JP5663244B2 - エナメル被覆超電導線材の製造方法 - Google Patents

エナメル被覆超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エナメル被覆超電導線材の製造方法に関する。
近年になって発見されたRE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X:REは希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示すことから実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体として用いることが強く要望されている。中でも、Y系酸化物超電導体(YBaCu7−X)及びGd系酸化物超電導体(GdBaCu7−X)を用いた超電導線材は、外部磁界に対して強く、強磁界内でも高い電流密度を維持することができるなどの優れた特徴を有しているため、コイル用超電導導体あるいは電力送電用超電導導体などとしての利用が期待されている。
酸化物超電導体を線材に加工するための方法として、強度が高く、耐熱性もあり、線材に加工することが容易な金属を長尺のテープ状に加工し、この金属基材上に酸化物超電導体を薄膜状に形成する方法が研究されている。
酸化物超電導体は電気的異方性を有しているので、基材上に酸化物超電導体を形成する場合に、結晶の配向制御を行う必要がある。しかしながら、金属基材自体は非結晶もしくは多結晶体であり、その結晶構造も酸化物超電導体と大きく異なるために、基材上に上記のような結晶配向性の良好な酸化物超電導体膜を形成することは困難である。
そこで、上記のような問題を解決するために、まず金属基材上に熱膨張率や格子定数等の物理的な特性値が基材と酸化物超電導体との中間的な値を示すMgO、YSZ(イット
リア安定化ジルコニウム)、SrTiO等の材料から成る中間層を形成し、この中間層の上にCeO等のキャップ層を形成し、このキャップ層上に酸化物超電導薄膜を形成することが行われている。このように、基材上に中間層及びキャップ層を介在させて酸化物超電導薄膜を形成することで超電導特性の優れた酸化物超電導導体を得ることができる。
ところで、テープ状の超電導線材を巻回してコイル等に適用するためには、超電導線材間の電気的な絶縁性を確保するため、超電導線材を絶縁材で被覆する必要がある。
超電導線材を絶縁被覆する方法としては、テープ状の酸化物超電導線材の表面上に螺旋状にカプトンテープ等の樹脂テープ(樹脂テープ)を巻き付ける方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、従来の絶縁テープを巻き付ける工程を省略し、大幅なコスト削減を図るために、テープ状の超電導線材の外周面に樹脂を付着させ、この付着物に光を照射するか、又は熱を加えることにより、この付着物を固化させ、超電導線材の外周面に樹脂被膜を形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。さらに、超電導線材の外周面に樹脂皮膜として、エナメル被覆絶縁を施す手法が開示されている(特許文献3および4参照)。
特開平6−318409号公報 特開2005−11702号公報 特開昭60−235309号公報 特開平1−11709号公報
特許文献3に記載の技術は、Nb−Ti合金系超電導線材にエナメル絶縁被覆を施すものであり、超電導線材の熱処理の温度を350℃以下とすることにより、超電導特性の劣化を抑止できることが開示されている。しかしながら、Nb−Ti合金系超電導線材の熱処理条件を、線材の構成や耐熱性が異なる酸化物超電導線材にそのまま適用することは困難である。
また、特許文献4には、酸化物超電導線材の表面上にエナメル線塗料を塗布し、250〜450℃の温度で焼付けして絶縁層を形成することが記載されている。しかしながら、特許文献4の技術は、酸化物超電導体の原料粉末又は超電導体粉末を金属管に充填し、縮径加工する方法(所謂、Powder In Tube法)により形成された酸化物超電導線材へ適用可能であり、テープ状の基材上に中間層及びキャップ層を介して酸化物超電導薄膜が結晶配向性良好な状態で積層された酸化物超電導線材に対して、そのまま応用することは難しい。
特許文献3に記載の技術では、テープ状の超電導導体と、その上面に配されたテープ状の支持体とで構成される超電導線材に、樹脂を付着させ、この付着物を光照射または加熱することにより固化させて、超電導線材の外周面に樹脂被膜を形成している。しかしながら、特許文献3には、光照射により超電導線材を樹脂被覆する場合の具体的な条件は開示されているが、加熱処理により超電導線材を樹脂被覆する場合の具体的な加熱条件は記載されていない。そのため、前記のような積層構造の酸化物超電導線材に対してエナメル絶縁被覆を施す場合、超電導特性を劣化させることなく、エナメル層を焼付けすることのできる加熱条件は不明であった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、超電導特性の劣化を抑制しつつ、超電導線材をエナメル被覆可能なエナメル被覆超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成とした。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法は、基材上に、中間層とキャップ層と酸化物超電導層と保護層と金属安定化層とがこの順に積層された超電導線材の外周面に、エナメル樹脂を塗布して焼付けることによりエナメル層を形成して超電導線材をエナメル被覆する方法であって、前記エナメル樹脂の焼付け温度を200℃以下とすることを特徴とする。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法において、前記金属安定化層の厚さが0.3mm以下であることが好ましい。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法において、前記エナメル樹脂の焼付け時間を60分以下とすることが好ましい。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法において、前記エナメル樹脂の焼付け温度を100℃以上200℃以下とすることも好ましい。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法において、前記金属安定化層が、鉛フリー半田を介して保護層上に設けられてなることも好ましい。
また、本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法は、基材上に、中間層とキャップ層と酸化物超電導層と保護層とがこの順に積層された超電導線材に、前記保護層の上面を覆うように前記超電導線材の外周面にエナメル樹脂を塗布して焼付けることによりエナメル層を形成して超電導線材をエナメル被覆する方法であって、前記エナメル樹脂の焼付け温度を240℃以下とすることを特徴とする。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法において、前記エナメル樹脂の焼付け温度を100℃以上240℃以下とすることも好ましい。
本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法によれば、基材上に中間層とキャップ層と酸化物超電導層と保護層と金属安定化層とがこの順に積層された超電導線材をエナメル層で絶縁被覆する際に、エナメル樹脂の焼付け処理を、200℃以下の温度で行うことにより、超電導特性の劣化を抑制しつつ、超電導線材をエナメル被覆することができる。また、超電導線材へのエナメル樹脂の焼付け処理を、200℃以下、60分以下で行うことにより、エナメル被覆超電導線材の超電導特性の劣化をさらに抑制することができる。
また、本発明は、金属安定化層の厚さが0.3mm以下の超電導線材をエナメル被覆する場合に好適である。さらに、金属安定化層が鉛フリー半田を介して保護層上に設けられる構成とすることにより環境への負荷を低減できる効果に加えて、エナメル樹脂の焼付け処理の際に、半田が溶融して金属安定化層が超電導線材から剥離することを抑制することができる。
また、本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法によれば、基材上に中間層とキャップ層と酸化物超電導と保護層とがこの順に積層された超電導線材をエナメル層で絶縁被覆する際に、エナメル樹脂の焼付け処理を、240℃以下の温度で行うことにより、超電導特性の劣化を抑制しつつ、超電導線材をエナメル被覆することができる。
本発明の第1実施形態に係る製造方法により製造されるエナメル被覆超電導線材の一例を示す概略斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る製造方法により製造されるエナメル被覆超電導線材の一例を示す概略斜視図である。 実施例1および2の超電導線材について、加熱温度に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。 実施例1の超電導線材について、加熱時間に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。 実施例1〜4の超電導線材について、加熱温度に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。 実施例2の超電導線材について、加熱時間に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るエナメル被覆超電導線材の製造方法によりされるエナメル被覆超電導線材の一例を示す概略斜視図である。
図1に示すエナメル被覆超電導線材1は、基材11上に、中間層12と、キャップ層13と、酸化物超電導層14と、保護層15と、金属安定化層16とがこの順に積層されて構成される超電導線材17の外周面に、エナメル層20が形成されて構成されている。
本実施形態のエナメル被覆超電導線材の製造方法は、超電導線材17の外周面にエナメル樹脂を塗布して200℃以下の温度で焼付けることによりエナメル層20を形成することを特徴とする。
本実施形態の製造方法で使用される超電導線材17に適用できる基材11は、通常の超電導線材の基材として使用でき、高強度であれば良く、長尺のケーブルとするためにテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。例えば、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ等のニッケル合金等の各種金属材料、もしくはこれら各種金属材料上にセラミックスを配したもの等が挙げられる。各種耐熱性の金属の中でも、ニッケル合金が好ましい。なかでも、市販品であれば、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)が好適であり、ハステロイとして、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmである。
中間層12は、単層構造あるいは複層構造のいずれでも良く、その上に積層される酸化物超電導層14の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から選択される。中間層12の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。
この中間層12をイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)により良好な結晶配向性(例えば結晶配向度15゜以下)で成膜するならば、その上に形成するキャップ層13の結晶配向性を良好な値(例えば結晶配向度5゜前後)とすることができ、これによりキャップ層13の上に成膜する酸化物超電導層14の結晶配向性を良好なものとして優れた超電導特性を発揮できるようにすることができる。
中間層12の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.005〜2μmの範囲とすることができる。
中間層12は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と略記する)等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);塗布熱分解法(MOD法);溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、酸化物超電導層14やキャップ層13の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。IBAD法とは、蒸着時に、下地の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。通常は、イオンビームとして、アルゴン(Ar)イオンビームを使用する。例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層12は、IBAD法における結晶配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
なお、本実施形態の製造方法に使用される超電導線材17は、図1に示す構造に限定されず、基材11と中間層12との間に、ベッド層が介在された構成とすることもできる。
ベッド層は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、その上に配される膜の配向性を得るために用いる。このようなベッド層は、必要に応じて配され、例えば、イットリア(Y)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。ベッド層は、例えばスパッタリング法等の成膜法により形成され、その厚さは例えば10〜200nmである。
また、本実施形態の製造方法に使用される超電導線材17は、基材11と前記ベッド層との間に拡散防止層が介在された構造としても良い。拡散防止層は、基材11の構成元素拡散を防止する目的で形成されたもので、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、あるいは希土類金属酸化物等から構成され、その厚さは例えば10〜400nmである。なお、拡散防止層の結晶性は問われないので、通常のスパッタ法等の成膜法により形成すればよい。
このように基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させることにより、中間層12や酸化物超電導層13等の他の層を形成する際に、必然的に加熱されたり、熱処理される結果として熱履歴を受ける場合に、基材11の構成元素の一部がベッド層を介して酸化物超電導層14側に拡散することを効果的に抑制することができる。基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させる場合の例としては、拡散防止層としてAl、ベッド層としてYを用いる組み合わせを例示することができる。
キャップ層13は、中間層12の表面に対してエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て形成されたものが好ましい。このようなキャップ層13は、前記金属酸化物層からなる中間層12よりも高い面内配向度が得られる。
キャップ層13の材質は、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層13の材質がCeOである場合、キャップ層13は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
このCeO層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができるが、大きな成膜速度を得られる点でPLD法を用いることが望ましい。PLD法によるCeO層の成膜条件としては、基材温度約500〜1000℃、約0.6〜100Paの酸素ガス雰囲気中で行うことができる。
CeO層の膜厚は、50nm以上であればよいが、十分な配向性を得るには100nm以上が好ましく、500nm以上であれば更に好ましい。但し、厚すぎると結晶配向性が悪くなるので、500〜1000nmとすることが好ましい。
酸化物超電導層14は公知の酸化物超電導体で構成されており、例えば、REBaCu7−X(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものが挙げられ、具体的には、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示することができる。また、その他の酸化物超電導体、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δなる組成等に代表される臨界温度の高い他の酸化物超電導体からなるものを用いても良いのは勿論である。
酸化物超電導層14の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層14は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができ、なかでも生産性の観点から、TFA−MOD法(トリフルオロ酢酸塩を用いた有機金属堆積法、塗布熱分解法)、PLD法又はCVD法を用いることが好ましい。
このMOD法は、金属有機酸塩を塗布後熱分解させるもので、金属成分の有機化合物を均一に溶解した溶液を基材上に塗布した後、これを加熱して熱分解させることにより基材上に薄膜を形成する方法であり、真空プロセスを必要とせず、低コストで高速成膜が可能であるため長尺のテープ状超電導導体の製造に適している。
ここで前述のように、良好な配向性を有するキャップ層13上に酸化物超電導層14を形成すると、このキャップ層13上に積層される酸化物超電導層14もキャップ層13の配向性に整合するように結晶化する。よってキャップ層13上に形成された酸化物超電導層14は、結晶配向性に乱れが殆どなく、この酸化物超電導層14を構成する結晶粒の1つ1つにおいては、基材11の厚さ方向に電気を流しにくいc軸が配向し、基材11の長さ方向にa軸どうしあるいはb軸どうしが配向している。従って得られた酸化物超電導層14は、結晶粒界における量子的結合性に優れ、結晶粒界における超電導特性の劣化が殆どないので、基材11の長さ方向に電気を流し易くなり、十分に高い臨界電流密度が得られる。
酸化物超電導層14の上に積層されている保護層15は、Agなどの良電導性かつ酸化物超電導層14と接触抵抗が低くなじみの良い金属材料からなる層として形成される。保護層15の厚さは1〜30μmとすることが好ましい。保護層15は、公知の方法で形成することができるが、中でもスパッタ法で形成することが好ましい。
金属安定化層16は、良導電性の金属材料からなり、酸化物超電導層14が超電導状態から常電導状態に遷移しようとしたときに、保護層15とともに、酸化物超電導層14の電流が転流するバイパスとして機能する。
金属安定化層16を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが、銅、黄銅(Cu−Zn合金)等の銅合金、ステンレス等の比較的安価なものを用いるのが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅がより好ましい。これにより、材料コストを低く抑えながら金属安定化層16を厚膜化することが可能となり、事故電流に耐える超電導線材17を安価に得ることができる。
金属安定化層16の厚さは300μm以下とすることが好ましく、10〜300μmとすることがより好ましい。下限値以下とすることにより酸化物超電導層14を安定化する一層高い効果が得られ、上限値以下とすることで超電導線材17を薄型化できる効果に加えて、後述する実施例に示す如く、超電導線材17にエナメル樹脂の焼付け処理を200℃以下で行う場合、エナメル樹脂の焼付け処理後に超電導特性が劣化することを抑制することができる。
金属安定化層16は、公知の方法で形成することができ、スパッタ法や、銅などの金属テープを保護層15上に半田付けする方法により形成することができる。これらの中でも、簡便により短時間で生産できることから、銅等の金属テープを半田を介して保護層15上に積層することにより金属安定化層16を形成することが好ましい。保護層15上に金属安定化層16を積層形成する場合に用いられる半田としては、環境への負荷を低減できるため、鉛フリー半田が好ましい。中でも、融点が200〜235℃の鉛フリー半田を使用することにより、エナメル樹脂の焼付け処理の際に、半田が溶融して金属安定化層16が超電導線材17から剥離することを抑制することができる。また、融点が200〜235℃の半田を使用することにより、銅等の金属テープを半田を介して保護層15上に積層して金属安定化層16を形成する際に、加熱により酸化物超電導層14の酸素が抜けて超電導特性が劣化することを抑止することができる。
図1に示すエナメル被覆超電導線材1を製造するには、まず、前記した構成の超電導線材17を準備する。
次に、超電導線材17の外周面にエナメル樹脂を塗布する。
エナメル樹脂としては、後述するエナメル樹脂の焼付け処理において、加熱により焼付けられてエナメル層を形成できるものであれば特に限定されず、エナメル樹脂、エナメルワニス、エナメル塗料等として従来公知のものを使用することができる。エナメル樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂系エナメル、ホルマール樹脂系エナメル、エポキシ樹脂系エナメル、フェノール樹脂系エナメル等が挙げられる。
エナメル樹脂を塗布する方法は、特に限定されず、ディップコート法やスプレーコート法等、従来公知の方法を使用することができる。
次いで、超電導線材17の外周面に塗布したエナメル樹脂を焼付けることにより、エナメル層20を形成する。本実施形態において、エナメル樹脂の焼付け温度は、200℃以下に設定する。エナメル樹脂の焼付け温度を200℃以下と設定することにより、エナメル樹脂の焼付け処理後のエナメル被覆超電導線材1の超電導特性が、焼付け処理前の超電導線材17と比較して、低下してしまうことを抑制することができる。
本実施形態における超電導線材17へのエナメル樹脂の焼付け処理の温度は、後述する実施例の検討結果より設定したものである。実施例に示す如く、超電導線材17は、200℃以下の加熱を行っても超電導特性は低下しないが、200℃を超える加熱を行うとその超電導特性が低下することが確認された。これは以下の理由によるものである。すなわち、200℃を超える加熱を行うと、超電導線材17の金属安定化層16の一部が超電導線材17から剥離し、銅などの金属テープである金属安定化層16の残留応力や熱収縮により、金属安定化層16の反り返りが起こる。このような金属安定化層16の反り返りが起こると、超電導線材17の酸化物超電導層14とキャップ層13との界面で剥離が起こり、この剥離部分で酸化物超電導層14にクラック等を生じ、結果として超電導特性の低下が起こってしまう。酸化物超電導層14とキャップ層13とは、超電導線材17において最も機械的強度が弱いため、これらの界面で剥離が生じる。
上記の理由により、超電導線材17へのエナメル樹脂の焼付け処理は200℃以下の温度で行う必要がある。また、エナメル樹脂の焼付けが不十分となり、絶縁性が不十分になることを抑制することができるため、エナメル樹脂の焼付け温度は、100℃以上200℃以下とすることがより好ましい。
また、超電導線材17へのエナメル樹脂の焼付け処理の時間は、60分以下とすることが好ましい。後述の実施例に示す如く、エナメル樹脂の焼付け処理を、200℃以下の温度で、60分以下の時間行うことにより、超電導線材17の超電導特性の低下を抑制することができる。
このような条件で超電導線材17へエナメル樹脂を焼き付けて、超電導線材17の外周面にエナメル層20を形成することにより、図1に示すエナメル被覆超電導線材1を製造することができる。
エナメル層20の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜50μmの範囲とすることが好ましい。下限値以上とすることにより、超電導線材17の外周部の絶縁性を良好なものにすることができる。また、上限値以下とすることにより、エナメル被覆超電導線材1を超電導状態とするために液体窒素等で冷却する際に、熱収縮によりエナメル層20に割れが生じ、エナメル被覆超電導線材1の超電導特性が低下することを抑制することができる。
超電導線材17へのエナメル層20の形成は、前記したエナメル樹脂の焼付け処理を一度だけ行ってもよく、所望の厚さのエナメル層20が形成されるまで前記したエナメル樹脂の焼付け処理を複数回繰り返し行ってもよい。
本実施形態のエナメル被覆超電導線材の製造方法によれば、超電導線材17へのエナメル樹脂の焼付け処理を、200℃以下の温度で行うことにより、超電導特性の劣化を抑制しつつ、超電導線材17をエナメル被覆することができる。また、超電導線材17へのエナメル樹脂の焼付け処理を、200℃以下、60分以下で行うことにより、エナメル被覆超電導線材の超電導特性の劣化をさらに抑制することができる。
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係るエナメル被覆超電導線材の製造方法によりされるエナメル被覆超電導線材の一例を示す概略斜視図である。図2において、図1に示すエナメル被覆超電導線材1と同じ構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。
図2に示すエナメル被覆超電導線材2は、基材11上に、中間層12と、キャップ層13と、酸化物超電導層14と、保護層15とがこの順に積層されて構成される超電導線材18の外周面に、エナメル層20が形成されて構成されている。
本実施形態のエナメル被覆超電導線材の製造方法は、保護層15の上面を覆うように超電導線材18の外周面にエナメル樹脂を塗布して240℃以下の温度で焼付けることによりエナメル層20を形成することを特徴とする。本実施形態のエナメル被覆超電導線材の製造方法は、前記第1実施形態の製造方法とは、超電導線材18が金属安定化層16を有さない点、及び超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理を240℃以下で行う点で異なっている。
図2に示すエナメル被覆超電導線材2を製造するには、まず、図2に示す構成の超電導線材18を準備する。
次に、超電導線材18の外周面にエナメル樹脂を塗布する。
エナメル樹脂の材質、及び超電導線材18へのエナメル樹脂の塗布方法は、前記第1実施形態と同様である。
次いで、超電導線材18の外周面に塗布したエナメル樹脂を焼付けることにより、エナメル層20を形成する。本実施形態において、エナメル樹脂の焼付け温度は、240℃以下に設定する。エナメル樹脂の焼付け温度を240℃以下と設定することにより、エナメル樹脂の焼付け処理後のエナメル被覆超電導線材2の超電導特性が、焼付け処理前の超電導線材18と比較して、低下してしまうことを抑制することができる。
本実施形態における超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理の温度は、後述する実施例の検討結果より設定したものである。実施例に示す如く、超電導線材18は、240℃以下の加熱を行っても超電導特性は低下しないが、240℃を超える加熱を行うとその超電導特性が低下することが確認された。これは、240℃を超える加熱を行うと、超電導線材18の酸化物超電導層14中の酸素の一部が抜けて、酸化物超電導層14の超電導特性が劣化してしまうためである。
上記の理由により、超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理は240℃以下の温度で行う必要がある。また、エナメル樹脂の焼付けが不十分となり、絶縁性が不十分になることを抑制することができるため、エナメル樹脂の焼付け温度は、100℃以上200℃以下とすることがより好ましい。
また、超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理の時間は、特に限定されず、適宜調整可能であるが、10分以下とすることが好ましい。エナメル樹脂の焼付け処理を、240℃以下の温度で、10分以下の時間行うことにより、超電導特性を劣化させることなく、超電導線材18へエナメル樹脂の焼付けを行うことができる。なお、後述する実施例に示す如く、超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理は、加熱温度が220℃以下の場合は、加熱時間を10分超で行うこともでき、例えば、加熱温度が220℃以下の場合は加熱時間を30分以下、加熱温度が200℃以下の場合は加熱時間を60分以下、加熱温度が180℃以下の場合は加熱時間を120分以下と設定することにより、超電導特性を劣化させることなく、超電導線材18へエナメル樹脂の焼付けを行うことができる。
このような条件で超電導線材18へエナメル樹脂を焼き付けて、超電導線材18の外周面にエナメル層20を形成することにより、図2に示すエナメル被覆超電導線材2を製造することができる。
エナメル層20の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜50μmの範囲とすることが好ましい。下限値以上とすることにより、超電導線材18の外周部の絶縁性を良好なものにすることができる。また、上限値以下とすることにより、エナメル被覆超電導線材1を超電導状態とするために液体窒素等で冷却する際に、熱収縮によりエナメル層20に割れが生じ、エナメル被覆超電導線材1の超電導特性が低下することを抑制することができる。
超電導線材18へのエナメル層20の形成は、前記したエナメル樹脂の焼付け処理を一度だけ行ってもよく、所望の厚さのエナメル層20が形成されるまで前記したエナメル樹脂の焼付け処理を複数回繰り返し行ってもよい。
本実施形態のエナメル被覆超電導線材の製造方法によれば、超電導線材18へのエナメル樹脂の焼付け処理を、240℃以下の温度で行うことにより、超電導特性の劣化を抑制しつつ、超電導線材18をエナメル被覆することができる。
以上、本発明のエナメル被覆超電導線材の製造方法について説明したが、上記実施形態において、エナメル被覆超電導線材及び超電導線材の各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
「超電導線材の作製」
(実施例1)
幅5mm、厚さ0.1mmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)により1.2μm厚のGdZr(GZO;中間層)を形成した上に、パルスレーザー蒸着法(PLD法)により0.5μm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により1.0μm厚のGdBaCu(酸化物超電導層)を形成し、さらに超電導層上にスパッタ法により10μmの銀層(保護層)を形成した。その後、0.1mm厚の銅層(金属安定化層)を半田(鉛フリー半田:Sn99.9%、残部は不可避不純物、融点232℃、密度7.3g/cm)により銀層上に積層して超電導線材を作製した。
(実施例2)
保護層上に金属安定化層である銅層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして超電導線材を作製した。
(実施例3)
金属安定化層である銅層の厚さを0.05mmに変更した以外は、実施例1と同様にして超電導線材を作製した。
(実施例4)
金属安定化層である銅層の厚さを0.3mmに変更した以外は、実施例1と同様にして超電導線材を作製した。
「評価1:耐熱性試験(加熱温度の検討(1))」
実施例1および実施例2で作製した各超電導線材について、10分間、160〜280℃の温度で加熱し、加熱前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、加熱後の超電導線材の臨界電流値Icとの比(Ic/Ic0)を算出し、加熱による超電導特性の変化を評価した。結果を図3にプロットした。図3は、実施例1および2の超電導線材について、加熱温度に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。図3において、保持率Ic/Ic0[%]が100に近いほど、加熱後も超電導特性が保たれていることを示す。
図3の結果より、実施例1の超電導線材は、200℃以下の温度で10分間の加熱処理を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0>95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。また、実施例1の超電導線材を220℃以上の温度で10分間加熱すると、臨界電流値の保持率Ic/Ic0<95%となり、超電導特性が劣化することが確認された。
さらに、図3の結果より、実施例2の超電導線材は、240℃以下の温度で10分間の加熱処理を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0>95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。また、実施例2の超電導線材を260℃以上の温度で10分間加熱すると、臨界電流値の保持率Ic/Ic0<95%となり、超電導特性が劣化することが確認された。
「評価2:耐熱性試験(加熱時間の検討(1))」
実施例1で作製した超電導線材について、10〜120分間、160℃、180℃および200℃の温度で加熱し、加熱前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、加熱後の超電導線材の臨界電流値Icとの比(Ic/Ic0)を算出し、加熱による超電導特性の変化を評価した。結果を図4にプロットした。図4は、実施例1の超電導線材について、加熱時間に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。
図3の結果より、実施例1の超電導線材は、180℃以下の温度で加熱する場合は、120分間加熱を行っても超電導特性が劣化しないことが確認された。また、200℃で加熱する場合は、60分間の加熱を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0>95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。
評価1および評価2の結果より、基材と中間層とキャップ層と酸化物超電導層と保護層と金属安定化層とが積層されて形成された実施例1の超電導線材は、加熱温度200℃以下、加熱時間60分以下で加熱処理を行うことにより、加熱処理後も超電導特性が保持されることが確認された。
「評価3:耐熱性試験(加熱温度の検討(2))」
実施例1〜4で作製した各超電導線材について、10分間、160〜240℃の温度で加熱し、加熱前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、加熱後の超電導線材の臨界電流値Icとの比(Ic/Ic0)を算出し、加熱による超電導特性の変化を評価した。結果を図5にプロットした。図5は、実施例1〜4の超電導線材について、加熱温度に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。
図5の結果より、金属安定化層である銅層を有さない実施例2、銅層の厚みが0.05mmである実施例3、銅層の厚みが0.1mmである実施例1、銅層の厚みが0.3mmである実施例4のいずれの超電導線材においても、200℃以下の温度で加熱処理を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0>95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。
「評価4:耐熱性試験(加熱時間の検討(2))」
実施例2で作製した超電導線材について、10〜120分間、180℃、200℃および220℃の温度で加熱し、加熱前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、加熱後の超電導線材の臨界電流値Icとの比(Ic/Ic0)を算出し、加熱による超電導特性の変化を評価した。結果を図6にプロットした。図6は、実施例2の超電導線材について、加熱時間に対して、超電導線材の臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]をプロットしたグラフである。
図6の結果より、実施例2の超電導線材は、180℃以下の温度で加熱する場合は、120分間加熱を行っても超電導特性が劣化しないことが確認された。また、200℃で加熱する場合は、60分間の加熱を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0≧95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。さらに、220℃で加熱する場合は、30分間の加熱を行っても臨界電流値の保持率Ic/Ic0≧95%であり、超電導特性が保持されることが確認された。
「エナメル被覆超電導線材の作製(1)」
(実施例5)
実施例1と同様にして作製した超電導線材の外周面に、エナメル樹脂(ウレタン樹脂(ポリオール)、伊藤製油社製、商品名URIC H−31)を塗布し、200℃、15分間の焼付け処理を行うことにより厚さ20μmのエナメル層を形成し、エナメル被覆超電導線材を作製した。
(実施例6)
エナメル樹脂の焼付け処理を200℃、30分間行った以外は、実施例5と同様にしてエナメル被覆超電導線材を作製した。
(実施例7)
実施例2と同様にして作製した超電導線材の外周面に、エナメル樹脂(ウレタン樹脂(ポリオール)、伊藤製油社製、商品名URIC H−31)を塗布し、200℃、10分間の焼付け処理を行うことによりエナメル層を形成し、エナメル被覆超電導線材を作製した。
(実施例8)
エナメル樹脂の焼付け処理を200℃、30分間行った以外は、実施例7と同様にしてエナメル被覆超電導線材を作製した。
「評価」
実施例5〜8で作製した各エナメル被覆超電導線材について、エナメル樹脂焼付け処理前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、エナメル樹脂焼付け処理後の超電導線材の臨界電流値Icとの比である臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005663244
表1の結果より、実施例5〜8のエナメル被覆超電導線材はいずれも、エナメル樹脂の焼付け処理後も、臨界電流値の保持率Ic/Ic0≧95%であり、超電導特性が保持されていた。
「エナメル被覆超電導線材の作製(2)」
(実施例9〜11)
実施例1と同様にして作製した超電導線材の外周面に、表2記載のエナメル樹脂を塗布し、180℃、18分間の焼付け処理を行うことにより厚さ20μmのエナメル層を形成し、実施例9〜12のエナメル被覆超電導線材を作製した。
「評価」
実施例9〜12で作製した各エナメル被覆超電導線材について、エナメル樹脂焼付け処理前の超電導線材の臨界電流値Ic0と、エナメル樹脂焼付け処理後の超電導線材の臨界電流値Icとの比である臨界電流値の保持率Ic/Ic0[%]を算出した。結果を表2に併記した。
Figure 0005663244
表2の結果より、実施例9〜11のエナメル被覆超電導線材はいずれも、エナメル樹脂の焼付け処理後も、臨界電流値の保持率Ic/Ic0≧95%であり、超電導特性が保持されていた。
1、2…エナメル被覆超電導線材、11…基材、12…中間層、13…キャップ層、14…酸化物超電導層、15…保護層、16…金属安定化層、17、18…超電導線材、20…エナメル層。

Claims (5)

  1. 基材上に、中間層とキャップ層と酸化物超電導層と保護層と金属安定化層とがこの順に積層された超電導線材の外周面に、エナメル樹脂を塗布して焼付けることによりエナメル層を形成して超電導線材をエナメル被覆する方法であって、
    前記エナメル樹脂の焼付け温度を200℃以下とすることを特徴とするエナメル被覆超電導線材の製造方法。
  2. 前記金属安定化層の厚さが0.3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のエナメル被覆超電導線材の製造方法。
  3. 前記エナメル樹脂の焼付け時間を60分以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載のエナメル被覆超電導線材の製造方法。
  4. 前記エナメル樹脂の焼付け温度を100℃以上200℃以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエナメル被覆超電導線材の製造方法。
  5. 前記金属安定化層が、鉛フリー半田を介して保護層上に設けられてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエナメル被覆超電導線材の製造方法。
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