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミ
ナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの
混合ゲルが使用される。この空気浄化フィルタにおいて
も同様に,無機材料層内を通過する際に,フライポンタ
イト鉱物により空気中の酸性や塩基性のガス状不純物が
吸着・除去される。また,本発明にあっては,フライポ
ンタイト鉱物の粉末を,けいそう土,シリカ,アルミ
ナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活
性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マ
グネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの
少なくとも1種からなる無機物の粉末をバインダとし
て,支持体の表面に固着させて無機材料層を形成したこ
とを特徴とする空気浄化フィルタである。
【0023】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末を無機物の粉末をバインダとして固着させ
た第1の無機材料層と,けいそう土,シリカ,アルミ
ナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活
性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マ
グネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの
少なくとも1種からなる第2の無機材料層を,それら第
1の無機材料層と第2の無機材料層のいずれか一方が支
持体の表面に接する関係を持って積層したことを特徴と
する空気浄化フィルタである。シリカとしては例えばシ
リカゲルが使用される。アルミナとしては例えばアルミ
ナゲルが使用される。シリカとアルミナの混合物として
は例えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用さ
れる。この空気浄化フィルタにおいて,第1の無機材料
層と第2の無機材料層の一方においてバインダとして用
いられる無機物の粉末が,他方において用いられる無機
物の粉末と同じであっても異なっていてもよい。例え
ば,第1の無機材料層に用いたバインダとしての無機物
の粉末はタルク,カオリン鉱物,ベントナイトのような
粘土鉱物であっても構わない。また,第2の無機材料層
を構成する無機物バインダの粉末の微粒子が隣接する箇
所には通気孔となる間隙が存在するので,この請求項3
の空気浄化フィルタにおいても同様に,フライポンタイ
ト鉱物により空気中の酸性や塩基性のガス状不純物が吸
着・除去される。加えて,この請求項3の空気浄化フィ
ルタによれば,ガス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)
が高いシリカ等の無機物が,第1の無機材料層と第2の
無機材料層の両方に存在するので,請求項1,2の空気
浄化フィルタに比べてシリカ等の無機物の総和量が多く
なり,ガス状ホウ素化合物の除去効率の経時的変化が少
なく,比較的長時間に渡ってガス状ホウ素化合物を除去
できるといった特徴がある。
【0024】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末を,タルク,カオリン鉱物,ベントナイ
ト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナ
の混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガ
ラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種から
なる無機物の粉末をバインダとして造粒させ,フライポ
ンタイト鉱物の粉末や無機物バインダの粉末の微粒子が
隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成されている
レットを,支持体の表面に固着させたことを特徴とする
空気浄化フィルタである。シリカとしては例えばシリカ
ゲルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゲ
ルが使用される。シリカとアルミナの混合物としては例
えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用され
る。この空気浄化フィルタにおいても同様に,フライポ
ンタイト鉱物の粉末や無機物バインダの粉末の微粒子が
隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成され,処理対
象ガスは,ペレットの表面から,該通気孔をかいくぐる
ように,ペレット内部に入り込んだり,逆にペレット内
部から外部に出て行ったりする。そして,フライポンタ
イト鉱物により空気中の酸性や塩基性のガス状不純物が
吸着・除去される。
【0025】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒さ
せた第1のペレットの周囲に,けいそう土,シリカ,ア
ルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウ
ム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水
珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナ
イトの少なくとも1種からなる無機物の粉末をコーティ
ングした,第1のペレットの周囲にコーティングされた
無機物の粉末同士が隣接する箇所には通気孔となる間隙
が存在する第2のペレットを,支持体の表面に固着させ
たことを特徴とする空気浄化フィルタである。シリカと
しては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとして
は例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミナ
の混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの混
合ゲルが使用される。この空気浄化フィルタにおいて,
第1のペレットの周囲にコーティングされた無機物の粉
末同士が隣接する箇所には通気孔となる間隙が存在す
る。そして,ペレットの表面から,該通気孔をかいくぐ
るように,処理空気がペレット内部に入り込んだり,逆
にペレット内部から外部に出て行ったりする。そして同
様に,フライポンタイト鉱物により空気中の酸性や塩基
性のガス状不純物が吸着・除去される。
【0026】なお,本発明の空気浄化フィルタにおいて
は,フライポンタイト鉱物で空気中の酸性や塩基性のガ
ス状不純物が吸着・除去でき,バインダとして用いる無
機粉末にはミクロ孔域やメソ孔域の細孔を有する種類を
適宜選択することでDOP,DBP,BHT,シロキサ
ン等のガス状有機物が吸着・除去できるので,基板の表
面汚染に関与する多種の化学汚染物質が混在する雰囲気
であってもこれら化学汚染物質のほとんどを捕捉でき
る。
【0027】本発明の空気浄化フィルタにあっては,外
側の無機材料層によってそれらの下部にあるフライポン
タイト鉱物の粉末と無機物の粉末のバインダからなる無
機材料層からの発塵を防止する効果を有する。また,
2の無機材料層や外側の無機材料層を構成する無機物の
粉末が,基板の表面汚染に関与するDOP,DBP,B
HT,シロキサン等のガス状有機物の物理吸着に適した
細孔を有していれば,これらのガス状有機物がその細孔
によって吸着除去されるという効果もある。本発明の
気浄化フィルタにおいて第1の無機材料層を外側にした
場合には,前述の発塵防止効果はなくなるが,ガス状不
純物の吸着効果はあまり変わらず,空気と直接触れあう
外側の第1の無機材料層で空気中の酸性や塩基性のガス
状不純物の吸着・除去が行われ,内側の第2の無機材料
層で空気中のガス状有機不純物の吸着・除去が行われ
る。
【0028】ここで,フライポンタイト鉱物とは,組成
式が次の式(1)または(2)で表される1:1−型
(二重構造)蛇紋石亜群粘土鉱物に属するアルミノケイ酸
金属塩で,図1に示すように片面が固体塩基性でもう片
面が固体酸性の二重構造の結晶を有する。
【0029】
【化1】
【0030】固体塩基性と固体酸性のそれぞれの面が酸
と塩基のそれぞれに対する吸着サイトとなる。なお,高
橋範行・田中正範・佐藤悌治「合成フライポンタイトの
構造」日本化学会誌,1991,No.7,p.962
〜967によればフライポンタイトの単位層の厚みは
7.1オングストロームである。
【0031】本発明のように,フライポンタイト鉱物を
雰囲気中のガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物を除
去するために利用する場合,図2に示すように,二層構
造をもったフライポンタイトの単位層またはせいぜい数
層の積層体が,例えば無機物微粒子を介して互いに重な
らずに1枚ずつバラバラの状態で空間中に分散され,処
理対象空気が各フライポンタイトの単位層または数層の
積層体の表面に存在する吸着サイトに接触することが不
可欠である。したがって,空気の流通が容易な多孔性構
造体(その一例としては本発明の無機材料層)の内部に
フライポンタイトの単位層または数層の積層体が万遍な
く分布し,処理対象空気は多孔性構造体の通気孔から出
入りすることでフライポンタイトの微結晶子(例えば厚
みが数十オングストロームで広がりの直径が100オン
グストローム〜1μmの円盤)の表面に存在する吸着サ
イトと有効に接触することでガス状酸性不純物とガス状
塩基性不純物が除去できる。
【0032】なお,フライポンタイトの微結晶子は,ガ
ス状有機不純物の物理吸着に関与するミクロ孔域やメソ
孔域の細孔を有さないため,ガス状有機不純物を吸着・
除去する能力はない。また,フライポンタイト鉱物の粉
末には自己結合性がないため,フライポンタイト鉱物の
粉末をペレットに成型したり,支持体の表面に層状に固
着させるためには,バインダを添加しなければならな
い。本発明では,フライポンタイト鉱物の粉末を,タル
ク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリ
カ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミ
ニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の
含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベン
トナイトの少なくとも1種の無機物の粉末をバインダと
して用いて,支持体の表面に固着させて無機材料層の形
成,または造粒してペレットを形成する。なお,シリカ
としては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとし
ては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミ
ナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの
混合ゲルが使用される。
【0033】本発明において,前記支持体が,ハニカム
構造体であることが好ましい。また,請求項7に記載し
たように,前記ハニカム構造体が,無機繊維を必須成分
とする構造体であることが好ましい。このハニカム構造
の吸着層は,セラミック状の硬い表面を有し,薬品添着
活性炭やイオン交換繊維を利用した従来のケミカルフィ
ルタに比べて発塵量が極めて少ない。また,この支持体
のみならず,吸着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末
やそれを支持体表面に固着させるために用いるバインダ
も無機物の粉末とすることにより,本発明の空気浄化フ
ィルタを構成する材料からはガス状有機物の脱離がな
い。なお本明細書において,ハニカム構造体とは,いわ
ゆる蜂の巣構造の他,断面が格子状,波形状などであっ
て空気が構造体の要素となるセルを通過し得る構造をす
べて含む。本発明では支持体はハニカム構造体に特定さ
れない。ロックウールなどの三次元網目構造体もまた支
持体として好適に利用できる。この場合には後述するよ
うに,網目構造の平面方向のみならず奥行き方向にも本
発明の吸着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末を固着
させるのが良い。支持体表面への吸着剤の固着の方法に
は,無機物の粉末のバインダにより固着する方法や,吸
着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末を無機物の粉末
をバインダとして用いて造粒してペレットにし,このペ
レットを支持体表面に接着する方法がある。
【0034】また,本発明にあっては,けいそう土,シ
リカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アル
ミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造
の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベ
ントナイトの少なくとも1種からなる無機物の粉末をバ
インダにしてフライポンタイト鉱物の粉末を造粒させた
ペレット,もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を無
機物の粉末をバインダにして造粒させた第1のペレット
の周囲に,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとア
ルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多
孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘
土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種
からなる無機物の粉末をコーティングした第2のペレッ
トを,ケーシング内に充填したことを特徴とする空気浄
化フィルタである。シリカとしては例えばシリカゲルが
使用される。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使
用される。シリカとアルミナの混合物としては例えばシ
リカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用される。この
空気浄化フィルタにあっては,空気流路の形状・面積,
フィルタの設置条件に応じて,ケーシングの形状・大き
さ,ペレットの充填量を適宜選択し得るという設計上の
融通性が得られる。また本発明にあっては,フライポン
タイト鉱物の粉末を,タルク,カオリン鉱物,ベントナ
イト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミ
ナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質
ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種から
なる無機物の粉末をバインダとして造粒させ,フライポ
ンタイト鉱物の粉末と無機物バインダの粉末の微粒子が
隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成されているペ
レットを,もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を,
無機物の粉末をバインダとして造粒させ,フライポンタ
イト鉱物の粉末と無機物の粉末同士が隣接する箇所には
通気孔となる間隙が存在する第1のペレットの周囲に,
タルク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シ
リカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アル
ミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造
の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベ
ントナイトの少なくとも1種からなる無機物の粉末をコ
ーティングした第2のペレットを,ケーシング内に充填
たことを特徴とする空気浄化フィルタである。
【0035】また,本発明にあっては,前記無機物にお
いて,15〜300オングストロームの範囲に分布する
細孔の総容積が重量当たり0.2cc/g以上である
か,または細孔の比表面積が100m/g以上である
ことが好ましい。いずれにせよ,フライポンタイト鉱物
の粉末のバインダとして用いた無機材料層やペレットに
含まれる無機物の粉末は,フライポンタイト鉱物の粉末
を支持体表面に機械的に固着させておく能力またはフラ
イポンタイト鉱物の粉末をペレットに造粒する際の結合
剤としての能力とを原則として有し,フライポンタイト
鉱物の結晶層の表面に存在する酸性点と塩基性点に処理
対象ガスが容易に到達しうるための多孔性構造を合わせ
持つ。
【0036】ここで,バインダとして用いた無機物の粉
末について,15〜300オングストロームの範囲に分
布する細孔の総容積と,該無機物の細孔の比表面積を,
ガス吸着法により実測した結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】なお,シリカとしてシリカゲルを粉体試料
とした。また,アルミナとしてはアルミナゲルを粉体試
料とした。シリカとアルミナの混合物としてはシリカゲ
ルとアルミナゲルの混合ゲルを粉体試料とした。15〜
300オングストロームの範囲に分布する細孔に着目し
た理由は,この範囲の大きさの細孔がガス状有機不純物
の物理吸着を得意とするからである。フライポンタイト
鉱物やバインダとして用いた無機物の粉末の隣接部に形
成される間隙の通気孔を通じて,処理対象空気はフライ
ポンタイトの微結晶子の表面に存在する吸着サイトに容
易に到達できてガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物
が除去される。その際,バインダとして用いた無機物の
粉末表面に存在する前記範囲の大きさの細孔表面にガス
状有機不純物が物理吸着により除去される。本発明の主
な狙いであるガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物の
除去の他に,バインダとして用いた無機物粉末の細孔に
よる副次効果としてガス状有機不純物の一括除去まで実
現できる。
【0039】(I)のグループのバインダは(II)の
グループのバインダと比較して,比表面積と細孔容積は
いずれも,相当大きい。したがってガス状有機不純物の
物理吸着能力は,(I)のバインダが(II)のバイン
ダよりも相当優れている。(II)のグループのタル
ク,カオリン鉱物,ベントナイト等のバインダは通気性
を重視しており,隣接したバインダ微粒子同士または隣
接したバインダ微粒子と支持体に担持する吸着剤微粒子
の間隙部分に形成される通気孔の主要な大きさは500
オングストローム以上になる。つまり,通気孔は通気性
は極めて良くても物理吸着を起こしにくいマクロ孔であ
る。また,タルク,カオリン鉱物,ベントナイトといっ
たバインダ微粒子自体の表面にも物理吸着を起こしやす
い細孔はあまり存在しない。(II)のグループのバイ
ンダは,単に担持対象となるフライポンタイト鉱物の粉
末を支持体表面に機械的に担持するために使用し,この
場合,ガス状無機不純物の吸着能力を高めるためにフラ
イポンタイト鉱物の粉末の担持量を出来得る限り多く
し,バインダのフライポンタイト鉱物粉末に対する含有
割合は出来得る限り少ない方がよい。しかし,バインダ
の含有割合を少なくし過ぎるとフライポンタイト鉱物粉
末の支持体表面への固着が不完全となって剥がれや発塵
の原因となる。例えば,フライポンタイト鉱物粉末にベ
ントナイトのバインダとシリカの無機系固着補助剤を混
合して支持体に固着する場合,支持体表面の無機材料層
中のフライポンタイト鉱物粉末の含有割合(重量基準)
が75%を上回ると支持体表面の無機材料層の機械的強
度が弱くなって実用に耐えられなくなった。つまり,
(II)のグループのバインダには,フライポンタイト
鉱物粉末の担持能力と,担持されたフライポンタイト鉱
物粉末の表面に処理対象ガスが到達しやすいよう優れた
通気能力が要求されており,ガス状有機不純物の吸着能
力は要求されていない。これに対して,(I)のグルー
プのバインダを使用する場合には,隣接したバインダ微
粒子同士または隣接したバインダ微粒子とフライポンタ
イト鉱物微粒子の間隙部分に形成される通気孔は(I
I)のグループのバインダと変わらない。したがって,
フライポンタイト鉱物の粉末表面に処理対象ガスが到達
しやすいよう優れた通気性も有るため,フライポンタイ
ト鉱物の微結晶子の表面に存在する吸着サイトにおいて
ガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物が除去されると
いう特性は(II)のグループのバインダの場合と同様
に発揮される。
【0040】ガス状分子の物理吸着のしやすさは,ミク
ロ孔,メソ孔,マクロ孔の順であり,マクロ孔はほとん
ど物理吸着に関与しないといわれている。(I)のグル
ープのバインダでは,バインダ微粒子自体の表面に物理
吸着を起こしやすい細孔,つまり孔径が20オングスト
ローム以下の大きさの細孔であるミクロ孔や,孔径が2
0オングストローム以上500オングストローム以下の
大きさの細孔であるメソ孔が存在するため,フライポン
タイト鉱物では吸着できないDOP,DBP,BHTや
シロキサン等の基板表面の汚染の原因となるガス状有機
不純物は物理吸着によりバインダ微粒子自体の表面で吸
着除去される。
【0041】(I)のグループのバインダを使用する場
合についても,支持体表面の無機材料層に占めるフライ
ポンタイト鉱物粉末の含有割合(重量基準)には上限が
ある。例えば,フライポンタイト鉱物粉末をシリカゲル
をバインダとして支持体に固着する場合,支持体表面の
無機材料層中のフライポンタイト鉱物粉末の含有割合
(重量基準)が72%を上回ると該無機材料層の機械的強
度が弱くなって実用に耐えられなくなった。ただし,請
求項2および4において表1の(I)のグループの無機
物の粉末をバインダとして用いた空気浄化フィルタや,
請求項3,5の空気浄化フィルタにおいては,支持体は
ガス状有機不純物を吸着・除去する無機材料層やペレッ
トで被覆されている。したがって,仮に支持体がガス状
有機不純物を脱離するような有機材料を含んでいたとし
ても,支持体自体が発生するガス状有機不純物は支持体
を被覆する無機材料層やペレットで吸着・除去されてし
まうため,処理対象空気中にまで出ていくことはない。
【0042】また,本発明において,前記無機材料層,
第1の無機材料層,第2の無機材料層,ペレット,第1
のペレット及び第2のペレットの少なくともいずれか一
つに無機系固着補助剤を混入してもよい。その場合,
記無機系固着補助剤が珪酸ソーダ,シリカ又はアルミナ
の少なくとも一つを含むことが好ましい。なお,シリカ
としては例えばシリカゾルが使用される。アルミナとし
ては例えばアルミナゾルが使用される。なお,前記無機
物には固着や結合の能力はさほど要求されない場合もあ
る。また,外側(気流に接する側)に酸や塩基を吸着可
能な無機物を吸着層の構成要素として採用した場合に
は,バインダ(無機物)は専ら固着や結合の作用を奏す
る。
【0043】なお,本発明の空気浄化フィルタは,ガス
状有機不純物を発生しない素材のみで構成し,かつ,可
燃物を含まない素材のみで構成することが好ましい。
【0044】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末と,タルク,カオリン鉱物,ベントナイ
ト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナ
の混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガ
ラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種の無
機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体を含浸させた
後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に無機材料層を
固着させることができる。
【0045】また,本発明にあっては,フライポンタイ
ト鉱物の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散
させた懸濁液に支持体を含浸させた後,該支持体を乾燥
させて支持体の表面に第1の無機材料層を形成し,更
に,該第1の無機材料層を形成した支持体を,けいそう
土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪
酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン
状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,
活性ベントナイトの少なくとも1種の無機物の粉末を分
散させた懸濁液に含浸させた後,乾燥させて第1の無機
材料層の表面に第2の無機材料層を形成するか,もしく
は,支持体の表面に前記第2の無機材料層を形成した
後,更に該第2の無機材料層の表面に前記第1の無機材
料層を形成することを特徴とする空気浄化フィルタの製
造方法である。
【0046】また,本発明の製造方法によれば,前記空
気浄化フィルタをガス状有機不純物を発生しない素材の
みから構成することができる。また実質的に,前記空気
浄化フィルタは可燃物を含まない素材のみで構成される
ことになる。なお,本発明の製造方法においては,シリ
カとしては例えばシリカゲルが使用される。アルミナと
しては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアル
ミナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲル
の混合ゲルが使用される。前記支持体の表面に無機材料
層を形成したり,さらに第1の無機材料層と第2の無機
材料層の一方の上に他方を形成する際に,前記懸濁液に
ゾル状態の無機系固着補助剤を混入した場合,前記無機
材料層や,前記第1,第2の無機材料層はそれぞれ無機
系固着補助剤を含むことになる。
【0047】また,本発明にあっては,清浄雰囲気が要
求される空間内の空気を循環させる循環経路を備えた高
度清浄装置において,該循環経路に,前記いずれかに記
載の空気浄化フィルタを配置すると共に,前記空間より
上流側であって空気浄化フィルタの下流側に粒子状不純
物を除去するフィルタを配置したことを特徴とする。
高度清浄装置によれば,高度清浄装置内において循環
している空気中のガス状酸性不純物およびガス状塩基性
不純物と,場合によってはガス状有機不純物までも除去
して,この高度清浄装置内の処理空間でハンドリングさ
れる基板表面の雰囲気由来の表面汚染を防止することが
できる。
【0048】この高度清浄装置は,可燃物である活性炭
やイオン交換繊維を使用していないので防災に優れてお
り,従って,前記空気浄化フィルタと粒子状不純物を除
去するフィルタを,前記空間の天井部に配置することが
できるようになる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下,添付図面を参照しながら本
発明にかかる空気浄化フィルタ及びその製造方法の好ま
しい実施の形態について詳細に説明する。なお,以下の
説明において,単に”フィルタ”と称する場合はガス状
不純物除去を目的としたフィルタを指し,粒子の除去を
目的とした場合は”粒子除去用フィルタ”と呼んで区別
する。
【0050】図3は,本発明の実施の形態にかかるフィ
ルタ1の概略的な分解組立図である。図示のように,隣
接する波形シート10の間に,凹凸のない薄板シート1
1を挟んだ構造のハニカム構造体12全体に粉末状のフ
ライポンタイト鉱物をタルク,カオリン鉱物,ベントナ
イト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミ
ナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質
ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種の無
機物の粉末をバインダとして用いてハニカム構造体12
の表面に固着させた構成になっている。シリカとしては
例えばシリカゲルが使用される。アルミナとしては例え
ばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミナの混合
物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲル
が使用される。以下,バインダとして用いたこれら無機
物の粉末を単に無機バインダと称する。即ち,図示のよ
うにフィルタ1は,処理空気の流通方向(図中,白抜き
矢印13で示す方向)に開口するようにアルミニウム製
の外枠15a,15b,15c,15dを組み立て,そ
の内部空間に粉末状のフライポンタイトを無機バインダ
を用いて表面に固着した波形シート10と薄板シート1
1を,空気流通方向13に略平行に交互に積層すること
により構成される。フィルタ1の外形や寸法などは,設
置空間に合わせて任意に設計することができる。
【0051】ここで,フィルタ1の製造方法の一例を説
明する。先ず,無機繊維(セラミック繊維,ガラス繊
維,シリカ繊維,アルミナ繊維等)と有機材料(パル
プ,溶融ビニロンの混合物)と珪酸カルシウムの3つの
材料を1:1:1の等重量で配合し,湿式抄紙法により
約0.3mmの厚みに抄造する。なお,珪酸カルシウム
の代わりに,珪酸マグネシウムを主成分とするセピオラ
イト,パリゴルスカイト等の繊維状結晶の粘土鉱物を使
用してもよい。この抄造シートをコルゲータによって波
形加工し,出来上がった波形シート10を,同様の材料
を薄板形状に抄造した薄板シート11に接着剤で接着
し,図3に示すようなハニカム構造体12を得る。この
ハニカム構造体12を,電気炉に入れて約400℃で1
時間程度の熱処理を行い,有機質成分が全て除去され
る。有機質成分が除去された後のハニカム構造体の表面
には無数のミクロンサイズの陥没穴が残って,この陥没
穴を孔とする多孔性のハニカム構造体12を製造するこ
とができる。後にこの陥没穴に吸着剤や無機バインダの
微粒子がはまり込むことになる。次に,フライポンタイ
ト鉱物の粉末と,無機バインダを分散させた懸濁液に,
このハニカム構造体12を数分間浸した後引き上げ,約
300℃で1時間程度の熱処理で乾燥して,図4に示す
ように,ハニカム構造体12の表面にフライポンタイト
鉱物の粉末を無機バインダを用いて固着させて無機材料
層20を形成することにより,フィルタ1を得ることが
できる。前記懸濁液には無機系固着補助剤,例えば珪酸
ソーダ又はシリカ又はアルミナの少なくとも一種を混入
することも可能である。シリカとしては例えばシリカゾ
ルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゾル
が使用される。無機系固着補助剤の役割は,フライポン
タイト鉱物の粉末と無機バインダが,ハニカム構造体1
2の表面(ハニカム構造体12の要素となるセルの内表
面を含む(以下同様))に強固に固着するための補助剤
として機能する。こうして得られたフィルタ1は,構成
材料に可燃物を含まないし,フィルタが熱処理される際
に構成材料に含まれていた表面汚染の原因となるガス状
有機不純物成分が全て脱離・除去されるため,フィルタ
1自身からガス状有機不純物を発生することもない。
【0052】また,フィルタ1の別の製造方法を説明す
る。ハニカム構造体12を製作するまでは,前述の製造
方法と同じであるので省略する。この製造方法では,ハ
ニカム構造体12の表面に,フライポンタイト鉱物の粉
末を造粒して製造したペレットを接着剤で付着させるこ
とを特徴とする。フライポンタイト鉱物の粉末を造粒す
る際には,フライポンタイト鉱物の粉末と無機バインダ
を,適量の水と無機系固着補助剤を混入させた状態で混
合すると粘土状の粘性と可塑性を示すようになり,造粒
が可能となる。無機バインダや無機系固着補助剤の種類
は先に説明した製造方法と同様である。
【0053】さらに,フィルタ1の別の製造方法を説明
する。前述の製造法と全く異なる点は,ペレットの表面
の構造である。ペレットの表面には,無機吸着粉末がコ
ーティングされ,ペレットの表面にはガス状有機不純物
を吸着・除去する無機材料層が形成されている。
【0054】図5は,無機バインダを用いてフライポン
タイト鉱物の粉末を造粒したペレット21をハニカム構
造体12の表面に固着させた構成のフィルタ1の断面部
分拡大図である。波形のシート10と薄板シート11の
表面全体に隅なく,フライポンタイト鉱物の粉末を無機
バインダを用いて造粒したペレット21を不燃性接着剤
で固着する。処理空気は,この実施の形態では,疑似半
月形の断面形状をした細い筒部17を通過することにな
る。そして,このようにペレット21を固着したハニカ
ム構造体12を,電気炉に入れて接着剤の耐熱温度以下
の約100℃で2時間程度の熱処理を行い,接着剤に含
まれる表面汚染の原因となるガス状有機不純物成分を全
て脱離・除去することにより,フィルタ1を製造するこ
とができる。
【0055】このようにして製造されるフィルタ1は,
構成材料に可燃物を含まないため,フィルタ1を天井面
に取り付けた場合,可燃物である活性炭やイオン交換繊
維をベースとした従来のケミカルフィルタを天井面に取
り付けた場合と比較して,防災上の安全性は著しく高ま
る。なお,処理空気を通過させる空間の断面形状は,以
上のような半月形状に限らず,任意の形状とすることが
できる。
【0056】図6は,本発明におけるフライポンタイト
鉱物の粉末を無機バインダで支持体表面に担持した無機
材料層について示した無機材料層断面の部分拡大図であ
る。処理対象ガスは,無機材料層の表面(処理対象ガス
との接触面)から,フライポンタイト鉱物の微粒子と無
機バインダの微粒子との間に形成される通気孔をかいく
ぐるように,無機材料層内部に入り込んだり,逆に無機
材料層内部から外部に出て行ったりする。その際,フラ
イポンタイト鉱物微粒子ではガス状酸性不純物とガス状
塩基性不純物が除去され,バインダ微粒子ではその表面
に存在する物理吸着に適した細孔にガス状有機不純物の
分子が入り込んで吸着除去される。
【0057】本発明の第1の目的であるガス状酸性不純
物とガス状塩基性不純物の除去と共に,第2の目的であ
るガス状有機不純物の同時除去を達成するためには,主
としてメソ孔領域又はミクロ孔領域の細孔を有する無機
バインダを用いてフライポンタイト鉱物の粉末をハニカ
ム構造体12に無機材料層20として固着させてフィル
タ1を構成したり,同様の前記無機バインダによりフラ
イポンタイト鉱物の粉末をペレット21に成型してこの
ペレット21をハニカム構造体12の表面に固着させて
フィルタ1を構成する。
【0058】また,図7にA−A断面,B−B断面を示
すように,主としてメソ孔領域又はミクロ孔領域の細孔
を有する無機バインダによりフライポンタイト鉱物の粉
末をペレット21に成型し,このペレット21を側面に
多数の通気口23を有する二重円筒形状のケーシング2
2内に充填してフィルタ1’を構成することによって
も,本発明の目的を達成できる。処理空気はケーシング
22の内側円筒から流入し,ケーシング22内のペレッ
ト21の充填層を透過した後,ケーシング22の外側円
筒と外筒24に挟まれた空間を通過して出ていく。処理
空気の流通方向は矢印13で示した。
【0059】ここで,図1の二層構造をもったフライポ
ンタイトの単位層が数層から数十層重なったフライポン
タイトの微結晶子を工業的規模で合成する方法には水熱
方と共沈法の2通りがあり,高橋範行・田中正範・佐藤
悌治「フライポンタイトの合成」日本化学会誌,199
0,No.4,p.370〜375に詳細が記述されて
いる。
【0060】こうして得られた例えば,厚みが数十オン
グストロームで広がりの直径が100オングストローム
〜1μmの円盤状の合成フライポンタイトの微結晶の粉
末を,粒子直径が数十nmの粉末状の酸処理モンモリナ
イト(活性白土)の無機バインダと混合してハニカム構造
体12の表面に固着するか,この混合物をペレット21
に成型してハニカム構造体12の表面に固着するか,ケ
ーシング内に充填して,本発明のフィルタ1や1’を製
作することができる。なお,モンモリナイトとはフラン
スのモンモリオンで産出したAlSi(OH)4・
nHOなる化学組成の粘土鉱物に付けられた名称であ
り,モンモリナイトを酸処理すると,細孔径が15〜3
00オングストロームの細孔容積が約0.37cc/
g,比表面積が約300m/g程度となる。細孔容積
全体に占める細孔径が40オングストローム〜600オ
ングストロームの範囲の細孔容積の割合は22%もあ
り,酸処理モンモリナイト(活性白土)をフライポンタ
イト鉱物の粉末のバインダとして利用することで,フラ
イポンタイト鉱物単独では吸着できないガス状有機不純
物を該バインダの細孔内に物理吸着することができる。
【0061】表1の(II)のグループのバインダのう
ち,タルクやカオリン鉱物は結晶子サイズが大きく,マ
クロ孔域の容積は大きいが,ミクロ孔域やメソ孔域の内
部表面積や容積は小さく,物理吸着能力も小さい。ま
た,(II)のグループのバインダのうち,ベントナイ
トもマクロ孔域の容積は大きいが,ミクロ孔域やメソ孔
域の内部表面積や容積は小さく,物理吸着能力も小さ
い。一方,表1の(I)のグループのバインダのうち,
例えば,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱
物であるセピオライトの細孔は10オングストロームの
ミクロ孔と200オングストロームのメソ孔から成り,
ミクロ孔域やメソ孔域の内部表面積や容積は大きく物理
吸着能力も大きい。(I)のグループのバインダ,つま
りけいそう土,シリカ(シリカゲル),アルミナ(アル
ミナゲル),シリカとアルミナの混合物(シリカゲルと
アルミナゲルの混合ゲル),珪酸アルミニウム,活性ア
ルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネ
シウム質粘土鉱物,酸処理モンモリナイト(活性白土),
活性ベントナイトの無機物の粉末は物理吸着能力が大き
い。表1に示したように,これらの無機質はいずれも,
15オングストローム〜300オングストロームの範囲
に分布する単位重量当たりの細孔容積が0.2cc/g
以上であるか,または比表面積が100m/g以上で
ある。もちろん,これらの無機物の粉末はフライポンタ
イト鉱物の粉末を含む第1の無機材料層に重ねて形成す
る第2の無機材料層として好適に利用できる。
【0062】フライポンタイト鉱物の粉末と,メソ孔領
域またはミクロ孔領域の有効細孔径を有する無機バイン
ダを用いて該フライポンタイト鉱物の粉末を造粒したペ
レットを支持体に固着するために用意しておく態様で
は,該フライポンタイト鉱物の粉末と該無機物の粉末の
両者の粉末に例えば市水を混ぜて粘土状とし,0.3〜
0.8mm程度のペレットに造粒機にて造粒する。これ
を予め無機系かつ不燃性の接着剤を付着させた支持体に
高速空気を利用して吹き付けることで図5に示したよう
な本発明のフィルタを製作できる。支持体としては必ず
しもハニカム構造に限らず,ロックウール等の三次元網
目構造体を例示できる。後者では被処理空気が網目構造
体を横切って通過するため,空気抵抗は大きいが,フラ
イポンタイト鉱物のペレットとの接触機会はハニカム構
造体よりもむしろ多くなる。
【0063】次に,図8は,本発明の他の実施の形態に
かかるフィルタ31の概略的な分解組立図である。な
お,このフィルタ31において,ハニカム構造体12自
体の構成は先に図3で説明したフィルタ1の構成と同様
であるため,同じ構成要素については図8において図3
と同じ符号を付することにより詳細な説明は省略する。
【0064】このフィルタ31では,図9に示すよう
に,波形シート10と薄板シート11を積層したハニカ
ム構造体12の表面に,無機バインダを用いてフライポ
ンタイト鉱物の粉末を固着させて第1の無機材料層25
を形成し,更にその表面にメソ孔領域またはミクロ孔領
域の有効細孔径を有する無機物の粉末を固着させて第2
の無機材料層26を形成した構成になっている。以下,
メソ孔領域またはミクロ孔領域の有効細孔径を有する無
機物の粉末を「無機吸着粉末」と称する。フィルタ31
の外形や寸法などは,設置空間に合わせて任意に設計す
ることができる。なお,第1の無機材料層25を形成す
る際に使用する無機バインダの細孔径は,第2の無機材
料層26を形成する際に使用する無機吸着粉末とは異な
り,物理吸着に関与しないマクロ孔領域であってもよ
い。例えば,表1の(II)のグループのタルク,カオ
リン鉱物,ベントナイトのような粘土鉱物は物理吸着に
関与する細孔をほとんど有さないが,第1の無機材料層
25のバインダとして利用できる。また,珪酸ソーダ,
シリカ,アルミナのような無機系固着補助剤そのもので
あってもかまわない。なお,シリカとしては例えばシリ
カゾルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナ
ゾルが使用される。ただし,シリカゾルやアルミナゾル
は単分散のナノメータから数十ナノメータの一次粒子を
含む懸濁液であるが,支持体の表面に固着して乾燥した
状態では,一次粒子が集合した三次元凝集体であるシリ
カゲルやアルミナゲルに変化し,ガス状有機不純物を吸
着する能力を有するようになる。したがって,シリカゾ
ルやアルミナゾルの無機系固着補助剤はそれら単独で,
第1の無機材料層25のガス状有機不純物を吸着するバ
インダとして利用するシリカゲルやアルミナゲルと全く
同様に利用できるし,また,第2の無機材料層26のガ
ス状有機不純物を吸着する無機物として利用するシリカ
ゲルやアルミナゲルと全く同様に利用できる。つまり,
第1の無機材料層25は雰囲気中のガス状酸性不純物と
ガス状塩基性不純物を除去するために機能し,第2の無
機材料層26はガス状有機不純物を吸着除去するために
機能できればよい。また,第1の無機材料層25に含ま
れるフライポンタイト鉱物の粉末はフライポンタイトの
層状構造を有するため,層の剥がれによる発塵を生じ易
い。第1の無機材料層25が第2の無機材料層26で被
覆(コーティング)されておれば,このような不具合が
生じることもない。図10は,本発明における第1の無
機材料層と第2の無機材料層からなる複合層断面の部分
拡大図である。
【0065】図10において,支持体が有機材料を含む
ことによって,支持体自体からガス状有機不純物を脱離
する場合であっても,支持体を被覆する第2の無機材料
層26によって支持体から脱離したガス状有機不純物は
吸着・除去されるため,支持体から発生するガス状有機
不純物が第2の無機材料層26を突き抜けて処理対象空
気中に入ることはない。
【0066】ここで,フィルタ31の製造方法の一例を
説明する。先ず,多孔性のハニカム構造体12を製造す
る。無機材料層を形成する前までは先に説明した方法と
同様であり省略する。つぎにフライポンタイト鉱物の粉
末と,タルク,カオリン鉱物,ベントナイトのような無
機バインダを分散させた懸濁液に,ハニカム構造体12
を数分間浸した後,約300℃で1時間程度の熱処理で
乾燥して,第1の無機材料層25を形成する。つぎにメ
ソ孔領域またはミクロ孔領域の有効細孔径を有する無機
物の粉末,例えばけいそう土,シリカ,アルミナ,シリ
カとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミ
ナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウ
ム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイト等を分散さ
せた懸濁液に,第1の無機材料層を形成した後のハニカ
ム構造体12を数分間浸した後,約300℃で1時間程
度の熱処理で乾燥して,第2の無機材料層26を形成す
る。なお,シリカとしては例えばシリカゲルが使用され
る。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使用され
る。シリカとアルミナの混合物としては例えばシリカゲ
ルとアルミナゲルの混合ゲルが使用される。第2の無機
材料層26の形成に利用する前記リボン状構造の含水珪
酸マグネシウム質粘土鉱物としては,セピオライトやパ
リゴルスカイト等がある。こうして第1の無機材料層2
5の上に第2の無機材料層26をコーティングしたハニ
カム構造体12を得ることができる。第1の無機材料層
25と第2の無機材料層26を形成する際に使用される
無機物の粉末には無機系固着補助剤,例えば珪酸ソーダ
またはシリカまたはアルミナを少なくとも一つ混入して
もよい。なお,シリカとしては例えばシリカゲルが使用
される。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使用さ
れる。無機系固着補助剤の役割は,第1の無機材料層2
5を形成しているフライポンタイト鉱物の粉末や無機バ
インダが,ハニカム構造体12の孔などに強固に固着す
るための補助剤として機能したり,さらに第2の無機材
料層26を形成している無機吸着粉末が第1の無機材料
層25に強固に固着をするための補助剤として機能す
る。こうして得られたハニカム構造体12は,構成材料
に可燃物を含まないし,ハニカム構造体12が熱処理さ
れる際に構成材料に含まれていた表面汚染の原因となる
ガス状有機不純物成分が全て脱離・除去されるため,ハ
ニカム構造体12自身からガス状有機不純物を発生する
こともない。さらに,図8に示された外枠15の素材に
はアルミニウムのようなガス状有機物を発生せずかつ可
燃物を含まない素材を使用することが好ましい。また,
ハニカム構造体12を外枠15に固定する目的やハニカ
ム構造体12と外枠15との間隙部分を塞ぐ目的に使用
する接着剤やシール剤も,ガス状有機物を発生せずかつ
可燃物を含まない特性を有するものであることが好まし
い。この場合例えば,ハニカム構造体12に外枠15を
取り付けて組み立てを完了したフィルタ31全体に熱処
理を施して,フィルタ31の構成材料である不燃性の接
着剤やシール剤から表面汚染の原因となるガス状有機不
純物成分を全て脱離・除去してもよい。こうして,フィ
ルタ31全体を,可燃物を含まない素材のみで構成した
り,ガス状有機不純物を発生しない素材のみから構成し
たりすることができる。
【0067】また,フィルタ31の別の製造方法を説明
する。前述の製造方法で製作されるハニカム構造体やロ
ックウールなどの三次元網目構造体を支持体として利用
する。そしてこの製造方法例では,支持体の表面に,粒
状のフライポンタイト鉱物を接着剤で付着させる。粒状
のフライポンタイト鉱物については,フライポンタイト
鉱物の粉末に無機バインダを混合し,成型してペレット
形状とする。該ペレットの周囲に,メソ孔領域またはミ
クロ孔領域の有効細孔径を有する無機物の粉末をコーテ
ィングして被覆層を形成した被覆層付きフライポンタイ
ト鉱物ペレットを予め準備しておく。このペレットの製
作の仕方は,無機物の粉末の被覆層を形成するため,コ
ーティング用の無機物の粉末を分散した懸濁液にペレッ
ト形状に成型したフライポンタイト鉱物を浸した後,引
き上げ・乾燥して行われる。被覆層の機械的強度を増す
ため,該懸濁液にはコーティング用の無機物の粉末とと
もにゾル状の無機系固着補助剤を分散させて,ペレット
にコーティングされた該無機物の粉末に無機系固着補助
剤が含まれるようにしてもよい。コーティング用の該無
機物の粉末や無機系固着補助剤の種類は前述したとおり
である。
【0068】図21は,本発明の実施の形態にかかる高
度清浄装置100の構成を概略的に示す説明図である。
この高度清浄装置100は,具体的には,例えばクリー
ンルームやクリーンベンチなどである。高度清浄装置1
00は,例えばLSIやLCDなどの製造を行うための
処理空間102と,この処理空間102の上下に位置す
る天井部(サプライプレナム)103及び床下部(レタ
ーンプレナム)104と,処理空間102の側方に位置
するレタン通路105から構成される。
【0069】天井部103には,ファンユニット110
と通気性を有するガス状不純物除去用のフィルタ111
と粒子除去用のフィルタ112を有するクリーンファン
ユニット113が配置されている。処理空間102に
は,熱発生源となる例えば半導体の製造装置114が設
置されている。床下部104は多数の孔が穿孔されたグ
レーティング115で仕切られている。また,床下部1
04には,半導体製造装置114の熱負荷を処理するた
めのドライコイル116が設置されている。ドライコイ
ル116は,熱交換表面に結露を生じさせない条件で空
気を冷却する空気冷却器を意味する。レタン通路105
に温度センサ117が設置されており,この温度センサ
117で検出される温度が所定の設定値となるように,
ドライコイル116の冷水流量調整弁118が制御され
る。
【0070】そして,クリーンファンユニット113の
ファンユニット110が稼働することによって,適宜気
流速度が調整されながら,高度清浄装置100内部の空
気は,天井部103→処理空間102→床下部104→
レタン通路105→天井部103の順に流れて循環する
ように構成されている。またこの循環中に,ドライコイ
ル116によって冷却され,クリーンファンユニット1
13内のガス状不純物除去用のフィルタ111と粒子除
去用のフィルタ112によって空気中のガス状不純物と
粒子状不純物が除去されて,適温で清浄な空気が処理空
間102内に供給されるようになっている。
【0071】ガス状不純物除去用のフィルタ111は,
先に説明した本発明によるフライポンタイト鉱物の粉末
を含む空気浄化フィルタであって,循環空気からガス状
の酸性・塩基性不純物と場合によってはガス状の有機不
純物までも除去する。また空気浄化フィルタ111は,
可燃物を含まない素材のみで構成され,かつガス状有機
不純物を発生しない素材のみで構成されている。
【0072】粒子除去用フィルタ112は空気浄化フィ
ルタ111の下流側に配されており,このフィルタ11
2は粒子状不純物を除去することが可能な機能を有して
いる。また粒子除去用フィルタ112は,ガス状有機不
純物を発生しない素材のみで構成されている。
【0073】また,高度清浄装置100の床下部104
内には,取り入れ外気が空気流路120を経て適宜供給
される。この空気流路120にも,取り入れ外気からガ
ス状不純物を除去するための本発明による空気浄化フィ
ルタ121が配されており,空気浄化フィルタ121の
上流側には,取り入れ外気の除塵・調温・調湿を行うユ
ニット型空調機122が設けられている。また,空気流
路120には湿度センサ127が配置されており,この
湿度センサ127で検出される湿度が所定の設定値とな
るように,ユニット型空調機122の調湿部の給水圧調
整弁129が制御される。一方,処理空間102内には
湿度センサ128が設置されており,この湿度センサ1
28で処理空間102内の雰囲気の湿度が検出される。
【0074】空気流路120から高度清浄装置100の
床下部104に供給された取り入れ外気は,レタン通路
105及び天井部103を経由して,処理空間102に
導入される。そして,この取り入れ外気に見合った空気
量が,排気口125から排気ガラリ126を介して室外
に排気される。
【0075】本発明による空気浄化フィルタ111は,
構成材料に可燃物を含まないため,図21のように空気
浄化フィルタ111を天井面に取り付けた場合,可燃物
である活性炭やイオン交換繊維をベースとした従来のケ
ミカルフィルタを天井面に取り付けた場合と比較して,
防災上の安全性は著しく高まる。なお,図21に示した
高度清浄装置100において,取り入れ外気を処理する
空気浄化フィルタ121も循環空気を処理する空気浄化
フィルタ111と同様の構成とすれば,可燃物である活
性炭やイオン交換繊維をベースとした従来のケミカルフ
ィルタを外気取り入れ口に取り付けた場合と比較して,
防災上の安全性は更に高まる。
【0076】通常の粒子除去用の中性能フィルタ,HE
PAフィルタまたはULPAフィルタは,繊維濾材に揮
発性有機物を含む濾材用バインダを使用したり,繊維濾
材とフィルタ枠材の接着に揮発性有機物を含むシール材
を使用ているので,濾材用バインダや接着剤からの脱ガ
スがある。したがって本発明を構成する粒子除去用フィ
ルタ112に関しては,揮発性有機物を含む濾材用バイ
ンダを使用しない濾材を用い,あるいは揮発性有機物を
含む濾材用バインダを使用していても焼きだしなどの処
理により揮発性有機物を除去した濾材を用い,さらに濾
材をフレームに固定する手段であるシール材にも脱ガス
の発生のない種類を選択したり,あるいは濾材を脱ガス
のない素材で物理的に圧着してフレームに固定すること
が望ましい。
【0077】つぎに,本発明の他の実施の形態にかかる
高度清浄装置100’を図22に示した。この図22に
示す高度清浄装置100’は,本発明によるフライポン
タイト鉱物の粉末を含むハニカム構造体の空気浄化フィ
ルタ111を高度清浄装置100’の天井部103全面
に取り付けるのではなく,所々間引いて設置している。
本例では,図21と比較して空気浄化フィルタ111の
設置台数を半分にした。その他の点は,先に図21にお
いて説明した高度清浄装置100と同様の構成である。
従って,図22に示す高度清浄装置100’において,
先に図21で説明した高度清浄装置100と同じ構成要
素については同じ符号を付することにより,詳細な説明
は省略する。
【0078】本発明の空気浄化フィルタが除去の対象と
する化学汚染物質は,酸性物質,塩基性物質,ドーパン
ト,有機物である。代表的な障害事例を説明すると,酸
性ガス特にフッ酸(HF)は粒子除去用フィルタ濾材で
あるガラス繊維からのボロン(B)の揮発を促進し,塩
基性ガスはレジストの解像の障害になる。ボロン(B)
やリン(P)は半導体デバイスの動作不良を起こす。特
にボロン(B)は,TFTトランジスタのチャネル領域
を汚染してトランジスタ特性を劣化させる原因となる。
ガス状の有機物が基板表面に付着すると,絶縁酸化膜の
不良,レジスト膜の密着不良,表面抵抗値が高くなって
微粒子の静電吸着が起こりやすくなる。また,ガス状の
有機物は露光装置のレンズやミラーの曇りを発生する原
因となる。これらガス状不純物の発生源には,洗浄装
置,作業者,クリーンルーム構成部材などの高度清浄装
置内部に存在する発生源と,外部から高度清浄装置内へ
進入する外気由来の汚染物がある。したがって,空気浄
化フィルタ111の役割は,主として高度清浄装置内部
で発生するガス状汚染物を循環空気中から除去し,高度
清浄装置内部のこれらガス状汚染物濃度を低減すること
である。一方,空気流路120に配設した空気浄化フィ
ルタ121の役割は,外部から高度清浄装置内へ進入す
る外気由来の汚染物を除去し,高度清浄装置内部のこれ
らガス状汚染物濃度を低減することである。空気浄化フ
ィルタ111および121を備えた高度清浄装置を稼働
すると,稼働初期に高度清浄装置内部の化学汚染物質の
濃度は最も高く,稼働時間の経過とともに,循環空気中
からこれら化学汚染物質が逐一除去されて,濃度は低下
していき,遂には高度清浄装置内部の発生量と平衡する
濃度で安定化する。空気が1回循環する際に除去される
化学汚染物質量は,天井全面に取り付けた図21の高度
清浄装置100と,間引いた図22の高度清浄装置10
0’を比較すると,2:1の関係がある。つまり,稼働
初期の最高濃度から,高度清浄装置内部の発生量と平衡
する濃度まで達するまでの時間は,間引いた図22の高
度清浄装置100’の場合は天井全面に取り付けた図2
1の高度清浄装置100の場合よりも相当に長くなる。
また,最終的に到達する平衡濃度も,間引いた場合は天
井全面に取り付けた場合よりも少し高くなる。つまり,
間引くと濃度の低減に時間がかかり,低減後の平衡濃度
も間引かない場合よりも少し高くなるという短所はある
が,空気浄化フィルタ111のイニシャルコストや定期
的交換に伴うランニングコストを安くしたいという経済
的要望から,この図22に示す例のように,空気浄化フ
ィルタ111の設置台数を間引くことも多い。
【0079】
【実施例】次に,以上に説明した本発明の実施の形態に
かかるフィルタの作用効果を,実施例によって説明す
る。
【0080】まず,クリーンルーム中において,ガス状
無機不純物を除去するために薬品を添着した粒状活性炭
と繊維状活性炭をそれぞれ使用した市販のケミカルフィ
ルタ2種とイオン交換繊維を使用したケミカルフィルタ
のそれぞれにより処理したクリーンルームエアと,図8
に示した本発明によるフィルタにより処理したクリーン
ルームエアの計4つの雰囲気中で,酸化膜付きシリコン
ウェハ表面の接触角の経時変化を測定した。その結果を
図11に示した。
【0081】図11に示す接触角は,基板の表面に超純
水を滴下して測定した。この接触角は,基板表面の有機
物汚染の程度を簡便に評価する指標である。洗浄直後の
有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハやガラスの
表面は水に馴染みやすい性質,つまり親水性であり,接
触角は小さい。ところが,有機物で汚染されたそれらの
表面は水をはじく性質,つまり撥水性であり,接触角は
大きくなる。例えば,クリーンルーム雰囲気中に放置さ
れたガラス基板表面を対象に,超純水滴下による接触角
の測定値と,X線光電子分光法(XPS:X−ray
Photoelectron Spectroscop
y)により測定した有機物表面汚染は,図12に示すよ
うな相関関係があることが知られている。酸化膜付きシ
リコンウェハの表面についても,接触角と有機物表面汚
染の間にはほぼ同様の相関関係がある。このように,基
板表面における水の接触角の大きさと有機物表面汚染の
間には極めて強い相関がある。
【0082】図11の結果からつぎのことが分かる。イ
オン交換繊維は本来水溶性無機不純物を吸着除去するた
めのものであるので,処理対象空気中の有機物は吸着で
きない。それどころか逆に,イオン交換繊維自体が新た
なガス状有機物を発生する。1日放置で約10゜の接触
角の増加が見られる。ガス状無機不純物汚染を防止する
目的の活性炭フィルタ2種も,処理対象空気中の有機物
は吸着できない。それどころか逆に,活性炭フィルタ自
体が新たなガス状有機物を発生するため,1日放置で約
10゜の接触角の増加となった。図8の本発明によるフ
ィルタでは,ウェハ表面を1日放置しても接触角はほと
んど増加せず,処理対象空気中の有機物は吸着除去され
ると共に,フィルタ自体が新たなガス状有機物を発生し
ていないことが明らかになった。
【0083】活性炭フィルタでは構成材料や活性炭をシ
ートに付着させている接着剤や濾材を周囲のフレームに
固着するために用いるシール材などから,またイオン交
換繊維フィルタでは構成材料の高分子繊維に含まれる種
々の添加剤から,発生したガス状有機不純物がケミカル
フィルタ通過後の空気中に含まれてしまう。また,イオ
ン交換繊維フィルタではイオン交換基の一部がスルホン
酸,カルボン酸,リン酸,アンモニアやアミンとして脱
離することもある。つまり,これら従来のケミカルフィ
ルタは,クリーンルーム雰囲気中に含まれるppbオー
ダの酸性または塩基性の極微量不純物や,pptオーダ
のドーパントは除去しておきながら,ケミカルフィルタ
自身から発生したガス状有機不純物を通過空気中に混入
させてしまう。それどころか従来のケミカルフィルタを
使用したことによって,逆にクリーンルーム雰囲気中の
基板表面汚染の原因となるガス状有機物濃度を高めてし
まうこともあった。
【0084】本発明によるハニカム構造体の2種のフィ
ルタa,bに,HCl,NH,DOP,5量体のシロ
キサン(D5)をそれぞれ数百pptから数ppb含む
クリーンルームエアを通気させた。ハニカム構造体の上
流側と下流側のそれぞれの雰囲気中のHClとNH
濃度はイオンクロマトグラフィ(IC)により測定して
それぞれの除去効率を測定した。さらに,ハニカム構造
体の上流側と下流側のそれぞれの雰囲気中に設置したシ
リコンウェハ表面のDOPとD5による有機物表面汚染
量を測定して比較し,有機物表面汚染の防止効果を評価
した。さらに,ハニカム構造体の下流側のそれぞれの雰
囲気中の浮遊微粒子濃度(1ftの空間中に含まれる
粒径0.1μm以上の粒子の個数)を測定した。上流側
の浮遊微粒子濃度は10個/ftであった。その結果
を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】有機物表面汚染量の評価には,4インチの
p型シリコンウェハを用いた。洗浄後のウェハをフィル
タの上流側と下流側でそれぞれ曝露し,表面汚染を測定
した。ウェハ表面に付着した有機物の分析・測定には,
昇温ガス脱離装置とガスクロマトグラフ質量分析装置を
組み合わせて用いた。また,ガスクロマトグラフに基づ
いて次のようにして表面汚染防止率を求めた。 表面汚染防止率 = (1−(B/A))×100
(%) A :上流側のウェハ表面から検出された汚染有機物質
のピークの面積 B :下流側のウェハ表面から検出された汚染有機物質
のピークの面積
【0087】本実施例による2種のフィルタaとbはい
ずれも,図3や図8に示したように,隣接する波形シー
トの間に凹凸のない薄板シートを挟んだ構造を有する。
フィルタの通気方向の厚みは10cm,通気風速は0.
6m/s,フィルタに通気する処理空気が接触するフィ
ルタ単位体積当たりのシート総表面積は3000m
であった。
【0088】本発明のフィルタaは,人工的に合成した
フライポンタイトの微結晶子(厚みが数十オングストロ
ームで広がりの直径が100オングストローム〜1μm
の円盤)の粉末を,無機バインダとしてのカオリナイト
の3μmの粉末と混合し,無機系固着補助剤としてのシ
リカゾルと共に分散させたスラリーに前述の多孔性ハニ
カム構造体を浸した後,乾燥して第1の無機材料層を形
成した。つぎに,有効細孔径が主として20オングスト
ローム〜1000オングストロームに分布した活性白土
の3μmの粉末を,無機系固着補助剤としてのシリカゾ
ルと共に分散させたスラリーに,第1の無機材料層が形
成された前述のハニカム構造体を再度浸した後,乾燥し
て第2の無機材料層を形成した。前記第1の無機材料層
の厚みは100μm,その重量組成比は,フライポンタ
イト鉱物:カオリナイト:シリカ=70%:25%:5
%,さらに前記第2の無機材料層の厚みは10μmで,
その重量組成比は,酸処理モンモリナイト:シリカ=8
7%:13%であった。フィルタ全体の密度は230g
/リットル,そのうち無機材料層が占める密度は90g
/リットル(フィルタ全体の39%)であった。
【0089】本発明のフィルタbは,前述のフライポン
タイト鉱物の粉末に3μmのカオリナイトの無機バイン
ダを混合して,シリカゾルを無機系固着補助剤として共
に分散させたスラリーに前述の多孔性ハニカム構造体を
浸した後,乾燥して製作した。フィルタbに使用したカ
オリナイトは大きさが1000オングストローム以上で
ある通気孔以外に主要な細孔を有さないから,物理吸着
の能力はほとんどない。一方,フィルタaに使用した活
性白土は有効細孔径が主として20オングストローム〜
1000オングストロームに分布しており,物理吸着能
は活性炭と比較して遜色ない。
【0090】本発明のフィルタaとbの異なる点は,フ
ィルタbはフィルタaのように,第2の無機材料層(活
性白土の層)に相当するものを有していないという点で
ある。表2から明かなことは,HCl,NHのガス状
無機不純物の除去についてはフライポンタイト鉱物の粉
末が入った第1の無機材料層のみが有効なため,第2の
無機材料層の有無はそれらの除去効率に影響を与えな
い。しかし,高度清浄装置内の基板表面から検出される
有機汚染物のうちで最も量が多い種類のDOPや5量体
のシロキサン(D5)は,物理吸着能力の優れた第2の
無機材料層の有無でそれらの除去効率は大きく異なる。
つまり,第2の無機材料層を設けたフィルタaは,ガス
状無機不純物のみならずガス状有機不純物をも一括除去
できる。
【0091】次に,本発明に従って製造した種々のタイ
プのフィルタの比較を行った。その結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】表3において,本発明Aは,ハニカム構造
体の表面に,フライポンタイト鉱物の粉末を,バインダ
としてのカオリナイトと無機系固着補助剤であるアルミ
ナゾルを混合させて固着し,無機材料層を形成したこと
を特徴とする空気浄化フィルタである。
【0094】本発明Bは,ハニカム構造体の表面に,フ
ライポンタイト鉱物の粉末と酸処理モンモリナイト(活
性白土)のバインダに無機系固着補助剤であるアルミナ
ゾルを混合させて固着し,無機材料層を形成したフィル
タである。本発明Cは,本発明Aのフィルタ表面に,さ
らに酸処理モンモリナイトの粉末により第2の無機材料
層を形成したフィルタである。本発明Dは,本発明Bの
フィルタ表面に,更に酸処理モンモリナイトの粉末によ
り第2の無機材料層を形成したフィルタである。本発明
Eは,ハニカム構造体の表面に,まず酸処理モンモリナ
イトの粉末からなる無機材料層を形成し,さらにその上
に重ねてフライポンタイト鉱物の粉末をバインダとして
のカオリナイトと無機系固着補助剤であるアルミナゾル
を混合させた無機材料層を形成したフィルタである。つ
まり,本発明Cの第1の無機材料層と第2の無機材料層
のハニカム構造体の表面への固着の順序を入れ換えてい
る。本発明Fは,ハニカム構造体の表面に,まず酸処理
モンモリナイトの粉末からなる無機材料層を形成し,さ
らにその上に重ねて,酸処理モンモリナイトのバインダ
と無機系固着補助剤であるアルミナゾルにフライポンタ
イト鉱物の粉末を混合させて別の無機材料層を形成した
フィルタである。つまり,本発明Dの第1の無機材料層
と第2の無機材料層のハニカム構造体の表面への固着の
順序を入れ換えている。
【0095】これら各フィルタの無機材料層の構造を図
13〜18に拡大して断面図として示した。無機材料層
の構造の理解をより容易にするため,図15を例にとり
透視模式図も併せて示した。これらの図は,図6または
図10に示した無機材料層を,無機材料層の厚みを高さ
とする円筒状に切り出し,その円筒内に存在する細孔に
ついて,ガス状有機不純物の物理吸着に関与する細孔で
あるミクロ孔やメソ孔の分布の様子を細い空孔で,ガス
状有機不純物の物理吸着にほとんど関与しないマクロ孔
の分布の様子を太い空孔で,概念的に模式図として示し
たものである。
【0096】本発明Aは,図13に示すように,フライ
ポンタイト鉱物の粉末を含む無機材料層51は,大きさ
が1000オングストローム以上の通気孔以外に主要な
細孔を有さないから,ガス状有機不純物の物理吸着の能
力はほとんどない。本発明Bは,図14に示すように,
フライポンタイト鉱物の粉末を含む無機材料層52には
酸処理モンモリナイトの微粒子の表面に約15〜300
オングストローム程度の細孔が形成されており,前記物
理吸着の能力がある。発明Cは,図15に示すように,
フライポンタイト鉱物の粉末を含む第1の無機材料層5
3は,大きさが1000オングストローム以上の通気孔
以外に主要な細孔を有さないから,前記物理吸着の能力
はほとんどないが,フライポンタイト鉱物の粉末を含ま
ない第2の無機材料層54には酸処理モンモリナイトの
微粒子の表面に約15〜300オングストローム程度の
細孔が形成されており,前記物理吸着の能力がある。本
発明Dは,図16に示すように,フライポンタイト鉱物
を含む第1の無機材料層55とフライポンタイト鉱物の
粉末を含まない第2の無機材料層56の両方に酸処理モ
ンモリナイトの粉末が含まれるから,その両方の無機材
料層に前記物理吸着の能力がある。本発明Eは,図17
に示すように,フライポンタイト鉱物の粉末を含まない
第1の無機材料層57には酸処理モンモリナイトが含ま
れるから前記物理吸着の能力があるが,フライポンタイ
ト鉱物の粉末を含む第2の無機材料層58は,大きさが
1000オングストローム以上の通気孔以外に主要な細
孔を有さないから,物理吸着の能力はほとんどない。本
発明Fは,図18に示すように,フライポンタイト鉱物
の粉末を含まない第1の無機材料層59とフライポンタ
イト鉱物の粉末を含む第2の無機材料層60の両方に酸
処理モンモリナイトの約15〜300オングストローム
程度の細孔が形成されており,その両方の無機材料層に
前記物理吸着の能力がある。
【0097】これら各フィルタについて,先と同様に表
面汚染防止率を調べた結果,本発明のフィルタは,何れ
もHCl,NHのガス状無機不純物の吸着に優れてい
た。しかし,DOPや5量体のシロキサン(D5)のガ
ス状有機不純物については,本発明Aのフィルタの吸着
性能が特に劣り,それ以外の本発明のフィルタB〜Fに
ついては,吸着性能は優れていた。本発明Aがガス状有
機不純物の吸着性能に劣る理由は,無機材料層51は大
きさが1000オングストローム以上の通気孔以外に主
要な細孔を有さないから,ガス状有機不純物の物理吸着
の能力はほとんどないためである。それ以外のフィルタ
にはガス状有機不純物の物理吸着に優れた約15〜30
0オングストローム程度の細孔が形成されているため,
優れた吸着性能が得られた。
【0098】本発明のフィルタが処理の対象とするのは
空気のみに限定されず,窒素やアルゴンのような不活性
ガスを処理しても同様に半導体やLCDの製造などに好
適な不活性ガスを作り出すことができるのは言うまでも
ない。
【0099】次に,本発明によるハニカム構造体の2種
のフィルタX,Yに,塩化水素ガス50vol ppb
とガス状ホウ素化合物80ng/m(ホウ素原子Bと
しての重量濃度)を同時に含むクリーンルーム空気を通
気させ,それぞれの除去率を調べた。フィルタXは,ハ
ニカム構造体の表面にフライポンタイト鉱物の粉末を無
機物の粉末をバインダとして固着させた第1の無機材料
層(吸着第1層)のみからなる。フィルタYは,ハニカ
ム構造体の表面にフライポンタイト鉱物の粉末を無機物
の粉末をバインダとして固着させた第1の無機材料層
(吸着第1層)と,この吸着第1層の上にシリカゲルか
らなる第2の無機材料層(吸着第2層)を積層したもの
である。これらフィルタX,Yのいずれも,ハニカム構
造体はアルミナと珪酸からなるセラミックスファイバで
ある。フィルタXは,フライポンタイト鉱物の粉末と無
機物の粉末を分散させた懸濁液にハニカム構造体を含浸
させた後,乾燥させてハニカム構造体の表面に吸着第1
層を固着させた。フィルタYは,フライポンタイト鉱物
の粉末とバインダ(無機物)の粉末を分散させた懸濁液
にハニカム構造体を含浸させた後,乾燥させてハニカム
構造体の表面に吸着第1層を形成し,更に,吸着第1層
を形成したハニカム構造体支持体をシリカゲルの粉末を
分散させた懸濁液に含浸させた後,乾燥させて吸着第1
層の表面に吸着第2層を形成した。これらフィルタX,
Yの構成を表4に示した。
【0100】
【表4】
【0101】図19に示すように,塩化水素ガス50v
ol ppbとガス状ホウ素化合物80ng/m(ホ
ウ素原子Bとしての重量濃度)を同時に含むクリーンル
ーム(CR)空気を,フィルタを備えた回路70とフィ
ルタを備えていない回路71にそれぞれ導き,これら回
路70,71を通過した空気を容器72,73内にて超
純水にバブリングすることにより,空気中の塩化水素ガ
スとガス状ホウ素化合物を捕集した。なお,いずれの回
路70,71中にもガス状ホウ素化合物の発生の心配の
ないポリテトラフルオロエチレン(商標名テフロン)製
の粒子除去用フィルタ74を設置した。また,バブリン
グ後の超純水中のホウ素濃度をICP−MS(Indu
ctively Coupled Radio Fre
quency Plasma−Mass Spectr
ometory)により測定した。そして,回路70中
において除去した塩化水素ガスとガス状ホウ素化合物の
除去量を,回路71中を流れる空気中の塩化水素ガスと
ガス状ホウ素化合物の含有量と比較することにより,除
去効率を調べた。
【0102】この図19に示した回路70中のフィルタ
として先に説明したフィルタX,Yを用い,塩化水素ガ
スとガス状ホウ素化合物の除去効率を比較した。なお,
ハニカムサイズ,通気条件等は次の通りである。 ハニカムサイズ:7.5mm×7.5mm×50mmt 通気流量:4.1リットル/min 面風速:1.2m/s バブリング時間:5日間
【0103】図20に,フィルタX,Yについての塩化
水素ガスとガス状ホウ素化合物の除去効率の経時的変化
を示す。フライポンタイト鉱物中に含まれる金属(亜鉛
又はマグネシウム)の全部が塩化水素と反応し尽くして
塩化水素ガスの吸着能力を失うまではフィルタX,Yの
塩化水素除去率に大きな差は見られない。しかし,ガス
状ホウ素化合物の除去効率の経時的変化については,フ
ィルタXよりもフィルタYが明らかに優れている。これ
は,ガス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリ
カゲルが,フィルタYでは吸着第1層と吸着第2層の両
方に存在し,フィルタXよりもフィルタYの方がシリカ
ゲルの総和量が多いことに起因する。このように,ガス
状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリカが吸着
第1層と吸着第2層の両方に存在するフィルタYは,比
較的長時間に渡ってガス状ホウ素化合物を除去できるこ
とが分かった。
【0104】次に,本発明の実施の形態にかかわる高度
清浄装置の作用効果を,実施例によって説明する。
【0105】先に図8で説明したガス状無機不純物のみ
ならずガス状有機不純物をも一括除去できるフライポン
タイト鉱物の粉末を固着させたハニカム構造体の本発明
の空気浄化フィルタ31を5000m/minの循環
空気を処理するために備えた本発明の実施例にかかる図
21の高度清浄装置に,HCl濃度計およびNH3濃度
計を設置し,図21の高度清浄装置内のHClおよびN
の濃度を1カ月ごとに測定した。また,図21の高
度清浄装置内に,洗浄直後の有機物汚染のない酸化膜付
きシリコンウェハ基板を放置し,洗浄直後と12時間放
置後の接触角をそれぞれ測定し,12時間放置による接
触角の増加を求めた。12時間放置による接触角の増加
の測定(洗浄→接触角測定→12時間放置→接触角測
定)を同じように1カ月ごとに繰り返した。なお,洗浄
直後の酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角は3゜で
あった。5000m/minの循環空気を処理するた
めに使用した本発明における吸着剤であるフライポンタ
イト鉱物の粉末の使用量は500kgとした。つまり,
1m/minの通気量当たりの吸着剤使用量は0.1
kgとした。
【0106】次に,本発明による空気浄化フィルタ11
1を,繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリエステ
ル不織布のバインダと複合してフェルト形状にした従来
の構成のケミカルフィルタ,または粒状活性炭を通気性
のあるウレタンフォームに接着剤で固着したシート形状
の従来の構成のケミカルフィルタ,またはイオン交換繊
維を低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバイン
ダと複合してフェルト形状にした従来の構成のケミカル
フィルタに交換した。本発明による空気浄化フィルタ1
11を3種の従来の構成のケミカルフィルタに交換した
それぞれの従来例についても,高度清浄装置内のHCl
およびNHの濃度を1カ月ごとに測定した。また,そ
れぞれの従来例の高度清浄装置内に,洗浄直後の有機物
汚染のない酸化膜付きシリコンウェハ基板を放置し,洗
浄直後と12時間放置後の接触角をそれぞれ測定し,1
2時間放置による接触角の増加を求めた。12時間放置
による接触角の増加の測定(洗浄→接触角測定→12時
間放置→接触角測定)を同じように1カ月ごとに繰り返
した。各従来例で使用した従来の構成のケミカルフィル
タにおける吸着素材,つまり活性炭繊維,粒状活性炭,
イオン交換繊維の使用量も前述の本発明実施例と同様,
1m/minの通気量当たり0.1kgとした。
【0107】さらに,本発明による空気浄化フィルタ1
11や従来の構成によるケミカルフィルタをいずれも設
けない場合にも同様に高度清浄装置内のHClとNH
の濃度,および接触角の測定を行った。
【0108】HClの濃度を測定した結果,本発明によ
る空気浄化フィルタ111や従来の構成によるケミカル
フィルタをいずれも設けない高度清浄装置内のHCl濃
度は0.5ppbから0.9ppbの範囲であった。一
方,本発明による空気浄化フィルタ111または従来の
構成によるケミカルフィルタのいずれかを設けた高度清
浄装置内のHCl濃度は,稼働後約1年間は0.03p
pbから0.05ppbの範囲にあり,1年経過後は吸
着性能の低下により,0.05ppbを越えた。
【0109】NHの濃度を測定した結果,本発明によ
る空気浄化フィルタ111や従来の構成によるケミカル
フィルタをいずれも設けない高度清浄装置内のNH
度は5ppbから10ppbの範囲であった。一方,本
発明による空気浄化フィルタ111または従来の構成に
よるケミカルフィルタのいずれかを設けた高度清浄装置
内のNH濃度は,稼働後約1年間は0.5ppbから
1.0ppbの範囲にあり,1年経過後は吸着性能の低
下により,1.0ppbを越えた。
【0110】本発明によるフライポンタイト鉱物の粉末
を固着させたハニカム構造体の空気浄化フィルタ111
を設けた高度清浄装置雰囲気と,従来の構成によるケミ
カルフィルタを設けた高度清浄装置雰囲気と,本発明に
よる空気浄化フィルタ111や従来の構成によるケミカ
ルフィルタをいずれも設けない高度清浄装置雰囲気のそ
れぞれに曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触
角の経時変化を比較した。
【0111】本発明による空気浄化フィルタ111を設
けた高度清浄装置雰囲気に曝された酸化膜付きシリコン
ウェハ表面の接触角は,12時間放置によって接触角は
4°に変化した。洗浄直後の酸化膜付きシリコンウェハ
表面の接触角は3゜であるから,1°増加したことにな
る。
【0112】一方,従来の構成によるケミカルフィルタ
を設けた高度清浄装置雰囲気に曝された酸化膜付きシリ
コンウェハ表面の接触角は,12時間放置によって10
°増加した。つまり,従来の構成によるガス状無機不純
物を除去するケミカルフィルタにはガス状有機不純物を
除去する能力がないばかりかケミカルフィルタに含まれ
る濾材(例えば,不織布,バインダなど)や,活性炭をシ
ートに付着させている接着剤(例えば,ネオプレン系樹
脂,ウレタン系樹脂,エポキシ系樹脂,シリコン系樹脂
など)や,濾材を周囲のフレームに固着するために用い
るシール材(例えばネオプレンゴムやシリコンゴム等)な
どから発生したガス状有機不純物がケミカルフィルタ通
過後の空気中に含まれてしまい,12時間放置のウェハ
表面で10゜相当の接触角の増加をもたらした。本発明
の空気浄化フィルタ111では,ガス状無機不純物のみ
ならずガス状有機不純物をも一括除去できるし,前に製
造方法の一例を簡単に述べたように,構成材料に有機質
を含まないから,構成材料自身からガス状有機不純物を
発生することはない。したがって,12時間放置のウェ
ハ表面でわずか1°の増加に留まった。
【0113】また,本発明による空気浄化フィルタや従
来の構成によるケミカルフィルタをいずれも設けない高
度清浄装置雰囲気に曝された酸化膜付きシリコンウェハ
表面の接触角は,12時間放置によって接触角は7°に
変化した。つまり,4°増加した。この接触角増加の大
きさはガス状有機物が除去されないことによる。
【0114】以上をまとめると,本発明による空気浄化
フィルタと従来の構成によるケミカルフィルタでは,H
ClやNHに対する吸着寿命や吸着性能にさほど差は
ないものの,本発明による空気浄化フィルタはガス状無
機不純物のみならずガス状有機不純物をも一括除去で
き,それ自身も新たな有機物汚染源とならない。特に,
ガス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリカ等
が吸着第1層と吸着第2層の両方に存在するフィルタ
は,比較的長時間に渡ってガス状ホウ素化合物を除去で
きることができる。一方,従来の構成によるケミカルフ
ィルタでは,ガス状無機不純物は除去できるが,ガス状
有機不純物は除去できず,しかもそれ自身が新たな有機
物汚染源となるという欠点がある。また,本発明による
空気浄化フィルタは不燃物であるのに対して,従来の構
成によるケミカルフィルタは可燃物であるという欠点が
ある。
【0115】つぎに,本発明の実施例にかかる図21の
高度清浄装置の空気浄化フィルタ111の下流側に,ガ
ス状有機不純物を発生しない素材のみから構成された粒
子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合と,フ
ィルタ構成材からガス状有機物の発生のある従来の粒子
状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合を比較し
た。高度清浄装置内に洗浄直後の有機物汚染のない酸化
膜付きシリコンウェハ基板を放置した。そして洗浄直後
と12時間放置後の接触角をそれぞれ測定し,12時間
放置による接触角の増加を求めた。ガス状有機不純物を
発生しない素材のみから構成された粒子状不純物を除去
するフィルタを取り付けた場合は,12時間放置後のウ
ェハ表面の接触角は1°だけ増加した。接触角増加は極
めて小さいが,これは,つぎのような理由による。前述
したように本発明の空気浄化フィルタにおいては表面汚
染の原因となるガス状有機不純物が除去され,それ自身
も新たな有機物汚染源とならない。しかもその下流側に
配置された粒子状不純物を除去するフィルタもガス状有
機不純物を発生しないことによる。一方,フィルタ構成
材からガス状有機物の発生のある従来の粒子状不純物を
除去するフィルタを取り付けた場合には,フィルタ構成
材からの脱ガスの影響で12時間放置後のウェハ表面の
接触角は3°も増加した。3°の増加のうち,1°の増
加は空気浄化フィルタ111で除去しきれなかったガス
状有機物に由来するが,残りの2°は粒子除去用フィル
タの構成材からの脱ガスに由来する。
【0116】以上,本発明の好適な実施例について,半
導体やLCDの製造プロセス全般の高度清浄装置(いわ
ゆるクリーンルーム)に関して説明したが,本発明はか
かる実施例に限定されない。ミニエンバイロメントと称
する局所的な高度清浄装置やクリーンベンチやクリーン
チャンバや清浄な製品を保管するための各種ストッカな
ど様々な規模の高度清浄装置,空気浄化フィルタの処理
可能風量,循環風量と外気取り入れ空気量の割合,高度
清浄装置内部からのガス状不純物の発生の有無などの処
理環境に応じて多様な実施例が考えられる。
【0117】例えば,300mm直径シリコンウェハを
使用して256MbitDRAMや1GbitDRAM
の半導体製造が1999年頃から始まろうとしている。
このような半導体製造装置では,ウェハを該装置内のチ
ャンバに導入した後,反応プロセスを開始するまでの
間,不活性ガス供給装置から窒素やアルゴンの不活性ガ
スを送気して該チャンバ内に充満させる。この不活性ガ
スは極めて高純度の仕様であり,不活性ガス自体がウェ
ハの表面汚染を起こすことはない。しかし,不活性ガス
の供給をオンオフするために,不活性ガス供給装置とチ
ャンバの間にはバルブが設けられ,このバルブの構成素
材からウェハ表面汚染の原因となる種々の化学汚染物質
が発生する。本発明による空気浄化フィルタをバルブと
チャンバの間のガス流路に設けることによって,該空気
浄化フィルタは自身からのガス状汚染物を発生すること
なく,バルブから発生する種々の化学汚染物質を除去す
ることで,ウェハの表面汚染の防止と品質向上に役立っ
た。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば,以下のような効果を奏
する。高度清浄装置で取り扱う基板表面の汚染を防止す
るにあたり,雰囲気中に含まれる基板表面汚染の原因と
なるガス状無機不純物とガス状有機不純物の両方を吸着
・除去したことによって,半導体やLCDの製造などに
好適な基板表面の汚染の原因となるガス状不純物が除去
された清浄空気を作り出すことができた。また,半導体
やLCDの製造において,こうして作り出した清浄空気
を,基板表面が暴露される高度清浄装置の雰囲気として
利用することで,基板表面の汚染を防止することができ
た。
【0119】また,ガス状無機不純物を吸着・除去する
ための吸着剤としてフライポンタイト鉱物の粉末を用
い,ガス状有機不純物を吸着・除去するための吸着剤と
して各種無機物の粉末を適宜に選択して,組み合わせる
ことによって,構成材料に可燃物を含まない空気浄化フ
ィルタを提供することができ,この空気浄化フィルタを
用いて構築された高度清浄装置は,従来の活性炭吸着剤
やイオン交換繊維の空気浄化フィルタを用いて構築され
た高度清浄装置に比べて防災上,優れていた。基板表面
汚染の原因となるガス状有機物を発生しない素材のみか
ら構成される空気浄化フィルタを提供することができ,
この空気浄化フィルタを用いて構築された高度清浄装置
は,従来の活性炭吸着剤やイオン交換繊維の空気浄化フ
ィルタを用いて構築された高度清浄装置に比べて,基板
表面の有機物汚染をより完全に防止することができた。
【0120】本発明の空気浄化フィルタが除去の対象と
する主要な不純物は,酸性物質,塩基性物質,ドーパン
トなどのガス状無機不純物であるが,本発明の空気浄化
フィルタは,ガス状有機不純物の除去についても効果が
ある。従来,酸性,塩基性,ドーパント,有機物の各不
純物に応じて4種の専用のケミカルフィルタと準備しな
ければならなかったが,本発明の空気浄化フィルタで
は,酸性と塩基性の両方の無機不純物を一括して除去で
きるのみならず,有機不純物までをも一括して除去でき
るので,吸着層体積の低減,圧力損失の低減,吸着層製
造コストの低減等の利点がさらに大きくなる。特に,ガ
ス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリカ等の
無機物が,第1の無機材料層と第2の無機材料層の両方
に存在する空気浄化フィルタは,シリカ等の無機物の総
和量が多くなり,ガス状ホウ素化合物の除去効率の経時
的変化が少なく,比較的長時間に渡ってガス状ホウ素化
合物を除去できるといった特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】片面が固体塩基性でもう片面が固体酸性の二重
構造の結晶を有するフライポンタイト鉱物の説明図であ
る。
【図2】二層構造をもったフライポンタイトの単位層ま
たはせいぜい数層の積層体が互いに重ならずに1枚ずつ
バラバラの状態で空間中に分散された状態を示す無機材
料層の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるフィルタの概略的
な分解組立図である。
【図4】ハニカム構造体の表面にフライポンタイト鉱物
の粉末を無機バインダを用いて固着させて無機材料層を
形成したフィルタの断面部分拡大図である。
【図5】無機バインダを用いてフライポンタイト鉱物の
粉末を造粒したペレットをハニカム構造体の表面に固着
させた構成のフィルタの断面部分拡大図である。
【図6】本発明におけるフライポンタイト鉱物の粉末を
無機バインダで支持体表面に担持した無機材料層につい
て示した無機材料層断面の部分拡大図である。
【図7】フライポンタイト鉱物粉末のペレットを二重円
筒形状のケーシング内に充填した空気浄化フィルタの横
断面図と縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態にかかるフィルタの概
略的な分解組立図である。
【図9】波形シートと薄板シートを積層したハニカム構
造体の表面に,無機バインダを用いてフライポンタイト
鉱物の粉末を固着させて第1の無機材料層を形成し,更
にその表面に無機吸着粉末を固着させて第2の無機材料
層を形成した構成のフィルタの断面部分拡大図である。
【図10】本発明における第1の無機材料層と第2の無
機材料層からなる複合層断面の部分拡大図である。
【図11】市販のケミカルフィルタ2種とイオン交換繊
維を使用したケミカルフィルタのそれぞれにより処理し
たクリーンルームエアと,本発明によるフィルタにより
処理したクリーンルームエアの計4つの雰囲気中で,酸
化膜付きシリコンウェハ表面の接触角の経時変化を測定
した結果を示すグラフである。
【図12】クリーンルーム雰囲気中に放置されたガラス
基板表面を対象に,超純水滴下による接触角の測定値
と,X線光電子分光法(XPS:X−ray Phot
oelectron Spectroscopy)によ
り測定した有機物表面汚染の相関関係を示すグラフであ
る。
【図13】本発明Aの無機材料層の構造断面図である。
【図14】本発明Bの無機材料層の構造断面図である。
【図15】本発明Cの第1と第2の無機材料層の透視模
式図と構造断面図である。
【図16】本発明Dの第1と第2の無機材料層の構造断
面図である。
【図17】本発明Eの第1と第2の無機材料層の構造断
面図である。
【図18】本発明Fの第1と第2の無機材料層の構造断
面図である。
【図19】塩化水素ガスとガス状ホウ素化合物の除去効
率を調べるための回路の説明図である。
【図20】フィルタX,Yの塩化水素ガスとガス状ホウ
素化合物の除去効率を比較したグラフである。
【図21】本発明の実施の形態にかかる高度清浄装置の
構成を概略的に示す説明図である。
【図22】本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄装
置の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 フィルタ 12 支持体 25 第1の無機材料層 26 第2の無機材料層 100 高度清浄装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−305213(JP,A) 特開 平6−327967(JP,A) 特開 平1−151939(JP,A) 特開 昭58−109118(JP,A) 実開 平4−45515(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 39/00 - 39/20 B01D 53/04 B01D 20/00 - 20/34 B01D 46/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物
    の粉末をバインダとして,支持体の表面に固着させて無
    機材料層を形成し,無機材料層内においてフライポンタ
    イト鉱物の粉末と無機物バインダの粉末の微粒子が隣接
    する箇所に通気孔となる間隙が形成されていることを特
    徴とする空気浄化フィルタ。
  2. 【請求項2】 フライポンタイト鉱物の粉末を,タル
    ク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリ
    カ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミ
    ニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の
    含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベン
    トナイトの少なくとも1種からなる無機物の粉末をバイ
    ンダとして,支持体の表面に固着させて無機材料層を形
    成し,無機材料層内においてフライポンタイト鉱物の粉
    末と無機物バインダの粉末の微粒子が隣接する箇所に通
    気孔となる間隙が形成されていることを特徴とする空気
    浄化フィルタ。
  3. 【請求項3】 フライポンタイト鉱物の粉末を,けいそ
    う土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,
    珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボ
    ン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白
    土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなる無機物
    の粉末をバインダとして,支持体の表面に固着させて無
    機材料層を形成したことを特徴とする空気浄化フィル
    タ。
  4. 【請求項4】 フライポンタイト鉱物の粉末を無機物の
    粉末をバインダとして固着させた第1の無機材料層と,
    けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混
    合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラ
    ス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,
    活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなる
    第2の無機材料層を,それら第1の無機材料層と第2の
    無機材料層のいずれか一方が支持体の表面に接する関係
    を持って積層したことを特徴とする空気浄化フィルタ。
  5. 【請求項5】 フライポンタイト鉱物の粉末を,タル
    ク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリ
    カ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミ
    ニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の
    含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベン
    トナイトの少なくとも1種からなる無機物 の粉末をバイ
    ンダとして造粒させ,フライポンタイト鉱物の粉末と無
    機物バインダの粉末の微粒子が隣接する箇所には通気孔
    となる間隙が形成されているペレットを,支持体の表面
    に固着させたことを特徴とする空気浄化フィルタ。
  6. 【請求項6】 フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物
    の粉末をバインダとして造粒させ,フライポンタイト鉱
    物の粉末と無機物の粉末同士が隣接する箇所には通気孔
    となる間隙が存在するた第1のペレットの周囲に,けい
    そう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合
    物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,
    リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性
    白土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなる無機
    物の粉末をコーティングした第2のペレットを,支持体
    の表面に固着させたことを特徴とする空気浄化フィル
    タ。
  7. 【請求項7】 けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカ
    とアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミ
    ナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウ
    ム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少なくと
    も1種からなる無機物の粉末をバインダにしてフライポ
    ンタイト鉱物の粉末を造粒させたペレットを, もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を無機物の粉末
    をバインダにして造粒させた第1のペレットの周囲に,
    けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混
    合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラ
    ス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,
    活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなる
    無機物の粉末をコーティングした第2のペレットを, ケーシング内に充填したことを特徴とする空気浄化フィ
    ルタ。
  8. 【請求項8】 フライポンタイト鉱物の粉末を,タル
    ク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリ
    カ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミ
    ニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の
    含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベン
    トナイトの少なくとも1種からなる無機物の粉末をバイ
    ンダとして造粒させ,フライポンタイト鉱物の粉末と無
    機物バインダの粉末の微粒子が隣接する箇所には通気孔
    となる間隙が形成されているペレットを, もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉
    末をバインダとして造 粒させ,フライポンタイト鉱物の
    粉末と無機物の粉末同士が隣接する箇所には通気孔とな
    る間隙が存在する第1のペレットの周囲に,タルク,カ
    オリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリカ,アル
    ミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,
    活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸
    マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイト
    の少なくとも1種からなる無機物の粉末をコーティング
    した第2のペレットを, ケーシング内に充填したことを特徴とする空気浄化フィ
    ルタ。
  9. 【請求項9】 前記無機物において,15〜300オン
    グストロームの範囲に分布する細孔の総容積が重量当た
    り0.2cc/g以上であるか,または細孔の比表面積
    が100m/g以上であることを特徴とする請求項
    1,2,3,4,5,6,7又は8のいずれかに記載の
    空気浄化フィルタ。
  10. 【請求項10】 フライポンタイト鉱物の粉末と,バイ
    ンダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体
    を含浸させた後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に
    第1の無機材料層を形成し,更に,該第1の無機材料層
    を形成した支持体を,けいそう土,シリカ,アルミナ,
    シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性ア
    ルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネ
    シウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少な
    くとも1種の無機物の粉末を分散させた懸濁液に含浸さ
    せた後,乾燥させて第1の無機材料層の表面に第2の無
    機材料層を形成するか,もしくは,支持体の表面に前記
    第2の無機材料層を形成した後,更に該第2の無機材料
    層の表面に前記第1の無機材料層を形成することを特徴
    とする空気浄化フィルタの製造方法。
  11. 【請求項11】 清浄雰囲気が要求される空間内の空気
    を循環させる循環経路を備えた高度清浄装置において, 該循環経路に,請求項1,2,3,4,5,6,7,8
    又は9のいずれかに記載の空気浄化フィルタを配置する
    と共に,前記空間より上流側であって空気浄化フィルタ
    の下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを配置した
    ことを特徴とする高度清浄装置。
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