JP3398522B2 - 合成皮革 - Google Patents

合成皮革

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は合成皮革に関する。 【0002】 【従来の技術】織物、不織布、編物等の布帛に高分子材
料を含浸又はコーティングさせて得られる合成皮革は、
アウター、インテリア等各種用途に展開されているが、
昨今の市場ニーズからはさらに一味変わった高級感に富
んだものが要求されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかるニーズ
に応えた特に深いシボを有する高級感に富んだ合成皮革
を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、布帛に高分子
材料が含浸又はコーティング(以下、単に含浸という)
された合成皮革において、該布帛が3枚筬以上の経編地
であって、フロント又はバックが2針以上の振りのトリ
コット組織、ミドルが鎖編み組織、バック又はフロトン
が下記(a)〜(c)の組織の一種以上であることを特
徴とする合成皮革、にある。 【0005】(a)3針以上の振りのインレイ組織 (b)3針以上の振りのサテン組織 (c)緯糸挿入組織 本発明は、特定組織の経編地を用いることにより、従来
の合成皮革では表現できなかった深いシボを有する高級
感に富んだ合成皮革を得ることができるものである。 【0006】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明における経編地は、先ず、3枚筬以上好ましくは3
〜5枚筬の経編地である必要がある。2枚筬以下では、
高分子材料の含浸処理工程においていわゆるカールが発
生するために工程性能や生産性に劣ったものとなるから
である。尚、単にカール発生を防止する目的からは例え
ば特公平6−89508号公報に開示されているような
補強用布帛を貼り合わせてから高分子材料を含浸処理す
ればよいのであるが、このようにした場合、本発明の目
的とする深いシボを有する高級感に富んだものは得られ
ない。 【0007】本発明における経編地は、次いで、フロン
ト又はバックが2針以上好ましくは2〜5針の振りのト
リコット組織である必要があり、好ましくはフロントが
このような組織である方がソフト風合いとなるのでよ
い。より具体的には例えば、1×2、1×3、1×4の
トリコット組織を挙げることができる。フロント又はバ
ックが2針未満の振りでは、含浸する高分子材料が裏面
に浸出して品位が低下するし、5針を超えるものは生産
性、コスト面から不利となるので望ましくない。 【0008】本発明における経編地のミドルは鎖編み組
織であり、これは経方向の寸法安定性を確保する上で本
発明では必要なのである。本発明は、特にバック又はフ
ロントに下記(a)〜(c)の組織の一種以上を用いる
ことに大きな特徴がある。このような組織は好ましくは
バックに用いる方がソフト風合いとなるので好ましい。 【0009】この(a)〜(c)の組織について説明す
ると、先ず、(a)は3針以上好ましくは3〜7針さら
に好ましくは4〜5針の振りのインレイ組織であり、3
針未満では本発明の目的が達成されず、7針を超えるも
のはシボ立ち不良となる傾向にあり、又、生産性、コス
ト面からも不利となるので望ましくない。(b)は3針
以上好ましくは3〜7針さらに好ましくは3〜5針の振
りのサテン組織であり、3針未満では本発明の目的が達
成されず、7針を超えるものはシボ立ち不良の傾向にあ
り、又、生産性、コスト面からも不利となる。 【0010】(c)は緯糸挿入組織好ましくは1〜2本
/コースの緯糸挿入組織であり、希望に応じて適宜糸抜
きしてもよい。本発明における経編地のゲージは、22
〜40GG好ましくは24〜28GGがよく、又、フロ
トンとバックへは各々全筬に糸を通してもよいが必要に
応じて1〜3本程度糸抜きしてもよい。 【0011】又、必要に応じて経編地の片面又は両面は
エメリペーパー、ブラッシング等により起毛加工され
る。本発明では、経編地を構成する繊維としては特に制
限するものではなく従来から公知のものを使用して差支
えない。例えば、キユプラ、レーヨン、アセテート、ポ
リエステル、ナイロン等の再生繊維、半合成繊維並びに
合成繊維を使用できるが、特に4000m/分以上好ま
しくは5000m/分以上の巻取り速度で高速紡糸され
た糸条がソフト風合いであり好ましく使用することがで
き、例えば4000m/分以上の巻取り速度で紡糸−延
伸−巻取りを一連工程で行うスピンドロ−テイクアップ
糸、4000m/分以上好ましくは5000m/分以上
の巻取り速度で高速度紡糸されたスピンテイクアップ糸
を好ましく使用できる。 【0012】本発明においては、特に繊維の初期モジュ
ラスが210〜350kg/mm2のナイロン66であ
ると好ましく、又、力学的損失正接のピーク高さ((t
anδ)max)とピーク温度(Tmax)が Tmax+320(tanδ)max≦132 なる関係を満たすものが特に好ましい。 【0013】かかる糸条は特開昭57−143514号
公報に例示されているような4000m/分以上好まし
くは5000m/分以上の巻取り速度で高速紡糸された
スピンテイクアップ方式で製造することができる。又、
本発明における経編地を構成する繊維の単糸デニールは
0.1〜4デニール好ましくは0.5〜3デニールがよ
く、トータルデニールはフロントは50〜100デニー
ル好ましくは60〜80デニールがよく、ミドルやバッ
クはトータルデニールは10〜50デニール好ましくは
20〜40デニールがよい。 【0014】本発明では、かかる特定の経編地に高分子
材料を含浸(既述のようにコーティングも包含する)さ
せることにより合成皮革を得るものであり、合成皮革の
製造方法やその条件等については特に制限はないが、前
述したように特公平6−89508号公報に開示されて
いるような補強用布帛を貼り合わせて高分子材料を含浸
処理することは本発明の目的が達成されないので避ける
必要がある。 【0015】具体的な合成皮革の製法としては、通常、
ポリウレタンやアクリル等の高分子材料を含浸、凝固、
洗浄、乾燥した後、10ミクロン程度のポリウレタンフ
ィルムをラミネートしてから、又は、高分子材料の含浸
を複数回繰り返して表層部に高分子材料の薄膜を形成さ
せてから、液流染色機等を用いて揉布処理(シボ立て処
理)、乾燥することにより、従来に無い深いシボを有す
る高級感に富んだ合成皮革を得ることができる。 【0016】尚、経編地への高分子材料の浸透を制御す
るために経編地に水を含有させてから高分子材料を含浸
したり、希望する合成皮革のシボの程度や厚みに応じて
揉布処理条件(温度、時間)をコントロールすることが
好ましい。 【0017】 【実施例】以下、本発明を実施例を挙げより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。 【0018】 【実施例1】バックがインレイ組織の実施例である。フ
ロントに75d/73fのキュプラマルチフィラメント
糸、ミドル並びにバックに30d/10fのナイロン6
6マルチフィラメント糸(5000m/分の紡糸速度で
紡糸されたスピンテイクアップ糸)を用いて、28GG
のトリコット機で経編地を作製した。 【0019】組織はフロント;2−3/1−0、ミド
ル;1−0/0−1、バック;0−0/4−4で編み立
てた。次いで、かかる経編地の両面を起毛したものに常
法によりポリウレタン樹脂を含浸させ、凝固、水洗、乾
燥の後、10ミクロンのポリウレタンフィルムをラミネ
ートしてから、液流染色機を用いて揉布処理(シボ立て
処理)、乾燥した。 【0020】得られた合成皮革は従来に無い深いシボを
有する高級感に富んだものであった。 【0021】 【比較例1及び2】2枚筬の経編地の比較例である。フ
ロントに75d/73fのキュプラマルチフィラメント
糸、バッグに30d/10fのナイロン66マルチフィ
ラメント糸(5000m/分の紡糸速度で紡糸されたス
ピンテイクアップ糸)を用いて、28GGのトリコット
機で経編地を作製した。 【0022】組織はフロント;2−3/1−0、バッ
ク;0−0/4−4(比較例1)、フロント;2−3/
1−0、バック;1−0/3−4(比較例2)で編み立
てた。次いで、実施例1と同様に合成皮革を作製した
が、両者共に製造工程中でカールが発生し、又、シボ立
ちが不均一で生産性並びに品位面で劣ったものであっ
た。 【0023】 【比較例3】フロントが2針未満の振りの比較例であ
る。組織としてフロント;1−2/1−0、ミドル;0
−1/1−0、バック;1−0/3−4で編み立てた以
外は実施例1と同様に経編地を作製し、合成皮革を作製
したが、ポリウレタン樹脂が経編地の裏面に浸出し、
又、カールが発生し、シボ立ちも不均一で生産性並びに
品位面で劣ったものであった。 【0024】 【比較例4】バックが3針未満の振りのインレイ組織の
比較例である。組織としてフロント;2−3/1−0、
ミドル;0−1/1−0、バック;0−0/2−2で編
み立てた以外は実施例1と同様に経編地を作製し、合成
皮革を作製したが、カールが発生し、シボ立ちも不均一
で生産性並びに品位面で劣ったものであった。 【0025】 【比較例5】補強用布帛を利用する比較例である。実施
例1において、両面起毛した経編地に補強用布帛として
ポリエステルタフタを貼り合わせたものを用い、そして
揉布処理、乾燥後に補強用布帛を剥離した以外は実施例
1と同様に合成皮革を作製した。 【0026】得られた合成皮革は従来品と変わらない何
等特徴の無いシボを有するものであり、実施例1対比で
高級感に劣ったものであった。 【0027】 【実施例2】バックがサテン組織の実施例である。組織
としてフロント;2−3/1−0、ミドル;0−1/1
−0、バック;1−0/3−4で編み立てた以外は実施
例1と同様に経編地を作製し、合成皮革を作製した。 【0028】得られた合成皮革は実施例1同様、従来に
無い深いシボを有するものであったが、実施例1対比で
若干高級感に劣ったものであった。 【0029】 【比較例6】バックが3針未満の振りのサテン組織の比
較例である。組織としてフロント;2−3/1−0、ミ
ドル;0−1/1−0、バック;1−0/1−2で編み
立てた以外は実施例1同様に経編地を作製し、合成皮革
を作製したが、カールが発生し、シボ立ちも不均一で生
産性並びに品位面で劣ったものであった。 【0030】 【実施例3】バックが緯糸挿入組織の実施例である。組
織としてフロント;2−3/1−0、ミドル;0−1/
1−0、バック;1本/コースの緯糸挿入組織で編み立
てた以外は実施例1同様に経編地を作製し、合成皮革を
作製した。 【0031】得られた合成皮革は実施例1同様、従来に
無い深いシボを有する高級感に富んだものであった。 【0032】 【発明の効果】本発明は、従来に無い深いシボを有する
高級感に富んだ合成皮革を提供するものである。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 布帛に高分子材料が含浸またはコーティ
    ングされた合成皮革において、該布帛が3枚筬以上の経
    編地であって、フロント又はバックが2針以上の振りの
    トリコット組織、ミドルが鎖編み組織、バックまたはフ
    ロントが下記(a)〜(c)の組織の一種以上であるこ
    とを特徴とする合成皮革。 (a)3針以上の振りのインレイ組織 (b)3針以上の振りのサテン組織 (c)緯糸挿入組織
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