JP3731136B2 - X線管ターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子銃から発射された電子の衝突に応じてX線を発生するX線管ターゲットとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、X線回折装置をはじめとする各種X線利用装置のX線源に用いられるX線管は、電子銃に対向してX線管ターゲット(対陰極)を配置し、電子銃から発射された電子をX線管ターゲットの表面に衝突させることにより、該X線管ターゲットの表面からX線を発生させる構造となっている。
【0003】
図8は従来のX線管ターゲットを示す断面図である。
同図に示すX線管ターゲットは、基台40が軸Oを中心に高速回転する回転ターゲットと称する構造のものであり、基台40の表面に電子の衝突に応じてX線を発生するターゲット層41が形成されている。
【0004】
このターゲット層41に電子が衝突すると同層41は発熱する。電子銃の出力を上げればターゲット層41から発生するX線量も増大して高い強度のX線を得られるが、それに伴いターゲット層41の発熱量も上昇する。そして、ターゲット層41の温度が同層41を形成する金属材料の融点を超えた場合には、同層41が溶融してX線管ターゲットの損壊につながる。したがって、高い強度のX線を発生させるためには、ターゲット層41を効率的に冷却することが必要となる。
【0005】
従来のX線管ターゲットは、基台40を銅合金や銀合金等の熱伝導率の良好な金属材料で形成するとともに、基台40の裏面側に配管42,43を介して冷却水を循環させることにより、電子の衝突時に発生する熱を吸収してターゲット層41を冷却するようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、電子銃は少ない出力で高密度の電子をターゲット層に集中して照射するために、その焦点は微小面積に設定されている。例えば、X線回折装置のX線源に用いられるX線管では、0.5mm×10mmまたは0.1mm×1mmといった微小焦点の電子銃が一般に用いられている。そのため、ターゲット層41は局所的に電子が衝突して高熱を発生する。このように局所的に発生した熱は、基台40の内部に滞留し易く、冷却された基台40の裏面側まで迅速に伝わっていかないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ターゲット層で発生した熱の冷却効率を向上させることにより、いっそう高強度のX線を取り出し可能とすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、金属材料からなる基台にターゲット層を設けたX線管ターゲットにおいて、電子の衝突によりターゲット層に発生した熱を拡散する熱拡散層を形成したことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
微少面積(焦点)の電子の照射によってターゲット層の局所に発生した熱も熱拡散層により拡散されて基台の一部に滞留することがなくなり、迅速な冷却が可能となる。
【0009】
熱拡散層は、少なくとも基台を形成する金属材料よりも熱伝導率の高い超硬材料か、または少なくとも基台を形成する金属材料よりも熱伝導率の高い粒状または粉状の超硬材料を含む熱拡散材料で構成することが好ましい(請求項2,4)。
【0010】
基台を形成する金属材料も、銅合金や銀合金等の熱伝導率の高い金属材料が用いられるが、超硬材料の中にはこれらの金属材料よりもさらに熱伝導率の高いものが存在する。例えば、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、キュービックボロンナイトライド(CBN)は極めて熱伝導率が高く、本発明の熱拡散層を形成する材料として好適である(請求項3,5)。
【0011】
このうち、ダイヤモンドライクカーボンは、化学的気相成長法(CVD)等の薄膜形成法をもって成膜することができる。また、キュービックボロンナイトライドは、粒状または紛状の形態で提供される。なお、上述した超硬材料と同等の熱伝導率および硬度を有する超硬材料であれば、本発明の熱拡散層に適用することができることは勿論である。
【0012】
本発明のX線管ターゲットは、例えば、次の第1乃至第4の方法により製造することができる。
すなわち、第1の方法は、ターゲット層を形成する金属材料の表面に、超硬材料の薄膜を気相合成して熱拡散層を形成する工程と、熱拡散層の裏面を基台に接合する工程と、を含む製造方法である(請求項6)。
【0013】
第2の方法は、ターゲット層を形成する金属材料の裏面に熱拡散材料を配置し、これら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに熱拡散材料を固める工程と、この工程により一体化した材料を、ターゲット層を外側にして基台へ接合する工程と、を含む製造方法である(請求項7)。
【0014】
第3の方法は、基台を形成する金属材料の外側に熱拡散材料を配置し、これら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに熱拡散材料を固める工程と、この工程により一体化した材料の外側にターゲット層を形成する金属材料を配置し、それら各材料を加熱圧縮することにより一体化する工程と、を含む製造方法である(請求項8)。
【0015】
第4の方法は、基台を形成する金属材料の外側に熱拡散材料を配置し、かつ熱拡散材料の外側にターゲット層を形成する金属材料を配置し、それら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに熱拡散材料を固める工程を含む製造方法である(請求項9)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの構成例を示す部分断面図である。X線管ターゲットは、いわゆる回転ターゲットまたは固定ターゲットの形態に構成され、基台10の一部に熱拡散層11を介してターゲット層12が接合されている。基台10は、熱伝導率の高い金属材料、例えば、銅合金や銀合金で形成してある。ターゲット層12は、電子の衝突によりX線を発生させるモリブデン、クロム、タングステン、金、銀、銅、鉄等の金属材料で形成してある。
【0017】
熱拡散層11は、ターゲット層12の裏面に接しており、電子が衝突したときターゲット層12に発生する熱を拡散する機能を有している。図1(a)(b)に示す構成では、ダイヤモンド等の熱伝導率の高い超硬材料からなる薄膜によって熱拡散層11を形成してある。一方、図1(c)(d)に示す構成では、ダイヤモンド等の熱伝導率の高い超硬材料の粒体または粉体を含む層によって熱拡散層11を形成してある。また、図1(a)(c)に示す構成は、熱拡散層11を基台10とターゲット層12の間に挟み込んであり、図1(b)(d)に示す構成では、ターゲット層12の裏面に熱拡散層11を形成するとともに、熱拡散層11の周縁部を基台10に接合してある。
【0018】
図2は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第1の製造方法を示す工程図である。
同図に示す製造方法では、ターゲット層12を形成する板状の金属材料12aの表面に、超硬材料の薄膜を気相合成して熱拡散層11を形成し(同図(a))、この熱拡散層11の裏面を基台10に接合している(同図(b))。
【0019】
超硬材料の薄膜を気相合成する手法としては、各種の化学的気相成長法(CVD)が適用できる。この種の気相合成により得られる超硬材料の薄膜としては、例えばダイヤモンド薄膜やダイヤモンドライクカーボン(DLC)がある。これらの超硬材料からなる薄膜は、熱伝導率が極めて高く、優れた熱拡散性能を示す。なお、ダイヤモンドの気相合成は、30〜200Torrの高ガス圧で温度800〜900°Cの雰囲気下で行われる。したがって、高ガス圧下でのプラズマ発生制御や不純物の混入抑制、基板材料となるターゲット層12を形成する金属材料12aの耐熱性等に考慮が必要である。
【0020】
図2に示した製造方法では、固定ターゲットの形態をした基台10に、加熱圧縮やろう付け等の手法をもってターゲット層12を接合している。なお、加熱圧縮をもって基台10へ接合する場合には、接合される熱拡散層11の裏面に接合剤としてのチタンをメッキまたは蒸着を施しておくことが好ましい。
【0021】
図3は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第2の製造方法を示す工程図である。
同図に示す製造方法は、ターゲット層12を形成する金属材料12aの裏面に熱拡散材料11aを配置して加熱圧縮する工程(同図(a))と、この加熱圧縮工程によって得られた塊からターゲット層12と熱拡散層11の積層体13を切り出す工程(同図(b))と、切り出した積層体13を基台10へ接合する工程(同図(c))とから構成されている。
【0022】
加熱圧縮の工程(同図(a))では、まず加圧に耐えうる鉄製の容器20の底部にターゲット層12を形成する板状の金属材料12aを配置し、その上に熱拡散材料11aを充填する。熱拡散材料11aとしては、ダイヤモンド粉を接合剤となる金属粉等と混合した粉末材料が用いられる。接合剤となる金属粉としては、チタン、銅、銀等があり、適宜の配合量でタイヤモンド粉と混合する。
【0023】
例えば、本発明者は、Cu+Ti(1〜2%)、Cu+Ag(50%)+Ti(1〜2%)、Ag+Ti(2〜5%)の割合にそれぞれ混合した金属粉へ直径5μm以下のダイヤモンド粉を、金属粉:ダイヤモンド粉の割合を10:1、10:2の割合にそれぞれ混合して各種の熱拡散材料11aを製作した。これらの熱拡散材料11aを用いて後述する加熱圧縮を実施したところ、いずれも好ましい冷却特性を有するX線管ターゲットを製造することができた。
【0024】
ターゲット層12を形成する金属材料12aと熱拡散材料11aを充填した後、容器20の開口部を鉄製の蓋体21によって閉塞するとともに、蓋体21と容器20を溶接して一体化する。蓋体21には、容器20内部の空気を排気するための吸引口22が設けてあり、この吸引口22を図示しない真空ポンプに連通させ、容器20の内部を真空びきする。これにより容器20の内部に存在していた空気を放出し、後に作用させる圧力が容器20内部の金属材料12aおよび熱拡散材料11aへ均一に伝わるようにする。
【0025】
充分な真空びきを行った後、吸引口22を閉塞して真空ポンプから切り離し、容器20を加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置としては、内部に加熱手段を有するホットプレス装置を用いる。一般にHIP(熱間均等加圧装置)と称されているホットプレス装置を利用すれば、容器20の周囲から充分な圧力を作用させることができる。
【0026】
図4は上記HIPの構成を模式的に示した図である。加圧室30内には、ヒータ31が設置してあり、コンピュータ制御によって加圧室30内を所望の一定温度に保持することができる。加圧室30内の不純ガスは、排気管32を介して吸引除去することができ、一方、Nガス等の不活性ガスをガス供給管33を介して加圧室30内に充填することができるようになっている。
【0027】
加圧室30内に容器20を挿入配置し、その周囲から均等に圧力を加えるとともに、所定の温度に加熱する。この加熱圧縮を適宜の時間継続することにより、熱拡散材料が焼結するとともに、熱拡散材料11aとターゲット層12を形成する金属材料12aとが接合して一体化する。
【0028】
また、容器20と蓋体21も加熱圧縮の作用によって金属材料12aおよび熱拡散材料11aと接合してしまい一個の塊となる。そこで、この塊を機械加工等によって切断または研削することにより、ターゲット層12と熱拡散層11の積層体13を切り出す(図3(b))。熱拡散層11は、熱拡散材料11aが焼結して形成されたものである。
【0029】
上記の工程により形成されたターゲット層12と熱拡散層11の積層体13を、固定ターゲットの形態をした基台10にろう付けする。このときターゲット層12を外側に配置し、熱拡散層11の裏面を基台10に接合する。以上の工程をもって、図3(c)に示すようなX線管ターゲットが完成する。
【0030】
図5は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第3の製造方法を示す工程図である。
同図に示す製造方法は、基台10を形成する金属材料10aの外側に熱拡散材料11aを配置し、これら各材料10a,11aを加熱圧縮することにより一体化するとともに熱拡散材料11aを固める第1加熱圧縮工程(同図(a))と、この第1加熱圧縮工程によって得られた塊から熱拡散層11が形成された基台10を切り出す工程(同図(b))と、該基台10における熱拡散層11の外側にターゲット層12を形成する金属材料12aを配置し加熱圧縮する第2加熱圧縮工程(同図(c))と、この第2加熱圧縮工程によって得られた塊からターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出す工程(同図(d))とから構成されている。
【0031】
第1加熱圧縮工程(同図(a))では、まず加圧に耐えうる鉄製の容器20の内部に基台10を形成する円柱状の金属材料10aを配置し、この金属材料と容器20の内周との間に、粉末状の熱拡散材料11aを充填する。熱拡散材料11aは、図3に示した製造方法で用いたものと同様である。
【0032】
基台10を形成する金属材料10aと熱拡散材料11aとを容器20内に配置した後、容器20の開口部を鉄製の蓋体21によって閉塞するとともに、蓋体21と容器20を溶接して一体化する。蓋体21には、図3に示した製造方法と同じく容器20内部の空気を排気するための吸引口22が設けてあり、この吸引口22を図示しない真空ポンプに連通させ、容器20の内部を真空びきする。
【0033】
充分な真空びきを行った後、吸引口22を閉塞して真空ポンプから切り離し、容器20を加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置としては、図4に示したようなHIPを用い、加圧室30内に容器20を挿入配置した後、その周囲から均等に圧力を加えるとともに、所定の温度に加熱する。この加熱圧縮を適宜の時間継続することにより、熱拡散材料11aが焼結するとともに、熱拡散材料11aと基台10を形成する金属材料10aとが接合して一体化する。
【0034】
また、容器20と蓋体21も加熱圧縮の作用によって金属材料10aおよび熱拡散材料11aと接合してしまい一個の塊となる。そこで、この塊を機械加工等によって切断または研削することにより、熱拡散層11が外周に形成された基台10を円柱形状に切り出す(図5(b))。熱拡散層11は、熱拡散材料11aが焼結して形成されたものである。
【0035】
次いで、第2加熱圧工程(図5(c))を実施する。この工程では、熱拡散層11が形成された基台10の外周に、ターゲット層12を形成する管状の金属材料12aを配置するとともに、さらにこの金属材料12aの外周に鉄製の環状部材14を外嵌する。ここで、ターゲット層12を形成する金属材料12aの内周面には、接合剤としてのチタンを0.2μm程度の厚さでメッキまたは蒸着しておく。また、基台10と環状部材14の間は、溶接して一体化しておく。
【0036】
このようにして熱拡散層11が形成された基台10、ターゲット層12を形成する管状の金属材料12a、および鉄製の環状部材14を組み合わせた処理対象を、加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置としては、第1加熱圧縮工程と同様、図4に示したようなHIPを用い、加圧室30内に処理対象を挿入配置した後、その周囲から均等に圧力を加えるとともに、所定の温度に加熱する。この加熱圧縮を適宜の時間継続することにより、接着剤としてのチタンが液相拡散して基台10とターゲット層12を形成する管状の金属材料12aとが接合される。
【0037】
また、鉄製の環状部材14も加熱圧縮の作用によって基台10およびターゲット層12を形成する管状の金属材料12aと接合してしまい一個の塊となる。そこで、この塊を機械加工等によって切断または研削することにより、ターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出すとともに、その基台10を回転ターゲットの形態に加工する(図5(d))。このようにしてターゲット層12の裏面側に熱拡散層11が形成されたX線管ターゲットが完成する。
【0038】
図6は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第4の製造方法を示す工程図である。
上述した第3の製造方法では、2回の加熱圧縮工程が必要となり作業工数が多い。第4の製造方法ではこの点を改善し、1回の加熱圧縮工程によりX線管ターゲットを製造できるようにしてある。
【0039】
この第4の製造方法は、基台10を形成する金属材料10aの外側に一定の隙間をあけてターゲット層12を形成する環状の金属材料12aを配置するとともに、基台10を形成する金属材料10aとターゲット層12を形成する環状の金属材料12aとの隙間に、熱拡散層11を形成する熱拡散材料11aを充填し、これら各材料10a,11a,12aを加熱圧縮することにより一体化するとともに熱拡散材料11aを固める加熱圧縮工程(図6(a))と、この加熱圧縮工程によって得られた塊からターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出す工程(図6(b))とから構成されている。
【0040】
熱拡散工程(同図(a))では、まず加圧に耐えうる鉄製の容器20の内部に基台10を形成する円柱状の金属材料10aを配置するとともに、その外周に一定の隙間をあけてターゲット層12を形成する管状の金属材料12aを配置する。そして、各金属材料12aの隙間に、粉末状の熱拡散材料11aを充填する。熱拡散材料11aは、図3に示した製造方法で用いたものと同様である。
【0041】
その後、容器20の開口部を鉄製の蓋体21によって閉塞するとともに、蓋体21と容器20を溶接して一体化する。蓋体21には、図3に示した製造方法と同じく容器20内部の空気を排気するための吸引口22が設けてあり、この吸引口22を図示しない真空ポンプに連通させ、容器20の内部を真空びきする。
【0042】
充分な真空びきを行った後、吸引口22を閉塞して真空ポンプから切り離し、容器20を加圧装置の加圧室30内に挿入配置する。加圧装置としては、図4に示したようなHIPを用い、加圧室30内に容器20を挿入配置した後、その周囲から均等に圧力を加えるとともに、所定の温度に加熱する。この加熱圧縮を適宜の時間継続することにより、熱拡散材料11aが焼結するとともに、ターゲット層12を形成する金属材料12aと熱拡散材料11a、および熱拡散材料11aと基台10を形成する金属材料10aとが互いに接合して一体化する。
【0043】
また、容器20と蓋体21も加熱圧縮の作用によって各金属材料10a,12aと接合してしまい一個の塊となる。そこで、この塊を機械加工等によって切断または研削することにより、ターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出すとともに、その基台10を回転ターゲットの形態に加工する(図6(b))。熱拡散層11は、熱拡散材料11aが焼結して形成されたものである。このようにしてターゲット層12の裏面側に熱拡散層11が形成されたX線管ターゲットが完成する。
【0044】
図7は本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第5の製造方法を示す工程図である。
この第5の製造方法は、基台10を形成する円柱状をした金属材料10aの外周面に、超硬材料の薄膜を気相合成して熱拡散層11を形成する工程(同図(a))と、この熱拡散層11が形成された基台10の外周にターゲット層12を形成する金属材料12aを加熱圧縮することにより一体化する加熱圧縮工程(同図(b))と、この加熱圧縮工程によって得られた塊からターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出す工程(同図(c))とから構成されている。
【0045】
超硬材料の薄膜を気相合成する手法としては、第1の製造方法と同様、各種の化学的気相成長法(CVD)が適用でき、基台10を形成する金属材料10aを回転しながらその周面に熱拡散材料11aの薄膜を均一に気相合成していく(図7(a))。
【0046】
気相合成された熱拡散材料11aの薄膜には、さらに接合剤としてのチタンをメッキまたは蒸着しておく。
【0047】
次いで、加圧に耐えうる鉄製の容器20の内部に、熱拡散材料11aの薄膜を形成した基台10を配置するとともに、その外周にターゲット層12を形成する管状の金属材料12aを配置する。その後、容器20の開口部を鉄製の蓋体21によって閉塞するとともに、蓋体21と容器20を溶接して一体化する。蓋体21には、図3に示した製造方法と同じく容器20内部の空気を排気するための吸引口22が設けてあり、この吸引口22を図示しない真空ポンプに連通させ、容器20の内部を真空びきする。
【0048】
充分な真空びきを行った後、吸引口22を閉塞して真空ポンプから切り離し、容器20を加圧装置の加圧室内に挿入配置する。加圧装置としては、図4に示したようなHIPを用い、加圧室30内に容器20を挿入配置した後、その周囲から均等に圧力を加えるとともに、所定の温度に加熱する。この加熱圧縮を適宜の時間継続することにより、ターゲット層12を形成する金属材料12aが熱拡散材料11aの薄膜を形成した基台10の外周面に接合して一体化する。
【0049】
また、容器20と蓋体21も加熱圧縮の作用によって接合してしまい一個の塊となる。そこで、この塊を機械加工等によって切断または研削することにより、ターゲット層12および熱拡散層11が形成された基台10を切り出すとともに、その基台10を回転ターゲットの形態に加工する(図7(c))。このようにしてターゲット層12の裏面側に熱拡散層11が形成されたX線管ターゲットが完成する。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、X線管ターゲットは任意の形状に形成でき、製造方法についても適宜工程を組み替えて実施することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば熱拡散層を形成したことにより、微少面積(焦点)の電子の照射によってターゲット層の局所に発生した熱も熱拡散層により拡散されて基台の一部に滞留することがなくなる結果、冷却効率が向上していっそう高強度のX線が取り出し可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの構成例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第1の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第2の製造方法を示す工程図である。
【図4】HIPの構成を模式的に示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第3の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第4の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係るX線管ターゲットの第5の製造方法を示す工程図である。
【図8】従来のX線管ターゲットを示す断面図である。
【符号の説明】
10:基台
11:熱拡散層
11a:熱拡散材料
12:ターゲット層
20:容器
21:蓋体
22:吸引口
30:加圧室
31:ヒータ
32:排気管
33:ガス供給管

Claims (4)

  1. 金属材料からなる基台にターゲット層が設けられたX線管ターゲットにおいて、
    電子の衝突により前記ターゲット層に発生した熱を拡散する熱拡散層を有し、
    且つ、前記熱拡散層は、次の(イ)及び(ロ)の条件を備えた熱拡散材料を加熱圧縮して形成されていることを特徴とするX線管ターゲット。
    (イ) 少なくとも基台を形成する金属材料よりも熱伝導率の高いダイヤモンド,キュービックボロンナイトライド,またはこれらの材料と同等の熱伝導率および硬度を有する粒状または粉状の超硬材料を含む。
    (ロ) チタン,銅,または銀の金属粉を混合してある。
  2. 請求項1記載のX線管ターゲットの製造方法であって、
    ターゲット層を形成する金属材料の裏面に前記熱拡散材料を配置し、これら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに前記熱拡散材料を固める工程と、
    前記工程により一体化した材料を、前記ターゲット層を外側にして基台へ接合する工程と、
    を含むX線管ターゲットの製造方法。
  3. 請求項1記載のX線管ターゲットの製造方法であって、
    基台を形成する金属材料の外側に前記熱拡散材料を配置し、これら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに前記熱拡散材料を固める工程と、
    前記工程により一体化した材料の外側にターゲット層を形成する金属材料を配置し、それら各材料を加熱圧縮することにより一体化する工程と、
    を含むX線管ターゲットの製造方法。
  4. 請求項1記載のX線管ターゲットの製造方法であって、
    基台を形成する金属材料の外側に前記熱拡散材料を配置し、かつ熱拡散材料の外側にターゲット層を形成する金属材料を配置し、それら各材料を加熱圧縮することにより一体化するとともに前記熱拡散材料を固める工程を含むX線管ターゲットの製造方法。
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