JPH1149889A - 廃イオン交換樹脂の処理方法 - Google Patents

廃イオン交換樹脂の処理方法

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JPH1149889A
JPH1149889A JP21357497A JP21357497A JPH1149889A JP H1149889 A JPH1149889 A JP H1149889A JP 21357497 A JP21357497 A JP 21357497A JP 21357497 A JP21357497 A JP 21357497A JP H1149889 A JPH1149889 A JP H1149889A
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博光 太田
Satoshi Umeda
聡 梅田
Maki Uchiyama
万貴 内山
Shinichirou Kawasaki
慎一朗 川崎
Akira Suzuki
明 鈴木
Tokuyuki Anjo
徳幸 安生
Taro Oe
太郎 大江
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    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃イオン交換樹脂を分解して減容化を図ると
共に、オイルを回収してその再利用を図る。 【解決手段】 廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超
臨界水中で分解し、生成したオイル分を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換樹脂を
超臨界水(SCW)により分解処理する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】廃棄処分されるイオン交換樹脂を処理す
る方法としては、固化法、焼却法、熱分解処理法等があ
る。
【0003】現在廃棄処分となったイオン交換樹脂の多
くは固化法により処理されており、この固化法は、廃イ
オン交換樹脂を未処理のままセメント固化、アスファル
ト固化またはプラスチック固化などに直接固化して埋め
立て処分する方法であり、埋め立て地や保管場所の確保
や維持管理など多くの問題を抱えている。
【0004】イオン交換樹脂を焼却処理する方法は、イ
オン交換樹脂を完全に分解するために焼却温度を800
〜900℃と高温としなければならず、高温の焼却温度
を維持するためには大量の化石燃料を必要とし、熱エネ
ルギー的に効率が悪い。また、不完全燃焼を起こして副
生成物が発生する可能性があり、さらに焼却後に残渣や
飛灰も多く発生するなどの問題がある。
【0005】また焼却法とは別に、イオン交換樹脂を熱
分解処理する方法も提案されており、例えば700℃で
熱分解して、カーボン純度90%の市販のヤシ殻活性炭
とほぼ同じ性能を有する活性炭が得たという報告がある
(落合ら、第4回廃棄物学会研究発表会、講演論文集2
85頁(1993))。しかし、この熱分解処理による
炭化収率は陽イオン交換樹脂で36%、陰イオン交換樹
脂で19%という低いものであり、工業的に活性炭とし
て再利用するには適当でない。
【0006】さらに、基礎的な研究として、イオン交換
樹脂の基本構造であるポリスチレンの熱分解を行う方法
も報告されている(阪田ら、化学工学会第28回秋季大
会、研究発表講演要旨集W309(1995))。しか
しこの方法は、反応後の残渣固形物が36.8%(34
0℃)、29.8%(360℃)と多く、工業的に用い
るイオン交換樹脂の処理法として有効とは言い難い。
【0007】以上のイオン交換樹脂の処理法とは異なる
が、有機物の減容化技術として、有機物を水の臨界温度
・臨界圧力(374℃、22MPa)以上の条件で酸化
処理する超臨界水酸化法が提案(特公平1−38532
号、米国特許第4113446号、米国特許第4338
199号、米国特許第4543190号)されており、
超臨界状態の水が有機化合物や気体に対して高い溶解力
を有し完全に混合することを利用して、均一相に混合し
た物質を短時間(分あるいは秒のオーダー)で酸化分解
できる方法として注目されている。
【0008】この超臨界水酸化処理により、例えば難分
解性有機物を二酸化炭素と水にまで完全分解することが
できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
廃イオン交換樹脂の処理方法は、一般的な固化法では廃
棄場所の確保が難しいという問題があり、その対策とし
て減容化を図るために考えられている焼却法や熱分解法
にもそれぞれ解決すべき課題があり、これらのことか
ら、有機物を完全分解できる超臨界水酸化処理法がイオ
ン交換樹脂の減容化技術として注目されるところであ
る。しかしながらこれらのいずれの技術も廃イオン交換
樹脂を資源として再利用するというものではない。
【0010】ところで、近時においては廃棄物の資源と
しての再利用は広く考えられているところであり、本発
明者らは、上記廃イオン交換樹脂について、廃棄物の減
容化を図ると共にその再利用化を目的に鋭意検討を進め
た。
【0011】イオン交換樹脂の再利用としては、通常こ
れを分解してオイル化し、燃料としてあるいは有機物を
合成するモノマー等として利用することが考えられる
が、イオン交換樹脂には難分解性のものもあり、またカ
チオン交換樹脂では交換基に硫黄を含むものもあるので
分解に伴って酸を生成するなど、その適当な分解処理技
術は未だ提案されていない。
【0012】本発明はかかる観点からなされたもので、
その目的は、廃イオン交換樹脂を分解して減容化を図る
と共に、オイルを回収してその再利用を図るようにした
ところにある。
【0013】また本発明の別の目的は、廃イオン交換樹
脂の分解を効率よく行うことができる処理方法を提供す
るところにあり、特に難分解性で交換基に硫黄を含むイ
オン交換樹脂を効率よく分解する処理方法を提供すると
ころにある。
【0014】本発明の更に別の目的は、交換基に硫黄を
含むイオン交換樹脂を処理する場合に、酸の生成を防い
で装置の耐久性を向上させることができ、またオイルの
収率を向上させることができる処理方法を提供するとこ
ろにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
進めた結果、上記の目的を達成する上記特許請求の範囲
の各請求項に記載した発明をなすに至ったものである。
【0016】本願請求項1の廃イオン交換樹脂の処理方
法の発明は、廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超臨
界水中で分解することを特徴とし、請求項2の発明は、
該分解により生成したオイル分を回収することを特徴と
する。
【0017】上記において「廃イオン交換樹脂」という
のは、廃棄対象となったイオン交換樹脂をいい、一般的
には発電所等で使用されて経時的に性能劣化したイオン
交換樹脂をいうが特にこれに限定されるものではない。
また「非酸化雰囲気下」というのは、超臨界水中で行わ
れる分解反応が酸化でない条件であればよく、一般的に
は超臨界水酸化法において行われる酸化剤(空気等)を
実質的に含ませない雰囲気とすればよいが、還元雰囲気
とすることを除外するものではない。なお、処理装置の
型式等にもよるが、例えばバッチ式の反応装置を用いた
処理において反応領域を積極的に不活性ガス(通常は窒
素ガス)に置換した場合には、空気雰囲気下でイオン交
換樹脂の超臨界水分解を行った場合に比べて反応残渣が
少なく、オイル分の収率が高くなるから、上記非酸化の
雰囲気は酸素の存在もない状態とすることが好ましい。
【0018】なお、上記において「オイル」というの
は、水溶性,水不溶性のいずれも含むもので、代表的に
は燃料として再利用できる水不溶性のオイルを挙げるこ
とができるが、有機溶媒で分離回収できる水溶性の有用
物(フェノール類等)を除外するものではない。
【0019】上記の発明によれば、有機物を炭酸ガスと
水に完全分解する超臨界水酸化法とは異なり、廃イオン
交換樹脂がオイル状の物質(オイル分)に分解されて、
このオイル分を回収することにより、燃料として利用し
たり、あるいはモノマーとしてケミカルリサイクルする
ことができる。
【0020】請求項3の発明は、上記の発明における非
酸化雰囲気下で行う超臨界水分解処理を、臨界温度以上
で500℃以下、好ましくは臨界温度(374℃)〜4
50℃の温度で、かつ25〜50MPa、好ましくは3
5〜50MPaの圧力下の超臨界水中で行うことを特徴
とする。
【0021】上記範囲、すなわち超臨界水酸化処理に適
していると考えられている比較的高温で低圧(例えば5
50〜650℃、22〜25MPa)の条件に比べ、比
較的低温で高い圧力の超臨界水中で非酸化雰囲気下での
超臨界水分解を行うことにより、他の条件に比べて高い
収率でオイル分が得られることは、本発明において初め
て見出された極めて特徴的な知見である。また、このよ
うな水の超臨界領域、すなわち臨界圧よりかなり高い条
件下ではイオン積が高くなって加水分解が支配的となる
ためか、イオン交換樹脂を構成する芳香族炭化水素のポ
リマーをモノマー化して選択的に回収再利用することに
適していることも本発明において特徴的に見出された点
である。
【0022】請求項4の発明は、上記の各発明におい
て、非酸化雰囲気下の超臨界水中で分解する廃イオン交
換樹脂が、アニオン交換樹脂および/またはカチオン交
換樹脂であることを特徴とする。
【0023】この発明によれば、アニオン交換樹脂の場
合には交換基に硫黄を含まないので脱硫せずに超臨界水
分解することができ、交換基に硫黄を含むカチオン交換
樹脂単独、あるいはこれとアニオン交換樹脂を混合した
ものである場合には、主に水不溶性オイルを回収する目
的では脱硫の前処理を行った後超臨界水分解することが
でき、水溶性で有価なオイル(フェノール類等)を回収
する目的では脱硫せずに、分解生成する酸生成物質をア
ルカリ(NaOH等)で中和処理するようにして超臨界
水分解することができる。
【0024】請求項5の発明は、上記の各発明におい
て、廃イオン交換樹脂が交換基に硫黄を有するものを含
む場合に、非酸化雰囲気下での超臨界水分解の処理に先
立って、当該イオン交換樹脂の脱硫処理を行うことを特
徴とする。
【0025】この発明によれば、難燃性でかつ交換基に
硫黄を含むイオン交換樹脂を超臨界水分解する場合に、
その超臨界水分解の前に硫黄を除去するので、酸の生成
がなく、水不溶性オイルの収率が高くなる。また、酸生
成がないので、装置として構造が簡易でかつ操作も容易
なパイプ式連続処理型の超臨界水反応装置を使用でき
る。また、反応時間を長くとりたい場合には縦筒型反応
器にその上部からイオン交換樹脂を含む流体を供給して
超臨界水分解を行わせるいわゆるベッセル型と称される
連続処理型の超臨界水反応装置を使用できる。なお、連
続処理する場合には、イオン交換樹脂をスラリー化して
配管中を通して搬送できるように、イオン交換樹脂を粉
砕するか、あるいは流体の粘度を調整して粉砕せずに搬
送させることもできる。
【0026】請求項6の発明は、上記請求項5の発明に
おいて、脱硫処理が、廃イオン交換樹脂を熱水、好まし
くは250〜350℃の加圧熱水中で脱硫するものであ
ることを特徴とする。
【0027】上記の「熱水で脱硫」というのは、密閉容
器内で飽和蒸気よりも過剰に水が存在する条件で脱硫を
行うことをいう。
【0028】この発明によれば、交換基の硫黄分が除去
されて、超臨界水分解の反応において酸の生成がなく、
中和が不要で、しかも後述する実施例(図7)からも分
かるように脱硫処理によるTOCの溶出も少ないので、
例えばパイプ式等の連続処理型の超臨界水反応装置を用
いて水不溶性のオイルを収率よく回収することができる なお、脱硫により熱水に含まれる硫黄成分に起因する酸
は、中和し塩として分離すればよい。
【0029】請求項8の発明は、上記請求項5ないし7
の発明において、脱硫処理を、廃カチオン交換樹脂をH
型にして行うことを特徴とする。
【0030】この発明によれば、イオン交換樹脂がNa
形である場合に比べて脱硫率が向上し、略100%の脱
硫ができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は、本発明の廃イオン交換樹脂をパイプ式の超臨界
水分解反応装置で分解処理する装置の構成概要を示し、
この図1において、1はイオン交換樹脂タンク(以下
「樹脂タンク」という)であり、スラリー状のイオン交
換樹脂(以下「樹脂スラリー」という)を貯溜し、高圧
ポンプ2により供給配管3を通して超臨界水反応器(以
下端に「反応器」という)4に供給する。5は高圧コン
プレッサーであり、上記の樹脂スラリーを反応器4に供
給する前に、該反応器1内を窒素ガスで置換するように
用いられる。6は反応器4の終端部に接続されている排
出配管であり、減圧装置次いでオイル分離装置(いずれ
も図示せず)に接続されている。
【0032】そして、上記反応器4は、始端側に加熱部
41が設けられていると共に、終端側に冷却部42が設
けられている。
【0033】なお、上記の供給配管3の途中には予熱部
を設けてあらかじめ加熱してもさしつかえない。
【0034】このような超臨界水分解装置により、樹脂
スラリーを無酸素雰囲気の反応器内で超臨界水分解する
ことができ、生成された分解生成物は排出配管6を通し
て減圧装置を介してオイル分離装置に送られ、水不溶性
のオイルが分離される。水溶性のオイルは別途、有機溶
媒を用いた溶媒抽出により水と分離される。
【0035】本例の装置は、アニオン交換樹脂の超臨界
水分解処理、あるいは脱硫したカチオン交換樹脂の超臨
界水分解処理に好適に用いられる。
【0036】実施形態2 図2は、ベッセル型の超臨界水分解反応装置を示し、樹
脂タンク11から高圧ポンプ12により供給配管13を
通して縦筒型の反応器14の上部から樹脂スラリーを供
給するようになっている。なお、本例においては超臨界
水を配管17を介して樹脂スラリー供給配管13に合流
させるようになっている。また反応器14の内部は反応
開始前に配管18を通して窒素ガスを供給することで該
反応器14内を無酸素雰囲気にされる。なお、本例の反
応器14内の下部には、亜臨界水が供給・排出され、容
器内に沈降した固形物を外部に排出できるようになって
いる。
【0037】本例の装置によっても、樹脂スラリーを無
酸素雰囲気の反応器14内で超臨界水分解することがで
き、生成された分解生成物は排出配管16を通して上記
実施形態1と同様に減圧装置を介してオイル分離装置に
送られ、水不溶性のオイル、及び水溶性のオイルを分離
する。
【0038】実施形態3 図3は、上記実施形態1,2に供給する樹脂スラリーの
イオン交換樹脂が例えばスルホン酸基を交換基として有
するカチオン交換樹脂である場合に、その交換基の硫黄
を分離・脱硫する脱硫前処理装置を示している。
【0039】この図3において、21はイオン交換樹脂
タンクであり、スラリーポンプ22により配管23を通
して圧力容器24に供給し、また例えば250〜300
℃、4〜9MPaの熱水を熱水供給配管25から供給し
て所定時間接触させる。
【0040】これにより、イオン交換樹脂から分離され
た硫黄分は熱水と共に熱水排出配管26により中和槽2
7に送って中和し、塩含有排出管28を通して外部に排
出する。
【0041】また固形物である脱硫したイオン交換樹脂
は、固形物排出配管29を通して系外に排出される。な
おこの固形物排出配管29は、例えば実施形態1の樹脂
スラリーの供給配管3に接続することで、脱硫・超臨界
水分解の各処理連続型の装置を構成することができる。
【0042】
【実施例】
実施例1 イオン交換樹脂として強酸性カチオン交換樹脂:アンバ
ーライトAmb−200C(ローム・アンド・ハース社
製)を用い、超臨界水分解装置としてオートクレーブ
(内容積300cc:インコネル625)を使用して電
気炉により加熱を行って超臨界水分解の処理を以下の通
りにして行った。
【0043】すなわち、乾燥させたイオン交換樹脂を計
量後、反応温度における任意の反応圧力を得るために必
要な水量(純水)と共にオートクレーブに充填し、内部
を窒素ガスで置換した後、加熱を開始した。
【0044】設定温度に達した時点を反応開始として、
反応時間60分の間反応条件を保持し、時間経過後に電
気炉による加熱を停止し冷却後、試料を回収した。
【0045】なおオートクレーブ内の温度はK熱電対で
測定し、圧力は圧力センサーで測定した。また、イオン
交換樹脂の物性値は下記表1に、元素組成を下記表2に
示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】(回収試料の分析)上記により回収した試
料は、固形物を濾別し、濾液を水と非極性溶媒(塩化メ
チレン)で分液し、生成オイルを溶媒中に抽出した。
【0049】上記濾別した固形物(反応残渣固形物)の
重量から固形物残留率を算出し、生成オイルはエバポレ
ータを用いて溶媒を減圧蒸発させ、残ったオイルの重量
を測定した。なお、水溶性物質については、全重量を測
定することが難しいため、処理水のTOC(総有機炭素
量)から水溶性炭素収率(水相中のC重量/イオン交換
樹脂重量)を算出し評価した。
【0050】結果を図4及び図5に示した(SCW分解
(無酸素雰囲気)の36MPaの項)。また生成した化
学物質はガスクロマトグラフィーを用いて同定した。
【0051】実施例2 反応圧力を41MPaとした他は、実施例1と全く同じ
にしてイオン交換樹脂の超臨界水分解を行い、結果を図
4及び図5に示した(SCW分解(無酸素雰囲気)の4
1MPaの項)。
【0052】比較例1 比較のために、オートクレーブ内を窒素置換せず、空気
雰囲気のままとした他は、実施例1と全く同様(圧力は
36MPa)にして試験を行い、分析結果を図4及び図
5に示した(SCW分解(空気雰囲気)の項)。
【0053】比較例2 熱分解装置として石英ガラス管を用い、乾燥した上記イ
オン交換樹脂を計量後管に充填し、該管内の空気を排出
して真空条件下とした後、電気炉による加熱を行い、温
度400℃に達してから30分間その条件を保持した。
分解により生成するガスは冷却管を通し液化して回収し
た。
【0054】得られた試料(液化ガスも含む)を実施例
1と同様にして分析し、その結果を図4及び図5に示し
た(熱分解の項) 以上の実施例1,2及び比較例1,2の結果から分かる
ように、熱分解の場合は、固形物残留率が約42wt
%、生成したオイル収率(溶媒を減圧蒸発後のオイルの
回収率)は約5wt%であり、熱分解法では反応残渣が
大量であり、オイル収率も低いことが分かる。
【0055】これに対し、超臨界水分解では、比較例1
の空気雰囲気であっても熱分解に比べて固形物残留率が
約18wt%、生成オイル収率14wt%と優れていた
が、実施例1の無酸素雰囲気で反応圧力を36MPaと
した場合に、固形物残留率が約13wt%、生成オイル
収率33wt%であり、更に実施例2の反応圧力を41
MPaとした場合には、固形物残留率は実施例1と同程
度で、生成オイル収率は44.5wt%まで大幅に向上
した。
【0056】また、ガスクロマトグラフィーによる比較
的低沸点の物質の同定の結果は、水不溶性オイル中に、
ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,スチレンなどが
大きなピークを示して検出された。また水溶性の物質と
してはフェノール類が検出された。
【0057】実施例3 実施例1において、イオン交換樹脂と共に充填する水
に、超臨界水分解により生成する酸を中和するのに必要
な理論量よりも過剰に水酸化ナトリウムを添加した他
は、実施例1と全く同じ条件で超臨界水分解を行い、結
果を図6に示した。なお図6には、比較のために実施例
1(水酸化ナトリウム添加せず)の結果を合わせて示し
た。
【0058】この結果から分かるように、超臨界水分解
で酸が生成する場合に、これにアルカリを添加して中和
する操作を行うと、水不溶性オイルの収率が著しく低下
することが分かる。これは、ナトリウムによる触媒効果
とアルカリ添加による加水分解の促進により生成すべき
オイルがより低分子化し、フェノール類などの水溶性物
質にまで転換されるためと考えられる。
【0059】実施例4 実施例1のオートクレーブを使用して、上記強酸性カチ
オン交換樹脂:アンバーライトAmb−200C(前
出)の脱硫を行った。
【0060】試験は、イオン交換樹脂と水(純水)を充
填し、内部を窒素ガスに置換してから加熱し、設定温度
に達してから30分間熱水中に保持して行った。
【0061】なお、脱硫条件は、:圧力1.6MPa
で200℃(イオン交換樹脂はH形)、:圧力9MP
aで300℃(イオン交換樹脂はH形)、:圧力9M
Paで300℃(イオン交換樹脂はNa形)とした。
【0062】脱硫の程度は、熱水中のSO4 濃度を測定
して評価した。結果を下記表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】また、脱硫処理によりイオン交換樹脂から
溶出するTOC量を処理水中のTOC成分を測定して調
べ、結果を図7に示した。
【0065】図7に見られるように、脱硫処理における
いずれの温度においてもTOC成分の溶出率が低いた
め、脱硫処理後に超臨界水分解を行ってもオイル収率が
低下することはない。
【0066】また表3の結果から分かるように、200
℃の熱水中では脱硫が30%程度であるが、300℃程
度の熱水中で脱硫することにより、イオン交換樹脂の交
換基に含まれる硫黄が100%除去されることが分か
る。また300℃の場合には、交換基がNa形であって
も80%以上の高い脱硫率となることが分かる。
【0067】したがって、交換基に硫黄を含むカチオン
交換樹脂であっても、脱硫の前処理を効果的に行うこと
ができ、この処理によりアニオン交換樹脂と同様に中和
のためのアルカリ添加を行うことなく超臨界水分解処理
を実施できることが確認された。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、超
臨界水分解により廃イオン交換樹脂を分解して減容化を
図ることができると共に、オイルを回収してこれを例え
ば燃料あるいはモノマーとして再利用することができる
という効果が奏される他、以下の効果が奏される。
【0069】請求項3の発明によれば、他の条件に比べ
て高い収率でオイルを得ることができる。
【0070】請求項4の発明によれば、イオン交換樹脂
の種類に応じた超臨界水分解の処理を行うことができ
る。
【0071】請求項5〜7の発明によれば、交換基に硫
黄を含むカチオン交換樹脂を、前処理で脱硫することで
その硫黄を分離することができ、超臨界水分解の処理の
際に中和が必要ないので、水不溶性のオイルを高い収率
で回収できる。
【0072】請求項8の発明によれば、Na形に比べて
H形とすることでより脱硫効率を高くすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するのに用いられるパイプ式
超臨界水反応装置の概要を示した図。
【図2】本発明方法を実施するのに用いられるベッセル
型の超臨界水反応装置の概要を示した図。
【図3】本発明の脱硫前処理を行うのに用いられる脱硫
装置の概要を示した図。
【図4】実施例1,2、比較例1,2の固形物残留率の
結果を示した図。
【図5】実施例1,2、比較例1,2のオイル収率の結
果を示した図。
【図6】実施例3の超臨界水分解で生成する酸の中和の
ためにアルカリ添加をした場合の影響を示した図。
【図7】実施例4の脱硫前処理を行った場合のTOCの
溶出量を測定した結果を示した図。
【符号の説明】
1・・・樹脂タンク 2・・・高圧ポンプ 3・・・供給配管 4・・・超臨界水反応器 41・・・加熱部 42・・・冷却部 5・・・高圧コンプレッサー 6・・・排出配管 11・・・樹脂タンク 12・・・高圧ポンプ 13・・・供給配管 14・・・反応器(ベッセル型) 16・・・排出配管 17・・・超臨界水供給配管 18・・・配管 21・・・イオン交換樹脂タンク 22・・・スラリーポンプ 23・・・配管 24・・・圧力容器 25・・・熱水供給配管 26・・・熱水排出配管 27・・・中和槽 28・・・塩含有排出管 29・・・固形物排出配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅田 聡 神奈川県横浜市鶴見区江ケ崎町4番1号 東京電力株式会社エネルギー・環境研究所 内 (72)発明者 内山 万貴 神奈川県横浜市鶴見区江ケ崎町4番1号 東京電力株式会社エネルギー・環境研究所 内 (72)発明者 川崎 慎一朗 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 鈴木 明 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 安生 徳幸 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 大江 太郎 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超
    臨界水中で分解することを特徴とする廃イオン交換樹脂
    の処理方法。
  2. 【請求項2】 廃イオン交換樹脂を非酸化雰囲気下の超
    臨界水中で分解し、生成したオイル分を回収することを
    特徴とする廃イオン交換樹脂の処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、非酸化雰囲気
    下で行う超臨界水分解処理を、臨界温度以上で500℃
    以下の温度でかつ25〜50MPaの圧力下の超臨界水
    中で行うことを特徴とする廃イオン交換樹脂の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    非酸化雰囲気下の超臨界水中で分解する廃イオン交換樹
    脂は、アニオン交換樹脂および/またはカチオン交換樹
    脂であることを特徴とする廃イオン交換樹脂の処理方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4において、廃イオン交
    換樹脂が交換基に硫黄を有するものを含む場合に、非酸
    化雰囲気下での超臨界水分解の処理に先立って、当該イ
    オン交換樹脂の脱硫処理を行うことを特徴とする廃イオ
    ン交換樹脂の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、脱硫処理が、廃イオ
    ン交換樹脂を熱水中で脱硫するものであることを特徴と
    する廃イオン交換樹脂の処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、熱水が、250〜3
    50℃であることを特徴とする廃イオン交換樹脂の処理
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれかにおいて、
    脱硫処理は、廃カチオン交換樹脂をH型にして行うこと
    を特徴とする廃イオン交換樹脂の処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項5ないし8のいずれかにおいて、
    脱硫処理によってイオン交換樹脂から脱離した硫黄に起
    因する酸を中和し、塩として分離する工程を含むことを
    特徴とする廃イオン交換樹脂の処理方法。
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