JP3414523B2 - 薄形琺瑯パネルの製造方法 - Google Patents

薄形琺瑯パネルの製造方法

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JP3414523B2 JP23910294A JP23910294A JP3414523B2 JP 3414523 B2 JP3414523 B2 JP 3414523B2 JP 23910294 A JP23910294 A JP 23910294A JP 23910294 A JP23910294 A JP 23910294A JP 3414523 B2 JP3414523 B2 JP 3414523B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、施工現場での切断加工
が容易でかつ表面の琺瑯焼成層の剥離が起き難い薄形琺
瑯パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】琺瑯は金属の上にガラス質の被覆をかけ
密着させたもので、金属の丈夫さと、ガラスのもつ耐食
性と清潔さを兼ね備えた材質としてつくられたものであ
る。
【0003】その製法は、フリットと称される予めガラ
ス化される配合物に、ミル添加物を加え、ミルで微粉に
粉砕されたものを濃度とPHの調節を図って懸濁液とし
た琺瑯釉薬を素地鋼板上に塗布して焼成するものであ
る。
【0004】この釉薬の塗布焼成は、通常、ピンホール
の発生などを防止するために下引きと仕上げに分けて二
回行われる。
【0005】下引きに用いられる下釉は、素地金属に密
着することが第一に要求され、コバルト、ニッケル、マ
ンガン、モリブデンなどの化学的にガラスと鉄との密着
を助ける酸化物が配合されており、その焼成温度は80
0〜920℃である。
【0006】また仕上げに用いられる上釉は、上述した
密着金属を含む下釉の色やあらを隠すために、酸化アン
チモン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化チタンなど
の乳白剤が混入されており、その焼成温度は800〜8
90℃である。
【0007】以上の通り、琺瑯は素地となる鋼板上に釉
薬を塗布した後、これを焼成するものであるが、上述し
た従来の琺瑯釉薬を用いたものでは、良好な琺瑯を形成
するために、少なくとも下釉が80〜100μ、上釉
が100〜150μの厚さを必要とし、また800〜
920℃という高い焼成温度による歪みを防止するため
に素地鋼板も少なくとも1.2mm以上の厚さのものが
必要であった。
【0008】また素地鋼板に表面処理を施すことによ
り、その上に直接上釉をかけ、釉薬の塗布焼成を一回と
することも行われていたが、この場合は、上釉を上記従
来例の場合よりも厚く塗布する必要があり、またその焼
成も同様に800〜920℃で行われるので、鋼板の厚
みも同様に1.2mm以上必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の琺瑯パ
ネルは、素地となる鋼板の厚さが1.2mm以上と厚
く、またその表面に形成される琺瑯焼成層の厚さも下釉
と上釉を合わせて約180〜250μと比較的厚いの
で、切断加工が困難であると共に、切断した際にこのパ
ネルの切断端面に琺瑯の剥離やチッピング(欠け)が生
じ易く、その場合、ここから金属の腐食が進み、琺瑯パ
ネル本来の機能を果たさなくなる虞れもあった。
【0010】このため従来、琺瑯パネルは切断加工を必
要とせず、規格サイズのパネルを組み立てて形成される
キッチンユニットや浴室ユニットなどに主として用いら
れており、利用分野が限られるという問題点を有してい
た。
【0011】本発明は、上記従来の琺瑯パネルが有して
いた問題点の解決を課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記の課題
を解決するために通常の琺瑯釉薬よりも酸化硼素や酸化
ニッケル、酸化銅の割合を増加させたフリットで釉薬を
製造すると共に、この釉薬を1.0mm以下の厚さの鋼
板上に塗布し、これを通常の琺瑯焼成温度の下限である
800℃以下の温度で焼成することとした。
【0013】さらに上記釉薬のミル添加物としてクリス
トバライトまたはトリジマイトあるいはこの両者を混入
させることとした。
【0014】また釉薬の塗布焼成工程を一回目の下地琺
瑯の焼成と、二回目の仕上げ琺瑯の焼成に分けて行うと
共に、上記下地琺瑯を焼成する際の釉薬の塗布を下釉の
塗布と上釉の塗布の二工程で行うこととした。
【0015】
【作用】フリットに混入された酸化銅は、焼成時にアル
カリ側の働きをし、鉄の表面に銅の被覆状物質を析出さ
せ、このことで琺瑯表面への酸化鉄の上がりを阻止する
ように作用する。
【0016】また酸化ニッケルは、鉄−ニッケルの強固
な密着で素地鋼板と釉薬との密着性を向上させるように
作用する。
【0017】さらに酸化硼素は、施釉時に釉薬の鋼板に
対するぬれ性を向上させるように作用する。
【0018】ミル添加物として釉薬に混入されたクリス
トバライトやトリジマイトは、膨張係数を向上させるよ
うに作用し、琺瑯とこの琺瑯が焼成された素地鋼板との
膨張係数の差を少なくして、琺瑯焼成層の耐剥離強度を
向上させるものである。
【0019】下地琺瑯を下釉と上釉の二工程塗布と低温
焼成で形成することは、釉層の表面に酸化鉄が析出する
こと並びにピンホールが生じることを抑え、薄い琺瑯層
の焼成を可能とすると共に、この琺瑯層が形成される素
地鋼板の歪みを少なくするものである。
【0020】
【実施例】本発明の方法で製造される薄形琺瑯パネル
は、厚さ1.0mm以下の素地鋼板上に100μ程度
の厚さの琺瑯焼成層が形成されたものであるが、この薄
形琺瑯パネルを製造するために本発明方法では、従来と
は組成の異なる釉薬を用いると共に、その塗布焼成につ
いても従来とは異なる技術を採用したものである。
【0021】以下、本発明方法による薄形琺瑯パネルの
製造を実施例に基づき説明する。
【0022】まず本発明方法では、酸化硼素20%〜、
酸化リチウム4%〜、酸化コバルト0.3%〜、酸化ニ
ッケル2.8%〜、酸化銅0.5%〜の組成を有するフ
リット(原料をガラスに溶解させた後水中に投じて急冷
したもの)を用い、これに添加物を加え、ミルで粉砕す
ることにより、釉薬を製造した。
【0023】そして、この釉薬を厚さ1.0mm以下の
素地鋼板上にまず下釉として20μmの厚さで塗布し、
乾燥後、その上に重ねて上釉を同じく20μmの厚さで
塗布し、これを770℃の温度で焼成して一回目の下地
琺瑯を形成した。
【0024】その後、この下地琺瑯上に上記と同じ釉薬
を60μの厚さで塗布し、これを上記と同じく770
の温度で焼成することにより、二回目の仕上げ琺瑯を
形成した。
【0025】このようにして本発明方法では、酸化硼
素、酸化ニッケル、酸化銅を比較的多く含む釉薬を用い
て、通常の琺瑯焼成温度の下限である800℃以下の比
較的低温で琺瑯が焼成されるようにしたものである。
【0026】以上のように本発明方法に用いられる釉薬
は、酸化硼素、酸化ニッケル、酸化銅の混入割合が高い
ので、施釉時に素地鋼板とのぬれ性が高く、かつ焼成時
に素地鋼板との密着性が向上する。また、低温焼成が可
能であるので、焼成時に素地鋼板との密着性が向上す
る。また低温焼成が可能であるので、焼成時に琺瑯表面
に酸化鉄が上り難く、上述した釉薬の2回塗布、1回焼
成の下地琺瑯の焼成方法と相まってピンホールを生じさ
せることなく、琺瑯層を極めて薄く(約100μ)形
成できるものである。
【0027】また焼成温度が低いため素地鋼板の熱によ
る歪みも少なく、1.0mm以下、0.4mm程度まで
の厚さの鋼板の使用が可能となり、上述した薄形琺瑯パ
ネルが製造されるものである。
【0028】また上述した釉薬にさらにクリストバライ
トまたはトリジマイトをミル添加物として混入させたも
のを用いても良く、この場合は、琺瑯層の膨張係数を素
地鋼板の膨張係数と近似させることができ、焼成歪みの
減少と琺瑯層の耐剥離強度を一層向上させることができ
る。例えば、釉薬中にクリストバライトを10%添加す
ると、膨張係数が20〜30×10-7/℃増加すること
が確認された。
【0029】以上のように本発明方法では、1.0mm
以下の薄い素地鋼板に歪みを生じさせることなく、この
素地鋼板上に100μの薄さで強固に密着した琺瑯層
が形成できるので、形成された琺瑯パネルは、ダイヤン
ドソーなどを用いて容易に切断することができると共
に、その際の琺瑯の剥離や欠けも極めて少なくなる。よ
って、施工現場において必要な寸法に切断加工し、利用
するという従来には想定されていなかった分野への利用
が促進されることとなり、例えば建物の内・外壁や油汚
れなどが付着し易い厨房内壁面などを琺瑯パネルで被覆
して長年変質しない材質を得るということが容易に行え
るようになるものである。
【0030】
【発明の効果】以上の通り、本発明の琺瑯パネルの製造
方法では、焼成温度が比較的低温であるので、鋼板の熱
による歪みが少なくなると共に、琺瑯表面への酸化鉄の
上がりも少なくなる。よって薄い鋼板が使用できると共
に、琺瑯層も薄く形成できる。
【0031】また下地琺瑯を下釉と上釉に分けて塗布す
ることにより、上述した低温焼成と相まって極めて薄い
琺瑯層であるにもかかわらず、製品の品質低下の原因と
なるピンホールが殆ど生じない。
【0032】また用いられる釉薬は、酸化硼素、酸化ニ
ッケル、酸化銅を多く含むので、鋼板との密着性が良
く、切断した際に琺瑯の剥離やチッピング(欠け)が生
じ難い。更に釉薬にミル添加物としてクリストバライト
やトリジマイトを混入させた場合は、琺瑯の膨張係数が
向上し、鋼板の膨張係数との差が少なくなるため焼成時
の歪みがさらに減少すると共に、琺瑯層の耐剥離強度も
一層向上し、高品質の薄形琺瑯パネルが製造できる。
【0033】よって、切断加工の容易な薄形琺瑯パネル
の提供が可能となり、従来、その施工性の悪さから殆ど
採用されていなかった厨房内壁面など、現場において切
断加工を要する分野への利用が促進されることになると
いう従来には見られない多くの優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23D 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化硼素と酸化ニッケルと酸化銅をそれ
    ぞれ少なくとも20%、2.8%、0.5%含有したフ
    リットを原料として製造された釉薬を厚さ1.0mm以
    下の鋼板上に薄く塗布し、これを800℃以下の比較的
    低温で焼成することを特徴とする薄形琺瑯パネルの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ミル添加物としてクリストバライトまた
    はトリジマイトあるいはこの両者を混入させた釉薬を用
    いたことを特徴とする請求項1記載の薄形琺瑯パネルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 釉薬の塗布焼成工程を一回目の下地琺瑯
    の焼成と、二回目の仕上げ琺瑯の焼成に分けて行うと共
    に、上記下地琺瑯を焼成する際の釉薬の塗布を下釉の塗
    布と上釉の塗布の二工程で行うことを特徴とする請求項
    1記載の薄形琺瑯パネルの製造方法。
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