JP3405904B2 - 廃イオン交換樹脂の処理方法 - Google Patents
廃イオン交換樹脂の処理方法Info
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Description
超臨界水(SCW)により分解処理する方法に関するも
のである。
る方法としては、固化法、焼却法、熱分解処理法等があ
る。
くは固化法により処理されており、この固化法は、廃イ
オン交換樹脂を未処理のままセメント固化、アスファル
ト固化またはプラスチック固化などに直接固化して埋め
立て処分する方法であり、埋め立て地や保管場所の確保
や維持管理など多くの問題を抱えている。
オン交換樹脂を完全に分解するために焼却温度を800
〜900℃と高温としなければならず、高温の焼却温度
を維持するためには大量の化石燃料を必要とし、熱エネ
ルギー的に効率が悪い。また、不完全燃焼を起こして副
生成物が発生する可能性があり、さらに焼却後に残渣や
飛灰も多く発生するなどの問題がある。
分解処理する方法も提案されており、例えば700℃で
熱分解して、カーボン純度90%の市販のヤシ殻活性炭
とほぼ同じ性能を有する活性炭が得たという報告がある
(落合ら、第4回廃棄物学会研究発表会、講演論文集2
85頁(1993))。しかし、この熱分解処理による
炭化収率は陽イオン交換樹脂で36%、陰イオン交換樹
脂で19%という低いものであり、工業的に活性炭とし
て再利用するには適当でない。
樹脂の基本構造であるポリスチレンの熱分解を行う方法
も報告されている(阪田ら、化学工学会第28回秋季大
会、研究発表講演要旨集W309(1995))。しか
しこの方法は、反応後の残渣固形物が36.8%(34
0℃)、29.8%(360℃)と多く、工業的に用い
るイオン交換樹脂の処理法として有効とは言い難い。
が、有機物の減容化技術として、有機物を水の臨界温度
・臨界圧力(374℃、22MPa)以上の条件で酸化
処理する超臨界水酸化法が提案(特公平1−38532
号、米国特許第4113446号、米国特許第4338
199号、米国特許第4543190号)されており、
超臨界状態の水が有機化合物や気体に対して高い溶解力
を有し完全に混合することを利用して、均一相に混合し
た物質を短時間(分あるいは秒のオーダー)で酸化分解
できる方法として注目されている。
解性有機物を二酸化炭素と水にまで完全分解することが
できる。
廃イオン交換樹脂の処理方法は、一般的な固化法では廃
棄場所の確保が難しいという問題があり、その対策とし
て減容化を図るために考えられている焼却法や熱分解法
にもそれぞれ解決すべき課題があり、これらのことか
ら、有機物を完全分解できる超臨界水酸化処理法がイオ
ン交換樹脂の減容化技術として注目されるところであ
る。しかしながらこれらのいずれの技術も廃イオン交換
樹脂を資源として再利用するというものではない。
しての再利用は広く考えられているところであり、本発
明者らは、上記廃イオン交換樹脂について、廃棄物の減
容化を図ると共にその再利用化を目的に鋭意検討を進め
た。
れを分解してオイル化し、燃料としてあるいは有機物を
合成するモノマー等として利用することが考えられる
が、イオン交換樹脂には難分解性のものもあり、またカ
チオン交換樹脂では交換基に硫黄を含むものもあるので
分解に伴って酸を生成するなど、その適当な分解処理技
術は未だ提案されていない。
その目的は、廃イオン交換樹脂を分解して減容化を図る
と共に、オイルを回収してその再利用を図るようにした
ところにある。
脂の分解を効率よく行うことができる処理方法を提供す
るところにあり、特に難分解性で交換基に硫黄を含むイ
オン交換樹脂を効率よく分解する処理方法を提供すると
ころにある。
含むイオン交換樹脂を処理する場合に、酸の生成を防い
で装置の耐久性を向上させることができ、またオイルの
収率を向上させることができる処理方法を提供するとこ
ろにある。
進めた結果、上記の目的を達成する上記特許請求の範囲
の各請求項に記載した発明をなすに至ったものである。
法の発明は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂
からなる廃イオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂から
なる廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超臨界水中で
分解し、生成したオイル分を回収する廃イオン交換樹脂
の処理方法であって、廃イオン交換樹脂が交換基に硫黄
を有するものを含む場合に、非酸化性雰囲気下の超臨界
水中での分解に先立って、当該イオン交換樹脂を熱水中
で脱硫処理を行うことを特徴とする。
のは、廃棄対象となったイオン交換樹脂をいい、一般的
には発電所等で使用されて経時的に性能劣化したイオン
交換樹脂をいうが特にこれに限定されるものではない。
また「非酸化雰囲気下」というのは、超臨界水中で行わ
れる分解反応が酸化でない条件であればよく、一般的に
は超臨界水酸化法において行われる酸化剤(空気等)を
実質的に含ませない雰囲気とすればよいが、還元雰囲気
とすることを除外するものではない。なお、処理装置の
型式等にもよるが、例えばバッチ式の反応装置を用いた
処理において反応領域を積極的に不活性ガス(通常は窒
素ガス)に置換した場合には、空気雰囲気下でイオン交
換樹脂の超臨界水分解を行った場合に比べて反応残渣が
少なく、オイル分の収率が高くなるから、上記非酸化の
雰囲気は酸素の存在もない状態とすることが好ましい。
は、水溶性,水不溶性のいずれも含むもので、代表的に
は燃料として再利用できる水不溶性のオイルを挙げるこ
とができるが、有機溶媒で分離回収できる水溶性の有用
物(フェノール類等)を除外するものではない。
水に完全分解する超臨界水酸化法とは異なり、廃イオン
交換樹脂がオイル状の物質(オイル分)に分解されて、
このオイル分を回収することにより、燃料として利用し
たり、あるいはモノマーとしてケミカルリサイクルする
ことができる。
超臨界水分解処理は、臨界温度以上で500℃以下、好
ましくは臨界温度(374℃)〜450℃の温度で、か
つ25〜50MPa、好ましくは35〜50MPaの圧
力下の超臨界水中で行う。
チオン交換樹脂単独、あるいはこれとアニオン交換樹脂
を混合したものを、脱硫の前処理を行った後超臨界水分
解することによって、水不溶性オイルを回収することが
できる。
硫黄を含むイオン交換樹脂を超臨界水分解する場合に、
その超臨界水分解の前に硫黄を除去するので、酸の生成
がなく、水不溶性オイルの収率が高くなる。また、酸生
成がないので、装置として構造が簡易でかつ操作も容易
なパイプ式連続処理型の超臨界水反応装置を使用でき
る。また、反応時間を長くとりたい場合には縦筒型反応
器にその上部からイオン交換樹脂を含む流体を供給して
超臨界水分解を行わせるいわゆるベッセル型と称される
連続処理型の超臨界水反応装置を使用できる。なお、連
続処理する場合には、イオン交換樹脂をスラリー化して
配管中を通して搬送できるように、イオン交換樹脂を粉
砕するか、あるいは流体の粘度を調整して粉砕せずに搬
送させることもできる。
好ましくは250〜350℃の加圧熱水中で脱硫するも
のであることを特徴とする。
器内で飽和蒸気よりも過剰に水が存在する条件で脱硫を
行うことをいう。
されて、超臨界水分解の反応において酸の生成がなく、
中和が不要で、しかも後述する実施例(図7)からも分
かるように脱硫処理によるTOCの溶出も少ないので、
例えばパイプ式等の連続処理型の超臨界水反応装置を用
いて水不溶性のオイルを収率よく回収することができる なお、脱硫により熱水に含まれる硫黄成分に起因する酸
は、中和し塩として分離すればよい。
の発明において、脱硫処理を、廃カチオン交換樹脂をH
型にして行うことを特徴とする。
形である場合に比べて脱硫率が向上し、略100%の脱
硫ができる。
水分解反応装置で分解処理する装置の構成概要を示し、
この図1において、1はイオン交換樹脂タンク(以下
「樹脂タンク」という)であり、スラリー状のイオン交
換樹脂(以下「樹脂スラリー」という)を貯溜し、高圧
ポンプ2により供給配管3を通して超臨界水反応器(以
下端に「反応器」という)4に供給する。5は高圧コン
プレッサーであり、上記の樹脂スラリーを反応器4に供
給する前に、該反応器1内を窒素ガスで置換するように
用いられる。6は反応器4の終端部に接続されている排
出配管であり、減圧装置次いでオイル分離装置(いずれ
も図示せず)に接続されている。
41が設けられていると共に、終端側に冷却部42が設
けられている。
を設けてあらかじめ加熱してもさしつかえない。
スラリーを無酸素雰囲気の反応器内で超臨界水分解する
ことができ、生成された分解生成物は排出配管6を通し
て減圧装置を介してオイル分離装置に送られ、水不溶性
のオイルが分離される。水溶性のオイルは別途、有機溶
媒を用いた溶媒抽出により水と分離される。
の超臨界水分解処理に好適に用いられる。
脂タンク11から高圧ポンプ12により供給配管13を
通して縦筒型の反応器14の上部から樹脂スラリーを供
給するようになっている。なお、本例においては超臨界
水を配管17を介して樹脂スラリー供給配管13に合流
させるようになっている。また反応器14の内部は反応
開始前に配管18を通して窒素ガスを供給することで該
反応器14内を無酸素雰囲気にされる。なお、本例の反
応器14内の下部には、亜臨界水が供給・排出され、容
器内に沈降した固形物を外部に排出できるようになって
いる。
酸素雰囲気の反応器14内で超臨界水分解することがで
き、生成された分解生成物は排出配管16を通して上記
実施形態1と同様に減圧装置を介してオイル分離装置に
送られ、水不溶性のオイル、及び水溶性のオイルを分離
する。
のカチオン交換樹脂の交換基の硫黄を分離・脱硫する脱
硫前処理装置を示している。
タンクであり、スラリーポンプ22により配管23を通
して圧力容器24に供給し、また例えば250〜300
℃、4〜9MPaの熱水を熱水供給配管25から供給し
て所定時間接触させる。
た硫黄分は熱水と共に熱水排出配管26により中和槽2
7に送って中和し、塩含有排出管28を通して外部に排
出する。
は、固形物排出配管29を通して系外に排出される。な
おこの固形物排出配管29は、例えば実施形態1の樹脂
スラリーの供給配管3に接続することで、脱硫・超臨界
水分解の各処理連続型の装置を構成することができる。
ーライトAmb−200C(ローム・アンド・ハース社
製)を用い、超臨界水分解装置としてオートクレーブ
(内容積300cc:インコネル625)を使用して電
気炉により加熱を行って超臨界水分解の処理を以下の通
りにして行った。
量後、反応温度における任意の反応圧力を得るために必
要な水量(純水)と共にオートクレーブに充填し、内部
を窒素ガスで置換した後、加熱を開始した。
反応時間60分の間反応条件を保持し、時間経過後に電
気炉による加熱を停止し冷却後、試料を回収した。
測定し、圧力は圧力センサーで測定した。また、イオン
交換樹脂の物性値は下記表1に、元素組成を下記表2に
示した。
料は、固形物を濾別し、濾液を水と非極性溶媒(塩化メ
チレン)で分液し、生成オイルを溶媒中に抽出した。
重量から固形物残留率を算出し、生成オイルはエバポレ
ータを用いて溶媒を減圧蒸発させ、残ったオイルの重量
を測定した。なお、水溶性物質については、全重量を測
定することが難しいため、処理水のTOC(総有機炭素
量)から水溶性炭素収率(水相中のC重量/イオン交換
樹脂重量)を算出し評価した。
(無酸素雰囲気)の36MPaの項)。また生成した化
学物質はガスクロマトグラフィーを用いて同定した。
にしてイオン交換樹脂の超臨界水分解を行い、結果を図
4及び図5に示した(SCW分解(無酸素雰囲気)の4
1MPaの項)。
雰囲気のままとした他は、実施例1と全く同様(圧力は
36MPa)にして試験を行い、分析結果を図4及び図
5に示した(SCW分解(空気雰囲気)の項)。
オン交換樹脂を計量後管に充填し、該管内の空気を排出
して真空条件下とした後、電気炉による加熱を行い、温
度400℃に達してから30分間その条件を保持した。
分解により生成するガスは冷却管を通し液化して回収し
た。
1と同様にして分析し、その結果を図4及び図5に示し
た(熱分解の項)以上の参考例1,2及び比較例1,2
の結果から分かるように、熱分解の場合は、固形物残留
率が約42wt%、生成したオイル収率(溶媒を減圧蒸
発後のオイルの回収率)は約5wt%であり、熱分解法
では反応残渣が大量であり、オイル収率も低いことが分
かる。
の空気雰囲気であっても熱分解に比べて固形物残留率が
約18wt%、生成オイル収率14wt%と優れていた
が、参考例1の無酸素雰囲気で反応圧力を36MPaと
した場合に、固形物残留率が約13wt%、生成オイル
収率33wt%であり、更に参考例2の反応圧力を41
MPaとした場合には、固形物残留率は参考1同程度
で、生成オイル収率は44.5wt%まで大幅に向上し
た。
的低沸点の物質の同定の結果は、水不溶性オイル中に、
ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,スチレンなどが
大きなピークを示して検出された。また水溶性の物質と
してはフェノール類が検出された。
に、超臨界水分解により生成する酸を中和するのに必要
な理論量よりも過剰に水酸化ナトリウムを添加した他
は、参考例1と全く同じ条件で超臨界水分解を行い、結
果を図6に示した。なお図6には、比較のために参考例
1(水酸化ナトリウム添加せず)の結果を合わせて示し
た。
で酸が生成する場合に、これにアルカリを添加して中和
する操作を行うと、水不溶性オイルの収率が著しく低下
することが分かる。これは、ナトリウムによる触媒効果
とアルカリ添加による加水分解の促進により生成すべき
オイルがより低分子化し、フェノール類などの水溶性物
質にまで転換されるためと考えられる。
オン交換樹脂:アンバーライトAmb−200C(前
出)の脱硫を行った。
填し、内部を窒素ガスに置換してから加熱し、設定温度
に達してから30分間熱水中に保持して行った。
で200℃(イオン交換樹脂はH形)、:圧力9MP
aで300℃(イオン交換樹脂はH形)、:圧力9M
Paで300℃(イオン交換樹脂はNa形)とした。
して評価した。結果を下記表3に示す。
溶出するTOC量を処理水中のTOC成分を測定して調
べ、結果を図7に示した。
いずれの温度においてもTOC成分の溶出率が低いた
め、脱硫処理後に超臨界水分解を行ってもオイル収率が
低下することはない。
℃の熱水中では脱硫が30%程度であるが、300℃程
度の熱水中で脱硫することにより、イオン交換樹脂の交
換基に含まれる硫黄が100%除去されることが分か
る。また300℃の場合には、交換基がNa形であって
も80%以上の高い脱硫率となることが分かる。
交換樹脂であっても、脱硫の前処理を効果的に行うこと
ができ、この処理により中和のためのアルカリ添加を行
うことなく超臨界水分解処理を実施できることが確認さ
れた。
臨界水分解により廃イオン交換樹脂を分解して減容化を
図ることができると共に、オイルを回収してこれを例え
ば燃料あるいはモノマーとして再利用することができる
という効果が奏される他、以下の効果が奏される。
換樹脂を、前処理で脱硫することでその硫黄を分離する
ことができ、超臨界水分解の処理の際に中和が必要ない
ので、水不溶性のオイルを高い収率で回収できる。
H形とすることでより脱硫効率を高くすることができ
る。
超臨界水反応装置の概要を示した図。
型の超臨界水反応装置の概要を示した図。
装置の概要を示した図。
結果を示した図。
果を示した図。
ためにアルカリ添加をした場合の影響を示した図。
溶出量を測定した結果を示した図。
Claims (4)
- 【請求項1】 アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹
脂からなる廃イオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂か
らなる廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超臨界水中
で分解し、生成したオイル分を回収する廃イオン交換樹
脂の処理方法であって、廃イオン交換樹脂が交換基に硫
黄を有するものを含む場合に、非酸化性雰囲気下の超臨
界水中での分解に先立って、当該イオン交換樹脂を熱水
中で脱硫処理を行うことを特徴とする廃イオン交換樹脂
の処理方法。 - 【請求項2】 熱水が、250〜350℃であることを
特徴とする請求項1に記載の廃イオン交換樹脂の処理方
法。 - 【請求項3】 脱硫処理は、廃カチオン交換樹脂をH型
にして行うことを特徴とする請求項1または2に記載の
廃イオン交換樹脂の処理方法。 - 【請求項4】 脱硫処理によってイオン交換樹脂から脱
離した硫黄に起因する酸を中和し、塩として分離する工
程を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
1項に記載の廃イオン交換樹脂の処理方法。
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