JP3407008B2 - フロントシートバックにおけるバックパッド構造 - Google Patents

フロントシートバックにおけるバックパッド構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用車等の車両におけ
る特にフロントシートバックにおけるバックパッド構造
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のフロントシート1の外観を
示しており、シートクッション2とこのシートクッショ
ン2に回動自在(前後方向)に結合したシートバック3
とを備えている。このようなフロントシート1は、フロ
ア上にて前後にスライド可能に支持されており、例え
ば、フロントシート1を図8のように後方へスライドさ
せたとき、リヤシート4の乗員Mの膝M1 が、シートバ
ック3の背面(裏側)に当たる場合がある。
【0003】また、カバーかぶせタイプのフロントシー
ト1では、図9に示されるようにシートバック3のバッ
クパッド5のまわりにシートカバー6が被着される。そ
して所謂、横吊り構造をとっている場合には、シートバ
ック3の剛・弾性等を確保するために設けられるS字状
バネもしくはワイヤ7を利用して、シートカバー6を固
定するためのCリング8が装着される。このCリング8
は、シートカバー6を適正に張架するためにS字状バネ
等に沿って複数(2〜3個)設けられるが、図10に示
すようにその先端部(A部)が尖っていると、乗員Mの
膝M1 がシートバック3の背面に当たらないように配慮
しなければならない。
【0004】そこで従来、図11及び図12に示したよ
うな対策が講じられていた。即ち、図11のものにおい
て、バックパッド5にフェルト材等で成る別物の保護具
9を貼付により付設し、或いは図12のものにおいて、
シートカバー6にフェルト材等で成る別物の保護具9′
を縫合により付設するというものである。このような保
護具9(又は9′)を設けることにより、乗員Mに対す
る安全性を確保するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
バックパッド5の構造では、乗員Mに対する安全性を確
保し得るものの、保護具9もしくは9′等の部品を別個
に追加する構成であるため、部品点数が増加し、ひいて
はコストアップにつながらざるを得なかった。
【0006】本発明は以上の点に鑑み、実質的にコスト
を上げることなく、有効に乗員の安全性を確保し得るフ
ロントシートバックにおけるバックパッド構造を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のフロントシート
バックにおけるバックパッド構造は、バックパッドのま
わりにシートカバーが被着され、このシートカバーを複
数ヶ所にて前記バックパッド適所に係着させるようにな
っているが、前記バックパッドの裏面付近にフェルト材
層が敷設され前記シートカバーの係着位置に対応し
記フェルト材層から外方に向けて保護突片突設
され、この保護突片が前記バックパッドと同じ発泡材料
により形成されており、且つ、該バックパッド及び保護
突片が、発泡成形によって前記フェルト材層と共に一体
に形成された構成としている。
【0008】
【0009】請求項に記載のバックパッド構造は、バ
ックパッドが、シートカバーの係着位置にセット用の孔
を有し、この孔に装着される固定手段によってシートカ
バーを固定するようにしたものである。
【0010】請求項に記載のバックパッド構造では、
保護突片の一部がバックパッドから切離され、この保護
突片を拡開することにより、固定手段の装着部を露出し
得るようにしたものである。
【0011】
【作用】本発明によれば、シートバックに被着したシー
トカバーを固定するために、好適にはCリングで成る固
定手段を使用することができるが、このCリングの装着
位置には保護突片が設けられる。このようにすることに
より、Cリングによってシートカバーを的確に固定し得
ると共に、このCリングを保護突片の内側に閉塞させる
ことができるため、乗員の膝等が該Cリングに直接的に
当たるのを避けることができる。
【0012】また、バックパッドと保護突片とは同じ発
泡材料により形成され、且つ、それらはフェルト材層と
共に一体発泡成形されているので、構成の簡素化が図
れると共に、製造が容易である。また、このように二層
構造とすることにより、乗員のための保護具として有効
にその機能を発揮する。更に、保護突片の一部がバック
パッドから切離されており、このような保護突片を拡開
することによって固定手段、即ちCリングの装着部を露
出させることができる。これにより、Cリングによって
シートカバーを固定する際、容易且つ確実に固定作業を
行うことができる。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づき、本発明によるフロント
シートバックにおけるバックパッド構造の好適な実施例
を説明する。図1及び図2は、本実施例に係るフロント
シート10のシートバック11まわりを示している。な
お、このシートバック11は、図示されていないシート
クッションに回動自在(前後方向)に結合していると共
に、フロントシート10はフロア上にて前後にスライド
可能に支持されている。これらの構成は、基本的に従来
例のものと同様であるため、その詳細な説明を省略する
ものとする。
【0014】シートバック11を構成するバックパッド
12のまわりには、シートカバー13が被着される。バ
ックパッド12は、後述するように発泡成形により形成
される。シートバック11は、図2のようにS字を描く
ように設けられたS字状バネ14を備え、シートバック
11の剛・弾性等を確保するようにしている。本実施例
においてシートカバー13を固定するために横吊り構造
が採用されるが、このために図1のようにその固定手段
としてのCリング15が装着され、このCリング15を
介してシートカバー13をS字状バネ14に対して係着
する。
【0015】さて、図1に示したようにバックパッド1
2の表面付近には、粗毛フェルトで成るフェルト材層1
6が敷設される。また、シートカバー13の係着位置、
即ちCリング15の装着部に対応したフェルト材層16
面から外方に向けて、保護突片17が突設される。
述するように保護突片17はバックパッド12と同じ発
泡材料により形成されてなり、且つ、これらバックパッ
ド12及び保護突片17は、フェルト材層16と共に一
体で発泡成形される。
【0016】図3は保護突片17まわりの詳細構造例を
示している。保護突片17は、上述のようにCリング1
5の対応位置に設けられるが、図3において、Cリング
15は保護突片17の内側に閉塞されている。また、バ
ックパッド12には前後方向(矢印Fr,Rr)に沿っ
て、Cリング15を装着するために孔18が形成されて
いる。図3の例では、孔18は概略二等辺三角形を呈し
ている。フェルト材層16の敷設領域は、図中、斜線に
より示されている。また、点線により示したブランク部
19は、フェルト材層16の打ち抜き部分であり、この
部分ではフェルト材層16が打ち抜かれ、除去されてい
る(図6をも参照のこと)。
【0017】ここで、図4及び図5は、バックパッド1
2、フェルト材層16及び保護突片17の構造例を、そ
れらの成形用型との関係で示している。製造に際して、
成形用上型20及び成形用下型21は図示のように型合
わせされ、これら2つの成形型の内部に所定の発泡材料
が充填される。この場合、フェルト材層16の粗毛フェ
ルトをインサートしておき、これによりバックパッド1
及び保護突片17は、フェルト材層16と共に体に
発泡成形することができる。従って、この成形において
使用する成形用上型20及び成形用下型21は、実質的
に型変更を伴うことなく従来のものをそのまま流用する
ことができる。
【0018】発泡成形後、図3に示したE部に沿って、
バックパッド12側と保護突片17側とを部分的にカッ
トもしくは切離する。このようにカットすることによ
り、この切離部にて保護突片17を拡開させることがで
きる。そして、保護突片17の上部適所を手指等で摘ん
で撓ませることができ、このとき保護突片17の裏側の
孔18、即ちCリング15の装着部が露出する。このよ
うな露出状態にすると、Cリング15を用いて簡単且つ
的確にシートカバー13をS字状バネ14に対して係着
させることができる。つまり、シートカバー13をセッ
トする際、保護突片17を適度にめくりあげるだけの簡
単な作業で、シートカバー13を固定することができ
る。
【0019】上記のように構成されたシートバック11
において、図1に示されるようにリヤシートの乗員の膝
1 等がシートバック11の背面に当たった場合でも、
保護突片17を設けていることにより、Cリング15が
その膝M1 等に直接的に当たるのを避け、このような場
合の乗員に対する高い安全性が確保される。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、こ
の種のフロントシートおいて、特にCリングの装着位置
に保護突片を設定することにより、乗員に対する高い安
全性を確保して快適な乗り心地を実現することができ
る。またバックパッドとフェルト材層の2層構造となっ
ているため、保護具として優れた機能を発揮する。更
に、製造に際して、基本的に成形用型の変更を伴うこと
なく、簡単に形成することができる上、シートカバーの
固定作業にも手間がかからず、セット作業性も極めて優
れている等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフロントシートバックにおけるバ
ックパッド構造の実施例の断面図である。
【図2】本発明によるフロントシートバックにおけるバ
ックパッド構造の実施例の斜視図である。
【図3】本発明の実施例における保護突片まわりの詳細
構造例を示す斜視図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図6】図3におけるD矢視方向の図である。
【図7】従来のバックパッド構造に係るフロントシート
の斜視図である。
【図8】従来のフロントシートにおける実使用例を示す
図である。
【図9】従来の横吊り構造のシートカバーを被着したフ
ロントシートバックの構成例を示す断面図である。
【図10】従来の横吊り構造のシートカバーの固定用C
リングを示す斜視図である。
【図11】従来のフロントシートバックにおける保護具
の構成例を示す断面図である。
【図12】従来のフロントシートバックにおける保護具
の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 フロントシート 11 シートバック 12 バックパッド 13 シートカバー 14 S字状バネ 15 Cリング 16 フェルト材層 17 保護突片 20 成形用上型 21 成形用下型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47C 7/40 B60N 2/42 B68G 7/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バックパッドのまわりにシートカバーを
    被着し、このシートカバーを複数ヶ所にて前記バックパ
    ッド適所に係着させるようにしたフロントシートバック
    におけるバックパッド構造において、 前記バックパッドの裏面付近にフェルト材層が敷設さ
    記シートカバーの係着位置に対応した前記フェルト材
    から外方に向けて、保護突片が突設され この保護突片が前記バックパッドと同じ発泡材料により
    形成されており、且つ、該 バックパッド及び保護突片
    が、発泡成形によって前記フェルト材層と共に一体に形
    成されていることを特徴とするシートバックにおけるバ
    ックパッド構造。
  2. 【請求項2】 前記バックパッドが、前記シートカバー
    の係着位置にセット用の孔を有し、この孔に装着される
    固定手段によって前記シートカバーを固定するようにし
    たことを特徴とする請求項1に記載のシートバックにお
    けるバックパッド構造。
  3. 【請求項3】 前記保護突片の一部が前記バックパッド
    から切離され、該保護突片を拡開することにより、前記
    固定手段の装着部を露出し得るようにしたことを特徴と
    する請求項2に記載のシートバックにおけるバックパッ
    ド構造。
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