JP3403260B2 - 白金ストライクめっき浴及び方法ならびにめっき品 - Google Patents

白金ストライクめっき浴及び方法ならびにめっき品

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JP3403260B2
JP3403260B2 JP27948194A JP27948194A JP3403260B2 JP 3403260 B2 JP3403260 B2 JP 3403260B2 JP 27948194 A JP27948194 A JP 27948194A JP 27948194 A JP27948194 A JP 27948194A JP 3403260 B2 JP3403260 B2 JP 3403260B2
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strike plating
plating
plating bath
strike
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鎗田  聡明
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Electroplating Engineers of Japan Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄、ニッケル或いは
クロムを含んだ鉄系合金に対して、良好な耐蝕性ならび
に耐熱性を与えるための白金ストライクめっきに関す
る。
【0002】
【従来の技術】鉄、ニッケル或いはクロムを含む鉄系合
金、特に表面に不活性皮膜を有するステンレス鋼などに
めっき処理を施す際には、良好な密着性や耐蝕性を得る
ために、強酸性のストライクめっき浴が使用されてい
る。例えば、金めっきの分野では塩酸酸性のストライク
めっき浴が使用されている(特開昭61−110792
号参照)。このような塩酸酸性のストライクめっき浴が
使用される理由としては、一般にステンレス等の鉄系合
金は表面に不動態化した酸化膜を有しており、このこの
膜を塩酸により除去しなければ、下地金属との十分な密
着性が得られないからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな塩酸酸性浴の使用は金めっきの分野では適している
ものの、白金めっきの分野には適していない。なぜなら
ば、塩酸酸性の白金ストライク浴では下地金属の浸食が
強くなり過ぎ、逆に密着性が悪化することになるからで
ある。つまり、白金が析出することにより局部電池が形
成され、それにより下地金属が溶出するためであるが、
白金の場合はこの作用が他の金属よりも特に強い。尚、
塩酸酸性白金ストライクめっき浴の他に、スルファミン
酸や硫酸による白金ストライクめっき浴も知られている
が、このような浴では不動態膜の除去が不十分で、良好
な密着性が得られない。
【0004】本発明は、このような従来の技術に着目し
たものであり、鉄系合金に対して十分な密着性を得るこ
とができる白金ストライクめっき浴及び方法ならびにめ
っき品を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明に係る白金ストライクめっき浴は、リン酸
(H3 PO4 )を0.5〜50wt%(好ましくは1〜
10wt%)、可溶白金塩を白金として0.1〜20g
/l(好ましくは0.5〜2.0g/l)、ハロゲンイ
オンを0.1〜10wt%(好ましくは1〜5wt%)
含有したものである。
【0006】この浴において、リン酸は陰極電解時にス
トライクめっきとしての効果を上げる水素発生のために
水素イオンを供給する働きをすると共に、被めっき物で
ある下地金属の過度の浸食を防止するインヒビターとし
ての働きをしていると思われる。リン酸の濃度が0.5
wt%より低いと、水素発生が不十分で発生した気泡が
めっき表面に付着したままとなり、ピンホールを生じ易
くなる。また、50wt%より高くしてもそれ以上の改
善は望めず、リン酸をあまり入れ過ぎるとかえってめっ
き浴成分が塩析するいう弊害も生じる。
【0007】白金としては、可溶塩であれば使用可能で
あるが、塩化白金酸、塩化白金酸アルカリ、ジニトロジ
アミノ白金などが特に好適である。白金(メタル)の濃
度は0.1g/lより低いと、密着性のある十分な析出
を得るのに時間がかかり、20g/lよりも高いと、く
み出しによる白金の消費が多くなってしまう。
【0008】ハロゲンイオンとしては、塩化ナトリウ
ム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリ
ウム、塩化カルシウム等の化合物による供給が好適であ
る。ハロゲンイオンの濃度は、0.1wt%より低い
と、不動態膜を取り去る作用が不十分であり、10wt
%より高いと、下地への浸食作用が強くなりすぎる。
【0009】陰極電流密度は、低すぎるとガス発生が不
十分となり、十分なストライク効果が得られない。ま
た、高すぎると大型の整流器を要するためコスト的に不
利となる。従って、5〜50A/dm2 の範囲が好適で
ある。
【0010】浴温は白金の析出が得られる範囲であれば
良いが、操作性の容易さから、30〜75℃の範囲が好
適である。
【0011】めっき処理される鉄系合金としては、鉄、
ニッケル、クロムの中から選ばれた少なくとも1種の金
属を含むものが好適であり、特にオーステナイト系ステ
ンレス、42アロイ、インコネルなどが好適である。
【0012】この発明の白金ストライクめっき浴から得
られた析出物のみで、白金めっきとして利用可能である
が、更にその上に白金、ロジウム、ルテニウム、イリジ
ウム等の貴金属めっきを施しても良い。尚、この発明の
白金ストライクめっきの上に行われる白金めっきには、
鉄系合金の溶出の少ないアルカリ白金めっき浴の利用が
望ましい。
【0013】この発明による白金ストライクめっき方法
は、白金めっきの主な用途である、耐熱・耐蝕性材料と
しての板材や線材に対して好適であり、特にストライク
層の拡散が密着性や耐熱性の問題となる耐熱材等への適
用に好適である。
【0014】
【実施例】被めっき部材としてのテストピースに前処理
を施した。すなわち、日本エレクトロプレイテイング・
エンジニヤース株式会社製の酸性クリーナ〔EETOR
EX15(商品名)〕で表面を洗浄し、次に同社製電解
液〔EETOREX12(商品名)〕で電解脱脂を行
い、次いで17wt%の塩酸で酸活性させた。
【0015】
【表1】
【0016】このように前処理したものを、表1のN
o.1〜14のような組成の白金ストライクめっき浴を
用いて、浴温60℃、陰極電流密度10A/dm2 、時
間90秒の条件で、各テストピースに白金ストライクめ
っきを行った。尚、比較例No.15〜18では、実施
例の組成の一部を省略したり、又は他の薬品に置き換え
てめっきしてみた。
【0017】そして、上記実施例及び比較例のストライ
クめっき後に、以下のような基本組成を有するアルカリ
性白金めっき浴を用いて、2μmの白金をめっきした。 ・ Pt 〔K2 Pt(OH)6 として添加〕 10g/l ・ KOH 20g/l
【0018】そして、めっき後の白金皮膜に対し、接着
テープによるピーリングテストを行った。結果は表1に
示すとおり、実施例No.1〜14の場合は、どのテス
トピースも白金皮膜の剥がれがなかった。このことか
ら、最初にめっきされた白金ストライクめっき皮膜と下
地金属の密着度が非常に高いことを意味している。これ
に対し、比較例No.15〜18の場合は、接着テープ
と一緒にテストピース表面の白金皮膜が剥がれた。これ
は、最初にめっきされた白金ストライクめっき皮膜の密
着度が低いためと思われる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表面に不動態化した酸化膜を有する鉄系合金であっても
密着度の高い白金皮膜を形成することができる。従っ
て、耐蝕性ならびに耐熱性に優れた白金めっき品を容易
に得ることができ産業上大変に有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/50

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸を0.5〜50wt%、可溶白金
    塩を白金として0.1〜20g/l、ハロゲンイオンを
    0.1〜10wt%含有した白金ストライクめっき浴。
  2. 【請求項2】 白金塩が、塩化白金酸及び/又は塩化白
    金酸アルカリである請求項1記載の白金ストライクめっ
    き浴。
  3. 【請求項3】 白金塩がジニトロジアミノ白金である請
    求項1記載の白金ストライクめっき浴。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の白
    金ストライクめっき浴を用いて、陰極電流密度5〜50
    A/dm2 、温度30〜75℃の条件でめっきする白金
    ストライクめっき方法。
  5. 【請求項5】 被めっき部材が、鉄、ニッケル、クロ
    ムの中から選ばれた1種以上の金属を含む鉄系合金であ
    る請求項4記載の白金ストライクめっき方法。
  6. 【請求項6】 被めっき部材が、オーステナイト系ステ
    ンレスである請求項5記載の白金ストライクめっき方
    法。
  7. 【請求項7】 白金ストライクめっき後に、貴金属めっ
    きを行う請求項4〜6のいずれか1項に記載の白金スト
    ライクめっき方法。
  8. 【請求項8】 貴金属めっきが白金めっきである請求項
    7記載の白金ストライクめっき方法。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれか記載のめっき方
    法により得られる白金めっき品。
JP27948194A 1994-11-14 1994-11-14 白金ストライクめっき浴及び方法ならびにめっき品 Expired - Lifetime JP3403260B2 (ja)

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