JP3413827B2 - 高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法 - Google Patents
高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法Info
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Description
とその製造方法に関するものである。
性の両立が求められている。高強度化は伸線加工度を大
きくすることで実現されるが、それに伴って靱性は低下
する。そのため、伸線前のパーライト組織の均一化(例
えば特公昭63-58441号公報には、セメンタイトラメラ間
隔の平均値を規定したスチールワイヤが開示されてい
る)や、低温で伸線して時効を抑えることなどが提案さ
れているが、抜本的な解決にはなっていない。
的は、高強度と高靱性とを両立できるワイヤとその製造
方法とを提供することにある。
を達成するもので、Cを0.6〜1.0重量%含有し、
伸線後のセメンタイトの厚さ指標(厚さの標準偏差/厚
さの平均)が0.2以下で、引張強度が2000N/mm2
以上であることを特徴とする。
オーステナイト化した線材をパーライト変態させて得た
素線をダイスで伸線加工する高靱性炭素鋼ワイヤの製造
方法において、前記オーステナイト化する際の加熱温度
指標を25℃以下とし、前記パーライト変態させる際の
変態温度指標を15℃未満として、前記素線はCを0.
6〜1.0重量%含有し、前記ダイスはアプローチ角が
10°以内(より好ましくは5〜7°)とすることを特
徴とする。特に、伸線加工前の素線の硬度指標を0.1
以下とすることが望ましい。
急速加熱が好ましく、加熱手段は雰囲気炉,高周波加熱
など種々の公知の手段を用いることができる。また、パ
ーライト変態させる際の冷媒は、鉛浴,ソルト,沸騰
水,衝風のいずれであってもよい。さらに、素材として
はできるだけ偏析が少ない方が好ましく、圧延前に12
50℃,好ましくは1300℃以上で5時間以上保持し
て偏析を低減しておくことが望ましい。
する。 (試験例1)SWRH82A(JIS)の鋼線を用い、セメンタイト
の厚さ指標が線材の強度と靱性とに及ぼす影響を調べて
みた。後述する供試鋼を用意し、この供試鋼を種々の条
件で熱処理および伸線して、セメンタイトの厚さ指標が
異なる幾つかの供試材を作製した。
伸線 (1) 溶解鋳造:化学成分C:0.82,Si:0.19,Mn:
0.51,P:0.009 ,S:0.008 (全て重量%)を含む鋼
材を真空溶解炉にて50kg溶解し、これをφ110mm に鋳造
する。 (2) 熱間鍛造:φ110mm の材料を1050〜900℃の熱間で
φ70mmまで鍛造し、得られた材料の表面の疵を切削によ
り除去する。 (3) 熱間圧延:φ70mmの材料を1050℃に加熱し、φ10mm
まで熱間圧延する。 (4) 下引伸線:φ10mmの線材をパテンティングし、さら
にφ5.5mm まで伸線して供試鋼とした。
加工して特性評価を行った。 (5) 供試鋼のパテンティング→(6) 伸線→(7) 特性評価 (5) パテンティング:供試鋼を930 ℃に加熱し、630〜5
30 ℃の間で熱処理する。 (6) 伸線:伸線加工度の異なる種々の伸線を行う。その
際、ダイス接触面付近の供試鋼の最高温度を300 ℃以下
になるように調整した。最も細く加工した供試材はφ0.
9mm である。
い、伸線加工度の増加に伴って強度を増加させた際の捻
回値の変化を調べた。靱性の評価はこの捻回値で代用で
きる。 セメンタイトの厚さ指標は、TEM(透過電子顕微
鏡)にて組織を観察して測定する。パーライトの薄膜試
料をTEMで観察し、1層のセメンタイトの厚さを10
箇所測定して、その平均厚さをd,標準偏差をsとす
る。そして、s/dをセメンタイト厚さ指標とした。試
験結果を図1のグラフに示す。
る強度まで伸線加工を行うと、セメンタイトの厚さはば
らつきが大きくなり始め、捻回値は低下傾向を示す。す
なわち、セメンタイトの厚さ指標と捻回値は相関関係が
あり、この厚さ指標が小さいほど高強度化に伴う靱性の
低下を抑制できることがわかる。従って、セメンタイト
の厚さ指標を制御すれば、強度と靱性とを両立した線材
を得ることができる。ここでは、厚さ指標が0.2以下
の場合に強度が2000N/mm2 以上でも十分な靱性を具
えていることがわかる。
の厚さ指標を決める要因を確認するため、線材断面にお
ける硬度のばらつきと伸線ダイスのアプローチ角とがセ
メンタイトの厚さ指標に及ぼす影響を調べてみた。
2つの直径線上で硬度を測定して求める。すなわち、各
直径線上における等間隔の9点(両直径線が交差する線
材中心は同一点)でビッカース硬度を測定し、合計17
点のデータから平均Hvaと標準偏差Hvsを求める。そし
て、Hvs/Hvaを硬度指標とした。なお、線材最表面側
の測定点は線材表面から線材直径の1/10の位置とし
た。
角が異なるダイスで伸線を行い、セメンタイトの厚さ指
標にどのような影響があるかを調べた。伸線加工度はφ
5.5mm→φ1.2mm である。
同図に示すように、硬度指標が0.1以下で、ダイス角
が10°以下の場合に伸線後のセメンタイトの厚さ指標
が0.2以下となっていることが判る。特に、フェライ
トとセメンタイトの整合している範囲が90%以上のも
のが好結果となっている。
下とするための要因を確認するため、熱処理条件を検討
した。線材の硬度のばらつきを小さくするには金属組織
を均一化することが重要で、パテンティング工程におけ
る加熱(γ化)温度とパテンティング温度(パーライト
変態温度)とが硬度のばらつきに与える影響を調べた。
履歴は図3に示す通りである。ここで、オーステナイト
化するための加熱温度をTγ,パーライト変態開始から
終了までにおける最高温度をTmax ,同最低温度をTmi
n ,パーライト変態開始から終了までの間でグラフが下
に凸となる範囲において、時間微分した結果が0になる
箇所の温度(グラフが下に凸となる箇所がない場合は、
前記微分結果が最小値となる箇所の温度)をTmとす
る。そして、加熱温度を920℃,パテンティング温度
を580℃として、下記式,に基づいて加熱温度指
標とパーライト変態の変態温度指標を調べた。試験結果
を図4に示す。
以下で、パテンティング変態温度指標が15℃未満の場
合に硬度のばらつきを0.1以下に抑えられることが判
る。
微鏡で比較観察してみた。本発明材の組織写真を図5
に、従来材の組織写真を図6に示す。図示のように、従
来材ではセメンタイトの厚さが均一でないのに対し、本
発明材ではセメンタイトが直線状に認められ、その厚さ
が均一であることが判る。
て説明したが、SWRH82B やSWRH72A,SWRH72B の他、C
量を0.6〜0.9 重量%,Mnを0.3〜0.9 重量%の範囲で
増減させた材料でも同様の効果が期待できる。また、S
iの量を0.1〜1.0 重量%程度の範囲で変化させた場合
や、Cr,V等を0.1〜1.0 重量%添加した場合でも同
様の効果が期待できると思われる。
強度と高靱性とを兼備することができる。従って、ビー
ドワイヤなどの用途に好適である。また、本発明方法は
本発明ワイヤを製造するのに好適である。
値の関係を示すグラフ。
および線材硬度指標の関係を示すグラフ。
を示すグラフ。
加熱温度指標および変態温度指標の関係を示すグラフ。
Claims (2)
- 【請求項1】 オーステナイト化した線材をパーライト
変態させて得た素線をダイスで伸線加工する高靱性炭素
鋼ワイヤの製造方法において、 前記オーステナイト化する際の加熱温度指標を25℃以
下とし、 前記パーライト変態させる際の変態温度指標を15℃未
満として、 前記素線はCを0.6〜1.0重量%含有し、 前記ダイスはアプローチ角が10°以内であることを特
徴とする高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法。 但し、 加熱温度指標=√{(Tγ−加熱温度) 2 } 変態温度指標=√{(Tmax−Tm) 2 +(Tmin−T
m) 2 } Tγ:オーステナイト化するための加熱温度 Tmax:パーライト変態開始から終了までにおける最高
温度 Tmin:パーライト変態開始から終了までにおける最低
温度 Tm:パーライト変態開始から終了までの間でグラフが
下に凸となる範囲において、時間微分した結果が0にな
る箇所の温度(グラフが下に凸となる箇所がない場合
は、前記微分結果が最小値となる箇所の温度)とする。 - 【請求項2】 伸線加工前の素線の硬度指標が0.1以
下であることを特徴とする請求項1記載の高靱性炭素鋼
ワイヤの製造方法。但し、硬度指標は、標準偏差Hvs/
平均Hvaとする。標準偏差Hvs及び平均Hvaは、線材横
断面において直交する2つの直径線上にそれぞれ等間隔
に9点(両直径線が交差する線材中心は同一点)をと
り、これらの点のビッカース硬度を測定し、合計17点
のデータから求める。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05246897A JP3413827B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05246897A JP3413827B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003007658A Division JP4187199B2 (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 高靱性炭素鋼ワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10237778A JPH10237778A (ja) | 1998-09-08 |
JP3413827B2 true JP3413827B2 (ja) | 2003-06-09 |
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Family Applications (1)
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JP05246897A Expired - Fee Related JP3413827B2 (ja) | 1997-02-19 | 1997-02-19 | 高靱性炭素鋼ワイヤの製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3413827B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4593504B2 (ja) * | 2006-03-28 | 2010-12-08 | 新日本製鐵株式会社 | 延性に優れた高強度極細鋼線 |
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1997
- 1997-02-19 JP JP05246897A patent/JP3413827B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10237778A (ja) | 1998-09-08 |
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