JP2998734B2 - 超臨界水による無機物の回収方法 - Google Patents

超臨界水による無機物の回収方法

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JP2998734B2
JP2998734B2 JP2746698A JP2746698A JP2998734B2 JP 2998734 B2 JP2998734 B2 JP 2998734B2 JP 2746698 A JP2746698 A JP 2746698A JP 2746698 A JP2746698 A JP 2746698A JP 2998734 B2 JP2998734 B2 JP 2998734B2
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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物の処理
方法に関し、詳しくは、樹脂組成物を構成する有機性成
分のみを、酸素を含む超臨界水中で、完全に酸化分解す
ることによって、無機物の物性の変化を伴わせることな
く、樹脂組成物から回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無機物をフィラーまたは補強材として充
填されている樹脂組成物は、汎用的な家庭電化製品か
ら、精密な電子機器や部品に至る広い分野で利用されて
いる。これらの樹脂組成物の製造工程で発生する破材や
製品廃棄物の多くは、有効利用されることが少なく、そ
の大半が焼却や埋め立てによる廃棄が行われており、資
源の有効利用はもとより、環境汚染防止の立場からも、
再生利用技術の開発が強く望まれている。
【0003】従来の樹脂組成物からの無機物の回収技術
としては、例えば、800〜900℃の高温の燃焼炉内
で、樹脂成分を焼成して、無機物の回収及び分球するシ
リカ再生方法(特開平5−139715)や、シリカを
充填した熱硬化性樹脂組成物を粉砕し、800〜130
0℃で焼却して行う無機質充填材シリカの回収方法(特
開平6−87123)などの、乾式で行う、無機物の回
収技術の開示がある。あるいは樹脂組成物を、無機物が
熱劣化しない温度条件の下で、酸化剤を添加して行う湿
式分解技術を利用した、樹脂分解物から無機物を分離回
収する、プラスチック材料からの無機充填材の回収方法
(特開平9−59422)が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
従来方法は、例えば、乾式処理で無機物を回収する、特
開平5−139715や、特開平6−87123の場
合、樹脂成分の完全な酸化分解を行うための、800〜
1200℃程度の高温燃焼処理が必要であり、熱分解に
伴って発生する、有機及び無機系の有害物資を含む排ガ
ス処理設備が必要となる。特に特開平5−139715
で述べられている。900℃以下の比較的低温で行う焼
却処理では、熱分解廃ガス中に含まれる、有害な有機化
合物の無害化処理が必須であり、そのままでは、大気環
境へ与える負荷が非常に高くなるなどの問題があった。
【0005】さらに、回収される無機物においては、燃
焼工程での炉壁との接触による汚染を伴い、回収物の品
位を低下させる原因となっている。
【0006】一方、湿式酸化技術を利用する、特開平9
−59422の場合では、330℃前後の比較的低い温
度を利用して分解処理を行うため、乾式で行う燃焼処理
に比べれば、回収時の処理コストや廃ガスの発生が少な
いので、環境負荷が低いなどの利点はある。しかしなが
ら、無機質の回収物に着目すると、処理後の液層中に存
在する油状の低分子化合物や、水溶液中に溶解した水溶
性の有機物質との接触による品位の低下を招きやすい。
さらに、有機質の回収物に着目すると、多くの場合、油
状の低分子化合物であるが、臭素あるいは塩素系の難燃
剤が分解して形成する、有機臭素化合物となって回収物
へ混入するので、回収物の燃料としての利用が難しく、
またモノマーなどの原料としての再利用技術も十分確立
されていない。
【0007】このように、従来の湿式酸化分解技術で
は、特定の物質に対しては有効であったり、特定の触媒
との併用で初めて分解が可能となる場合が多く、不特定
多種類の樹脂への利用は難しく、また回収物の再利用技
術も十分ではなかった。
【0008】そこで本発明は、従来技術では不十分であ
った、不特定の樹脂成分からなる樹脂組成物からの無機
物の高純度回収と、処理工程が与える環境負荷の低減と
を両立させる、環境負荷の低い無機物の回収技術を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的は以下の手段
によって達成される。
【0010】すなわち、本発明は、無機物を含有する
硬化性樹脂組成物の樹脂成分を、5mm以下の粒径に粉
砕し、酸化剤を含む超臨界水で、酸化分解して、非酸化
分解性の無機物を回収することを特徴とする、超臨界水
による無機物の回収方法を提案するものであり、前記熱
硬化性樹脂エポキシ樹脂やフェノール樹脂との硬化物で
あること、前記の樹脂組成物を分解する分解条件とし
て、温度が374℃以上、圧力が22MPa以上である
こと、前記の樹脂組成物に含まれる無機物の主要化学組
成が、二酸化珪素であること、前記の酸化剤が、空気、
酸素、オゾン、または過酸化水素を用いることを含む。
【0011】上記の本発明によれば、樹脂組成物は、約
400℃以上の比較的低温の、酸素を含有する超臨界水
と共存させることで、通常の環境濃度では無害な二酸化
炭素、窒素や水へと完全に分解され、直接大気汚染を引
き起こす有害な2次生成物を発生させることなく、処理
コストと排出ガスによる環境負荷を低減できる。
【0012】まず超臨界水処理後の処理水であるが、水
中の有機物質濃度はTOC濃度換算で数ppm以下と極
めて低く、極く僅かに存在する有機物質の化学構造は主
にカーボンであるため、有機系の排水処理設備を必要と
しないので、廃水処理設備、処理コストの削減と同時
に、排水による環境負荷を低減できる。ただし、ハロゲ
ン系の難燃剤を含有する樹脂組成物の分解処理では、最
終酸化分解物として、臭化水素や塩化水素などのハロゲ
ン水素化合物の形成を伴うので、中和処理が必要となる
が、予め樹脂処理量に対応した中和剤を添加すれば、樹
脂の分解と同時に中和処理を完了させることもできるの
で、新たな中和処理設備を必要としない。次に回収され
た無機物に注目すると、反応容器との接触はあるが、分
解処理工程での動的な摩擦がないので、反応容器による
直接的な汚染は無視できる水準であり、超臨界水自身が
金属を溶解し難いため、容器金属の水中への溶解と、溶
解金属による2次汚染が極めて少ない。
【0013】さらに処理水中の有機物質濃度が低いの
で、水中に残留した有機物質による回収物の汚染は殆ど
なく、また回収物中のカーボン残留濃度も数十ppm以
下まで低減するので、有機物による汚染が極めて少ない
無機物の回収を実現する。
【0014】これらの作用は、従来の無機物の回収技術
と比較して、処理工程から発生する2次生成物による環
境負荷を飛躍的に低減すると同時に、有機物で汚染され
ることなく無機物を回収する2つの効果をもたらす。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
に図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、
本発明の最も基本的な実施形態としては、樹脂組成物
(1)の樹脂成分を酸化分解させるための耐圧型の反応
容器(2)、反応容器を加熱昇温及び保持させる加熱炉
(3)、反応容器内の温度を監視する温度計(4)及び
圧力計(5)と任意の温度を設定するための制御部
(6)からなる。
【0016】本発明における超臨界水とは、後述する水
の超臨界条件を作り得る耐圧加熱装置により酸素供給下
で処理して得られる水をいう。
【0017】本発明で利用する、水の超臨界条件を作り
出す耐圧加熱装置は、図1で示したバッチ式の装置であ
る必要はなく、外部からの連続的な試料、水、酸化剤な
どの供給や、処理液及び回収物の排出が可能な構造を持
つ装置の利用も可能であり、基本的には超臨界水を作り
出すことができる機構を備えていれば、その構造は特に
限定されない。このような連続処理形式では、予め分解
処理を行う樹脂組成物を1cm以下、好ましくは5mm
以下の粒径に粉砕することによって、試料の供給及び排
出が速やかに行えるほか、反応時間を短縮し、より効率
的な分解処理を実現する。
【0018】水の超臨界条件は樹脂組成物を分解し得る
温度374℃以上〜700℃、圧力22MPa〜50M
Paの範囲、さらに好ましくは温度430℃〜600
℃、圧力25MPa〜50Paの範囲が好ましい。
【0019】前述の温度及び圧力処理条件を超えると耐
圧容器及び耐圧設備の耐久性が必要となることや設備
費、処理コストが増加する等の問題があり好ましくな
い。
【0020】本発明で対象とする樹脂組成物の種類は特
に限定されないが、通常、廃材、成形残、破材、不良
品、不良材などの、それ自体何らかの方法で処理しなけ
ればならない廃棄物が対象となる。しかし無機物を有機
物から分離、もしくは有機物で汚染された無機物の純度
の向上を目的とした利用も可能であり、特にこのような
目的で利用する場合は、処理対象物は廃棄物に限定され
ない。
【0021】樹脂組成物を構成する樹脂の化学成分は、
熱硬化性樹脂であって、構成成分が2種類以上からなる
ポリマーアロイや混合物あるいは積層物であってもよ
い。
【0022】樹脂組成物を構成する樹脂成分、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド
樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、メラ
ミン樹脂キシレン樹脂などなどが挙げられ、特に、従来
の方法では、分解が難しかった、エポキシ樹脂やフェノ
ール樹脂の硬化物が好ましい。
【0023】本発明によって、樹脂組成物から回収され
る無機物は、樹脂などの有機媒体に含有させることがで
き、水の超臨界条件下における樹脂成分が完全に分解し
得る湿度及び圧力環境において、元の充填物の形状及び
各種の物性が維持されたまま回収できれば、特にその形
状や物質種は限定されない。例えば、無機物の材質とし
ては、アルミナ、酸化チタン、酸化珪素などの酸化物、
窒化アルミニウムなどの窒化物、炭酸カルシウム、タル
ク、石英、ガラス、ケイ砂や金属などの天然物を含む無
機物が挙げられ、特に、回収時に物性が変化し難い、シ
リカやガラスなどが好ましい。無機物の形態は、粒状、
粉状、繊維状、扁平状などが挙げられ、特に限定はな
い。
【0024】また無機物であれば、その利用目的は、何
等限定されることはない。具体的な樹脂組成物として
は、ICなどの電子部品で利用させる樹脂封止材料やプ
リント基板などの熱硬化性樹脂組成物が挙げられ、樹脂
封止材料からなる成形残からは無機物である溶融シリカ
の粉体、プリント配線基板からはガラス繊維や銅配線
を、筐体材料からは難燃助剤のアンチモン酸化物が回収
できる。
【0025】次に本発明の基本的な利用方法及び動作原
理について説明する。樹脂組成物からの無機物の回収
は、反応容器内に所定量の試料と、樹脂成分を完全に酸
化分解し得る理論的な酸素要求量以上の酸素を含むガ
ス、あるいは加熱時に酸素を発生させる過酸化水素など
の酸化剤と水を充填し、これを水の超臨界条件まで加熱
及び加圧する。目的の処理条件に達した状態で、数十秒
〜数分間保持した後、反応容器を冷却し、十分に温度が
下がったことを確認して内容物を取り出し、静置もしく
は遠心分離器を用いて液層と無機物とを分離する。無機
物を回収した後に残る水は、再び樹脂の分解媒体として
利用でき、さらに有機物を含有する排水などの利用も可
能であり、液状廃棄物と固形状廃棄物を同時に無害化処
理して、有価物として無機物を回収することができる。
有機物質を含有する排水などの利用では、排水中の有機
物が分解する際の発熱による自燃により、加熱時の外部
供給エネルギーが節約できる。
【0026】樹脂組成物の樹脂成分を酸化分解させるた
めに用いる酸素の供給源は、酸素ガス、オゾン、空気な
どの酸素を含有する気体や、分解処理条件で酸素を発生
させる酸化剤、例えば過酸化水素などが利用でき、分解
物の酸化分解反応で必要な理論酸素濃度が供給できれ
ば、特にその形状や種類、さらに、供給方法は限定され
ない。
【0027】本発明で使用する樹脂が、塩素や臭素など
のハロゲンやリン化合物を難燃剤などとして含有する場
合、これらの最終生成物はハロゲン化水素酸となる。例
えば、樹脂の化学組成に、塩素や臭素を含有する場合は
臭化水素や塩化水素が、樹脂の化学組成に硫黄元素が含
まれる場合は硫酸が、さらにリン元素が含まれる場合は
リン酸が形成される。これらは塩基性物質である水酸化
ナトリウムなどの中和剤を、樹脂と共に混入させること
により、塩化水素は塩化ナトリウム、硫黄は硫酸ナトリ
ウム、リン酸はリン酸ナトリウムなどの塩の形に中和で
きるので、樹脂の分解反応工程での酸による反応容器の
腐食を防止することができる。さらに、最終的に得られ
る処理液には、有機物が殆ど含まれないので、中和処理
を行うだけで安全に無害化できる。
【0028】樹脂組成物を超臨界水で酸化分解した後
は、遠心分離器や濾過装置を用いて、液層と無機物とを
分離、回収する。無機物の粒子径がサブミクロン程度に
なると、目詰まりによる濾過効率が低下して作業効率が
悪化する場合があるので、このような場合は、遠心分離
器などを利用したり、沈降槽を設けることによって、完
全に無機物を分離回収できる。分離された水は、再び樹
脂組成物の樹脂分解処理用に循環利用させての利用も可
能である。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。な
お、本発明は以下に説明する実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1〜6)表1に、実施例1〜6で用いた熱硬化
性の樹脂組成物を構成する化学成分の重量百分率を示
す。試験で用いた樹脂組成物は、予め粉砕機を用いて粒
径1〜3mmに粉砕し、材質Inconel−625か
らなる、内容積50mlの耐圧容器へ、約0.54〜
1.27g、純水3.1〜7.1ml、及び酸化剤とし
て過酸化水素を酸素比で1.5になるように添加した。
加熱温度は、374,400,450,500,55
0,600℃の6条件とし、それぞれを実施例1〜6と
して、圧力23.6MPa、反応継続時間60秒の一定
処理条件での超臨界水処理を行った。処理後に残留した
無機物は、自然冷却の後に遠心分離器で液層から分離し
て自然乾燥させた。
【0030】回収物の不純物分析として行った炭素の残
留濃度の測定は、堀場製作所製EMIA U520SP
を用いた。また、回収物中の臭素含有濃度の測定は、回
収物を窒素ガスを通気させながら加熱炉で900℃まで
昇温し、その際に発生したガスを水酸化ナトリウム溶液
へ通気させて無機臭素を捕集し、これをDIONEX社
製のイオンクロマトグラム2010iで定量した。
【0031】処理水中の全有機炭素量であるTOC濃度
の測定は、島津製作所製のTOC−5000を用い定量
した。なお、臭素イオンの測定は、前述の回収物中での
分析方法と同様の分析機器を用い定量した。
【0032】排ガスは、ガスクロマトグラフィー質量分
析法により、日立製作所製M−80B型を用いて、構成
成分の同定と定量を行った。
【0033】表8に、これらの結果を示す。
【0034】
【表1】 (実施例7)表2に、実施例7で用いた熱硬化性の樹脂
組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試験で
用いた樹脂組成物は、予め粉砕機を用いて粒径1〜3m
mに粉砕し、材質Inconel−625からなる、内
容積50mlの耐圧容器へ、約0.7g、純水4.23
ml、及び酸化剤として過酸化水素を酸素比で1.5に
なるように添加した。加熱温度は、500℃とし、圧力
23.6MPa、反応継続時間60秒の一定処理条件で
の超臨界水処理を行った。処理後に残留した無機物は、
自然冷却の後に遠心分離器で液層から分離して自然乾燥
させた。
【0035】回収物の不純物分析として行った炭素の残
留濃度の測定は、堀場製作所製EMIA U520SP
を用いた。また、回収物中の臭素含有濃度の測定は、回
収物を窒素ガスを通気させながら加熱炉で900℃まで
昇温し、その際に発生したガスを水酸化ナトリウム溶液
へ通気させて無機臭素を捕集し、これをDINEX社製
のイオンクロマトグラム2010iで定量した。回収物
中のアンチモン含有濃度の分析は、回収物を硝酸+硫酸
+フッ酸の混酸で完全に溶解させ、塩酸で定量したもの
を分析試料とし、セイコー電子工業製のICP発光分析
機(PSP−1200型)を用いて定量した。
【0036】処理水中の全有機炭素量であるTOC濃度
の測定は、島津製作所製のTOC−5000を用い定量
した。なお、臭素イオンの測定は、前述の回収物中での
分析方法と同様の分析機器を用い定量した。
【0037】排ガスは、ガスクロマトグラフィー質量分
析法により、日立製作所製M−80B型を用いて、構成
成分の同定と定量を行った。
【0038】表9に、これらの結果を示す。
【0039】
【表2】 (実施例8)表3に、実施例8で用いた熱硬化性の樹脂
組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試験で
用いた樹脂組成物の前処理及び超臨界水処理は、実施例
7で述べた方法及び条件で行った。処理後の回収物、処
理水及びガス分析は、実施例1〜8で述べた手順、方法
及び分析装置で行った。表9に、これらの結果を示す。
【0040】
【表3】 (実施例9)表4に、実施例9で用いた熱硬化性の樹脂
組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試験で
用いた樹脂組成物の前処理及び超臨界水処理は、実施例
7で述べた方法及び条件で行った。処理後の回収物、処
理水及びガス分析は、実施例1〜8で述べた手順、方法
及び分析装置で行った。表9に、これらの結果を示す。
【0041】
【表4】 (実施例10)表5に、実施例10で用いた熱硬化性の
樹脂組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試
験で用いた樹脂組成物の前処理及び超臨界水処理は、実
施例7で述べた方法及び条件で行った。処理後の回収
物、処理水及びガス分析は、実施例1〜8で述べた手
順、方法及び分析装置で行った。
【0042】表9に、これらの結果を示す。
【0043】
【表5】 (実施例11)表6に、実施例11で用いた熱硬化性の
樹脂組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試
験で用いた樹脂組成物の前処理及び超臨界水処理は、実
施例7で述べた方法及び条件で行った。処理後の回収
物、処理水及びガス分析は、実施例1〜8で述べた手
順、方法及び分析装置で行った。
【0044】表9に、これらの結果を示す。
【0045】
【表6】 (実施例12)表7に、実施例12で用いた熱硬化性の
樹脂組成物を構成する化学成分の重量百分率を示す。試
験で用いた樹脂組成物の前処理及び超臨界水処理は、実
施例7で述べた方法及び条件で行った。処理後の回収
物、処理水及びガス分析は、実施例1〜8で述べた手
順、方法及び分析装置で行った。
【0046】表9に、これらの結果を示す。
【0047】
【表7】 (比較例1)表10に、実施例1〜6で用いた同様の熱
硬化性樹脂組成物を用い、水の超臨界状態よりも低い、
温度250℃、圧力6.7MPa及び処理継続時間20
分での試験結果を示す。試験方法及びサンプルの処理手
順は、前述の実施例と同様である。表10に、これらの
結果を示す。 (比較2)表10に、実施例1〜6で用いた同様の熱硬
化性樹脂組成物を用い、水の超臨界状態よりも低い、温
度300℃、圧力8.7MPa及び処理継続時間20分
での試験結果を示す。試験方法及びサンプルの処理手順
は、前述の実施例と同様である。表10に、これらの結
果を示す。 (比較3)表10に、実施例1〜6で用いた同様の熱硬
化性樹脂組成物を用い、水の超臨界状態よりも低い、温
度350℃、圧力11.7MPa及び処理継続時間20
分での試験結果を示す。試験方法及びサンプルの処理手
順は、前述の実施例と同様である。表10に、これらの
結果を示す。
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】 表8から明かのように、主に熱硬化性のエポキシ樹脂か
らなる樹脂組成物の超臨界水処理では、処理後の回収物
の目視観察から、水が超臨界状態となる約374℃以上
では樹脂組成物中の有機物の酸化分解が顕著になり、特
に500℃以上では、無機充填材のみが効率よく回収で
きる。
【0051】回収物に着目すると、残留物として回収さ
れた、非酸化分解物の大半は無機充填材として添加した
溶融シリカであり、樹脂の酸化分解物である、炭素の残
留濃度は40ppm以下と非常に高純度である。
【0052】次に超臨界水処理後の処理水に着目する
と、450℃以上で加熱された処理水中には、炭化水素
化合物に由来する有機物は殆ど検出されず。その大半は
炭素として約0.8から2.6ppm以下の濃度で僅か
に残留するのみであり、特別な有機排水処理設備を必要
としないことがわかる。また、難燃剤として添加された
有機臭素系化合物は、最終的に臭化水素酸へと変化し、
臭素イオンとして残留したが、耐圧容器への影響は目視
観察では全く見られなかった。廃水処理に際しては、苛
性ソーダなどの中和剤の添加で容易に無害化できる。中
和剤を分解試料と共に予め添加しておけば、pHをより
腐食性の低い中性域で維持しながらの分解処理も可能で
ある。
【0053】一方、超臨界水よりも緩和な処理条件で行
った比較例1〜3からは、樹脂組成物の分解反応は殆ど
見られず、比較例1〜3で検討した樹脂を酸化分解処理
することは不可能であった。特開平9−59422で
は、特にウレタン樹脂の分解性について、湿式酸化分解
処理の有効性が謳われているが、本比較例で用いたエポ
キシ樹脂系の熱硬化性樹脂組成物に対する処理効果は全
く見出されなかった。したがって、本発明で説明したよ
うな、不特定多種類の樹脂材料を完全に酸化分解するこ
とによる無機物の回収は、極めて困難であることがわか
る。
【0054】表9に示した実施例7〜12からは、超臨
界水による各種の樹脂組成物の分解処理が、樹脂の化学
特性、すなわち熱硬化性(実施例7〜10)あるいは熱
可塑性(実施例11〜12)によらず速やかに完了し、
回収物として、実施例7では無機充填材の溶融シリカと
難燃助剤の酸化アンチモン、実施例8及び9では補強材
のガラス繊維、実施例10では補強材のガラス繊維と配
線の銅が、さらに、実施例1では充填材のシリカが、実
施例12からは難燃助剤の酸化アンチモンが、それぞれ
回収できることがわかる。これらの回収物中の炭素の残
留濃度はいずれも30ppm以下であり、有機物質によ
る汚染が極めて少ない。したがって、回収物が単一種の
無機物からなる場合はそのまま、2種類以上の無機物か
らなる場合は両者を適当な方法で分離することによっ
て、再び原材料としての再利用も可能である。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、無機物を含有した樹脂
組成物を、酸素を含む超臨界水によって完全に酸化分解
することによって、大気及び水質に対し環境負荷の大き
な有害物を発生させることなく、有機物による汚染の極
めて少ない状態での、無機物の回収を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂組成物の超臨界水処理を行う基本システム
の模式図である。
【符号の説明】
1 樹脂組成物 2 耐圧型の反応容器 3 電気炉 4 温度計 5 圧力計 6 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 11/00 B29B 17/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物を含有する熱硬化性樹脂組成物の
    樹脂成分を、5mm以下の粒径に粉砕し、酸化剤を含む
    超臨界水で、酸化分解して、非酸化分解性の無機物を回
    収することを特徴とする、超臨界水による無機物の回収
    方法。
  2. 【請求項2】 前記熱硬化性樹脂エポキシ樹脂やフェノ
    ール樹脂との硬化物である請求項1記載の無機物の回収
    方法。
  3. 【請求項3】 前記の樹脂組成物を分解する分解条件と
    して、温度が374℃以上、圧力が22MPa以上であ
    る請求項1または2記載の無機物の回収方法。
  4. 【請求項4】 前記の樹脂組成物に含まれる無機物の主
    要化学組成が、二酸化珪素である請求項1〜3のうちい
    ずれか1項に記載の無機物の回収方法。
  5. 【請求項5】 前記の酸化剤が、空気、酸素、オゾン、
    または過酸化水素を用いる、請求項1〜4のうちいずれ
    か1項に記載の無機物の回収方法。
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