JP3411493B2 - X線管ターゲットの製造方法およびターゲット製作ユニット - Google Patents

X線管ターゲットの製造方法およびターゲット製作ユニット

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子銃から発射
された電子の衝突に応じてX線を発生するX線管ターゲ
ットの製造技術に係り、特にターゲット部材としてタン
グステン材料を用いたX線管ターゲットの製造方法と、
同製造方法の中間工程で製作されるターゲット製作ユニ
ットに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、X線回折装置をはじめと
する各種X線利用装置のX線源に用いられるX線管は、
電子銃に対向してX線管ターゲット(対陰極)を配置
し、電子銃から発射された電子をX線管ターゲットの表
面に衝突させることにより、該X線管ターゲットの表面
からX線を発生させる構造となっている。
【0003】電子の衝突に応じてX線を発生する材料と
しては、例えば、モリブデン,クロム,タングステン,
金,銀等の金属材料があげられる。これらの金属材料で
X線管ターゲットの全体を形成した場合、製品コストが
高価格となるばかりか、材料によっては熱伝導率が低
く、電子が衝突した際に発生する熱を効率的に冷却する
ことができず、また耐腐食性が低く冷却水を長時間にわ
たり接触させておくことができない等の問題がある。
【0004】そこで、従来のX線管ターゲットは、図4
に示すように、電子の衝突に応じてX線を放射する金属
材料によってターゲット材20を形成し、このターゲッ
ト材20を熱伝導率の良好な金属材料で形成した基台2
1の表面に形成した構造となっており、基台21の裏面
側に配管22,23を介して冷却水を循環させることに
より、電子の衝突時に発生する熱を冷却するようにして
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この種の従来のX線管
ターゲットは、基台21の所要部分にターゲット材20
をろう付け、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッ
タリング、めっき等で接合または形成する手段が採られ
ていたが、いずれもターゲット材20が基台21から剥
離しやすい等の課題を有していた。
【0006】特に、タングステン材料を用いたターゲッ
ト材20においては、イオンプレーティングにより、基
台21上に20μm程度の厚さに形成するのが限界であ
り、この程度の厚さでは放電による破損が頻発し、また
使用により表面粗れが生じても再研磨することができな
いため、耐久性が乏しいという欠点があった。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、充分な厚みのあるタングステン材料からなる
ターゲット部材を、基台の周面に接合してなる剥離しに
くく高い耐久性を備えたX線管ターゲットを製造するこ
とを目的とする。
【0008】本出願人は、先にインサート材による液相
拡散を利用して基台21の表面にターゲット部材20を
接合するX線管ターゲットの製造方法を提案している
(特開平9−161673号公報参照)。本発明は、こ
の先に提案した製造方法を改良し、特にターゲット部材
としてタングステン材料を用いたX線管ターゲットを、
歩留りよく製造できるようにしたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明のX線管ターゲットの製造方法は、次の工程
を含むことを特徴としている。 タングステン材料を
用いて円環状のターゲット部材を形成するターゲット部
材形成工程 熱伝導の良好な金属材料を用いて、ター
ゲット部材を外嵌する円筒状の周壁を有する基台を形成
する基台形成工程 基台と同一の金属材料を用いて、
ターゲット部材の周囲を被覆する円筒状の周壁を有する
カバー部材を形成するカバー部材形成工程 ターゲッ
ト部材の少なくとも内周面と基台との間に、該ターゲッ
ト部材および基台よりも低い融点をもつインサート材を
介在させるとともに、真空雰囲気下において、ターゲッ
ト部材を基台に外嵌し、かつターゲット部材の周囲にカ
バー部材を装着して、これら基台とカバー部材とにより
ターゲット部材を密封して、基台、ターゲット部材、イ
ンサート材およびカバー部材を組み合わせたターゲット
製作ユニットを形成するユニット形成工程 ターゲッ
ト製作ユニットを、周囲から均等に加圧しながら所定温
度に加熱し、インサート材を溶融させる加熱工程 タ
ーゲット製作ユニットを周囲から均等に加圧しながら、
インサート材を等温凝固させる等温凝固工程 等温凝
固工程の後、さらにターゲット製作ユニットを周囲から
均等に加圧しながら熱処理して、基台、ターゲット部
材、およびインサート材を相互に拡散させる拡散熱処理
工程
【0010】この発明によれば、上記加熱工程において
インサート材との共晶により低い共融温度で基台が溶融
して効率的にいわゆる液相拡散が進行し、ターゲット部
材と基台とが加圧下で接合する。
【0011】続いて、インサート材を等温凝固させるこ
とにより、その後、接合温度に再加熱しても接合部分が
溶融することがなくなる。したがって、電子の衝突によ
り高温状態となっても、ターゲット部材が基台から離脱
するおそれがない。ここで、「等温凝固」とは、一定の
温度に保持する間に拡散により金属材料の組成が変化
し、その融点が上昇することによって凝固する現象をい
う。
【0012】さらに、拡散熱処理工程では、接合部分の
材質が均質化するので、基台とターゲット部材との間の
密着力が大きく、一層確実な接合状態を形成することが
できる。
【0013】さて、ターゲット部材を構成するタングス
テン材料は、非常に脆い。したがって、上記加熱工程、
等温凝固工程、および拡散熱処理工程において、ターゲ
ット部材の外周面および内周面に不均一な圧力が作用す
ると、割れが生じ歩留り低下の原因となる。
【0014】本出願人が先に提案したX線管ターゲット
の製造方法(特開平9−161673号公報参照)で
は、ターゲット部材の外周を枠材で囲んでいたが、この
方法ではターゲット部材に作用する圧力の均一性を保ち
にくく、特にターゲット部材をタングステン材料で形成
した場合、同部材の割れが生じやすかった。
【0015】そこで、本発明では、ターゲット部材を基
台に外嵌し、かつターゲット部材の周囲にカバー部材を
装着して、これら基台とカバー部材とによりターゲット
部材を密封した構成のターゲット製作ユニットをあらか
じめ形成するようにしている。このターゲット製作ユニ
ットを、上記加熱工程、等温凝固工程、および拡散熱処
理工程にかけることにより、ターゲット部材の内周面に
は基台を介して均一な圧力が作用し、また同部材の外周
面にはカバー部材を介して均一な圧力が作用しするの
で、ターゲット部材の割れを抑制することができる。
【0016】さらに、カバー部材を基台と同一の材料で
形成するとともに、基台およびカバー部材の各周壁をほ
ぼ同一厚さの円筒形状に形成すれば、ターゲット部材の
内周面に作用する圧力と外周面に作用する圧力とをほぼ
均一にすることができ、一層ターゲット部材の割れを抑
制することができる。
【0017】また、堅くて脆いタングステン材料を円環
状に形成することは従来の技術では困難であったが、本
発明者らは、タングステン材料を加熱しながら絞り加工
することにより、継目のない円環状のターゲット部材の
形成を実現した。
【0018】さらに、ユニット形成工程において、真空
雰囲気下で基台とカバー部材とによりターゲット部材を
密封することにより、これら基台とカバー部材とで囲ま
れた密封室内を真空状態として、加熱工程における液層
拡散等を適正に進行させることが可能となる。ここで、
真空雰囲気下における基台とカバー部材との間の密封
は、電子ビーム溶接によって実現することができる。な
お、インサート材は、加熱工程において前記基台を形成
する金属材料と共晶する材料で形成することが好まし
い。
【0019】上述したX線管ターゲットの製造方法の中
間工程で形成されるターゲット製作ユニットは、熱伝導
の良好な金属材料を用いて形成した円筒形状の周壁を有
する基台と、タングステン材料を用いて円環状に形成し
基台の周壁に外嵌したターゲット部材と、熱伝導良好な
金属材料を用いて形成しターゲット部材の周囲を被覆す
る円筒形状の周壁を有するカバー部材とを含んでいる。
そして、ターゲット部材の少なくとも内周面と基台との
間に、該ターゲット部材および基台よりも低い融点をも
つインサート材を介在させるとともに、ターゲット部材
を、基台およびカバー部材により密封して形成される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の
実施形態に係る製造方法によって製作されるX線管ター
ゲットの縦断面図である。このX線管ターゲット1は、
ローターターゲットと称する回転式のターゲット(対陰
極)であり、有底円筒状をした基台2の円周表面に環状
のターゲット部材3を接合した構造となっている。基台
2は、熱伝導の良好な金属材料、例えば無酸素銅やクロ
ム銅などの銅合金で形成してあり、図示しない回転駆動
装置に装着されて高速回転する。
【0021】ターゲット部材3は、タングステン材料で
形成してある。このターゲット部材3は、内周面が基台
2に接触しているので熱伝導性が良好となり、ターゲッ
ト部材3の冷却効率が高い。
【0022】すなわち、図示しない電子銃から発射した
電子をターゲット部材3に衝突させることにより、ター
ゲット部材3の表面からX線が発生するが、その際、タ
ーゲット部材3は電子の衝突に伴い高熱を発生する。こ
の熱を冷却するため、稼働中は配管5a,5bを介して
基台2の裏面側に冷却水を循環させており、基台2を介
してターゲット部材3と冷却水との間で熱交換を行って
いる。したがって、この熱交換を媒介する基台2に、タ
ーゲット部材3を接触させることにより、冷却効率を向
上させることができる。
【0023】ターゲット部材3の両側縁は、基台2の段
部2aと後述するカバー部材4の段部4aとで挟まれ抜
けが防止されている。
【0024】次に、上述したX線管ターゲットの製造方
法について、図2および図3を主に参照して詳細に説明
する。まず、タングステン材料を用いて円環状のターゲ
ット部材3を形成する(ターゲット部材形成工程)。こ
の工程では、タングステン材料を加熱しながら絞り加工
することにより継目のない円環状のターゲット部材3を
得ることができる。ここで、タングステン材料が厚すぎ
ると、絞り加工において剥離が生じ、一方、薄すぎると
割れが生じるため、同材料の厚さ調節が、この工程にお
ける重要な条件となる。本発明者らの実験によるとここ
で、ターゲット部材を、厚さ0.05mm〜1.0mm
に形成することにより、所望のX線管ターゲットを製作
することができた。なお、この工程で用意するタングス
テン材料は、図1に示したX線管ターゲット1(最終製
品)のターゲット部材3より厚くしなければならないこ
とは勿論である。
【0025】また、上述したような熱伝導の良好な金属
材料を用いて基台2を形成するとともに、この基台2と
同一の金属材料によりカバー部材4を形成する(基台形
成工程、カバー部材形成工程)。基台2は、有底円筒状
に形成し、外周に段部2aを形成する。カバー部材4
は、円筒状に形成し、内周に段部4aを形成する。
【0026】基台2において、後述するようにターゲッ
ト部材3が外嵌される周壁2b(円筒状に形成)の厚さ
と、カバー部材4において、後述するようにターゲット
部材3の外周を被覆する周壁4bの厚さとは、ほぼ同じ
厚さに設定してある。また、基台2の段部2aとカバー
部材4の段部4aとは、ターゲット部材3の厚さとほぼ
等しい高さに設定してある。
【0027】次に、基台2の周壁2bにターゲット部材
3を外嵌するとともに、これら基台2とターゲット部材
3の外周にカバー部材4を外嵌して、ターゲット部材3
を基台2とカバー部材4とで被覆する(図2参照)。
【0028】このとき、少なくとも基台2とターゲット
部材3との間に、インサート材を介在させる。インサー
ト材としては、基台2およびターゲット部材3よりも低
い融点をもつ各種金属材料を用いることができるが、好
ましくは基台2およびターゲット部材3と類似した組成
の金属材料に融点降下元素を加えたものや、基台2およ
びターゲット部材3と共晶して液相を生じる金属材料を
用いる。この種のインサート材として、例えば、金,
銀,チタン合金,錫などを適用することができる。
【0029】インサート材は、ペースト状のものを基台
2とターゲット部材3との間に塗布したり、また薄板状
のものを基台2とターゲット部材3との間に挟み込むよ
うにして介在させる他、あらかじめ基台2またはターゲ
ット部材3の接合面にめっきあるいは蒸着しておいても
よい。
【0030】本発明者らの実験によれば、インサート材
として銀を用い、ターゲット部材3の表面全体にめっき
することにより、基台2、ターゲット部材3、およびカ
バー部材4の相互間を強固に接合することができた。
【0031】続いて、上記基台2、ターゲット部材3、
カバー部材4を組み合わせたものを別に設けた真空吸引
室内に配置して真空吸引する。これにより真空雰囲気を
形成し、基台2とカバー部材4とで囲まれた部分(ター
ゲット部材3が嵌め込まれた部分)を充分に真空引きす
る。この部分にガスが残存すると、後述するHIP(熱
間均等加圧装置)による処理を適正に行うことができな
い。その後、該真空雰囲気下で、基台2とカバー部材4
との接触部分(図2のa、b部分)を電子ビーム溶接
し、ターゲット部材3を基台2とカバー部材4とで密封
する。以上の工程(ユニット形成工程)で、ターゲット
製作ユニット6が形成される。
【0032】次に、このターゲット製作ユニット6を、
加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置として
は、内部に加熱手段を有するホットプレス装置を用い
る。一般にHIP(熱間均等加圧装置)と称されているホ
ットプレス装置を利用すれば、ターゲット製作ユニット
6の周囲から液相拡散に必要な圧力を作用させることが
できるとともに、以下の各工程をその加圧室12内で連
続的に処理できるため、迅速に作業を進めることが可能
となる。
【0033】図3は上記HIP10の構成を模式的に示
した図である。加圧室12内には、加熱手段としてのヒ
ータ13が設置してあり、コンピュータ制御によって加
圧室12内を所望の一定温度に保持することができる。
加圧室12内の不純ガスは、排気管14を介して吸引除
去することができ、一方、N2ガス等の不活性ガスをガ
ス供給管15を介して加圧室12内に充填することがで
きるようになっている。
【0034】ターゲット製作ユニット5を加圧室12内
の載置台11上に配置した状態で、まず、インサート材
を溶融させる加熱工程を実施する。この工程では、ター
ゲット制作ユニット6を周囲から均等に加圧するととも
に、所定の温度に加熱する。このときの温度は、基台2
およびターゲット部材3の融点より低いが、インサート
材が溶融して液相を形成する適宜の温度に設定する。圧
力は、加熱による基台2等の膨張および基台2,ターゲ
ット部材3の材質等を考慮して、基台2等に変形および
破損が生じない適宜の圧力に設定する。すなわち、圧力
が小さ過ぎると加熱による基台2の膨張により薄肉のタ
ーゲット部材3に割れを生じるおそれがある。一方、圧
力が大き過ぎると該圧力によって基台2等に変形が生じ
るおそれがある。
【0035】この加熱工程は、インサート材を液相に変
化させるまでに要する適宜の時間だけ継続し、インサー
ト材が共晶して液相を形成したら引き続き次工程である
等温凝固工程に移行する。等温凝固工程では、加圧室1
2内の温度および圧力を加熱工程におけるそれとほぼ同
一または類似する値に設定したまま、適宜の時間保持す
る。この等温凝固工程によって、インサート材、基台
2、およびターゲット部材3との間の液相拡散を進行さ
せる。この等温凝固工程での液相拡散により、基台2と
ターゲット部材3の接合部における組成が変化するとと
もに、インサート材の融点が上昇して凝固する。その結
果、基台2とターゲット部材3とが強固に接合され、し
かも接合温度まで再加熱しても接合部が溶融しない状態
を形成することができる。
【0036】等温凝固工程において、固相、液相の界面
が移動している間もインサート材、基台2、およびター
ゲット部材3を構成する元素は相互に拡散しているが、
これら各構成要素の成分が均質化する時間に比べ、等温
凝固は比較的短時間で終了する。そこで、加圧室12内
での加熱および加圧状態を保持したままの状態を継続
し、基台2とターゲット部材3の接合部における組成の
均質化を図る(拡散熱処理工程)。
【0037】この拡散熱処理工程によって、インサート
材が等温凝固した後、インサート材、基台2、およびタ
ーゲット部材3の間で拡散が進行し、基台2とターゲッ
ト部材3とが一層強固に接合される。この拡散熱処理工
程は、等温凝固工程に比べ充分に長い時間をかけて実施
する。
【0038】上述のように加熱工程、等温凝固工程、拡
散熱処理工程を実施していく過程で、ほぼ同一の金属材
料からなる基台2とカバー部材4との間も固相拡散が進
行し、これら基台2とカバー部材との間も強固な接合状
態が形成される。この状態では、ターゲット部材3は、
基台2およびカバー部材4の内部に埋もれている。そこ
で、主にカバー部材4の外周面を研削し、ターゲット部
材3を表面に露出させる。最後に、基台2を適宜の形
状、寸法に加工し、最終製品であるX線管ターゲット1
を形成する(図1参照)。
【0039】本発明者らの実験によれば、以上の製造方
法により、厚さ0.2mm程度のターゲット部材を有す
るX線管ターゲットを製作することができた。また、タ
ーゲット部材の厚さが、0.7mmを越えると熱伝導率
が悪くなり、一方、0.05mm以下では亀裂が発生し
やすくなった。
【0040】なお、この発明は上述した実施形態に限定
されるものではない。例えば、上記の実施形態は、いわ
ゆるロータターゲットを対象にしてその製造方法を詳述
したが、この発明はロータターゲット以外のX線管ター
ゲット、例えば、固定ターゲットと称するX線管ターゲ
ット(対陰極)の製造にも適用できることは勿論であ
る。
【0041】また、上記の実施形態において、基台2と
カバー部材4との間にも、これら基台2およびカバー部
材4よりも低い融点をもつインサート材を介在させるこ
とがきる。このようにすれば、基台2、インサート材、
およびカバー部材4の間でも液相拡散が進み、基台2と
カバー部材4とをより強固に接合することができる。さ
らに、インサート材はターゲット部材3の内周面のみな
らず、同部材3の側面と基台2の段部2cおよび環状部
材4の側面との間にも介在させることができる。このよ
うにすれば、液相拡散接合による接合面積が広がり、よ
り強固な接合状態をすることが形成できる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
基台とターゲット部材とをそれぞれ融点に大きな温度差
のある金属材料で形成する場合にも、インサート材の作
用によりそれら部材間を確実に接合して耐久性の向上を
図ることができるともに、特にターゲット部材としてタ
ングステン材料を用いたX線管ターゲットを、歩留りよ
く製造できる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る製造方法によって製
作されるX線管ターゲットの縦断面図である。
【図2】この発明の実施形態に係るターゲット製作ユニ
ットを示す断面図である。
【図3】図2に示したターゲット製作ユニットを加圧装
置の加圧室内に配置した状態を示す断面図である。
【図4】従来一般のX線管ターゲットを説明するための
断面図である。
【符号の説明】
1:X線管ターゲット 2:基台 3:ターゲット部材 4:カバー部材 6:ターゲット製作ユニット 10:HIP 12:加圧室 13:ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/14 H01J 35/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン材料を用いて円環状のター
    ゲット部材を形成するターゲット部材形成工程と、 熱伝導の良好な金属材料を用いて、前記ターゲット部材
    を外嵌する円筒状の周壁を有する基台を形成する基台形
    成工程と、前記基台と同一の 金属材料を用いて、前記ターゲット部
    材の周囲を被覆する円筒状の周壁を有するカバー部材を
    形成するカバー部材形成工程と、 前記ターゲット部材の少なくとも内周面と前記基台との
    間に、該ターゲット部材および基台よりも低い融点をも
    つインサート材を介在させるとともに、真空雰囲気下に
    おいて、前記ターゲット部材を前記基台に外嵌し、かつ
    前記ターゲット部材の周囲に前記カバー部材を装着し
    て、これら基台とカバー部材とにより前記ターゲット部
    材を密封して、前記基台、ターゲット部材、インサート
    材およびカバー部材を組み合わせたターゲット製作ユニ
    ットを形成するユニット形成工程と、 前記ターゲット製作ユニットを、周囲から均等に加圧し
    ながら所定温度に加熱し、前記インサート材を溶融させ
    る加熱工程と、 前記ターゲット製作ユニットを周囲から均等に加圧しな
    がら、前記インサート材を等温凝固させる等温凝固工程
    と、 前記等温凝固工程の後、さらに前記ターゲット製作ユニ
    ットを周囲から均等に加圧しながら熱処理して、前記基
    台、ターゲット部材、およびインサート材を相互に拡散
    させる拡散熱処理工程とを含むことを特徴とするX線管
    ターゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ターゲット部材形成工程において、 タングステン材料を加熱しながら絞り加工することによ
    り、継目のない円環状のターゲット部材を形成すること
    を特徴とする請求項1記載のX線管ターゲットの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記基台およびカバー部材の各周壁をほ
    ぼ同一厚さの円筒形状に形成することを特徴とする請求
    項1または2記載のX線管ターゲットの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ユニット形成工程において、 前記基台とカバー部材との間を電子ビーム溶接すること
    により、前記ターゲット部材を密封することを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線管ターゲ
    ットの製造方法。
  5. 【請求項5】 熱伝導の良好な金属材料を用いて形成し
    た、円筒形状の周壁を有する基台と、 タングステン材料を用いて円環状に形成し、前記基台の
    周壁に外嵌したターゲット部材と、 熱伝導良好な金属材料を用いて形成し、前記ターゲット
    部材の周囲を被覆する円筒形状の周壁を有するカバー部
    材とを含み、 前記ターゲット部材の少なくとも内周面と前記基台との
    間に、該ターゲット部材および基台よりも低い融点をも
    つインサート材を介在させるとともに、 前記ターゲット部材を、前記基台およびカバー部材によ
    り密封して形成したことを特徴とするターゲット製作ユ
    ニット。
  6. 【請求項6】 前記ターゲット部材は、厚さ0.05m
    m〜1.0mmに形成したことを特徴とする請求項5記
    載のターゲット制作ユニット。
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