JP3398488B2 - 隅棟瓦 - Google Patents

隅棟瓦

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋根の隅棟部に取付け
られる隅棟瓦に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば実開平3−98214号公
報、意匠登録第838198号公報に記載されているよ
うに、屋根の隅棟部を挟んだ左右両側の屋根面に固定さ
れる右瓦面部と左瓦面部とが一体に成形されたものが知
られている。このような従来の隅棟瓦においては、隅棟
の傾斜角度が屋根勾配が3寸勾配〜6寸勾配と変化する
ことに対応して、右瓦面部と左瓦面部との間の角度が異
なるものが複数種類生産されていた。
【0003】ところで、このような従来の隅棟瓦の使用
に際しては、複数種類の隅棟瓦の中から、右瓦面部と左
瓦面部との間の角度が屋根の隅棟部の角度と一致したも
のを選択して屋根に取付けていた。従って、このような
従来の隅棟瓦においては、右瓦面部と左瓦面部との間の
角度が異なるものを複数種類生産する必要があるので、
コスト高になる問題があった。
【0004】このような従来の隅棟瓦の問題を解消する
ものとして、実開平5−78744号公報記載のよう
に、屋根の隅棟部を挟んだ両側の屋根面に固定される右
瓦面部と左瓦面部とを有し、右瓦面部と左瓦面部とが別
体に成形された隅棟瓦が知られている。実開平5−78
744号公報記載の隅棟瓦においては、右瓦面部と左瓦
面部とのいずれか一方から断面がほぼへの字の中央凸に
屈曲された棟片が延設され、この棟片の頂部により屋根
の稜線が形成されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開平
5−78744号公報記載の隅棟瓦においては、屋根勾
配が3寸勾配〜6寸勾配のように変化すると屋根の稜線
を形成する棟片の頂部の位置が実際の隅棟部から片側に
ずれて見苦しく体裁が悪い。
【0006】本発明は、従来の、瓦におけるこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、上記の問題を解決し、屋根勾配の変化に対応で
き、しかも葺き上がりの体裁がよい隅棟瓦を提供するに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の本発明隅棟瓦は、屋根の隅棟部を
挟んだ両側の屋根面に固定される右瓦面部と左瓦面部と
を有し、右瓦面部と左瓦面部とが別体に成形された隅棟
瓦において、右瓦面部と左瓦面部との屋根隅棟部の棟線
にほぼ沿う各斜辺部の稜線部により棟部が形成され、各
斜辺部のいずれか一方から受け片が延設され、他方付近
には受け片を覆う覆い部が設けられ、受け片の上面端縁
には係合用立上片が立設され、覆い部の下面端縁には係
合用垂下片が垂設され、受け片と覆い部との係合により
右瓦面部と左瓦面部との各斜辺部同士が接合され、受け
片の係合用立上片と覆い部の係合用垂下片との間には間
隙が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】又、請求項2記載の本発明隅棟瓦は、請求
項1記載の隅棟瓦において、受け片には隠し釘打ち込み
用孔が穿設されていることを特徴とするものである。
【0009】又、請求項3記載の本発明隅棟瓦は、請求
項1又は2記載の隅棟瓦において、受け片が突設された
斜辺部の稜線部に凹溝が穿設されていることを特徴とす
るものである。
【0010】本発明において、瓦の材質としては、特に
限定されないが、例えば、粘土等の焼結材料、セメン
ト、石膏等の水硬性無機材料、圧縮スレート、ステンレ
ス鋼、アルミニウム、銅等の金属、FRP、ポリカーボ
ネートのような合成樹脂、或いは、これらの材質を適宜
組み合わせた複合材が使用できる。
【0011】
【作用】請求項1記載の本発明隅棟瓦においては、右瓦
面部と左瓦面部との一方に設けられた受け片の係合用立
上片と他方に設けられた覆い部の係合用垂下片との間に
は間隙が設けられているので、受け片と覆い部との係合
には遊びがあり、この遊びの範囲内において右瓦面部と
左瓦面部との接合部の角度を変更することにより屋根勾
配の変化に対応できる。又、右瓦面部と左瓦面部との屋
根隅棟部の棟線に沿う各斜辺部の稜線部により棟部が形
成されるので、屋根勾配の変化によっても棟部が片側に
ずれることはなく外観美麗であり体裁がよい。
【0012】又、請求項2記載の本発明隅棟瓦において
は、受け片には隠し釘打ち込み用孔が穿設されているの
で、この隠し釘打ち込み用孔に隠し釘を打ち込むことに
より受け片を屋根面に固定することができ、受け片の上
に覆い部を覆うことにより隠し釘が外から見えず体裁が
よい。
【0013】又、請求項3記載の本発明隅棟瓦において
は、受け片が突設された斜辺部の稜線部に凹溝が穿設さ
れているので、右瓦面部と左瓦面部との斜辺部の稜線部
間に段差が生じても凹溝の存在により段差が目立たず体
裁がよい。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。
【0015】〔実施例1:請求項1記載の発明の実施
例〕図1は本発明隅棟瓦の一例の分解した状態を示す斜
視図、図2は図1に示す本発明隅棟瓦の断面図である。
【0016】図1、2において、1はほぼ台形の右瓦面
部、2はほぼ台形の左瓦面部である。11は右瓦面部1
の斜辺部であり、斜辺部11は屋根隅棟部の棟線に沿う
ものである。斜辺部11からは受け片12が突設され、
受け片12の上面端縁には係合用立上片13が立設され
ている。右瓦面部1の斜辺部11と相背向する側縁には
他の受け片14が延設され、受け片14の上面端縁には
係合用立上片15が立設され、受け片14により隣接す
る二点鎖線で示す平瓦3と係合接合できるようになって
いる。16は固定孔であり、固定孔16に釘打ちするこ
とにより右瓦面部1を屋根面に固定できるようになって
いる。
【0017】21は左瓦面部2の斜辺部であり、左瓦面
部2の斜辺部21付近には覆い部22が設けられ、覆い
部22の下面端縁には係合用垂下片23が垂設されてい
る。左瓦面部2の斜辺部21と相背向する側縁には他の
覆い部24が設けられ、覆い部24の下面端縁には係合
用垂下片25が垂設され、この他の覆い部24は図示し
ない隣接する平瓦の受け片を覆うようになっている。2
6は固定孔であり、固定孔26に釘打ちすることにより
左瓦面部2を屋根面に固定できるようになっている。
【0018】図2に示すように、右瓦面部1の受け片1
2と左瓦面部2の覆い部22との係合により右瓦面部1
と左瓦面部2との各斜辺部11、21同士が接合されて
いる。受け片12の係合用立上片13と覆い部22の係
合用垂下片23との間には間隙Sが設けられ、受け片1
2と覆い部22との係合には遊びがある。
【0019】〔実施例1の作用〕図1、2に示す本発明
隅棟瓦の作用を図3〜5について説明する。図3は本発
明隅棟瓦を建物屋根の隅棟部に取付けた態様を示す説明
図、図4は図3に示す建物屋根の隅棟部の一部を拡大し
て示す平面図、図5は図4のV−V線における断面図で
ある。
【0020】図3〜5に示すように、建物の寄せ棟屋根
の隅棟部の稜線A−Aに沿って稜線A−Aの右側に本発
明隅棟瓦の右瓦面部1を配置し、稜線A−Aの左側に本
発明隅棟瓦の左瓦面部2を配置し、右瓦面部1の受け片
12と左瓦面部2の覆い部22との係合により右瓦面部
1と左瓦面部2との各斜辺部11、21同士を接合さ
せ、固定孔16、26に釘を打ち込んで屋根の野地板4
に固定する。このように接合された右瓦面部1と左瓦面
部2との各斜辺部11、21の稜線部により棟部が形成
される。
【0021】尚、図4、5において3は本発明隅棟瓦と
隣接する平瓦であり、本発明隅棟瓦の右瓦面部1とは右
瓦面部1に延設された受け片14の上に平瓦3の係合用
垂下片31が垂設された覆い部32が被覆係合されて接
合され、本発明隅棟瓦の左瓦面部2とは左瓦面部2に延
設された覆い部24が平瓦3の係合用立上片33が立設
された受け片34の上に被覆係合されて接合されてい
る。
【0022】屋根勾配が急になると、図6、7に示すよ
うに、右瓦面部1と左瓦面部2との各斜辺部11、21
間の間隙が上方において拡大し、下方において縮小す
る。又、右瓦面部1と左瓦面部2との上方においては、
右瓦面部1の受け片12に立設されている係合用立上片
13と左瓦面部2の覆い部22に垂設されている係合用
垂下片23との間隙Sは縮小される。
【0023】又、逆に屋根勾配が緩やかになると、図
8、10に示すように、右瓦面部1と左瓦面部2との各
斜辺部11、21間の間隙が下方において拡大し、上方
において縮小する。又、右瓦面部1と左瓦面部2との上
方においては、右瓦面部1の受け片12に立設されてい
る係合用立上片13と左瓦面部2の覆い部22に垂設さ
れている係合用垂下片23との間隙Sは拡大される。
【0024】このように屋根勾配が急の場合や緩やかの
場合には右瓦面部1と左瓦面部2との各斜辺部11、2
1間の間隙が上方或いは下方において多少拡大縮小する
だげてあって片側にずれたりしないので、外観は良好で
ある。
【0025】〔実施例2:請求項1記載の発明の実施
例〕図10は本発明隅棟瓦の他の一例を示す分解斜視図
である。図10に示す本発明隅棟瓦においては、右瓦面
部1と左瓦面部2との上端部に防水突起17、27が立
設されている。
【0026】〔実施例3:請求項1、2記載の発明の実
施例〕図11は本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解
斜視図である。図11に示す本発明隅棟瓦においては、
右瓦面部1の受け片12に若干肉盛りされて隠し釘打ち
込み孔18が設けられている。
【0027】〔実施例3の作用〕図11に示す本発明隅
棟瓦の作用を図12、13について説明する。図12、
13に示すように、隅棟A−A線の右側に右瓦面部1を
配置し、右瓦面部1の受け片12に設けられた隠し釘打
ち込み孔18に釘5を打ち込むことにより、右瓦面部1
を屋根の野地板4に固定し、右瓦面部1の受け片12の
上に左瓦面部2の覆い部22を覆うと釘5は外部から見
えず体裁がよい。尚、図13に示すように、右瓦面部1
の受け片12の係合用立上片13と左瓦面部2の覆い部
22に垂設された係合用垂下片23との間に接着剤6を
充填して右瓦面部1の受け片12と左瓦面部2の覆い部
22とを接着してもよい。
【0028】〔実施例4:請求項1、2記載の発明の実
施例〕図14は本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解
斜視図である。図14に示す本発明隅棟瓦においては、
右瓦面部1の受け片12に隠し釘打ち込み孔18が設け
られている他に、右瓦面部1及び左瓦面部2の上端部に
防水突起17、28が立設され、左瓦面部2の覆い部2
2が設けられた斜辺部21と相背向する側縁に受け片2
4aが延設され、受け片24aの端部に係合用立上片2
5aが立設されたものである。
【0029】〔実施例5:請求項1、3記載の発明の実
施例〕図15は本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解
斜視図である。図15に示す本発明隅棟瓦においては、
右瓦面部1の斜辺部11の稜線部に凹溝111が穿設さ
れ、左瓦面部2の覆い部22が設けられた斜辺部21と
相背向する側縁の稜線部にも凹溝241が穿設されてい
る。隣接する平瓦3の側縁の稜線部にも凹溝311が穿
設されている。
【0030】〔実施例5の作用〕図15に示す本発明隅
棟瓦の作用を図16について説明する。図16に示すよ
うに、右瓦面部1の斜辺部11の稜線部に凹溝111が
穿設されているので、右瓦面部1の受け片12と左瓦面
部2の覆い部22とを係合接合した際に、右瓦面部1及
び左瓦面部2の斜辺部11、21の稜線部間に段差があ
っても段差は目立たず体裁がよい。
【0031】以上、本発明の実施例を図により説明した
が、本発明の具体的な構成は図示の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変
更は本発明に含まれる。例えば、図示の実施例において
は、右瓦面部の斜辺部に受け片が延設され、左瓦面部の
斜辺部に覆い部が設けられているが、これとは反対に右
瓦面部の斜辺部に覆い部が設けられ、左瓦面部の斜辺部
に受け片が延設されていてもよい。
【0032】
【発明の効果】請求項1記載の本発明隅棟瓦において
は、右瓦面部と左瓦面部との一方に設けられた受け片の
係合用立上片と他方に設けられた覆い部の係合用垂下片
との間には間隙が設けられているので、受け片と覆い部
との係合には遊びがあり、この遊びの範囲内において右
瓦面部と左瓦面部との接合部の角度を変更することによ
り屋根勾配の変化に対応できる。又、右瓦面部と左瓦面
部との屋根隅棟部の棟線に沿う各斜辺部の稜線部により
棟部が形成されるので、屋根勾配の変化によっても棟部
が片側にずれることはなく外観美麗であり体裁がよい。
【0033】又、請求項2記載の本発明隅棟瓦において
は、受け片には隠し釘打ち込み用孔が穿設されているの
で、この隠し釘打ち込み用孔に隠し釘を打ち込むことに
より受け片を屋根面に固定することができ、受け片の上
に覆い部を覆うことにより隠し釘が外から見えず体裁が
よい。又、請求項3記載の本発明隅棟瓦においては、受
け片が突設された斜辺部の稜線部に凹溝が穿設されてい
るので、右瓦面部と左瓦面部との斜辺部の稜線部間に段
差が生じても凹溝の存在により段差が目立たず体裁がよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明隅棟瓦の一例を示す分解斜視図。
【図2】図1に示す本発明隅棟瓦の断面図。
【図3】図1に示す本発明隅棟瓦の敷設態様を示す斜視
図。
【図4】図3の要部を拡大して示す平面図。
【図5】図4のV−V線における断面図。
【図6】屋根が急勾配になったときの図4対応図。
【図7】図6のVII−VII線における断面図。
【図8】屋根の勾配が緩やかになったときの図4対応
図。
【図9】図8のIX−IX線における断面図。
【図10】本発明隅棟瓦の他の一例を示す分解斜視図。
【図11】本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解斜視
図。
【図12】図11に示す本発明隅棟瓦の使用態様を示す
平面図。
【図13】図12のXIII−XIII線における断面
図。
【図14】本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解斜視
図。
【図15】本発明隅棟瓦の更に他の一例を示す分解斜視
図。
【図16】図15に示す本発明隅棟瓦の要部拡大斜視
図。
【符号の説明】
1 右瓦面部 11 斜辺部 12 受け片 13 係合用立上片 2 左瓦面部 21 斜辺部 22 覆い部 23 係合用垂下片 3 平瓦 4 野地板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 1/30 601 E04D 1/12 E04D 1/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根の隅棟部を挟んだ両側の屋根面に固
    定される右瓦面部と左瓦面部とを有し、右瓦面部と左瓦
    面部とが別体に成形された隅棟瓦において、右瓦面部と
    左瓦面部との屋根隅棟部の棟線にほぼ沿う各斜辺部の稜
    線部により棟部が形成され、各斜辺部のいずれか一方か
    ら受け片が延設され、他方付近には受け片を覆う覆い部
    が設けられ、受け片の上面端縁には係合用立上片が立設
    され、覆い部の下面端縁には係合用垂下片が垂設され、
    受け片と覆い部との係合により右瓦面部と左瓦面部との
    各斜辺部同士が接合され、受け片の係合用立上片と覆い
    部の係合用垂下片との間には間隙が設けられていること
    を特徴とする隅棟瓦。
  2. 【請求項2】 受け片には隠し釘打ち込み孔が穿設され
    ていることを特徴とする請求項1記載の隅棟瓦。
  3. 【請求項3】 受け片が突設された斜辺部の稜線部に凹
    溝が穿設されていることを特徴とする請求項1又は2記
    載の隅棟瓦。
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