JP3400333B2 - インク定着層用処理剤及びそれを利用した被記録材 - Google Patents

インク定着層用処理剤及びそれを利用した被記録材

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JP3400333B2
JP3400333B2 JP02131298A JP2131298A JP3400333B2 JP 3400333 B2 JP3400333 B2 JP 3400333B2 JP 02131298 A JP02131298 A JP 02131298A JP 2131298 A JP2131298 A JP 2131298A JP 3400333 B2 JP3400333 B2 JP 3400333B2
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研治 河田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理剤及びそれを
処理した被記録材に関し、更に詳しくは、優れたインク
の定着性と優れた透明性とを有するインク定着層を、よ
り薄く容易に形成することができる処理剤及びこれを処
理した被記録材、特にインクジェット記録に適する被記
録材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、画像等を記録する被記録基材には、例えば、木、
紙、樹脂、金属、ガラス、セラミックス、皮革等の多種
多様の材料が採用されている。また前記被記録基材の形
態としては、フィルム、シート、平板、湾曲体、凹凸
体、編織体、発泡体等の多種多様の形態がある。
【0003】また、従来から、前記被記録基材上に形成
されたインク受理層中に多孔性物質を含有させてなる記
録媒体、例えば特開昭60−245588号公報及び特
公平7−2430号公報に記載された発明がある。
【0004】前記特開昭60−245588号公報に記
載された発明は、「支持体上に、少なくとも一層のイン
ク受理層を設けてなる記録媒体において、該インク受理
層中に、半径40Å乃至1000Åの細孔を持つ多孔性
アルミナキセロゲルを含有することを特徴とするインク
ジェット記録媒体」であり、前記特公平7−2430号
公報に記載された発明は、「透明な基材上に多孔質のイ
ンク受容層を設けた記録用シートにおいて、インク受容
層が主として擬ベーマイトよりなり、そのインク受容層
の半径100〜1000Åを有する細孔の全容積が0.
1cc/g以下であることを特徴とする記録用シート」
である。
【0005】このような、前記被記録基材上に形成され
たインク受容層中に多孔性物質を含有させてなる記録媒
体は、特定の細孔を有する多孔性物質における細孔内に
水性インク中の水分を吸収することができるので、前記
水性インク中の発色成分によるにじみを防止して、画像
の品質、例えば色濃度、発色性等を向上させることがで
きるとされている。
【0006】従来技術においては、多孔性物質として、
例えば、前記多孔質のインク受容層において採用するこ
とができるベーマイト、アルミナ、Mg(OH)2 、M
gCO3 、MgO、Ca(OH)2 、CaCO3 、Zn
O、Zn(OH)2 、ZnCO3 等が提案されている。
これらのうち、例えば、被記録基材として透明樹脂フィ
ルムを用いてOHPフィルムを製造する場合、光沢フィ
ルムを製造する場合等においては、OHPフィルムにお
ける透明性の確保、光沢フィルムにおける表面光沢の確
保等の観点から、多くの場合、前記多孔性物質として、
例えば、ベーマイト、アルミナ等のAl系金属粉体が使
用されている。
【0007】しかしながら、前記多孔質物質としてAl
系金属粉体を使用したAl系金属含有インク受容層を形
成した被記録材においては、Al系金属含有インク受容
層の厚みが30〜50μm以上必要であり、Al系金属
含有インク受容層の厚みが30μmを下回る場合には、
例えば、(イ)インク受容層上に塗布されたインクの全
量をインク受容層が受容しきれず、この受容しきれなか
ったインクがあふれてしまうというあふれの問題があっ
た。
【0008】前記(イ)あふれの問題として具体的に
は、例えば、市販のインクジェットプリンタにおけるイ
ンクの吐出量を最大吐出量に設定した場合において、そ
の厚みが30μmを下回るAl系金属含有インク受容層
を形成した被記録材に対して、このインクジェットプリ
ンタによる印字を行なっても、高品質の画像を得ること
ができなかった。
【0009】これに対して、その厚みが30〜50μm
以上のAl系金属含有インク受容層を形成した被記録材
においては、例えば、(ロ)被記録基材上に一回の塗布
作業で30〜50μm以上のAl系金属含有インク受容
層を形成しようとしても、塗布したAl系金属含有イン
ク受容層が乾燥するとヒビ割れを生じてしまうという問
題、(ハ)このAl系金属含有インク受容層におけるヒ
ビ割れの問題を回避するには、複数回の塗布作業を繰り
返して積層構造のAl系金属含有インク受容層を形成し
なければならず、Al系金属含有インク受容層を容易に
形成することができないという問題、(ニ)複数回の塗
布作業を行なうことにより塗布液を浪費する等の原料コ
スト及び省資源の問題、及び、(ホ)複数回の塗布作業
を行なうことにより生産効率が低下する等の製造コスト
及び省エネルギーの問題等があった。
【0010】従来技術における多孔性物質として、前記
Al系金属粉体を使用せずに、例えば、Mg(OH)
2 、MgCO3 、MgO等のMg系金属粉体、Ca(O
H)2、CaCO3 等のCa系金属粉体、ZnO、Zn
(OH)2 、ZnCO3 等のZn系金属粉体等を使用し
た場合には、例えば、被記録基材として透明樹脂フィル
ムを用いてOHPフィルムを製造する場合、光沢フィル
ムを製造する場合等において、(ヘ)OHPフィルムに
おける優れた透明性を確保することができないという問
題、(ト)光沢フィルムにおける優れた表面光沢を得る
ことができないという問題等があった。
【0011】また、従来技術における多孔性物質とし
て、前記Al系金属粉体と、前記Mg系金属粉体、Ca
系金属粉体、Zn系金属粉体等とを混合した異種金属粉
体混合物を使用した場合においても、前記(イ)〜
(ト)の問題等を解消することはできなかった。
【0012】しかも、この異種金属粉体混合物において
は、前記Al系金属粉体と、前記Mg系金属粉体、Ca
系金属粉体、Zn系金属粉体等との混合比率によって
は、前記Al系金属粉体を採用した場合における前記
(イ)〜(ホ)の問題と、前記Mg系金属粉体、Ca系
金属粉体、及びZn系金属粉体からなる群より選択され
る少なくとも一種を採用した場合における前記(ヘ)及
び(ト)の問題との両方の問題を生じ、全く実用に供す
ることができない場合があった。
【0013】これは、前記異種金属粉体混合物、特に異
種粒径の異種金属粉体混合物を塗布液中に分散させた場
合において、(a)異種金属粉体それぞれにおける表面
電位の違い、及び、異種金属粉体同士の相互干渉作用等
により、例えば、塗布液中における金属粉体の高度な分
散性を実現することができないこと、及び(b)異種金
属粉体間における屈折率の差により、得られるインク受
容層の透光性が劣化すること等に起因すると考えられ
る。
【0014】更に言うと、その厚みが30μmを下回る
Al系金属含有インク受容層を形成した被記録材におけ
る前記(イ)インク受容層上に塗布されたインクの全量
を、インク受容層が受容しきれず、この受容しきれなか
ったインクがあふれてしまうという問題は、インク受容
層中の多孔質物質におけるインク中の染料を固定化する
速度(以下、「染料固定化速度」と称することがあ
る。)が遅いことに起因すると考えられる。
【0015】例えば、前記多孔性物質として異種金属粉
体混合物を使用した異種金属含有インク受容層をその厚
みが30μmを下回るように薄く形成した被記録材にお
いても、染料固定化速度がより遅いAl系金属粉体の染
料定着性(素過性)が、異種金属含有インク受容層全体
におけるインクを定着するインク定着速度の律速段階と
なることにより、前記(イ)の問題を解消することがで
きず、その結果、前記異種金属含有インク受容層の厚み
を低減することができなかった。
【0016】よって、従来から、インク定着速度がより
速く、より薄く形成されたインク定着層を備えた被記録
材が望まれていた。
【0017】本発明は、従来の技術における問題点を解
消することを目的とする。
【0018】本発明の目的は、インク定着速度が速いこ
とにより、優れたインクの定着性と優れた透明性とを有
するインク定着層を、より薄く容易に形成することがで
きる処理剤及びこれを処理した被記録材を提供すること
にある。
【0019】本発明の他の目的は、耐水性に優れ高品質
の画像を長期間保持することができるインク定着層を形
成することができる処理剤及びこれを処理した被記録材
を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、一般式;(MgO)・(CaO)
・(ZnO)・Al(ただし、式中のX、Yお
よびZは0以上1以下の実数であり、かつ0<X+Y+
Z≦1である関係を満たし、かつX、YおよびZのいず
れか一つ又は二つが同時に0であってもよい。)で示さ
れる複合酸化物を有する無機粉体と、酢酸と、樹脂とを
含有することを特徴とするインク定着層用処理剤であ
り、前記第1の手段における一つの態様において、前記
樹脂が、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコー
ル、及びポリアミドからなる群より選択される少なくと
も一種の樹脂であり、前記第1の手段における一つの態
様において、前記無機粉体と前記樹脂との重量比が12
/1〜6/1であり、前記第1の手段における一つの態
様は、一般式;(MgO)・(CaO)・Al
(ただし、式中のX、およびYは0以上1以下の実数
であり、かつ0<X+Y≦1である関係を満たし、かつ
X、およびYのいずれかが0であってもよい。)で示さ
れる複合酸化物を有する無機粉体と、酢酸と、樹脂とを
含有することを特徴とするインク定着層用処理剤であ
り、前記課題を解決するための第2の手段は、前記処理
剤で形成されてなるインク定着層と、このインク定着層
を支持する支持体とを備えることを特徴とする被記録材
である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の処理剤は、一般式;(M
gO)・(CaO)・(ZnO)・Al
(ただし、式中のX、YおよびZは0以上1以下の実
数であり、かつ0<X+Y+Z≦1である関係を満た
し、かつX、YおよびZのいずれか一つ又は二つが同時
に0であってもよい。)で示される共晶組成、好ましく
は(MgO)・(CaO)・Al(ただし、
式中のX、およびYは0以上1以下の実数であり、かつ
0<X+Y≦1である関係を満たし、かつX、およびY
のいずれかが0であってもよい。)で示される複合酸化
物を有する無機粉体と、酢酸と、樹脂とを含有する。
【0022】<複合酸化物を有する無機粉体>本発明に
おける複合酸化物を有する無機粉体は、例えば、気相合
成法、液相合成法等により製造することができる。
【0023】−気相合成法− 前記気相合成法としては、例えば、前記無機粉体が前記
一般式で示される組成を満足するように、Mg塩化物、
Ca塩化物、及びZn塩化物からなる群から選択される
少なくとも一種と、Al塩化物とを所定の割合で含有す
る原料塩化物を、例えば、気化器により気化させて、原
料塩化物ガスを得た後に、所定の温度に加熱した反応雰
囲気下において、前記原料塩化物ガスを所定の流量で酸
素及び水素の混合ガス中に供給して加水分解する塩化物
加水分解気相合成法等を挙げることができる。
【0024】この気相合成法によって得られる前記無機
粉体中の(MgO)X 成分と、(CaO)Y 成分と、
(ZnO)Z 成分と、Al23 成分との組成比率は、
例えば、前記原料塩化物におけるMg塩化物、Ca塩化
物、及びZn塩化物からなる群から選択される少なくと
も一種とAl塩化物との割合、前記混合ガスにおける酸
素と水素との比率、前記反応雰囲気における温度等によ
り決定されることができ、この気相合成法によって得ら
れる前記無機粉体の粒径は、例えば、前記原料塩化物ガ
スを前記混合ガス中に供給する流量等により調節するこ
とができる。
【0025】−液相合成法− 前記液相合成法としては、例えば、Mg塩、Ca塩、及
びZn塩からなる群から選択される少なくとも一種と、
Al塩とを所定の割合で含有する原料塩に、アルカリを
加え共沈させることにより、水酸化物を得た後に、この
水酸化物を液相で加熱するアルカリ共沈液相合成法、及
び、Mgアルコキシド、Caアルコキシド、及びZnア
ルコキシドからなる群から選択される少なくとも一種
と、Alアルコキシドとを所定の割合で含有する原料ア
ルコキシドを、加水分解することにより、水酸化物を得
た後に、この水酸化物を液相で加熱するアルコキシド加
水分解液相合成法等を挙げることができる。
【0026】前記アルコキシド加水分解液相合成法は、
例えば、合成過程においてアルカリを使用する必要がな
いので、アルカリに起因する不純物等の生成がなく、不
純物等を水洗する必要がないこと、及び得られる無機粉
体における溶媒への分散性を向上させることができるこ
と等の利点を有する。
【0027】前記アルコキシド加水分解液相合成法にお
いては、例えば、前記原料アルコキシドの加水分解反応
をルイス酸・塩基の理論によって説明することができ、
式;M(OR)n +nH2 O=M(OH)n +nROH
(ただし、MはMg、Ca、Zn、及びAlのいずれか
を表し、Rは鎖式炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表
し、nはMの酸化数を表す。)で示される反応によっ
て、アルコキシド:M(OR)n から水酸化物:M(O
H)n を得ることができる。
【0028】前記アルコキシド加水分解液相合成法にお
いては、得られた水酸化物を液相で60〜85℃に加熱
する加熱処理を行なうことにより、前記水酸化物を水和
物に変態させ、さらに複合酸化物に変態させることがで
きる。
【0029】前記水和物における前記Alアルコキシド
に由来する成分としては、例えば、ベーマイト(AlO
−OH)を挙げることができる。
【0030】前記アルコキシド加水分解液相合成法にお
いては、前記水酸化物を液相で60〜85℃に加熱する
加熱処理を行なった後に、600〜1,000℃で強熱
する焼成処理を行なうことにより、前記一般式; (MgO)X ・(CaO)Y ・(ZnO)Z ・Al2
3 (ただし、式中のX、YおよびZは0以上1以下の実数
であり、かつ0<X+Y+Z≦1である関係を満たし、
かつX、YおよびZのいずれか一つ又は二つが同時に0
であってもよい。)で示される組成、好ましくは、一般
式; (MgO)X ・(CaO)Y ・Al23 (ただし、式中のX、およびYは0以上1以下の実数で
あり、かつ0<X+Y≦1である関係を満たし、かつ
X、およびYのいずれかが0であってもよい。)で示さ
れる組成を有する複合無機酸化物を有する無機粉体を得
ることができる。
【0031】この液相合成法によって得られる前記無機
粉体中の(MgO)X 成分と(CaO)Y 成分と(Zn
O)Z 成分とAl23 成分との組成比率は、例えば、
前記原料塩におけるMg塩、Ca塩、及びZn塩からな
る群から選択される少なくとも一種とAl塩との割合、
前記原料アルコキシドにおけるMgアルコキシド、Ca
アルコキシド、及びZnアルコキシドからなる群から選
択される少なくとも一種とAlアルコキシドと割合、p
H、温度、及び圧力等により決定されることができ、こ
の液相合成法によって得られる前記無機粉体の粒径は、
例えば、原料濃度、pH、温度及び圧力等により調節す
ることができる。
【0032】−複合無機酸化物を有する無機粉体− 本発明における組成の無機粉体の粒径は、大きくとも1
μmであり、好ましくは0.5〜0.01μmである。
【0033】複合無機酸化物を含有する前記無機粉体の
粒径が、大きくとも1μmであることにより、後述する
インク定着層が、インク中の染料等の発色成分を速やか
に、ムラなく定着させることができ、さらにインク中の
水及び溶剤等の溶媒成分を速やかに、ムラなく、拡散さ
せることができるので、例えば、高速印字においても指
触乾燥を速くすることができ、高品質の画像を実現する
ことができる。
【0034】これに対して、前記無機粉体の粒径が1μ
mを上回る場合には、例えば、後述する支持体として白
色フィルムを用い、この白色フィルム上に形成されたイ
ンク定着層における無機粉体同士の間隙に存在する、無
機粉体に固定化されない発色成分が、インク定着層にお
ける樹脂中に浸透することにより、無機粉体に固定化さ
れた発色成分の発色に比べて、無機粉体に固定化されず
に樹脂中に浸透した発色成分の発色がより白みを帯びて
しまうという不都合を生じ、発色性にムラのない高品質
の画像を実現することができない。
【0035】本発明においては、前記無機粉体が、一般
式;(MgO)X ・(CaO)Y ・(ZnO)Z ・Al
23 (ただし、式中のX、YおよびZは0以上1以下
の実数であり、かつ0<X+Y+Z≦1である関係を満
たし、かつX、YおよびZのいずれか一つ又は二つが同
時に0であってもよい。)で示される組成、好ましくは
(MgO)X ・(CaO)Y ・Al23 (ただし、式
中のX、およびYは0以上1以下の実数であり、かつ0
<X+Y≦1である関係を満たし、かつX、およびYの
いずれかが0であってもよい。)で示される組成を有す
ることが重要である。このような組成を有する無機粉体
は複合無機酸化物を有し、又別の観点よりすると共晶組
成を有すると考えられる。
【0036】前記組成を有する無機粉体を含有すること
により、後述するインク定着層の厚みが30μmを下回
るように薄く形成されていても、被記録材におけるイン
ク定着速度を充分に速くすることができ、優れたインク
の定着性を有するインク定着層とすることができる。
【0037】また、前記組成を有する無機粉体を含有す
ることにより、例えば、後述する支持体として透明樹脂
フィルムを用い、この透明樹脂フィルム上にインク定着
層を形成してOHPフィルムを製造する場合において、
前記OHPフィルムにおける優れた透明性を確保するこ
とができ、優れた透明性を有するインク定着層を得るこ
とができる。また、後述する支持体として光沢を有する
フィルムを用いて光沢フィルムを製造する場合において
も、優れた表面光沢を有する光沢フィルムを得ることが
できる。
【0038】−その他の無機粉体− 本発明の処理液においては、本発明の目的を達成するこ
とができる範囲内で、前記無機粉体と、それ以外の他の
粉体、例えば、Al系金属粉体、Mg系金属粉体、Ca
系金属粉体、Zn系金属粉体等の多孔質物質の粉体等と
を併用することができる。
【0039】前記多孔質物質の粉体として具体的には、
例えば、ギブサイト、ベーマイト、バイヤライト、ノル
ストランダイト、ダイアスポア、トーダイト、アルミナ
ゲル等のアルミナ水和物等から得られる粉体、α−アル
ミナ、γ−アルミナ、η−アルミナ、δ−アルミナ、θ
−アルミナ、χ−アルミナ、κ−アルミナ、κ’−アル
ミナ、ρ−アルミナ等のAl23 、Al2 (OH)
3 、MgO、Mg(OH)2 、MgCO3 、Ca(O
H)2 、CaCO3 、ZnO、Zn(OH)2 、ZnC
2 等の粉体を挙げることができる。
【0040】前記他の粉体は、その一種を単独で採用す
ることができ、又これらの二種以上を採用することもで
きる。
【0041】前記無機粉体と他の粉体とを併用する場合
には、例えば、インク定着層をその厚みが30μmを下
回るように薄く形成した被記録材において、定着させる
インク中の発色成分が、前記無機粉体及び他の粉末に速
やかに固定化されるように、前記無機粉体と他の粉体と
の配合割合を決定することができる。
【0042】更に言うと、例えば、前記無機粉体により
速やかに固定化することができる発色成分の固定化量
と、前記他の粉体により速やかに固定化することができ
る発色成分の固定化量とを合計した総固定化量が、前記
インク中の発色成分量以上になるように、前記無機粉体
と他の粉体との配合割合を決定することができる。
【0043】具体的には例えば、前記被記録材にインク
ジェットプリンタを用いてインクを塗布する場合におい
て、このインクジェットプリンタにおけるインクの吐出
量を最大吐出量に設定すると、インク中の発色成分量が
最大になるので、前記総固定化量が、この最大の発色成
分量以上になるように、前記無機粉体と他の粉体との配
合割合を決定することができる。
【0044】前記無機粉体と他の粉体との総重量に対す
る前記無機粉体の配合割合は、例えば、従来から市販さ
れているプリンタを採用する場合には、通常1重量%以
上であり、好ましくは3重量%以上である。
【0045】本発明においては、前記無機粉体と他の粉
体との総重量に対する前記無機粉体の配合割合を1重量
%以上にすることで、例えば、インク定着層をその厚み
が30μmを下回るように薄く形成した被記録材にイン
クを定着させる場合に、定着させるインク中の発色成分
を、前記無機粉体及び他の粉体に速やかに固定化するこ
とができる。
【0046】前記無機粉体と他の粉体とを併用する場合
には、例えば、従来から大量生産され、本発明における
前記無機粉体よりも安価なアルミナ等をより多く、前記
無機粉体をより少なく配合することで、低コスト化を実
現することができ、さらに本発明の処理液及びこれを処
理した被記録材を製造する場合においても、従来からの
製造設備を利用することができる。
【0047】<樹脂>本発明における樹脂としては、例
えば、耐水性があり、容易に水に溶解しない難水溶性樹
脂等を挙げることができ、好適には、ポリビニルアセタ
ール、難水溶性のポリビニルアルコール、及びポリアミ
ドからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採
用することができる。
【0048】前記ポリビニルアセタールとしては、例え
ば、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化
して得られるポリビニルアセタール等を挙げることがで
きる。
【0049】前記ポリビニルアセタールにおいては、ア
セタール化度が3〜15mol%のポリビニルアセター
ルが好ましい。
【0050】前記ポリビニルアセタールとして具体的に
は、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセト
アセタール、ポリビニルブチラール等を挙げることがで
きる。
【0051】前記ポリビニルアセタールにおいては、ア
セタール化度が5〜10mol%であるのが好ましい。
【0052】前記難水溶性ポリビニルアルコールにおい
ては、そのケン化度が80〜99.8mol%であるの
が好ましく、さらにケン化度が80〜90mol%であ
るのがより好ましい。
【0053】前記ポリアミドとしては、アルコール系溶
媒に可溶なポリアミドが好ましい。このアルコール系溶
媒に可溶なポリアミドとしては、例えば、メタノール、
エタノール、プロパノール等の低級脂肪族アルコール等
のアルコールに可溶なアルコール可溶性ポリアミド等を
挙げることができ、前記アルコール可溶性ポリアミドと
しては、例えば、東洋レーヨン株式会社製の可溶性ナイ
ロン「CM4000」(商品名)及び「CM8000」
(商品名)等を挙げることができる。
【0054】前記可溶性ナイロン「CM4000」は、
浮沈法により23℃で測定した比重が1.13、DSC
法により昇温速度10℃/minで測定した融点が14
0℃、D570による吸水率が20℃、24時間で3.
5%、20℃、水中平衡で12.5%、20℃、RH6
5%平衡で2.0%である。
【0055】前記可溶性ナイロン「CM8000」は、
浮沈法により23℃で測定した比重が1.12、DSC
法により昇温速度10℃/minで測定した融点が12
8℃、D570による吸水率が20℃、24時間で3.
5%、20℃、水中平衡で12.0%、20℃、RH6
5%平衡で2.0%である。
【0056】前記アルコール系溶媒としては、例えば、
前記低級脂肪族アルコール、プロピレングリコール、前
記低級脂肪族アルコールと水、トリクレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ベンジルアルコール、フェノール、ギ
酸、及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種
との混合溶媒等を挙げることができ、前記混合溶媒とし
ては、例えば、メタノール/水系混合溶媒、メタノール
/トリクレン系混合溶媒、メタノール/クロロホルム系
混合溶媒等を挙げることができる。
【0057】本発明においては、特に、ポリビニルアセ
タール、ケン化度が80〜99.8mol%のポリビニ
ルアルコール、及びアルコール系溶媒に可溶なポリアミ
ドからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採
用するのが好ましく、これらの樹脂は、後述する支持体
との優れた接着性と、インク成分が速やかに浸透するこ
とができる優れたインク浸透性と、後述するインク定着
層と水とが接触してもインク定着層が水に溶解しない優
れた耐水性とを備える。
【0058】これに対して、前記ケン化度が80〜9
9.8mol%のポリビニルアルコールにおいては、そ
のケン化度が80mol%を下回ると耐水性が悪くなる
ので、本発明の目的を達成することができない。
【0059】<処理液>本発明の処理液は、前記無機粉
体と前記樹脂とを含有する。
【0060】前記処理液における前記無機粉体と前記樹
脂との重量比は、12/1〜6/1であるのが好まし
く、より好ましくは10/1〜6/1、さらにより好ま
しくは7/1〜6/1である。
【0061】前記無機粉体と前記樹脂との重量比が12
/1を上回る場合には、後述する被記録材を製造する場
合に、前記インク定着層と、このインク定着層を支持す
る支持体との接着力が、実用に耐えられない程度にまで
低下してしまうことがある。また前記無機粉体と前記樹
脂との重量比が5/1を下回る場合には、後述するイン
ク定着層におけるインクの定着性が実用に耐えられない
程度にまで低下してしまうことがある。
【0062】前記処理液は、処理液中の無機粉体(本発
明に係る複合無機酸化物含有の無機粉体)濃度が10〜
50重量%になるように濃度調整することができる。前
記無機粉体濃度が10重量%を下回る場合には、本発明
の目的を達成する充分な効果が発揮されないことがあ
り、前記無機粉体濃度が50重量%を上回る場合には、
処理液中で無機粉体が析出し易くなる傾向があり、実用
上、不具合を生じることがある。本発明においては、前
記無機粉体濃度を、15〜35重量%に濃度調整するの
が好ましい。また、この処理液中の樹脂の濃度は、前記
無機粉体の濃度に適合しつつ、前記無機粉体と前記樹脂
との重量比を満たすように調整される。
【0063】本発明の処理液は、例えば、前記無機粉体
と前記樹脂とを溶媒中に分散させることにより製造する
ことができる。
【0064】前記溶媒としては、水;メチルアルコー
ル、エチルアルコール及びプロピルアルコール等の低級
アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール及びトリエチレングリコール等のグリコール類、酢
酸メチル、酢酸エチル頭の低級アルキルエステル類が好
ましい。これら溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種
以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0065】前記処理液の成分としては、前記無機粉体
及び前記樹脂のほかに、粘度調整剤、レベリング剤、消
泡剤、脱泡剤、及び分散安定剤等を挙げることができ
る。
【0066】前記粘度調整剤としては、酢酸、その他水
性有機酸等が好ましい。
【0067】前記処理液の成分として酢酸、その他水性
有機酸を配合すると、前記処理液において脱泡効果を発
揮することができ、また、前記処理液中の無機粉体の分
散性を向上することができ、さらに、前記処理液の粘度
を調整することにより前記処理液の取り扱い性を向上す
ることができる。特に、前記処理液における粘度を低減
することにより、前記処理液を後述する支持体に多量塗
布することができるので、例えば、1回の塗布で所望の
厚さのインク定着層を形成することができる。前記レベ
リング剤としては、例えば、アルコール変性シリコーン
オイル、エーテル変性シリコーンオイル等の変性シリコ
ーンオイル等を挙げることができる。前記処理液は、例
えば、前記他の粉体を採用しない場合には、前記無機粉
体のみを粉体成分とし、また、前記無機粉体と前記他の
粉体とを併用する場合には、前記無機粉体及び前記他の
粉体を粉体成分として、前記粉体成分と、前記溶媒と、
前記粘度調整剤とを高速拡散機で混合することにより混
合液を得た後、この混合液中の粉体成分を、例えば超音
波分散機、サンドミル、高圧分散機等により均一に分散
することにより分散液を得、この分散液と、前記樹脂を
所定濃度に希釈調整した樹脂液とを混合することにより
得ることができ、得られた処理液を、例えば、超音波脱
泡法、真空脱泡法等により脱泡処理するのが好ましい。
【0068】<被記録材>本発明の被記録材は、本発明
に係るところの、複合無機酸化物を有する無機粉体と、
樹脂とを含有するインク定着層と、このインク定着層を
支持する支持体とを備える。
【0069】前記被記録材は、上述した処理液を支持体
に処理することにより得ることができる。
【0070】前記インク定着層の厚さは、特に制限がな
く、例えば、通常10〜60μmの厚さに形成すること
ができ、実用上20〜50μmの厚さに形成することが
できる。
【0071】特に、本発明においては、インクを定着す
る速度が充分に速く、かつその厚さが30μm以下に形
成されたインク定着層を実現することができる。
【0072】前記支持体としては、例えば、従来から画
像等を記録する被記録基材として採用されている材料を
挙げることができ、具体的には例えば、木、紙、樹脂、
金属、ガラス、セラミックス、皮革等を挙げることがで
きる。
【0073】また前記支持体の形態は、特に限定され
ず、例えば、フィルム、透明フィルム、シート、平板、
湾曲体、凹凸体、編織体、発泡体等を挙げることができ
る。
【0074】前記処理液を前記支持体に処理する方法と
しては、例えば、前記処理液を前記支持体に塗布する方
法を挙げることができる。
【0075】前記処理液を前記支持体に塗布する方法と
しては、例えば、噴射ガスを採用したエアゾールによる
塗布方法、手動ポンプ等を採用したスプレーによる塗布
方法、ハケ塗り、ヘラ塗り、処理液を多孔質材料から浸
み出させて塗布する方法、コーティングロッドによる塗
布方法等を挙げることができる。
【0076】前記処理液は、前記支持体上に塗布するこ
とができ、また、前記支持体の表面に従来の表面処理剤
を塗布して得られた表面処理済支持体上に塗布すること
もできる。
【0077】
【実施例】 (実施例1) −粉体成分− マグネシウムエトキシド:Mg(OC252 0.45重量部 アルミニウムイソプロポキシド:Al(OCH(CH323 4重量部 イソプロパノール 5重量部 水 4重量部 酢酸 0.05重量部 オートクレーブ中で、マグネシウムエトキシド450g
とアルミニウムイソプロポキシド4kgとを、70℃に
加熱した水4kgとイソプロパノール5kgとの混合溶
媒に添加した。次いで、70〜85℃の温度範囲内で3
時間加水分解反応を行なった後、オートクレーブ中に酢
酸50gを添加し、24時間撹拌すると、ゾルが生成し
た。生成したゾルを乾燥した後、400〜500℃で2
4時間焼成して焼成物を得、この焼成物をボールミルで
粉砕することにより粉体成分である(MgO)0.4 ・A
23 で示される組成の無機粉体を得た。この無機粉
体はX線回折像の観察により複合無機酸化物であること
が判明した。
【0078】 −粉体分散液− (MgO)0.4 ・Al23 (1μm以下) 36重量部 エチレングリコール 16重量部 イソプロピルアルコール 16重量部 水 31重量部 酢酸 1重量部 上記原料を特殊機化工業社製の高速拡散機で30分間混
合して粉体混合液を得た。この粉体混合液中の粉体成分
は凝集物となっていた。この粉体混合液を日本精機製作
所社製の超音波分散機で5分間分散処理することによ
り、粉体成分が均一に分散した粉体分散液を得た。
【0079】−樹脂液− ケン化度82mol%のポリビニルアルコール(PV
A)を、その濃度が10%になるように水で濃度調製し
た樹脂液を得た。
【0080】−処理液− 粉体分散液100重量部と、樹脂液60重量部とを混合
し、日本精機製作所社製の超音波分散機で5分間分散処
理及び超音波脱泡処理することにより、処理液を得た。
【0081】−被記録材− 得られた処理液を、エアナイフコータによりPETフィ
ルムに150g/m2になるように塗布した後、これを
40〜60℃で5分間予備乾燥し、次いで130〜14
0℃で2分間乾燥することにより、PETフィルムに塗
膜を形成した。この塗膜における溶剤残留率は0.5%
であった。塗膜を形成したPETフィルムをスーパーカ
レンダに通してその表面を平滑にし、被記録フィルムを
得た。
【0082】−評価試験− 得られた被記録フィルムについて、無機粉体と樹脂との
重量比率及び以下のインクジェット適性値を測定した結
果を表1に示す。
【0083】・定着層とポリエチレンテレフタレート
(PET)との接着の評価 前記塗工方法により、塗布・乾燥した塗膜(定着層)と
PETとの接着性を以下の基準で評価した。
【0084】 〇:フィルムを折り曲げたときに、塗膜の剥がれが認め
られない、 ×:フィルムを折り曲げたときに、塗膜の剥がれが認め
られる。
【0085】・膜厚:電子マイクロメータを使用し、膜
厚=(被記録フィルムの総厚)−(PETフィルム厚)
として、膜厚を算出した。
【0086】・ヘイズ:ヘイズメータを使用して、ヘイ
ズ値を測定した。
【0087】・インク定着性:キャノン製のインクジェ
ットプリンタ「BJC−420J」を使用して、評価パ
ターンを印字し、インクのあふれ及びインクのにじみを
以下の基準で評価した。
【0088】 ○:良好(インクのあふれ及びインクのにじみが認めら
れない)、 △:インクのにじみが認められる、 ×:インク吸収許容量を越えている(インクのあふれが
認められる)。
【0089】・ドット径:1ドットラインを印字し、印
字部分を顕微鏡で観察して1ドットの直径を測定した。
【0090】・ドット形状:ドット形状を顕微鏡で観察
し、以下の基準で評価した。
【0091】 ○:0.9≦Dx/Dy≦1.2(真円に近い)、 △:Dx/Dy<0.9又はDx/Dy>1.2、 ×:不定形状。
【0092】(実施例2)実施例1における粉体成分に
代えて、以下の粉体成分を使用した以外は、実施例1と
同様に被記録フィルムを得た。実施例1と同様にインク
ジェット適性値を測定し結果を表1に示す。
【0093】 −粉体成分− MgCl2 1mol/リットル水溶液 4重量部 CaCl2 1mol/リットル水溶液 1重量部 AlCl2 1mol/リットル水溶液 20重量部 上記水溶液を混合撹拌した混合水溶液に、pHを測定し
ながら20%NaOH水溶液を添加して、そのpHを1
1〜11.5に調製した。次いで、この混合水溶液を7
0〜80℃に昇温し、2時間撹拌して晶出物を得た。こ
の晶出物を脱水・洗浄してNaClを除去した。NaC
lを除去した晶出物を脱水・乾燥した後、300〜40
0℃で24時間焼成して焼成物を得、この焼成物をボー
ルミルで粉砕することにより(CaO)0.1 ・(Mg
O)0.4 ・Al23 で示される組成を有する無機粉体
を得た。これを粉体成分とした。この無機粉体はX線回
折像の観察により複合無機酸化物であることが判明し
た。
【0094】(実施例3)実施例1における粉体成分に
代えて、以下の粉体成分を使用した以外は、実施例1と
同様に被記録フィルムを得た。実施例1と同様にインク
ジェット適性値を測定し結果を表1に示す。
【0095】 −粉体成分− 実施例2で得た(CaO)0.1 ・(MgO)0.4 ・Al23 5重量部 市販γ−アルミナ 95重量部 (実施例4)実施例1における、粉体分散液と樹脂液と
の混合比率を変えて、粉体分散液100重量部と樹脂液
33重量部とを混合した以外は、実施例1と同様に被記
録フィルムを得た。実施例1と同様にインクジェット適
性値を測定し、その結果を表1に示した。
【0096】(比較例1)実施例1における粉体成分に
代えて、以下の粉体成分を使用した以外は、実施例1と
同様に被記録フィルムを得た。実施例1と同様にインク
ジェット適性値を測定し結果を表1に示す。
【0097】 −粉体成分− 市販γ−アルミナ 100重量部 (比較例2)実施例1における粉体成分に代えて、以下
の粉体成分を使用した以外は、実施例1と同様に被記録
フィルムを得た。実施例1と同様にインクジェット適性
値を測定し結果を表1に示す。
【0098】 −粉体成分− 酸化マグネシウム 40重量部 酸化カルシウム 10重量部 市販γ−アルミナ 50重量部 (比較例3)実施例1における、粉体分散液と樹脂液と
の混合比率を変えて、粉体分散液100重量部と樹脂液
90重量部とを混合した以外は、実施例1と同様にして
被記録フィルムを得た。実施例1と同様にインクジェッ
ト適性値を測定し、その結果を表1に示した。
【0099】なお、このフィルムはインク定着性が極端
に悪かったので、ドット径とドット形状とは測定しなか
った。
【0100】(比較例4)実施例1における、粉体分散
液と樹脂液との混合比率を変えて、粉体分散液100重
量部と樹脂液27重量部とを混合した以外は、実施例1
と同様にして被記録フィルムを得た。
【0101】この被記録フィルムにおいては、塗膜とP
ETとの接着性が悪く、プリンタへの給紙時に塗膜が剥
離したので、インクジェット適性値は測定することがで
きなかった。結果を表1に示した。
【0102】前記評価試験の考察として、例えば、以下
のことが考えられる。
【0103】Mg、CaはAlよりもイオン化傾向が大
きい。そのため、インク滴と被記録材とが接触した場合
に、アニオン性である染料との反応性が大きく、より速
く電気的に結合し、より速く染料を固定化することがで
きる。
【0104】このことは、本発明の被記録材に印字した
ドット径が、Al23 単独の粉体成分を採用した被記
録材に印字したドット径よりも小さく、かつ真円度が高
くなることから推察することができる。更に言うと、本
発明の被記録材においては、インク滴がインク定着層と
接触し、ドット径が広がる前に、インク中の発色成分が
無機粉体に固定化されると理解することができる。
【0105】粉体成分におけるインクの吸収量は、基本
的には粉体成分における細孔容積で決定され、本発明に
おける無機粉体とアルミナとの細孔容積の差は無いか、
有ってもわずかであると推測される。しかしながら、発
色成分及び溶剤成分を含有するインクにおける溶剤成分
は透明であることから、実際問題として、例えば、溶剤
成分のあふれを生じても印字性に問題はない。
【0106】更に言うと、本発明の被記録体においてイ
ンク定着層をより薄くすると、透明な溶剤成分のあふれ
が認められることがあるが、このあふれによって、例え
ば、印字品位、色濃度、即乾性、印字後の耐水性等に影
響を与えることは一切なかった。
【0107】
【表1】
【0108】
【発明の効果】この発明によると、インク定着速度が速
いことにより、優れたインクの定着性と優れた透明性と
を有するインク定着層を、より薄く容易に形成すること
ができる処理剤及びこれを処理した被記録材を提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−139704(JP,A) 特開 昭59−107905(JP,A) 特開 平4−202011(JP,A) 特開 昭60−245588(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10 D21B 1/00 - 1/38 D21C 1/00 - 11/14 D21D 1/00 - 5/28 D21F 1/00 - 13/12 D21G 1/00 - 9/00 D21H 11/00 - 27/42 D21J 1/00 - 7/00 C01F 1/00 - 17/00 B41M 5/00 - 5/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式;(MgO)・(CaO)
    (ZnO)・Al(ただし、式中のX、Yおよ
    びZは0以上1以下の実数であり、かつ0<X+Y+Z
    ≦1である関係を満たし、かつX、YおよびZのいずれ
    か一つ又は二つが同時に0であってもよい。)で示され
    る複合酸化物を有する無機粉体と、酢酸と、樹脂とを含
    有することを特徴とするインク定着層用処理剤。
  2. 【請求項2】 前記樹脂が、ポリビニルアセタール、ポ
    リビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選
    択される少なくとも一種の樹脂である前記請求項1に記
    載のインク定着層用処理剤。
  3. 【請求項3】 前記無機粉体と前記樹脂との重量比が1
    2/1〜6/1である前記請求項1又は2に記載のイン
    ク定着層用処理剤。
  4. 【請求項4】 一般式;(MgO)・(CaO)
    Al(ただし、式中のX、およびYは0以上1以
    下の実数であり、かつ0<X+Y≦1である関係を満た
    し、かつX、およびYのいずれかが0であってもよ
    い。)で示される複合酸化物を有する無機粉体と、酢酸
    と、樹脂とを含有することを特徴とするインク定着層用
    処理剤。
  5. 【請求項5】 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載
    インク定着層用処理剤で形成されてなるインク定着層
    と、このインク定着層を支持する支持体とを備えること
    を特徴とする被記録材。
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