JP3410448B2 - ウインチの正転・逆転機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はウインチの正転・逆
転機構に関し、特に、林業用作業車のウインチドラムを
遠隔操作として作業性を改善し、さらに、遠隔操作装置
が故障した場合でも、手動操作に切り換えて運転可能と
したウインチの正転・逆転機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的に、倒木材を牽引する林業用作業
機は、エンジンからの出力をミッション装置を介してウ
インチドラムに伝達し、ワイヤロープに結束した倒木材
を牽引している。このミッション装置として使用される
ハイドロスタティックトランスミッション（ＨＳＴ）
は、可変容量ポンプと、油圧モータとの間に作動油を介
在させ、、閉回路を構成したものであり、エンジンから
の駆動力で可変容量ポンプを回転させると、可変容量ポ
ンプは、斜板の傾きに応じて作動油を吐出し、その吐出
油によって油圧モータを回転させて、ウインチドラムを
正転・逆転させる構成となっている。

【０００３】このようにしたハイドロスタティックトラ
ンスミッション（ＨＳＴ）では、可変容量ポンプの斜板
の傾きを調整することで、油圧モータの回転速度、すな
わちウインチドラムの回転を無段階的にコントロールす
ることができる。また、可変容量ポンプの斜板の傾きを
反対にすれば、その吐出方向を逆にすることもできる。
従って、油圧モータの正逆両方向に回転させて、ウイン
チドラムを正転・逆転することができる。また、一本の
コントロールレバーを動かすだけで、変速および正転・
逆転の転換が可能であり、速度の制御は、スムーズで、
応答性にも優れ、しかも無段変速なので、ギアチェンジ
がいらないという特徴を持っている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の手段として請求項１記載のウインチの正転・逆転機構
では、ハイドロスタティックトランスミッション（ＨＳ
Ｔ）を通して駆動力を得るウインチドラムと、ＨＳＴの
斜板の傾転角を制御してウインチドラムの正転・逆転を
操作する手動操作レバーと、手動操作レバーとＨＳＴを
接続するリンク機構を有したウインチの正転・逆転機構
であって、前記リンク機構にねじ軸、もしくはナットを
回転させると、ねじ軸上をナットがスライドする構成の
アクチュエータを配設し、手動操作レバーによるウイン
チドラム操作に加えて、アクチュエータの遠隔操作によ
るウインチドラム操作を可能とし、アクチュエータの遠
隔操作が不能となった場合に、アクチュエータの軸ねじ
またはナットを固定してリンク長を一定とし、手動操作
レバーによるウインチドラムの操作に切り換えて運転可
能とした。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の手段として本発明請求項１記載のウインチの正転・逆
転機構では、ハイドロスタティックトランスミッション
（ＨＳＴ）を通して駆動力を得るウインチドラムと、Ｈ
ＳＴの斜板の傾転角を制御してウインチドラムの正転・
逆転を操作する手動操作レバーと、手動操作レバーとＨ
ＳＴを接続するリンク機構を有したウインチの正転・逆
転機構であって、前記リンク機構に伸縮可能のアクチュ
エータを配設し、手動操作レバーによるウインチドラム
操作に加えて、アクチュエータの遠隔操作によるウイン
チドラム操作を可能とし、アクチュエータの遠隔操作が
不能となった場合に、アクチュエータを固定してリンク
長を一定とし、手動操作レバーによるウインチドラムの
操作に切り換えて運転可能とした。

【０００６】請求項２記載のウインチの正転・逆転機構
では、請求項１記載のウインチの正転・逆転機構におい
て、ワイヤロープを繰り出す方向へ回転させる操作時に
ウインチドラムの回転中に警報を発する、スイッチを所
定時間押した後にウインチドラムが回転を開始する、ス
イッチを押している間のみウインチドラムが回転する、
のいずれかを行なう構成とした。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図１はウインチの正転・逆転機構
の概略説明図、図２は本発明を適用した作業機の側面
図、図３は本発明を適用した作業機の平面図、図４は本
発明を適用した作業機の背面図である。一般的に倒木材
の牽引を行なう作業機１は図２〜図４に示すように、エ
ンジン等の外部出力から動力を受け入れるミッション装
置２と、ミッション装置２を介して駆動されるウインチ
ドラム３と、ウインチドラム３から繰り出されるワイヤ
ロープを有して構成されている。

【０００８】前記ウインチドラム３はハイドロスタティ
ックトランスミッション２ａ（ＨＳＴ）を経由してエン
ジンからの動力を受け、ワイヤロープの繰出し、巻取り
を行なう装置である。ウインチの正転・逆転機構は、図
１に示すように、エンジンから動力を得て出力するＨＳ
Ｔ２ａと、ＨＳＴの回転方向・出力の制御を行なうＨＳ
Ｔレバー４と、ＨＳＴレバー４に接続されたリンク機構
５と、リンク機構を操作する手動操作レバー６と、リン
ク機構５の中間部分に配設されたアクチュエータ７を主
要な構成としている。前記手動操作レバー６を操作する
と、その動きがリンク機構５（長さＬ）を介してＨＳＴ
レバー４に伝わり、ＨＳＴレバー４は内部の斜板の傾転
角を変化させ、流体（油）の流れを変え、ＨＳＴ２ａか
らの出力・回転方向を切り換える。

【０００９】前記リンク機構５にはアクチュエータ７が
配設され、このアクチュエータ７はねじ軸とナットの回
転を直線運動に変換する装置であり、電動モータによっ
てねじ軸、もしくはナットを回転させると、ねじ軸上を
ナットがスライドし、アクチュエータ全体が伸縮する構
成となっている。前記アクチュエータ７にはコードまた
は無線装置が配置され、コードあるいは無線装置を操作
して遠隔操作が可能となっている。

【００１０】遠隔操作によりアクチュエータ制御を行な
う場合には、手動操作レバー６を動かないように固定
し、無線装置等によりアクチュエータ７を伸縮させる。
すると、アクチュエータ７の伸縮に伴って、リンク機構
全体の長さ（Ｌ）が変動し、それがＨＳＴレバー４を傾
動させ、斜板の傾転角を変化させる。ハイドロスタティ
ックトランスミッション２ａでは、斜板の傾転角の変化
により、出力、回転方向が切換わる、このように、ＨＳ
Ｔレバー４の動作のみにより出力の制御、正転・逆転が
行なわれるので、アクチュエータ７の伸縮のみで、細か
な制御が行なわれる。

【００１１】ここで、アクチュエータ７に故障が発生し
た場合には、アクチュエータ７を固定してリンク機構
（Ｌ）の長さを一定とし、手動操作レバー６によるウイ
ンチドラム３の操作に切り換える。アクチュエータ７の
長さに支障がある場合には、アクチュエータ７の軸ねじ
またはナットを工具等で回転させて、元の長さに戻して
固定する。このように、アクチュエータ７はリンク機構
上に設置されているので、遠隔操作が不能となった場合
でも、長さを固定すれば、手動操作には影響なく作業を
続けることができる。

【００１２】ところで、ウインチドラム３の操作におい
ては、倒木材の牽引時にはワイヤロープが張力をもって
巻取られるので、ワイヤロープのもつれ、からまりが発
生する恐れはない。しかし、ワイヤロープを繰り出す際
（逆転）には、ワイヤロープはプッシュができないの
で、ウインチドラムは回るがワイヤロープは送出されず
に滞留して、もつれてくるおそれがある。また、オペレ
ータが逆転にスイッチを入れたまま忘れてしまうと、繰
り出されたワイヤロープがからまり、故障する恐れがあ
る。このような問題を防止するため、本発明のウインチ
の正転・逆転機構には、ワイヤロープを繰り出す方向へ
回転させる操作時にウインチドラムの回転中に警報を発
する、または、スイッチを所定時間押した後にウインチ
ドラムが回転を開始する、または、スイッチを押してい
る間のみウインチドラムが回転する、のいずれかの機能
を設置している。

【００１３】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定される
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更
等があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形
態においてはハイドロスタティックトランスミッション
２ａを使用する場合について説明したが、他のミッショ
ン装置に適用することも可能である。

【００１４】

【発明の効果】以上説明してきたように請求項１記載の
ウインチの正転・逆転機構においては、ハイドロスタテ
ィックトランスミッション（ＨＳＴ）を経由して駆動力
を得るウインチドラムと、ＨＳＴの斜板の傾転角を制御
してウインチドラムの正転・逆転を操作する手動操作レ
バーと、手動操作レバーとＨＳＴを接続するリンク機構
を有したウインチの正転・逆転機構であって、前記リン
ク機構に伸縮可能のアクチュエータを配設し、手動操作
レバーによるウインチドラム操作に加えて、アクチュエ
ータの遠隔操作によるウインチドラム操作を可能とし、
アクチュエータの遠隔操作が不能となった場合に、アク
チュエータを固定してリンク長を一定とし、手動操作レ
バーによるウインチドラムの操作に切り換えて運転可能
としたので、遠隔操作が故障した場合でも、アクチュエ
ータの長さを固定することによって、手動操作には影響
が無く作業を続けることができる。

【００１５】請求項２記載のウインチの正転・逆転機構
においては、ワイヤロープの繰り出し操作時に、ウイン
チドラムの回転中に警報を発する、スイッチを所定時間
押した後にウインチドラムが回転を開始する、スイッチ
を押している間のみウインチドラムが回転する、のいず
れかの機構を備えたので、オペレータの誤動作によるワ
イヤロープのからまりを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ウインチの正転・逆転機構の概略説明図であ
る。

【図２】本発明を適用した作業機の側面図である。

【図３】本発明を適用した作業機の平面図である。

【図４】本発明を適用した作業機の背面図である。

【符号の説明】

１ 作業機 ２ ミッション装置 ２ａ ハイドロスタティックトランスミッション（ＨＳ
Ｔ） ３ ウインチドラム ４ ＨＳＴレバー ５ リンク機構 ６ 手動操作レバー ７ アクチュエータ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66D 1/00 - 1/82

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハイドロスタティックトランスミッショ
   ン（ＨＳＴ）を通して駆動力を得るウインチドラムと、 ＨＳＴの斜板の傾転角を制御してウインチドラムの正転
   ・逆転を操作する手動操作レバーと、 手動操作レバーとＨＳＴを接続するリンク機構を有した
   ウインチの正転・逆転機構であって、 前記リンク機構にねじ軸、もしくはナットを回転させる
   と、ねじ軸上をナットがスライドする構成のアクチュエ
   ータを配設し、 手動操作レバーによるウインチドラム操作に加えて、ア
   クチュエータの遠隔操作によるウインチドラム操作を可
   能とし、 アクチュエータの遠隔操作が不能となった場合に、 アクチュエータの軸ねじまたはナットを固定してリンク
   長を一定とし、手動操作レバーによるウインチドラムの
   操作に切り換えて運転可能としたことを特徴とするウイ
   ンチの正転・逆転機構。
2. 【請求項２】 ワイヤロープの繰り出し操作時に、ウイ
   ンチドラムの回転中に警報を発する、スイッチを所定時
   間押した後にウインチドラムが回転を開始する、スイッ
   チを押している間のみウインチドラムが回転する、のい
   ずれかを行なうことを特徴とする請求項１記載のウイン
   チの正転・逆転機構。