JP3410542B2 - 撥水性ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

撥水性ガラスおよびその製造方法

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JP3410542B2
JP3410542B2 JP06344994A JP6344994A JP3410542B2 JP 3410542 B2 JP3410542 B2 JP 3410542B2 JP 06344994 A JP06344994 A JP 06344994A JP 6344994 A JP6344994 A JP 6344994A JP 3410542 B2 JP3410542 B2 JP 3410542B2
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佳則 赤松
一郎 中村
聡子 菅原
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/40Coatings comprising at least one inhomogeneous layer
    • C03C2217/43Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase
    • C03C2217/46Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase characterized by the dispersed phase
    • C03C2217/47Coatings comprising at least one inhomogeneous layer consisting of a dispersed phase in a continuous phase characterized by the dispersed phase consisting of a specific material
    • C03C2217/475Inorganic materials
    • C03C2217/476Tin oxide or doped tin oxide

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性能はもとより、
耐候性に優れた撥水性ガラスおよびその製造方法に関
し、車両用、船舶用、航空機用あるいは建築用等のウィ
ンドウガラスやミラーなどに有用である。
【0002】
【従来技術】ガラスの撥水性を向上させるために、フル
オロアルキル基含有化合物やジメチルシロキサン等の化
合物をガラス表面に塗布する試みがなされている。しか
しこれらの化合物を単に塗布しただけではガラス表面と
の結合力が弱く、耐候性や耐摩耗性を充分にもたせるこ
とはできず、撥水性を長期に亘り維持することは困難で
ある。
【0003】これまでは、ガラスなどの素材上に、撥水
性を付与するためにポリフルオロアルキル基(Rf基)含
有シラン化合物が各種出願されている。(特開昭58−12
2979号公報)、(特開昭58−129082号公報)、(特開昭
58−142958号公報)、(特開昭58ー147483号公報)、
(特開昭58−172242号公報)、(特開昭58−172243号公
報)、(特開昭58−172244号公報)、(特開昭58−1722
45号公報)、(特開昭58−172246号公報)、(特開昭58
−190840号公報)、(特開昭58−223634号公報)。
【0004】さらに例えば特開昭58−167448号公報には
低反射率ガラスが記載されており、ポリフルオロアルキ
ル基含有シラン化合物叉は該化合物の部分加水分解縮合
物からなる厚さ1μm 以下の薄膜をガラス表面に形成す
ることにより、透視性等を損なうことなく、低反射率及
び撥水撥油性とするというものが開示されている。
【0005】しかしながら、このような従来の撥水処理
方法にあっては、耐久性、耐候性試験において、比較的
短時間で撥水性が劣化するという問題点があった。さら
に耐候性に優れたものとして、テフロンを被覆したガラ
スがあるが、膜が柔らかいため傷つき易くすぐに透明性
が損なわれるという問題点があった。
【0006】また特開昭60−231442号公報には、ガラス
基板上に接着成分としてシロキサン結合を有する有機ケ
イ素化合物の重合物、および撥水成分としてフッ素化合
物の重合物の双方よりなる撥水性被膜を形成した撥水処
理硝子が記載されているが、表面が撥水成分の重合物が
全てまたは相対的に多く含有された構成になっているた
め傷つき易いという問題点があった。
【0007】また特開平3−153859号公報には、プラス
チック基板上に金属酸化物層が形成され、その上に金属
酸化物層およびフッ素樹脂の複合層を積層した表面改質
プラスチックが記載されているが、基板がプラスチック
であるため密着性が必ずしも満足できるものではない等
の問題がある。
【0008】また、特開平5−51238 号公報には、ガラ
ス基板上に金属酸化物相と該金属酸化物相中に分散され
た撥水性微粒子とからなる撥水層をもつ撥水性ガラスが
記載されているが、微粒子が均等に膜中に分散した構成
では傷つき易いという問題点があった。
【0009】また、特開平1ー160039号公報には、ガラ
ス表面に金属酸化物被膜を設け、更にその表面に、Snや
Sbの元素のイオンをイオン注入することにより撥水性を
付与することが記載されているが、充分な初期接触角が
得られないことや注入後にイオンが徐々に酸化し撥水性
能が長く持続できないという問題点があった。
【0010】また、特開昭63ー117933号公報には、ガラ
ス表面にSnやSbの元素のイオンをイオン注入することに
より撥水性を付与することが記載されているが、充分な
初期接触角が得られないことや注入後にイオンが徐々に
酸化し撥水性能が長く持続できないという問題点があっ
た。
【0011】また、特開平3ー90345 号公報には、ガラ
ス等の透明基材上に高屈折率誘電層として酸化錫やアン
チモンをドープした酸化錫層を形成した後、その上にフ
ッ素化合物を含む低屈折率層を設けることにより撥水性
を示す透明成形体が記載されているが、酸化錫やアンチ
モンをドープした酸化錫層の上に直接フッ素化合物等か
らなる撥水層を形成した構成では、撥水性能が長く持続
できないという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は上記従来の
問題点を解決するものであり、その目的は、密着性、耐
候性に優れしかも硬い撥水性ガラスを提供することにあ
る。
【0013】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る問題点に鑑みてなされたものであって、ガラス基板の
表面に、マイクロピット状表層または凹凸状表層、ある
いは凸状表層である酸化物膜が下地層としてあり、さら
にその上に撥水層がある撥水性ガラスにおいて、該撥水
層が少なくともフルオロアルキルシランと酸化アンチモ
ンをドーパントとする酸化錫とシリカからなることによ
り、上記目的が達成できる。
【0014】また本発明は、前記マイクロピット状表層
または凹凸状表層、あるいは凸状表層における該マイク
ロピットまたは凹凸あるいは凸が、5〜500nm の径であ
ることから成る酸化物膜を下地層とした上述した撥水性
ガラスを提供する。
【0015】また本発明は、少なくともフルオロアルキ
ルシラン0.1 〜20重量%と、酸化アンチモンをドーパン
トとする酸化錫の粒子0.1 〜2重量%と、シリコン化合
物0.1 〜2重量%と、水および有機溶媒からなる混合溶
液を、酸化物膜を下地層として設けたガラス基板に塗布
し、次いで100 〜300 ℃で焼き付けることを特徴とする
撥水性ガラスの製造方法を提供する。
【0016】また本発明は、酸化アンチモンをドーパン
トとする酸化錫粒子の粒径が、100nm以下であるこ
とを特徴とする撥水性ガラスおよびその製造方法を提供
する。ここで、前記ガラス基板としては、無機質の透明
板ガラスであって、車輌用、船舶用、航空機用あるいは
建築用等に用いられる市販のソーダライムガラスを採用
することができ、無色または着色、ならびにその種類あ
るいは色調、形状等にとくに限定されるものではなく、
さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん、各種強化ガラス
や強度アップガラス、平板や単板で使用できるととも
に、複層ガラスあるいは合せガラス、またミラー用ガラ
スとしても使用できることは言うまでもないものであ
る。
【0017】また前記した下地層とする酸化物膜として
は、いかなる手法により作製してもよい、例えば金属ア
ルコキシド系化合物あるいは金属アセチルアセトネート
系化合物中から少なくとも1種以上の化合物を2つ以上
選択し、しかも該選択した該溶液の選択する2つ以上の
化合物の混合割合の調整または/および該溶液を相対湿
度のコントロールのもとに成膜し、100 ℃以上の温度で
加熱することにより得ることができる。
【0018】上述した選択した2つ以上の化合物につい
ては、例えば平均分子量が異なるものを選択し、該選択
は成膜した酸化物膜の表層をマイクロピット状、凹凸状
あるいは凸状とするためであり、混合する2種以上の化
合物の平均分子量は数千(具体的には例えば800 乃至80
00程度、好ましくは2000乃至7000程度)と数万(具体的
には例えば10000 乃至70000 程度)あるいは、数千と数
十万(具体的には例えば100000乃至400000程度)の組み
合わせであることが好ましい。
【0019】また、上述した金属アルコキシド系化合物
としては、金属にすべてアルコキシ基のみが結合した場
合、すなわちメトキシド、エトキシド、イソプロポキシ
ド等のみならず、その一部がメチル基、エチル基等に置
換したもの、例えばモノメチルアルコキシド、モノエチ
ルアルコキシド等を含むものである。さらにまた、上述
した金属アセチルアセトネート系化合物としては、金属
に全てアセチルアセトン基のみが結合した場合のみなら
ず、その一部がメチルアルコキシ基、エチルアルコキシ
基等に置換したものを含むものである。
【0020】さらに、上述の金属としては、とくに限定
するものではないが、Si、TiまたはZrを選択するのが好
ましく、具体的なものとしては、例えばテトラメトキシ
シラン〔Si(OMe)4 Me:CH3 〕(以下Meは
CH3 である)、テトラエトキシシラン〔Si(OEt)
4 Et:C2 5 〕(以下EtはC2H5である)、メチル
トリエトキシシラン〔MeSi(OEt)3 〕、メチル
トリメトキシシラン〔MeSi(OMe)3 〕、チタン
テトライソプロポキシド〔Ti(O−iso−Pr)4
Pr:C3 7 〕(以下PrはC3H7である)、チタンア
セチルアセトネート〔Ti(CH2 COCH2 COCH
3 4 〕、ジルコニウムノルマルブトキシド〔Zr(O
−n−Bu)4 Bu:C4 9 〕(以下BuはC4H9であ
る)、ジルコニウムアセチルアセトネート〔Zr(CH
2 COCH2 COCH3 4 〕等が好適であり、他に例
えばジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、チタンテトラノルマルブトキシド、ジルコニウム
テトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラオクチレ
ート等がある。
【0021】また、前記表層におけるマイクロピット
状、凹凸状あるいは凸状の大きさは、例えば成膜する際
の相対湿度により、その径を5乃至500nm に制御するこ
とができる。径が500nm を超えると、酸化物膜自体の透
明性が損なわれ白化するとともに膜強度も弱くなり、ま
た5nm未満では酸化錫あるいは酸化アンチモンをドーパ
ントとする酸化錫粒子が膜上に定着し難くなるため、5
乃至500nm が好ましいものである。
【0022】また、前記酸化アンチモンをドーパントと
する酸化錫粒子の粒径は、100nm を超えると下地層の酸
化物膜上に定着し難くなるため、100nm 以下が好まし
い。本発明において使用するフルオロアルキルシランの
種類としては、例えばCF 3 CH2 CH2 Si(OM
e)3 、CF3 CH2 CH2 SiCl3 、CF3 (CF
2 5 CH2 CH2 Si(OMe)3 、CF3 (C
2 5 CH2 CH2 Si(OMe)Cl3 、CF
3 (CF2 7 CH2 CH2 Si(OMe)3 、CF3
(CF2 7 CH2 CH2 SiCl3 、CF3 (C
2 7 CH2 CH2 SiMe(OMe)2 、CF
3 (CF2 7 CH2 CH2 SiMe(Cl)2 などを
挙げることができる。
【0023】また、本発明において使用する酸化アンチ
モンをドーパントとする酸化錫としては、酸化錫のHOMO
(Highest Occupied Molecular Orbital)とLUMO(Lowest
Unoccupied Molecular Orbital) 間のバンドエネルギー
ギャップ間に酸化アンチモンの不純物HOMOレベルを形成
し、半導体性を発現するもので、フルオロアルキルシラ
ンの光劣化を抑制するため用いる。酸化錫はcassiterit
e(錫石) の結晶構造を有しており、その結晶格子の中に
酸化アンチモンが侵入型固溶体として存在していると考
えられ、酸化アンチモンが酸化錫の結晶格子中にドープ
されることにより酸化錫の部分還元がおこり(SnO2-x
Sb2O3+X ) 酸化錫のLUMOレベルに余剰電子が供給され電
子導電性が発現するものである。具体的には例えば商品
名T-1 (三菱マテリアル(株))や商品名エルコム(触
媒化成工業(株))がある。また、予めシリコン化合物
と酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫粒子を含ん
だゾルとしては、例えば商品名エルコムCT(触媒化成
工業(株))がある。
【0024】またさらに、前記したシリコン化合物とし
ては、例えばテトラメトキシシラン〔Si(OM
e)4 〕、テトラエトキシシランSi(OEt)4 〕、
メチルトリエトキシシラン〔MeSi(OEt)3 〕、
メチルトリメトキシシランMeSi(OMe)3 〕を原
料とした加水分解物が好ましいものである。
【0025】また、前記した有機溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアル
コール類、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル等
のエステル類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチルセロソ
ルブ等が一種または二種以上混合して用いることができ
る。
【0026】また、前記したこれらの混合溶液中のフル
オロアルキルシラン量としては、0.1 重量%未満では充
分な撥水性が得られず、20重量%を超えると酸化アンチ
モンをドーパントとする酸化錫微粒子に対しフルオロア
ルキルシラン量が相対的に多くなり、酸化アンチモンを
ドーパントとする酸化錫微粒子の添加効果が発現し難く
なるため0.1 〜20重量%が好ましい。
【0027】さらに、前記した酸化アンチモンをドーパ
ントとする酸化錫微粒子は、撥水性ガラスの撥水性能の
耐久性を向上せしめる効果があり、その量とてしては、
0.1重量%未満では添加効果がなく、2重量%を超える
と初期の撥水性を低下させるため、0.1 乃至2重量%が
好ましい。
【0028】さらにまた、前記したシリコン化合物は、
ことに酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粒子
を酸化物膜表面に安定して固定させるために必要であ
り、その量としては、0.1 重量%未満では添加効果がな
く、2重量%を超えると初期の撥水性を低下させるた
め、0.1 乃至2重量%が好ましい。
【0029】またさらに、前記混合溶液を酸化物膜に塗
布し、乾燥焼き付ける温度としては、100 ℃未満でも30
0 ℃を超える温度でも撥水性ガラスの撥水性能の耐久性
が向上しないため、100 乃至300 ℃で焼き付けることが
好ましい。
【0030】さらにまた、塗布方法としては、浸せき引
き上げ法、スプレー法、フローコート法あるいはスピン
コート法等既知の塗布手段が適宜採用し得るものであ
る。なお、前記表層におけるマイクロピット状、凹凸状
あるいは凸状を呈する酸化物膜の膜厚は、10乃至300nm
程度であって、例えば300nm を超えると、酸化物膜自体
の強度が弱くなり、また10nm未満では表層におけるマイ
クロピット状、凹凸状あるいは凸状を形成し難くなり、
下地層としての機能を充分発揮し難くなるものである。
より安定し確実な機能を発揮する膜厚としては約30乃至
200nm 程度である。
【0031】なおまた、ゲル膜は約100乃至400℃程度、
約5乃至15分間程度でなし、焼成は焼成温度が約550乃
至650℃程度、焼成時間が約1乃至10分間程度で行う。
【0032】
【作用】前述したように、本発明よれば、ガラス基板の
表面に、マイクロピット状表層または凹凸状表層、ある
いは凸状表層である酸化物膜が下地層としてあり、さら
にその上に撥水層がある撥水性ガラスにおいて、該撥水
層が少なくともフルオロアルキルシランと酸化アンチモ
ンをドーパントとする酸化錫とシリカからなることを特
徴とする撥水性ガラスとすることにより、初期接触角が
114 〜110 °、スーパーJV2000時間後の接触角が100 〜
95°、ワイパー揺動10万回後の接触角が100 °である
等、これら三者ともクリアーできることとなり、膜全体
の強度アップに繋がり、撥水層自身の優れた撥水性能、
密着性を有し硬い、ならびにことに撥水性能の優れた耐
候性を示すものとなって、車輌用、船舶用、航空機用あ
るいは建築用の窓材または各種製品、さらにはミラーガ
ラス等に格段に有用な撥水性ガラスとなる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0034】実施例1 大きさ約100mm ×100mm 、厚さ約2mmのクリア・フロー
トガラス基板を中性洗剤、水すすぎ、アルコールで順次
洗浄し、乾燥した後、アセトンで払拭し被膜用基板とし
た。
【0035】シリカゾル(平均分子量:約3000、固形分
濃度:約30重量%)約20.0g、シリカゾル(平均分子
量:約100000、固形分濃度:約6重量%)約28.6gをビ
ーカーに入れ、低平均分子量の固形分/高平均分子量の
固形分を約3.5 のmol 比とし、イソプロピルアルコール
約50gならびに1ーブタノール約100 gで希釈し、約15
時間攪拌してコーテイング溶液を得た。
【0036】ついで、該溶液をディッピング法により前
記ガラス基板表面に、約23℃、相対湿度約50%の環境で
成膜し、約270 ℃で約10分間加熱してゲル膜を形成し、
膜厚約150nm 、さらに約600℃、約3分間程度焼成後、
膜厚が約100nmで表面に平均径約50nmのマイクロピット
状表層を呈する酸化物膜を得た。
【0037】さらについで、該薄膜上に、予め、シリコ
ン化合物としてシリカゾル(平均分子量:約3000、固形
分濃度:1重量%)のエタノール溶液約0.99g(シリコ
ン化合物として約0.14重量%)、酸化アンチモンをドー
パントとする酸化錫微粉末(粒径:約20nm)として商品
名T-1〔三菱マテリアル(株)製〕約0.01g(約0.14重
量%)、イソプロピルアルコール約5g、ヘプタデカト
リデシルフルオロアルキルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si
(OMe)3 〕約1g(約14.29 重量%)からなる混合溶液
を塗布し、その後約250 ℃で約30分間乾燥することによ
り、撥水性ガラスを得た。
【0038】なお該混合溶液の組成は表1に示す。得ら
れた撥水性ガラスについて、下記の試験を行った。 (撥水性試験)大気中(約25℃)での水に対する接触角
を測定。
【0039】(耐候性試験)スーパーUVにより評価。 条件:60mW/cm2 で2000時間後の接触角を測定。 (耐摩耗性試験)自動車用ワイパーによる摺動耐久性に
より評価。
【0040】条件:上水を滴下しながら、105 gの荷重
をかけて10万回(往復を1回とする)の摺動を行い、接
触角を測定。 その結果は、表1に示すように、得られた酸化物膜は、
膜厚が約150nm 、表面に径が約50nmのマイクロピットの
マイクロピット状表層を有するものであり、初期接触角
が113 °、耐候性試験後でも接触角が100 °となって充
分優れ、耐摩耗性試験後でも接触角が100 °と充分優れ
るものであった。
【0041】実施例2 実施例1と同様なガラス基板に、実施例1の低平均分子
量のシリカゾル約30gと高平均分子量のシリカゾル約2
3.1gをビーカーに入れ、低平均分子量/高平均分子量
の固形分を約6.5 のmol 比とし、他は実施例1と同様と
した。得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面におけ
る凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約
400nm である凹凸状表層を有するものとなった。
【0042】次いで、実施例1と同様に撥水処理を行っ
た。撥水処理用の混合溶液の組成および評価結果は表1
に示す。得られた撥水性ガラスは、実施例1と同様とな
り、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するものであ
った。
【0043】実施例3 実施例1と同様なガラス基板に、実施例1の低平均分子
量のシリカゾル約40gと高平均分子量のシリカゾル約1
8.2gをビーカーに入れ、低平均分子量/高平均分子量
の固形分を約11のmol 比とし、他は実施例1と同様とし
た。得られた酸化物膜は、膜厚が約60nm、表面における
凸の間の間隔が約300 〜500nm の凸を有し、該凸状の径
は約300 〜500nm を有するものとなった。
【0044】次いで、該薄膜上に、予め、シリコン化合
物としてシリカゾル(平均分子量:約3000、固形分濃
度:1重量%)のエタノール溶液約0.99g(シリコン化
合物として約0.14重量%)、酸化アンチモンをドーパン
トとする酸化錫微粉末(粒径:約100nm )として商品名
T-1〔三菱マテリアル(株)製〕約0.01g(約0.14重量
%)、イソプロピルアルコール約5g、ヘプタデカトリ
デシルフルオロアルキルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OM
e)3 〕約1g(約14.29 重量%)からなる混合溶液を塗
布し、その後約250 ℃で約30分間乾燥することにより、
撥水性ガラスを得た。
【0045】次いで、実施例1と同様に撥水処理を行っ
た。撥水処理用の混合溶液の組成および評価結果は表1
に示す。得られた撥水性ガラスは、実施例1と同様とな
り、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するものであ
った。
【0046】実施例4 実施例1と同様なガラス基板に、実施例1において使用
したコーティング溶液を使用し、成膜時の相対湿度を約
35%とし、その他は実施例1と同様にした。得られた酸
化物膜は、膜厚が約100nm 、表面に径が約10〜20nmのマ
イクロピットを有するマイクロピット状表層となった。
【0047】次いで、実施例1と同様に撥水処理を行っ
た。撥水処理用の混合溶液の組成および評価結果は表1
に示す。得られた撥水性ガラスは、実施例1と同様とな
り、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するものであ
った。
【0048】実施例5 実施例2において撥水層用の混合溶液組成を次のように
変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0049】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約17.2g(シリコン化合物として約0.73重
量%)、アンチモンをドープした酸化錫微粉末(粒径:
約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル(株)製〕
約0.4 g(約1.69重量%)、イソプロピルアルコール約
5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシラン
〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1g(約4.24重量%)
からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃で約30分間
乾燥することにより、撥水性ガラスを得た。
【0050】次いで、実施例1と同様に撥水処理を行っ
た。撥水処理用の混合溶液の組成および評価結果は表1
に示す。得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面にお
ける凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は
約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、初期
接触角が111 °、耐候性評価後でも接触角が97°となっ
て充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °と充分
優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同様と
なり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するもので
あった。
【0051】実施例6 実施例2において、撥水層用の混合溶液を塗布した後、
その乾燥温度を約140℃とすること以外は、実施例2と
同様にした。該混合溶液の組成および評価結果は、表1
に示すとおりである。
【0052】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が113 °、耐候性評価後でも接触角が100 °
となって充分優れ、耐摩耗性でも接触角が100 °と充分
優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同様と
なり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するもので
あった。
【0053】実施例7 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0054】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:10重量%)のエ
タノール溶液約4g(シリコン化合物として約1.69重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.17g(約0.73重量%)、イソプロピルア
ルコール約18.5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアル
キルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3〕約1g(約4.2
4重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃
で約30分間乾燥することにより、撥水性ガラスを得た。
なお該混合溶液の組成は表1に示す。
【0055】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が111 °、耐候性評価後でも接触角が95°と
なって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °と
充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同
様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するも
のであった。
【0056】実施例8 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0057】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:10重量%)のエ
タノール溶液約0.1 g(シリコン化合物として約0.18重
量%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉
末(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.01g(約0.18重量%)、イソプロピルア
ルコール約4.4 g、ヘプタデカトリデシルフルオロアル
キルシラン〔CF3(CF2) 7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1.13g(約
20重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃
で約30分間乾燥することにより、撥水性ガラスを得た。
なお該混合溶液の組成は表1に示す。
【0058】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が114 °、耐候性評価後でも接触角が100 °
となって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °
と充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と
同様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮する
ものであった。
【0059】実施例9 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0060】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:10重量%)のエ
タノール溶液約4g(シリコン化合物として約1.76重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.17g(約0.75重量%)、イソプロピルア
ルコール約18.5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアル
キルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約0.02g(約
0.1 重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約300
℃で約30分間乾燥することにより、撥水性ガラスを得
た。なお該混合溶液の組成は表1に示す。
【0061】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が114 °、耐候性評価後でも接触角が100 °
となって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °
と充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と
同様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮する
ものであった。
【0062】実施例10 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0063】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約17.2g(シリコン化合物として約0.73重
量%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉
末(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.47g(約2重量%)、イソプロピルアル
コール約5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキル
シラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1g(約4.22重
量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃で約
30分間乾燥することにより、撥水性ガラスを得た。なお
該混合溶液の組成は表1に示す。
【0064】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が111 °、耐候性評価後でも接触角が98°と
なって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °と
充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同
様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するも
のであった。
【0065】実施例11 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0066】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:10重量%)のエ
タノール溶液約4.92g(シリコン化合物として約2重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.17g(約0.69重量%)、イソプロピルア
ルコール約18.5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアル
キルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1g(約4.
07重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約100 ℃
で約30分間乾燥することにより、撥水性ガラスを得た。
なお該混合溶液の組成は表1に示す。
【0067】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が110 °、耐候性評価後でも接触角が95°と
なって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °と
充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同
様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するも
のであった。
【0068】実施例12 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0069】すなわち、予めシリコン化合物と酸化アン
チモンをドーパントとする酸化錫微粉末(粒径:約5n
m)含んだゾル6.27g(固形分濃度:2.5 重量%、シリ
コン化合物として約0.57重量%、酸化アンチモンをドー
パントとする酸化錫として約0.73重量%)(触媒化成工
業(株)製)、イソプロピルアルコール約5g、ヘプタ
デカトリデシルフルオロアルキルシラン〔CF3(CF2)7CH2
CH2Si(OMe)3 〕約1g(約8.15重量%)からなる混合溶
液を塗布し、その後約250 ℃で約30分間乾燥することに
より、撥水性ガラスを得た。なお該混合溶液の組成は表
1に示す。
【0070】得られた酸化物膜は、膜厚が約50nm、表面
における凸の間の間隔が約400nm であって、その凹凸の
径は約400nm である凹凸状表層を有するものとなって、
初期接触角が110 °、耐候性評価後でも接触角が95°と
なって充分優れ、耐摩耗性評価後でも接触角が100 °と
充分優れる等、得られた撥水性ガラスは、実施例1と同
様となり、所期の耐候性が優れる撥水性能を発揮するも
のであった。
【0071】
【表1】
【0072】比較例1 シリカゾル(平均分子量:約100000、固形分濃度:約6
重量%)を約200 gをビーカーにはかり、そのままコー
ティング溶液とした。それ以外は実施例1と同様とし、
次いで実施例1と同様に撥水処理を行った。得られた酸
化物膜は、膜厚が約150nm 、表面に平均径約2nmのマイ
クロピット状表層を呈するものを得た。混合溶液の組成
および評価結果は表2に示す。
【0073】得られた酸化物膜は、初期接触角が110 °
であるものの、耐候性試験後では接触角が50°となって
極端に悪く、耐摩耗性試験後でも接触角が70°と悪く、
上述した各実施例と下地層が平坦状で異なり、前記各実
施例から耐摩耗性はもちろん、所期の耐候性が優れる撥
水性能を有するものであるとは到底言えないものであっ
た。
【0074】比較例2 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0075】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約1g(シリコン化合物として約0.14重量
%)、イソプロピルアルコール約5g、ヘプタデカトリ
デシルフルオロアルキルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OM
e)3 〕約1g(約14.29 重量%)からなる混合溶液を塗
布し、その後約250 ℃で約30分間乾燥することにより撥
水性ガラスを得た。なお該混合溶液の組成は表2に示
す。
【0076】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものとなって、初期接触角が11
3 °であるが、耐候性試験後では接触角が60°となって
悪く、耐摩耗性試験後では接触角が100 °となり、前記
各実施例1と耐候性が劣り、所期の耐候性が優れる撥水
性能を有するものとは到底言えないものであった。
【0077】比較例3 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0078】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:10重量%)のエ
タノール溶液約4.0 g(シリコン化合物として約5重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.01g(約0.12重量%)、イソプロピルア
ルコール約3g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキ
ルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1g(約12.4
8 重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃
で約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。な
お該混合溶液の組成は表2に示す。
【0079】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が94°と悪
く、耐候性試験後では接触角が60°となって悪く、耐摩
耗性試験後では接触角が80°と悪く、前記各実施例とは
全てで格段に劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能を有
するものとは到底言えないものであった。
【0080】比較例4 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0081】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約0.99g(シリコン化合物として約0.14重
量%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉
末(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.37g(約5重量%)、イソプロピルアル
コール約5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキル
シラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3 〕約1g(約14.29
重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃で
約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。なお
該混合溶液の組成は表2に示す。
【0082】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が97°であ
り、耐候性試験後では接触角が76°となって悪く、耐摩
耗性試験後では接触角が80°と悪く、前記各実施例より
全てで劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能を有するも
のとは到底言えないものであった。
【0083】比較例5 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0084】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約0.99g(シリコン化合物として約0.14重
量%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉
末(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.01g(約0.14重量%)、イソプロピルア
ルコール約5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキ
ルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3〕約0.003 g(約
0.05重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250
℃で約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。
なお該混合溶液の組成は表2に示す。
【0085】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が75°で極
端に悪く、耐候性試験後では接触角が46°と極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が60°と悪く、前記各実
施例より格段に劣り、撥水性能自体はもちろん、所期の
耐候性が優れる撥水性能を有するものとは全く言えない
ものであった。
【0086】比較例6 実施例2において、撥水層用の混合溶液を塗布した後、
その乾燥温度を約60℃とすること以外は、実施例2と同
様にした。該混合溶液の組成および評価結果は、表2に
示すとおりである。
【0087】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が112 °で
あり、耐候性試験後では接触角が44°となって極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が70°と悪く、前記各実
施例より劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能を有する
ものとは全く言えないものであった。
【0088】比較例7 実施例2において、撥水層用の混合溶液を塗布した後、
その乾燥温度を約350℃とすること以外は、実施例2と
同様にした。該混合溶液の組成および評価結果は、表2
に示すとおりである。
【0089】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が108 °で
あり、耐候性試験後では接触角が45°となって極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が70°と悪く、前記各実
施例より劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能を有する
ものとは全く言えないものであった。
【0090】比較例8 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0091】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約1g(シリコン化合物として約0.14重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.0035g(約0.05重量%)、イソプロピル
アルコール約5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアル
キルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3〕約1g(約14.
28 重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250
℃で約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。
なお該混合溶液の組成は表2に示す。
【0092】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が113 °で
極端に悪く、耐候性試験後では接触角が65°と極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が100 °と悪く、前記各
実施例より格段に劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能
を有するものとは全く言えないものであった。
【0093】比較例9 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0094】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約1g(シリコン化合物として約0.14重量
%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉末
(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.01g(約0.14重量%)、イソプロピルア
ルコール約4g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキ
ルシラン〔CF3(CF2)7 CH 2CH2Si(OMe)3〕約2.15g(約30
重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃で
約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。なお
該混合溶液の組成は表2に示す。
【0095】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が113 °で
極端に悪く、耐候性試験後では接触角が70°と極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が100 °と悪く、前記各
実施例より格段に劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能
を有するものとは全く言えないものであった。
【0096】比較例10 実施例2において、撥水層用の混合溶液組成を次のよう
に変えたこと以外は、実施例2と同様にした。
【0097】すなわち、シリコン化合物としてシリカゾ
ル(平均分子量:約3000、固形分濃度:1重量%)のエ
タノール溶液約0.32g(シリコン化合物として約0.05重
量%)、酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫微粉
末(粒径:約20nm)として商品名T-1〔三菱マテリアル
(株)製〕約0.01g(約0.16重量%)、イソプロピルア
ルコール約5g、ヘプタデカトリデシルフルオロアルキ
ルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3〕約1g(約15.8
重量%)からなる混合溶液を塗布し、その後約250 ℃で
約30分間乾燥することにより撥水性ガラスを得た。なお
該混合溶液の組成は表2に示す。
【0098】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約400nm であって、その凹凸の径は約400nm で
ある凹凸状表層を有するものの、初期接触角が113 °で
極端に悪く、耐候性試験後では接触角が70°と極端に悪
く、耐摩耗性試験後では接触角が100 °と悪く、前記各
実施例より格段に劣り、所期の耐候性が優れる撥水性能
を有するものとは全く言えないものであった。
【0099】比較例11 実施例2において、下地層の酸化物膜をディッピング法
により成膜する時の相対湿度を70%の環境としたこと以
外は実施例2と同様にした。
【0100】得られた酸化物膜は、表面における凸の間
の間隔が約600nm であって、その凹凸の径は約600nm で
ある凹凸状表層を有するものとなったが、これまでの実
施例や比較例に示した下地層が透明であったのに対し、
白濁した酸化物膜となった。そこで撥水層の成膜は中止
した。
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】以上記述したように、本発明の撥水性ガ
ラスおよびその製造方法によれば、手軽に容易な膜形成
手段でもって被膜を安価に効率よく得られ、光学特性を
損なうことなく、撥水性、膜質、密着性、硬さ、耐候性
等に優れるものとなり、ことに格段の撥水性能の優れた
耐候性を示すものとでき、建築用もしくは自動車用窓材
をはじめ、各種ガラス物品等に好適に採用できる、有用
な撥水性ガラスおよびその製造方法を提供するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 一郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 菅原 聡子 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 17/00 - 17/34

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板の表面に、マイクロピット状表
    層または凹凸状表層、あるいは凸状表層である酸化物膜
    が下地層としてあり、その上に撥水層がある撥水性ガラ
    スにおいて、該撥水層が少なくともフルオロアルキルシ
    ランと酸化アンチモンをドーパントとする酸化錫とシリ
    カからなることを特徴とする撥水性ガラス。
  2. 【請求項2】前記マイクロピット状表層または凹凸状表
    層、あるいは凸状表層における該マイクロピットまたは
    凹凸あるいは凸が、5〜500nmの径であることから
    成る酸化物膜を下地層としたことを特徴とする請求項1
    記載の撥水性ガラス。
  3. 【請求項3】前記酸化アンチモンをドーパントとする酸
    化錫粒子の粒径が100nm以下であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の撥水性ガラス
  4. 【請求項4】少なくともフルオロアルキルシラン0.1
    〜20重量%と、酸化アンチモンをドーパントとする酸
    化錫の粒子0.1〜2重量%と、シリコン化合物0.1
    〜2重量%と、水および有機溶媒からなる混合溶液を、
    酸化物膜を下地層として設けたガラス基板に塗布し、次
    いで100 〜300 ℃で焼き付けることを特徴とする
    撥水性ガラスの製造方法。
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