JP3397474B2 - 超伝導線 - Google Patents

超伝導線

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JP3397474B2 JP25962594A JP25962594A JP3397474B2 JP 3397474 B2 JP3397474 B2 JP 3397474B2 JP 25962594 A JP25962594 A JP 25962594A JP 25962594 A JP25962594 A JP 25962594A JP 3397474 B2 JP3397474 B2 JP 3397474B2
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導マグネット、エ
ネルギー貯蔵用の超伝導コイル、超伝導コイルに電力を
供給する為の電流リード等、各種の超伝導機器に使用す
る超伝導線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、超伝導線は酸化物超伝導体の外周
に導電性材料を取り付けた形態(以下、タイプ1と呼
ぶ)及び導電性材料のテープ上に超伝導体を取り付けた
形態(以下、タイプ2と呼ぶ)のものが一般的に知られ
ている。超伝導体として酸化物超伝導体を使用したもの
としては、特開平5−6716号公報に銀パイプの中に
酸化物超伝導体を挿入したタイプ1の超伝導線が、又、
タイプ2の超伝導線が特開平5−62546号公報に示
されている。そして、何れのタイプの超伝導線も特性が
改善され、例えば、特開平5−6716号公報では、約
0.1mm程度の厚さの板状に加工した超伝導線で3,
000A/cm2程度(長さは1cm程度で計測)の臨
界電流密度を有する物が開示されている。タイプ1の変
形として、特開平1−165680号公報では、低熱伝
導性の補強材の外周に酸化物超伝導体を取り付け、最外
周に良導電性金属を配したもの(以下、タイプ3と呼
ぶ)が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のタイプ
1の超伝導線では、酸化物超伝導体の特性が材料中の酸
素量により大きく変化してしまう為に、安定化材として
して機能する導電性材料が限定されてしまうという問題
がある。即ち、酸化物超伝導体が発見されるまでは、タ
イプ1の超伝導線の安定化材としては、銅、アルミニウ
ムやそれらの合金が代表的な材料であったが、これらの
材料を酸化物超伝導体の場合に使用すると、これらが酸
化物超伝導体と反応して超伝導特性を低下させ、更には
安定化材としての機能をも消失してしまうことが生じ
る。
【0004】又、酸化物超伝導線を作製する工程におい
て、酸素を該超伝導体に補給する為には安定化材に酸素
の透過性が要求されるが、上記した銅等では酸素の透過
性はない。この為に、現状では、導電性材料として高温
になると酸素の透過性が生じる銀が安定化材として使わ
れている。銀は、電気伝導度、熱伝導度、機械的加工
性、酸素に対する化学的安定性等、酸化物超伝導体の安
定化材としての要求を満足するものである。しかし、融
点が酸素との平衡状態では950℃(真空中で960.
5℃)であり、引っ張り強度が7.5kg/mm2であ
る為に、例えば、銀パイプに酸化物超伝導体を入れて熱
処理する場合には、上記の温度よりも低い温度で処理す
ることが必要となるという問題がある。即ち、現在、知
られている酸化物超伝導体の中で、950℃以下の温度
で合成することが出来る材料は少なく、タイプ1の超伝
導線を得る為には、1,000℃以上の熱処理を必要と
するものも多い。この為、使用することが出来る超伝導
体材料が限定されてしまうという問題がある。更に、酸
化物超伝導体は金属の様に引き伸ばすことが出来ない為
に、銀パイプに挿入した粉体の粒径によって超伝導線の
断面積が決まってしまい、又、大きな力で加工しようと
すると、銀が切断してしまうという問題もある。
【0005】タイプ2の超伝導線は、銀等のテープ上の
基体にドクターブレード法等で超伝導体の厚膜を形成
し、これをレーザー光で溶融後冷却することにより作製
される。しかし、この方法では、レーザー光が安定に照
射されないと酸化物超伝導体や銀の温度が変動してしま
い、結果として均一な品質の超伝導線が得られないとい
う問題がある。更に、この様な酸化物超伝導体の断面積
は、溶融体の粘性度によって影響を受けるが、一般に、
酸化物超伝導体の溶融体の粘性度は水と同程度である為
に、断面積の制御は非常に困難であるという問題もあ
る。
【0006】タイプ3の超伝導線は、機械的強度にも優
れているが、中心に配した補強材はステンレス鋼やチタ
ン鋼であり、この様な材料に直接酸化物超伝導体を密着
して取り付けることは現実にはほとんど不可能であると
いう問題がある。つまり、超伝導体の特性を十分に発揮
させる為には、出来るだけ低い温度で作成する必要があ
るが、現状では作製温度が最も低いと思われるスパッタ
法でも600℃以上の高い温度が必要であり、この様な
温度で酸化物超伝導体を形成すると、補強材と酸化物超
伝導体とが反応してしまい、超伝導特性が失われてしま
うこともしばしば起きてしまう。更に、タイプ3の超伝
導線は、良導電性金属が酸化物超伝導体の外側に密着し
ている為に、クエンチ時等に酸化物超伝導体中の酸素が
良導電性金属中に拡散してしまう可能性もあり、長期の
安定性にも問題がある。
【0007】以上の様に、現状では、酸化物超伝導体を
使用した超伝導線は、数cmから数10cm程度の長さ
では、ある程度特性の優れたものが得られる様になって
きているが、実用になる為には、約1km以上の長さに
わたって優れた特性を有する均質な超伝導線が必要であ
る。しかし、未だ実用になる様な超伝導線は得られてお
らず、その原因は、上記した様に、超伝導線を構成する
材料に制限が多く、又、製造方法にも制約が多い為であ
る。
【0008】従って、本発明の目的は、上記の従来技術
の問題点を解決し、使用する材料の組み合わせや製造方
法の制限が少なく、且つ所望の断面積を有する様に超伝
導線を加工してからでも十分に超伝導体中の酸素量を調
整することの出来る、優れた超伝導特性を有し、且つ広
い用途で使用することの出来る多様性ある超伝導線を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決する為の手段】上記目的は、以下の本発明
により達成される。即ち、本発明は、機械的強度に優
れ、中空形状で、且つ該中空内側に反射率の高い材料の
コーティングを有する導電性材料からなる中心層と、該
中心層の表面に設けた酸化物材料層と、該酸化物材料層
の外周に設けた酸化物超伝導体層と、該酸化物導体
層の外周に設けた絶縁材料層とを有することを特徴とす
る超伝導線である。
【0010】
【作用】本発明によれば、中心が機械的強度に優れた導
電性材料からなる層であり、その表面に熱膨張係数が該
導電性材料よりも超伝導体に近い酸化物材料層が形成さ
れ、更にその外周に酸化物超伝導体層が形成され、最外
周に絶縁材料層が形成されて超伝導線の断面が4層構造
から成っている為、酸化物超伝導体層を形成する際に、
優れた超伝導特性が得られる形成条件で超伝導体層を形
成することが出来、又、酸化物超伝導体とそれを挟む材
料との反応が防止される結果、酸化物超伝導体の超伝導
特性を十分に発揮することの出来る超伝導線が提供され
る。又、各構成材料が、製造方法に限定されることなく
夫々の役割を果たすことが出来る結果、信頼性に優れた
超伝導線が提供され、更に、超伝導線の最内周又は最外
周にシールド材や光導波路を設ける等の必要な処置を簡
単に施すことが出来る結果、超伝導線の殆ど全ての用途
に使用することの出来る多様性のある超伝導線が提供さ
れる。
【0011】
【好ましい実施態様】以下に好ましい実施態様を挙げ
て、本発明を更に詳しく説明する。本発明の超伝導線は
断面が4層構造から成り、中心層が導電性材料からな
り、その表面に酸化物材料からなる層、更にその外周に
酸化物超伝導体からなる層、そして最外周に絶縁材料か
らなる層が順次取り付けられている。
【0012】本発明の超伝導線を構成する中心層を形成
する導電性材料としては、丸、板状空の線材
を使用する。具体的には、機械的強度に優れた銅、ア
ミニウム、銀、及びそれらの中から選ばれた1種を主成
分とする合金、ハステロイ、ステンレス鋼、マンガン
鋼、ニクロム鋼、チタン鋼の中から選ばれた1種等から
なる線材が挙げられる。
【0013】更に、上記の導電性材料層の表面に取り付
けられる層は、酸化物材料からなり、使用される材料と
しては、例えば、サファイア、アルミナ、酸化マグネシ
ウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ジルコニ
ウム及びそれらの混合物、積層物或いは共融物の中から
選ばれた1種が挙げられる。この様な酸化物材料層の厚
さは、上記した導電性材料層及び次に述べる酸化物超伝
導体からなる層の厚さに比べて十分に薄く、一般的に
は、1〜1,000nmの範囲内とする。これらの酸化
物材料層は、上記した導電性材料層表面に300℃程度
以下の温度で取り付けることが可能であり、且つその上
に酸化物超伝導体を形成した際に、酸化物超伝導体と導
電性材料とが反応しない様に用いられるものである。
又、酸化物材料であるから熱膨張率が導電性材料よりも
超伝導体に近い為に、超伝導体層を形成し、冷却する過
程での熱応力を少なくすることが出来る。一般的には、
酸化物超伝導体層を形成する為には、クラスターイオン
ビーム法、スパッタ法やレーザーアブレーション法等で
は500〜800℃、塗付法等では900〜1,000
℃の温度が必要であるが、上記した酸化物材料層が存在
している為に、酸化物超伝導体層を形成した場合に、酸
化物超伝導体と導電性材料とが反応して超伝導特性の低
下や消失等が起きることがない。
【0014】酸化物超伝導体層の上に取り付けられる本
発明の超伝導線の最外周の層を構成する絶縁材料として
は、絶縁性を有する材料であれば特に限定されるもので
はないが、例えば、ポリプロピレン、エチレンとプロピ
レンの共重合体、テフロン、エポキシ樹脂、アラミド樹
脂等やガラス繊維で強化された強化プラスチック等が適
している。これらの絶縁材料層は、超伝導線間の絶縁
と、酸化物超伝導体層が導電性材料層から剥離すること
を防止する役割を果たす。そして、これらの絶縁材料
は、隣接する酸化物超伝導体と反応することもない。
【0015】以上の様な構成にすることにより、本発明
の超伝導線は、酸化物超伝導体層を形成する際に、優れ
た超伝導特性が得られる形成条件で超伝導体層を形成す
ることが出来、更に、最外周の絶縁材料層を形成する温
度は、200℃程度以下であるから、超伝導線を製造す
る過程で真空雰囲気を採用した場合においても超伝導特
性が低下することはない。更に、BiSrCaCuO系
の超伝導材料に代表されるが、酸化物超伝導体の中には
磁場の存在により超伝導特性が劣化するものがある。こ
の様な材料を使用する場合には、最外周の絶縁材料層の
外側に更に銅やハステロイ等の電磁シールド機能を有す
る材料を取り付けてもよいのは勿論である。
【0016】又、中心の導電性材料からなる層に、中空
形状の導電性材料を使用し、中空管の内側にアルミニウ
ムの様な光の反射率の高い材料をコーティングしている
ため、光ファイバー等の光の導波路が形成される。この
様な構成にすることにより、酸化物超伝導体のクエンチ
発生を光学的に検出することが出来る。この様な構造の
超伝導線は、中空内部に冷媒を流すことも出来るので、
超伝導線の冷却効率が改善され、更に冷媒を流しながら
前記の光によるクエンチ検出も可能である。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を更
に具体的にに説明する。尚、以下の実施例では、酸化物
超伝導体としてYBa2Cu3yを、酸化物材料として
CeO2(酸化セリウム)又はMgO(酸化マグネシウ
ム)を、絶縁材料としてテフロンをそれぞれ使用した場
合について述べるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。又、酸化物超伝導体等の形成方法は、主とし
て真空を利用した薄膜形成方法について述べるが、本発
明の超伝導線は、塗付、溶射法等各種の製造方法で作製
することが出来、各製造方法の組み合わせにも制限はな
い。
【0018】参考例1 図1に本参考例の超伝導線の断面構成図を示す。1はス
テンレス鋼からなる導電性材料層であり、2はMgOか
らなる酸化物材料層であり、3はYBa2Cu3yから
なる酸化物超伝導体層、4はテフロンからなる絶縁材料
層であり、本参考例の超伝導線は、断面が異なる材料か
らなる4層構造を有している。本参考例で用いたステン
レス鋼は、直径が100μmのワイヤーであり、断面は
中実の円形であり、複数のダイスを利用して線引きした
ものを使用した。次に、MgO層は、上記のステンレス
鋼を約200℃に加熱した後、この上に電子ビーム蒸着
法により200nmの厚さに蒸着した。その後、ステン
レス鋼の温度を約500℃として、クラスターイオンビ
ーム法によりYBa2Cu3yを1,000nmの厚さ
に取り付けて酸化物超伝導体層を形成した。更に、ステ
ンレス鋼の温度を100℃以下に冷却してから、クラス
ターイオンビーム法でテフロンを1,000nmの厚さ
に取り付けて絶縁材料層を形成して、超伝導線を作製し
た。
【0019】図3に、上記と同じ条件でステンレス鋼の
板(2cm×2cm)の上に形成したMgOとYBa2
Cu3yの積層体のX線回折図形を示した。この図から
わかる様に、得られた酸化物超伝導体は、c軸がステン
レス鋼に対して垂直に配向しており、電気抵抗の温度特
性(図4)より臨界温度が92Kの酸化物超伝導体であ
ることが確認された。更に、ステンレス鋼線に取り付け
たMgOとYBa2Cu3yの積層体、及び本参考例で
作製した超伝導線から最外周の絶縁材料層であるテフロ
ンを機械的に剥離させたものから長さ10cmの試料を
ランダムに10個選び、これらの電気抵抗の温度依存性
を測定した結果、図4とほぼ同じで、臨界温度は全て9
0〜92Kの範囲内であった。又、臨界電流密度(77
Kで測定)も全て約35,000A/cm2であり、バ
ラツキも1%以内であった。
【0020】この様に構成された超伝導線は、中心のス
テンレス鋼の機械的強度が優れている為に、外部からの
機械的応力にも強く、又、酸化物超伝導体よりもステン
レス鋼の熱伝導度がよい為に、クエンチ時の熱の放出等
にも対応出来る。更に、酸化物超伝導体の外周には絶縁
材料が取り付けられているので、そのままコイル等の用
途に使用することが出来る。超伝導線に流せる電流量
は、超伝導体の厚さを変えることにより任意に設定出
来、絶縁特性もテフロンの厚さを変えることにより制御
出来る。又、磁場による影響が問題となる場合には、テ
フロンの外周に電磁シールド機能のある材料を取り付け
ることも可能である。
【0021】参考例2 図2に本参考例の超伝導線の断面構成図を示す。中心の
導電性材料からなる層1は銀であり、直径1mmの丸線
を圧延して厚さ0.3mmの偏平板にしたものである。
この偏平板状の銀線に、CeO2からなる厚さ100n
mの酸化物材料層2、YBa2Cu3yからなる厚さ
2,000nmの酸化物超伝導体層3、テフロンからな
る2,000nmの絶縁材料層3を順次取り付けること
によって、本参考例の超伝導線を作製した。この際、C
eO2 層2及びYBa2Cu3y 層3はレーザーアブレ
ーション法により、テフロン層4は抵抗加熱法により形
成した。形成温度は夫々、CeO2層が150℃、YB
2Cu3y層が760℃であり、テフロン層が50〜
70℃である。
【0022】厚さ1mmの銀板(2cm×2cm)に、
上記と同じ条件でCeO2とYBa2Cu3yとを積層形
成し、酸化物超伝導体層のX線回折図形を測定したとこ
ろ、c軸の格子定数が1.177nmのc配向膜であ
り、電気抵抗測定の結果、臨界温度が92Kの酸化物超
伝導体であった。又、EPMAによる組成分析を行う
と、酸化物超伝導体層の組成はY:Ba:Cu=1.0
0:2.01:3.02であり、理論組成であるY:B
a:Cu=1:2:3とほぼ一致した。更に、SIMS
分析により、厚さ方向の組成分析を行った結果が図5で
あるが、CeO2とYBa2Cu3yの界面付近までは、
Y、Ba及びCuの信号強度は極めて安定しているが、
図5のLで示した部分で各原子の信号強度が減少し、逆
にCeの信号が強くなっている。測定時間から考えて、
Lの部分の厚さは15nmである。そして、この部分で
はAgの信号は全く観測されない。従って、CeO2
の存在により、酸化物超伝導体と銀の相互拡散を完全に
防止することが出来ていることがわかる。尚、銀以外の
導電性材料を用いた場合においても、酸化物材料として
酸化セリウムを用いた場合には、50nm程度の厚さの
層であれば導電性材料とYBa2Cu3O以外の酸化物超
伝導材料との相互拡散は防止することが出来る。
【0023】この様な超伝導線は、臨界電流密度が77
Kにおいて104A/cm2以上であり、多くの用途に
使用出来るだけの性能を有している。そして、実際に流
せる電流値は、酸化物超伝導体の厚さを変えることによ
り任意に設定することが出来る。又、本参考例では、レ
ーザーアブレーション法では760℃で酸化物超伝導体
層を形成したが、上記の構成であれば、中心に位置して
いる導電性材料層を銀よりも融点の高い材料にしたとし
ても980℃程度であれば酸化物材料層CeO2の厚さ
が50〜100nmでよく、これを更に厚くすればより
高い温度においても酸化物超伝導体と導電性材料との相
互拡散を防止することが出来る。
【0024】実施例 図6に本実施例の超伝導線の断面構成図を示す。導電性
材料層1として中空のニクロム鋼を使用し、その上に有
機セリウム化合物を塗付し、これを500℃以上で熱分
解させてCeO2からなる酸化物材料層2を形成した。
その後、その上にレーザーアブレーション法で酸化物超
伝導体YBa2Cu3yからなる層3を820℃で形成
し、更に、その上に50℃以下の温度でテフロンからな
る絶縁材料層4をクラスターイオンビーム法で形成して
本実施例の超伝導線を作製した。この様な線内に中空部
分を有する態様の本発明の超伝導線では、中心の中空部
分に冷却物質を流して超伝導線を冷却することが出来
る。又、導電性材料として銀やアルミニウムの様な光の
反射率の高い材料を用いたり、中空部分の内側にコーテ
ィングしたものについて、中空部分に光を入射させて光
の入口と出口での光の透過率の変化、或いはラマン効果
より、超伝導線のクエンチを検出し、必要な処置を採る
ことも可能である。
【0025】更に、超伝導線の断面形状は、例えば、図
7の様な偏平楕円形状でもよく、更に図示してないが、
正方形や長方形或いは多角形の断面形状でもよいことは
言うまでもない。又、絶縁材料層の外周に電磁シールド
材料や熱伝導性材料、或いはそれらの積層体等を取り付
けてもよい。
【0026】酸化物超伝導体層は、十分な超伝導特性を
発揮させる為に、出来るだけ単結晶に近いことが望まし
いし、その結晶方位も一様であることが望ましい。しか
し、導電性材料層と超伝導材料層との間の酸化物材料層
としては、その結晶性に大きな制限はない。例えば、ク
ラスターイオンビーム法の様に、基板との格子定数が異
なった場合にも優れた結晶性の超伝導体層を作製するこ
とが出来る様な方法を採用する場合には、酸化物材料層
の結晶性は殆ど問題とはならない。しかし、MBEの様
に基板の結晶性が問題となる様な製法を採用する場合に
は、酸化物材料層も酸化物超伝導体層と同様に、配向し
た結晶性の優れたものであることが必要である。従っ
て、本発明で使用することが望ましい材料としては、例
えば、サファイア、酸化マグネシウム、酸化イットリウ
ム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム及びそれらの混合
物又は共融物の中から選ばれた1種である。これらの材
料は、作製する温度を選ぶことによって、結晶性の優れ
た配向性の薄膜が得られるものであるから、これらを用
いることによりMBE法等でも本発明の超伝導線を作製
することが出来る。つまり、使用する材料の種類と採用
する製法により、酸化物材料層の結晶性を選べばよい。
【0027】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、超
伝導線を4層構造にすることにより、酸化物超伝導体層
を形成する際に、優れた超伝導特性が得られる形成条件
で超伝導体層を形成することが出来、且つ酸化物超伝導
体層とそれを挟む材料層との反応が防止される為、優れ
た超伝導特性を示す超伝導線が提供される。又、本発明
により提供される超伝導線は、4層を構成する各構成材
料が、製造方法に限定されることなく夫々の役割、例え
ば、導電性材料層では、熱及び電気的安定化材としての
役割を果たすことが出来る為に、得られる超伝導線は信
頼性にも優れたものとなり、更に、超伝導線の外周又は
内周にシールド材や光導波路を設ける等の必要な処置を
簡単に施すことが出来る結果、超伝導線の殆ど全ての用
途に使用することの出来る多様性ある超伝導線が提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1の超伝導線の断面構成原理図である。
【図2】参考例2の超伝導線の断面構成原理図である。
【図3】参考例1の酸化物超伝導体のX線回折図形であ
る。
【図4】参考例1の酸化物超伝導体の電気抵抗の温度依
存性である。
【図5】参考例2のSIMS分析結果である。
【図6】実施例の超伝導線の断面構成原理図である。
【図7】実施例の他の超伝導線の断面構成原理図であ
る。
【符号の説明】
1:導電性材料 2:酸化物材料 3:酸化物超伝導体 4:絶縁材料 5:中空部分

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械的強度に優れ、中空形状で、且つ該
    中空内側に反射率の高い材料のコーティングを有する導
    電性材料からなる中心層と、該中心層の表面に設けた酸
    化物材料層と、該酸化物材料層の外周に設けた酸化物
    伝導体層と、該酸化物導体層の外周に設けた絶縁材
    料層とを有することを特徴とする超伝導線。
  2. 【請求項2】 前記導電性材料が銅、アルミニウム、銀
    及びそれらの中から選ばれた1種を主成分とする合金、
    ハステロイ、ステンレス鋼、マンガン鋼、ニクロム鋼、
    並びにチタン鋼の中から選ばれた1種であり、且つ前記
    酸化物材料がサファイア、アルミナ、酸化マグネシウ
    ム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウ
    ム及びそれらの混合物、積層物、並びに共融物の中から
    選ばれた1種である請求項1に記載の超伝導線。
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