JP4883548B2 - 空気浄化フィルタ及び高度清浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えばクリーンルーム,クリーンベンチや保管庫などといった高度清浄装置に使用される,雰囲気中の有機物を除去するための空気浄化フィルタに関し,更に,空気浄化フィルタを備えた高度清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日,半導体やLCDの製造などにクリーンルーム,クリーンベンチや保管庫などといった高度清浄装置が広く利用されている。例えば,半導体等の製造過程においてウエハに有機物が付着すると,絶縁酸化膜(SiO2)の絶縁耐圧低下,レジスト膜の密着性低下に伴う露光,エッチング不良などといった種々の不都合を引き起こす。また,LCDの製造過程においてLCD基板であるガラス基板に有機物が付着すると,その表面上に薄膜トランジスタ(TFT)用のアモルファスシリコン(a−Si)を成膜する際に,LCD基板とa−Si膜の密着不良を生じてしまう。このように,高度清浄装置においては,半導体やLCDの製造に悪影響を及ぼす雰囲気中の有機物を除去することが必要である。例えば,2002年版International Technology Roadmap for SemiconductorsのTable 95aの記載によると,2007年には,半導体製造における雰囲気中に許容される有機物濃度が,50ppt(C)となるように,有機物濃度の制御が必要となる。
【0003】
従来,そのような雰囲気中の有機物除去を目的としたケミカルフィルタに関し,特開2001−310109号公報,特開平3−98611号公報などが開示されている。また本出願人も,先に特許第3316166号公報を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−310109号公報
【特許文献2】
特開平3−98611号公報
【特許文献3】
特許第3316166号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば,天井面が清浄空気の吹き出し面となっている高度清浄装置の場合,空気中の有機物を除去するために,天井に取付けられている粒子除去用フィルタの上流側にケミカルフィルタを設置するのが一般的である。このようにケミカルフィルタを天井に設置する場合,所定の送風量を確保するために,ケミカルフィルタの圧力損失はできる限り低いことが望ましい。また,交換の手間やコストの面から,ケミカルフィルタの寿命は長いことが望ましい。
【0006】
従来のケミカルフィルタでは,フィルタ単位体積あたりの吸着材充填量を増加させることにより除去容量を増大させ,フィルタ寿命を長くすることが行われているが,吸着材充填量を増加させると圧力損失が増加してしまう。特に,吸着材を含有する素材をハニカム構造としたケミカルフィルタの場合,吸着材含有量を増やすことによりハニカムセル壁の厚みを増加させ,単位ハニカム構造体体積あたりの除去容量を増加させているが,この方法によると,通気通路方向に垂直な単位断面積あたりのセル開口面積の低下をもたらし,圧力損失の増加を招くことになる。
【0007】
また,半導体やLCDを製造する高度清浄装置で問題となる有機物は,沸点が約150℃以上の有機物であり,それらの分子径はおおよそ15Å以下のもので構成されている。従来のケミカルフィルタでは,そのような分子径の小さい有機物に対して吸着力が低く,多量に吸着できないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は,半導体やLCDの製造クリーンルーム雰囲気で問題となる有機物を,長期間にわたり効率良く除去でき,圧力損失の小さい空気浄化フィルタと高度清浄装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために,本発明によれば,活性炭からなる吸着材を有する吸着シートを備える,半導体またはLCDの製造に悪影響を及ぼす雰囲気中の有機物を除去するハニカム構造の空気浄化フィルタであって,吸着シートの厚みが0.4mm以下であり,かつ,アルゴンガスによる気体吸着法で測定される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,吸着シートの単位面積あたり46cc/m2以上であることを特徴とする,空気浄化フィルタが提供される。
【0010】
本発明の空気浄化フィルタにおいて,吸着シートは,例えば,活性炭からなる吸着材を製紙原料に混合して抄紙されたものである。また例えば,吸着シートは,活性炭からなる吸着材を母材の表面に付着させたものである。また例えば,吸着シートは,活性炭からなる吸着材をバインダと混合し,成型したものである。
【0011】
また本発明によれば,半導体またはLCDの製造に利用される清浄雰囲気が要求される空間内の空気を循環させる循環経路を備えた高度清浄装置において,該循環経路に,本発明の空気浄化フィルタを配置すると共に,前記空間より上流側であって空気浄化フィルタの下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを配置したことを特徴とする,高度清浄装置が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる空気浄化フィルタ1(以下「フィルタ1」)の概略的な分解図である。図示のように,フィルタ1は,波形の吸着シート10と,凹凸のない平板形状の吸着シート11を交互に並べて挟んだ構造のハニカム構造体12を備えている。このハニカム構造体12の周囲には,処理空気の流通方向(図中,白抜き矢印13で示す方向)に開口するようにアルミニウム製の外枠15a,15b,15c,15dを組み立てている。ハニカム構造体12において,波形の吸着シート10と平板形状の吸着シート11を交互に並べていることにより,吸着シート10,11の間には空気が流通できる隙間が形成されており,波形の吸着シート10の稜線方向を空気の流通方向13に一致させるように配置している。これにより,空気が吸着シート10,11の間を通って流通方向13に沿ってハニカム構造体12の内部を通過するようになっている。
【0013】
吸着シート10,11は,珪藻土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,ケイ酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,活性白土,活性ベントナイト,合成ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれか一つを有している。また,吸着シート10,11の厚みは0.4mm以下である。また,図2に示すように,ハニカム構造体12(吸着シート10,11)の一部を切取り,その切取り片16について,アルゴンガスによる気体吸着法で測定される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,単位面積あたり46cc/m2以上である。
【0014】
このようなハニカム構造体12(吸着シート10,11)は,例えば,珪藻土,シリカ,アルミナ,シリカとアルミナの混合物,ケイ酸アルミニウム,活性アルミナ,多孔質ガラス,活性白土,活性ベントナイト,合成ゼオライト及び活性炭の少なくともいずれか一つ(以下「吸着材」という)を製紙原料に混合して抄紙することによって製造される。この場合,抄紙した吸着シートを適宜波形に成型するなどし,図1に示したように,波形の吸着シート10と平板形状の吸着シート11を交互に並べて組み立てることにより,ハニカム構造体12を得ることができる。
【0015】
また,ハニカム構造体12(吸着シート10,11)は,例えば,吸着材を母材の表面に付着させることによって製造することもできる。この場合,ハニカム構造体を先に組み立ててから,その表面に吸着材を付着させても良いし,シートの状態で表面に吸着材を付着させてから,ハニカム構造体を組み立てても良い。なお,シートもしくはハニカム構造体の表面に吸着材を付着させる場合,吸着材とバインダを含むスラリーにシートもしくはハニカム構造体を含浸させ,その後,乾燥させる方法を利用することができる。
【0016】
また,ハニカム構造体12(吸着シート10,11)は,例えば,吸着材をバインダと混合し,成型することによって製造することもできる。この場合,吸着材をバインダと混合した材料で波形の吸着シート10と,凹凸のない平板形状の吸着シート11を成型し,その成型された吸着シート10,11を無機系の接着剤で接着してハニカム構造体12を組み立てることもできるし,吸着材をバインダと混合した材料でハニカム構造体12を押出し成型などによって直接成型することもできる。
【0017】
なお,いずれの方法によってハニカム構造体12を製造する場合であっても,ベーキングなどの熱処理等によって,ハニカム構造体12(吸着シート10,11)の構成材料から,汚染の原因となるガス状有機不純物成分が全て脱離・除去されていることが必要である。
【0018】
以上のように構成される本発明の実施の形態にかかるフィルタ1は,半導体やLCDの製造に影響する雰囲気中の有機物を長期間に渡り効率良く除去することができ,かつ,圧力損失も小さい。半導体やLCDの製造で問題となる有機物は,沸点が約150℃以上の有機物であり,それらの分子径はおおよそ15Å以下のもので構成されている。本発明のフィルタ1は,そのような分子径が15Å以下程度のガス状有機物について強い吸着作用を発揮し,除去することができる。
【0019】
次に図3は,本発明の実施の形態にかかる高度清浄装置100の構成を概略的に示す説明図である。この高度清浄装置100は,具体的には,例えば半導体やLCDの製造などに利用されるクリーンルーム,クリーンベンチ,保管庫などである。高度清浄装置100は,例えばLSIやLCDなどの製造を行うための処理空間102と,この処理空間102の上下に位置する天井部(サプライプレナム)103及び床下部(レターンプレナム)104と,処理空間102の側方に位置するレタン通路105を備えている。
【0020】
天井部103には,ファンユニット110と,先に説明した本発明の実施の形態にかかるフィルタ1と,通気性を有する粒子除去用のフィルタ112を有するクリーンファンユニット113が配置されている。
【0021】
粒子除去用フィルタ112はフィルタ1の下流側に配されており,このフィルタ112は粒子状不純物を除去することが可能な機能を有している。また粒子除去用フィルタ112は,外枠その他の構成要素をアルミニウムやセラミックスとし,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されている。なお,フィルタ1は,ファンユニット110の上部に配置しても良い。
【0022】
処理空間102には,熱発生源となる例えば半導体の製造装置114が設置されている。床下部104は多数の孔が穿孔されたグレーティング115で仕切られている。また,床下部104には,半導体製造装置114の熱負荷を処理するための乾き冷却器(結露を生じさせないように構成された冷却器)116が設置されている。乾き冷却器116は,熱交換表面に結露を生じさせない条件で空気を冷却する空気冷却器を意味する。レタン通路105に温度センサ117が設置されており,この温度センサ117で検出される温度が所定の設定値となるように,乾き冷却器116の冷水流量調整弁118が制御される。
【0023】
そして,クリーンファンユニット113のファンユニット110が稼働することによって,適宜気流速度が調整されながら,高度清浄装置100内部の空気は,天井部103→処理空間102→床下部104→レタン通路105→天井部103の順に流れて循環するように構成されている。またこの循環中に,乾き冷却器116によって冷却され,クリーンファンユニット113内のフィルタ1と粒子除去用のフィルタ112によって空気中のガス状有機不純物と粒子状不純物が除去されて,適温で清浄な空気が処理空間102内に供給されるようになっている。
【0024】
また,高度清浄装置100の床下部104内には,取り入れ外気が空気流路120を経て適宜供給される。この空気流路120にも,取り入れ外気からガス状有機不純物を除去するために,本発明の実施の形態にかかるフィルタ1が配されており,更にフィルタ1の上流側には,取り入れ外気の除塵・調温・調湿を行うユニット型空調機122が設けられている。また,空気流路120には湿度センサ127が配置されており,この湿度センサ127で検出される湿度が所定の設定値となるように,ユニット型空調機122の調湿部の給水圧調整弁129が制御される。一方,処理空間102内には湿度センサ128が設置されており,この湿度センサ128で処理空間102内の雰囲気の湿度が検出される。
【0025】
空気流路120から高度清浄装置100の床下部104に供給された取り入れ外気は,レタン通路105及び天井部103を経由して,処理空間102に導入される。そして,この取り入れ外気に見合った空気量が,排気口125から排気ガラリ126を介して室外に排気される。
【0026】
次に,本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄装置100’を図4に示した。この図4に示す高度清浄装置100’は,先に説明した本発明の実施の形態にかかるフィルタ1を高度清浄装置100’の天井部103全面に取り付けるのではなく,所々間引いて設置している。図4に示す例では,図3と比較して天井部103でのフィルタ1の設置台数を半分にした。その他の点は,先に図3において説明した高度清浄装置100と同様の構成である。従って,図4に示す高度清浄装置100’において,先に図3で説明した高度清浄装置100と同じ構成要素については同じ符号を付することにより,詳細な説明は省略する。
【0027】
空気が1回循環する際に除去されるガス状有機不純物は,天井部103の全面にフィルタ1を取り付けた図3の高度清浄装置100と,フィルタ1を半分に間引いて取り付けた図4の高度清浄装置100’を比較すると,2:1の関係がある。最終的に到達する平衡濃度も,高度清浄装置100’は高度清浄装置100よりも少し高くなる。しかし,イニシャルコストやフィルタ1の定期的交換に伴うランニングコストを安くしたいという経済的要望から,この図4に示す例のように,フィルタ1の設置台数を間引くことも多い。
【0028】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を,半導体やLCDの製造プロセス全般の高度清浄装置(いわゆるクリーンルーム)100,100’について説明したが,本発明はかかる実施の形態に限定されない。ミニエンバイロメントと称する局所的な高度清浄装置やクリーンベンチやクリーンチャンバや清浄な製品を保管するための各種ストッカなど様々な規模の高度清浄装置にも本発明は同様に適用できる。またフィルタ1の処理可能風量,循環風量と外気取り入れ空気量の割合,高度清浄装置内部からのガス状不純物の発生の有無などの処理環境に応じて多彩な形態が考えられる。また,図3,4では,クリーンファンユニット113の内部にフィルタ1を備え,ユニット型空調機122のの内部にフィルタ1を備えるように図示したが,ファンユニット110と通気性を有する粒子除去用のフィルタ112を有するクリーンファンユニット113の上流側(例えば上部)に,先に説明した本発明の実施の形態にかかるフィルタ1を配置しても良いし,また同様に,空気流路120において,取り入れ外気の除塵・調温・調湿を行うユニット型空調機122の上流に本発明の実施の形態にかかるフィルタ1を配置しても良い。
【0029】
【実施例】
アルゴンガスによる気体吸着法で細孔直径される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,単位面積あたり0.62cc/gの粉末状活性炭(細孔径の中央値が7〜11μm)を吸着材として用い,それを製紙原料に混合して湿式抄紙法により,厚み0.35mm(A),0.4mm(B),0.45mm(C),0.5mm(D)の吸着シートを抄造した。なお,これら4種類の吸着シートにおいて,シート重量あたりの活性炭含有重量%は一定とし,組成及び密度は一定として,厚みのみを変えた。なお,活性炭の担持量はシート面積あたり74g/m2程度であった。これら活性炭を含む4種類の厚みの吸着シートをそれぞれコルゲータにより波形に成型加工し,成型加工していない平板形状の吸着シートと交互に並べて接着剤で接着することにより,各厚み0.35mm,0.4mm,0.45mm,0.5mmのハニカム構造体A,B,C,Dを製作した。各ハニカム構造体A,B,C,Dの仕様を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
なお,各ハニカム構造体A,B,C,Dは,クリーンルームなどで使用する際の一般的な使用条件である通気通路方向の長さをいずれも50mmとした。また,通気面風速0.5m/sにおいて,各ハニカム構造体A,B,C,Dの圧力損失がいずれも20Paとなるようにセル密度を設定した。セルとは,図2で説明すると,波形の吸着シート10と平板形状の吸着シート11の間に形成された,流通方向13と直交する方向の断面形状が三角形状の空間である。セル密度とは,流通方向13と直交する方向のハニカム構造体12の断面における,単位面積(1平方インチ)あたりのセルの個数(三角形の個数)である。フィルタ表面積は,ハニカム構造体12を構成している全部の吸着シート10,11の表面積(吸着シート10,11の表裏面の全部の面積を含む)の合計である。これらのハニカム構造体A,B,C,Dについて,ガス状有機不純物としてのデカン(C10H22,分子量142,沸点174℃,クリーンルームで問題になる有機物の中では比較的沸点が低く,ケミカルフィルタでは除去しにくいため,デカンの除去性能が確認できれば,クリーンルームで問題になる有機物のほとんどに関してほぼ同等かそれ以上の除去性能をもつと判断できる。)を含む空気を0.5m/sで通気し,デカンの除去率を測定した。計算上,吸着シートの厚み0.35mmのハニカム構造体Aでは,アルゴンガスによる気体吸着法で細孔直径される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,単位面積あたり46cc/m2となり,吸着シートの厚み0.4mmのハニカム構造体Bでは,アルゴンガスによる気体吸着法で細孔直径される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,単位面積あたり約52cc/m2となる。
【0032】
図5に,各ハニカム構造体A,B,C,Dのデカン除去率を示す。圧力損失が同じ条件下では,吸着シートの厚みが薄くなるほど,除去率は高くなることがわかる。クリーンルームなどで使用する際の一般的な使用条件である通気面風速0.5m/sにおいて,実用上必要とされる初期除去率85%以上を満たすためには,吸着シートの厚みは0.4mm以下とする必要がある。また,吸着シートが薄い方が,実用上の寿命(例えば,除去率80%に達するまでの時間)も長くなる。
【0033】
次に,厚み0.4mmの吸着シートで製作したハニカム構造体Bと,有機物除去用活性炭ハニカムフィルタとして市販されている従来品について,デカン除去率の経時変化を測定した。なお,従来品の仕様は表1のハニカム構造体Dとほぼ同じである。通気断面15mm×15mm,通気方向長さ50mmのハニカム構造体を,管の中に入れ,濃度約4000μg/m3のデカンを含む空気を風速0.5m/sで通気した。なお,このときの両者の圧力損失は20Paであった。測定結果を図6に示す。ハニカム構造体Bは,従来品に比べて,長い期間除去効率が高いことがわかった。
【0034】
次に,アルゴンガスによる気体吸着法で細孔直径される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,単位面積あたり20cc/m2以下〜50cc/m2以下程度の範囲の活性炭,単位面積あたり20cc/m2以下程度のゼオライト,単位面積あたり10cc/m2以下程度のシリカゲル,単位面積あたり2cc/m2以下程度の活性アルミナについて,ガス状有機不純物の除去量を調べた。セル密度(フィルタ表面積)はいずれも180セル/平方インチ,通気方向長さ50mm,通気の風速0.9m/s,吸着シート厚み0.2〜0.5mmとした。その結果,図7に示すようになり,細孔直径20Å以下の細孔の総容積とガス吸着量に相関があることが判明した。
【0035】
以上の実施例より,空気浄化フィルタについて,吸着シートの厚みが0.4mm以下であり,かつ,アルゴンガスによる気体吸着法で測定される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,吸着シートの単位面積あたり46cc/m2以上となるように吸着材を選択することにより,圧力損失の小さい,除去効率の高い仕様とすることができることが分った。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば,半導体やLCDの製造に最適な,雰囲気中の有機物を長期間にわたり効率よく除去でき,低圧力損失な空気浄化フィルタ及び高度清浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる空気浄化フィルタの概略的な分解図である。
【図2】ハニカム構造体の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる高度清浄装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】吸着シートの厚みと除去率の関係を示すグラフである。
【図6】時間経過と除去率の関係を示すグラフである。
【図7】アルゴンガスによる気体吸着法で測定される細孔直径20Å以下の細孔の総容積とガス状有機不純物の除去量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 空気浄化フィルタ
10,11 吸着シート
12 ハニカム構造体
100,100’ 高度清浄装置
102 処理空間
103 天井部
104 床下部
105 レタン通路
110 ファンユニット
112 粒子除去用のフィルタ
113 クリーンファンユニット
114 半導体製造装置
Claims (5)
- 活性炭からなる吸着材を有する吸着シートを備える,半導体またはLCDの製造に悪影響を及ぼす雰囲気中の有機物を除去するハニカム構造の空気浄化フィルタであって,吸着シートの厚みが0.4mm以下であり,かつ,アルゴンガスによる気体吸着法で測定される細孔直径20Å以下の細孔の総容積が,吸着シートの単位面積あたり46cc/m2以上であることを特徴とする,空気浄化フィルタ。
- 吸着シートが,活性炭からなる吸着材を製紙原料に混合して抄紙されたものであることを特徴とする,請求項1に記載の空気浄化フィルタ。
- 前記吸着シートが,活性炭からなる吸着材を母材の表面に付着させたものであることを特徴とする,請求項1に記載の空気浄化フィルタ。
- 前記吸着シートが,活性炭からなる吸着材をバインダと混合し,成型したものであることを特徴とする,請求項1に記載の空気浄化フィルタ。
- 半導体またはLCDの製造に利用される清浄雰囲気が要求される空間内の空気を循環させる循環経路を備えた高度清浄装置において,
該循環経路に,請求項1,2,3又は4のいずれかの空気浄化フィルタを配置すると共に,前記空間より上流側であって空気浄化フィルタの下流側に粒子状不純物を除去するフィルタを配置したことを特徴とする,高度清浄装置。
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