JP3936803B2 - 空気浄化フィルタとその製造方法及び高度清浄装置 - Google Patents

空気浄化フィルタとその製造方法及び高度清浄装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えばクリーンルームやクリーンベンチや保管庫などといった高度清浄装置において使用される,雰囲気中のガス状無機不純物とガス状有機不純物を除去するための空気浄化フィルタに関し,更にそのような空気浄化フィルタの製造方法と空気浄化フィルタを使用した高度清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日,半導体やLCDパネル等の製造に高度清浄装置が広く利用されている。例えばベアウェハから1MDRAMチップを製造するまでに至る半導体製造ラインは約200程度の工程を含んでおり,また,素ガラスから9.4型TFTに至るLCDパネル製造ラインは約80程度の工程を含んでいる。これらの製造ラインにおいて,ウェハやガラス基板を各プロセスに常に連続的に流すことは困難である。例えば,TFT−LCDの製造ラインでは,前工程で回路が一通り形成された半製品基板は,後工程に移送されるまでに数時間〜数十時間を搬送容器(キャリア)内または保管庫(ストッカ)内にて,高度清浄装置雰囲気に曝しながら待機させている。
【0003】
このように,半導体基板やLCD基板を通常の高度清浄装置雰囲気中に長時間放置すると,それらの表面には高度清浄装置雰囲気由来のガス状不純物が付着する。近年,このような高度清浄装置中にガス状で存在し,半導体製造に使用されるシリコンウェハやLCDパネル製造に使用されるガラス基板の表面に付着して半導体やLCDパネルの特性に影響するものとして,酸性物質,塩基性物質,有機物,ドーパントなどがある。
【0004】
ガス状不純物に対する化学汚染対策がなされていない通常のクリーンルーム雰囲気中に含まれる化学汚染濃度の実測例は,酸性物質が100ppt〜1,000ppt,塩基性物質が1,000ppt〜10,000ppt,有機物が1,000ppt〜10,000ppt,ドーパントが10ppt〜100ppt程度である。米国のSEMATECHが1995年5月31日に発表したTechnology Transfer #95052812A−TR「Forecast of Airborne Molecular Contamination Limits for the 0.25 Micron High Performance Logic Process」に掲載された0.25μmプロセス('98以降)に必要な化学汚染許容濃度(ppt)によれば,酸性物質では,シリサイド工程で180ppt,配線工程で5pptという厳しい制御が必要である。特に硫黄酸化物SOxは,空気中のアンモニアガスと反応して,シリコンウエハ,ガラス基板,レンズ,ミラー,ハードディスク,磁気ディスクのそれぞれの表面に硫酸アンモニウムから成る曇り状の汚れを発生させ,半導体素子や液晶基板や磁気記録部品の製造に悪影響を及ぼす。また,塩基性物質については,フォトリソグラフィ工程で1ppbという厳しい制御が必要である。ドーパントについては,ゲート酸化膜前工程では0.1pptという極めて厳しい制御が必要である。有機物については,ゲート酸化膜前工程では1ppb,配線工程では2ppbという厳しい制御が必要である。
【0005】
半導体基板やガラス基板の製造を行う様々な高度清浄装置,例えばクリーンルーム,クリーンベンチ,クリーンチャンバ,清浄な製品を保管するための各種ストッカなど様々な規模の高度清浄装置や,ミニエンバイロメントと称する局所的な高度清浄装置においては,種々のガス状の酸性物質,塩基性物質,有機物,ドーパントなどの不純物が問題となる。このうち,ドーパントは水溶性のホウ酸化合物やリン酸化合物として酸性物質と似た化学的挙動を示し,ガス状の酸性物質を吸着除去する能力のあるフィルタはある程度までドーパントも吸着除去できる。前述のSEMATECHのTechnology Transfer #95052812A−TRによれば,これら高度清浄装置内のガス状汚染物質の制御に関しては,ゲート酸化膜前工程では有機物とドーパントの一括除去,配線工程では酸と有機物の一括除去がそれぞれ必要となる。
【0006】
これら4種の化学汚染物質のうちで,酸性物質,塩基性物質,ドーパントの3種については水溶性のものが多く,イオン交換反応,中和反応を起こし易い。したがって,これら3種の化学汚染物質を清浄空間の空気中から除去する手段としては,湿式洗浄(スクラバ)による水溶液への溶解除去手段や,イオン交換繊維や薬品添着活性炭などのいわゆるケミカルフィルタによる化学吸着手段があった。一方,4種の化学汚染物質のうちで,有機物については水に溶けにくいものが多く,清浄空間の空気中から除去する手段としては,活性炭による物理吸着手段があった。
【0007】
ここで,酸性物質,塩基性物質,ドーパントのガス状無機不純物は,従来,湿式洗浄,イオン交換繊維,薬品添着活性炭の3とおりの方法で除去されてきた。
【0008】
湿式洗浄では,液滴噴霧により酸性物質,塩基性物質,ドーパントを溶解除去する。薬品添着活性炭を用いたケミカルフィルタの最も簡素な形式として,所定のケースなどに薬品添着粒状活性炭を詰め込んだ構成の充填筒が知られている。特に,半導体素子や液晶基板や磁気記録部品の製造に有害な硫黄酸化物SOxを除去するために,過マンガン酸カリウムの薬液を活性炭にしみこませたケミカルフィルタが従来使用されている。また,その他の形式として,薬品を添着した繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリエステル不織布の有機系バインダと複合してフェルト形状にした構成のケミカルフィルタや,薬品を添着した粒状活性炭をウレタンフォームや不織布に接着剤で強固に付着させたブロック形状およびシート形状のケミカルフィルタも知られている。イオン交換繊維を用いたケミカルフィルタは,空気中に含まれる酸性・塩基性の不純物である各種イオンを,酸性陽イオン交換繊維と塩基性陰イオン交換繊維を基材とする不織布,抄紙,フェルト等からなるフィルタでイオン交換,除去するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
湿式洗浄は,噴霧装置のイニシャルコストが大きく,噴霧の高圧力損失によるランニングコストも無視できない。さらに,半導体素子(LSI)や液晶ディスプレイ(LCD)の製造時に利用される高度清浄装置は,温度23〜25℃,相対湿度40〜55%に保たれているから,高度清浄装置内の空気を湿式洗浄しながら循環する場合,液滴噴霧後の温度低下や湿度上昇に対処するため,液滴噴霧後の空気に対して再度,温湿度制御を行う必要がある。また,液滴噴霧後の空気中に残存する液滴除去も噴霧装置の後段に必要となる(いわゆるキャリーオーバの問題)。さらに,噴霧装置で循環使用される洗浄液の処理,例えばバクテリア類の発生防止や溶解汚染物の濃縮分離といった水処理特有の問題がある。
【0010】
薬品添着活性炭やイオン交換繊維を利用したいわゆるケミカルフィルタでは,つぎのような問題がある。まず,両者に共通する問題点として,例えば,天井面が清浄空気の吹き出し面となっているクリーンルームの場合についていえば,天井に取り付けられている粒子除去用フィルタの上流側にケミカルフィルタを配置することが,クリーンルームの空気雰囲気中のガス状不純物を除去するために極めて有効な手段である。しかし,活性炭は消防法において指定された可燃物であり,イオン交換繊維も極めて着火しやすい素材であり,火気には厳重な注意が必要である。このため,防災上の観点から,活性炭やイオン交換繊維を使用したケミカルフィルタは天井に配置し難い。
【0011】
また,薬品添着活性炭を利用したケミカルフィルタでは,つぎのような問題がある。即ち,充填筒形式の従来のケミカルフィルタは,不純物の吸着効率は高いが,圧力損失(通気抵抗)が高いという欠点を有する。また,フェルト形状やシート形状の従来のケミカルフィルタは優れた通気性があり,吸着効率も充填筒とさほど劣らないが,構成材料(例えば,不織布,有機系バインダなど)や,活性炭をシートに付着させている接着剤(例えば,ネオプレン系樹脂,ウレタン系樹脂,エポキシ系樹脂,シリコン系樹脂など)や,濾材を周囲のフレームに固着するために用いるシール材(例えばネオプレンゴムやシリコンゴム等)などから発生したガス状有機不純物がケミカルフィルタ通過後の空気中に含まれてしまい,半導体の製造に悪影響を与える可能性がある。つまり,これらフェルト形状やシート形状の薬品添着活性炭を使用したケミカルフィルタは,クリーンルーム雰囲気中に含まれるppbオーダの酸性または塩基性の極微量不純物や,pptオーダのドーパントは除去しておきながら,ケミカルフィルタ自身から発生したガス状有機不純物を通過空気中に混入させてしまう。また,亜硫酸ガスは,塩基性薬品や金属を含む従来のケイミカルフィルタでは中和反応によって十分に除去し得ないという問題点があった。除去原理として中和反応と酸化反応を合わせ持つケミカルフィルタのみが十分に亜硫酸ガスを除去でき,亜硫酸ガスを除去するために使用されるフィルタとして過マンガン酸カリウムの薬液を活性炭にしみこませたケミカルフィルタも市販されている。しかし,過マンガン酸カリウムは消防法で定められた危険物であり,漂白作用や皮膚や衣服を腐食する原因にもなるため,クリーンルーム内部に設置しづらい。このケミカルフィルタはもっぱらクリーンルーム内に取り込まれる外気を処理するために外調機に取り付けられてきた。
【0012】
また,薬品添着活性炭を利用したケミカルフィルタとして特開昭61−103518号に示されるものがある。粉末活性炭とエマルジョン型接着剤と固体酸を含む水溶液をウレタンフォームからなる基材に含浸させた後に乾燥させたフィルタであるが,エマルジョン型接着剤として示される合成ゴムラテックスやその他の水分散系の有機接着剤から,また基材であるウレタンフォーム自体からもガス状有機物の脱離が生じる。
【0013】
イオン交換繊維を利用したいわゆるケミカルフィルタでは,つぎのような問題がある。即ち,イオン交換繊維を基材とする不織布,抄紙,フェルト等を優れた通気性を有するフィルタ濾材に加工するために使用されるバインダや接着剤,および濾材を周囲のフレームに固着するために用いるシール材などから発生したガス状有機不純物がケミカルフィルタ通過後の空気中に含まれてしまい,半導体の製造に悪影響を与える可能性がある。また,フィルタ濾材からの発塵もある。
【0014】
この種のフィルタとして特開平6−63333号や特開平6−142439に示されるものがある。前者の空気浄化システムに用いられるイオン交換繊維を利用したいわゆるケミカルフィルタでは,構成材料の高分子繊維に含まれる種々の添加剤からはガス状有機物の脱離が生じ,またイオン交換基の一部がカルボン酸やアンモニアとして脱離することもある。また,後者のクリーンルーム内の微量汚染空気の浄化方法に用いられるイオン交換繊維を利用したいわゆるケミカルフィルタでは,構成材料の高分子繊維不織布に含まれる種々の添加剤からはガス状有機物の脱離が生じ,またイオン交換基の一部がスルホン酸,カルボン酸,リン酸,アンモニアやアミンとして脱離することもある。
【0015】
ケミカルフィルタ濾材からの発塵に対しては,下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを設けなければならない。ケミカルフィルタの下流側に粒子状不純物を除去するフィルタ(粒子除去用フィルタ)を設ける場合,粒子除去用フィルタはガス状有機不純物を発生する素材を構成要素として含むため,粒子状不純物を除去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生するという不具合もあった。
【0016】
さらに,薬品添着活性炭やイオン交換繊維を無機不純物除去用の吸着層として利用する従来のケミカルフィルタに共通する問題として,酸性と塩基性の両方の無機不純物を含む空気を処理する場合,酸性不純物除去用の吸着素材と塩基性不純物除去用の吸着素材をそれぞれ別に準備し,それら2種の吸着素材を混合したものを一つの吸着層に形成して使用するか,もしくは2種別々に酸性不純物除去用吸着層と塩基性不純物除去用吸着層を製作して重ね合わせて使用するという煩雑さがあった。
【0017】
また,複数のプロセスのクリーンルーム雰囲気が分離されずに混じり合うような場合,例えば1つの大部屋クリーンルームに複数のプロセスが存在する場合には,つぎのような不都合が生じていた。従来のケミカルフィルタを使用して,無機不純物に敏感なあるプロセスにおいて,酸,塩基,ドーパントのガス状不純物を除去したことで基板の品質が向上した。そのプロセスではケミカルフィルタ自身が発生するガス状有機不純物は基板の品質に影響を及ぼさなかった。しかし,同ガス状有機不純物が同じ部屋にある有機不純物に敏感な別のプロセスにおいて基板の表面汚染を起こし,品質の低下を招いた。したがって,複数のプロセスが混在する大部屋クリーンルームにおいては,酸,塩基,ドーパントのガス状無機不純物を除去する目的のケミカルフィルタでは,これらのガス状無機不純物の除去性能が優れているのみならず,フィルタ自身がガス状有機不純物を発生してはならない。酸,塩基,ドーパントのガス状無機不純物を除去するのみならずクリーンルーム雰囲気中の基板表面汚染の原因となるガス状有機不純物をも一括除去できるケミカルフィルタの開発が強く望まれていた。
【0018】
酸性と塩基性の両方の無機不純物を一括して除去できる一種類の吸着素材を無機不純物除去用の吸着層に利用できれば,吸着層体積の低減,圧力損失の低減,吸着層製造コストの低減等の利点が期待できる。また,無機不純物と有機不純物が混在して含まれる空気を処理する場合,従来,無機不純物除去用のケミカルフィルタとは別に活性炭を利用した有機不純物除去用のケミカルフィルタが必要であった。無機不純物と有機不純物の両方を除去できるケミカルフィルタがあれば,フィルタ体積の低減,圧力損失の低減フィルタ製造のコストの低減等の利点が期待できる。
【0019】
ケミカルフィルタを酸・塩基性汚染や有機物汚染を防止できるクリーンルームやクリーンベンチなどの高度清浄装置に適用するに当たっての留意点は以下のとおりである。
(1)ケミカルフィルタ自身がガス状不純物や粒子状不純物の汚染源(いわゆる2次汚染源)とならないこと。
(2)ケミカルフィルタの圧力損失が低いこと。
(3)ガス状不純物の除去性能が高くかつ寿命が長いこと。
前述したように,従来のケミカルフィルタはこれらの留意点を満足するものとは言い難い。
【0020】
従って本発明の目的は,防災に優れ,かつフィルタ自身からのガス状有機不純物やガス状無機不純物の脱離がなく,しかも処理対象空気中に含まれる微量のガス状無機不純物のみならず,ガス状有機不純物も同時に除去して,ガス状不純物による基板などの表面汚染を防止できる空気浄化フィルタとその空気浄化フィルタを利用した高度清浄装置を提供することにある。従来中和作用だけでは除去しにくかった亜硫酸ガスに対しても,中和作用と酸化作用を合わせ持つ空気浄化フィルタを提供することで高効率で除去可能とすることにある。
なお,亜硫酸ガスの発生源としては,クリーンルーム内部の洗浄工程の薬液として使用される硫酸から発生して周囲雰囲気を汚染するものや,クリーンルームの外部から取り込まれる外気中に大気汚染物質や火山性ガスとして元々含まれていたものが考えられる。亜硫酸ガスの障害としては,空気中のアンモニアガスと反応して,前述のように,半導体素子や液晶基板や磁気記録部品の製造に悪影響を及ぼす。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために,請求項1の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして,支持体の表面に固着させて無機材料層を形成したことを特徴とする,空気浄化フィルタである。
【0022】
また,請求項2の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させた第1の無機材料層と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させた第2の無機材料層を,それら第1の無機材料層と第2の無機材料層のいずれか一方が支持体の表面に接する関係を持って積層したことを特徴とする,空気浄化フィルタである。
【0023】
また,請求項3の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させたペレットを,支持体の表面に固着させたことを特徴とする,空気浄化フィルタである。
【0024】
また,請求項4の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,もしくは,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,支持体の表面に固着させたことを特徴とする,空気浄化フィルタである。
【0025】
これら請求項1,2,3又は4の空気浄化フィルタにおいて,請求項5に記載したように,前記支持体は,例えばハニカム構造体である。この請求項5にいうハニカム構造体は,無機繊維を必須成分とする構造体であることが好ましい。さらに,ハニカム構造の支持体は通気抵抗を減じる。支持体を無機繊維のようなセラミックス素材で構成すれば,硬い表面を有し,設置と維持管理に好適である。これに固着される吸着層は支持体と一体となり,薬品添着活性炭やイオン交換繊維を利用した従来のケミカルフィルタに比べて発塵量が極めて少ない。また,この支持体のみならず,吸着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末は元々無機物であり,それらを支持体表面に固着させるために用いるバインダも無機物の粉末とすることにより,本発明の空気浄化フィルタを構成する材料からはガス状有機物の脱離がない。なお本明細書において,ハニカム構造体とは,いわゆる蜂の巣構造の他,断面が格子状,波形状などであって空気が構造体の要素となるセルを通過し得る構造をすべて含む。本発明では支持体はハニカム構造体に特定されない。ロックウールなどの三次元網目構造体もまた支持体として好適に利用できる。この場合には後述するように,網目構造の平面方向のみならず奥行き方向にも本発明の吸着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を固着させるのが良い。支持体表面への吸着剤の固着の方法には,無機物の粉末のバインダにより固着する方法や,吸着剤であるフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を無機物の粉末をバインダとして用いて造粒してペレットにし,このペレットを支持体表面に接着する方法がある。
【0026】
また,請求項6の発明は,無機物の粉末をバインダにしてフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒させたペレットを,もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を無機物の粉末をバインダにして造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,もしくは,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,ケーシング内に充填したことを特徴とする,空気浄化フィルタである。
【0027】
ここで,フライポンタイト鉱物とは,組成式が次の式(1)または(2)で表される1:1−型(二重構造)蛇紋石亜群粘土鉱物に属するアルミノケイ酸金属塩で,図1に示すように片面が固体塩基性でもう片面が固体酸性の二重構造の結晶を有する。
【0028】
【化1】
Figure 0003936803
【0029】
固体塩基性と固体酸性のそれぞれの面が酸と塩基のそれぞれに対する吸着サイトとなる。なお,高橋範行・田中正範・佐藤悌治「合成フライポンタイトの構造」日本化学会誌,1991,No.7,p.962〜967によればフライポンタイトの単位層の厚みは7.1オングストロームである。
【0030】
本発明のように,フライポンタイト鉱物を雰囲気中のガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物を除去するために利用する場合,図2に示すように,二層構造をもったフライポンタイトの単位層またはせいぜい数層の積層体が,例えば無機物微粒子を介して互いに重ならずに1枚ずつバラバラの状態で空間中に分散され,処理対象空気が各フライポンタイトの単位層または数層の積層体の表面に存在する吸着サイトに接触することが不可欠である。したがって,空気の流通が容易な多孔性構造体(その一例としては本発明の無機材料層)の内部にフライポンタイトの単位層または数層の積層体が万遍なく分布し,処理対象空気は多孔性構造体の通気孔から出入りすることでフライポンタイトの微結晶子(例えば厚みが数十オングストロームで広がりの直径が100オングストローム〜1μmの円盤)の表面に存在する吸着サイトと有効に接触することでガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物が除去できる。
【0031】
なお,フライポンタイトの微結晶子は,ガス状有機不純物の物理吸着に関与するミクロ孔域やメソ孔域の細孔を有さないため,ガス状有機不純物を吸着・除去する能力はない。また,フライポンタイト鉱物の粉末には自己結合性がないため,フライポンタイト鉱物の粉末をペレットに成型したり,支持体の表面に層状に固着させるためには,バインダを添加しなければならない。
【0032】
これら請求項1〜6の空気浄化フィルタにあっては,無機材料層,第1,2の無機材料層,ペレット,もしくは第1,2のペレット(以下,「無機材料層等」という)において,フライポンタイト鉱物の粉末,酸化マンガンの粉末,もしくは無機物バインダの粉末の微粒子が隣接する箇所には通気孔となる間隙が形成され,処理対象ガスは,無機材料層等の表面から,該通気孔をかいくぐるように,無機材料層等の内部に入り込んだり,逆に無機材料層等の内部から外部に出て行ったりする。そして,このように無機材料層等の内部を通過する際に,フライポンタイト鉱物により空気中の酸性や塩基性のガス状不純物が吸着・除去され,酸化マンガンにより,半導体,LCDパネル,ハードディスク,磁気ディスク等(以下,「精密電子部品等」という)の製造に有害な硫黄酸化物SOxが除去される。また,バインダとして用いる無機物の粉末にはミクロ孔域やメソ孔域の細孔を有する種類を適宜選択することで,DOP,DBP,BHT,シロキサン等のガス状有機物が吸着・除去できるので,基板の表面汚染に関与する多種の化学汚染物質が混在する雰囲気であってもこれら化学汚染物質のほとんどを捕捉できる。特に,請求項2,4の空気浄化フィルタにあっては,酸化マンガンの粉末を含む層を外側にすれば,外側にある酸化マンガンの粉末と無機物の粉末のバインダからなる無機材料層によって,その下部にあるフライポンタイト鉱物の粉末と無機物の粉末のバインダからなる無機材料層からの発塵を防止する効果を有する。
【0033】
なお,請求項2,4,6の空気浄化フィルタでは,ガス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリカ等の無機物が,2つの無機材料層の両方に存在するので,シリカ等の無機物の総和量が多くなり,ガス状ホウ素化合物の除去効率の経時的変化が少なく,比較的長時間に渡ってガス状ホウ素化合物を除去できるといった特徴がある。
【0034】
また,本発明の空気浄化フィルタは,外枠その他付属部品もガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成し,かつ,可燃物を含まない素材のみで構成することが好ましい。
【0035】
これら請求項1〜6の空気浄化フィルタにおいて,請求項7に記載したように,前記酸化マンガンが,四酸化三マンガン(Mn),三酸化二マンガン(Mn),二酸化マンガン(MnO)のいずれかであることが好ましい。例えば,硫黄酸化物として代表的な亜硫酸ガスは,そのままでは亜鉛(又はマグネシウム)と中和反応を起こしにくい。しかし,酸化マンガンによって亜硫酸ガスを酸化して硫酸に変化させれば,フライポンタイト鉱物中の亜鉛(又はマグネシウム)と容易に中和反応を起こすので,除去することが可能となる。なお,酸化マンガンのうち,MnOは酸化力が弱いため,本発明では利用しがたい。また,7酸化2マンガン(VII)(Mn)は,防災上等の検知から,本発明では利用しがたい。
【0036】
ここで,二酸化マンガン(MnO)によって亜硫酸ガスSOを除去する場合について説明すると,次のようになる。即ち先ず,次式に従って,空気中の亜硫酸ガスがハニカム細孔の吸着水に溶け込む。
SO+HO→←HSO
【0037】
次に,亜硫酸の還元作用と二酸化マンガンの酸化作用の相乗効果で,亜硫酸はただちに酸化され,次式に従って硫酸になる。
SO+2MnO→HSO+Mn
【0038】
なお,二酸化マンガン(MnO)以外の酸化マンガンによると,次の反応式に従って硫酸が作り出される。
SO+Mn(四酸化三マンガン)→HSO+3MnO
SO+Mn(三酸化二マンガン)→HSO+2MnO
なお,酸化マンガンは,酸化作用のみならず,触媒として亜硫酸を酸化して硫酸に変化させる機能も有する。酸化マンガンが触媒として機能する際には,マンガンの酸化数は変化しない。
【0039】
次に,次式に従って硫酸とフライポンタイト鉱物中の亜鉛が反応し,硫酸亜鉛が生成される。
Zn+HSO→ZnSO+H
なお,二酸化マンガンについて以上の反応式をまとめると,次式のようになる。SO+HO+2MnO+Zn→ZnSO+Mn+H
【0040】
こうして,空気中の亜硫酸ガスが亜鉛との塩となって除去され,精密電子部品等の製造にふさわしい環境を得ることが可能となる。なお,二酸化マンガンは水に不溶であり,粒径数ミクロンのバルク粒子であることが好ましい。
【0041】
また,MnO→Mnの変化が起こることにより,Mnがバルク状のMnO粒子の表面を覆って,MnOの酸化反応を妨げ,二酸化マンガン等による硫黄酸化物の吸着能が阻害されることが懸念される。しかし,Mnは酸に可溶であり,硫酸によって絶えずMnOの新鮮な表面が現れると考えられるので,そのような心配はない。以上の作用は,反応式を詳細に掲げることは省略するが,二酸化マンガン(MnO)の代わりに四酸化三マンガン(Mn),三酸化二マンガン(Mn)を利用した場合でも同様であり,前記の懸念はない。
【0042】
これら請求項1〜7の空気浄化フィルタにおいて,請求項8に記載したように,前記過マンガン酸塩が,MMnO(M:アルカリ金属),MII(MnO(MII:アルカリ土類金属)のいずれかであることが好ましい。これら過マンガン酸塩の酸化作用と亜硫酸の還元作用との相乗効果により,亜硫酸をただちに酸化して硫酸に変化させ,先に酸化マンガンについて説明した場合と同様に,亜鉛(又はマグネシウム)との中和反応を起させて,除去することが可能となる。
【0043】
また,これら請求項1〜8の空気浄化フィルタにおいて,請求項9に記載したように,前記無機物が,タルク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなることが好ましい。シリカとしては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用される。
【0044】
また,前記無機物において,15〜300オングストロームの範囲に分布する細孔の総容積が重量当たり0.2cc/g以上であるか,または細孔の比表面積が100m/g以上であることが好ましい。以上のような無機物を選択した場合には,フライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末のバインダとして用いた無機材料層やペレットに含まれる無機物の粉末は,フライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末を支持体表面に機械的に固着させておく能力またはフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガンの粉末をペレットに造粒する際の結合剤としての能力と,フライポンタイト鉱物の結晶層の表面に存在する酸性点と塩基性点に,また酸化マンガン微粒子又は過マンガン酸塩微粒子の表面に,それぞれ処理対象ガスが容易に到達しうるための多孔性構造を合わせ持つ。
【0045】
ここで,バインダとして用いた無機物の粉末について,15〜300オングストロームの範囲に分布する細孔の総容積と,該無機物の細孔の比表面積を,ガス吸着法により実測した結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003936803
【0047】
なお,シリカとしてシリカゲルを粉体試料とした。また,アルミナとしてはアルミナゲルを粉体試料とした。シリカとアルミナの混合物としてはシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルを粉体試料とした。15〜300オングストロームの範囲に分布する細孔に着目した理由は,この範囲の大きさの細孔がガス状有機不純物の物理吸着を得意とするからである。フライポンタイト鉱物や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末及びバインダとして用いた無機物の粉末の隣接部に形成される間隙の通気孔を通じて,処理対象空気はフライポンタイトの微結晶子や酸化マンガン微粒子又は過マンガン酸塩微粒子の表面に容易に到達できてガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物が除去される。その際,バインダとして用いた無機物の粉末表面に存在する前記範囲の大きさの細孔表面にガス状有機不純物が物理吸着により除去される。本発明の主な狙いであるガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物の除去の他に,バインダとして用いた無機物粉末の細孔による副次効果としてガス状有機不純物の一括除去まで実現できる。
【0048】
表1に示した(I)のグループのバインダは(II)のグループのバインダと比較して,比表面積と細孔容積はいずれも,相当大きい。したがってガス状有機不純物の物理吸着能力は,(I)のバインダが(II)のバインダよりも相当優れている。(II)のグループのタルク,カオリン鉱物,ベントナイト等のバインダは通気性を重視しており,隣接したバインダ微粒子同士または隣接したバインダ微粒子と支持体に担持する吸着剤微粒子の間隙部分に形成される通気孔の主要な大きさは500オングストローム以上になる。つまり,通気孔は通気性は極めて良くても物理吸着を起こしにくいマクロ孔である。また,タルク,カオリン鉱物,ベントナイトといったバインダ微粒子自体の表面にも物理吸着を起こしやすい細孔はあまり存在しない。(II)のグループのバインダは,単に担持対象となるフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末を支持体表面に機械的に担持するために使用し,この場合,ガス状無機不純物の吸着能力を高めるためにフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の担持量を出来得る限り多くし,バインダのフライポンタイト鉱物及び酸化マンガン又は過マンガン酸塩に対する含有割合は出来得る限り少ない方がよい。しかし,バインダの含有割合を少なくし過ぎるとフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の支持体表面への固着が不完全となって剥がれや発塵の原因となる。例えば,フライポンタイト鉱物粉末にベントナイトのバインダを加え,さらに固着補助剤としてシリカを混合して支持体に固着する場合でも,支持体表面の無機材料層中のフライポンタイト鉱物粉末の含有割合(重量基準)が75%を上回ると支持体表面の無機材料層の機械的強度が弱くなって実用に耐えられなくなった。つまり,(II)のグループのバインダには,フライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の担持能力と,担持されたフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の表面に処理対象ガスが到達しやすいよう優れた通気能力が要求されており,ガス状有機不純物の吸着能力は要求されていない。これに対して,(I)のグループのバインダを使用する場合には,隣接したバインダ微粒子同士または隣接したバインダ微粒子とフライポンタイト鉱物や酸化マンガンの微粒子又は過マンガン酸塩微粒子の間隙部分に形成される通気孔は,(II)のグループのバインダと変わらない。したがって,フライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の表面に処理対象ガスが到達しやすいよう優れた通気性も有るため,フライポンタイト鉱物の粉末の微結晶子の表面に存在する吸着サイトにおいてガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物が除去されたり,酸化マンガン微粒子の表面で亜硫酸ガスが酸化されて硫酸に変化するという特性は(II)のグループのバインダの場合と同様に発揮される。
【0049】
ガス状分子の物理吸着のしやすさは,ミクロ孔,メソ孔,マクロ孔の順であり,マクロ孔はほとんど物理吸着に関与しないといわれている。(I)のグループのバインダでは,バインダ微粒子自体の表面に物理吸着を起こしやすい細孔,つまり孔径が20オングストローム以下の大きさの細孔であるミクロ孔や,孔径が20オングストローム以上500オングストローム以下の大きさの細孔であるメソ孔が存在するため,フライポンタイト鉱物では吸着できないDOP,DBP,BHTやシロキサン等の基板表面の汚染の原因となるガス状有機不純物は物理吸着によりバインダ微粒子自体の表面で吸着除去される。
【0050】
(I)のグループのバインダを使用する場合についても,支持体表面の無機材料層に占めるフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガン又は過マンガン酸塩の粉末の含有割合(重量基準)には上限がある。例えば,フライポンタイト鉱物粉末をシリカゲルをバインダとして支持体に固着する場合,支持体表面の無機材料層中のフライポンタイト鉱物粉末の含有割合(重量基準)が72%を上回ると該無機材料層の機械的強度が弱くなって実用に耐えられなくなった。
【0051】
また,請求項10に記載したように,前記無機材料層,第1の無機材料層,第2の無機材料層,ペレット,第1のペレット及び第2のペレットの少なくともいずれか一つに無機系固着補助剤を混入してもよい。その場合,請求項11に記載したように,前記無機系固着補助剤が,珪酸ソーダ,シリカ又はアルミナの少なくとも一つを含むことが好ましい。なお,シリカとしては例えばシリカゾルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゾルが使用される。
【0052】
請求項12の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体を含浸させた後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に無機材料層を固着させることを特徴とする空気浄化フィルタの製造方法である。
【0053】
請求項13の発明は,フライポンタイト鉱物の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体を含浸させた後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に第1の無機材料層を形成し,更に,該第1の無機材料層を形成した支持体を,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に含浸させた後,乾燥させて第1の無機材料層の表面に第2の無機材料層を形成するか,もしくは,支持体の表面に前記第2の無機材料層を形成した後,更に該第2の無機材料層の表面に前記第1の無機材料層を形成することを特徴とする,空気浄化フィルタの製造方法である。
【0054】
これら請求項12または請求項13に記載した空気浄化フィルタの製造方法によれば,前記空気浄化フィルタをガス状有機不純物を発生しない素材のみから構成することができる。また実質的に,前記空気浄化フィルタは可燃物を含まない素材のみで構成されることになる。なお,これら請求項12や請求項13の製造方法においては,シリカとしては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用される。前記支持体の表面に無機材料層を形成したり,さらに第1の無機材料層の上に第2の無機材料層を形成する際もしくは第2の無機材料層の上に第1の無機材料層を形成する際に,前記懸濁液にゾル状態の無機系固着補助剤を混入した場合,前記無機材料層や,前記第1,第2の無機材料層はそれぞれ無機系固着補助剤を含むことになる。
【0055】
請求項14の発明は,清浄雰囲気が要求される空間内の空気を循環させる循環経路を備えた高度清浄装置において,該循環経路に,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11のいずれかに記載の空気浄化フィルタを配置すると共に,前記空間より上流側であって空気浄化フィルタの下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを配置したことを特徴とする,高度清浄装置である。この請求項14の高度清浄装置によれば,高度清浄装置内において循環している空気中のガス状酸性不純物およびガス状塩基性不純物と,場合によってはガス状有機不純物までも除去して,この高度清浄装置内の処理空間でハンドリングされる基板表面の雰囲気由来の表面汚染を防止することができる。
【0056】
この請求項14の高度清浄装置は,可燃物である活性炭やイオン交換繊維を使用していないので防災に優れており,従って請求項15に記載したように,前記空気浄化フィルタと粒子状不純物を除去するフィルタを,前記空間の天井部に配置することができるようになる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照しながら本発明にかかる空気浄化フィルタ及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。なお,以下の説明において,単に"フィルタ"と称する場合はガス状不純物除去を目的としたフィルタを指し,粒子の除去を目的とした場合は"粒子除去用フィルタ"と呼んで区別する。
【0058】
図3は,本発明の実施の形態にかかるフィルタ1の概略的な分解組立図である。図示のように,隣接する波形シート10の間に,凹凸のない薄板シート11を挟んだ構造のハニカム構造体12を備えている。そして,このハニカム構造体12の周囲を,処理空気の流通方向(図中,白抜き矢印13で示す方向)に開口するようにアルミニウム製の外枠15a,15b,15c,15dを組み立て,波形シート10と薄板シート11が,空気流通方向13に対して略平行に交互に積層した構成になっている。フィルタ1の外形や寸法などは,設置空間に合わせて任意に設計することができる。
【0059】
そして,ハニカム構造体12の全体に,
(1)粉末状のフライポンタイト鉱物と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機物の粉末をバインダとして固着させて無機材料層を形成した構成か
(2)ハニカム構造体12の全体に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させて第1の無機材料層を形成し,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして,第1の無機材料層の表面に固着させて第2の無機材料層を形成した構成か,
(3)ハニカム構造体12の全体に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させて第2の無機材料層を形成し,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして,第2の無機材料層の表面に固着させて第1の無機材料層を形成した構成か,
(4)ハニカム構造体12の全体に,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させたペレットを固着させた構成か,
(5)ハニカム構造体12の全体に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを固着させた構成か,
(6)ハニカム構造体12の全体に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを固着させた構成,
のいずれかになっている。
【0060】
ここで,酸化マンガンとは,四酸化三マンガン(Mn),三酸化二マンガン(Mn),二酸化マンガン(MnO)のいずれかである。また,過マンガン酸塩は,MMnO(M:アルカリ金属),MII(MnO(MII:アルカリ土類金属)のいずれかとするのが好適である。また,バインダとして用いられる無機物とは,タルク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種の無機物の粉末とするのが好適である。なお,シリカとしては例えばシリカゲルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゲルが使用される。シリカとアルミナの混合物としては例えばシリカゲルとアルミナゲルの混合ゲルが使用される。以下,バインダとして用いたこれら無機物の粉末を単に無機バインダと称する。
【0061】
ここで,フィルタ1の製造方法の一例を説明する。先ず,無機繊維(セラミック繊維,ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維等)と有機材料(パルプ,溶融ビニロンの混合物)と珪酸カルシウムの3つの材料を1:1:1の等重量で配合し,湿式抄紙法により約0.3mmの厚みに抄造する。なお,珪酸カルシウムの代わりに,珪酸マグネシウムを主成分とするセピオライト,パリゴルスカイト等の繊維状結晶の粘土鉱物を使用してもよい。この抄造シートをコルゲータによって波形加工し,出来上がった波形シート10を,同様の材料を薄板形状に抄造した薄板シート11に接着剤で接着し,図3に示すようなハニカム構造体12を得る。このハニカム構造体12を,電気炉に入れて約400℃で1時間程度の熱処理を行い,有機質成分が全て除去される。有機質成分が除去された後のハニカム構造体の表面には無数のミクロンサイズの陥没穴が残って,この陥没穴を孔とする多孔性のハニカム構造体12を製造することができる。後にこの陥没穴に吸着剤や無機バインダの微粒子がはまり込むことになる。次に,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,無機バインダを分散させた懸濁液に,このハニカム構造体12を数分間浸した後引き上げ,約300℃で1時間程度の熱処理で乾燥して,図4に示すように,ハニカム構造体12の表面にフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機バインダを用いて固着させて無機材料層20を形成することにより,フィルタ1を得ることができる。前記懸濁液には無機系固着補助剤,例えば珪酸ソーダ又はシリカ又はアルミナの少なくとも一種を混入することも可能である。この場合,シリカとしては例えばシリカゾルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゾルが使用される。無機系固着補助剤の役割は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と無機バインダが,ハニカム構造体12の表面(ハニカム構造体12の要素となるセルの内表面を含む(以下同様))に強固に固着するための補助剤として機能する。こうして得られたフィルタ1は,構成材料に可燃物を含まず防災上の安全性は著しく高まる。また,フィルタが熱処理される際に構成材料に含まれていた表面汚染の原因となるガス状有機不純物成分が全て脱離・除去されるため,フィルタ1自身からガス状有機不純物を発生することもない。処理空気を通過させる空間の断面形状は,以上のような半月形状に限らず,任意の形状とすることができる。なお,過マンガン酸塩は,MMnO(M:アルカリ金属),MII(MnO(MII:アルカリ土類金属)のいずれかを用いる。ただし,アルカリ金属であるカリウム,ルビジウム,セシウムの過マンガン酸塩は水への溶解度は約11g/100g水(25℃)と比較的小さいが,他の過マンガン酸塩は水によく溶ける。水によく溶ける過マンガン酸塩の粉末とフライポンタイト鉱物の粉末と無機バインダを分散させた懸濁液に,ハニカム構造体12を浸して引き上げ,乾燥して製造したフィルタ1では,無機材料層20に含まれる過マンガン酸塩は粒子の形態をもはや保ち得ず,フライポンタイトの粉末と無機バインダの粉末の隣接部に形成される隙間に入り込んで固着されている。フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末の代わりに,フライポンタイト鉱物の粉末と過マンガン酸塩の粉末を用いても良い。
【0062】
図5は,図4に示した無機材料層20部分拡大断面図である。処理対象ガスは,無機材料層20の表面(処理対象ガスとの接触面)から,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,無機バインダの微粒子との間に形成される通気孔をかいくぐるように,無機材料層20内部に入り込んだり,逆に無機材料層20内部から外部に出て行ったりする。その際,フライポンタイト鉱物の粉末ではガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物が除去され,バインダ微粒子ではその表面に存在する物理吸着に適した細孔にガス状有機不純物の分子が入り込んで吸着除去される。この場合,酸化マンガン及び/又は過マンガン酸塩の存在により,亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物もフライポンタイト鉱物によって除去される。
【0063】
また,フィルタ1の別の製造方法を説明する。ハニカム構造体12を製作するまでは,前述の製造方法と同じであるので省略する。この製造方法では,ハニカム構造体12の表面に,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒して製造したペレットを接着剤で付着させる。フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒する際には,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,無機バインダを適量の水と無機系固着補助剤を混入させた状態で混合すると粘土状の粘性と可塑性を示すようになり,造粒が可能となる。この場合,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,無機物の粉末の両方に例えば市水を混ぜて粘土状とし,0.3〜0.8mm程度のペレットに造粒機にて造粒する。これを予め無機系かつ不燃性の接着剤を付着させた支持体に高速空気を利用して吹き付けることで,ハニカム構造体12の表面にペレットを固着させることができる。なお,無機バインダや無機系固着補助剤の種類は先に説明した製造方法と同様である。
【0064】
図6は,無機物の粉末をバインダにして,フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒したペレット21をハニカム構造体12の表面に固着させた構成のフィルタ1の断面部分拡大図である。波形のシート10と薄板シート11の表面全体に隅なくペレット21を不燃性接着剤で固着する。処理空気は,この実施の形態では,疑似半月形の断面形状をした細い筒部17を通過することになる。そして,このようにペレット21を固着したハニカム構造体12を,電気炉に入れて接着剤の耐熱温度以下の約100℃で2時間程度の熱処理を行い,接着剤に含まれる表面汚染の原因となるガス状有機不純物成分を全て脱離・除去することにより,フィルタ1を製造することができる。こうして製造されたフィルタ1によっても,先に図5で説明した場合と同様に,ガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物やガス状有機不純物を吸着除去でき,酸化マンガン及び/又は過マンガン酸塩の存在により,亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物もフライポンタイト鉱物によって除去することが可能となる。
【0065】
また,図7にA−A断面,B−B断面を示すように,主としてメソ孔領域又はミクロ孔領域の細孔を有する無機バインダによりフライポンタイト鉱物と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末をペレット21に成型し,このペレット21を側面に多数の通気口23を有する二重円筒形状のケーシング22内に充填してフィルタ1'を構成することによっても,本発明の目的を達成できる。処理空気はケーシング22の内側円筒から流入し,ケーシング22内のペレット21の充填層を透過した後,ケーシング22の外側円筒と外筒24に挟まれた空間を通過して出ていく。処理空気の流通方向は矢印13で示した。なお,ケーシング22の形態は,図7に示した如き二重円筒形状に限られない。別のケーシングの形態としては,例えば,通気口を多数有する金属平板をプリーツ形状に成型し,このプリーツ形状の成型板2枚を一定の間隔を空けて平行に配置し,この平行間隔部分にペレットを充填した構造なども考えられる。このようなケーシングは,粒子除去用フィルタであるHEPAやULPAの形状と似ており,通気面積を増やすことによって低い通気抵抗で大風量を処理できる。
【0066】
ここで,図1の二層構造をもったフライポンタイトの単位層が数層から数十層重なったフライポンタイトの微結晶子を工業的規模で合成する方法には水熱法と共沈法の2通りがあり,高橋範行・田中正範・佐藤悌治「フライポンタイトの合成」日本化学会誌,1990,No.4,p.370〜375に詳細が記述されている。
【0067】
こうして得られた例えば,厚みが数十オングストロームで広がりの直径が100オングストローム〜1μmの円盤状の合成フライポンタイトの微結晶の粉末を,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と共に,粒子直径が数十nmの粉末状の酸処理モンモリナイト(活性白土)の無機バインダと混合してハニカム構造体12の表面に固着するか,この混合物をペレット21に成型してハニカム構造体12の表面に固着するか,ケーシング22内に充填して,本発明のフィルタ1や1'を製作することができる。なお,モンモリナイトとはフランスのモンモリオンで産出したAlSi(OH)・nHOなる化学組成の粘土鉱物に付けられた名称であり,モンモリナイトを酸処理すると,細孔径が15〜300オングストロームの細孔容積が約0.37cc/g,比表面積が約300m/g程度となる。細孔容積全体に占める細孔径が40オングストローム〜600オングストロームの範囲の細孔容積の割合は22%もあり,酸処理モンモリナイト(活性白土)をフライポンタイト鉱物の粉末や酸化マンガンの粉末のバインダとして利用することで,フライポンタイト鉱物や酸化マンガンの粉末や過マンガン酸塩の粉末では吸着できないガス状有機不純物を該バインダの細孔内に物理吸着することができる。
【0068】
表1の(II)のグループのバインダのうち,タルクやカオリン鉱物は結晶子サイズが大きく,マクロ孔域の容積は大きいが,ミクロ孔域やメソ孔域の内部表面積や容積は小さく,物理吸着能力も小さい。また,(II)のグループのバインダのうち,ベントナイトもマクロ孔域の容積は大きいが,ミクロ孔域やメソ孔域の内部表面積や容積は小さく,物理吸着能力も小さい。一方,表1の(I)のグループのバインダのうち,例えば,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物であるセピオライトの細孔は10オングストロームのミクロ孔と200オングストロームのメソ孔から成り,ミクロ孔域やメソ孔域の内部表面積や容積は大きく物理吸着能力も大きい。(I)のグループのバインダ,つまりけいそう土,シリカ(シリカゲル),アルミナ(アルミナゲル),シリカとアルミナの混合物(シリカゲルとアルミナゲルの混合ゲル),珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,酸処理モンモリナイト(活性白土),活性ベントナイトの無機物の粉末は物理吸着能力が大きい。表1に示したように,(I)のグループの無機物はいずれも,15オングストローム〜300オングストロームの範囲に分布する単位重量当たりの細孔容積が0.2cc/g以上であるか,または比表面積が100m/g以上である。もちろん,(I)のグループの無機物の粉末は,後述するように,フライポンタイト鉱物の粉末を含む第1の無機材料層に重ねて形成する第2の無機材料層のバインダとして好適に利用できる。
【0069】
次に,フィルタ1の別の製造方法を説明する。ハニカム構造体12を製作するまでは,前述の製造方法と同じであるので省略する。先ず,フライポンタイト鉱物の粉末と無機バインダを分散させた懸濁液に,ハニカム構造体12を数分間浸した後,約300℃で1時間程度の熱処理で乾燥して,第1の無機材料層25を形成する。つぎに,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と無機バインダを分散させた懸濁液に,第1の無機材料層を形成した後のハニカム構造体12を数分間浸した後,約300℃で1時間程度の熱処理で乾燥して,第2の無機材料層26を形成する。こうして第1の無機材料層25の上に第2の無機材料層26をコーティングしたハニカム構造体12を得ることができる。第1の無機材料層25と第2の無機材料層26を形成する際に使用される無機物の粉末には無機系固着補助剤,例えば珪酸ソーダまたはシリカまたはアルミナを少なくとも一つ混入してもよい。なお,シリカとしては例えばシリカゾルが使用される。アルミナとしては例えばアルミナゾルが使用される。無機系固着補助剤の役割は,第1の無機材料層25を形成しているフライポンタイト鉱物の粉末や無機バインダが,ハニカム構造体12の孔などに強固に固着するための補助剤として機能したり,さらに第2の無機材料層26を形成している酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末や無機バインダが第1の無機材料層25に強固に固着をするための補助剤として機能する。
【0070】
こうして製造されるフィルタ1は,図8に示すように,波形シート10と薄板シート11を積層したハニカム構造体12の表面に,無機バインダを用いてフライポンタイト鉱物の粉末を固着させて第1の無機材料層25を形成し,更にその表面に酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機バインダを用いて固着させて第2の無機材料層26を形成した構成になっている。なお,第1の無機材料層25や第2の無機材料層26を形成する際に使用する無機バインダとして,表1の(I)のグループの無機物の粉末を使用すれば,前述したように,これら無機バインダは物理吸着能力が大きいため,フライポンタイト鉱物や酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末では吸着できないガス状有機不純物を該バインダの細孔内に物理吸着することができる。さらに,表1の(I)の無機バインダをシリカゾルやアルミナゾルのゾル状態の無機系固着補助剤で代替することもできる。その理由は,シリカゾルやアルミナゾルは単分散のナノメータから数十ナノメータの一次粒子を含む懸濁液であるが,支持体の表面に固着して乾燥した状態では,一次粒子が集合した三次元凝集体であるシリカゲルやアルミナゲルに変化し,ガス状有機不純物を吸着する能力を有するようになる。したがって,シリカゾルやアルミナゾルの無機系固着補助剤はそれら単独で,第1の無機材料層25や第2の無機材料層26のガス状有機不純物を吸着する無機バインダであるシリカゲルやアルミナゲルと全く同様に利用できる。
【0071】
ここで,図9は,こうして製造されるフィルタ1における第1の無機材料層25と第2の無機材料層26を示す部分拡大断面図である。このフィルタ1は,第1の無機材料層25に含まれるフライポンタイト鉱物が層状構造を有するため,フライポンタイト鉱物の粉末が剥がれて発塵を生じ易いといった難点を,第2の無機材料層26で被覆(コーティング)することにより解消できるといった利点がある。また,支持体自体からガス状有機不純物を脱離する場合であっても,第1の無機材料層25か第2の無機材料層26のいづれかがガス状有機不純物を吸着する無機バインダ(例えば表1の(I))を含んでおれば,支持体から脱離したガス状有機不純物を吸着・除去することが可能となる。
【0072】
また,フィルタ1の別の製造方法を説明する。ハニカム構造体12を製作するまでは,前述の製造方法と同じであるので省略する。この製造方法では,ハニカム構造体12の表面に,フライポンタイト鉱物の粉末を造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末をコーティングした第2のペレットを無機系接着剤で付着させる。フライポンタイト鉱物の粉末を造粒する際には,フライポンタイト鉱物の粉末と無機バインダを,適量の水と無機系固着補助剤を混入させた状態で混合すると粘土状の粘性と可塑性を示すようになり,造粒が可能となる。この場合,フライポンタイト鉱物の粉末と無機物の粉末の両方に例えば市水を混ぜて粘土状とし,0.3〜0.8mm程度のペレットに造粒機にて造粒する。こうして造粒した第1のペレットの周囲に,更に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機物の粉末をバインダとしてコーティングし,第2のペレットを作る。この第2のペレットを,予め無機系かつ不燃性の接着剤を付着させた支持体に高速空気を利用して吹き付けることで,ハニカム構造体12の表面に第2のペレットを固着させることができる。なお,無機バインダや無機系固着補助剤の種類は先に説明した製造方法と同様である。こうして製造されたフィルタ1によっても,先に図9で説明した場合と同様に,ガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物やガス状有機不純物を吸着除去でき,酸化マンガン及び/又は過マンガン酸塩の存在により,亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物もフライポンタイト鉱物によって除去することが可能となる。
【0073】
なお,第1の無機材料層と第2の無機材料層の固着の順序を逆にしても,同様の亜硫酸ガスの除去効果を得ることができる。即ち,図9の固着の順序を逆にした場合,処理対象ガスは,無機材料層26の表面(処理対象ガスとの接触面)から,無機材料層26中のフライポンタイト鉱物の微粒子と無機バインダの微粒子との間に形成される通気孔をかいくぐるように,無機材料層25の内部に入り込む。無機材料層25中の酸化マンガン及び/又は過マンガン酸塩の存在により,亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物は硫酸に変化する。この硫酸は外側のフライポンタイト鉱物の無機材料層26に浸出して除去される。その他のガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物については,無機材料層26のフライポンタイト鉱物の結晶層の表面に存在する固体塩基性点と固体酸性点でそれぞれ吸着除去される。図9の場合では,無機材料層26中の酸化マンガン及び/又は過マンガン酸塩で亜硫酸ガスなどの硫黄酸化物は硫酸に変化し,硫酸は支持体側の無機材料層25中に浸出してフライポンタイト鉱物で除去される。その他のガス状酸性不純物とガス状塩基性不純物については,無機材料層25のフライポンタイト鉱物で吸着除去される。
【0074】
図10は,本発明の実施の形態にかかる高度清浄装置100の構成を概略的に示す説明図である。この高度清浄装置100は,具体的には,例えばクリーンルームやクリーンベンチなどである。高度清浄装置100は,例えばLSIやLCDなどの製造を行うための処理空間102と,この処理空間102の上下に位置する天井部(サプライプレナム)103及び床下部(レターンプレナム)104と,処理空間102の側方に位置するレタン通路105から構成される。
【0075】
天井部103には,ファンユニット110と通気性を有するガス状不純物除去用のフィルタ111と粒子除去用のフィルタ112を有するクリーンファンユニット113が配置されている。処理空間102には,熱発生源となる例えば半導体の製造装置114が設置されている。床下部104は多数の孔が穿孔されたグレーティング115で仕切られている。また,床下部104には,半導体製造装置114の熱負荷を処理するための乾き冷却器(結露を生じさせないように構成された冷却器)116が設置されている。乾き冷却器116は,熱交換表面に結露を生じさせない条件で空気を冷却する空気冷却器を意味する。レタン通路105に温度センサ117が設置されており,この温度センサ117で検出される温度が所定の設定値となるように,乾き冷却器116の冷水流量調整弁118が制御される。
【0076】
そして,クリーンファンユニット113のファンユニット110が稼働することによって,適宜気流速度が調整されながら,高度清浄装置100内部の空気は,天井部103→処理空間102→床下部104→レタン通路105→天井部103の順に流れて循環するように構成されている。またこの循環中に,乾き冷却器116によって冷却され,クリーンファンユニット113内のガス状不純物除去用のフィルタ111と粒子除去用のフィルタ112によって空気中のガス状不純物と粒子状不純物が除去されて,適温で清浄な空気が処理空間102内に供給されるようになっている。
【0077】
ガス状不純物除去用のフィルタ111は,先に説明した本発明によるフィルタ1であり,フライポンタイト鉱物の粉末と,過マンガン酸塩の粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を含んでおり,循環空気からガス状の酸性・塩基性不純物と場合によってはガス状の有機不純物までも除去する。また空気浄化フィルタ111は,不燃性の素材のみで構成され,かつベーキング処理を行うことによりガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されている。
【0078】
粒子除去用フィルタ112は空気浄化フィルタ111の下流側に配されており,このフィルタ112は粒子状不純物を除去することが可能な機能を有している。また粒子除去用フィルタ112は,外枠その他の構成要素をアルミニウムやセラミックスとし,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されている。
【0079】
また,高度清浄装置100の床下部104内には,取り入れ外気が空気流路120を経て適宜供給される。この空気流路120にも,取り入れ外気からガス状不純物を除去するための本発明による空気浄化フィルタ121が配されており,空気浄化フィルタ121の上流側には,取り入れ外気の除塵・調温・調湿を行うユニット型空調機122が設けられている。また,空気流路120には湿度センサ127が配置されており,この湿度センサ127で検出される湿度が所定の設定値となるように,ユニット型空調機122の調湿部の給水圧調整弁129が制御される。一方,処理空間102内には湿度センサ128が設置されており,この湿度センサ128で処理空間102内の雰囲気の湿度が検出される。
【0080】
空気流路120から高度清浄装置100の床下部104に供給された取り入れ外気は,レタン通路105及び天井部103を経由して,処理空間102に導入される。そして,この取り入れ外気に見合った空気量が,排気口125から排気ガラリ126を介して室外に排気される。
【0081】
本発明による空気浄化フィルタ111は,構成材料に可燃物を含まないため,図11のように空気浄化フィルタ111を天井面に取り付けた場合,可燃物である活性炭やイオン交換繊維をベースとした従来のケミカルフィルタを天井面に取り付けた場合と比較して,防災上の安全性は著しく高まる。なお,図10に示した高度清浄装置100において,取り入れ外気を処理する空気浄化フィルタ121も循環空気を処理する空気浄化フィルタ111と同様の構成とすれば,可燃物である活性炭やイオン交換繊維をベースとした従来のケミカルフィルタを外気取り入れ口に取り付けた場合と比較して,防災上の安全性は更に高まる。
【0082】
通常の粒子除去用の中性能フィルタ,HEPAフィルタまたはULPAフィルタは,繊維濾材に揮発性有機物を含む濾材用バインダを使用したり,繊維濾材とフィルタ枠材の接着に揮発性有機物を含むシール材を使用ているので,濾材用バインダや接着剤からの脱ガスがある。したがって本発明を構成する粒子除去用フィルタ112に関しては,揮発性有機物を含む濾材用バインダを使用しない濾材を用い,あるいは揮発性有機物を含む濾材用バインダを使用していても焼きだしなどの処理により揮発性有機物を除去した濾材を用い,さらに濾材をフレームに固定する手段であるシール材にも脱ガスの発生のない種類を選択したり,あるいは濾材を脱ガスのない素材で物理的に圧着してフレームに固定することが望ましい。
【0083】
つぎに,本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄装置100'を図11に示した。この図11に示す高度清浄装置100'は,本発明によるフライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を含むハニカム構造体の空気浄化フィルタ111を高度清浄装置100'の天井部103全面に取り付けるのではなく,所々間引いて設置している。本例では,図10と比較して空気浄化フィルタ111の設置台数を半分にした。その他の点は,先に図10において説明した高度清浄装置100と同様の構成である。従って,図11に示す高度清浄装置100'において,先に図10で説明した高度清浄装置100と同じ構成要素については同じ符号を付することにより,詳細な説明は省略する。
【0084】
本発明の空気浄化フィルタが除去の対象とする化学汚染物質は,酸性物質,塩基性物質,ドーパント,有機物である。代表的な障害事例を説明すると,酸性ガス全般に共通する障害としては金属配線の腐食があるが,硫黄酸化物SOx特有の障害としては,空気中のアンモニアガスと反応して,前記のように精密部品等の製造に悪影響を及ぼす。フッ酸(HF)は粒子除去用フィルタ濾材であるガラス繊維からのボロン(B)の揮発を促進し,塩基性ガスはレジストの解像の障害になる。ボロン(B)やリン(P)は半導体デバイスの動作不良を起こす。ガス状の有機物が基板表面に付着すると,絶縁酸化膜の不良,レジスト膜の密着不良,表面抵抗値が高くなって微粒子の静電吸着が起こりやすくなる。また,ガス状の有機物は露光装置のレンズやミラーの曇りを発生する原因となる。これらガス状不純物の発生源には,洗浄装置,作業者,クリーンルーム構成部材などの高度清浄装置内部に存在する発生源と,外部から高度清浄装置内へ進入する外気由来の汚染物がある。したがって,空気浄化フィルタ111の役割は,主として高度清浄装置内部で発生するガス状汚染物を循環空気中から除去し,高度清浄装置内部のこれらガス状汚染物濃度を低減することである。例えば,高度清浄装置内の洗浄工程で使用される薬品である硫酸から発生するSOxなどを除去する。一方,空気流路120に配設した空気浄化フィルタ121の役割は,外部から高度清浄装置内へ進入する外気由来の汚染物を除去し,高度清浄装置内部のこれらガス状汚染物濃度を低減することである。例えば,外気に含まれる大気汚染由来や火山活動由来のSOxなどである。空気浄化フィルタ111および121を備えた高度清浄装置を稼働すると,稼働初期に高度清浄装置内部の化学汚染物質の濃度は最も高く,稼働時間の経過とともに,循環空気中からこれら化学汚染物質が逐一除去されて,濃度は低下していき,遂には高度清浄装置内部の発生量と平衡する濃度で安定化する。空気が1回循環する際に除去される化学汚染物質量は,天井全面に取り付けた図10の高度清浄装置100と,間引いた図11の高度清浄装置100'を比較すると,2:1の関係がある。つまり,稼働初期の最高濃度から,高度清浄装置内部の発生量と平衡する濃度まで達するまでの時間は,間引いた図11の高度清浄装置100'の場合は天井全面に取り付けた図10の高度清浄装置100の場合よりも相当に長くなる。また,最終的に到達する平衡濃度も,間引いた場合は天井全面に取り付けた場合よりも少し高くなる。つまり,間引くと濃度の低減に時間がかかり,低減後の平衡濃度も間引かない場合よりも少し高くなるという短所はあるが,空気浄化フィルタ111のイニシャルコストや定期的交換に伴うランニングコストを安くしたいという経済的要望から,この図11に示す例のように,空気浄化フィルタ111の設置台数を間引くことも多い。
【0085】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を,半導体やLCDの製造プロセス全般の高度清浄装置(いわゆるクリーンルーム)に関して説明したが,本発明はかかる実施の形態に限定されない。ミニエンバイロメントと称する局所的な高度清浄装置やクリーンベンチやクリーンチャンバや清浄な製品を保管するための各種ストッカなど様々な規模の高度清浄装置,空気浄化フィルタの処理可能風量,循環風量と外気取り入れ空気量の割合,高度清浄装置内部からのガス状不純物の発生の有無などの処理環境に応じて多様な形態が考えられる。
【0086】
例えば,300mm直径シリコンウェハを使用して256MbitDRAMや1GbitDRAMの半導体製造が1999年頃から始まろうとしている。このような半導体製造装置では,ウェハを該装置内のチャンバに導入した後,反応プロセスを開始するまでの間,不活性ガス供給装置から窒素やアルゴンの不活性ガスを送気して該チャンバ内に充満させる。この不活性ガスは極めて高純度の仕様であり,不活性ガス自体がウェハの表面汚染を起こすことはない。しかし,不活性ガスの供給をオンオフするために,不活性ガス供給装置とチャンバの間にはバルブが設けられ,このバルブの構成素材からウェハ表面汚染の原因となる種々の化学汚染物質が発生する。本発明による空気浄化フィルタをバルブとチャンバの間のガス流路に設けることによって,該空気浄化フィルタは自身からのガス状汚染物を発生することなく,バルブから発生する種々の化学汚染物質を除去することで,ウェハの表面汚染の防止と品質向上に役立つ。
【0087】
【実施例】
次に,以上に説明した本発明の実施の形態にかかるフィルタの作用効果を,実施例によって説明する。
【0088】
図12は,フライポンタイト鉱物と二酸化マンガンの重量混合比を,フライポンタイト鉱物:二酸化マンガン(MnO)=5:1(A1),5:2(A2),5:4(A3)の3とおりに変化させた場合の,表2の本発明の実施例にかかるフィルタA1,A2,A3について,亜硫酸ガスSOの除去性能を経時的に示したグラフである。比較のため,フライポンタイト鉱物の粉末のみを無機バインダによって支持体の表面に固着させた構成の比較例のフィルタB0のSO2除去性能も示す。なお,いずれのフィルタA1,A2,A3も,フライポンタイト鉱物の粉末と二酸化マンガンの粉末を,無機物の粉末をバインダとしてハニカム状の支持体の表面に固着させた構成である。表2は各フィルタA1,A2,A3,B0におけるフライポンタイト鉱物担持率と,二酸化マンガン担持率と,バインダ担持率を示す。なお,処理対象空気としてSOを900vol ppb含有する空気を用い,通気風速1.2m/s,温度23゜C,相対湿度45%,ハニカムの厚み50mmとした。通常のクリーンルーム雰囲気中のSO濃度は5vol・ppb前後であるので,この測定におけるSO濃度は通常の140倍の加速負荷濃度になる。
【0089】
【表2】
Figure 0003936803
【0090】
フライポンタイト鉱物に亜硫酸ガスを酸化する能力のある二酸化マンガンを混合することで,SOの除去性能を発揮できることが分かる。なお,フライポンタイト鉱物による塩化水素,硫化水素,ホウ素化合物,弗化水素等の酸性ガスの除去能力は,二酸化マンガンを混合したことで損なわれることはない。
【0091】
図13は,フライポンタイト鉱物の粉末と過マンガン酸カリウムの粉末を無機バインダによって支持体の表面に固着させた構成の本発明の空気浄化フィルタA4の亜硫酸ガスSOの除去性能の経時的変化を,フライポンタイト鉱物の粉末のみを無機バインダによってハニカム状の支持体の表面に固着させた比較例のフィルタB0と,炭酸カリウムを添着した粒状活性炭を通気性のあるウレタンマットに接着した従来のケミカルフィルタB1と,過マンガン酸カリウムを添着した活性炭繊維をハニカム形状に成形した従来のケミカルフィルタB2と比較して示したグラフである。なお,処理対象空気としてSOxを800vol ppb含有する空気を用い,通気風速0.9m/s,温度23゜C,相対湿度45%,フィルタの厚み50mmとした。
【0092】
亜硫酸ガスSOは,ケミカルフィルタB1の炭酸カリウムやフィルタB0の亜鉛(又はマグネシウム)と中和反応を起こしにくいため,5vol ppbのSO2を除去する場合,ケミカルフィルタB1でわずか900時間,フィルタB0でわずか600時間を経過すると,除去効率は50%以下になってしまう。一方,本発明のケミカルフィルタA4と従来のケミカルフィルタB2の過マンガン酸カリウムは亜硫酸ガスを酸化して硫酸に変化させるため,5vol ppb のSOを除去する場合,それぞれ7000時間および2600時間経過後に,除去効率は50%以下になった。また,図12で説明したように,本発明の実施例のフィルタA1,A2,A3では,約6000時間から約8000時間の経過後に,除去効率は50%以下になった。本発明の実施例のフィルタA1,A2,A3,A4と,ケミカルフィルタB2及びフィルタB0の比較から,亜硫酸ガスの除去にはフライポンタイト鉱物のみでは不十分で,酸化マンガンや過マンガン酸塩が必須であることがわかる。
【0093】
図14は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を無機バインダによってハニカム状の支持体の表面に固着させた構成の本発明の実施例にかかるフィルタAの塩化水素の除去性能の経時的変化を,炭酸カリウムを添着した粒状活性炭を通気性のあるウレタンマットに接着したケミカルフィルタB1と,炭酸カリウムを添着した活性炭繊維をハニカム形状に成形したケミカルフィルタB3と比較して示したグラフである。なお,処理対象空気として塩化水素加速負荷濃度2〜3vol ppm含有する空気1を用い,通気風速0.9m/s,,温度23゜C,相対湿度45%,フィルタの厚み50mmとした。本発明の実施例にかかるフィルタAは,塩化水素除去率が比較例のケミカルフィルタB1,B3よりも相当に優れていることがわかる。
【0094】
図15は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を無機バインダによってハニカム状の支持体の表面に固着させた構成の本発明の実施例にかかるフィルタAの硫化水素の除去性能の経時的変化を,炭酸カリウムを添着した粒状活性炭を通気性のあるウレタンマットに接着したケミカルフィルタB1と,炭酸カリウムを添着した活性炭繊維をハニカム形状に成形したケミカルフィルタB3と比較して示したグラフである。なお,処理対象空気として硫化化水素加速負荷濃度900vol ppbの空気を用い,通気風速0.9m/s,温度23゜C,相対湿度45%,フィルタの厚み50mmとした。本発明の実施例にかかるフィルタAは,硫化水素除去率において比較例のケミカルフィルタB1,B3と遜色がない。
【0095】
図16は,フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を無機バインダによってハニカム状の支持体の表面に固着させた構成の本発明の実施例にかかるフィルタAについて,ガス状のほう酸(HBO)や三弗化ホウ素(BF)の除去率の経時的変化を示したグラフである。なお,処理対象空気としてフィルタAの上流側においてHBOについては162ppb(ホウ素80000ng/m),BFについては17ppb(ホウ素8560ng/m)を含有する空気をそれぞれ用いた。実施条件として通気風速0.9m/s,フィルタの厚み50mmとした。圧力損失は1.5mmAqになった。本発明の実施例にかかるフィルタAは,クリーンルーム中で測定される80ng/mの濃度に換算した場合,除去率80%以上の寿命は,ほう酸(HBO)で6年以上,三弗化ホウ素(BF)で1年以上であることがわかる。比較のために,酸化マンガンの粉末のみを無機バインダによってハニカム状の支持体の表面に固着させた構成の比較例のフィルタB5のガス状のほう酸(HBO)の除去率を図16中に示した。ほう酸(HBO)に関するフィルタAの除去率と比較してフィルタB5の除去率は相当低く,フライポンタイト鉱物の粉末はガス状のほう酸の除去率を大幅に上昇させていることがわかる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば,以下のような効果を奏する。高度清浄装置で取り扱う半導体や液晶の基板表面の汚染を防止するにあたり,雰囲気中に含まれる基板表面汚染の原因となるガス状無機不純物とガス状有機不純物の両方を吸着・除去できる。特に精密電子部品等の製造に有害な硫黄酸化物についても除去できる。このため,精密電子部品等の生産に好適な清浄空気を作り出すことができる。また,半導体やLCDの製造において,こうして作り出した清浄空気を,基板表面が暴露される高度清浄装置の雰囲気として利用することで,基板表面の汚染を防止することができた。
【0097】
また,ガス状無機不純物を吸着・除去するための吸着剤としてフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末を用い,ガス状有機不純物を吸着・除去するための吸着剤として各種無機物の粉末を適宜に選択して,組み合わせることによって,構成材料に可燃物を含まない空気浄化フィルタを提供することができる。この空気浄化フィルタを用いて構築された高度清浄装置は,従来の活性炭吸着剤やイオン交換繊維の空気浄化フィルタを用いて構築された高度清浄装置に比べて防災上,優れている。また,基板表面汚染の原因となるガス状有機物を発生しない素材のみから構成される空気浄化フィルタを提供することができ,この空気浄化フィルタを用いて構築された高度清浄装置は,従来の活性炭吸着剤やイオン交換繊維の空気浄化フィルタを用いて構築された高度清浄装置に比べて,基板表面の無機物汚染や有機物汚染をより完全に防止することができた。
【0098】
本発明の空気浄化フィルタが除去の対象とする主要な不純物は,酸性物質,塩基性物質,ドーパントなどのガス状無機不純物であるが,本発明の空気浄化フィルタは,ガス状有機不純物の除去についても効果がある。従来,酸性,塩基性,ドーパント,有機物の各不純物に応じて4種の専用のケミカルフィルタを準備しなければならなかったが,本発明の空気浄化フィルタでは,酸性と塩基性の両方の無機不純物を一括して除去できるのみならず,有機不純物までをも一括して除去できるので,吸着層体積の低減,圧力損失の低減,吸着層製造コストの低減等の利点がさらに大きくなる。特に,ガス状ホウ素化合物と親和性(吸着率)が高いシリカ等の無機物が,第1の無機材料層と第2の無機材料層の両方に存在する空気浄化フィルタは,シリカ等の無機物の総和量が多くなり,ガス状ホウ素化合物の除去効率の経時的変化が少なく,比較的長時間に渡ってガス状ホウ素化合物を除去できるといった特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】片面が固体塩基性でもう片面が固体酸性の二重構造の結晶を有するフライポンタイト鉱物の説明図である。
【図2】二層構造をもったフライポンタイトの単位層またはせいぜい数層の積層体が互いに重ならずに1枚ずつバラバラの状態で空間中に分散された状態を示す無機材料層の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるフィルタの概略的な分解組立図である。
【図4】ハニカム構造体の表面にフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機バインダを用いて固着させて無機材料層を形成したフィルタの断面部分拡大図である。
【図5】本発明におけるフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機バインダで支持体表面に担持した無機材料層について示した無機材料層断面の部分拡大図である。
【図6】無機バインダを用いてフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒したペレットをハニカム構造体の表面に固着させた構成のフィルタの断面部分拡大図である。
【図7】フライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末からなるペレットを二重円筒形状のケーシング内に充填した空気浄化フィルタの横断面図と縦断面図である。
【図8】波形シートと薄板シートを積層したハニカム構造体の表面に,無機バインダを用いてフライポンタイト鉱物の粉末を固着させて第1の無機材料層を形成し,更にその表面に無機バインダを用いて酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を固着させて第2の無機材料層を形成した構成のフィルタの断面部分拡大図である。
【図9】本発明における第1の無機材料層と第2の無機材料層からなる複合層断面の部分拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる高度清浄装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図12】本発明の実施例にかかるフィルタについて,フライポンタイト鉱物と二酸化マンガンの重量混合比と亜硫酸ガスSOの除去性能の関係を経時的に示したグラフである。
【図13】本発明の実施例にかかるフィルタの亜硫酸ガスSOの除去性能の経時的変化を,ケミカルフィルタと比較して示したグラフである。
【図14】本発明の実施例にかかるフィルタの塩化水素の除去性能の経時的変化を,ケミカルフィルタと比較して示したグラフである。
【図15】本発明の実施例にかかるフィルタの硫化水素の除去性能の経時的変化を,ケミカルフィルタと比較して示したグラフである。
【図16】本発明の実施例にかかるフィルタについて,ガス状のほう酸(HBO)や三弗化ホウ素(BF)の除去率の経時的変化をケミカルフィルタと比較して示したグラフである。
【符号の説明】
1 フィルタ
12 支持体
20 無機材料層
21 ペレット
22 ケーシング
25 第1の無機材料層
26 第2の無機材料層
100 高度清浄装置

Claims (15)

  1. フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして,支持体の表面に固着させて無機材料層を形成したことを特徴とする,空気浄化フィルタ。
  2. フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させた第1の無機材料層と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして固着させた第2の無機材料層を,それら第1の無機材料層と第2の無機材料層のいずれか一方が支持体の表面に接する関係を持って積層したことを特徴とする,空気浄化フィルタ。
  3. フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させたペレットを,支持体の表面に固着させたことを特徴とする,空気浄化フィルタ。
  4. フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,もしくは,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,支持体の表面に固着させたことを特徴とする,空気浄化フィルタ。
  5. 前記支持体が,ハニカム構造体であることを特徴とする,請求項1,2,3又は4のいずれかに記載の空気浄化フィルタ。
  6. 無機物の粉末をバインダにしてフライポンタイト鉱物の粉末と酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を造粒させたペレットを,もしくは,フライポンタイト鉱物の粉末を無機物の粉末をバインダにして造粒させた第1のペレットの周囲に,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,もしくは,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末を,無機物の粉末をバインダとして造粒させた第1のペレットの周囲に,フライポンタイト鉱物の粉末を,無機物の粉末をバインダとしてコーティングした第2のペレットを,ケーシング内に充填したことを特徴とする,空気浄化フィルタ。
  7. 前記酸化マンガンが,四酸化三マンガン(Mn),三酸化二マンガン(Mn),二酸化マンガン(MnO)のいずれかであることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5又は6のいずれかに記載の空気浄化フィルタ。
  8. 前記過マンガン酸塩が,MMnO(M:アルカリ金属),MII(MnO(MII:アルカリ土類金属)のいずれかであることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6又は7のいずれかに記載の空気浄化フィルタ。
  9. 前記無機物が,タルク,カオリン鉱物,ベントナイト,けいそう土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,珪酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,リボン状構造の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物,活性白土,活性ベントナイトの少なくとも1種からなることを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7又は8のいずれかに記載の空気浄化フィルタ。
  10. 前記無機材料層,第1の無機材料層,第2の無機材料層,ペレット,第1のペレット及び第2のペレットの少なくともいずれか一つに無機系固着補助剤を混入することを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9のいずれかに記載の空気浄化フィルタ。
  11. 前記無機系固着補助剤が,珪酸ソーダ,シリカ又はアルミナの少なくとも一つを含むことを特徴とする,請求項10に記載の空気浄化フィルタ。
  12. フライポンタイト鉱物の粉末と,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体を含浸させた後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に無機材料層を固着させることを特徴とする空気浄化フィルタの製造方法。
  13. フライポンタイト鉱物の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に支持体を含浸させた後,該支持体を乾燥させて支持体の表面に第1の無機材料層を形成し,更に,該第1の無機材料層を形成した支持体を,酸化マンガンの粉末及び/又は過マンガン酸塩の粉末と,バインダとしての無機物の粉末を分散させた懸濁液に含浸させた後,乾燥させて第1の無機材料層の表面に第2の無機材料層を形成するか,もしくは,支持体の表面に前記第2の無機材料層を形成した後,更に該第2の無機材料層の表面に前記第1の無機材料層を形成することを特徴とする,空気浄化フィルタの製造方法。
  14. 清浄雰囲気が要求される空間内の空気を循環させる循環経路を備えた高度清浄装置において,
    該循環経路に,請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11のいずれかに記載の空気浄化フィルタを配置すると共に,前記空間より上流側であって空気浄化フィルタの下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを配置したことを特徴とする,高度清浄装置。
  15. 前記空気浄化フィルタと粒子状不純物を除去するフィルタが,前記空間の天井部に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の高度清浄装置。
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