JP3409851B2 - Dc−dcコンバータ - Google Patents

Dc−dcコンバータ

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JP3409851B2
JP3409851B2 JP2001157608A JP2001157608A JP3409851B2 JP 3409851 B2 JP3409851 B2 JP 3409851B2 JP 2001157608 A JP2001157608 A JP 2001157608A JP 2001157608 A JP2001157608 A JP 2001157608A JP 3409851 B2 JP3409851 B2 JP 3409851B2
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利幸 山岸
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Sanken Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直流電圧を断続す
るためのスイッチのZVS(ゼロボルトスイッチング)
を行うことができる直流−直流変換器即ちDC−DCコ
ンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】直流電源の一端と他端との間にトランス
の1次巻線とスイッチとの直列回路を接続し、トランス
の2次巻線に整流平滑回路を接続し、且つスイッチに並
列に部分共振用コンデンサを接続したフライバック型D
C−DCコンバータは公知である。この種のフライバッ
ク型DC−DCコンバータでは、スイッチのオン期間に
トランスにエネルギが蓄積され、スイッチのオフ期間に
トランスの蓄積エネルギが負荷側に放出される。スイッ
チのターンオフ時には、部分共振用コンデンサの電圧が
徐々に上昇するので、ZVSが達成される。これに対し
て、スイッチのターンオン時に部分共振用コンデンサに
電荷が残っている場合には、この電荷がスイッチを介し
て放電するために電力損失が生じる。この電力損失を低
減するためにスイッチのターンオン前に部分共振用コン
デンサの蓄積エネルギの放出を行う方法が知られてい
る。スイッチのターンオン時における典型的なZVSの
方法では、スイッチのオフ期間において、スイッチのオ
ン時にトランスに蓄積されたエネルギの放出が終了した
後に1次巻線のインダクタンスと共振用コンデンサとの
共振によって共振用コンデンサの電荷を放出させ、共振
用コンデンサの電圧即ちスイッチの電圧が実質的に零に
なった時にスイッチをオン状態に制御する。この結果、
スイッチのターンオン時の零電圧スイッチング即ちZV
Sが達成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、DC−DC
コンバータの入力電圧が100V〜230Vのように大
幅に変化する場合においては、入力電圧が高い時にスイ
ッチのオン時間幅が狭くなり、トランスの蓄積エネルギ
が小さくなり、この放出時間も短くなる。このため、蓄
積エネルギの放出終了後に、共振用コンデンサと1次巻
線とからなる共振回路に振動電流が繰返して流れ、スイ
ッチのターンオン時に共振用コンデンサの電荷が零にな
るとは限らない。この結果、スイッチのターンオンがZ
VSとならずにスイッチング損失が大きくなり、DC−
DCコンバータの効率が低下することがある。上述のよ
うな問題は負荷が大幅に変化するDC−DCコンバータ
において、軽負荷になった時においても生じる。
【0004】そこで、本発明の目的は、スイッチのオン
時間幅の変化に拘らずスイッチのターンオン時とターン
オフ時との両方でZVSを行うことができるDC−DC
コンバータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し、上記
目的を達成するたの本発明は、負荷に直流電力を供給す
るためのDC−DCコンバータであって、流電圧を供給
するための第1及び第2の直流電源端子と、互いに電磁
結合された1次巻線と2次巻線と3次巻線と4次巻線と
を有するトランスと、前記2次巻線に接続された整流平
滑回路と、第1及び第2のスイッチと、前記第1のスイ
ッチに並列に接続されたコンデンサ又は寄生容量から成
る共振用キャパシタンス手段と、共振用インダクタ又は
前記トランスの漏れインダクタンスから成る共振用イン
ダクタンス手段と、第1及び第2のダイオードと、スイ
ッチ制御回路とを有し、前記1次巻線の一端は前記第1
の直流電源端子に接続され、前記第1のスイッチは前記
1次巻線の他端と前記第2の直流電源端子との間に接続
され、前記3次巻線と前記4次巻線と前記共振用インダ
クタンス手段と前記第1のダイオードと前記第2のスイ
ッチとは互いに直列に接続され且つ前記1次巻線と前記
第1のスイッチとの直列回路に対して並列に接続され、
前記第1のダイオードは前記第1及び第2の直流電源端
子から供給される直流電圧によって順方向バイアスされ
る方向性を有し、前記第2のダイオードは前記第1及び
第2の直流電源端子から供給される直流電圧によって逆
バイアスされる方向性を有し且つ前記4次巻線と前記共
振用インダクタンス手段と前記第1のダイオードと前記
第2のスイッチとから成る直列回路に対して並列に接続
され、前記スイッチ制御回路は前記第1のスイッチをオ
ン・オフ制御する第1の制御信号を発生すると共に、前
記第2のスイッチをオン・オフ制御する第2の制御信号
を発生するものであり、前記第2の制御信号は、前記第
1のスイッチのオン開始時点(t1)よりも前の時点
(t0)で前記第2のスイッチのオン制御を開始し、前
記第1のスイッチのオン終了時点(t5)又はこのオン
終了時点(t5)よりも前の時点(例えばt4)で前記第
2のスイッチのオン制御を終了させるものであるあるこ
とを特徴とするDC−DCコンバータに係わるものであ
る。
【0006】なお、請求項2に示すように第1のスイッ
チに並列にダイオードを接続することが望ましい。ま
た、請求項3に示すように、整流平滑回路を、整流用ダ
イオードと平滑用コンデンサとで構成し、第1のスイッ
チのオフ期間に2次巻線に得られる電圧で整流用ダイオ
ードが導通するように構成することができる。また、請
求項4に示すように、3次巻線及び4次巻線の極性を、
1次巻線と同一に構成することが望ましい。また、制御
回路を、請求項5又は6に示すように構成することが望
ましい。
【0007】
【発明の効果】各請求項の発明によれば、第2のスイッ
チによって共振用コンデンサの電荷を強制的に放出して
第1のスイッチの電圧を零ボルトにすることができるの
で、第1のスイッチのターンオン時の零電圧スイッチン
グ即ちZVSを安定的に達成することができる。この結
果、第1のスイッチのターンオン時とターンオフ時の両
方のZVSを行うことができ、DC−DCコンバータの
効率を向上させることができる。また、第1のスイッチ
のオン時間幅が変化しても共振用コンデンサが第2のス
イッチに依存して強制的に放電されるので、第1のスイ
ッチのターンオン時のZVSを行うことができる。ま
た、第2のスイッチのターンオン時には零電流スイッチ
ング即ちZCSとなり、このターンオフ時にはZVSと
なるので、第2のスイッチを設けることによる電力損失
の増大を抑えることができる。また、請求項5及び6の
発明によれば、制御回路を簡単な構成にすることができ
る。
【0008】
【実施形態】次に、図1〜図6を参照して本発明の実施
形態を説明する。
【0009】
【第1の実施形態】本発明の第1の実施形態に従う図1
に示すフライバック型DC−DCコンバータは、例えば
整流平滑回路から成る直流電源Ei に接続された第1及
び第2の直流電源端子1a、1bと、互いに電磁結合さ
れた1次巻線N1 と2次巻線N2 と3次巻線N3 と4次
巻線N4 とを有するトランスTと、FETから成る第1
のスイッチとしての主スイッチQ1 と、主コンデンサと
呼ぶこともできる共振用コンデンサC1 と、第1の主ダ
イオードD1 と、2次巻線N2 と出力端子2a、2bと
の間に接続された整流平滑回路3と、スイッチ制御回路
4と、FETから成る第2のスイッチとしての補助スイ
ッチQ2 と、第2の主ダイオードD2 と、共振用インダ
クタンス手段としての共振用インダクタL1 と、第1及
び第2の補助ダイオードDa 、Dbとを有している。な
お、本願の特許請求の範囲では、第1及び第2の補助ダ
イオードDa 、Dbを第1及び第2のダイオードと言
い,第1の主ダイオードD1を第3のダイオードと言っ
ている。トランスTの1次巻線N1 、2次巻線N2 、3
次巻線N3 及び4次巻線N4 は磁気コアFに巻き回さ
れ、これらの極性は図1で黒丸で示すように設定されて
いる。即ち、2次巻線N2 の極性は1次巻線N1 の極性
と逆である。また、3次巻線N3 及び4次巻線N4の極
性は電源Eiの電圧を基準にして、1次巻線N1の極性と
同一である。また、図1の実施形態では1次巻線N1と
3次巻線N3の巻数は同一であり、4次巻線N4の巻数は
1次巻線N1と3次巻線N3の巻数に比べ少なく設定して
ある。この理由はスイッチQ2の耐圧の問題であって、
N4をN1やN3と同じ巻数にすると、 Vq2=Vq1+(N4/N3)Ei の関係からスイッチQ2にはスイッチQ1に印加される
電圧の約2倍近い電圧がかかる。その為スイッチ素子の
耐圧の許容できる範囲に巻数を調整する。AC100V
系では巻線N4は巻線N1、N3と同じであってもあまり
問題はないが、ワ−ルドワイド用のAC200V系は、
巻線N4 の巻数を巻線N3の巻数の20%〜50%程度
に決定するのが望ましい。
【0010】1次巻線N1 の一端は第1の直流電源端子
1aに接続されている。第1のスイッチQ1は1次巻線
N1 の他端とグランド側の第2の直流電源端子1bとの
間に接続されている。主コンデンサ又は部分共振用コン
デンサ又はスナバ用コンデンサとも呼ぶことができる共
振用コンデンサC1 及び第1の主ダイオードD1 は、主
スイッチQ1 に並列に接続されている。なお、第1の主
ダイオードD1 は電源Eiの電圧で逆バイアスされる方
向性を有している。また、共振用コンデンサC1を主ス
イッチQ1 の主端子間即ちドレイン・ソース間の寄生容
量とすることができる。また、逆方向電流を流すための
第1の主ダイオードD1 は主スイッチQ1 の内蔵又は寄
生ダイオードとすることができる。整流平滑回路3は、
整流用ダイオードDo と平滑用コンデンサCo とから成
る。平滑用コンデンサCo は整流用ダイオードDo を介
して2次巻線N2 に並列に接続されている。2次巻線N
2の極性は1次巻線N1 の極性と逆であるので、1次巻
線N1 に電源Ei の電圧が印加されている時には、整流
用ダイオードDo が非導通状態に保たれ、主スイッチQ
1のオフ期間にトランスT1 の蓄積エネルギの放出で発
生する2次巻線N2の電圧で整流用ダイオードDo が導
通し、平滑用コンデンサCo を充電し、出力端子2a、
2b間の負荷Ro に電力を供給する。
【0011】3次巻線N3と4次巻線N4 と共振用イン
ダクタL1 と第1の補助ダイオードDa と補助スイッチ
Q2 とは互いに直列に接続されて共振補助回路を形成し
ている。この補助回路は、1次巻線N1と主スイッチQ1
との直列回路及び電源Eiに対してそれぞれ並列に接続
されている。第1の補助ダイオードDaは電源Eiの電圧
で順方向バイアスされる方向性を有する。補助スイッチ
Q2に並列に第2の主ダイオードD2が接続されている。
なお、第2の主ダイオードD2 を補助スイッチQ1 の内
蔵即ち寄生ダイオードとすることができる。第2の補助
ダイオードDbは、N4 −L1 −Da −Q2 から成る補
助回路に対して並列に接続されている。第2の補助ダイ
オードDbは電源Eiの電圧によって逆方向バイアスされ
る方向性を有する。スイッチ制御回路4は出力端子2
a、2bと主スイッチQ1 の制御端子即ちゲートと補助
スイッチQ2 の制御端子即ちゲートに接続され、主スイ
ッチQ1 に図3(A)に示す第1の制御信号Vg1を送
り、補助スイッチQ2 に図3(B)に示す第2の制御信
号Vg2を送る。
【0012】図1の制御回路4は、図2に示すように電
圧検出回路11と、差動増幅器12と、基準電圧源13
と、比較用波形発生器としての三角波発生器14と、第
1の比較器15と、レベル設定回路16と、第2の比較
器17と、タイマとしてのモノマルチバイブレータ(M
MV)18とから成る。電圧検出回路11は出力端子2
a、2b間の電圧を検出し、この検出値を差動増幅器1
2に送る。差動増幅器12は前記検出値と基準電圧源1
3の基準電圧との差に相当する差電圧即ち第1の電圧V
1を第1の比較器15に送る。従って、電圧検出回路1
1と差動増幅器12と基準電圧源13とで第1の電圧V
1を得るための出力電圧検出手段が構成されている。第
1の比較器15は図4に示すように差電圧V1と三角波
発生器14の20〜150kHz程度の繰返し周波数を
有する三角波電圧Vtとを比較して図4(B)に示すP
WMパルスを形成し、これを第1の制御信号Vg1とし
て主スイッチQ1のゲートに送る。なお、三角波発生器
14の代りに比較用波形として鋸波電圧を発生する鋸波
発生器を使用することができる。レベル設定回路16は
差動増幅器12の出力電圧V1を抵抗R1,R2で分割
し、差動増幅器12の出力電圧V1よりも僅かに低いレ
ベルの第2の電圧V2を出力する。従って、レベル設定
回路16が第2の電圧V2を得るための手段として機能
している。第2の比較器17は三角波発生器14の三角
波電圧Vtとレベル設定回路16の出力電圧V2とを比
較して第1の比較器15のPWMパルスよりも僅かに広
いパルスを図4(C)に示すように形成する。第2の比
較器17の出力パルスの立上り時点t0は第1の比較器
15の出力パルスの立上り時点t1よりも少し前であ
る。MMV18は第2の比較器17の出力パルスの立上
りでトリガされて図4(D)のパルスを形成する。図4
(D)のt0〜t4期間に示すパルスは、図3(B)のt
0〜t4期間のパルスと同一のものを示す。MMV18の
出力パルスの立下り時点即ち補助スイッチQ2のオン終
了時点を、主スイッチQ1のオン終了時点t5まで延長
させることができる。要するに、補助スイッチQ2は遅
くともt5時点でオフに制御される。図4(D)のパル
スは補助スイッチQ2のゲ−トに送られる。
【0013】次に、図1のコンバータの動作を図3及び
図4の波形図を参照して説明する。なお、説明を容易に
するために電流経路を回路要素の参照符号のみで示すこ
ともある。 (t0以前及びt6〜t7期間)図3のt0よりも前の
期間及びt6〜t7期間においては、主スイッチQ1と
補助スイッチQ2との両方がオフである。この期間では
主スイッチQ1がオンの時にトランスT1に蓄積された
エネルギの放出に基づいて2次巻線N2にダイオードD
0を順方向バイアスする向きの電圧が発生し、図3
(G)に示すようにダイオードD0が導通状態となり、
平滑用コンデンサC0の充電及び負荷R0への電力供給が
生じる。
【0014】(t0〜t1期間)補助スイッチQ2がオ
ン状態になるt0時点から主スイッチQ1がオン状態に
なるt1時点までのt0〜t1期間では、共振動作によ
って共振用コンデンサC1の電荷が放出され、この電圧
即ち主スイッチQ1の電圧Vq1が零に向って徐々に低
下する。即ち、t0〜t1期間では、補助スイッチQ2
がオンになるので、電源Ei−3次巻線N3−4次巻線
N4−共振用インダクタL1−第1の補助ダイオードD
a−補助スイッチQ2から成る第1の経路の電流と、共
振用コンデンサC1−1次巻線N1−3次巻線N3−4次
巻線N4−共振用インダクタL1−第1の補助ダイオー
ドDa−補助スイッチQ2から成る第2の経路の電流と
が流れる。3次巻線N3及び4次巻線N4に第1の経路
の電流が流れると、2次巻線N2に整流用ダイオードD0
を逆バイアスする方向の電圧が発生するので、このダイ
オードD0は非導通に転換し、図3(G)に示すように
ダイオードD0の電流Id0は零になる。これにより、共
振用コンデンサC1の放電が可能になり、共振用コンデン
サC1の放電電流が流れ、主スイッチQ1のドレイン・
ソ−ス間電圧Vq1が図3(C)に示すように徐々に低
下し、t1時点で実質的に零になる。なお、補助スイッ
チQ2に直列にインダクタンスL1が接続されているの
で、補助スイッチQ2の電流Iq2は図3(F)に示す
ように、t0から徐々に増大する。この結果、補助スイ
ッチQ2の零電流スイッチングが達成される。
【0015】(t1〜t2期間)t1〜t2期間の開始
時点t1で主スイッチQ1をオン制御すると、t1時点
では主スイッチQ1の電圧Vq1が実質的に零であるの
で、ZVSが達成され、主スイッチQ1のスイッチング
損失が小さくなる。このt1〜t2期間では、前のt0
〜t1期間で共振用インダクタL1に蓄積されたエネル
ギの放出に基づき、共振用インダクタL1−第1の補助
ダイオードDa−補助スイッチQ2−第1の主ダイオード
D1又は主スイッチQ1−1次巻線N1−3次巻線N3
−4次巻線N4の経路で電流が流れる。また、このt1
〜t2期間には、共振用インダクタL1−第1の補助ダ
イオードDa−補助スイッチQ2−電源Ei−3次巻線N
3−4次巻線N4の経路にも電流が流れ、更に、L1−
Da−Q2−Db−N4の経路の電流も流れる。なお、図
3(D)の電流Iq1は、主スイッチQ1の電流と第1
の主ダイオードD1の電流との合計を示す。従って、第
1の主ダイオードD1を通って電流が流れている時には
電流Iq1が負になる。t1〜t2期間に3次巻線N3
及び4次巻線N4に電流が流れた時に、2次巻線N2に
は整流用ダイオードD0を逆バイアスする向きの電圧が
誘起する。従って、トランスTから負荷R0への電力供
給が阻止され、トランスTにエネルギが蓄積される。即
ち、インダクタL1から放出されたエネルギはトランス
Tに蓄積される。
【0016】(t2〜t3期間)t2時点で第1の主ダ
イオードD1及び第2の補助ダイオードDbの順バイア
ス状態を維持することができなくなると、L1−Da−
Q2−D1−N1−N3−N4の経路の電流が零になり、且
つL1−Da−Q2−Db−N4の経路の電流Idbも零
になる。従って、共振用インダクタL1の残りのエネル
ギはt2〜t3期間にL1−Da−Q2−Ei−N3−N4
の経路で放出される。主スイッチQ1はt1時点から既
にオン制御されているので、t2〜t3期間にはEi−
N1−Q1の経路で主スイッチQ1の正方向の電流Iq
1が流れる。この時、整流ダイオードD0は非導通であ
るから、インダクタンスを有するトランスTに対するエ
ネルギの蓄積が生じる。
【0017】(t3〜t4期間)t3〜t4期間は、図
3(F)に示す補助スイッチQ2の電流Iq2が零にな
った時点t3から補助スイッチQ2がターンオフ制御さ
れる時点t4までの期間に相当する。t3〜t4期間で
は補助スイッチQ2のオン制御が維持されているが、第
1の補助ダイオードDaが逆バイアス状態に保たれてい
るので、補助スイッチQ2を通る電流Iq2は流れな
い。従って、t3〜t4期間には、Ei−N1−Q1の
経路の電流Iq1のみが流れ、トランスTに対するエネ
ルギの蓄積動作が生じる。補助スイッチQ2のオン終了
時点は、主スイッチQ1のオン開始時点t1とオン終了時
点t5との間に設定される。なお、補助スイッチQ2の
好ましいオン終了時点は、図3のt3〜t5期間内であ
る。また、補助スイッチQ2のオン開始時点t0は、共
振動作によって主スイッチQ1の電圧Vq1を主スイッ
チQ1のオン開始時点t1において実質的に零にするこ
とができるように決定する。即ち、t0〜t1期間は、
共振用コンデンサC1の実質的に全電荷を放出するために
必要な時間に決定する。主スイッチQ1の電圧Vq1が
t0時点の値からt1時点の値に変化する時間長は共振
回路の回路定数によって決まる。図2のレベル設定回路
16は、図3のt0〜t1期間を得ることができるよう
に第2の比較器17の入力レベルを設定するものであ
る。主スイッチQ1のタ−ンオン時点は、この電圧Vq1
が零になる時点t1からt2時点までの期間内の任意の
時点であることが望ましい。ここで、t2時点は第1の
主ダイオ−ドD1の導通状態が終了する時点である。共
振用コンデンサC1の電圧が零になり且つ第1の主ダイ
オ−ドD1が導通している期間t1〜t2は主スイッチQ1
の電圧Vq1が実質的に零であるので、この期間t1〜t
2に主スイッチQ1にゲ−ト信号Vg1を印加すると、Z
VSが達成される。図3では主スイッチQ1のゲ−ト信
号Vg1をt1時点で印加しているが、ゲ−ト信号Vg1
の発生時点のバラツキを考慮して、t1時点とt2時点と
のほぼ中間時点でゲ−ト信号Vg1を低レベルから高レ
ベルの転換させることが望ましい。但し、主スイッチQ
1のオン制御開始時点がこの電圧Vq1が零になるt1よ
りも前であっても、この電圧Vq1がt0時点から低下を
開始した後であれば、この電圧Vq1が低下している分
だけスイッチング損失の低減効果を得ることができる。
また、主スイッチQ1のオン制御開始時点が、t2よりも
少し後であってもスイッチング損失低減効果を得ること
ができる。即ち、もし、t2で主スイッチQ1がオンにな
らないために、共振用コンデンサC1の充電が開始した
としても、この電圧がt0時点の主スイッチQ1の電圧
Vq1よりも低い範囲であれば、この低い分だけスイッ
チング損失が低減する。従って、主スイッチQ1のオン
制御開始の可能な時点は、補助スイッチQ2をオン制御
した時点t0よりも後であり且つ主スイッチQ1の電圧
Vq1がt0時点の主スイッチQ1の電圧Vq1よりも低
くなっている期間内の任意の時点である。図3におい
て、補助スイッチQ2のオフ制御終了時点は、図3
(F)に示す補助スイッチQ2の電流Iq2が零になる時
点t3よりも後のt4であるので、補助スイッチQ2のタ
−ンオフ時の零電流スイッチングが達成され、補助スイ
ッチQ2の電力損失が小さくなる。
【0018】(t4〜t5期間)t4〜t5期間におい
ては、前のt3〜t4期間と同様に電源Ei−1次巻線N1
−主スイッチQ1の経路で電流Iq1が流れ、トランスT1
にエネルギが蓄積される。なお、1次巻線N1はインダク
タンスを有するので、1次巻線N1の電流は時間と共に増
大する。このt4〜t5期間では整流ダイオードD0が
非導通であり、負荷R0には平滑用コンデンサC0から電
力が供給される。
【0019】(t5〜t6期間)t5〜t6期間は主ス
イッチQ1のターンオフの過渡期間である。t5時点で
主スイッチQ1をターンオフ制御し、これがオフ状態に
なると、共振用コンデンサC1が徐々に充電され、この
電圧及び主スイッチQ1の電圧Vq1が図3(C)に示す
ように徐々に上向する。この結果,主スイッチQ1のタ
ーンオフ時のZVSが達成され,スイッチング損失が低
減する。また、ターンオフ時のノイズが抑制される。な
お、t5〜t6期間においてトランスTの蓄積エネルギ
の放出が徐々に開始し、整流用ダイオードD0の電流Id0
が図3(G)に示すように流れ始める。t6〜t7期間
はt1の直前の期間と同様な期間である。従って、t7
時点から後にt0〜t7期間と同一の動作が繰返され
る。
【0020】出力端子2a,2b間の電圧が、例えば、
目標値よりも高くなると、図4(A)に示す差動増幅器
12の出力電圧V1及びレベル設定回路16の出力電圧
V2が高くなり、比較器15,17の出力パルスの幅が
狭くなる。第1の比較器15の出力パルスの幅が狭くな
ると、主スイッチQ1のデューティ比が小さくなり、ト
ランスTを介して負荷Roに供給される電力が少なくな
る。出力電圧が目標値よりも低くなった時には、上記の
高くなった時と逆の動作になる。
【0021】本実施形態のDC−DCコンバータによれ
ば、次の効果を得ることができる。 (1) 比較的簡単な回路によって主スイッチQ1のタ
ーンオフ時とターンオン時との両方のZVSが達成さ
れ、また、補助スイッチQ2のターンオフ時のZVSと
ターンオン時の零電流スイッチ(ZCS)が達成され
る。この結果、DC−DCコンバータの電力損失が小さ
くなり、効率を高めることができる。また、主スイッチ
Q1及び補助スイッチQ2の放熱装置を小型化にするこ
とができる。 (2) 主スイッチQ1のオン時間幅が狭くなってもZ
VSを安定的に達成することができる。即ち、補助スイ
ッチQ2を主スイッチQ1のオンに先立ってオンにして
共振用コンデンサC1の電荷を強制的に放出させ、しか
る後、主スイッチQ1をオンにするので、共振用コンデ
ンサC1の電荷の大小及びトランスTの蓄積エネルギの
放出終了時点の変化に無関係に主スイッチのターンオン
時のZVSが可能になる。 (3) 補助スイッチQ1によって共振用コンデンサC
1を強制的に放出させ、主スイッチQ1の電圧Vq1を
零にし、この状態で主スイッチQ1をターンオン制御す
るので、電源Eiの電圧の変化又は負荷Ro変化による
主スイッチQ1の制御パルスの幅の変化に拘らず、主ス
イッチQ1のターンオン時のZVSを確実に達成するこ
とができる。 (4) 図2に示すように、三角波発生器14と第1の
比較器15とから成る一般的なPWMパルス形成回路
に、レベル設定回路16と第2の比較器17とMMV1
8とを付加するという簡単な構成によって補助スイッチ
Q2を制御することができる。
【0022】
【第2の実施形態】次に、図5及び図6を参照して第2
の実施形態のDC−DCコンバータを説明する。第2の
実施形態のDC−DCコンバータは、図1の第1の実施
形態のDC−DCコンバータの制御回路4を変形した制
御回路4aを設け、この他は図1と同一に構成したもの
である。従って、制御回路4a以外は、図1を参照し且
つこの説明を省略する。また、第2の実施形態の制御回
路4aを示す図5において図2の制御回路4と実質的に
同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略す
る。
【0023】図5の第1及び第2の比較器15,17の
入出力は図6(A)(B)(C)に示す通りであり、図
4(A)(B)(C)に示すものと同一である。第1の
前縁検出回路21は図6(B)に示す第1の比較器15
の出力パルスの前縁即ち立上りに応答して図6(D)の
t1時点に示す第1のトリガパルスP1を出力するもの
である。第1の後縁検出回路22は図6(B)に示す第
1の比較器15の出力パルスの後縁即ち立下がりに応答
して図6(E)のt4時点に示す第2のトリガパルスP
2を出力するものである。第2の前縁検出回路23は図
6(C)に示す第2の比較器17の出力パルスの前縁に
応答して図6(F)のt1時点に示す第3のトリガパル
スP3を出力するものである。第2の後縁検出回路24
は図6(C)に示す第2の比較器17の出力パルスの後
縁に応答して図6(G)のt5時点に示す第4のトリガ
パルスP4を出力するものである。第1のRSフリップ
フロップは、第1の前縁検出回路21に接続されたセッ
ト端子Sと第2の後縁検出回路24に接続されたリセッ
ト端子Rとを有し、第1のトリガパルスP1に応答して
セット状態となり、第4のトリガパルスP4に応答して
リセット状態となり、図6(H)のt1〜t5に示すパ
ルスから成る第1の制御信号Vg1を形成し、図1の主
スイッチQ1に送るものである。第2のRSフリップフ
ロップ26は、第2の前縁検出回路23に接続されたセ
ット端子Sと第1の後縁検出回路22に接続されたリセ
ット端子Rとを有し、第3のトリガパルスP3に応答し
てセット状態となり、第2のトリガパルスに応答してリ
セット状態となって、図6(I)のt0〜t4に示すパル
スから成る第2の制御信号Vg2を補助スイッチQ2に
送るものである。
【0024】図1の主スイッチQ1は、図6(H)の第
1の制御信号Vg1に応答してオン・オフし、補助スイ
ッチQ2は図6(I)の第2の制御信号Vg2に応答し
てオン・オフする。
【0025】図6(H)(I)の第1及び第2の制御信
号Vg1,Vg2の相互間の時間関係は図4(B)
(D)のパルスの相互間の時間関係と同一になるので、
図5の制御回路4aによっても図2の制御回路4と実質
的に同一に主スイッチQ1、補助スイッチQ2を制御す
ることができる。このため、第2の実施形態によっても
第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。ま
た、第2の実施形態は、第2の制御信号Vg2のパルス
幅が第1の制御信号Vg1のパルス幅に連動して変化す
るので、第2の制御信号Vg2のパルス幅に拘束されず
第1の制御信号Vg1のパルス幅を自由に決定すること
ができるという効果を有する。
【0026】
【変形例】本発明は上記実施形態に限定されるものでな
く、例えば、次の変形が可能なものである。 (1) 主スイッチQ1及び補助スイッチQ2とのいずれ
か一方又は両方をFET以外のバイポ−ラトランジス
タ、IGBT(絶縁ゲ−ト型バイポ−ラ・トランジス
タ)等の別の半導体スイッチ素子とすることができる。 (2) インダクタL1を省き、この代わりに3次巻線N
3及び4次巻線N4を1次巻線N1に対して疎結合させ
て漏れインダクタンスを大きくし、3次巻線N3と4次
巻線N4とのいずれか一方のインダクタンスを共振用イ
ンダクタンスとすることができる。 (3) 図1では、1次巻線N1と3次巻線N3と4次巻
線N4とを同一巻数としたが、これ等の相互間の巻数比
を変えることができる。例えば、1次巻線N1と3次巻
線N3との巻数を同一に保ち、4次巻線N4の巻数を3
次巻線N3と異なる値にすることができる。 (4) 主スイッチQ1がオンの時に整流用ダイオードD
oがオンになるフオワ−ド型DC−DCコンバータにも
本発明を適用することができる。 (5) 電圧検出回路11の出力を第1の比較器15及
びレベル設定回路16に差動増幅器12を介さずに接続
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う第1の実施形態のDC‐DCコン
バ−タを示す回路図である。
【図2】図1の制御回路を詳しく示すブロック図であ
る。
【図3】図1のDC−DCコンバ−タの各部の電圧及び
電流を概略的に示す波形図である。
【図4】図2の各部の電圧を示す波形図である。
【図5】第2の実施形態のDC−DCコンバ−タの制御
回路を示す回路図である。
【図6】図5の各部の電圧を示す波形図である。
【符号の説明】
N1、N2、N3、N4 1次、2次、3次、及び4次巻
線 Q1 主スイッチ Q2 補助スイッチ C1 共振用コンデンサ L1 共振用インダクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 3/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負荷に直流電力を供給するためのDC−
    DCコンバータであって、直流電圧を供給するための第
    1及び第2の直流電源端子と、互いに電磁結合された1
    次巻線と2次巻線と3次巻線と4次巻線とを有するトラ
    ンスと、前記2次巻線に接続された整流平滑回路と、第
    1及び第2のスイッチと、前記第1のスイッチに並列に
    接続されたコンデンサ又は寄生容量から成る共振用キャ
    パシタンス手段と、共振用インダクタ又は前記トランス
    の漏れインダクタンスから成る共振用インダクタンス手
    段と、第1及び第2のダイオードと、スイッチ制御回路
    とを有し、 前記1次巻線の一端は前記第1の直流電源端子に接続さ
    れ、 前記第1のスイッチは前記1次巻線の他端と前記第2の
    直流電源端子との間に接続され、 前記3次巻線と前記4次巻線と前記共振用インダクタン
    ス手段と前記第1のダイオードと前記第2のスイッチと
    は互いに直列に接続され且つ前記1次巻線と前記第1の
    スイッチとの直列回路に対して並列に接続され、 前記第1のダイオードは前記第1及び第2の直流電源端
    子から供給される直流電圧によって順方向バイアスされ
    る方向性を有し、 前記第2のダイオードは前記第1及び第2の直流電源端
    子から供給される直流電圧によって逆バイアスされる方
    向性を有し且つ前記4次巻線と前記共振用インダクタ
    手段と前記第1のダイオードと前記第2のスイッチと
    から成る直列回路に対して並列に接続され、 前記スイッチ制御回路は前記第1のスイッチをオン・オ
    フ制御する第1の制御信号を発生すると共に、前記第2
    のスイッチをオン・オフ制御する第2の制御信号を発生
    するものであり、前記第2の制御信号は、前記第1のス
    イッチのオン開始時点(t1)よりも前の時点(t0)で
    前記第2のスイッチのオン制御を開始し、前記第1のス
    イッチのオン終了時点(t5)又はこのオン終了時点
    (t5)よりも前の時点(t4)で前記第2のスイッチの
    オン制御を終了させるものであることを特徴とするDC
    −DCコンバータ。
  2. 【請求項2】 更に、前記第1のスイッチに並列に接続
    され且つ前記第1及び第2の直流電源端子から供給する
    直流電圧によって逆バイアスされる方向性を有している
    第3のダイオードを有していることを特徴とする請求項
    1記載のDC−DCコンバータ。
  3. 【請求項3】 前記整流平滑回路は、前記2次巻線の一
    端に接続された整流用ダイオードと、前記2次巻線に前
    記整流用ダイオードを介して並列に接続された平滑用コ
    ンデンサとから成り、前記整流用ダイオードは前記第1
    のスイッチのオフ期間に前記2次巻線に発生する電圧で
    導通状態になる極性を有していることを特徴とする請求
    項1又は2記載のDC−DCコンバータ。
  4. 【請求項4】 前記3次巻線及び前記4次巻線は、前記
    第1及び第2の直流電源端子から供給される直流電圧を
    基準にして前記1次巻線の極性と同一の極性を有してい
    ることを特徴とする請求項1又は2又は3記載のDC−
    DCコンバータ。
  5. 【請求項5】 前記制御回路は、前記整流平滑回路の出
    力電圧の大きさを示す第1の電圧を得るための出力電圧
    検出手段と、 前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を得るための手段
    と、 三角波電圧又は鋸波電圧から成る比較用波形を発生する
    比較用波形発生器と、 前記第1の電圧と前記比較用波形とを比較して前記第1
    の制御信号を形成し、前記第1のスイッチに送る第1の
    比較器と、 前記第2の電圧と前記比較用波形とを比較する第2の比
    較器と、 前記第2の比較器の出力パルスの前縁に応答して前記第
    2のスイッチをオンにするためのパルスを発生させ、前
    記第1のスイッチのオン終了時点よりも前に前記パルス
    の発生を終了させるパルス発生手段とから成ることを特
    徴とする請求項1又は2又は3又は4記載のDC−DC
    コンバータ。
  6. 【請求項6】前記制御回路は、前記整流平滑回路の出力
    電圧の大きさを示す第1の電圧を得るための出力電圧検
    出手段と、 前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を得るための手段
    と、 三角波電圧又は鋸波電圧から成る比較用波形を発生する
    比較用波形発生器と、 前記第1の電圧と前記比較用波形とを比較して第1のパ
    ルスを形成する第1の比較器と、 前記第2の電圧と前記比較用波形とを比較して第2のパ
    ルスを形成する第2の比較器と、 前記第1のパルスの前縁を検出する第1の前縁検出手段
    と、 前記第1のパルスの後縁を検出する第1の後縁検出手段
    と、 前記第2のパルスの前縁を検出する第2の前縁検出手段
    と、 前記第2のパルスの後縁を検出する第2の後縁検出手段
    と、 前記第1の前縁検出手段の出力に応答してセット状態と
    なり、前記第2の後縁検出手段の出力に応答してリセッ
    ト状態となって前記第1の制御信号を出力する第1のフ
    リップフロップと、 前記第2の前縁検出手段の出力に応答してセット状態と
    なり、前記第1の後縁検出手段の出力に応答してリセッ
    ト状態となって前記第2の制御信号を出力する第2のフ
    リップフロップとから成ることを特徴とする請求項1又
    は2又は3又は4又は5記載のDC−DCコンバータ。
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