JP5321617B2 - スピーカ用振動板およびこれを用いたスピーカならびにこのスピーカを用いた電子機器および装置 - Google Patents

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Description

本発明は各種音響機器や映像機器に使用されるスピーカ用振動板やこれを用いたスピーカおよびステレオセットやテレビセット等の電子機器および自動車等の装置に関するものである。
昨今のオーディオ業界や、オーディオ機器を搭載した自動車業界では、デジタル機器の普及により、スピーカから再生される音質は、飛躍的に向上した。これらの業界でのスピーカに対するトレンドは高音質化、軽量化、環境調和型である。高音質化では、ユーザニーズである音質的要求を実現させるため、その音質を決定するウエイトの高いスピーカの構成部品である振動板の開発が急務である。
この振動板の開発は、より精度高く音質を制御できる利点があるという理由から、抄紙振動板を中心に進められている。これら抄紙振動板に用いられる材料であるパルプは、従来より針葉樹から叩解工程を経て得られたクラフトパルプが使用されており、針葉樹不足に拍車をかける状態である。よって、今後は地球環境に優しい材料の使用が必要不可欠となってきている。尚、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2000−324591号公報
針葉樹から得られたクラフトパルプを使用した紙振動板を中心とする抄紙振動板は、金属材料や樹脂材料から構成される振動板と比較すると、一般的にその材質上、剛性が低くなるという傾向を有するものであった。
このため、従来の紙振動板は材料的な剛性向上が困難であり、この振動板を使用したスピーカは、高音質化の1つである高明瞭度な再生化や、大出力化、高信頼性化に不利であるという課題を有するものであった。
本発明は前記課題を解決し、振動板の材料剛性を向上させ、スピーカとして高音質化を図り、大出力化、高信頼性化をも可能とするスピーカ用振動板を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも竹齢1年以上の竹から得られた竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした材料を含み、竹繊維中のリグニン含有量を6%以上15%以下として抄紙してスピーカ用振動板を構成したものである。
この構成とすることにより、竹齢1年以上経過、成長して剛性や強靭性を有する竹から得られた竹繊維を、その叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくして、竹繊維中のリグニン含有量を6%以上15%以下として抄紙することで、他の材料との絡み合いを良好化して、スピーカ用振動板に十分な剛性や強靭性を与えることができる。
よって、スピーカ用振動板の材料物性を向上させることができ、剛性やヤング率の向上を図ることができる。
以上のように本発明は、竹齢1年以上経過、成長した竹から得られた竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした材料を含み、竹繊維中のリグニン含有量を6%以上15%以下として抄紙してスピーカ用振動板を構成したものであり、振動板の剛性や強靭性、ヤング率を向上させ、この振動板を用いたスピーカの高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を図ることができる。
さらに、本発明は安価で地球環境に優しいスピーカ用の抄紙振動板を提供することができる。
本発明の一実施の形態におけるスピーカ用振動板の断面図 本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図 本発明の一実施の形態における電子機器の外観図 本発明の一実施の形態における装置の断面図
現在、スピーカ用の抄紙振動板として用いられる材料は、針葉樹が中心であり、世界の針葉樹不足に拍車をかける状態である。
一方、竹については、その旺盛な繁殖力と迅速な成長性から、種類、量ともに世界中に非常に多く存在し、特定地域においては竹林が拡大したあげく竹害が叫ばれる状況である。
竹は針葉樹に比べてその成長が非常に速く、筍のレベルである竹齢がおおむね1年以内であるものは剛性に乏しく強靭性も備わっていないが、1年以上経過すれば剛性、強靭性を備えた安定した物性を有するようになる。
それ故に、針葉樹と比較すると成長速度が桁違いに速く、誕生するとすぐに食用等に利用できるという利点を有する。
さらに、伐採してもすぐにもとの竹林が再生されるという利点も備えており、針葉樹林伐採のように地球環境に悪影響を与える状況には至らない。
むしろ増え過ぎた竹林を伐採して竹害をなくすことが、地球環境にとって望ましい状況になる。
これらの竹は、古くからその用途開発が進められてはきているが、竹齢1年以内の筍や幼稈レベルのものは、その柔らかさや加工の容易性から食用等や材料面で多方面に利用されることが多かった。
しかしながら、竹齢1年以上経過した剛性の高い成長した竹については、その剛性による加工の困難性から、一部の建築用材料や竹細工等にしかその利用方法が見出せず、需要の低迷とともにその用途開発が急がれるものであった。
スピーカ用の抄紙振動板への応用については、竹繊維の解繊の容易性から竹齢1年以内の筍や幼稈レベルのものについて取組まれ、ある程度の効果を上げてはいるものの、スピーカ用の抄紙振動板の中心になるまでには至らなかった。
この理由としては、本来の竹繊維の特長を発揮させるには、柔らかく加工が容易な竹齢1年以内の筍や幼稈レベルのものを使用するよりも、竹齢1年以上経過し剛性や強靭性を有する成長した竹繊維を使用するのが効果的であるが、成長した竹の繊維を上手く解繊することが技術的に困難であったために、本来の竹繊維の特長を活かしきる振動板が生産できず、トレンドとする音質的要求を満足させることができなかったためである。
ところが、昨今の針葉樹不足による砂漠化等の地球環境問題から、針葉樹に替わる繊維の開発が課題となっていた。
また、抄紙技術についても、新しい材料の叩解技術が開発され、従来では困難とされていた材料でもその特長を活かした振動板に抄紙形成することができるようになってきた。
以上の背景から、竹齢1年以上経過、成長した竹繊維を主体とした本発明の実施の形態について、以下図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるスピーカ用振動板の断面図を示したものである。
図1に示すように、27は竹齢1年以上の竹から得られた竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした材料を含んで抄紙してスピーカ用振動板を構成したものである。
ここで、ミクロフィブリル化は、平均繊維径を5μmより小さくして、さらにL/D(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましい。
ミクロフィブリル化の平均繊維径は、より小さいことが好ましく、小さくすることで、繊維の絡み合いを良好化させることが可能となる。
また、L/D(平均繊維長/平均繊維径)に関しても、より大きいことが好ましく、大きくすることで繊維の絡み合いを良好化させることが可能となる。
そして、叩解に要する時間は長く必要となるが、叩解度を平均繊維径が1μm以下としたり、さらには500nm以下とすることで、より大きな効果を発揮させることが可能となる。
平均繊維径が、5μmより大きい場合は、スピーカ用振動板に竹繊維としての特長を出すことは可能であるが、繊維の絡み合いを強化させるという力は不足する傾向にある。
竹齢1年以上経過、成長した竹繊維は、剛性や強靭性を有し、紙パルプとの相性がよく振動板の剛性や強靭性、ヤング率の向上を図ることができる。
この竹繊維を、ミクロフィブリル状態まで小さく叩解して抄紙した構成としているため、紙パルプとの絡み合いをさらに良好化し、振動板に十分な剛性と強靭性を与え、ヤング率を向上させることができる。
ここでいう竹繊維は、竹科の植物であれば特に制約はなく、竹齢1年以内の筍や幼稈レベルのものを除く竹齢1年以上経過、成長した竹であれば良い。
そして竹齢については、1年以上の経過で本発明に必要な剛性や強靭性を最低限確保できるが、2年以上の経過であればさらに剛性や強靭性が向上し、さらに3年以上の経過であればそれ以上に剛性や強靭性が向上する。
竹齢については、老いて朽ちる状態を除けば、前述のように、竹齢が大きい方がより好ましい。
そして、音質的な特長として、高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得ることができる。
一方、低音域においても、締りの良い重低音を再生することができる。
全体としては、明瞭度の高い、輪郭のはっきりした音像定位の良好な優れた音質とすることができる。
さらに、別の効果として、紙パルプ単体から構成された振動板と比較すると、振動板の強靭性が向上し、品質面や信頼性面においても優れた振動板とすることができる。
よって、この振動板を用いたスピーカの高耐入力化や、自動車用スピーカとして重要な耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができる。
よって、この振動板を用いたスピーカの高音質化を図り、大出力化、高信頼性化を図ることができる。
さらに、本発明は安価で地球環境に優しいスピーカ用の抄紙振動板を提供することができる。
また、このスピーカ用振動板は、叩解度を大きくした竹繊維材料と混抄することで、さらに竹繊維本来の特長を発揮させることができる。
ここで、叩解度を大きくした竹繊維材料は、平均繊維径が5μm以上30μm以下とすることが好ましい。
さらに、この平均繊維径が5μm以上30μm以下の竹繊維を40wt%以上含むように構成することで、竹繊維本来の性能を顕著に発揮させることができる。
ここで、平均繊維径が5μmより小さくなると、前述のミクロフィブリル状態となり、コスト的に非常に高いものとなる。
また、30μmより大きくなると、竹繊維本来の特長が発揮されにくくなる。
同様に、竹繊維の含有比率を40wt%より少なくすると、竹繊維本来の特長が発揮されにくくなる。
さらに、竹繊維以外の材料を含んでいても、竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした材料と混抄することで、結合力が強化され竹繊維の特長を発揮させることができる。
もちろん、従来の抄紙振動板の主体材料であった針葉樹と混抄しても良く、結合力が強化され竹繊維の特長を発揮させることができる。
竹繊維以外の材料を含む場合は、竹繊維を40wt%以上含むように構成することで、竹繊維本来の性能を顕著に発揮させることができる。
そして、平均繊維径が5μmより小さいミクロフィブリル化した竹繊維については、0.5wt%以上20wt%以下の含有量とすることで、他の材料との絡み合いを良好化し、材料どうしの結合力を高め竹繊維を含有した振動板の物性値をより良い状態にすることができる。
ここで、平均繊維径が5μmより小さいミクロフィブリル化した竹繊維を、0.5wt%より少なくすると、本来の結合力が発揮されず、一方20wt%より多くすると、コスト的に非常に高いものとなる。
以上、振動板の材料について説明したが、次に振動板の添加剤について説明する。
竹繊維を含有した振動板に適する添加剤として、ポリ乳酸、生ゴム、ポリビニルアルコール等があり、これらの添加剤を添加することでさらに竹繊維本来の性能を顕著に発揮させることができる。
ポリ乳酸やポリビニルアルコールは、竹繊維のセルロースと相性が良好で竹繊維の表面に定着しやすい。
また、内部損失を高める効果もあるため、スピーカとしての周波数特性を良好なものとすることができる。
特に、ポリ乳酸は生分解性プラスチックであり、竹繊維とポリ乳酸とから構成される振動板は、環境調和型の振動板となり地球環境に優しいスピーカ用の抄紙振動板とすることができる。
ここで、ポリ乳酸は1wt%以上20wt%以下の含有量とすることで、大きな効果を発揮させることができる。
ポリ乳酸が1wt%より小さい場合は本来の竹繊維への定着力が発揮されにくく、一方20wt%より多い場合はコスト的に非常に高いものとなる。
一方、ポリビニルアルコールは2wt%以上8wt%以下の含有量とすることで、大きな効果を発揮させることができる。
ポリビニルアルコールが2wt%より小さい場合は本来の竹繊維への定着力が発揮されにくく、一方8wt%より多い場合はコスト的に非常に高いものとなる。
生ゴムについても内部損失を高める効果があり、スピーカとしての周波数特性を良好なものとすることができ、低歪化を図ることができるとともに音質面についても良好なものとすることができる。
以上、振動板の添加剤について説明したが、次に振動板の着色について説明する。
振動板の着色については、デザイン面からの要求等でさまざまな色に着色されるが、この着色剤としては一般的に顔料や染料を使用して着色している。
ところが、一般的に使用されている顔料や染料は、スピーカ用振動板としての物性値を低下させてしまうものが多かった。
このため、デザイン面は良好なものにすることはできても、スピーカとしての周波数特性や低歪化さらには音質面が犠牲になってしまうことが多かった。
さらに、環境的に良くない成分を含有する着色剤も多く存在し、環境汚染に拍車をかけるものでもあった。
スピーカ用振動板として着色を実施する色については、一般的には黒系色が多い。
これに対して、竹繊維は一般的に淡い黄系色や淡い茶系色、淡い緑系色が多く、アースカラーやナチュラルカラーとして環境面でデザイン的に好印象を与えることができる。
また、黒系色等の暗い色よりもむしろ黄系色等の淡い色に仕上げることが、より美しく存在感をアピールすることができ、外観品位を向上させることができる。
さらに、着色してからの経時変化についても、本来の色に近い色であるために、変色しにくく安定した外観を長期的に保持することができる。
以上のように、着色については暗い色が多いスピーカ用振動板の中で、黄系色等のような淡白な色彩とすることができるため、デザイン的にインパクトのある振動板とすることができる。
よって、プレミアムモデルと称される一部の高級品クラスのスピーカにおいては、色彩的アピールを実現することができる。
そして、着色工程にかかる時間と材料を削除することができ、スピーカ用振動板として低コスト化を図ることが可能となる。
さらに、着色に関連する種々の不良も発生することがないため、品質向上にも寄与できる。
よって、着色剤を使用しない振動板とすることで、竹繊維本来の色彩と性能を顕著に発揮させることができる。
また、着色剤の中でも顔料がスピーカ用振動板としての物性値を低下させてしまう効果が大きいことから、顔料を使用しない振動板とすることで竹繊維本来の色彩と性能を顕著に発揮させることができる。
以上のように、着色剤特に顔料を使用しない振動板とすることで振動板としての物性値を維持できるとともに、着色に関連する不良の発生をなくし、変色や脱色等の外観不良を低減させることができ、竹繊維本来の色彩をデザイン的にアピールすることができる。
よって、竹繊維本来の色彩的特長と環境的特長を訴求することができるとともに、竹繊維本来の性能を劣化させることなく顕著に発揮させることができる。
さらに、竹繊維中のリグニン含有量が6%以上15%以下とすることにより、前述の特長を良好な状態で発揮させることができる。
この理由としては、通常竹繊維は元々45%前後のセルロース、25%程度のヘミセルロース、25%程度のリグニンから形成されている。
しかしながら、化学的蒸解等のパルプ化時に通常5%以下になってしまう。
リグニン含有量が6%より少なくなると、竹繊維の良さである剛直性が失われる。
また、15%より多くなると、抄紙前の叩解工程での分散性が悪くなるとともに、サイズ剤等を使用したときの定着性が悪くなる。
ここでのリグニン含有量の測定は、公知の硫酸法での値である。
尚、本発明の振動板は公知の顔料、染料、サイズ剤、紙力剤等の使用を制限するものではない。
次に、本発明の実験結果について説明する。
当実験は、針葉樹と、叩解度の大きい竹繊維と、叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維とを各々の材料の配合比を設定して抄紙を形成し、この振動板のヤング率を計測するとともに、この振動板を用いて口径12cmのフルレンジスピーカを作成し、数人の評価者により音質を評価したものである。
実験結果を表1に示す。
尚、音質評価については音質の明瞭度を中心に評価するものとし、従来品である針葉樹パルプ100%のものをベースとし、これを1点とし、最高点を10点に設定して10段階評価とした。
実験結果より全体としていえることは、ベースである針葉樹パルプ100%のものに比べ、竹繊維を混抄または竹繊維のみとすることは、ヤング率が向上し、この向上度合いに応じて音質の明瞭度という観点から評価した場合の音質評価は優れたものとなる。
そして、この傾向は竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくしたものを配合することにより、さらに顕著にその傾向が現われ、前述した説明を裏付ける結果となっている。
また、これらの材料配合比や繊維径、繊維長についても前述した説明を裏付ける結果となっている。
Figure 0005321617
以上の結果、スピーカ用振動板に竹繊維を混抄または竹繊維のみとすることで、音質の明瞭度が飛躍的に向上し、特に高音域の音がクリアで、はりのあるものとなった。
特に、叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維を多く混抄したものについては、音質の明瞭度が過度に向上するため、スピーカの軸上での試聴を想定した場合は、耳当り改善のため別途音色の設計の必要性を感じるほどである。
さらに、音圧周波数特性もフラットに近く、中高域の音圧レベルが向上する結果となった。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明について説明する。
図2は、本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図を示したものである。
図2に示すように、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。
この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。このフレーム26の周縁部に、請求項1から請求項11記載のいずれか1つの振動板27の外周をエッジ29を介して接着している。そして、この振動板27の中心部にボイスコイル28の一端を結合するとともに、反対の一端を上記磁気回路24の磁気ギャップ25にはまり込むように結合して構成している。
以上は、内磁型の磁気回路24を有するスピーカについて説明したが、これに限定されず、外磁型の磁気回路を有するスピーカに適用しても良い。
さらに、振動板27とエッジ29とが一体化された小型スピーカについても適用することも可能である。
この構成により、実施の形態1において説明したように、十分な剛性と強靭性を有する振動板を用いてスピーカを構成することで、高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得ることができる。
そして、低音域においても、締りの良い重低音を再生することができる。
全体としては、明瞭度の高い、輪郭のはっきりした音像定位の良好な優れた音質とすることができる。
さらに、歪感も低減したような音色を実現することができる。
以上のように、従来から抄紙振動板としての主体であった針葉樹からなる材料同様、本発明による竹繊維を含んだ振動板は天然材料であり、この天然素材の持つ耳当りが良好で素性の良い音色を活かした音つくりが可能となる。
そして、合成材料や金属材料のような特異な音質的キャラクターや独特の共振による音色の画一性に支配されることがなく、素直で自然な音つくりを実現することができる。
よって、スピーカを供給する分野を選択することなく、広くあらゆる分野のスピーカの音つくりに展開することができる。
また別の効果として、紙パルプ単体から構成された振動板と比較すると、振動板の強靭性が向上し、品質面や信頼性面においても優れた振動板とすることができる。
よって、この振動板を用いたスピーカの高耐入力化や、自動車用スピーカとして重要な耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができる。
よって、品質面や信頼性面においても優れたスピーカとすることができる。
さらに、環境面やコスト面に関しても大きく寄与することができる。
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態における電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステムの外観図を示したものである。
図3に示すように、本発明のスピーカ30をエンクロジャー41に組込んで、スピーカシステムを構成し、このスピーカに入力する電気信号の増幅手段であるアンプ42と、このアンプ42に入力されるソースを出力するプレーヤ43とを備えて、電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステム44を構成したものである。
この構成とすることにより、従来では実現できなかった高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得るミニコンポシステムを実現することができる。
さらに、高耐入力化や、耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができるスピーカシステムを実現することができる。
よって、品質面や信頼性面においても優れたミニコンポシステムとすることができる。
さらに、環境面やコスト面に関しても大きく寄与することができる。
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態における装置である自動車50の断面図を示したものである。
図4に示すように、本発明のスピーカ30をリアトレイやフロントパネルに組込んで、カーナビゲーションやカーオーディオの一部として使用して自動車50を構成したものである。
この構成とすることにより、スピーカ30の高音域での音圧レベルを向上させることができ、高音域においてクリアで迫力がある音質を得ることができる。
さらに、高耐入力化や、自動車用スピーカとして重要な耐湿信頼性に代表される各種信頼性を向上させることができ、また、外観的にも美しく、着色してからの経時変化についても、変色しにくく、安定した外観を長期的に保持することができる。
よって、品質面や信頼性面においても優れたものとすることができ、このスピーカ30を搭載した自動車等の装置の性能や品質を向上させることができる。
さらに、環境面やコスト面に関しても大きく寄与することができる。
本発明にかかるスピーカ用振動板、スピーカ、電子機器および装置は、剛性の高い振動板による音質や特性の向上や高音域での音圧レベル向上等の明瞭度の向上、さらには良好な外観や高い品質および信頼性が必要な映像音響機器や情報通信機器等の電子機器、さらには自動車等の装置に適用できる。
21 マグネット
22 上部プレート
23 ヨーク
24 磁気回路
25 磁気ギャップ
26 フレーム
27 振動板
28 ボイスコイル
29 エッジ
30 スピーカ
41 エンクロジャー
42 アンプ
43 プレーヤ
44 ミニコンポシステム
50 自動車

Claims (19)

  1. 竹繊維の叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした材料を含んで抄紙したスピーカ用振動板であって、前記スピーカ用振動板は、前記竹繊維中のリグニン含有量を6%以上15%以下としたスピーカ用振動板。
  2. 竹繊維の叩解度を大きくした竹繊維材料を、さらに含んで抄紙した請求項1記載のスピーカ用振動板。
  3. 叩解度を大きくした竹繊維材料は、平均繊維径が5μm以上30μm以下とした請求項2記載のスピーカ用振動板。
  4. 叩解度を大きくした竹繊維を40wt%以上含む請求項1または請求項2記載のスピーカ用振動板。
  5. 叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維材料は、平均繊維径を5μmより小さくした請求項1または請求項2記載のスピーカ用振動板。
  6. 叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維材料は、平均繊維径を1μm以下とした請求項1または請求項2記載のスピーカ用振動板。
  7. 叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維材料は、平均繊維径を500nm以下とした請求項1または請求項2記載のスピーカ用振動板。
  8. 叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維材料を0.5wt%以上20wt%以下含む請求項1記載のスピーカ用振動板。
  9. 叩解度をミクロフィブリル状態まで小さくした竹繊維の平均繊維長/平均繊維径が10以上である請求項記載のスピーカ用振動板。
  10. ポリ乳酸を含んで構成した請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のスピーカ用振動板。
  11. 生ゴムを含んで構成した請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のスピーカ用振動板。
  12. ポリビニルアルコールを含んで構成した請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のスピーカ用振動板。
  13. ポリ乳酸を1wt%以上20wt%以下含有した請求項10記載のスピーカ用振動板。
  14. ポリビニルアルコールを2wt%以上8wt%以下含有した請求項12記載のスピーカ用振動板。
  15. 着色剤を使用しない請求項1から請求項14のいずれか1つに記載のスピーカ用振動板。
  16. 顔料を使用しない請求項1から請求項14のいずれか1つに記載のスピーカ用振動板。
  17. 磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された請求項1または請求項2記載の振動板と、この振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルとからなるスピーカ。
  18. 請求項17記載のスピーカと、少なくともこのスピーカへの入力信号の増幅回路とを備えた電子機器。
  19. 請求項17記載のスピーカを移動手段に備えた装置。
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