JP3408276B2 - ピストン用のブーツの組付方法 - Google Patents

ピストン用のブーツの組付方法

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JP3408276B2
JP3408276B2 JP04986093A JP4986093A JP3408276B2 JP 3408276 B2 JP3408276 B2 JP 3408276B2 JP 04986093 A JP04986093 A JP 04986093A JP 4986093 A JP4986093 A JP 4986093A JP 3408276 B2 JP3408276 B2 JP 3408276B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ピストン用のブーツの
組付方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】デイスクブレーキ用のキヤ
リパに摺動自在に嵌挿したピストンの環状溝と、キヤリ
パの環状溝との間に、キヤリパとピストンとの間を覆う
ゴム製の防塵用のブーツが組付けられている。このブー
ツの組付け作業は、従来、手作業によつて行われ、ブー
ツを弾性変形させてキヤリパの環状溝及びピストンの環
状溝に装着させている。
【0003】しかして、ブーツの装着作業は、キヤリパ
とピストンとの間の狭い隙間に挿入するという作業を伴
うため、装着ミスを防ぐ上で熟練を要し、かつ、非能率
的であつた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、請求項1
の発明の構成は、有底筒状をなすピストン12の開口部
12b付近の外周面に形成した環状溝12aに、ゴム製
のブーツ13の内周リップ13aを環着させるピストン
用のブーツの組付方法であつて、筒状をなすセンターピ
ン部材15と、該センターピン部材15に挿入される支
持部17aの先端に設けられ、ピストン12の内部に嵌
入して該ピストン12を支持する頭部17bを備える押
しピン部材17と、該センターピン部材15と共に基台
23に固着され、先端面が該ブーツ13に当接し得る外
筒19と、該センターピン部材15に摺動自在に外嵌さ
れ、先端部側が周方向に複数個に分割されて、外筒19
内で拡径変形可能であると共に、先端部側内面が前記セ
ンターピン部材15の先端部外面と、先端に向けて次第
に縮径する傾斜面15a,21aにて係合するコレット
チャック21とを使用し、前記コレットチャック21の
先端部に該ブーツ13を外嵌させると共に、前記押しピ
ン部材17の頭部17bにピストン12を被せた状態
で、該ピストン12、押しピン部材17及びコレットチ
ャック21を一体的に前記基台23側に移動させ、前記
傾斜面15a,21aの係合によつて拡径したコレット
チャック21の先端部外周面と該ピストン12の開口部
12b側外周縁とをほぼ同径に維持させながら、更に該
ピストン12、押しピン部材17及びコレットチャック
21を前記基台23側に移動させ、前記コレットチャッ
ク21の先端部に外嵌させた該ブーツ13を、前記外筒
19の先端面19aにてピストン12の外周面にまで押
し込み、該ブーツ13の内周リップ13aをピストン1
2の環状溝12aに組付けることを特徴とするピストン
用のブーツの組付方法である。請求項2に記載の発明の
構成は、有底筒状をなすピストン12の開口部12b付
近の外周面に形成した環状溝12aに、ゴム製のブーツ
13の内周リップ13aを環着させた状態のピストン1
2を用い、被装着物体(11)のシリンダ11aの開口
部付近の環状溝11bに該ブーツ13の外周リップ13
bを環着させるピストン用のブーツの組付方法であつ
て、先端に向けて次第に縮径するテーパー面27aを内
周に有して先端が小径部27bを形成する第1ブーツ挿
入カラー27と、該ブーツ13を当接支持する支持部3
0aが外周部に形成され、中央部にピストン12の開口
部12b側が載置されるピストン挿入部材30とを使用
し、該第1ブーツ挿入カラー27の小径部27bを該被
装着物体(11)のシリンダ11aの開口部に接続させ
た状態で、該ピストン12が該第1ブーツ挿入カラー2
7のテーパー面27aを通過して該被装着物体(11)
のシリンダ11aに嵌合するように、前記支持部30a
によつて該ブーツ13の一側面を支持しながら該ピスト
ン挿入部材30を押し込んで、該ブーツ13の外周面を
該第1ブーツ挿入カラー27のテーパー面27aによつ
て案内させつつ移動させ、該ブーツ13の外周リップ1
3bを該被装着物体(11)の環状溝11bに組付ける
ことを特徴とするピストン用のブーツの組付方法であ
る。請求項3に記載の発明の構成は、有底筒状をなすピ
ストン12の開口部12b付近の外周面に形成した環状
溝12aに、ゴム製のブーツ13の内周リップ13aを
環着させた状態のピストン12を用い、被装着物体(1
1)のシリンダ11aの開口部付近の環状溝11bに該
ブーツ13の外周リップ13bを環着させるピストン用
のブーツの組付方法であつて、ピストン12の外径より
も僅かに大径の筒状面42aを内周に有する第2ブーツ
挿入カラー42を使用し、該第2ブーツ挿入カラー42
を前記ピストン12に外嵌させ、前記ピストン12に環
着させた該ブーツ13の外周リップ13bを押し上げ、
該外周リップ13bをピストン12の底部側に位置させ
た状態で、このピストン12、ブーツ13及び第2ブー
ツ挿入カラー42を一体としたままで該第2ブーツ挿入
カラー42の筒状面42aを該被装着物体(11)のシ
リンダ11aの開口部に接続させ、次いで、該ピストン
12を該被装着物体(11)のシリンダ11a内に挿入
し、該ブーツ13の外周リップ13bを該被装着物体
(11)の環状溝11bに組付けることを特徴とするピ
ストン用のブーツの組付方法である。
【作用】
【0005】請求項1に記載の発明によれば、有底筒状
をなすピストン12の開口部12b付近の外周面に形成
した環状溝12aに、ゴム製のブーツ13の内周リップ
13aを容易に環着させることができる。すなわち、コ
レットチャック21の先端部は、ピストン12の外径よ
りも小径をなしているので、ブーツ13は、コレットチ
ャック21の先端部に容易に外嵌させることができる。
ピストン12、押しピン部材17及びコレットチャック
21を一体的に基台23側に移動させる作業も容易にな
される。このような容易な作業のみによつてブーツ13
の内周リップ13aをピストン12の環状溝12aに組
付けることができる。
【0006】請求項2に記載の発明は、ピストン12と
ブーツ13とを被装着物体(11)に組付けた後で、ブ
ーツ13の外周リップ13bにブーツリングを組付ける
型のピストン用のブーツを組付ける方法である。この発
明によれば、ブーツ13の内周リップ13aを環着させ
た状態のピストン12を用い、被装着物体(11)のシ
リンダ11aの環状溝11bにブーツ13の外周リップ
13bを容易に環着させることができる。すなわち、第
1ブーツ挿入カラー27の小径部27bを被装着物体
(11)のシリンダ11aの開口部に接続させる作業、
支持部30aによつてブーツ13の一側面を支持しなが
らピストン挿入部材30を押し込み、ブーツ13の外周
面を第1ブーツ挿入カラー27のテーパー面27aによ
つて案内させつつ移動させる作業は、共に容易である。
【0007】このような容易な作業のみによつてブーツ
13の内周リップ13aをピストン12の環状溝12a
に組付けたまま、外周リップ13bを被装着物体(1
1)の環状溝11bに組付けることができる。しかも、
被装着物体(11)にピストン12を組付ける作業と、
被装着物体(11)の環状溝11bにブーツ13の外周
リップ13bを組付ける作業とが、同時に完了する。
【0008】請求項3に記載の発明は、ブーツリングを
組付けない型のピストン用のブーツを組付ける方法であ
る。この発明によれば、ブーツ13の内周リップ13a
を環着させた状態のピストン12を用い、被装着物体
(11)のシリンダ11aの環状溝11bにブーツ13
の外周リップ13bを容易に環着させることができる。
すなわち、第2ブーツ挿入カラー42をピストン12に
外嵌させ、外周リップ13bをピストン12の底部側に
位置させる作業、このピストン12、ブーツ13及び第
2ブーツ挿入カラー42を一体としたままで第2ブーツ
挿入カラー42の筒状面42aを被装着物体(11)の
シリンダ11aの開口部に接続させる作業、ピストン1
2を被装着物体(11)のシリンダ11a内に挿入する
作業は、共に容易である。
【0009】このような容易な作業のみによつて外周リ
ップ13bを被装着物体(11)の環状溝11bに組付
けることができる。しかも、被装着物体(11)にピス
トン12を組付ける作業と、被装着物体(11)の環状
溝11bにブーツ13の外周リップ13bを組付ける作
業とが、同時に完了する。
【実施例】
【0010】以下、本発明の実施例について図面を参照
して説明する。先ず、図1〜図10を参照して、ピスト
ン12の環状溝12aに、ブーツ13の内周リップ13
aを環着させるピストン用のブーツの第1組付装置14
の1実施例について説明する。なお、ブーツ13は、ゴ
ム又はエラストマからなる弾性材にて環状に製作され、
図6,図7に示すように比較的肉厚な内周リツプ13a
と外周リツプ13bとの間が、比較的薄肉で伸縮自在な
波状部13cによつて連結されている。また、ピストン
12は、有底筒状をなし、その開口部12b付近の外周
面に図5に示すように環状溝12aが形成されている。
【0011】ブーツの第1組付装置14は、図1に示す
ようにセンターピン部材15、押しピン部材17、外筒
19、コレットチャック21及び基台23を主構成要素
としている。センターピン部材15は、基台23と一体
で筒状をなし、先端部外面が先端に向けて次第に縮径す
るテーパー面からなる傾斜面15aを形成している。押
しピン部材17は、センターピン部材15に挿入される
支持部17aと、支持部17aの先端に設けられ、ピス
トン12の内部に嵌入してピストン12を支持する頭部
17bとを備え、頭部17bの内部には、図2に示すよ
うに支持部17aの周囲として環状空間17cが形成さ
れ、センターピン部材15の先端部が進入可能になつて
いる。
【0012】外筒19は、センターピン部材15と共に
基台23に固着され、図3に示すように傾斜面を形成す
る先端面19aが後述するブーツ13の内周リツプ13
aに当接し得る。先端面19aを傾斜面にて形成する理
由は、ブーツ13の押し込みが周方向に分散してなされ
るようにするためである。
【0013】コレットチャック21は、センターピン部
材15に摺動自在に外嵌され、図4に示すように先端部
側が周方向に複数個に分割されて拡径変形可能な分割片
21bを形成すると共に、先端部側内面が前記センター
ピン部材15の傾斜面15aと係合するテーパー面から
なる傾斜面21aを形成する。コレットチャック21
は、各分割片21bに復元弾性を与えるために合成樹脂
にて製作され、図1に示すように外筒19の底部との間
に介在させたスプリング22によつて上方に付勢され、
復帰が促されている。
【0014】ピストン12の環状溝12aに、ブーツ1
3の内周リップ13aを環着させる作業は、上記のピス
トン用のブーツの第1組付装置14を使用して、次のよ
うになされる。先ず、コレットチャック21の先端部に
図1に示すようにブーツ13を外嵌させる。コレットチ
ャック21の各分割片21bは、弾性的に縮径変形した
状態で、ピストン12の外径よりも小径をなすように設
定されているので、ブーツ13の内周リップ13aをコ
レットチャック21の先端部に容易に外嵌させることが
できる。
【0015】次いで、押しピン部材17の頭部17bに
ピストン12を被せ、このピストン12、押しピン部材
17及びコレットチャック21を基台23側に一体的に
押圧する。これにより、両傾斜面15a,21aの係合
によつてコレットチャック21の各分割片21bが次第
に拡径し、図8に示すようにコレットチャック21の先
端部外周面とピストン12の開口部12b側外周縁とが
ほぼ同径になる。具体的には、コレットチャック21の
先端部外周面を、ピストン12の開口部12b側外周縁
よりも僅かに大径とする。コレットチャック21の傾斜
面21aがセンターピン部材15の傾斜面15aとの係
合から外れた後は、各分割片21bは拡径せず、上記同
径状態が維持される。その際、センターピン部材15の
先端部は、押しピン部材17の環状空間17cに次第に
進入する。
【0016】図9に示すようにピストン12、押しピン
部材17及びコレットチャック21を一体として更に基
台23側に移動させれば、外筒19の先端面19aにて
ブーツ13の内周リツプ13aが押され、ピストン12
の下端部外周面にまで押し込まれる。外筒19の先端面
19aは傾斜面を形成し、ブーツ13が傾斜状態で押し
込まれるので、ブーツ13の内周リツプ13aとコレッ
トチャック21又はピストン12との強い密着状態が緩
和され、ブーツ13はピストン12の外周面にまで容易
に押し込まれる。
【0017】更に、図10に示すようにピストン12、
押しピン部材17及びコレットチャック21を一体とし
て基台23側に移動させれば、外筒19の先端面19a
にて押されるブーツ13は、その内周リツプ13aが、
ピストン12の環状溝12aに周方向に順次に嵌入す
る。かくして、ブーツ13の内周リップ13aがピスト
ン12の環状溝12aに組付けられる。
【0018】ピストン12に対する押圧力を解除すれ
ば、スプリング22の弾発力を受けるコレットチャック
21は上方に容易に復帰し、これに伴つて合成樹脂製の
各分割片21bは縮径復帰するので、ブーツ13の組付
けが終了したピストン12を押しピン部材17の頭部1
7bから取り外す。
【0019】次に、被装着物体であるデイスクブレーキ
のキヤリパボディー11のシリンダ11aの開口部付近
の環状溝11bに、ブーツ13の外周リップ13bを環
着させるピストン用のブーツの第2組付装置25につい
て、図11〜図18を参照して説明する。第2組付装置
25は、第1ブーツ挿入カラー27及びピストン挿入部
材30を主構成要素とし、ブーツ13の外周リップ13
bに過度の変形を与えることがないので、ピストン12
とブーツ13とをキヤリパボディー11に組付け後、外
周リップ13bにブーツリング(図示せず)を組付け使
用する型のブーツ13の組付けに好適である。
【0020】なお、キヤリパボディー11のシリンダ1
1aの開口部付近には、図18に示すように中径部11
e、環状溝11b、環状溝11bとシールリング11c
を装着する環状溝11fとの間の小径部11g及び環状
溝11fよりも底部側の小径部11hを順次に備え、ブ
ーツ13の伸縮自在な波状部13cは、両環状溝11
b,12aの間に配置される。
【0021】第1ブーツ挿入カラー27は、先端に向け
て次第に縮径するテーパー面27aを内周に有すると共
に、テーパー面27aの先端の小径部27bに接続し
て、短筒部27cを有する。短筒部27cは、キャリパ
ボディー11のシリンダ11aの開口部に嵌合可能であ
り、第1ブーツ挿入カラー27をキャリパボディー11
に対して位置決めすると共に、短筒部27cの先端を環
状溝11bの周縁部に臨ませることができる。このよう
な第1ブーツ挿入カラー27は、支持部27dを介して
上下駆動装置であるシリンダ装置28のピストンロッド
28aに固着され、昇降可能である。
【0022】また、ピストン挿入部材30は、ブーツ1
3の下側面を当接支持する支持部30aが外周部に形成
され、中央部にピストン12の開口部側が載置される。
支持部30aは、第1ブーツ挿入カラー27の小径部2
7b及び短筒部27cに摺動自在に嵌合可能である。こ
のようなピストン挿入部材30は、支持部30bを介し
てシリンダ装置、ラックアンドピニオン等の上下駆動装
置31に接続され、昇降可能である。
【0023】この第2組付装置25を使用して、キャリ
パボディー11のシリンダ11aにピストン12を嵌合
させると共に、シリンダ11aの開口部付近の環状溝1
1bに、ブーツ13の外周リップ13bを環着させる。
なお、ブーツ13の内周リツプ13aは、上述したよう
にしてピストン12の開口部付近の環状溝12aに予め
環着させてある。
【0024】先ず、上下駆動装置31によつて下降させ
たピストン挿入部材30上にピストン12を載置させる
と共に、第1ブーツ挿入カラー27のテーパー面27a
内にピストン12を受入れさせ、図12に示す状態とす
る。次いで、シリンダ装置28によつて第1ブーツ挿入
カラー27を上昇させ、図13に示すように第1ブーツ
挿入カラー27の先端の小径部27bがキャリパボディ
ー11のシリンダ11aの開口部に接続するように、短
筒部27cをキャリパボディー11の環状溝11bの周
縁部に臨ませる。これにより、短筒部27cがキヤリパ
ボディー11の中径部11eに嵌合し、第1ブーツ挿入
カラー27が位置決めされる。また、上下駆動装置31
によつてピストン挿入部材30を上昇させ、図14に示
すようにピストン12をキャリパボディー11のシリン
ダ11aに挿入すると共に、ブーツ13を第1ブーツ挿
入カラー27のテーパー面27aに入り込ませる。
【0025】更に上下駆動装置31によつてピストン挿
入部材30を上昇させれば、ピストン12がキャリパボ
ディー11のシリンダ11aに挿入され、ブーツ13
は、第1ブーツ挿入カラー27のテーパー面27aに案
内されつつ次第に縮径し、図15,図17に示すように
小径部27bを経て短筒部27cに至り、キャリパボデ
ィー11の環状溝11bの周縁部に達する。その際、ピ
ストン挿入部材30は、上下駆動装置31によつて微小
な上下移動を繰り返し与えながら上昇させ、ブーツ13
の反転を防止する。
【0026】その後、図16に示すようにブーツ13の
外周リツプ13bが、弾性的に拡径してキャリパボディ
ー11の環状溝11bに嵌入する。収縮状態のブーツ1
3は、キャリパボディー11の環状溝11bとピストン
12の環状溝12aとの間に位置している。このように
して、キャリパボディー11のシリンダ11aにピスト
ン12を組付ける作業と、キャリパボディー11の環状
溝11bにブーツ13の外周リップ13bを組付ける作
業とが、同時に完了する。ブーツ13及びピストン12
の組付け作業が終了したなら、第1ブーツ挿入カラー2
7及びピストン挿入部材30を下降させ、元位置に復帰
させる。
【0027】なお、ブーツ13には、予め、ブーツオイ
ルを塗布してあるので、第1ブーツ挿入カラー27のテ
ーパー面27a及び小径部27bを円滑に摺動する。ま
た、第1ブーツ挿入カラー27の小径部27bをキャリ
パボディー11のシリンダ11aの開口部、具体的には
中径部11eに正確に接続させれば、短筒部27cを省
略することができる。
【0028】このようにして、ブーツ13の内周リツプ
13aがピストン12の環状溝12aに環着され、内周
リツプ13aと伸縮自在な波状部13cによつて連結さ
れる外周リツプ13bがキャリパボディー11の環状溝
11bに環着され、ピストン12とキャリパボディー1
1との間の防塵が図られる。なお、11cは、キャリパ
ボディー11のシリンダ11a壁に環着させたゴム製の
シールリングであり、ピストン12を弾性的に復帰させ
る機能を併有する。かくして、1個の防塵用のブーツ1
3を装着する1サイクルが終了する。
【0029】次に、被装着物体であるデイスクブレーキ
のキヤリパボディー11に、ブーツ13の外周リップ1
3bを環着させるピストン用のブーツの第3組付装置4
0について、図19〜図33を参照して説明する。第3
組付装置40は、ブーツ13の外周リップ13bに、ブ
ーツリングを組付け使用しない型のブーツ13の組付け
に好適であり、第2ブーツ挿入カラー42を主構成要素
とする。
【0030】第2ブーツ挿入カラー42は、ピストン1
2の外径よりも僅かに大径の筒状面42aを内周に有
し、キャリパボディー11の環状溝11bの周縁部に接
続する短筒部42bを有する。短筒部42bは、第2ブ
ーツ挿入カラー42の筒状面42aの先端に接続させて
形成され、第2ブーツ挿入カラー42をキヤリパボディ
ー11に対して位置決めすると共に、キヤリパボディー
11の環状溝11bの周縁部に臨み、ブーツ13の外周
面の移動を案内させる機能を有する。なお、ピストン1
2の環状溝12aには、上述したようにしてブーツ13
の内周リップ13aが予め環着させてある。
【0031】なお、キヤリパボディー11のシリンダ1
1aの開口部付近には、図33に示すようにブーツ13
の伸縮自在な波状部13cをピストン12との間で受け
入れる空間を形成する大径部11d、大径部11dと後
記する環状溝11bとの間の中径部11e、環状溝11
b、環状溝11bとシールリング11cを装着する環状
溝11fとの間の小径部11g及び環状溝11fよりも
底部側の小径部11hを順次に備える。
【0032】上記のような第2ブーツ挿入カラー42
は、図19に示すように案内部材46に案内されて水平
移動が可能であると共に、シリンダ装置、ラックアンド
ピニオン等からなる上下駆動装置48によつて昇降駆動
される。すなわち、図19,図20に示すように第2ブ
ーツ挿入カラー42に先端部を固着した支持体42dの
基端部がが支持部材50の通孔に遊挿させて取付けら
れ、第2ブーツ挿入カラー42及び支持体42dはスプ
リング52を圧縮させて支持部材50に対して若干の上
昇移動が可能である。また、支持部材50は、案内部材
46に案内されるスライダー54に取付けた上下駆動装
置48によつて昇降駆動されるブーツ挿入用シャフト5
6にブッシュ58を介して上下の摺動自在に案内され、
スライダー54との間に介在させたスプリング60によ
つて弾性的に支持されている。
【0033】一方、図19に示すように案内部材46の
一側に移動させた第2ブーツ挿入カラー42の上方に位
置させて、ブーツ13を備えるピストン12を搬送する
搬送装置62が配設される。搬送装置62は、真空によ
つてピストン12の底部を吸着するバキュームパット6
4と、バキュームパット64を昇降駆動するシリンダ装
置からなる昇降駆動装置66と、昇降駆動装置66を水
平方向に移動させる移動装置68とを備える。
【0034】更に、図外の保持装置によつて保持したキ
ヤリパボディー11の近辺に、スプリング52を圧縮さ
せて第2ブーツ挿入カラー42を支持部材50に対して
若干上昇移動させるシリンダ装置からなる上下駆動装置
70が配置される。上下駆動装置70は、図25に示す
ようにキヤリパボディー11の近辺に移動させた第2ブ
ーツ挿入カラー42の突起部42cに凹部70aを掛止
させて、第2ブーツ挿入カラー42を引き上げる機能を
有する。
【0035】しかして、ピストン12は、図19,図2
0に示すようにバキュームパット64によつて吸着させ
た状態で移動装置68によつて水平移動され、案内部材
46の一側に位置する第2ブーツ挿入カラー42の上方
に移動させた後、昇降駆動装置66によつて図21に示
すように下降させ、第2ブーツ挿入カラー42の先端
部、具体的には短筒部42bをブーツ13の波状部13
cに当接させる。
【0036】更にピストン12を下降させれば、図22
に示すようにピストン12が第2ブーツ挿入カラー42
の筒状面42aに進入し、ブーツ13がしごかれて波状
部13cが次第に伸長する。ピストン12の下降に伴つ
て、スプリング60が若干圧縮される。図23に示すよ
うに波状部13cが充分に伸長した後、更にピストン1
2を下降させれば、肉厚の外周リツプ13bがピストン
12の底部周縁に係止したままで図24に示すようにゴ
ム製のブーツ13の波状部13cが弾性的に伸長し、外
周リツプ13bが弾性変形してピストン12の底部側に
入り込む。
【0037】その際、内周リツプ13aは、第2ブーツ
挿入カラー42の内周面42aによる押圧支持状態から
解放され、ピストン12の環状溝12aから弾性的に離
脱する。このように、外周リツプ13bがピストン12
の底部側に折れ曲がる変形、及び、内周リツプ13aが
環状溝12aから離脱する伸び変形を伴うため、ブーツ
13の外周リップ13bに、ブーツリングを組付け使用
しない型のブーツ13の組付けに好適である。なお、ゴ
ム製のブーツ13の波状部13cが適当に長ければ、波
状部13cが若干弾性的に伸長する程度で外周リツプ1
3bがピストン12の底部側に折れ曲がり、内周リツプ
13aがピストン12の環状溝12aから離脱すること
は勿論ない。
【0038】この状態でバキュームパット64によるピ
ストン12の吸着状態を解除させ、ピストン12及びブ
ーツ13を第2ブーツ挿入カラー42に保持させたま
ま、支持部材50、ブーツ挿入用シャフト56、上下駆
動装置48等と共に、スライダー54を案内部材46に
案内させて移動させ、第2ブーツ挿入カラー42をキヤ
リパボディー11の近辺にまで移動させる。この第2ブ
ーツ挿入カラー42の移動により、図25に示すように
その突起部42cが上下駆動装置70の凹部70aに掛
止する。
【0039】第2ブーツ挿入カラー42の突起部42c
が上下駆動装置70の凹部70aに掛止したならブーツ
13及びピストン12をキヤリパボディー11に組付け
る作業に移行する。先ず、図26に示すように上下駆動
装置70によつて第2ブーツ挿入カラー42を引き上
げ、キャリパボディー11のシリンダ11aの開口部に
短筒部42bを接続させる。短筒部42bは、キャリパ
ボディー11の中径部11eに嵌合して環状溝11bの
周縁部に臨み、第2ブーツ挿入カラー42を位置決めす
る。その際、スプリング52が若干圧縮されて第2ブー
ツ挿入カラー42及び支持体42dが支持部材50に対
して上昇移動する。なお、支持部材50がブーツ挿入用
シャフト56に沿つて若干上昇移動し、スプリング60
が伸長することも可能である。
【0040】次に、スライダー54に取付けた上下駆動
装置48によつてブーツ挿入用シャフト56を上昇駆動
させ、第2ブーツ挿入カラー42の筒状面42aに保持
させたピストン12を図27,図30に示すように押し
上げる。ブーツ挿入用シャフト56の上部の当接部56
aは、ピストン12の開口部外周縁よりも僅かに小径を
なしている。これにより、ピストン12の底部周縁に係
止しているブーツ13の肉厚の外周リツプ13bが押し
上げられる。その際、スプリング60が次第に圧縮され
る。
【0041】ピストン12及びブーツ13の押し上げに
より、ブーツ13の外周リップ13bが筒状面42a及
び短筒部42bを通過すれば、図31に示すように比較
的肉厚の外周リップ13bは弾性的に復元してキャリパ
ボディー11の環状溝11bに嵌入すると共に、図28
に示すように比較的肉厚の内周リップ13aは第2ブー
ツ挿入カラー42の筒状面42aの下縁によつて押し下
げられ、ピストン12の環状溝12aが筒状面42aの
下縁と合致した際、この環状溝12aに弾性的に嵌入す
る。
【0042】この状態から、図29に示すように第2ブ
ーツ挿入カラー42を上下駆動装置70によつて下降さ
せ、キャリパボディー11の図33に示す大径部11d
とピストン12との間にブーツ13の伸縮自在な波状部
13cを受け入れる空間を形成する。その際、スプリン
グ52が伸長する。更にピストン12及びブーツ13を
図32に示すように押し上げれば、ブーツ13の波状部
13cが弾性的に復元する。
【0043】このようにして、キャリパボディー11の
シリンダ11aにピストン12を組付ける作業と、キャ
リパボディー11の環状溝11bにブーツ13の外周リ
ップ13bを組付ける作業とが、同時に完了する。ブー
ツ13及びピストン12の組付け作業が終了したなら、
上下駆動装置48によつてブーツ挿入用シャフト56を
下降駆動させると共に、第2ブーツ挿入カラー42、ブ
ーツ挿入用シャフト56等を元位置に復帰させる。かく
して、1個の防塵用のブーツ13を装着する1サイクル
が終了する。
【発明の効果】
【0044】以上の説明によつて理解されるように、本
発明に係るピストン用のブーツの組付方法によれば、防
塵用のブーツがピストンの環状溝に自動的に装着され、
更に、被装着物体の環状溝とピストンの環状溝との間に
自動的に装着されるので、装着ミスの防止と装着作業の
能率化とを良好に両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例に係るブーツをピストンに
組付ける第1組付装置を示す断面図。
【図2】 同じく押しピン部材を示す一部断面図。
【図3】 同じく外筒の要部を示す図。
【図4】 同じくコレットチャックを示す断面図。
【図5】 同じくピストンを示す斜視図。
【図6】 同じくブーツを示す図。
【図7】 同じくブーツの半部を示す断面図。
【図8】 同じく作用説明図。
【図9】 同じく作用説明図。
【図10】 同じく作用説明図。
【図11】 同じくブーツをキャリパボディーに組付け
る第2組付装置を一部断面にて示す図。
【図12】 同じく作用説明図。
【図13】 同じく作用説明図。
【図14】 同じく作用説明図。
【図15】 同じく作用説明図。
【図16】 同じく作用説明図。
【図17】 同じく作用を拡大して示す説明図。
【図18】 同じくキャリパボディーの要部を示す断面
図。
【図19】 同じくブーツをキャリパボディーに組付け
る第3組付装置を一部断面にて示す図。
【図20】 同じく作用説明図。
【図21】 同じく作用説明図。
【図22】 同じく作用説明図。
【図23】 同じく作用説明図。
【図24】 同じく作用説明図。
【図25】 同じく作用説明図。
【図26】 同じく作用説明図。
【図27】 同じく作用説明図。
【図28】 同じく作用説明図。
【図29】 同じく作用説明図。
【図30】 同じく作用を拡大して示す説明図。
【図31】 同じく作用を拡大して示す説明図。
【図32】 同じく作用を拡大して示す説明図。
【図33】 同じくキャリパボディーの要部を示す断面
図。
【符号の説明】
11:キヤリパボディー(被装着物体)、11a:シリ
ンダ、11b:環状溝、12:ピストン、12a:環状
溝、12b:開口部、13:ブーツ、13a:内周リッ
プ、13b:外周リツプ、13c:波状部、14:第1
組付装置、15:センターピン部材、15a:傾斜面、
17:押しピン部材、17a:支持部、17b:頭部、
17c:環状空間、19:外筒、19a:先端面、2
1:コレットチャック、21a:傾斜面、21b:分割
片、23:基台、25:第2組付装置、27:第1ブー
ツ挿入カラー、27a:テーパー面、27b:小径部、
27c:短筒部、27d:支持部、28:シリンダ装
置、30:ピストン挿入部材、30a:(ブーツを当接
支持する)支持部、40:第3組付装置、42:第2ブ
ーツ挿入カラー、42a:筒状面、42b:短筒部、5
6:ブーツ挿入用シャフト。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底筒状をなすピストンの開口部付近の
    外周面に形成した環状溝に、ゴム製のブーツの内周リッ
    プを環着させるピストン用のブーツの組付方法であつ
    て、筒状をなすセンターピン部材と、該センターピン部
    材に挿入される支持部の先端に設けられ、ピストンの内
    部に嵌入して該ピストンを支持する頭部を備える押しピ
    ン部材と、該センターピン部材と共に基台に固着され、
    先端面が該ブーツに当接し得る外筒と、該センターピン
    部材に摺動自在に外嵌され、先端部側が周方向に複数個
    に分割されて、外筒内で拡径変形可能であると共に、先
    端部側内面が前記センターピン部材の先端部外面と、先
    端に向けて次第に縮径する傾斜面にて係合するコレット
    チャックとを使用し、前記コレットチャックの先端部に
    該ブーツを外嵌させると共に、前記押しピン部材の頭部
    にピストンを被せた状態で、該ピストン、押しピン部材
    及びコレットチャックを一体的に前記基台側に移動さ
    せ、前記傾斜面の係合によつて拡径したコレットチャッ
    クの先端部外周面と該ピストンの開口部側外周縁とをほ
    ぼ同径に維持させながら、更に該ピストン、押しピン部
    材及びコレットチャックを前記基台側に移動させ、前記
    コレットチャックの先端部に外嵌させた該ブーツを、前
    記外筒の先端面にてピストンの外周面にまで押し込み、
    該ブーツの内周リップをピストンの環状溝に組付けるこ
    とを特徴とするピストン用のブーツの組付方法。
  2. 【請求項2】 有底筒状をなすピストンの開口部付近の
    外周面に形成した環状溝に、ゴム製のブーツの内周リッ
    プを環着させた状態のピストンを用い、被装着物体のシ
    リンダの開口部付近の環状溝に該ブーツの外周リップを
    環着させるピストン用のブーツの組付方法であつて、先
    端に向けて次第に縮径するテーパー面を内周に有して先
    端が小径部を形成する第1ブーツ挿入カラーと、該ブー
    ツを当接支持する支持部が外周部に形成され、中央部に
    ピストンの開口部側が載置されるピストン挿入部材とを
    使用し、該第1ブーツ挿入カラーの小径部を該被装着物
    体のシリンダの開口部に接続させた状態で、該ピストン
    が該第1ブーツ挿入カラーのテーパー面を通過して該被
    装着物体のシリンダに嵌合するように、前記支持部によ
    つて該ブーツの一側面を支持しながら該ピストン挿入部
    材を押し込んで、該ブーツの外周面を該第1ブーツ挿入
    カラーのテーパー面によつて案内させつつ移動させ、該
    ブーツの外周リップを該被装着物体の環状溝に組付ける
    ことを特徴とするピストン用のブーツの組付方法。
  3. 【請求項3】 有底筒状をなすピストンの開口部付近の
    外周面に形成した環状溝に、ゴム製のブーツの内周リッ
    プを環着させた状態のピストンを用い、被装着物体のシ
    リンダの開口部付近の環状溝に該ブーツの外周リップを
    環着させるピストン用のブーツの組付方法であつて、ピ
    ストンの外径よりも僅かに大径の筒状面を内周に有する
    第2ブーツ挿入カラーを使用し、該第2ブーツ挿入カラ
    ーを前記ピストンに外嵌させ、前記ピストンに環着させ
    たブーツの外周リップを押し上げ、該外周リップをピス
    トンの底部側に位置させた状態で、このピストン、ブー
    ツ及び第2ブーツ挿入カラーを一体としたままで該第2
    ブーツ挿入カラーの筒状面を該被装着物体のシリンダの
    開口部に接続させ、次いで、該ピストンを該被装着物体
    のシリンダ内に挿入し、該ブーツの外周リップを該被装
    着物体の環状溝に組付けることを特徴とするピストン用
    のブーツの組付方法。
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