JP3409044B1 - フッ素樹脂被膜及び同フッ素樹脂被膜を備えた調理器 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 アルミ板からなる器物の素材の内面に形成さ
れた塗装面にフッ素樹脂塗装を施してフッ素被膜面を形
成してあるフッ素樹脂被膜において、より離型性の高い
フッ素樹脂被膜を提供する。 【解決手段】 器物２のフッ素樹脂被膜を形成したのと
反対側の面にステンレス板２０の立ち上がり部２１が打
ち込まれており、このステンレス板の立ち上がり部の打
ち込みに基づいて、フッ素被膜の面１７の平面化を示す
圧迫跡１６が形成される構成にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フライパン等にて
愛用されているフッ素塗装した器物のフッ素樹脂被膜の
強化に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在製造され使用されているフッ素塗装
したフライパン等の器物においては、アルミ板との接着
をはかった下地処理面上に下地塗装をおこない、５〜１
０ミクロン位の膜厚のプライマー塗膜と、６〜１０ミク
ロンの層厚の中間コート層とを積層して下地層を形成
し、その下地層の上面に、６〜９ミクロンの層厚のフッ
素樹脂を塗装して４００度の高温乾燥をおこなってい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記器物の基
本素材として使用されるアルミ板の高温による軟質化の
関係上、乾燥炉内の４００度以上の高温帯に位置させる
時間に限度があり、４００度に１０分程度の時間をかけ
て高温乾燥すればフッ素の成分が解け、フッ素の基本的
品質である光沢性により高品質の離型性があらわれるの
であるが、上述のように、アルミ素材の特性から、４０
０度に維持する時間が制約され、２〜４分程度しか高温
乾燥の時間をかけられないので、フッ素塗装のフッ素の
溶けがなく、離型性の高品質化が不十分なまま商品化さ
れ販売されている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、フッ素樹脂被
膜の加熱不十分により前記フッ素被膜面上に残留する凹
凸を機械的に圧迫して、アルミ板にフッ素樹脂被膜を形
成した後、前記凹凸の残るフッ素被膜面を機械的に平面
状化し、前記フッ素被膜面に光沢性を付与し、その光沢
性に伴いもたらされるフッ素樹脂被膜の離型性の高品質
化を実現するものである。

【０００５】すなわち、フッ素樹脂塗装された器物等の
内底平面部の塗装面に形成したフッ素樹脂被膜における
フッ素被膜面上に残留する凹凸を平面状に変化させん
と、プレス機の加圧方式と金型方式を取り入れ、下型
に、平面に形成した下型上面を備えさせ、立ち上がり部
を備えたステン板を前記器物の底外面に置いて、前記プ
レス機の上型によって圧力をかけることで、前記立ち上
がり部が前記器物のアルミ板層内に入りこむ際に前記フ
ッ素被膜面が圧迫を受けるこよによって、前記フッ素被
膜面の前記塗装後よりも平面化された状態が得られる。
こうして平面状態化されることで、凹凸が残留した状態
よりも光沢がよくなり、それに伴って離型性の高品質化
がもたらされるのである。

【０００６】或いは、要部を連結状の丸形か角形にてな
る適大きさの多数の斑点、又は、丸形か角形の多数の幾
何学模様状に配列した適大きさの斑点として高さ３０〜
９０ミクロン程度の同じ高さの凸部を形成した上型下面
を備えさせたプレス金型をプレス機械に取り付け、プレ
ス機のクランク軸が下死点に位置したとき、上型下面と
下型上面間をアルミの板厚＋３０〜９０ミクロンの距離
に設定し、同金型の下型上面の平面部に前記器物の内底
平面部に形成されたフッ素被膜面を位置させ同機を稼働
させると、前記フッ素被膜面の前記塗装後よりも平面化
された状態が得られる。

【０００７】上型のプレス機の圧力により前記塗装面の
反対側の面からアルミ板が強力に押されるのと同時に、
アルミ板の底部内側の内底平面部に形成された下地層と
フッ素塗装とからなるフッ素樹脂被膜が、下型上面の平
面により圧層され、単に吹き付けにより形成されたフッ
素樹脂被膜において、平面に形成した上型を用いる場合
にはフッ素被膜面に残留する凹凸を平面状態化すること
ができる。こうして平面状態化されることで、凹凸が残
留した状態よりも光沢がよくなり、それに伴って離型性
の高品質化がもたらされるのである。

【０００８】又、幾何学模様状に配列された凸部を形成
した上型を用いる場合には、上型下面の幾何学模様状の
３０〜９０ミクロンの凸部にてアルミ板が強力に押され
ることになる。その結果、下型上面の平面とフッ素樹脂
被膜の抵抗により上記幾何学模様状の凸部によりアルミ
板が圧迫され、その行為によりアルミ板の幾何学模様状
の凸部のあたる逆面がわずかに突出して、フッ素樹脂被
膜のフッ素被膜面の凹凸からフッ素樹脂被膜の一部に残
留する凹凸を幾何学模様状に平面状態化した部位か、高
さ微小で上面が残留する凹凸を平面状態化した微小凸部
を形成することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明にかかるフッ素樹脂被膜の
実施の形態につき、一例を図面を参照しながら説明す
る。

【００１０】図１及びその部分拡大図である図２に示す
ように、フライパン等の器物（１）を形成する基本素材
としてのアルミ板（２）の内面、つまり器物（１）の塗
装面（３）に対してブラスト加工を施した下地処理面
（５）に、アルミ金属と接着効果を高める目的の層厚５
〜１０ミクロンのプライマー塗膜（６）と、そのプライ
マー塗膜（６）とフッ素樹脂塗料との塗膜結合を高める
層厚６〜１０ミクロンの中間コート層（７）とからなる
下地層（８）の上面に、層厚６〜９ミクロンのフッ素塗
料層（９）を積層した一連の膜層からなるフッ素樹脂被
膜（４）を形成し、このフッ素樹脂被膜（４）を備える
アルミ板を、フッ素樹脂塗料の乾燥温度の４００度の下
で高温乾燥する。しかし、アルミの融点が最低５００度
程度であるので、４００℃の高温をかける時間がながけ
れば、その加熱によりアルミ板材に軟化現象が生じ、高
温乾燥後皿形状の変形が発生する。これを避けるため
に、４００度の高温をかける時間は２〜４分と短時間と
する。この加熱条件ではフッ素樹脂被膜（４）のフッ素
被膜面が十分には溶けずフッ素樹脂被膜の特徴である離
型性が十分に発揮されない。そこで、本発明において
は、光沢性が不十分な従来施工されている塗装・乾燥パ
ターンの器物を後工程により光沢性を付与するのであ
る。例えば、図３に示すように、プレス機の圧力を利用
して、フッ素塗料層（９）を加圧するのである。このた
めに、プレス金型の下型（１０）には、下型上面（１
１）を平面に形成する。そして、そのプレス金型の上型
（１２）には、図４及び図５に示すように、その上型下
面（１３）に、適大きさの丸形で３０〜９０ミクロンの
均一の高さに形成した多数の凸部（１４）を碁盤目状の
形に配置して模様を形成した。このプレス金型をプレス
機に取付け、プレス機の稼働下死点に位置したときの下
型上面（１１）と上型下面（１３）との間隔をアルミ板
（２）の板厚＋３０ミクロンの寸法に設定し、図３に示
したように、器物（１）を、その塗装面（３）に形成し
たフッ素樹脂被膜（４）がフッ素被膜面を下型（１０）
の下型上面（１１）に接するように載置してプレス機を
稼働させる。

【００１１】図６に示すように、アルミ板（２）の前記
塗装面（３）の逆面側のフッ素樹脂塗装を施してない底
部外面は、上型（１２）の凸部（１４）により押され、
図７及び図８に示すように、わずかな凹み部（１５）を
形成すると共に、その逆面側に位置する底部内側の内底
平面部（２２）では、下型上面（１１）が平面であるの
でこれに接するフッ素樹脂被膜（４）の抵抗もあって、
塗装面（３）で材料の逃げ場がなく、図７（イ）に示し
たように、前記塗装面（３）でアルミ板（２）層の高さ
わずかな圧迫跡（１６）が形成され、結果として、５〜
１０ミクロンのプライマー塗膜と、６〜１０ミクロンの
中間コート層と、６〜９ミクロンのフッ素塗料層（９）
とからなるフッ素樹脂被膜（４）が圧迫され、そのフッ
素被膜面（１７）が平面化した部位（１８）か高さ微小
で上面が平面化した微小凸部（１９）に形成される。こ
のフッ素樹脂被膜（４）のフッ素被膜面（１７）を電子
拡大鏡でみると、凹凸状であるフッ素被膜面（１７）
が、平面化した部位（１８）か上面が平面化した微小凸
部（１９）に変化し、凹凸が残留した状態の乾燥後より
も光沢がよくなり、フッ素被膜面の基本的品質である光
沢性に伴いもたらされる離型性の高品質化が達成された
フッ素樹脂被膜ができる。

【００１２】〔別実施形態〕図９に示すように、ステン
板（２０）の立ち上がり部（２１）を、アルミ板（２）
の層内に深く入りこませる行為により、立ち上がり部
（２１）の被打込み面に圧迫跡（１６）が形成されるの
で、上記実施例と同様にフッ素塗装（４）膜が圧迫さ
れ、図７・図８に示すのと同様に、凹凸状のフッ素塗膜
（９）の表面（１７）が微小凸部（１９）され、フッ素
の基本的品質である光沢性によりあらわれる離型性の高
品質化をもつフッ素塗装後にプレスされた塗装面ができ
ます。

【００１３】また、図３の上型（３）の下面（４）を平
面にし、厚みが０．３〜１ミリメートルのステン板を、
図４様に（１３）を平面部・（１４）を穴部に形成し
て、プレス機にて圧力をかける行程の時に図３内の記載
する１の位置、つまり器物（１）の底外面に置きプレス
機の圧力をかけても、本発明のフッ素塗装表面の凹凸を
形成することができ、フッ素塗装後にプレスされた塗装
面をすることができ、均一の高さで３０〜９０ミクロン
の丸形の高さを、２ミリメートル程度に設定しても本発
明の要旨のものができます。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に供する器物の要部縦断面図

【図２】図１の要部拡大断面図

【図３】本発明の加工に供するプレス機の概略説明図

【図４】金型の上型下面の平面図

【図５】上型の側面視断面図

【図６】本発明に係る器物の加工後の要部縦断面図

【図７】器物の一例の要部拡大断面図

【図８】フッ素被膜面の要部を示す平面図

【図９】器物の他の例の要部拡大断面図

【符号の説明】

１ 器物 ２ アルミ板 ３ 塗装面 ４ フッ素樹脂被膜 ５ 下地処理面 ６ プライマー塗膜 ７ 中間コート層 ８ 下地層 ９ フッ素塗料層 １０ 下型 １１ 下型上面 １２ 上型 １３ 上型下面 １４ 凸部 １５ 凹み部 １６ 圧迫跡 １７ フッ素被膜面 １８ 平面状の上面 １９ 微小凸部 ２０ ステンレス板 ２１ 立ち上がり部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47J 36/02 B05D 3/12 B05D 7/14 101 B05D 7/24 302 A47J 27/00 A47J 37/10

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミ板からなる器物の素材の内面に形
   成された塗装面にフッ素樹脂塗装を施してフッ素被膜面
   を形成してあるフッ素樹脂被膜であって、 前記器物の素材の内面側を平面状の上型下面に支持させ
   た状態で、前記器物のフッ素樹脂被膜を形成したのと反
   対側の面にステンレス板の立ち上がり部が打ち込まれて
   おり、前記ステンレス板の立ち上がり部の打ち込みに基
   づいて、前記フッ素被膜面の平面化を示す圧迫跡が形成
   されているフッ素樹脂被膜。
2. 【請求項２】 アルミ板からなる器物の素材の内面に形
   成された塗装面にフッ素樹脂塗装を施してフッ素被膜面
   を形成してあるフッ素樹脂被膜であって、 前記器物の平面に形成された内底平面部の塗装面を、平
   面状に形成された下型上面上に支持した状態でプレス機
   により機械的圧力を作用させることによって、 前記内底平面部に形成されたフッ素被膜面に塗装後より
   も平面化された状態を形成してあり、 前記フッ素被膜面の前記塗装後よりも平面化された状態
   が、前記プレス機により機械的圧力を作用させる際に、
   立ち上がり部を備えたステンレス板を前記器物の底外面
   に置いて、前記立ち上がり部が前記器物のアルミ板層内
   に入りこむように前記プレス機の圧力をかけることで、
   前記フッ素被膜面の前記立ち上がり部に対応する箇所に
   圧迫跡が形成されると同時に、同箇所が微小凸部化する
   ことによって得られるフッ素樹脂被膜。
3. 【請求項３】 器物内面に請求項１または２によるフッ
   素樹脂被膜を備えた調理器。