JP3407237B2 - 鋼板ブロックを用いた耐震及び制振構造 - Google Patents

鋼板ブロックを用いた耐震及び制振構造

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JP3407237B2
JP3407237B2 JP30001995A JP30001995A JP3407237B2 JP 3407237 B2 JP3407237 B2 JP 3407237B2 JP 30001995 A JP30001995 A JP 30001995A JP 30001995 A JP30001995 A JP 30001995A JP 3407237 B2 JP3407237 B2 JP 3407237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄骨造骨組に適
用される鋼板ブロックを用いた耐震及び制振構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、構造物の耐震壁は、その壁面内
力によってせん断耐力を向上させ、地震発生時のエネル
ギーを吸収することができるように設計されており、図
4に示す鉄骨造りの構造物18における鋼板製の耐震壁
19にあっても同様である。大震災の経験から、地震に
よる損傷を限定した部位に集中させ、それ以外の骨組み
は無傷にする設計法が求められるようになり、そのため
には、叙上の耐震壁19としては、その剛性を周辺骨組
の略3倍以上高め、かつ、その降伏耐力を周辺骨組の略
1/5にして、建物に作用する地震力を耐震壁に集中さ
せると共にそのエネルギーを損傷しながら吸収し得るも
のにする必要があることが解明されている。
【0003】そこで、実開平5─7866号にあって
は、従来の普通鋼または高強度鋼を素材とした鋼板で
は、大きな地震が発生したときは、十分に抵抗できるせ
ん断耐力で信頼性の高い減衰性能が得られるのである
が、中小程度の地震に対しては、弾性域内であるため減
衰性能が弱く、共振現象が生じて振幅が増大することが
あり、十分なエネルギー吸収効果が得られないことか
ら、耐震壁の壁板として、普通鋼板または高強度鋼板と
極軟鋼板との降伏点の異なる2種の鋼板を接合した複合
鋼板を用い、地震発生時に、これらの2種の鋼板のそれ
ぞれの特性を合成した履歴ループによるエネルギーの吸
収原理に基づいて振動を減衰する性能を付与しているた
め、大地震が発生した場合だけでなく、中小地震が発生
した場合においても共振現象を誘発することなく、確実
な減衰性能を発現する制振耐震壁が得られ、特別な制振
装置を設置する必要がなく、制振用機器類の保守管理は
全く不要になるという提案をしている。
【0004】すなわち、図5に示す如く、耐震壁19用
の壁板20には、普通鋼板または高強度鋼板20aと極
軟鋼板20bとをそれぞれの片面に接合した複合鋼板が
配設してあり、各鋼板20a,20bの表面には同種鋼
板の座屈防止リブ21,22が取り付けてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、叙上の如き耐
震壁19には、図4にも示される如く柱梁で囲まれた寸
法にあうように工場内で受注制作するため、製作に時間
がかかること、その大きさは通常、高さ3.0m幅6.0m
ほどであり、建設地までの運搬には特殊車両が必要で、
運搬コストが高いこと、重量も重いため揚重、取り付け
コストも高いこと、大地震で損傷を受けた場合、その大
きさ、重量から取り替えが非常に困難であること、さら
に、設計剛性の値は建物の各階で異なるがこれに合致し
て作り分けするのが煩らわしい等の諸問題がある。
【0006】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、製作時間がかからず、運搬の負担もなく、重量
物作業から解放され、取り替えが容易化され、建物各階
における要求剛性に容易に対応し得る鉄骨造骨組に適用
される耐震及び制振構造を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における鉄骨造骨組に適用される耐震壁によ
る耐震及び制振構造は、その寸法をモジュール化したと
ころのフランジとウエブから成る鋼板ブロックをフラン
ジ同志をボルト等で結合積層して構成した耐震壁を、鉄
骨上梁とは当該上梁下面より垂下の垂れ鋼板と該耐震壁
上端面に接合の逆T型鋼とを鉛直荷重を伝えないよう縦
長穴ボルト孔を穿孔の添板を介してボルト接合し、ま
た、鉄骨下梁とは当該下梁上面に溶接のT型鋼の上端フ
ランジに該耐震壁最下層ブロックの下辺フランジとをボ
ルト接合し、さらに、柱との間は所定間隔を確保して非
接合としたものである。
【0008】本発明における鉄骨造骨組に適用される耐
震間柱による耐震及び制振構造は、その寸法をモジュー
ル化したところのフランジとウエブから成る鋼板ブロッ
クをフランジ同志をボルト等で結合積層して構成した耐
震間柱を、鉄骨上梁とは当該上梁下面より垂下の垂れ鋼
板と該耐震間柱上端面に接合の逆T型鋼とを鉛直荷重を
伝えないよう縦長穴ボルト孔を穿孔の添板を介してボル
ト接合し、かつ、鉄骨下梁とは当該下梁上面に溶接のT
型鋼の上端フランジに該耐震柱最下層ブロックの下辺フ
ランジとをボルト接合したものである。
【0009】いずれにあっても、耐震及び制振構成材の
ブロック積層化により、ブロックの個数や構築する形状
は自由となり、耐震及び制振構成材に要求される剛性や
耐力の調整が容易となり、設置後の着脱も鋼板ブロック
が軽量であることから容易にでき、取り替えが自在であ
り、窓や設備ダクトのための開口も自由に設けられる。
【0010】また、建物架構の鉛直荷重が伝わらないた
めブロックの取り替えを可能とし、また、ブロックの強
度低下が避けられ、さらに、耐震及び制振構成材は上下
接合のみで柱と縁切りされていることにより、建物架構
の変形を損なわず、この変形を存分に受け止め、エネル
ギーの吸収をすみやかにする。
【0011】
【発明の実施の形態】実施の形態を図1〜3を参照して
説明する。鋼板ブロック1は、ウエブ2の周辺にフラン
ジ3,…を周設して軽量化したもので、その寸法はモジ
ュール化する。該フランジ3にはボルト穴4,…が所定
配位にて穿孔されており、鋼板ブロック1同志はボルト
5,…を介して結合され積層される。(図1) このように、積層して構成される耐震及び制振構成材
は、図2a,bに示す要領にて鉄骨上梁6と鉄骨下梁7
との間に耐震壁A(a),耐震間柱B(b)として介装
される。
【0012】図中8は柱、9はダクト開口、10は通路
開口、11はスラブコンクリートを夫々示す。叙上の介
装の詳細は耐震壁の場合の図3に示される。すなわち、
該上梁6下面からは垂れ鋼板12が垂下し、一方、耐震
壁Aの上端面には逆T型鋼13が接合され、この両者間
を添板14、14が挟持する態様で連絡し、ボルト15
接合にて接合される。該添板14には縦長穴ボルト孔1
4a,…が穿がたれ、上梁6からの鉛直荷重を耐震壁A
に伝えないようにしている。耐震及び制振構成材である
耐震壁Aの単位構成材の鋼板ブロック1の強度低下を避
けると共に取り替えを可能とするためである。鉄骨下梁
7の上面にはスラブコンクリート11を突き抜くT型鋼
16が溶接され、その上端フランジ16aと耐震壁Aの
最下層ブロックの下辺フランジ1a,…とはボルト1
7,…接合される。耐震壁Aは図示の如く柱8とは間隔
Sを確保して縁切りされている。架構の変形を損なうこ
となく許しておいて、その変形を存分に受け取るためで
ある。
【0013】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載する効果を奏する。 (1)地震による損傷を限定した部位に集中させ、それ
以外の骨組みは無傷にする設計法である以上、大地震後
には、損傷した部位を取り替える必要があるが、本発明
の鋼板ブロックは、その大きさと重さからこの取り替え
を容易に実現する。 (2)また、本発明の鋼板ブロックは、その組立個数と
組立形状により、剛性調整が可能であり、建物や階ごと
に製作する必要がない。 (3)耐震及び制振材単位体の鋼板ブロックを現場に持
ち込むとされるため、運搬の負担がなく、大型、重量作
業から解放される。 (4)上部に調整部を有しているブロック結合積層作業
であり、製作時間はかからずに済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼板ブロックの組立態様説明図であ
る。
【図2】a,bは本発明方法の要領を、耐震壁,耐震柱
の場合で示した説明図である。
【図3】a,bは耐震壁の場合で示す本発明方法の詳細
説明図である。
【図4】鉄骨造りの構造物における耐震壁の構築要領説
明図である。
【図5】a,bは図4に示す耐震壁用壁板の正面図,側
面断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板ブロック 1a 下辺フランジ 2 ウエブ 3 フランジ 4 ボルト穴 5 ボルト 6 鉄骨上梁 7 鉄骨下梁 8 柱 9 ダクト開口 10 通路開口 11 スラブコンクリート 12 垂れ鋼板 13 逆T型鋼 14 添板 14a 縦長穴ボルト孔 15 ボルト 16 T型鋼 16a 上端フランジ 17 ボルト 18 構造物 19 耐震壁 20 壁板 20a 高強度鋼板 20b 極軟鋼板 21 座屈防止リブ 22 座屈防止リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04B 2/56 632 E04B 2/56 632B 632C 632J 643 643A F16F 15/02 F16F 15/02 K (56)参考文献 特開 昭53−85916(JP,A) 特開 昭54−52829(JP,A) 特開 平5−163772(JP,A) 特開 平7−150655(JP,A) 実開 昭51−39309(JP,U) 特公 昭49−5971(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 321 E04B 2/56 604

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その寸法をモジュール化したところのフ
    ランジとウエブから成る鋼板ブロックをフランジ同志を
    ボルト等で結合積層して構成した耐震壁を、鉄骨上梁と
    は当該上梁下面より垂下の垂れ鋼板と該耐震壁上端面に
    接合の逆T型鋼とを鉛直荷重を伝えないよう縦長穴ボル
    ト孔を穿孔の添板を介してボルト接合し、また、鉄骨下
    梁とは当該下梁上面に溶接のT型鋼の上端フランジに該
    耐震壁最下層ブロックの下辺フランジとをボルト接合
    し、さらに、柱との間と所定間隔を確保して非接合とし
    たことを特徴とする鉄骨造骨組に適用される鋼板ブロッ
    クを用いた耐震及び制振構造。
  2. 【請求項2】 その寸法をモジュール化したところのフ
    ランジとウエブから成る鋼板ブロックをフランジ同志を
    ボルト等で結合積層して構成した耐震間柱を、鉄骨上梁
    とは当該上梁下面より垂下の垂れ鋼板と該耐震間柱上端
    面に接合の逆T型鋼とを鉛直荷重を伝えないよう縦長穴
    ボルト孔を穿孔の添板を介してボルト接合し、かつ、鉄
    骨下梁とは当該下梁上面に溶接のT型鋼の上端フランジ
    に該耐震柱最下層ブロックの下辺フランジとをボルト接
    合したことを特徴とする鉄骨造骨組に適用される鋼板ブ
    ロックを用いた耐震及び制振構造。
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