JP3395891B2 - 紙製のスピーカー用振動板 - Google Patents
紙製のスピーカー用振動板Info
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- JP3395891B2 JP3395891B2 JP12029699A JP12029699A JP3395891B2 JP 3395891 B2 JP3395891 B2 JP 3395891B2 JP 12029699 A JP12029699 A JP 12029699A JP 12029699 A JP12029699 A JP 12029699A JP 3395891 B2 JP3395891 B2 JP 3395891B2
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は紙製のスピーカー用
振動板に関する。
振動板に関する。
【０００２】
【従来の技術】スピーカー用振動板は様々な材料で作ら
れている。例えば、ハードコーン用の材料としては、ジ
ュラルミンやチタニウム、ベリリウム及びそれらの合金
などがあり、また、ソフトドーム用のスピーカー用振動
板には、フェノール樹脂を含浸させた布製のものが用い
られており、さらに、特殊なパルプを用いた紙製の振動
板も公知である。
れている。例えば、ハードコーン用の材料としては、ジ
ュラルミンやチタニウム、ベリリウム及びそれらの合金
などがあり、また、ソフトドーム用のスピーカー用振動
板には、フェノール樹脂を含浸させた布製のものが用い
られており、さらに、特殊なパルプを用いた紙製の振動
板も公知である。
【０００３】しかしながら、これらのスピーカー用振動
板は比較的高価である。スピーカー用の振動板に一般的
な安価な製紙用のパルプを用いれば、その製造コストを
大幅に落とすことができるが、このような製紙用のパル
プを用いた振動板は、ヤング率が低いため、スピーカー
用振動板としては不向きであり、これを用いて構成した
スピーカーは性能が低く、実用的でない。
板は比較的高価である。スピーカー用の振動板に一般的
な安価な製紙用のパルプを用いれば、その製造コストを
大幅に落とすことができるが、このような製紙用のパル
プを用いた振動板は、ヤング率が低いため、スピーカー
用振動板としては不向きであり、これを用いて構成した
スピーカーは性能が低く、実用的でない。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
で大量に提供される一般の製紙用パルプを用いて高性能
の紙製のスピーカー用振動板を提供することにある。
で大量に提供される一般の製紙用パルプを用いて高性能
の紙製のスピーカー用振動板を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、一般の木
質繊維、即ち、製紙用パルプの中に菰白筍、即ち、菰竹
の繊維を混合して、抄紙し、これを用いてスピーカー用
振動板を成形、製造することによって達成される。菰白
筍の繊維の望ましい配合比は乾燥重量比で１５％以上、
２０％以下であるが、この前後の例えば１０％以上３０
％以下でも一定の効果がある。
質繊維、即ち、製紙用パルプの中に菰白筍、即ち、菰竹
の繊維を混合して、抄紙し、これを用いてスピーカー用
振動板を成形、製造することによって達成される。菰白
筍の繊維の望ましい配合比は乾燥重量比で１５％以上、
２０％以下であるが、この前後の例えば１０％以上３０
％以下でも一定の効果がある。
【０００６】しかしながら、菰白筍の繊維の配合比を１
０％以下とすると本発明の効果が十分でなくなり、反対
に、３０％以上としてもその効果は見られない。菰の茎
の先、つまり、菰角に黒穂病菌の一種のUstilage escul
enta P. Henningsが寄生すると、茎が筍を小さくしたよ
うな形に太って軟化し、花が出なくなる。この太って軟
化した部分がまこも竹であり、漢名で菰白筍と呼ばれる
ものである。この菰白筍は、台湾や中国大陸南部で栽培
され、食材として珍重されている。
０％以下とすると本発明の効果が十分でなくなり、反対
に、３０％以上としてもその効果は見られない。菰の茎
の先、つまり、菰角に黒穂病菌の一種のUstilage escul
enta P. Henningsが寄生すると、茎が筍を小さくしたよ
うな形に太って軟化し、花が出なくなる。この太って軟
化した部分がまこも竹であり、漢名で菰白筍と呼ばれる
ものである。この菰白筍は、台湾や中国大陸南部で栽培
され、食材として珍重されている。
【０００７】また、この菰角に寄生した黒穂病菌の胞子
は黒色の粉であり、これを絵の具の原料としたり、油脂
に混ぜて化粧の眉引きに使用されることもある。また、
その葉や茎で盂蘭盆のときの祭壇に敷くござを編んだ
り、中国では菰のネット果実には心臓病や利尿の効果が
あるとされ、薬として用いられている。現在、菰属Ziza
niaは四種類知られており、このうちの一種の菰が東ア
ジアに、残りの三種が北アメリカ東部に分布している。
は黒色の粉であり、これを絵の具の原料としたり、油脂
に混ぜて化粧の眉引きに使用されることもある。また、
その葉や茎で盂蘭盆のときの祭壇に敷くござを編んだ
り、中国では菰のネット果実には心臓病や利尿の効果が
あるとされ、薬として用いられている。現在、菰属Ziza
niaは四種類知られており、このうちの一種の菰が東ア
ジアに、残りの三種が北アメリカ東部に分布している。
【０００８】
【発明の実施の形態】以下、図面及び写真により本発明
の詳細を説明する。図１は本発明に係る紙製のスピーカ
ー用振動板の製造工程を示すフローチャート、図２は本
発明に係る紙製のスピーカー用振動板が用いられるスピ
ーカーの構造を示す断面図、図３は本発明に係る紙製の
スピーカー用振動板を用いたスピーカーの特性を示す減
衰特性図、図４は公知の紙製スピーカー用振動板を用い
たスピーカーの特性を示す減衰特性図であり、図５は本
発明に係るスピーカー用振動板の組織を示す拡大写真図
であり、図６は公知の紙製のスピーカー用振動板の組織
を示す拡大写真図である。
の詳細を説明する。図１は本発明に係る紙製のスピーカ
ー用振動板の製造工程を示すフローチャート、図２は本
発明に係る紙製のスピーカー用振動板が用いられるスピ
ーカーの構造を示す断面図、図３は本発明に係る紙製の
スピーカー用振動板を用いたスピーカーの特性を示す減
衰特性図、図４は公知の紙製スピーカー用振動板を用い
たスピーカーの特性を示す減衰特性図であり、図５は本
発明に係るスピーカー用振動板の組織を示す拡大写真図
であり、図６は公知の紙製のスピーカー用振動板の組織
を示す拡大写真図である。
【０００９】本発明に係るスピーカー用振動板を製造す
るときは、図１に示されているように、１５ないし２０
重量％の菰白筍の葉又は茎の繊維と、８５ないし８０％
の通常の木質繊維、即ち、製紙用パルプを混合し、これ
を抄紙した後、図２に示されたような振動板１の形状に
成形するものである。この製紙用パルプと混合される菰
白筍の茎又は葉から繊維は、公知の樹皮等から繊維を取
り出す方法と同様にして得ることができる。図２におい
て、１は振動板、２はフレーム、３はボイスコイル３１
を備えた駆動部、４はマグネット４１、ヨーク４２、ポ
ールピース４３からなる磁気回路である。
るときは、図１に示されているように、１５ないし２０
重量％の菰白筍の葉又は茎の繊維と、８５ないし８０％
の通常の木質繊維、即ち、製紙用パルプを混合し、これ
を抄紙した後、図２に示されたような振動板１の形状に
成形するものである。この製紙用パルプと混合される菰
白筍の茎又は葉から繊維は、公知の樹皮等から繊維を取
り出す方法と同様にして得ることができる。図２におい
て、１は振動板、２はフレーム、３はボイスコイル３１
を備えた駆動部、４はマグネット４１、ヨーク４２、ポ
ールピース４３からなる磁気回路である。
【００１０】これらは振動板１の組成を除き、公知のも
のと相違がないからこれらの説明は省略する。写真１お
いて、矢印で示したされているのが菰白筍の繊維であ
り、この写真１では、菰白筍の繊維が非常に細長く、通
常のパルプの粗い繊維に絡まっている様子が示されてい
る。このため、紙のヤング率が高められ、スピーカーの
性能を向上させる効果がある。一方、写真２では、通常
のパルプの粗い繊維が絡まっている様子が示されている
が、このような紙は、そのヤング率が低く、スピーカー
の振動板としてはふさわしくない。
のと相違がないからこれらの説明は省略する。写真１お
いて、矢印で示したされているのが菰白筍の繊維であ
り、この写真１では、菰白筍の繊維が非常に細長く、通
常のパルプの粗い繊維に絡まっている様子が示されてい
る。このため、紙のヤング率が高められ、スピーカーの
性能を向上させる効果がある。一方、写真２では、通常
のパルプの粗い繊維が絡まっている様子が示されている
が、このような紙は、そのヤング率が低く、スピーカー
の振動板としてはふさわしくない。
【００１１】
【実施例】台湾の工業技術研究院工業材料研究所による
測定結果を以下に示す。なお、この測定は３０℃の環境
下で行われた。 実施例 菰白筍繊維１５ないし２０％を含むスピーカー用振動板
の用紙の物性値は以下のとおりである。 平均密度（ρ）：0.45×103 kg/m3 ヤング率（Ｅ）：757 Mpa（757×106 kg/m3） 音波伝達速度（Ｅ/ρ）0.5：1,297 m/s 内部損失tanδ：0.067
測定結果を以下に示す。なお、この測定は３０℃の環境
下で行われた。 実施例 菰白筍繊維１５ないし２０％を含むスピーカー用振動板
の用紙の物性値は以下のとおりである。 平均密度（ρ）：0.45×103 kg/m3 ヤング率（Ｅ）：757 Mpa（757×106 kg/m3） 音波伝達速度（Ｅ/ρ）0.5：1,297 m/s 内部損失tanδ：0.067
【００１２】比較例
通常のパルプのみからなるスピーカー用振動板の用紙の
物性値 平均密度（ρ）：0.38×103 kg/m3 ヤング率（Ｅ）：371 Mpa（371×106 kg/m3） 音波伝達速度（Ｅ/ρ）0.5：988 m/s 内部損失tanδ：0.069
物性値 平均密度（ρ）：0.38×103 kg/m3 ヤング率（Ｅ）：371 Mpa（371×106 kg/m3） 音波伝達速度（Ｅ/ρ）0.5：988 m/s 内部損失tanδ：0.069
【００１３】これらの数値から菰白筍を含む用紙はスピ
ーカー用振動板として優れた特性を有するものであるこ
とが判明する。実施例及び比較例の用紙を用いて製造し
たスピーカー用振動板を用いたスピーカーの特性が図３
及び図４に示されている。これらの特性も前記の工業技
術研究院工業材料研究所によるものである。
ーカー用振動板として優れた特性を有するものであるこ
とが判明する。実施例及び比較例の用紙を用いて製造し
たスピーカー用振動板を用いたスピーカーの特性が図３
及び図４に示されている。これらの特性も前記の工業技
術研究院工業材料研究所によるものである。
【００１４】これらの図から、図４に示された通常のパ
ルプのみからなる振動板を用いたスピーカーでは、その
減衰時間が８msであるのに対し、本発明に係る振動板を
用いたスピーカーでは、その減衰時間が約３msであるこ
とが判明する。これらの数値は、本発明に係る紙製のス
ピーカー用振動板を用いれば、極めて音質のよいスピー
カーを極めて安価に提供できることを示すものである。
ルプのみからなる振動板を用いたスピーカーでは、その
減衰時間が８msであるのに対し、本発明に係る振動板を
用いたスピーカーでは、その減衰時間が約３msであるこ
とが判明する。これらの数値は、本発明に係る紙製のス
ピーカー用振動板を用いれば、極めて音質のよいスピー
カーを極めて安価に提供できることを示すものである。
【００１５】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されるので、
本発明によるときは、極めて音質のよいスピーカーを極
めて安価に提供できるようになる。
本発明によるときは、極めて音質のよいスピーカーを極
めて安価に提供できるようになる。
【図１】本発明に係る紙製のスピーカー用振動板の製造
工程を示すフローチャートである。
工程を示すフローチャートである。
【図２】本発明に係る紙製のスピーカー用振動板が用い
られるスピーカーの構造を示す断面図である。
られるスピーカーの構造を示す断面図である。
【図３】本発明に係る紙製のスピーカー用振動板を用い
たスピーカーの特性を示す減衰特性図である。
たスピーカーの特性を示す減衰特性図である。
【図４】公知の紙製スピーカー用振動板を用いたスピー
カーの特性を示す減衰特性図である。
カーの特性を示す減衰特性図である。
【図５】本発明に係るスピーカー用振動板の組織を示す
拡大写真図である。
拡大写真図である。
【図６】公知の紙製のスピーカー用振動板の組織を示す
拡大写真図である。
拡大写真図である。
【符号の説明】
１ 振動板
２ フレーム
３ 駆動部
３１ ボイスコイル
４ 磁気回路
４１ マグネット
４２ ヨーク
４３ ポールピース
Claims (3)
- 【請求項１】菰白筍の繊維を含有することを特徴とする
紙製のスピーカー用振動板。 - 【請求項２】菰白筍の繊維の配合比が重量比で１５％以
上、２０％である請求項１に記載の紙製のスピーカー用
振動板。 - 【請求項３】菰白筍以外の繊維が通常の製紙用パルプで
ある請求項１又は２に記載の紙製のスピーカー用振動
板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12029699A JP3395891B2 (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | 紙製のスピーカー用振動板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12029699A JP3395891B2 (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | 紙製のスピーカー用振動板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000324591A JP2000324591A (ja) | 2000-11-24 |
| JP3395891B2 true JP3395891B2 (ja) | 2003-04-14 |
Family
ID=14782734
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12029699A Expired - Fee Related JP3395891B2 (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | 紙製のスピーカー用振動板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3395891B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN106817658A (zh) * | 2017-01-12 | 2017-06-09 | 瑞声科技(沭阳)有限公司 | 振膜及发声器件 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8199964B2 (en) | 2006-02-20 | 2012-06-12 | Panasonic Corporation | Speaker diaphragm, speaker dust cap, speaker sub-cone, speaker using these components, and electronic apparatus using the same |
| US8122996B2 (en) | 2006-12-22 | 2012-02-28 | Panasonic Corporation | Diaphragm for speaker, frame for speaker, dust cap for speaker, speaker and apparatus using them, and method for manufacturing component for speaker |
| US8172035B2 (en) | 2008-03-27 | 2012-05-08 | Bose Corporation | Waterproofing loudspeaker cones |
| US7913808B2 (en) | 2008-03-27 | 2011-03-29 | Bose Corporation | Waterproofing loudspeaker cones |
| JP5470761B2 (ja) * | 2008-07-07 | 2014-04-16 | パナソニック株式会社 | スピーカ用振動板およびこれを用いたスピーカならびにこのスピーカを用いた電子機器および装置と、前記スピーカ用振動板の製造方法 |
| JP5309756B2 (ja) * | 2008-07-25 | 2013-10-09 | パナソニック株式会社 | スピーカ用振動板およびこれを用いたスピーカならびにこのスピーカを用いた電子機器および装置 |
| WO2010010701A1 (ja) * | 2008-07-25 | 2010-01-28 | パナソニック株式会社 | スピーカ用振動板、スピーカ、スピーカ用振動板の製造方法 |
| JP6074584B2 (ja) | 2012-01-25 | 2017-02-08 | パナソニックＩｐマネジメント株式会社 | 高アスペクト比幅狭型振動板または薄型振動板の製造方法と、この製造方法で製造されたスピーカ用振動板、スピーカ、電子機器、移動体装置。 |
-
1999
- 1999-04-27 JP JP12029699A patent/JP3395891B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN106817658A (zh) * | 2017-01-12 | 2017-06-09 | 瑞声科技(沭阳)有限公司 | 振膜及发声器件 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000324591A (ja) | 2000-11-24 |
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