JP3400374B2 - 光ピックアップ - Google Patents

光ピックアップ

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JP3400374B2
JP3400374B2 JP01843099A JP1843099A JP3400374B2 JP 3400374 B2 JP3400374 B2 JP 3400374B2 JP 01843099 A JP01843099 A JP 01843099A JP 1843099 A JP1843099 A JP 1843099A JP 3400374 B2 JP3400374 B2 JP 3400374B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近接場光を利用し
た光情報記憶装置における情報記録・再生用の光ピック
アップ(ヘッド)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、画像(静止画、動画)や音声等、
元々データ量の大きい複数種類の情報を同時に処理(多
重情報処理)したいという要求が増大しており、より高
速・高密度で大容量かつ低価格の情報記憶装置の需要に
ますます拍車をかけている。コンピュータの外部記憶装
置として代表的なものには、例えば磁気ディスク装置や
光(光磁気)ディスク装置がある。
【0003】このうち、磁気ディスク装置は、フォトリ
ソグラフィ技術によってスライダコア端に配設された、
微小な強磁性のコアからの漏洩磁界により、ハード磁性
材からなる記録媒体に微小な磁化領域を生成して情報を
記録するものである。また、情報の再生は、同様に強磁
性体の極薄膜から形成される磁気抵抗素子によって、媒
体磁化からの微弱な漏洩磁界を検出することで行う。
【0004】磁気ディスク装置は、その機構構成上の簡
易さと、ヘッド部分を含む可動部分の小型軽量化とによ
って、高速アクセス・高速データ転送が可能であるた
め、パソコン・ワークステーションを中心とするコンピ
ュータシステムにおける、代表的な外部記憶装置として
の座を占めるに至っている。
【0005】しかしながら、磁気ディスク装置において
は、記録密度の向上に伴い、記録磁化の領域(体積)が
激減しており、熱的な擾乱によって記録磁化(記録情
報)の安定保持が困難となる記録密度の限界が存在する
とされている。
【0006】一方、光ディスク装置は、集光した高強度
のレーザビームによって記録媒体の反射率や偏光回転角
等の光学特性を変化させることで情報を記録し、弱いビ
ームを照射し、その反射光もしくは透過光から前記光学
特性の微弱な変化を検出することで情報を再生する装置
である。
【0007】一般に、光ディスク装置では、上述したよ
うに記録媒体の光学特性の変化を利用して記録を行うた
め、熱擾乱によって情報保持が不安定となる記録密度の
限界は、磁気ディスク装置の場合よりも、より高い記録
密度域とされている。
【0008】このように光ディスク装置では、情報の高
密度化の限界という観点では磁気ディスク装置に対して
優位であるものの、基本的にはレーザビームをレンズで
絞ることで微細ビットを記録するため、光の回折限界に
よって最小記録ビットの大きさが制約される。
【0009】この限界を打開するための一手段として、
焦点距離がサブミクロンと極度に小さく開口数の大きな
レンズを、磁気ディスク装置の浮動ヘッドスライダ技術
を応用して媒体上方100nm〜数100nmに位置づ
け、近接記録を行う形態が提案されている。
【0010】図1は従来の光情報記憶装置における記録
・再生用の光ピックアップの一例を示すもので、ここで
は透明材料からなるスライダ21の背面に搭載された対
物(主集光)レンズ22及びスライダ21自体に固着さ
れた疑似半球状の固体液浸レンズ(SIL)23によっ
てサブミクロン径にまで絞り込まれたレーザビームを、
100nm程度の浮上すきま(SIL23のワーキング
ディスタンス)を介して光記録媒体10の記録層11に
照射し、記録・再生を行う構成を採っている。
【0011】この際、スライダ21は、レーザ光源24
が配置されたピックアップの固定側にスライダ支持用サ
スペンション25を介して浮動状態に支持され、また、
光源24からのレーザビームは、サスペンション25と
は別にスライダ21の背面側に延びるミラー支持用アー
ム26の先端に固定されたミラー(またはプリズム)2
7によって方向が変えられ、スライダ21搭載の対物レ
ンズ22及びSIL23に入射させられる如くなってい
る。
【0012】図2は従来の光情報記憶装置における記録
・再生用の光ピックアップの他の例を示すもので、ここ
では光源(図示せず)からのレーザ光を光ファイバ28
を用いてスライダ21近傍まで誘導し、該スライダ21
に固定配置されたミラー29によって方向を変え、同じ
くスライダ21に搭載された集光レンズ30に入射させ
るようになした例を示している。
【0013】これらは光記録方式を基本としながら、機
構部に磁気ディスク装置の機構を巧みに利用したもの
で、フォーカシング制御が不要でかつ対物もしくは集光
レンズを媒体面に近接させることで記録ビットを微小化
でき、高密度の記録を可能としている。また、可動部分
の質量を従来の光ヘッドに比べて格段に低減できるの
で、磁気ディスク装置には及ばないものの、高速アクセ
スが可能で、媒体のスタッキング(積載)による装置の
体積密度の向上、総記憶容量の向上に効果がある。
【0014】これらの近接集光記録系では、上述のよう
に従来の光ディスク装置(遠隔集光系)に比して集光ビ
ームスポットの微小化は進展したものの、今後予想され
る光源の短波長化、レンズ搭載のスライダの低浮上化を
勘案しても、原理的に可能な集光スポットの微小化には
限界がある。また、個別の光学部品のアライメントの精
度はますます厳しく、低コスト化や信頼性の確保の点で
は困難性が高い。
【0015】これらの問題点、特に集光スポットの微小
化の限界を更に打破する方式として、光の波長よりも微
細な開口を用い、これから滲み出て開口近傍の数100
nmの範囲で伝搬することなく定在する近接(定在)場
光を利用した光情報記憶装置が提案されている。
【0016】図3は従来の光情報記憶装置における記録
・再生用の光ピックアップのさらに他の例、ここでは近
接場光を利用する例を示すものである。即ち、図示しな
い光源からのレーザ光を誘導する光ファイバ31の先端
部32を先鋭化し、該先端部32近傍に形成した金属遮
光膜(図示せず)をその微小領域において削除すること
で先端部32に100nm以下の極微の開口を形成し、
この光ファイバ31をスライダ21に搭載し、前記極微
の開口からしみ出す光(近接場光)33の筆先で媒体1
0を走査することによってサブミクロンからサブサブミ
クロンのビット再生を可能とするものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記光
ピックアップでは、光ファイバ31への入射光のうち、
先端部32からしみ出して極微の光33の筆先として利
用できる光量の割合が極めて小さく、光検出器34で受
光できる光量が不足するため、通常のファイル記憶装置
程度の情報の授受速度を実現することは到底困難であっ
た。また、スライダの浮上面(エア・ベアリング・サー
フェース(ABS)面)に合わせて光ファイバ31の先
端部32を10nmのオーダで規定することが必要とな
るが、これも現実的には難しく、ファイル記憶装置用ヘ
ッド(ピックアップ)としての適用は困難であった。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記課題を
解決するため、コア及びクラッドを備えた可とう性を有
する略棒状の光導波路を用い、その一端側にコア内を伝
搬する光の少なくとも一部をクラッドを透過する方向に
反射する反射面を設けることで、コア内の伝搬光の光路
を曲げ、この伝搬光がクラッドを透過して出射する部位
を中心とするクラッド表面に遮光膜を設けるとともに使
用する光の波長以下の微小な開口部を設け、さらに光導
波路の一端側の開口部が形成されたクラッド表面を、回
転する光記録媒体に押圧することで空気軸受を構成し、
開口部と光記録媒体との間にサブミクロンの浮上すきま
を維持することを特徴とし、その目的は、媒体の記録情
報を高空間分解能で検出(再生)可能な光ピックアップ
を極めて簡易な構成で実現する点にある。
【0019】また、上記光ピックアップにおいて、その
コアの断面積が光導波路の他端側から一端側に向かって
漸減するように形成されることを特徴とし、その目的
は、微小開口部の直上で入射ビームを効率良く絞り、光
の利用効率が高くS/N比の高い再生信号を得ることが
できる光ピックアップを実現することにある。
【0020】また、上記光ピックアップにおいて、反射
面で反射された光が透過する部位のクラッド中に、該ク
ラッドとは屈折率の異なる球状もしくは半球状もしくは
回転楕円体状もしくは回転放物面状の領域を設けたこと
を特徴とし、その目的は、同様に微小開口部の直上で入
射ビームを効率良く絞り、光の利用効率が高くS/N比
の高い再生信号を得ることができる光ピックアップを実
現することにある。
【0021】また、上記光ピックアップにおいて、少な
くとも2つのコアを備えた光導波路を用い、かつ少なく
とも2つのコア内をそれぞれ伝搬する光の反射光が光導
波路の長手方向とほぼ一致する一つの直線上に配置され
るように構成したことを特徴とし、その目的は情報記録
も可能な光ピックアップを簡易な構成で実現することに
ある。
【0022】また、上記光ピックアップにおいて、少な
くとも2つのコアを備えた光導波路を用い、かつ少なく
とも2つのコア内をそれぞれ伝搬する光の反射光が光導
波路の長手方向とほぼ一致する一つの直線上に配置さ
れ、かつ反射光が透過する部位のクラッド表面にくぼみ
部分を設け、このくぼみ部分に断面凸状のレンズを形成
したことを特徴とし、その目的は、より微細なビットの
記録が可能な光ピックアップを簡易な構成で実現するこ
とにある。
【0023】また、上記光ピックアップにおいて、遮光
膜を形成した部分もしくは開口部の近傍に、光導波路の
一端側に向かってステップ状もしくは逆ステップ状をな
した段差部を設けたことを特徴とし、その目的は装置構
成時にピックアップの設定公差を緩和し、かつ浮上安定
性に優れた光ピックアップを簡易な構成で実現すること
にある。
【0024】また、上記光ピックアップにおいて、光導
波路を支持するための剛な梁状部と、ピックアップの固
定側を構成する剛な基部とがバネ性を有する柔なリーフ
状部を挟んで一体的に形成されてなるサスペンションを
用いるとともに、光導波路に前記サスペンションの梁状
部との接合部を設け、前記サスペンションによって本体
の一端側の遮光膜を形成した部分を弾性支持させること
を特徴とし、その目的は、浮上安定性に優れ、面内の支
持剛性が高く、高速トラックシークが可能な光ピックア
ップを簡易な構成で実現することにある。
【0025】さらに、上記光ピックアップにおいて、光
導波路の一端側の反射面の延長線上に、コア内を伝搬す
る光のうち反射面を直進した光の少なくとも一部を該反
射面に戻す第2の反射面を形成したことを特徴とし、そ
の目的は、媒体に対して片側アクセス可能な光ピックア
ップを簡易な構成で実現することにある。
【0026】最後に、上記光ピックアップにおいて、光
導波路のクラッドの一部に切り欠きを形成し、該切り欠
き部分に固体変位素子を接合したことを特徴とし、その
目的は高速のマイクロトラッキングが可能な光ピックア
ップを簡易な構成で実現することにある。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って本発明を詳細
に説明する。
【0028】図4は本発明の光ピックアップの第1の実
施の形態を示すもので、図中、41は可とう性を有する
略棒状の光導波路、42は光導波路41のコア(部
分)、43はコア42を囲むクラッド(部分)、44は
反射面、45は遮光膜(図中、ハッチングで示す。)、
46は(微小)開口部である。
【0029】反射面44は、コア42内を伝搬する光の
少なくとも一部をクラッド43を透過する方向に反射す
るためのもので、ここではコア42の軸方向に対して4
5度の角度で切断された光導波路41の一端面からなっ
ている。また、遮光膜45は、光の透過を遮断するため
のもので、反射面44で反射された光が透過する部位を
中心とするクラッド表面、ここでは光導波路41の一端
側の下面と、側面及び端面の一部(図4では図示せず)
とに形成されている。また、開口部46は、近接場光を
発生するためのもので、その大きさは使用する光の波長
よりも小さく、反射面44で反射された光が透過する部
位に対応する遮光膜45の一部を削除して形成されてい
る。
【0030】可とう性を有する(フレキシブルな)光導
波路41については、光透過性が高いプラスティック材
料、例えばコア部分にはPMMAを、またクラッド部分
には硬化エポキシ樹脂等を用いることで実現できること
は良く知られている。また、ここでは反射面(端面)4
4の切断角度を45度としたが、以下に記載する動作原
理を妨げるものでなければ、特にこの角度にこだわる必
要はなく、本願の構成が実現できる範囲において、任意
の切断角度を選択できる。
【0031】また、遮光膜45としては、光の吸収・減
衰性の高い材料が必要であるが、同時に媒体との接触・
摺動や周囲の雰囲気によって劣化し難い材料が要求さ
れ、このような諸条件を満たす材料であれば何でも良
く、例えばTi、Ta、Cr等の材料が適用できる。ま
た、図示しないが、遮光膜45の最表層には媒体との接
触・摺動時の耐久性も勘案して保護膜が形成してある。
この保護膜としては、磁気ディスク装置のピックアップ
スライダや磁気媒体に用いられて実績のあるカーボン
膜、結晶成分を一定以上の割合で含むカーボン膜である
DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)膜、SiO
2等の薄膜が考えられる。
【0032】このようなフレキシブルな光導波路を用い
たピックアップによれば、片持ち梁状またはフォイル状
の形態を構成でき、その表面を媒体に押圧することで、
容易に空気軸受(フォイル軸受)を実現でき、センサ部
となる微小開口部を媒体上サブミクロンの浮上すきまに
維持できる。従って、従来のように光導波路や光ファイ
バを、別途作製した硬質のスライダコアにアライメント
・接合する必要はなく、非常に簡易な構成をもって光ピ
ックアップを実現できる。
【0033】図5は図4に示した例を用いた、光ピック
アップの動作原理をより詳しく説明するための側面図で
ある。図中、10は光記録媒体、51は(レーザ)光
源、52は光源51からのレーザ光を集光して光導波路
41のコア42に導くための集光レンズ、53は光検出
器、54は媒体10からの散乱光を集光して光検出器5
3に導くための集光レンズである。
【0034】以下、本図の構成による光ピックアップの
動作原理を説明する。
【0035】光源51より出射した再生用のレーザ光
(CWレーザ光)は、集光レンズ52によって光導波路
41のコア42に導がれ、ここを伝搬して一端側の反射
面44に至る。ここで、コア42を伝搬した光はその光
路を90度曲げられ、クラッド43を透過して光導波路
41の下面(媒体10との対向面)に至る。光導波路4
1の下面には遮光膜45が形成されているが、反射面4
4で光路を曲げられたレーザ光ビームの遮光膜45への
照射(到達)点には、このビームの波長よりも小さい開
口部(遮光膜を取り除いたもの。大きさは100nm角
前後)46が形成されている。
【0036】光導波路41のコア42を伝搬し、反射面
44で反射された光(ビーム)は、光導波路41中の伝
搬モード(シングルモードあるいはマルティモード)に
も依存するが、反射面44から光導波路41の下面に至
る比較的短い伝搬距離では、ほぼ平行光(ビーム)と見
て良い。従って、この到達ビーム光の大きさは、光導波
路41のコア42の大きさにほぼ対応し、現状では数1
0μm角から、比較的細かいもので数μm角程度と考え
られる。
【0037】開口部46の大きさは上述の通り、導波路
41の伝搬波長よりもかなり小さいため、この開口部の
直上に到達した伝搬光が、この開口部46から直接、導
波路下面からの通常光のように、伝搬することはない。
しかしながら、良く知られているように、波長以下の微
小開口部であっても、開口部より波長の数分の一程度の
距離(数100nm以内の範囲)の範囲内においては、
図5に示すように通常の伝搬をしない、定在する光の場
(定在場)55ができる。
【0038】この定在する光の場55は、何らかの散乱
体が上記範囲内に侵入することで乱され、散乱(伝搬)
光56となって伝搬することができる。例えば、図5に
示すように、その表面に透過率の高い部分と低い部分を
合わせ持つ媒体(必ずしもその表面に凹凸を有する必要
はない。)10を、上記定在場の存在距離以内に近接さ
せれば、媒体自体によって乱され、散乱光となった定在
場光は媒体の透過率の高い部分のみを通過し、媒体の下
面に本ピックアップに対向して置かれた集光レンズ54
によって集められ、光検出器53によって検出できる。
【0039】従って、上記媒体の光の透過率の高い部分
と低い部分とを何らかのビット情報に対応させてディジ
タル情報を記録しておけば、光の波長よりもさらに小さ
い高空間分解能をもってこの情報を読み出すことが可能
となる。
【0040】ビット(0,1)情報と媒体の実際の物理
特性との対応に関しては、本願の範囲外であるので特に
詳しく言及しないが、透過率の高い部分及び低い部分を
それぞれ0及び1に対応付ける以外に、透過率が同じで
変わらない条件(例えば、高い部分の連続や低い部分の
連続)を0、一方、高い部分から低い部分への遷移ある
いは低い部分から高い部分への遷移を1と対応付ける
等、種々の対応付けが考えられる。
【0041】この際、光源からの光ビームを微小開口部
の直上でできるだけ小さく絞ることにより光の利用効率
を高め、ひいては検出されたビット情報のS/N比を向
上させることができる。光導波路は、そのコアの断面積
を漸次小さくすることで、光を絞ることができる性質を
有する。
【0042】図6は本発明の光ピックアップの第2の実
施の形態を示すもので、ここでは光導波路の他端側から
一端側に向かってコアの断面積が漸減するように形成し
た例を示す。即ち、図中、61は可とう性を有する略棒
状の光導波路、62は光導波路61のコアであり、該コ
ア62は光導波路61の他端側から一端側に向かってそ
の幅を漸減させることによって断面積を漸減させてい
る。また、63はコア62を囲むクラッド、64は反射
面である(遮光膜、微小開口部は省略)。
【0043】このように、光導波路61の他端側、即ち
光源の入射側ではコア62の断面積を比較的大きくする
ことで光源やその集光系とコアの光軸とのアライメント
を容易にし、光導波路61の一端側にかけてコア62の
断面形状を絞る形態をとることで光の利用効率を高め、
ビット情報のS/N比を向上させることができる。
【0044】ここで、コアの断面積を変える手法として
はコアの幅を変える外、コアの高さもしくはコアの幅と
高さの両方を変える方法があるが、一般に、光導波路の
製造において、各層の厚み(高さ)を個別層において場
所によって変えることは非常に困難であるため、図6に
示したように、層の厚みは一定とし、幅を変えて断面形
状を先細りとすることが現実的である。
【0045】図7は本発明の光ピックアップの第3の実
施の形態を示すもので、ここでは少なくとも2つのコア
を備えた光導波路を用いて記録及び再生を可能となした
例を示す。即ち、図中、71は可とう性を有する略棒状
の光導波路、72,73は光導波路71に形成された2
層(2チャンネル)のコアであり、ここでは下層(媒体
面に近い側)のコア72を再生(検出)用、上層のコア
73を記録用として用いている。また、74はコア7
2,73を囲むクラッド、75は反射面、76は遮光
膜、77は(微小)開口部、78はくぼみ部分、79は
集光レンズである。
【0046】再生動作に関しては既に図4、図5にて説
明の通りであるので省略する。記録動作に関してはレー
ザのパスは再生と同じで、コア73を伝搬した記録用の
レーザ光(パルスレーザ)は反射面75でクラッド74
を透過する方向に反射される。クラッド74を透過した
記録光が到達したクラッド表面の部位の遮光膜76を除
く必要があることはもちろんであるが、そのままではビ
ーム径はコアサイズであるので、媒体10に小さな記録
ビット(光学特性がその周囲と異なるようなドット部
分)を形成することは困難である。
【0047】そこで、例えば、光導波路71の反射面7
5で反射された記録光が到達する部位をイオンビーム等
でエッチングしてくぼみ部分78を形成し、ここに再度
コアやクラッドと類似の材料を低指向性のスパッタ装置
を用いて堆積することで、凸状のレンズ様体を形成し、
これを集光レンズ79として用いることができる。
【0048】記録光のビーム径自体はレンズあるいはレ
ンズ様体を用いる限り、十分小さく絞ることはできない
が、このレンズ様体の形状、媒体の光吸収特性や組成遷
移温度を調整することで、レンズ様体によって絞られた
ビームスポットの中心部の光強度の高い部分(筆先)に
よって微細な記録ビットが形成できる。
【0049】なお、本図で示したようなレンズ様体の代
わりに、図8で示すような球状、半球状、回転楕円体状
の透明ビーズ(クラッドとは屈折率の違うもの)をクラ
ッド中に埋め込んで、記録ビームの集光レンズ機能を持
たせる構成にしても勿論良い。
【0050】なお、記録ビーム(集光スポット)と再生
(検出)用定在場光(微小開口)は、できるだけ記録ト
ラックの方向(周方向)にインラインで並ばせることが
望ましく、そのためには各コア72,73(厳密にはそ
の軸方向)を一つの面内に含まれるように配置し、かつ
その反射光が該一つの面内に含まれるように反射面75
を設ける。このようにすることで、記録ビーム(スポッ
ト)をトラック直上に常時オントラックさせることが容
易となる外、記録したビットを検出ビームによって記録
直後に確認することができ、情報の転送効率を高めるこ
ともできる。
【0051】また、図7の構成では、反射面75で反射
された記録ビームが、再生用のコア72を横断する形態
となるが、本発明に適用する光導波路ではコアとクラッ
ドの屈折率差が小さく、コアを横断するビームに関する
界面における反射等の影響は極めて小さい。また、反射
面75で反射された記録ビームは再生ビーム(導波路伝
搬)と交差するが、その交差は直交であるため、記録ビ
ームが再生ビームに影響を与えることはない。
【0052】図8は本発明の光ピックアップの第4の実
施の形態を示すもので、ここでは第1の実施の形態にお
いて反射面で反射された光が透過する部位のクラッド中
に、該クラッドとは屈折率の異なる球状もしくは半球状
もしくは回転楕円体状もしくは回転放物面状の領域を設
けた例を示す。
【0053】既に図7でも説明したが、コアを伝搬し反
射面で反射される光は、ほぼコアの形状程度の大きさと
なる。従って、できるだけ反射面に近い部分で最終的に
コアを絞り、細い平行出射光として微小開口部の直上に
投射することが再生用の定在場光の強度を高め、媒体に
よって変調された検出光のS/N比を向上させる上で重
要不可欠の課題となる。
【0054】コアの形状を細く絞る構成は既に図6で述
べたように可能であるが、実際には微細でアスペクト比
の高いコア形成の難しさや、反射面で反射したビームと
微小開口部との相対位置決めを高精度に実現する必要が
ある等、実施に当たっての困難性も高い。
【0055】本実施の形態では、反射面44で反射され
た光が透過する部位のクラッド43中に、例えば球状の
レンズ様体47を入れ、比較的大きいコア42からの出
射ビームをこのレンズ様体47を用いて微小開口部46
の直上でできるだけ集光し、開口部46から限定範囲内
に定在する近接場光の強度を高める構成としたものであ
る。
【0056】レンズ様体に関しては、μmオーダのプラ
スティック製のビーズ等、現実に所望の寸法にて適用可
能な部品がある。また、本光ピックアップは、後述のよ
うに基板上に順次液状プラスティック素材を流し、これ
を硬化させて積層構成する製作手法が適用できるため、
液状クラッドにビーズを適当な位置に位置決めして配置
し、その上層を順次積層することでレンズ様体の周囲に
光学歪み等を生じることなく構成することができる。
【0057】なお、レンズ様体に関しては、球状、半球
状、回転放物面状、回転楕円体状等の形状が考えられる
が、もちろんこれに限定される必要はなく、解析関数で
は表現きない複雑な断面形状のレンズ様体を用いても良
いことは勿論である。
【0058】図9は本発明の光ピックアップの第5の実
施の形態を示すもので、ここでは第1の実施の形態にお
いて遮光膜を形成した部分もしくは開口部の近傍に段差
部を設けた例を示す。即ち、図中、48は光導波路の一
端側に向かってステップ状もしくは逆ステップ状(櫛の
歯状もしくは逆櫛の歯状)をなした段差部(パッド)で
あり、光導波路41の遮光膜を形成した部分もしくは開
口部の近傍(の媒体に対向する導波路面(媒体との摺動
・浮上走行面))に設けられている。
【0059】本光ピックアップは、図5で説明したよう
に、光導波路の弾性を利用してその一端側を媒体に押圧
し、開口部を媒体面から所望の浮上高さ(数10nm〜
10nm)に位置決めする構成が採られる。開口部を設
けた導波路面が単純な平面構成の場合には、媒体の回転
とともに連れ回る空気の動圧効果によって光導波路の一
端(先端)が浮上し過ぎることがある。また、浮上量を
低減させるために押圧量を増すと、媒体の起動・停止時
のような空気の動圧効果が十分得られない場合には、光
導波路と媒体が摺動摩耗を起こし、媒体の記録データの
破損や開口部の損傷を引き起こす原因となる。
【0060】そこで、図9に示すようなパッド48もし
くはABS面を形成することで、該パッドのステップ部
及びランド部(凸部)48aではほぼ正圧(光ピックア
ップを媒体から浮上させる)力が、また、逆ステップ部
分及びグルーブ部(凹部)48bでは負圧(光ピックア
ップを媒体面に吸引する)力が発生し、これらの力の大
きさや分布を適当に配置するABS面形状を構成するこ
とで、任意の走行速度にて所望の導波路(開口部)の浮
上すきまを実現できる。
【0061】また、これらの段差部で発生する動圧(正
圧、負圧)は、ピックアップと媒体との相対運動に伴っ
て発生するものであるから、起動・停止時には媒体とピ
ックアップとの正味の押圧(接触)力を小さくでき、相
互の接触摺動に起因する損傷を低減できる点からも本構
成は有利である。
【0062】図10は本発明の光ピックアップの第6の
実施の形態を示すもので、ここではこれまで説明した光
導波路と、周知の磁気ディスク装置における浮動ヘッド
のスライダコアを支持するサスペンションとを組み合わ
せた例を示す。
【0063】即ち、図中、81は可とう性を有する略棒
状の光導波路であり、前述したような反射面、遮光膜及
び開口部(いずれも図示せず)が形成された先端部82
が図9で説明した段差部を備えており、これが幅広に形
成されたサスペンションとの接合部83に一対の細いリ
ーフ状部84を介してジンバル支持された構造を備えて
いる。また、91はサスペンションであり、光導波路8
1をその接合部83を介して固定的に支持し押圧力を与
える剛な梁状部92と、ピックアップの固定側を構成す
る剛な基部93とがバネ性を有する柔なリーフ状部94
を挟んで一体的に形成されてなっている。
【0064】このような構成を採ることで、光導波路8
1自体に要求される機械的要件、例えば面内方向では剛
性高く、先端部82の曲げ剛性・捻り剛性は小さくする
等の要件を緩和し、かつ光導波路81の媒体への設定許
容公差を広げることができる。
【0065】図11は図10の構成を理解し易くするた
めに分解して表示したものである。サスペンション91
の梁状部92の先端には円状のボス(突起)92aがあ
り、このボス92aによって光導波路18の先端部82
のABS部分の所望の位置を所望の荷重で押圧する(な
お、ボス92aと先端部82とは接合されない。)。ま
た、光導波路81は、サスペンション91の機械的動作
を阻害しないようにするため、サスペンション91との
接合部83より根本部分まではなるべく細く柔に構成す
ることが好ましい。光導波路81の根本部分はコネクタ
85を介して図示しないレーザ光源に接合される(な
お、図10、図11はいずれも媒体に近接する面を上側
として描いている。)。
【0066】図12は本発明の光ピックアップの第7の
実施の形態を示すもので、ここでは光導波路の一端側の
反射面の延長線上に、コア内を伝搬する光のうち反射面
を直進した光の少なくとも一部を該反射面に戻す第2の
反射面を形成した例を示す。即ち、図中、101は可と
う性を有する略棒状の光導波路、102は光導波路10
1のコア、103はコア102を囲むクラッド、104
は反射面、105は遮光膜、106は開口部、107は
第2の反射面である。
【0067】光導波路101は途中で一旦、コア102
の軸方向に対して45度の角度で切断され、適当な反射
膜等がコーティングされて反射面104を構成するが、
この反射面104は光源から出てコア内を伝搬してきた
光の一部を開口部106側に反射し、残りをそのまま透
過させるビームスプリッタの機能を持つ。また、光導波
路101は、反射面104の延長線上に前記同様な光導
波路部分が接合され、その延長部の端面はコア42の軸
方向に対して90度の角度で切断され、さらに反射膜も
しくは多層膜及び反射膜からなる移相膜が形成されて第
2の反射面107を構成する。
【0068】ここで、光源から出て反射面104で反射
され、開口部106に向かった光のうち、開口部106
からしみ出ていかなかった分は遮光膜105にて反射さ
れ、再度、この反射面104に戻る。また、この反射面
104を透過して直進した光は、第2の反射面107に
至り、ここで反射されて、やはり反射面104に戻るこ
とになる。
【0069】次に、前記構成による媒体のビット情報の
検出原理を説明する。
【0070】まず、微小開口部106に定在する定在場
光が媒体10と相互作用(媒体による散乱)を受けない
条件において、上記2つの戻り光が反射面104で、そ
の強度が等しく位相が完全に反位相となるように第2の
反射面107を調整する。具体的には、第2の反射面1
07を構成する多層膜の厚みや最表面の反射膜の反射率
を変えることで、第2の反射面107からの戻り光の位
相と強度を変えることができる。これら2つの戻り光は
反射面104にて相互に干渉し、理想的に上記の条件が
成立すれば、光導波路101のコア102を逆方向に戻
る、戻り(干渉)光の強度はゼロとなる。
【0071】次に、開口部106が、例えば凹凸状に情
報を転写した媒体上を浮上した場合、凸部(ランド部)
直上では開口部106から筆先状に滲み出る定在場光が
媒体と相互作用を起こし、散乱(伝搬)光となって光エ
ネルギが散逸する。また、凹部(グルーブ部)では開口
部106からの定在場光は散乱されず、エネルギ的にも
散逸しない。
【0072】これは、開口部106から反射面104に
戻る戻り光からすると、開口部106が媒体10のラン
ド部上に来た時とグルーブ部上に来た時とでは、定在場
光の散逸の有無によって戻り光の強度が微妙に変動する
ことになる。即ち、開口部106からの戻り光は、媒体
10の凹凸(グルーブ/ランド)によって一定の直流光
に重畳されて、微妙な強度変調を受けることになる。
【0073】ところで、第2の反射面107からの戻り
光は、先に調整した如く、開口部106からの戻り光の
うち一定の直流光をキャンセルするように設定されてい
るので、結局、反射面104から光導波路101のコア
102を経由して戻る干渉光の強度変動は、とりもなお
さず開口部106からしみ出す定在場光の散乱・非散乱
の程度を直に反映したものとなる。
【0074】もちろん、このような開口部106からの
戻り光を直流成分も含めて直接光電変換し、変換された
電気信号において直流分をキャンセルすることも原理的
には可能である。しかしながら、この開口部からの戻り
光の変調分は非常に微小であるため、これ自体がそもそ
もの光源の強度変動・光電変換時の電気的ノイズに埋も
れ、所望のS/N比をもって検出することは非常に困難
である。
【0075】本実施の形態のように、同じ光源からの光
を一部分分岐し、参照(キャンセル)光として用いれ
ば、光源の変動自体の影響を除くことができる。さらに
戻り(干渉)光の光電変換時にも大きな直流光成分がな
く、理想的にはAC成分のみのため、変換器(光検出
器)にも非常に広いダイナミックレンジを必要としない
等の利点がある。また、本実施の形態では、媒体の下部
に光検出系を設ける必要がなく、片側アクセスが可能と
なる。
【0076】なお、本図の導波路の光発生・検出系は、
光源51、集光レンズ52,54、光検出器53、偏光
ビームスプリッタ57、波長板58等で構成され、光源
51からの出射光はその殆どが光導波路101のコア1
02に入射され、その一方、光導波路101の一端側に
て干渉した戻り光は、偏光ビームスプリッタ57におい
て図面の上方に反射され、光検出器53に入射される構
成となっている。
【0077】一般に、光情報記憶装置の利点は、記録用
のレーザビームをガルバノミラー等を用いて微小角度振
るだけで、非常に高い精度で高速・高帯域のトラッキン
グ制御ができる点にある。本願のような片持ち梁状のフ
ォイル型光ピックアップでは、コアを伝搬する光を光テ
コ方式で振ることはできない。
【0078】図13は本発明の光ピックアップの第8の
実施の形態を示すもので、ここでは光導波路のクラッド
の一部に切り欠きを形成し、該切り欠き部分に固体変位
素子を接合してトラッキング制御を行うようになした例
を示す。即ち、図中、49a,49bは光導波路41の
一端側近傍のクラッド43のコア42の両側に設けられ
た切り欠きであり、光導波路41をコア42の軸回りの
方向に弾性変形し易くしている。また、111,112
はそれぞれ切り欠き49a,49bを跨ぐようにクラッ
ド43に接合された、圧電素子、磁歪素子、静電変位素
子(印加電圧に応じて微小変位する素子)等の固体変位
素子である。
【0079】ここで、各素子111,112に、例えば
コア42を挟んで左側の素子112にはこれを伸ばし、
右側の素子111にはこれを縮ませるような信号電圧等
を印加すれば、光導波路41の一端側を右側に変位さ
せ、その開口部(図示せず)を右に微小移動させること
ができ、また、前記と逆の信号電圧等を印加すれば開口
部を左に微小移動させることができ、上記のようなマイ
クロトラッキングが可能となる。
【0080】本例では、切り欠き部分に固体変位素子を
後から接合する構成として示したが、この構成に限定さ
れることなく、例えば光導波路(クラッド)の形成時に
固体変位素子を直接埋め込む構成を採ってももちろん良
い。
【0081】次に、本願の実施の形態ではないが、本発
明の光ピックアップが実現できることを示すために、図
14を用いて作製法を説明する。
【0082】まず、光導波路構成の基礎となる基板には
Si基板121等を用いることができる。
【0083】一般に、液状材料を硬化させて固めた自由
表面は、平面粗度やうねり・ねじれ等があり、表面の平
坦性・平滑性が十分ではなく、本願の例のようにサブサ
ブミクロンの浮上すきまで媒体上に開口部を位置付ける
には極めて不十分である。Siは非常に平滑・平坦な面
を得ることができるので、これを基板に液状プラスティ
ック多層膜を構成し、最終工程にてSi基板121から
剥離させることで、該Si基板121の平坦形状をその
まま導波路の媒体対向面に転写することができる。
【0084】所望の光導波路の厚みが薄く、Si基板剥
離時に光導波路にカーリング等が生じるような場合に
は、Si基板自体をエッチング液にて腐食・除去するこ
とで、光導波路に残留応力を生じない形成法も適用でき
る。また、ABS面に関しても、一旦、形成された光導
波路の面にスパッタ、エッチング等で段差部を形成する
必要は必ずしもなく、同図(a)に示すように、Si基
板121に直接、ABS面の形状をエッチング等で形成
し、この上に順次、クラッド層、コア層を形成する方法
を採っても良い。
【0085】既に説明したように、反射面で曲げられた
コアの伝搬光は、一般にビーム幅が大きいため、光の利
用効率を上げる観点から開口部の直上で十分集光する必
要がある。光導波路の各層は液状プラスティックを順次
塗布して硬化積層するので、同図(b),(c)に示す
ように、クラッド材料122を途中まで塗布した段階
で、開口部の形成位置にクラッド材料122とは屈折率
の異なるビーズ玉状のレンズ様体123を置き、その周
囲をクラッド材料122で埋めて固めれば容易にマイク
ロレンズが構成でき、しかもレンズ様体123を埋め込
む際の残留応力が残らない。
【0086】その後、同図(d)に示すようにコア材料
124を塗布し、同図(e)に示すように再度、クラッ
ド材料122を塗布し、同図(f)に示すようにSi基
板121から剥離して一端側をコアの軸方向に対して4
5度の角度で切断して反射面125を形成すれば完成す
る。
【0087】なお、レンズ様体の構成に関しては、これ
も既に説明したように、光導波路のクラッド部分に円筒
状の穴を形成し、これに低指向性のスパッタにてレンズ
材を盛り上げて形成する方法がある。このためにはSi
基板に円筒状の凸部を形成し、これをクラッドに転写す
れば良い。また、Si基板自体にレンズに対応したメス
型相当の疑似球状の凹部形状を形成し、これをクラッド
に転写する方法もある。
【0088】
【発明の効果】以上、実施の形態とともに説明したよう
に、本発明によれば、コア及びクラッドを備えた可とう
性を有する略棒状の光導波路を用い、その一端側にコア
内を伝搬する光の少なくとも一部をクラッドを透過する
方向に反射する反射面を設けることで、コア内の伝搬光
の光路を曲げ、この伝搬光がクラッドを透過して出射す
る部位に遮光膜を設け、さらに使用する光の波長以下の
微小な開口部を設けたので、媒体の記録情報を高空間分
解能で検出(再生)可能な光ピックアップを極めて簡易
な構成で実現できる。
【0089】また、上記光ピックアップにおいて、その
コアの断面積が光導波路の他端側から一端側に向かって
漸減するように形成されるように構成したので、微小開
口部の直上で入射ビームが効率良く絞られ、光の利用効
率が高くS/N比の高い再生信号を得ることができる。
【0090】また、上記光ピックアップにおいて、反射
面で反射された光が透過する部位のクラッド中に、該ク
ラッドとは屈折率の異なる球状もしくは半球状もしくは
回転楕円体状もしくは回転放物面状の領域を設けたの
で、同様に微小開口部の直上で入射ビームが効率良く絞
られ、光の利用効率が高くS/N比の高い再生信号を得
ることができる。
【0091】また、上記光ピックアップにおいて、少な
くとも2つのコアを備えた光導波路を用い、かつ少なく
とも2つのコア内をそれぞれ伝搬する光の反射光が光導
波路の長手方向とほぼ一致する一つの直線上に配置され
るように構成したので、情報記録も可能な光ピックアッ
プを簡易な構成で実現できる。
【0092】また、上記光ピックアップにおいて、少な
くとも2つのコアを備えた光導波路を用い、かつ少なく
とも2つのコア内をそれぞれ伝搬する光の反射光が光導
波路の長手方向とほぼ一致する一つの直線上に配置さ
れ、かつ反射光が透過する部位のクラッド表面にくぼみ
部分を設け、このくぼみ部分に断面凸状のレンズを形成
したので、より微細な記録ビットの記録が可能な光ピッ
クアップを簡易な構成で実現できる。
【0093】また、上記光ピックアップにおいて、遮光
膜を形成した部分もしくは開口部の近傍に、光導波路の
一端側に向かってステップ状もしくは逆ステップ状をな
した段差部を設けたので、装置構成時に設定公差を緩和
でき、かつ浮上安定性に優れた光ピックアップを簡易な
構成で実現できる。
【0094】また、上記光ピックアップにおいて、光導
波路を支持するための剛な梁状部と、ピックアップの固
定側を構成する剛な基部とがバネ性を有する柔なリーフ
状部を挟んで一体的に形成されてなるサスペンションを
用いるとともに、光導波路に前記サスペンションの梁状
部との接合部を設け、前記サスペンションによって本体
の一端側の遮光膜を形成した部分を弾性支持させる構成
としたので、浮上安定性に優れ、面内の支持剛性が高く
高速トラックシークが可能な光ピックアップを簡易な構
成で実現できる。
【0095】さらに、上記光ピックアップにおいて、光
導波路の一端側の反射面の延長線上に、コア内を伝搬す
る光のうち反射面を直進した光の少なくとも一部を該反
射面に戻す第2の反射面を形成したので、媒体に対して
片側アクセス可能な光ピックアップを簡易な構成で実現
できる。
【0096】最後に、上記光ピックアップにおいて、光
導波路のクラッドの一部に切り欠きを形成し、該切り欠
き部分に固体変位素子を接合したので、高速のマイクロ
トラッキングが可能な光ピックアップを簡易な構成で実
瑞できる等、その効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ピックアップの一例を示す構成図
【図2】従来の光ピックアップの他の例を示す構成図
【図3】従来の光ピックアップのさらに他の例を示す構
成図
【図4】本発明の光ピックアップの第1の実施の形態を
示す構成図
【図5】本発明の光ピックアップの動作原理を示す図
【図6】本発明の光ピックアップの第2の実施の形態を
示す構成図
【図7】本発明の光ピックアップの第3の実施の形態を
示す構成図
【図8】本発明の光ピックアップの第4の実施の形態を
示す構成図
【図9】本発明の光ピックアップの第5の実施の形態を
示す構成図
【図10】本発明の光ピックアップの第6の実施の形態
を示す構成図
【図11】図10の光ピックアップの構成を詳細に説明
するための図
【図12】本発明の光ピックアップの第7の実施の形態
を示す構成図
【図13】本発明の光ピックアップの第8の実施の形態
を示す構成図
【図14】本発明の光ピックアップの作製法を説明する
【符号の説明】
10:光記憶媒体、11:光記憶媒体の記録層、41,
61,71,81,101:光導波路、42,62,7
2,73,102:コア、43,63,74,103:
クラッド、44,64,75,104:反射面、45,
76,105:遮光膜、46,77,106:微小開口
部、47:レンズ様体、48:段差部、49a,49
b:切り欠き、51:光源、52,54:集光レンズ、
53:光検出器、55:近接(定在)場光、56:散乱
光、57:偏光ビームスプリッタ、58:波長板、7
8:くぼみ部分、79:集光レンズ、91:サスペンシ
ョン、107:第2の反射面、111,112:固体変
位素子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 康子 東京都新宿区西新宿3丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−250708(JP,A) 特開 平2−195531(JP,A) 特開 昭63−311208(JP,A) 特開 平6−331805(JP,A) 特開 平2−235225(JP,A) 国際公開00/28536(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/12 - 7/135 G11B 9/12 - 9/14 G02B 6/12 - 6/14

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 近接場光を利用した光情報記憶装置にお
    ける光ピックアップであって、 コア及びクラッドを備えた可とう性を有する略棒状の光
    導波路と、 該光導波路の一端側に設けられた、コア内を伝搬する光
    の少なくとも一部をクラッドを透過する方向に反射する
    反射面と、 該反射面で反射された光が透過する部位を中心とするク
    ラッド表面に形成された、光の透過を遮断する遮光膜
    と、 前記反射面で反射された光が透過する部位に形成され
    た、使用する光の波長よりも小さな開口部とよりなり、 前記光導波路の一端側の開口部が形成されたクラッド表
    面を、回転する光記録媒体に押圧することで空気軸受を
    構成し、開口部と光記録媒体との間にサブミクロンの浮
    上すきまを維持す ることを特徴とする光ピックアップ。
  2. 【請求項2】 光導波路の他端側から一端側に向かって
    コアの断面積が漸減するように形成されたことを特徴と
    する請求項1記載の光ピックアップ。
  3. 【請求項3】 反射面で反射された光が透過する部位の
    クラッド中に、該クラッドとは屈折率の異なる球状もし
    くは半球状もしくは回転楕円体状もしくは回転放物面状
    の領域を設けたことを特徴とする請求項1記載の光ピッ
    クアップ。
  4. 【請求項4】 少なくとも2つのコアを備えた光導波路
    を用いるとともに、前記少なくとも2つのコア内をそれ
    ぞれ伝搬する光の反射光が光導波路の長手方向とほぼ一
    致する一つの直線上に配置されるように構成したことを
    特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  5. 【請求項5】 反射面で反射された光が透過する部位を
    中心とするクラッド表面にくぼみ部分を設けるととも
    に、該くぼみ部分に断面凸状のレンズを形成したことを
    特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
  6. 【請求項6】 遮光膜を形成した部分もしくは開口部の
    近傍に、光導波路の一端側に向かってステップ状もしく
    は逆ステップ状をなした段差部を設けたことを特徴とす
    る請求項1記載の光ピックアップ。
  7. 【請求項7】 光導波路を支持するための剛な梁状部
    と、ピックアップの固定側を構成する剛な基部とがバネ
    性を有する柔なリーフ状部を挟んで一体的に形成されて
    なるサスペンションを用いるとともに、光導波路に前記
    サスペンションの梁状部との接合部を設け、前記サスペ
    ンションによって本体の一端側の遮光膜を形成した部分
    を弾性支持させることを特徴とする請求項1記載の光ピ
    ックアップ。
  8. 【請求項8】 光導波路の一端側の反射面の延長線上
    に、コア内を伝搬する光のうち反射面を直進した光の少
    なくとも一部を該反射面に戻す第2の反射面を形成した
    ことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  9. 【請求項9】 光導波路のクラッドの一部に切り欠きを
    形成し、該切り欠き部分に固体変位素子を接合したこと
    を特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の光ピックア
    ップ。
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