JP3399985B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、予め得ておいた位置決
め用断層像をディスプレイ装置に表示してその位置決め
用断層像上でこれとは別個の診断用断層像のスライス位
置決めが可能の磁気共鳴イメージング装置の改良に関す
るものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、磁気共鳴イメージング装置は、
被検体に静磁場及び傾斜磁場を与える磁場発生手段と、
前記被検体の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気
共鳴を起こさせるために高周波信号を照射する送信系
と、前記核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出
する受信系と、この受信系で検出したエコー信号を用い
て断層像再構成演算を行う信号処理系と、この信号処理
系で再構成された断層像を表示するディスプレイ装置と
を備えてなる。 【0003】そして、このような磁気共鳴イメージング
装置では、静磁場中心との磁場強度差が一定の値(数1
0ppm程度)以下の空間を均一静磁場空間として定義
しており、この均一静磁場空間内での断層像は画像歪が
生じていないものとみなし得る。 【0004】また従来から、予め得ておいた位置決め用
断層像をディスプレイ装置に表示して、その位置決め用
断層像上でこれとは別個の診断用断層像のスライス位置
決め(設定)が可能の磁気共鳴イメージング装置が広く
知られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来のこの種の磁気共
鳴イメージング装置においては、ディスプレイ装置に表
示された位置決め用断層像上で診断用断層像のスライス
位置決めする際に、静磁場中心から外れたスライス位置
を設定してしまうことが少なくないが、このような位置
設定で撮像すると、得られた診断用断層像の一部又は全
部が前記均一静磁場空間を外れた領域における画像とな
り、画像歪を生じるという問題点があった。 【0006】本発明の目的は、診断用断層像のスライス
位置を設定する際に、ディスプレイ装置に位置決め用断
層像と共に均一静磁場空間の領域を表示し、診断用断層
像のスライス位置が均一静磁場空間を外れた領域に設定
されることを予防して画像歪のない診断用断層像を得る
ことのできる磁気共鳴イメージング装置を提供すること
にある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的は、被検体に静
磁場及び傾斜磁場を与える各々の磁場発生手段と、前期
被検体の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴
を起こさせるために高周波信号を照射する手段と、前記
核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出する受信
手段と、この受信手段で検出したエコー信号を用いて
層像再構成演算を行う信号処理手段と、前記被検体の診
断用断層像のスライス位置を設定するスライス位置設定
手段と、前記信号処理手段で再構成演算された断層像
表示するディスプレイ装置とを備えた磁気共鳴イメージ
ング装置において、前記診断用断層像の取得前に得た撮
影位置決め用断層像と、前記静磁場発生手段により形成
された均一磁場空間領域を示す表示と、前記スライス位
置設定手段の操作によって入力されたスライス位置中
心、スライス有効視野及びスライス厚さを表す前記診断
用断層像のスライス位置設定用カーソルとを合成して前
記ディスプレイ装置へ表示する手段とを備えることによ
って達成される。 【0008】 【作用】前記表示手段には、診断用断層像を取得する前
に得た撮影位置決め用断層像と、静磁場発生手段により
形成された均一磁場空間領域を示す表示と、スライス位
置設定手段の操作によって入力された診断用断層像のス
ライス位置中心、スライス有効視野及びスライス厚さを
表すスライス位置設定用カーソルとが合成して表示され
る。操作者が表示手段へ前記により合成して表示された
画像を観ることにより、設定した診断用断層像の位置が
均一磁場領域内にあるか、均一磁場領域を外れた領域に
あるかを容易に判断することができる。 【0009】これにより、操作者は表示された均一静磁
場領域を外れないようにスライス位置決めを行える。し
たがって、静磁場中心を離れた周辺部での不均一静磁場
の影響が最小限に抑えられた画像歪のない診断用断層像
を得ることができる。 【0010】 【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は、本発明による磁気共鳴イメージング装置
の一実施例を示すブロック図である。 【0011】磁気共鳴イメージング装置は、核磁気共鳴
(NMR)現象を利用して被検体の断層像を得るもの
で、図1に示すように、静磁場発生磁気回路2と、傾斜
磁場発生系3と、送信系4と、受信系5と、信号処理系
6と、シーケンサ7と、CPU(中央処理装置)8とを
備えてなる。 【0012】前記静磁場発生磁気回路2は、被検体1の
周りにその体軸方向又は体軸と直交する方向に均一な静
磁場を発生させるもので、前記被検体1の周りのある広
がりをもった空間に永久磁石方式又は常電導方式あるい
は超電導方式の磁場発生手段が配置されてなる。 【0013】傾斜磁場発生系3は、X,Y,Zの3軸方
向に巻かれた傾斜磁場コイル群9a〜9c(9cは図示
省略)と、それら傾斜磁場コイル群9a〜9cを駆動す
る傾斜磁場電源10とからなり、後述のシーケンサ7か
らの命令に従ってそれぞれの傾斜磁場コイル群9a〜9
cの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,
Zの3軸方向の傾斜磁場Gs,Gp,Gfを被検体1に
印加するようになっている。この傾斜磁場の加え方によ
り、被検体1に対するスライス面を設定することができ
る。 【0014】送信系4は、後述のシーケンサ7から送出
される高周波磁場パルスにより被検体1の生体組織を構
成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高
周波信号を照射するもので、高周波発振器11と変調器
12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル14a
とからなり、前記高周波発振器11から出力された高周
波パルスをシーケンサ7の命令に従って変調器12で振
幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増
幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された
高周波コイル14aに供給することにより、電磁波が前
記被検体1に照射されるようになっている。 【0015】受信系5は、被検体1の生体組織の原子核
の核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信
号)を検出するもので、受信側の高周波コイル14bと
増幅器15と直交位相検波器16とA/D変換器17と
からなり、前記送信側の高周波コイル14aから照射さ
れた電磁波による被検体1の応答の電磁波(NMR信
号)は被検体1に近接して配置された高周波コイル14
bで検出され、増幅器15及び直交位相検波器16を介
してA/D変換器17に入力してディジタル量に変換さ
れ、更にシーケンサ7からの命令によるタイミングで直
交位相検波器16によりサンプリングされた二系列の収
集データとされ、その信号が信号処理系6に送られるよ
うになっている。 【0016】この信号処理系6は、CPU8と、磁気デ
ィスク装置18及び磁気テープ装置19などのデータ記
録装置と、CRT装置などのディスプレイ装置20とか
らなり、前記CPU8でフーリエ変換、補正係数計算、
断層像再構成などの処理を行い、任意断面の信号強度分
布あるいは複数の信号に適当な演算を行って得られた分
布を画像化してディスプレイ装置20に断層像として表
示するようになっている。 【0017】シーケンサ7は、前記被検体1の生体組織
を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周
波磁場パルスを所定のパルスシーケンスで繰り返し印加
する制御手段となるもので、CPU8で制御され、被検
体1の断層像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系
4及び傾斜磁場発生系3並びに受信系5に送るようにな
っている。 【0018】図2は、前記静磁場発生磁気回路2の磁場
発生手段をなす永久磁石を用いたガントリ27の斜視
図、図3は図2の一部切断側面図である。 【0019】両図に示すように、ガントリ27(永久磁
石式静磁場発生手段)は、互いに対向して配置された円
板状の永久磁石21a,21bを備えてなる。この場
合、永久磁石21a,21bは、それぞれ平板状の継鉄
22a,22bのほぼ中央部に固定されている。 【0020】これら継鉄22a,22bは、相互間に均
一静磁場空間28を形成させるために、4本の柱状の継
鉄23によって一定間隔離れた位置に対向,保持されて
いる。ここで4本の柱状の継鉄23は、それぞれ、各継
鉄22a,22bの前記永久磁石21a,21bが固定
されていない位置、すなわち継鉄22a,22bの四隅
においてそれらを対向,保持している。 【0021】また、前記永久磁石21a,21bに対向
する面には、それぞれ均一静磁場空間28を発生させる
ための磁極片25a,25bが配置されている。この磁
極片25a,25bは円板状をなし、その周辺部には環
状突起部24が設けられている。 【0022】そして、各磁極片25a,25bにおい
て、環状突起部24に囲まれた領域には、それぞれ前記
傾斜磁場コイル群9a,9bが配置されている。この傾
斜磁場コイル群9a,9bは、前記均一静磁場空間28
に置かれる被検体1からエコー信号を取り出す位置を選
択させるために駆動されるものである。 【0023】更に、傾斜磁場コイル群9a下(図3中、
上側)の磁極片25a内には補償コイル群26aが、ま
た傾斜磁場コイル群9b下(図3中、下側)の磁極片2
5b内には補償コイル群26bが配置されている。 【0024】このような構成において、被検体1に静磁
場発生磁気回路2及び傾斜磁場発生系3で静磁場及び傾
斜磁場を与えつつ、送信系4で高周波信号を照射し、ま
た被検体1より放出されるエコー信号を受信系5で検出
し、検出したエコー信号を用いて信号処理系6で断層像
再構成演算を行い、再構成された断層像をディスプレイ
装置20に表示する。この際、予め得ておいた位置決め
用断層像をディスプレイ装置20に表示してその位置決
め用断層像上でこれとは別個の診断用断層像のスライス
位置決め(設定)が可能である。 【0025】以上は従来装置と特に変わるところはない
が、本発明では、これに加えて、前記位置決め用断層像
上で診断用断層像のスライス位置決めをする際、前記デ
ィスプレイ装置20に前記位置決め用断層像と共に、均
一静磁場空間の表示画面上の領域を表示する均一静磁場
領域表示手段が設けられてなる。この均一静磁場領域表
示手段は、図1の例では、信号処理系6中にROM3
1、RAM32、キーボード33及びトラックボール3
4を付加し、信号処理系6と一体化して構成されてい
る。ここで、ROM31には均一静磁場領域表示を行う
プログラムやその実行において用いる不変のパラメータ
などが記憶されている。またRAM32は各種パラメー
タ、位置決め用断層像41の一時保管などを行う。キー
ボード33及びトラックボール34は、各種パラメータ
やコマンドを入力する。なお、均一静磁場領域表示に必
要な各種演算、プログラムの実行はCPU8が行う。 【0026】ROM31、RAM32、キーボード33
及びトラックボール34などが他の用途で既に備わって
いるときは、それを共用してもよい。また、ここでは、
均一静磁場空間が球形の場合を例にとっているので、均
一静磁場空間の表示画面上の領域は円形表示となってい
る。 【0027】すなわち、図4は、ほぼ球形の均一静磁場
空間28(図4(a)はその平面図を示し、円形で表わ
されている。)と位置決め用断層像41(図4(b)参
照。ここでは断層像の実体は図示省略してある。)と、
この位置決め用断層像41と共に前記ディスプレイ装置
20に表示される前記均一静磁場空間28の表示画面上
の領域表示、ここでは円形表示42との関係を示す。な
お、図4において、43は静磁場中心を示し、A−A´
線44は位置決め用断層像41のスライス位置(位置決
め用断層像撮像位置)を示す。また、r0 は均一静磁場
空間28の半径、dは静磁場中心43からスライス位置
44までの距離、r1 は円形表示42の半径で、半径r
1 は次式(1)で求められる。 【0028】r1 =(r02−d21/2 …(1) なお、均一静磁場空間28の形状は、実際には球形では
ないが、ここではこれを近似して球形で表わすものとし
ている。 【0029】図4(b)に示すように、ディスプレイ装
置20に、位置決め用断層像41と共に均一静磁場空間
28の表示画面上の領域を示す円形表示42を示したの
で、位置決め用断層像41を用いて診断用断層像のスラ
イス位置(撮像位置)を設定する場合、前記円形表示4
2を視認しつつそれを行えば、診断用断層像のスライス
位置が均一静磁場空間28を外れた領域に設定されるこ
とがなくなり、画像歪のない診断用断層像が得られるこ
とになる。 【0030】実際は、診断用断層像のスライス位置設定
の際、ディスプレイ装置20には更に、スライス位置中
心51、スライス有効視野52及びスライス厚さ53な
どを表わしたスライス設定カーソル54を表示し、画像
歪の生じないスライス位置設定の簡易化が図られる。な
お、図4(b)に示す例では、スライス設定カーソル5
4の位置から見て、このスライス位置では均一静磁場空
間28を外れた領域に設定されることが予測される。 【0031】図5はスライス位置設定の様子をより具体
的に示した図で、この図5において、55は位置決め用
断層像41中の患部、その他、図4と同一符号は同一又
は相当部分を示す。図示するように、スライス位置の設
定に際しては、まず、A−A´線における位置決め用断
層像41を磁気ディスク装置18からRAM31に読み
出してディスプレイ装置20上で表示させる。この位置
決め用断層像41にROM31に記憶されたプログラム
をCPU8が実行することで上式(1)に従った円形表
示42をディスプレイ装置20上に実行する。 【0032】次に、スライス設定カーソル54もディス
プレイ装置20上に表示し、位置決め用断層像41及び
円形表示42を視認しつつ、キーボード33やトラック
ボール34を操作してスライス設定カーソル54中に示
すスライス位置中心51、スライス有効視野52及びス
ライス厚さ53などを調整する。例えば、図示するよう
に患部55近傍にスライス位置中心51を合わせ、スラ
イス有効視野52を円形表示42内に収め、かつ、患部
55をスライス厚さ53内に収まるようにスライス設定
カーソル54を調整し、診断用断層像のスライス位置
(撮像位置)を設定する。 【0033】これによれば、診断用断層像のスライス位
置は均一静磁場空間28内に設定され、歪のない診断用
断層像が得られることになる。 【0034】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
位置決め用断層像をディスプレイ装置に表示してその
撮影位置決め用断層像上で診断用断層像のスライス位置
決めする場合に、その際、撮影位置決め用断層像と共に
均一静磁場空間の表示画面上の領域及び診断用断層像の
スライス位置設定用カーソルを表示するようにしたの
で、診断用断層像のスライス位置が均一静磁場空間を外
れた領域に設定されることが予防され、画像歪のない診
断用断層像を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明装置の一実施例を示すブロック図であ
る。 【図2】同上装置の静磁場発生磁気回路の磁場発生手段
をなす永久磁石を用いたガントリの斜視図である。 【図3】図2の一部切断側面図である。 【図4】均一静磁場空間と、位置決め用断層像と、位置
決め用断層像と共にディスプレイ装置に表示される均一
静磁場空間の表示画面上の領域表示(円形表示)との関
係を示す図である。 【図5】スライス位置設定の様子をより具体的に示した
図である。 【符号の説明】 1 被検体 2 静磁場発生磁気回路 3 傾斜磁場発生系 4 送信系 5 受信系 6 信号処理系(均一静磁場領域表示手段) 7 シーケンサ 8 CPU 18 磁気ディスク装置 19 磁気テープ装置 20 ディスプレイ装置 28 均一静磁場空間 31 ROM 32 RAM 33 キーボード 34 トラックボール 41 位置決め用断層像 42 円形表示 43 静磁場中心 44 位置決め用断層像のスライス位置 51 スライス位置中心 52 スライス有効視野 53 スライス厚さ 54 スライス設定カーソル 55 患部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】被検体に静磁場及び傾斜磁場を与える各々
    の磁場発生手段と、前記被検体の生体組織を構成する原
    子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号
    を照射する手段と、前記核磁気共鳴により放出されるエ
    コー信号を検出する受信手段と、この受信手段で検出し
    たエコー信号を用いて断層像再構成演算を行う信号処理
    手段と、前記被検体の診断用断層像のスライス位置を設
    定するスライス位置設定手段と、前記信号処理手段で再
    構成演算された断層像を表示するディスプレイ装置とを
    備えた磁気共鳴イメージング装置において、 前記診断用断層像の撮像前に取得された撮影位置決め用
    断層像と、前記静磁場発生手段により形成された均一磁
    場空間領域を示す表示と、前記スライス位置設定手段の
    操作によって入力されたスライス位置中心、スライス有
    効視野及びスライス厚さを表す前記診断用断層像のスラ
    イス位置設定用カーソルとを合成して前記ディスプレイ
    装置へ表示する手段とを備えたことを特徴とする磁気共
    鳴イメージング装置。
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