JP3410775B2 - 光走査装置における光偏向装置 - Google Patents

光走査装置における光偏向装置

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JP3410775B2
JP3410775B2 JP20671493A JP20671493A JP3410775B2 JP 3410775 B2 JP3410775 B2 JP 3410775B2 JP 20671493 A JP20671493 A JP 20671493A JP 20671493 A JP20671493 A JP 20671493A JP 3410775 B2 JP3410775 B2 JP 3410775B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は光走査装置における光
偏向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】等角速度的に偏向する光束を結像光学系
により被走査面上に光スポットとして集光させ、光走査
を行う光走査装置は、光プリンターやデジタル複写機等
に関連して広く知られている。「回転多面鏡」は、この
ような光走査装置において、光源側から入射する光束を
等角速度的に偏向させる光偏向装置として、一般に用い
られている。
【0003】近年、光走査の高速化に伴い、回転多面鏡
の回転も高速化する傾向にあるが、回転多面鏡を高速回
転させると、エッジ部で発生する耳ざわりな「風切り
音」が高くなり、光走査装置近傍にいる人に不快感を与
えるという問題がある。
【0004】上記風切り音を軽減する方法として、回転
多面鏡の偏向反射面相互のエッジ部を面取りする方法が
知られているが、高速回転の際の風切り音を十分に軽減
するのは困難である。
【0005】回転多面鏡を密閉手段により密閉すること
は、上記風切り音の防止上、極めて有効であるが、光源
側からの光を取り入れ、偏向光束を射出させるための透
明な窓を必要とし、この窓の影響を考慮して光学系の設
計を行う必要があり、装置設計が面倒になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述した事
情に鑑みてなされたものであって、回転多面鏡の風切り
音を有効に軽減でき、しかも、結像光学系の光学特性へ
の悪影響が実質的にない、光走査装置における新規な光
偏向装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の光偏向装置は
「等角速度的に偏向する光束を結像光学系により被走査
面上に光スポットとして集光させて光走査を行う光走査
装置において、定方向から入射する光束を周期的かつ等
角速度的に偏向させる装置」であって、回転多面鏡と、
囲繞手段とを有する。
【0008】「回転多面鏡」は、周知の如く、光束を反
射させる複数の偏向反射面を有し、等速回転する。
【0009】「囲繞手段」は、回転多面鏡を囲繞して外
部に対して閉ざすが、その側壁部は屈折率:1.5以下
の材料により、内周面・外周面が軸を共通にした円筒面
である透明中空シリンダーに形成される。「透明中空シ
リンダー」は、その曲率中心軸が回転多面鏡の回転中心
軸と一致するように配備される。 請求項1記載の発明で
は、肉厚:dが、光走査装置における結像光学系の主走
査対応方向に於ける焦点距離:fに対し、条件 (1) 0.0001f≦d≦0.0004・f を満足する。透明中空シリンダーは回転多面鏡を内部に
収容するものであり、その曲率中心軸を回転多面鏡の回
転中心軸と一致させて配備されるのであるから、内側の
円柱面の曲率半径は、勿論、回転多面鏡の外接円半径以
上の大きさを持つ必要があることは言うまでもない。
た上記「透明中空シリンダー」の内周面の曲率半径は、
上記焦点距離:f に対して、0.163f に設定さ
れる。
【0010】上記「主走査対応方向」とは、光走査装置
の光源から被走査面に到る光路を、光軸に沿って直線的
に展開した仮想的な光路上で、主走査方向と平行的に対
応する方向である。
【0011】請求項2記載の発明では、上記焦点距離:
fM、肉厚:dが、条件 (2) 0.0001f =d を満足し、 上記透明中空シリンダーの内周面の曲率半径
が0.144f であることを特徴とする。 請求項1、
2記載の発明とも、 囲繞手段は、回転多面鏡と一体的に
回転される。囲繞手段は、透明中空シリンダーと、その
両端を閉ざす1対の円形状の蓋により構成される。
【0012】
【作用】上記のように、この発明の光偏向装置では、回
転多面鏡は囲繞手段により外部に対して閉ざされる。
【0013】囲繞手段は、回転多面鏡と一体的に回転す
るので、回転多面鏡による風切り音は囲繞手段により遮
断されて外部へもれず、囲繞手段自体は円筒状でエッジ
が無いので回転に伴う風切り音を発生させない。
【0014】しかし、透明中空シリンダーは、その曲率
のため主走査対応方向に「レンズ作用」が生じ、任意の
肉厚に形成した場合には、光走査装置の結像光学系(一
般に、fθレンズである)の光学特性、即ち、像面湾曲
やfθ特性、リニアリティ等に影響が生じる。
【0015】条件(1)、(2)は、透明中空シリンダ
ーの材料の屈折率が1.5以下という条件下において、
上記透明中空シリンダーの内接円半径との関係におい
て、結像光学系における像面湾曲やfθ特性、リニアリ
ティに、透明中空シリンダーが実質的な悪影響を与えな
いための条件である。
【0016】屈折率が小さいほど、透明中空シリンダー
の主走査対応方向のレンズ作用は小さくなる。屈折率を
1.5以下とすることにより、加工性の良いプラスチッ
クで透明中空シリンダーを形成できるようになる。
【0017】
【実施例】以下、具体的な実施例を説明する。図1
(a)は、請求項1、2記載の発明を実施した光走査装
置の1例を示している。符号6で示す光源装置は、例え
ば半導体レーザーとコリメートレンズとの組み合わせで
あり、平行光束を放射する。光源装置6からの平行光束
はシリンダレンズ4により副走査対応方向(主走査対応
方向に関連して前述した、仮想的な光路上で副走査方向
と平行的に対応する方向、図1(a)において図面に直
交する方向)へのみ収束させられ、光偏向装置へ入射す
る。
【0018】光偏向装置は回転多面鏡2を囲繞手段で囲
繞したものである。即ち、図1(b)に示す如く、囲繞
手段は、その「側壁部」を構成する透明中空シリンダー
1と、上蓋8および下蓋9とにより構成されている。透
明中空シリンダー1は、(a)に示すように、その内周
面の曲率半径が回転多面鏡2の外接円半径Aoutと等
しく形成され、内部空間に回転多面鏡2を嵌装されてい
る。
【0019】内部空間に回転多面鏡2を嵌装された透明
中空シリンダー1の上端は、(b)に示すように円形状
の上蓋8により塞がれ、下端は円形状の下蓋9により塞
がれて、全体は一体として駆動モーターの軸10に貫通
・固定されている。従って、透明中空シリンダー1の曲
率中心軸は、回転多面鏡2の回転中心軸と合致してい
る。
【0020】光源装置1側からの光束は、透明中空シリ
ンダー1を透過し、シリンダーレンズ4の作用により、
回転多面鏡2の偏向反射面近傍に主走査対応方向に長い
線像として結像し、偏向反射面により反射されると透明
中空シリンダー1を外向きに透過し、結像光学系として
のfθレンズ5の結像作用により、被走査面7上に光ス
ポットとして集光する。
【0021】回転多面鏡2と囲繞手段とが一体となって
等角速度的に回転すると、偏向反射面による反射光束
は、等角速度的かつ周期的に偏向され、光スポットは被
走査面7を光走査する。
【0022】fθレンズ5は2枚構成であり、その諸元
は以下のように与えられる。即ち、光偏向装置の側から
数えて、第i番目のレンズ面の曲率半径を、主走査対応
方向に就きrip、副走査対応方向に就きris(i=
1〜4)、第i番目と第i+1番目のレンズ面の光軸上
の距離をd(i=1〜3)、光偏向装置側から数え
て、第j番目のレンズの屈折率をn(j=1,2)と
する。なお、長さに関する各元は主走査対応方向の焦点
距離:fを100に規格化した値である。
【0023】 i ripisi j nj 1 −107.955 −107.955 5.68 1 1.7121 2 ∞ +59.091 10.98 3 ∞ −59.091 6.82 2 1.6749 4 −45.64 −45.64 このfθレンズ5を用い、囲繞手段を用いないとき、即
ち光源側からの光束を回転多面鏡2のみで偏向させた場
合の、像面湾曲、fθ特性、リニアリティを図2に示
す。回転多面鏡2の外接円半径:Aoutは0.144
である。
【0024】透明中空シリンダー1における、内周面の
曲率半径を0.144fとし、肉厚:dを0.000
1fとしたときの、像面湾曲、fθ特性、リニアリテ
ィを図3に示す。
【0025】また、透明中空シリンダー1における、内
周面の曲率半径を0.163fとし、肉厚:dを0.
0001fとしたときの、像面湾曲、fθ特性、リニ
アリティを図4に示す。
【0026】さらに、透明中空シリンダー1における内
周面の曲率半径を0.163fとし、肉厚:dを0.
0004fとしたときの、像面湾曲、fθ特性、リニ
アリティを図5に示す。
【0027】上記いずれの場合も、透明中空シリンダー
1は屈折率:1.485の透明プラスチック材料で構成
した。囲繞手段を用いない場合の、像面湾曲、fθ特
性、リニアリティの図を、囲繞手段を用いた各場合のも
のと比較すると、囲繞手段の存在は、像面湾曲、fθ特
性、リニアリティに実質的な悪影響を及ぼしていない。
そして、回転多面鏡を高速回転させても、耳ざわりな
「風切り音」は殆ど外部にもれない。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば光走査装置における新規な光偏向装置を提供できる。
この発明は、上記の如き構成となっているから、回転多
面鏡の高速回転に伴う風切り音が光走査装置の外部にも
れるのを有効に防止することができ、しかも、結像光学
系の光学特性への実質的な悪影響がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の1実施例を説明するための図であ
る。
【図2】上記実施例において、囲繞手段を用いない場合
の、結像光学系の像面湾曲、fθ特性、リニアリティを
示す図である。
【図3】上記実施例において、囲繞手段を用いた場合の
1例における、結像光学系の像面湾曲、fθ特性、リニ
アリティを示す図である。
【図4】上記実施例において、囲繞手段を用いた場合の
別例における、結像光学系の像面湾曲、fθ特性、リニ
アリティを示す図である。
【図5】上記実施例において、囲繞手段を用いた場合の
他の例における、結像光学系の像面湾曲、fθ特性、リ
ニアリティを示す図である。
【符号の説明】
1 透明中空シリンダー 2 回転多面鏡 8 上蓋 9 下蓋

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】等角速度的に偏向する光束を結像光学系に
    より被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を
    行う光走査装置において、定方向から入射する光束を周
    期的かつ等角速度的に偏向させる装置であって、 等速回転する回転多面鏡と、 この回転多面鏡を囲繞して、外部に対して閉ざす囲繞手
    段とを有し、 上記囲繞手段の側壁部が、屈折率:1.5以下の材料に
    より、内周面・外周面が軸を共通にした円筒面である透
    明中空シリンダーに形成され、この透明中空シリンダー
    は、その曲率中心軸が回転多面鏡の回転中心軸と一致す
    るように配備され、その曲率により主走査対応方向に生
    じるレンズ作用が上記結像光学系の光学特性に影響を生
    じさせないように、肉厚:dが、光走査装置における結
    像光学系の主走査対応方向に於ける焦点距離:fに対
    し、条件 (1) 0.0001f≦d≦0.0004・f を満足し、上記透明中空シリンダーの内周面の曲率半径が0.16
    3f であり、 且つ、上記囲繞手段が、透明中空シリンダーと、その両
    端を閉ざす1対の円形状の蓋により構成され、回転多面
    鏡と一体的に回転されることを特徴とする光偏向装置。
  2. 【請求項2】等角速度的に偏向する光束を結像光学系に
    より被走査面上に光スポットとして集光させて光走査を
    行う光走査装置において、定方向から入射する光束を周
    期的かつ等角速度的に偏向させる装置であって、 等速回転する回転多面鏡と、 この回転多面鏡を囲繞して、外部に対して閉ざす囲繞手
    段とを有し、 上記囲繞手段の側壁部が、屈折率:1.5以下の材料に
    より、内周面・外周面が軸を共通にした円筒面である透
    明中空シリンダーに形成され、この透明中空シ リンダー
    は、その曲率中心軸が回転多面鏡の回転中心軸と一致す
    るように配備され、その曲率により主走査対応方向に生
    じるレンズ作用が上記結像光学系の光学特性に影響を生
    じさせないように、肉厚:dが、光走査装置における結
    像光学系の主走査対応方向に於ける焦点距離:f に対
    し、条件 (2) 0.0001f =d を満足し、 上記透明中空シリンダーの内周面の曲率半径が0.14
    4f であり、 且つ、上記囲繞手段が、透明中空シリンダーと、その両
    端を閉ざす1対の円形状の蓋により構成され、回転多面
    鏡と一体的に回転されることを特徴とする光偏向装置。
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