JP3395181B2 - 造血幹細胞増加剤 - Google Patents

造血幹細胞増加剤

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JP3395181B2 JP50346393A JP50346393A JP3395181B2 JP 3395181 B2 JP3395181 B2 JP 3395181B2 JP 50346393 A JP50346393 A JP 50346393A JP 50346393 A JP50346393 A JP 50346393A JP 3395181 B2 JP3395181 B2 JP 3395181B2
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hematopoietic stem
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龍俊 中畑
徹夫 久保
竜平 田中
源 河野
哲央 須藤
恵海子 佐野
勝明 児島
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/475Growth factors; Growth regulators
    • C07K14/4753Hepatocyte growth factor; Scatter factor; Tumor cytotoxic factor II
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は造血幹細胞増加剤に関するものである。特に
本発明は未分化の多能性造血幹細胞の増殖活性を有する
造血幹細胞増加剤に関する。本発明によれば抗癌剤使用
後や骨髄移植後の骨髄抑制を回復するための治療剤又は
再生不良性貧血や骨髄異形成症候群等の骨髄機能不全に
対する治療剤が提供される。さらに、この造血幹細胞増
加活性を有する造血因子は、末梢血幹細胞及び骨髄幹細
胞のin vitroでの増殖剤等として使用して有用な試薬
となるほか、分析用の試薬や抗体作製用の抗原としても
有用である。
本発明は、さらに新規な造血幹細胞増加活性を有し、
肝細胞増殖因子類に属するタンパク質を提供することに
も関する。
背景技術 最近、未分化の多能性造血幹細胞から成熟血球に至る
分化の過程には、数多くの造血因子が種々のレベルで相
互に関与し、複雑な造血系ネットワークを形成している
ことが分かってきた。また、これら造血因子の殆どのも
のは遺伝子クローニングされ、現在、いくつかの造血因
子については遺伝子組換え技術により大量生産され、臨
床応用が進められている。一方、未分化の多能性造血幹
細胞は自己複製能(増殖)を有することを特徴としてい
るが、骨髄において未分化の多能性造血幹細胞に働く増
殖因子については十分に解明されていない。
骨髄における多能性造血幹細胞の増殖や成熟細胞への
分化には骨髄ストローマ細胞が中心的な働きを果たして
いることが知られており、ストローマ細胞が分泌する何
等かの液性因子あるいは細胞間相互作用等が骨髄におけ
る造血に関与していると考えられる。
例えば、C57B1/6新生児マウスの頭蓋冠から樹立され
た骨髄ストローマ細胞MC3T3/G2/PA−6(PA−6)細胞
がマウスの多能性造血幹細胞の増殖を支持する事が知ら
れている[Kodama H.et al.:J.Cell.Physiol.,112,89
(1982)]。
近年、多能性幹細胞に発現しているチロシンキナーゼ
レセプターであるc−kitタンパク質に対するリガンド
が未分化の幹細胞の増殖に関与する因子として注目さ
れ、その実体解明の研究が精力的に行われてきたが、19
90年に3つのグループがその遺伝子クローニングに成功
し、SCF[stem cell factor;K.M.Zsebo et.al.:Cel
l,63,195−201(1990)]、MGF[mast cell growth
factor;D.E.Williams et.al.:Cell,63,167−174(199
0)]、およびKL[c−kit ligand:;Huang et.al.:Ce
ll,63,225−233(1990)]として報告された。
現在、遺伝子組換え技術により大量生産されたc−ki
tリガンドを使い、その作用の解析が進められている
が、これまでの研究ではこの因子はある程度分化した幹
細胞に作用する事がわかりつつある[Hayashi et.al.:
Int.J.Hematology,Suppl.No.1,p198(1991)]。
従って、このタンパク質の他に骨髄において、もっと
未分化の多能性造血幹細胞に働く因子が存在すると考え
られている。
この様な活性を有する造血因子は、抗癌剤使用後や骨
髄移植後の骨髄抑制を回復するための治療剤又は再生不
良性貧血や骨髄異形成症候群等の骨髄機能不全に対する
治療剤として、有用な医薬品となる。
さらに、この様な活性を有する造血因子は、末梢血幹
細胞及び骨髄幹細胞のin vitroでの増殖剤として有用
な試薬となるほか、分析様の試薬や抗体作製用の抗原と
しても有用である。
発明の開示 本発明は肝細胞増殖因子を有効成分として含有する造
血幹細胞増加剤を提供することを目的とする。特には、
本発明は未分化の多能性造血幹細胞の増殖活性を有する
造血幹細胞増加剤を提供することを目的とする。この造
血幹細胞増加剤は結果的には種々の血液細胞ばかりでな
く造血幹細胞の子孫である破骨細胞の増殖も促進する。
この造血幹細胞増加剤は肝細胞増殖因子に加えて、有効
成分として更にインターロイキン3及び/またはインタ
ーロイキン7を含有するものであってよい。
本発明は更に、造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増
殖因子類に属する新規タンパク質を提供することをも目
的とする。特に、このようなタンパク質はヒト線維芽細
胞の培養液から得られるし、あるいはヒト線維芽細胞を
遺伝子供給源として遺伝子組換え法よって得ることもで
きる。本発明では特に、肝細胞増殖因子であって、配列
表の配列番号2に示したアミノ酸配列を含むタンパク質
である組換えヒト肝細胞増殖因子タンパク質を提供する
ことを目的とする。それはヒト正常線維芽細胞由来であ
って、より正常型であって好ましいと考えられる。本発
明に従えば、造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増殖因
子類に属するタンパク質あるいはその同効物のアミノ酸
配列をコードする塩基配列を含むことを特徴とするDN
A、そのコード塩基配列を発現可能に組み込んでなる組
換え発現ベクター、その発現ベクターにより宿主細胞を
形質転換することにより得られた形質転換体、更にはそ
の形質転換体を、栄養培地中該タンパク質が発現可能な
条件下に培養して、該培養物から造血幹細胞増殖活性を
持ち、肝細胞増殖因子類の一つであって、組換えヒト肝
細胞増殖因子であるタンパク質を採取することを特徴と
する組換えヒト肝細胞増殖因子であるタンパク質の製法
をも提供する。特に本発明は、ヒト正常線維芽細胞由来
であって、より正常型であって好ましいと考えられる組
換え体及びその製法、用途に関する。
本発明で開示される肝細胞増殖因子を有効成分として
含有する剤は、骨髄抑制の治療剤や骨髄機能不全の治療
剤として使用して有用である。
本発明で開示される肝細胞増殖因子を有効成分として
含有する剤は、末梢血幹細胞および骨髄幹細胞のin vi
troにおける増殖に有効で、本発明はその剤を用いたこ
れらの幹細胞の剤を用いたin vitro増殖法あるいは培
養法をも提供する。
図面の簡単な説明 第1図は発現ベクターpSRαBXの構築図を示す。
第2図はヒト正常線維芽細胞由来HGFcDNAの塩基配列
およびアミノ酸配列を示す。
第3図は動物細胞発現用ヒトHGF発現ベクターpSRαFD
F−1の構築図を示す。
第4図は実施例3(6)で得られた正常線維芽細胞由
来ヒト肝細胞増殖因子産生サルCOS−1細胞の培養上清
よりのDEAEセファセル溶出液の画分とHGF活性との関係
を示す。
第5図は実施例3(6)で得られた正常線維芽細胞由
来ヒト肝細胞増殖因子産生サルCOS−1細胞の培養上清
よりのヘパリン・セファロースクロマトグラフィー処理
して得られたヘパリン溶出液の画分とHGF活性との関係
を示す。
第6図は実施例3(6)で得られた正常線維芽細胞由
来ヒト肝細胞増殖因子産生サルCOS−1細胞の培養上清
よりの亜鉛キレートアフィニティークロマトグラフィー
処理して得られた亜鉛溶出液の画分とHGF活性との関係
を示す。
第7図は実施例4で精製して得られた組換え型ヒトHG
Fの非還元下でのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動パタ
ーンを示す。
第8図はヒト胎盤由来HGFと精製線維芽細胞由来HGFの
NFS60細胞増殖刺激活性を示す。
第9図は実施例1の逆相高速液体クロマトグラフィー
のクロマトグラムを示す。
発明を実施するための最良の形態 本発明者等は、マウス由来の未分化骨髄芽球細胞株NF
S60[Kevin L.Holmes et.al.:Pro.Natl.Acad.Sci.US
A,82,6687〜6691(1985)]がインターロイキン3(IL
−3)に依存して増殖すること、及びIL−3がこれまで
知られている既知の造血因子のなかでは、未分化の造血
幹細胞に作用するサイトカインの一つであることに着目
し、NFS60株に対する増殖活性を指標にしてIL−3以外
の造血幹細胞増殖因子の探索を目的として鋭意研究を重
ねた。その結果、インターロイキン1(IL−1)、イン
ターロイキン6(IL−6)、インターロイキン7(IL−
7)、インターロイキン8(IL−8)、インターロイキ
ン11(IL−11)、c−kitリガンド等の造血因子を産生
していることが知られている線維芽細胞に造血幹細胞増
加活性を有する因子を発見し、それが肝細胞増殖因子で
あることを見出した。そして、本増殖因子がヒト骨髄細
胞及びマウス骨髄細胞を使用した評価系において造血幹
細胞の増殖を支持することをも見出した。
この新規な因子は、未分化の造血幹細胞の増殖を支持
する活性を有し、分子量が約60,000である配列表の配列
番号1に示したN末端アミノ酸配列を有する新規生理活
性タンパク質である。
またこの新規な因子は、表1のアミノ酸組成を有す
る。本発明のこの新規な因子である生理活性タンパク質
のN末端アミノ酸配列及びアミノ酸組成は、既知のタン
パク質とは異なるので、これは新規の造血因子に属する
ものである。
この本発明の新規な因子は、下記で詳しく説明するよ
うに生理活性タンパク質として、ヒト正常線維芽細胞の
培養で得られた培養液を原料として、数種のクロマトグ
ラフィーを組み合わせて精製を行なうことにより純品形
態で得ることができる。
こうして得られる本発明のこの生理活性タンパク質の
物理化学的性質及び生物学的性質の詳細を以下に記載す
る。
(1)分子量: 60,000[SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(L
aemmli U.K.:Nature,227,680−685(1979)] (2)N末端アミノ酸配列(16残基) 配列表の配列番号1に示す。
(3)アミノ酸組成 表1に示す。
(4)生物活性 A.マウス由来の未分化骨髄芽球細胞(NES60)に対し、
増殖活性を示す。
B.5−フルオロウラシル(5−FU)処理マウスの骨髄細
胞に対し、IL−3との併用、又はIL−3とインターロイ
キン−7(IL−7)との併用により、増殖活性を示す。
C.ヒト正常骨髄由来の造血幹細胞に対し増殖活性を示
す。
一方、その造血幹細胞増加活性を有する因子が肝細胞
増殖因子であることから、これまで肝細胞増殖因子であ
って、代表的肝細胞増殖因子[Nkamura,T.et.al:Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,122,1450〜1459(1984)]とし
て報告されている増殖因子についても研究を進め、これ
がNFS60株に対する増殖活性を有するものであると考え
た。さらに,本増殖因子がヒト骨髄細胞及びマウス骨髄
細胞を使用した評価系において造血幹細胞の増殖を支持
するものであるとも考えられ、造血幹細胞増加活性を有
するとも考えられる。
なお、肝細胞増殖因子のうちには、肝実質細胞に対す
る増殖活性の他に、上皮細胞の運動促進活性[Gherard
i,E.,et.al.:Nature,346,228(1990)]及び腫瘍細胞障
害活性[Higashio,K.et.al.:Biochem.Biophys.Res.Comm
un.,179,397−404(1990)]などの生理作用が報告され
ているが、これまで骨髄造血幹細胞に対する作用は知ら
れていなかった。
さらに、肝細胞増殖因子類の一つであって、肝臓由来
の代表的肝細胞増殖因子は、すでに遺伝子クローニング
が行なわれその全塩基配列が決定されている[Nakamura
et.al.Nature,342,440−443(1989)]ので、それを
本発明において造血幹細胞増加剤として使用することも
できよう。また、本発明において造血幹細胞増加剤とし
て使用する肝細胞増殖因子は、ヒト正常線維芽細胞等の
細胞培養によっても生産することができる。さらには、
ヒト正常線維芽細胞等から遺伝子を取り出し、そうして
得られた遺伝子に遺伝子組換え技術を応用して組換え体
の培養により生産することもできる。
本発明に従えば、このように遺伝子組換え技術によっ
ても新規な因子を得ることができる。この新規な因子は
配列表の配列番号2に示したアミノ酸配列を含むことを
特徴としている。この新規な因子は、下記で具体的に説
明するようにクローニングされたcDNAを用いて得ること
ができる。
上記因子は、例えばヒト正常線維芽細胞の培養で得ら
れた培養液を原料にして、数種のクロマトグラフィーを
組み合わせて精製を行なうことにより純品を得ることが
できる。
ヒト正常線維芽細胞等の細胞増殖あるいは培養は、通
常の各種の細胞培養用培地を用いて行うことができ、そ
のようなものとしては、例えば炭素源、窒素源、ビタミ
ン、アミノ酸、核酸塩基、無機塩などを含有し、適宜肉
汁、ペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、魚肉エキス、
バレイショ、麦芽汁、牛乳、血液、血清、ホルモン、抗
生物質、細胞増殖因子などから選ばれたものを加えたも
のがあげられるが、好適な培地は一般に広く市販されて
いるものを使用してそれをそのままあるいは適当に改変
して用いることができる。
そのような培地としてはPRMI−1640培地、MEM培地、B
ME培地、ダルベッコイーグル培地、DMEM培地、マッコイ
5A培地、イスコフ培地、ハムF12培地等が挙げられる。
上記ヒト正常線維芽細胞等の細胞の増殖又は培養にあ
たっては、該ヒト正常線維芽細胞の生育に適したpH、温
度、通気、攪拌、培地交換の頻度等の条件は、実験等に
より適宜決定することができる。
ヒト正常線維芽細胞を培養する場合、必要に応じて細
胞付着因子、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、ゼ
ラチン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン等を加え
たり、マイクロキャリアビーズ、例えばデキストラン、
ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ゼラチン、ガラス
等を用いることができる。
上記増殖又は培養することにより得られたヒト正常線
維芽細胞は次に必要に応じて誘導処理、例えば通常のポ
リI/C等の誘導剤で処理して造血幹細胞増加活性を有
し、肝細胞増殖因子類に属する新規タンパク質を誘導す
ることができ、こうして得られた本発明のタンパク質
は、通常の操作により分離採取することができる。
この分離採取法としては、例えば細胞の超音波破砕、
機械的破砕、凍結及び融解による方法、浸透圧ショック
等による方法のほか、培養上清から、例えばタンパク質
沈澱剤を用いて沈澱処理する等して分離する方法などが
あげられる。
上記の分離方法に加えて、更に目的とするタンパク質
は、その物理学的性質や化学的性質を利用して、一般に
広く採用されている各種分離精製方法を適用して精製を
することができる。
このような分離精製方法としては、ホモジュナイザ
ー、超音波細胞破砕等による可溶化処理、各種塩類を含
んだ緩衝液による抽出処理、酸またはアルカリによる可
溶化あるいは沈澱処理、さらには有機溶媒による抽出あ
るいは沈澱処理、硫安等の蛋白沈澱剤を用いる沈澱処理
等による塩析、透析、メンブレンフィルターなどを用い
た限外濾過処理、吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィーなどを用いたゲル濾過処理、、イオン
交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ア
フィニティクロマトグラフィー、向流分配クロマトグラ
フィー、高速液体クロマトグラフィー、等電点あるいは
ゲル電気泳動などがあげられ、それらは単独あるいは適
宜組み合わせて用いられる。
ヒト正常線維芽細胞由来のものの場合、ブルー色素を
結合させた担体(ブルー担体)、亜鉛をキレート結合さ
せた担体(亜鉛キレート担体)、ヘパリンを結合させた
担体(ヘパリン担体)、抗体を結合させた担体等を用い
るアフィニティクロマトグラフィーが有利に使用でき
る。特に、亜鉛キレート担体、ブルー担体、ヘパリン担
体が好ましく用いることが出来る。さらに好ましくは、
亜鉛キレート担体とヘパリン担体を組合わせて使用する
方法であり、両担体の使用順序は特に限定されないが、
ヘパリン担体を使用した後に、亜鉛キレート担体を用い
るのが特に好ましい。
本発明で使用する亜鉛キレート担体としては、アガロ
ース、セルロース、ポリアクリルアミドゲルなどに、ビ
スカルボキシメチルイミノ基〔N(CH2COOH)〕など
のキレート能を有する交換基が結合した担体を、塩化亜
鉛などの亜鉛塩の溶液で処理した担体が挙げられる。好
ましくは、「キレーティングセファロース」(Pharmaci
a社製)などの不溶性多糖類系担体に亜鉛をキレートさ
せた担体が用いられる。
亜鉛キレート担体による肝細胞増殖因子の精製操作は
次のように行う。すなはち、まず肝細胞増殖因子を含む
溶液を亜鉛キレート担体に接触吸着させる。吸着は、バ
ッチ法、カラム法どちらでも可能であるが、カラム法の
ほうが吸着効率が高い。
溶離は、リン酸、酢酸、クエン酸などの酸性緩衝液で
行い、pH5以下が好ましい。しかし、高イオン強度下で
は、さらに高いpHでの溶離が可能となる。また、イミダ
ゾール、ヒスタミン、グリシンあるいは塩化アンモニウ
ムの濃度を高めながらの勾配溶出も好結果が得られる。
EGTAやEDTAのようなキレート剤を用いてゲルから金属イ
オンを剥ぎ取ってしまう方法を用いてもよい。
イオン強度は、リン酸、酢酸、クエン酸などの緩衝液
の濃度を上げたり、塩化ナトリウム、塩化カリウムのよ
うな中性塩の添加(0.2〜1.0M)により増加させること
ができる。
溶出剤の組成、液量は特に限定されるものではなく、
最適な溶離条件は存在する夾雑タンパク質、および肝細
胞増殖因子の量、カラムの寸法などに応じて適宜決定さ
れる。
本発明で使用するヘパリン担体としては、骨格担体と
してセルロース、アガロースなどを材料とする多糖類系
および合成高分子系などの不溶性担体にヘパリンを結合
させたものならばいずれでもよい。「ヘパリン・セファ
ロースCL−6B」(Pharmacia社製)、「ヘパリントヨパ
ール」(東ソー社製)や「ヘパリンセルロファイン」
(チッソ社製)が挙げられる。
肝細胞増殖因子を含む溶液をヘパリン担体に接触させ
る場合、pHを5〜10に調節することが望ましい。特に好
ましくは、ヘパリンに対する親和性を充分に確保できる
pH5.5〜8.0の範囲でイオン強度0.3以下がよい。このよ
うにヘパリン担体に吸着させた肝細胞増殖因子は、イオ
ン強度を高くすることで回収することができる。例え
ば、リン酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液に塩化ナトリ
ウム、硫酸アンモニウムなどの無機塩を添加した液によ
り回収することができる。回収方法は、塩濃度をグラジ
エント式に増加させる方法でも、段階的に増加させるス
テップワイズ式でもよい。具体的に用いられるイオン強
度は0.3〜3で、好ましくは0.5〜2である。
上記のようにして精製分離して得られた造血幹細胞増
加活性を有し、肝細胞増殖因子に属する天然型のタンパ
ク質は、塩酸等の酸、ペプシン、キモトリプシン、カル
ボキシペプチダーゼ等のタンパク質分解酵素等で加水分
解した後、得られたペプチド断片をイオン交換クロマト
グラフィー等のクロマトグラフィーにかけて、そのアミ
ノ酸組成を分析すると共にそのアミノ酸配列を決定する
ことができる。
本発明の天然型の造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞
増殖因子のアミノ酸組成の分析法をより詳しく説明する
と、まず精製された該造血幹細胞増加活性を有し、肝細
胞増殖因子を塩酸で加水分解した後、フェニルイソチオ
シアネート(PITC)を反応させてアミノ酸をそれぞれ対
応するフェニルチオカルバミル誘導体に変換し、それを
逆相高速液体クロマトグラフィーにかけて定量する方法
(PITC法)があげられる。
こうして分析せしめられたアミノ酸配列は、天然型の
造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増殖因子を遺伝子組
換え技術を利用して製造するに当たり、それを利用する
ことが出来る。
つぎに、代表的な遺伝子組換え技術を応用しての、本
発明において造血幹細胞増加剤として使用する肝細胞増
殖因子の取得法を記載する。
ヒト正常線維芽細胞よりRNAを得る方法としては、通
常の方法、例えば、ポリソームの分離、ショ糖密度勾配
遠心や電気泳動を利用した方法などがあげられる。上記
ヒト正常線維芽細胞よりRNAを抽出する法としては、グ
アニジン・チオシアネート処理後CsCl密度勾配遠心を行
うグアニジン・チオシアネート−塩化セシウム法(Chir
gwin,et al.,Biochemistry,18,5294(1979))、バナ
ジウム複合体を用いてリボヌクレアーゼインヒビター存
在下に界面活性剤で処理したのちフェノール処理を行う
方法(Berger,et al.,Biochemistry,18,5143(197
9))、グアニジン・チオシアネート−ホット・フェノ
ール法、グアニジン・チオシアネート−グアニジン塩酸
法、グアニジン・チオシアネート−フェノール・クロロ
ホルム法、グアニジン・チオシアネートで処理した後塩
化リチウムで処理してRNAを沈澱させた方法などの中か
ら適当な方法を選んで行うことができる。
ヒト正常線維芽細胞より通常の方法、例えば、塩化リ
チウム/尿素法、グアニジン・イソチオシアネート法、
オリゴdTセルロースカラム法等によりmRNAを単離し、得
られたmRNAから通常の方法、例えば、Gublerらの方法
[Geen.25,236−269(1983)]、H.Okayamaらの方法[M
ol.Cell.Biol.,2,161,(1982) & 3,280,(1983)]
等によりcDNAを合成する。得られたmRNAからcDNAを合成
するには、基本的にはトリ骨芽球ウイルス(AMV)など
の逆転写酵素などを用いるほか一部プライマーを用いて
DNAポリメラーゼなどを用いる方法を組み合わせてよい
が、市販の合成あるいはクローニング用キットを用いる
のが便利である。
このcDNAを通常の方法、例えば、Seedの方法[Natur
e.329,840−842(1987)]に準じ、発現ベクターあるい
はプラスミド、ファージなどに組み込み、この組換えDN
Aを用い、大腸菌などを用いてcDNAライブラリーを作製
する。
上記cDNAをベクターに挿入するにあたっては、同一制
限酵素を用いて生ずるところの接着末端を利用するか、
必要に応じて合成のリンカー部あるいはアダプター部を
付加したり、ホモポリマーを加えたりする等の通常の方
法を用いて行うことができる。
常法(Molecular Cloning.Cold Spring Harbor L
aboratory.New York.1982)に従ってこれら操作は行う
ことができる。cDNAを組み込むためのベクターあるいは
プラスミドとしてはCDM8、pcDL−SRα296、pBR322、pUC
18、pUC19、pUB110などが挙げられるが、これらに限定
されることなく通常のcDNAを組み込むためのベクターあ
るいはプラスミドが用いられる。大腸菌などを用いてcD
NAライブラリーを作製するためのベクターあるいはプラ
スミドが好ましい。cDNAを組み込むためのベクターがフ
ァージの場合は、λgt10、λgt11などが挙げられるが、
これらに限定されることなく通常のcDNAを組み込むため
のファージが用いられる。
こうして得られた組換えベクターを宿主に導入するに
は、通常使用せられる各種の方法が使用できる。
このような方法として、ベクターがプラスミドの場合
は、例えばHanahan et al.J.Mol.Biol.166,557(198
3)に従ったCaCl2又はRbClを共存させて調製されたコン
ピテント細胞に、これらベクターを取り込ませる方法が
ある。またベクターがファージの場合インビトロパッケ
ージング法などを用いて適当な増殖期にある宿主に、組
換えファージベクターを感染させる方法等があげられ
る。
こうして得られたcDNAライブラリーを保持する宿主細
胞としては、具体的には大腸菌MC1061/P3、NM514、NM52
2、JM101、C600などが挙げられるが、これらに限定され
ることなく通常のcDNAライブラリーを保持する宿主細胞
が用いられる。
次に、ヒト肝細胞増殖因子の一つのN末端及びC末端
の塩基配列[Nakamura et.al.Nature,342,440−443(1
989)]をもとに、プローブ用オリゴヌクレオチドを合
成し、このオリゴヌクレオチドをP32で標識したプロー
ブを用いて、コロニーハイブリダイゼーション法、プラ
ークハイブリダイゼーション法、ハイブリダイゼーショ
ン・トランスレーションアッセイ法、プラス・マイナス
法などによって目的のcDNAを得ることができる。
より詳しくは、組換え体のプラークのDNAを、ナイロ
ンメンブレン等のフィルター上に固定し、次にこれを標
識したプローブと反応させ、このプローブと選択的に結
合するDNA配列を有する組換え体を選択する。
上記ここで使用されるプローブとしては、目的のDNA
配列に対して相補的な配列を有する核酸配列のことを指
し、DNAでもRNAでもよく、また化学合成したものでも天
然のものでも、あるいは組換えDNAの手法で得られたも
のでもよいが、公知の方法を適用して化学的に合成され
たDNA配列を用いるのが一般的であり好ましい。
ここでオリゴヌクレオチド合成法としては、例えばリ
ン酸トリエステル法(Tetrahedron,34,3143(1978),Ad
v.Carbohydr.Chem.Biochem.36,135(1979),Nucleic A
cids Res.,10,2597,6553(1982))、ホスホアミダイ
ト法(Nature.310,105(1984))等の常法に従って、核
酸の化学合成を行う方法、これらの方法を組合せた方法
等があげられる。
次に別の方法として、上記ヒト肝細胞増殖因子の一つ
のN末端及びC末端の塩基配列[Nakamura et.al.Natu
r,342,440−443(1989)]をもとに、2種類のプライマ
ーをDNAシンセサイザーにて合成し、各プライマーをcDN
AとともにTaqDNAポリメラーゼ等のDNAポリメラーゼ存在
下、DNAの変性、次いでプライマーのアニーリングをな
し、プライマーの伸長反応を、例えばPerkin−Elmer C
etus社のDNAサーマルサイクラーを用い行なうことがで
きる。これを電気泳動し、目的肝細胞増殖因子(HGF)
に属するヒト肝細胞増殖因子cDNAを常法(Molecular C
loning.Cold Spring Harbor Laboratory.New York.
1982)に従って調製する。
またヒト線維芽細胞等の細胞培養によって得られたヒ
ト肝細胞増殖因子の一つのN末端塩基配列にある16個の
アミノ酸配列に基づいて同様にプライマーをDNAシンセ
サイザーにて合成し、各プライマーをプラスミドDNAと
ともにTaqDNAポリメラーゼ等のDNAポリメラーゼ存在
下、DNAの変形、次いでプライマーのアニーリングをな
し、プライマーの伸長反応を、例えばPerkin−Elmer C
etus 社のDNAサーマルサイクラーを用い行なうことも
できる。これを電気泳動し、目的肝細胞増殖因子(HG
F)に属するヒト肝細胞増殖因子cDNAを上記したような
常法に従って調製する。なお、このように異なる遺伝子
源やプライマー源、さらにはプローブ源を用いるとそれ
にしたがって様々な異なる塩基配列をもつヒト肝細胞増
殖因子cDNAを得ることが認められる。
こうして得られた組換えDNAは通常の方法に従って制
限酵素等で処理され、そのcDNA塩基配列が決定される。
cDNA塩基配列を決定するために用いられる方法として
は、例えばマクサム・ギルバート法、サンガーのダイデ
オキシ法、例えばダイデオキシヌクレオチド・チェイン
ターミネーション法(Sanger,Science,214,1205(198
1),Methods in Enzymology,65,560〜580(1980),Me
ssing,J.et al.Nucleic Acids Res.,9,309(1981)
などがあげられる。さらに、上記した単離mRNAと配列決
定されたcDNAの一部を用いてプライマーイクステンショ
ン法を行いcDNAを合成し、上記のように組換えDNAして
得ることも可能である。
これらの方法は適宜それを組み合わせて行うことがで
きる。
ところで、遺伝子組換え技術によれば、DNA鎖の切
断、削除、付加及び結合、更にはDNA鎖中の塩基の置換
は、通常の手法にしたがって行うことができるので、本
発明のDNAは、特に配列表の配列番号2に示された塩基
配列を有するDNAに関するのみでなく、本発明の目的を
逸脱しない範囲で上記したような改変・修飾を加えたも
のにも関する。
このような改変・修飾手法の代表的なものとしては、
オリゴヌクレオチド指定変異法(oligonucleotide dir
ected mutagenesis)として知られた方法、例えばM.Sm
ith及びS.Gillam「Genetic Engineering(J.K.Setlow
及びA.Hollaender eds.),Vol,3,p.1(1981)、Method
s in Enzymology,Vol.153−155(1987年),Academic
Press,CAに記載のものあるいはそのうちに引用された
文献に記載のものなどがあげられる。
配列表の配列番号2に示された塩基配列を有する遺伝
子の改変・修飾として特に好ましいのは、目的とするタ
ンパク質の安定性、生物学的活性を高めるようなものが
挙げられる。
さらにまた、配列表の配列番号2に示されたアミノ酸
配列を含むペプチドの有する活性のうち、未分化の多能
性造血幹細胞の増殖活性を高めるような改変・修飾があ
げられる。
こうしてクローン化された造血幹細胞増加活性を有
し、肝細胞増殖因子のアミノ酸配列の全部あるいは一部
をコードする塩基配列を含むcDNAはその発現に適したベ
クターに組み換えられてそのコード塩基配列をもつcDNA
を発現可能に組み込んでなる組換え発現ベクターとされ
る。
特に、本発明の配列表の配列番号2のアミノ酸配列の
タンパク質あるいはその同効物の配列の全部あるいは一
部をコードする塩基配列を含むcDNAは、適当な発現用ベ
クターに組換えられ、次に適当な発現用宿主にその組換
えベクターを導入して形質転換し、得られた組換え体を
培養し、適当に発現誘導することにより、目的の造血幹
細胞増加活性を有するタンパク質を取得することができ
有用である。
本発明の造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増殖因子
のアミノ酸配列の前部あるいは一部をコードする塩基配
列を含むcDNAを用いて目的のタンパク質を宿主中で産生
させるにあたっては、成熟タンパク質として、即ちシグ
ナルペプチドを取り去った形で生産させることもできる
し、上記シグナルペプチドをそのまま利用したりあるい
は適当な宿主細胞等に適合したシグナルペプチドを付加
して宿主細胞等から分泌産生させることもできる。
さらにまた本発明の造血幹細胞増加活性を有し、肝細
胞増殖因子は他の組換えタンパク質あるいはペプチド等
との融合タンパク質あるいはペプチドとして産生させ
て、単離しあるいは単離せずに酵素あるいは化学的に消
化処理して目的のものとすることもできる。
本発明の造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増殖因子
類に属するタンパク質あるいはその同効物を効率よく発
現させるために、プロモーター、リボソーム結合部位
(例えばSD配列)、翻訳開始部位やコドンの制御下にあ
る下流域に、そのコード塩基配列を含むcDNAを配置し、
次いで終止部位やコドン、ターミネーターを配置するよ
うにすることができる。つまりこのような場合におい
て、それに用いる遺伝子のDNA配列中には、開示コドン
及び終止コドンが必要で、必要に応じてそれらは公知の
方法を用いて付与される。
またここで利用される発現用ベクターとしては、宿主
中で自律複製できるものであれば特に制限なく使用でき
るが、そのベクター中に複製起源、選択マーカー、プロ
モーター、RNAスプライス部位、ポリアデニル化シグナ
ルなどを有するものが好ましく使用できる。
組換え発現ベクターの選択マーカーとしては、各種抗
生物質耐性遺伝子、例えばアンピシリン耐性遺伝子、テ
トラサイクリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等
が挙げられる。
またこれらベクターとしては、各種バクテリア由来の
もの、バクテリオファージ由来のもの、昆虫や哺乳動物
細胞をふくむ動物ウイルス由来のものがあげられ、各種
ウイルスベクター、各種プラスミドベクター、コスミド
ベクター、シャトルベクター等があげられる。
またこれらベクターとしては、大腸菌、特にEK型プラ
スミドベクター、λgtタイプファージベクター、緑膿菌
由来のベクター、枯草菌由来のベクター、酵母由来のベ
クター、SV40由来のベクター、BPV由来のベクター、レ
トロウイルス由来のベクター等があげられる。具体的に
は、pBR322、pUC18、pUB110、pRB15、λgt10、λgt11、
SV40、BPV等が挙げられる。
上記ベクターで利用できるプロモーターとしては、宿
主中で発現できるように働くものであれば特に制限はな
い。大腸菌での発現用プロモーターとしては、トリプト
ファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモ
ーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモー
ター、T7プロモーター、バクテリオファージ由来のラム
ダ(λ)PLプロモーター等の各種の当業者に良く知られ
たものが挙げられる。
酵母用のベクターにおいて用いられており、制御配列
として代表的なものとしては、解糖系酵素の合成に関す
るプロモーター、例えばグリセリン酸−3−リン酸キナ
ーゼに関するプロモーター、グリセルアルデヒド−3−
リン酸デヒドロゲナーゼに関するプロモーター、ヘキソ
キナーゼ、ピルピン酸デカンボキシラーゼ、フルクトー
スリン酸キナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラー
ゼ、3−ホスホリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコース
イソメラーゼおよびグルコースキナーゼに関するプロモ
ーター等のほか、アルコールデヒドロゲナーゼ、チトク
ロームC、酸ホスファターゲ等に関するプロモーターが
挙げられる。
またSV40の初期遺伝子あるいは後期遺伝子プロモータ
ー、サイトメガロウイルス、ポリオーマウイルス、アデ
ノウイルス、牛パヒローマウイルスあるいはトリ肉腫ウ
イルス由来のプロモーター、モロネイネズミ肉腫ウイル
スのLTR、ラウス肉腫ウイルスのLTR、マウス乳癌ウイル
スのLTR、メタロチオネインに関するプロモーター、免
疫グロブリンに関するプロモーター、ヒートショックに
関するプロモーター、デヒドロ葉酸に関するプロモータ
ー、アクチンに関するプロモーター、エロンゲーション
ファクターに関するプロモーターなどの哺乳動物細胞に
適合できるものが挙げられる。
昆虫細胞などにあっては、核多角体病ウイルス由来の
ポリヒドリンに関するプロモーターが挙げられる。
これらの遺伝子制御配列は、適宜それらを組み合わせ
たり、あるいは化学的に修飾したりして適当なベクター
に組み込んで、本発明の造血幹細胞増加活性を有し、肝
細胞増殖因子のアミノ酸配列の全部あるいは一部をコー
ドする塩基配列を含むcDNA発現用のベクターを構築する
ことができる。
例えば、翻訳開始コドンATG及び終止コドンTAA、TG
A、あるいはTAGを本発明のcDNAの遺伝子制御配列として
含んでいてよく、それらは一つ以上組み合わせたり、他
のコドンと組み合わせて配列されていてよい。
本発明のcDNA発現用のベクターには、さらに複数個の
本発明のcDNAを組み込んでその発現を行うこともでき
る。
本発明の造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増殖因子
のアミノ酸配列の全部あるいは一部をコードする塩基配
列を含むcDNA発現ベクターは、これを適当な宿主、特に
宿主細胞に通常知られた方法に従って導入して、その宿
主細胞を形質転換させ、次にそのようにして形質転換さ
れた宿主細胞を培養等の方法により増殖させること等に
より、大量に形質転換体と呼ばれる該造血幹細胞増加活
性を有し、肝細胞増殖因子のアミノ酸配列の全部あるい
は一部を有するペプチド産生能を有する細胞を得ること
ができる。
ここで使用される宿主、特に宿主細胞としては、大腸
菌あるいは大腸菌以外のシュードモナス菌等のグラム陰
性細菌、枯草菌、放線菌、等のグラム陽性細菌、酵母、
動細胞、昆虫細胞、植物細胞等の真核細胞のいずれでも
よいが、大腸菌、哺乳動物細胞、例えばCOS細胞、CHO細
胞が好適に使用できる。
上記宿主への本発明の遺伝子発現ベクターの導入法と
しては、通常遺伝子組換え技術の分野で使用せられてい
る方法を用いることができ、例えばコンピテント細胞と
上記ベクターとを混合したり、細胞をプロトプラスト化
したのち、上記ベクターを担体に結合させて取り込ませ
るか、あるいはリン酸カルシウム共沈法、DEAEデキスト
ラン法、電気パルス法、インビトロパッケージング法、
ウイルスベクター法、マイクロインジェクション法等を
用いて行うことができる。
このようにして得られた形質転換体は、その外来遺伝
子の発現を抑制した状態で増殖したのち、該遺伝子の発
現を誘導することもできる。
この形質転換体の増殖あるいは培養は、前述したヒト
正常線維芽細胞の場合と同様に通常の各種の細胞培養用
培地を用いて行うことができる。またその他の生育条
件、培養システム、更にはタンパク質の分離精製方法も
ヒト正常線維芽細胞の場合と同様である。本発明の造血
幹細胞増加剤は、未分化の多能性造血幹細胞に対する増
殖活性を示し、骨髄抑制(例えば抗癌剤使用後や骨髄移
植等)に対する治療に有効な造血幹細胞増加剤として、
骨髄機能不全(例えば再生不良性貧血や骨髄異形成症候
群等)に対する治療に有効な造血幹細胞増加剤として、
または末梢血幹細胞および骨髄幹細胞のin vitroにお
ける増殖に有効な造血幹細胞増加剤として有用である。
さらに本発明の造血幹細胞増加剤は、結果的には種々
の血液細胞ばかりでなく造血幹細胞の子孫である破骨細
胞の増殖も促進するため、骨粗鬆症等の治療剤としての
適用も可能である。
本発明では特に、肝細胞増殖因子であって、配列表の
配列番号2に示したアミノ酸配列を含むタンパク質であ
る組換えヒト肝細胞増殖因子タンパク質が造血幹細胞増
加剤として好ましく用いられ、未分化の多能性造血幹細
胞に対する増殖活性を示し、骨髄抑制(例えば抗癌剤使
用後や骨髄移植等)に対する治療に有効な造血幹細胞増
加剤として、骨髄機能不全(例えば再生不良性貧血や骨
髄異形成症候群等)に対する治療に有効な造血幹細胞増
加剤として、または末梢血幹細胞および骨髄幹細胞のin
vitroにおける増殖に有効な造血幹細胞増加剤として
有用である。
それはヒト正常線維芽細胞由来であって、より正常型で
あって好ましいと考えられる。
また、ヒト正常線維芽細胞から得られる天然型ものも
造血幹細胞増加剤として好ましいと考えられ、上記用途
に有用である。
本発明の造血幹細胞増加剤を前記の本発明の用途に用
いる場合、そのままもしくは自体公知の薬理学的に許容
される担体、賦形剤等と混合した医薬組成物として、経
口的または非経口的に投与することができる。
本発明の造血幹細胞増加剤中の活性成分を安定に保つ
ために、アルギニン、リジン、グリシン、ロイシン、フ
ェニルアラニン、アスパラギン酸等のアミノ酸、グルコ
ース、ショ糖、マンニトール、マンニット等の糖あるい
は糖アルコール、ゼラチン、コラーゲン、デキストラ
ン、プルラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、セルロ
ース等の多糖あるいはタンパク質加水分解物、塩酸等の
無機酸あるいは酢酸等の有機酸、水酸化ナトリウム等の
無機塩基あるいはアミン等の有機塩基等を必要に応じて
加えることが出来る。
経口投与のための剤形としては、具体的には錠剤、丸
剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、懸
濁剤などが挙げられる。かかる剤形は自体公知の方法に
よって製造され、製剤分野において通常用いられる担体
もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用
の担体、賦形剤としては、乳糖、澱粉、ショ糖、ステア
リン酸マグネシウムなどが挙げられる。
非経口投与のための剤形としては、例えば、軟膏剤、
注射剤、湿布剤、塗布剤、吸入剤、坐剤、経皮吸入剤な
どが挙げられる。注射剤は自体公知の方法、例えば、本
発明の肝細胞増殖因子を通常注射剤に用いられる無菌の
水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することに
よって調製される。注射用の水溶液としては生理食塩
水、ブドウ糖溶液が挙げられ、油性液としてはゴマ油、
大豆油などが挙げられ、それぞれ溶解補助剤を併用して
も良い。腸内投与に用いられる坐剤は自体公知の方法、
例えば本発明の造血幹細胞増加剤を通常の坐薬用基剤に
混合し、成型することによって調製される。
本発明の造血幹細胞増加剤の有効投与量および投与回
数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の
性質もしくは重篤度によっても異なるが、通常成人一人
当たり0.01〜100mgを、好ましくは0.1〜10mgを一回また
は数回に分けて投与することができる。
本発明の新規な造血幹細胞増加活性を有し、肝細胞増
殖因子は、それを単独であるいは担体、例えば、ウシ血
清アルブミン、卵アルブミン、チオグロブリンあるいは
ヘモシアニン(KLH)等に結合、例えば、カルボジイミ
ド、グルタールアルデヒド、混合酸無水物、ホモ二官能
性あるいはヘテロ二官能性試薬(例えば、マレイミドベ
ンジル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MB
S)などにより結合せしめて注射投与し動物を免疫し、
こうして抗体を得ることが出来る。またこの様に免疫し
た動物、例えばマウスから得た脾臓細胞と、ミエローマ
細胞とを通常の方法で細胞融合せしめて、モノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーム細胞を得ることもでき
る。
こうして得られた抗体は、それを固相に結合せしめた
り、標識剤、例えば酵素、補酵素、蛍光、染料などの発
色団、放射性標識、常磁性金属と結合せしめて測定用試
薬とすることが出来る。標準的免疫測定法の例は、酵素
免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、
サンドイッチ免疫測定法などが挙げられる。
これらは、D.Catty「Antibodies−Vol.I,& Vol.II,
a practical approach」IRL Pressに従って行うこと
が出来る。
実施例 以下、本発明の実施例を示すが本発明はこれらに限定
されるものではない。
実施例1 正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子の調製: 30L培養槽を用い、ヒト正常線維芽細胞、DIP2(Kobay
ashi,S.et al.in The clinical potential of in
terferons,ed.Kono,R.and Vilcek,J.,University of
Tokyo Press,Tokyo 1982)を10%FBS−MEM培地−0.
3%ビーズ(Cytodex−1:ファルマシア社製)で、37℃、
5日間、攪拌培養を行った。増殖がコンフルエントに到
達した後、MEM培地に切り替え、ポリI/C10μg/mlを添加
し、インダクションをかけ、タンパク質産生を誘導し
た。37℃、4日間培養を継続し、20Lの培養液を回収し
た。
これを20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化した
“ブルー・セファロースカラム”(担体1L:ファルマシ
ア社製)に吸着させ、次いで平衡化に使用した緩衝液で
洗浄した。その後、0Mから3MへのNaClの直線濃度勾配で
タンパク質を溶出させた。
得られた活性画分1Lをゲル濾過で脱塩し、20mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したヘパリン・セファロ
ースカラム(担体100ml:ファルマシア社製)に吸着さ
せ、平衡化と緩衝液で洗浄した。次ぎに、0Mから3Mへの
NaClの直線濃度勾配でタンパク質を溶出させた。
得られた活性画分50mlをゲル濾過で脱塩後、逆相高速
液体クロマトグラフィーで精製した。“Vydac218TP510
カラム”(1.0x25cm:セパレーショングループ社製)を
用い、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液をベースにアセト
ニトリル濃度を0から50%に直線的に増加させて溶出さ
せた。結果を図9に示す。
この活性ピークについて還元下SDSポリアクリルアミ
ド電気泳動(Laemmli U.K.:Nature、227.680−685(19
70))をおこなった処、分子量約60Kの単一バンドを示
した。
実施例2 N末端アミノ酸配列およびアミノ酸組成: 実施例1で得られた精製タンパク質を線維芽細胞由来
天然型ヒト肝細胞増殖因子(以下、天然型ヒトHGFと略
す)をアミノ酸シーケンサー(Applied Biosystems 4
77A Protein Sequencer)にかけた結果、N末端16個
のアミノ酸配列は配列表の配列番号1の通りであった。
このN末端は、Nakamuraら[Nature,342,440−443(198
9)]に開示のものとの相同性によりβ鎖のN末端であ
ることがわかった。
この天然型ヒトHGF 4μg/25μlに0.4%チオグリコ
ール酸を含む濃塩酸25μlを添加し、真空封管下100℃
で22時間加水分解後、塩酸を減圧乾固し、ついでこれを
蒸留水に溶解後、アミノ酸分析計(日立835型アミノ酸
分析計9で分析を行った。結果を表1に示す。
実施例3 正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子cDNAクローニン
グ ヒト肝細胞増殖因子のcDNAは、Nakamuraら[Nature,3
42,440−443(1989)]によりクローン化されているの
で、その配列をもとにプライマーを合成し、ポリメラー
ゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法に
てcDNAを増幅後、発現ベクターなどにクローン化するこ
とができる。
(1)ヒト正常線維芽細胞mRNAの単離: 実施例1のようにして培養されたヒト正常線維芽細胞
MRC5(理研細胞銀行より入手,RCB211)より塩化リチウ
ム/尿素法[Auffray et al:Eur.J.Biochem.107、303
−314(1980)]にてRNAを調製した。得られたRNAを1mM
EDTAを含む10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5)(以下T
Eと略する。)に溶解し、70℃、5分加熱処理した後、1
M LiClを含むTEを同量加えた。0.5M LiClを含むTEで
平衡化したオリゴdTセルロースカラムにRNA溶液をアプ
ライし、同緩衝液にて洗浄した。さらに0.3M LiClを含
むTEにて洗浄後、0.01% SDSを含む2mM EDTA(pH7.
0)で吸着したポリ(A)RNAを溶出した。
(2)ヒト正常線維芽細胞由来のcDNAライブラリーの作
製。
上記(1)で得られた4μgのポリ(A)RNAを用い
てGublerらの方法[Geen.25,236−269(1983)]に準じ
てcDNAを合成した。
このcDNAをSeedの方法[Nature.329,840−842(198
7)]に準じ、発現ベクターCDM8にT4DNAリガーゼを用い
て挿入した。この組換えDNAを用い、大腸菌MC1061/P3を
形質転換し、cDNAライブラリーを得た。タイトレーショ
ンにより、このcDNAライブラリーは独立した20万個の形
質転換体からなっていた。これらの形質転換体から常法
(Molecular Cloning.Cold Spring Harbor Laborat
ory.New York.1982)に従ってプラスミドDNAを単離し
た。
(3)正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子cDNAの単
離。
ヒト肝細胞増殖因子のうちのアミノ酸配列から適当な
配列を選択して、例えばN末端あるいはC末端の塩基配
列をもとに、2種類のプライマーをDNAシンセサイザー
にて合成し、次いでポリメラーゼ連鎖反応(polymerase
chain reaction:PCR)法にてcDNAを増幅後、発現ベ
クターなどにクローン化する。
ヒト肝細胞増殖因子として知られている肝臓由来ヒト
肝細胞増殖因子のN末端及びC末端の塩基配列[Nakamu
ra et.al.Nature,342,440−443(1989)]をもとに、 5′ATGTGGGTGACCAAAC3′ と 5′CTATGACTGTGGTACC3′ の2種類のプライマーをDNAシンセサイザーにて合成し
た。各プライマーを20pmol、上記(2)で得られたプラ
スミドDNA 1μgを0.5mlのミクロ遠心チューブに取
り、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、1.5mM MgCl2、2
5mM KCl、100μg/ml ゼラチン、50μM 各dNTP、4
単位 TaqDNAポリメラーゼとなるように各試薬を加え、
全量100μlとする。DNAの変性条件を94℃、1分、プラ
イマーのアニーリング条件を50℃、2分、プライマーの
伸長条件を72℃、3分の各条件でPerkin−Elmer Cetus
社のDNAサーマルサイクラーを用い、40サイクル反応
させた。これを1% アガロースゲルにて電気泳動し、
約2.2kbの正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子cDNA
を常法(Moleular Cloning.Cold Spring Harbor La
boratory New York.1982)に従って調製した。
別の方法として、実施例1のようにして精製されたヒ
ト正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子のN末端のア
ミノ酸配列(16個のアミノ酸)に基づいてオリゴマーを
DNAシンセサイザーにて合成し正常線維芽細胞由来ヒト
肝細胞増殖因子cDNAをコロニーハイブリダイゼーション
法で得ることもできよう。
(4)発現ベクターの調製。
発現ベクターCDM8[Seed.Nature.329,840−842(198
7)]を制限酵素Hind IIIで切断し、T4DNAポリメラーゼ
にて平滑末端とし、T4DNAリガーゼにてEcoR Iリンカー
を連結した。次に制限酵素Pst Iで切断し、T4DNAポリメ
ラーゼにて平滑末端とした。さらに、T4DNAリガーゼでK
pn Iリンカーを連結し、制限酵素EcoR IとKpn Iで切断
した。これを1% アガロースゲル電気泳動し、約0.36
kbのDNA断片を常法に従い調製した。一方、pcDL−SRα2
96[Takebe et.al.Mol.Cell.Biol.8,446−472(198
8)]を制限酵素EcoR I及びKpn Iで切断してアガロース
ゲル電気泳動にて約34kbのDNA断片を精製しておき、こ
のベクターに上記の操作で得た約0.36kbのDNA断片をT4D
NAリガーゼを用いて連結した。これを用いて常法に従い
大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体よりプラスミ
ドDNAを常法(Molecular Cloning.Cold Spring Harb
or Laboratory.New York 1982)により調製し、目的
の発現ベクターpSRαBXを得た。
第1図に発現ベクターpSRαBXの構築図を示す。
このプラスミドDNAを常法に従い制限酵素BstX Iで切
断し、この反応液を1%アガロースゲルで電気泳動する
ことにより両末端が制限酵素BstX I切断された3.4kbのD
NA断片を分離精製した。
(5)正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増殖因子cDNAの発
現ベクターへのクローニングと塩基配列の決定。
上記(3)で得られた2.2kbの正常線維芽細胞由来肝
細胞増殖因子cDNA断片を常法(Molecular Cloning.Col
d Spring Harbor Laboratory.New York.1982)に従
って、T4DNAキナーゼでリン酸化し、BstX Iリンカー(I
nvitrogen社 N408−18)をT4リガーゼで連結した。さ
らにこの反応液を1%アガロースゲルで電気泳動するこ
とによりBstX Iリンカーが連結された2.2kbのDNA断片を
分離精製した。このDNA断片を上記(4)で得た両末端
が制限酵素BstX I切断された3.4kbのDNA断片にT4リガー
ゼで連結した。これを用いて常法に従い大腸菌を形質転
換し、得られた形質転換体よりプラスミドDNAを常法に
より調製した。次にこのプラスミドDNAを制限酵素BamH
Iで切断することにより目的の正常線維芽細胞由来ヒト
肝細胞増殖因子cDNA断片が組み込まれていることを確認
し(該プラスミドをpSRαFDF−1と呼ぶ)、Genesis200
0 DNA analysis system(デュポン社)を用いて、ダ
イデオキシ法[Prober et.al.Science 238,336−341
(1987)]で正常線維芽細胞由来肝細胞増殖因子cDNAの
塩基配列を決定した(図−2)。
第3図に動物細胞発現用ヒトHGF発現ベクターpSRαFD
F−1の構築図を示す。
(6)サルCOS細胞での正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞
増殖因子遺伝子の発現。
上記(5)で得られた10μgのpSRαFDF−1を50mMト
リス塩酸緩衝液(pH7.5)、400μg/mlのDEAEデキストラ
ン(ファルマシア社)及び100μMのクロロキン(シグ
マ社)を含む4mlのRPMI1640培地に加えておく。一方、
直径10cmのディシュを用いて 10%ウシ胎児血清(ギブ
コ社)を含むRPMI1640培地(ギブコ社)で50%コンフル
エントになるまで増殖させたCOS−1細胞(ATCC CRL−
1650)をPBSで一回洗浄した後、上記で得た4mlのDNA混
合液を加え、5%CO2の条件下で37℃で培養した。4時
間後、細胞をPBSで洗浄した後、20mlのRPMI1640培地に
て5%CO2、37℃の条件で4日間培養し、培養上清中の
肝細胞増殖因子活性をNFS60細胞の増殖を指標に測定し
たところ、340単位/mlであった。一方該肝細胞増殖因子
cDNAが逆向きに挿入されたベクターを同じ方法でCOS−
1細胞に導入して得た培養上清中には、肝細胞増殖因子
活性を認めなかった。
(7)チャイニーズハムスターCHO細胞での正常線維芽
細胞由来ヒト肝細胞増殖因子遺伝子の発現。
チャイニーズハムスターCHO細胞のジヒドロ葉酸還元
酵素(DHFR)欠損株であるCHO clone DUKXB11(コロ
ンビア大学Chasin博士より分与)を12ウエルプレートの
ウエル当たり1X105個となるように10%ウシ胎児血清と
核酸を含んだα−MEM(ギブコ社)培地にて一夜培養し
た。
上記(5)で得られた1μgのpSRαFDF−1と0.1μ
gのpAdD26SV(A)−3[{(Scahill,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA.80,4654−4658(1983)]を混合しファルマ
シア社のトランスフェクションキットにて上記CHO細胞
に導入し、18時間培養した。細胞を20倍希釈して10%ウ
シ胎児血清を含む核酸不含αMEM(ギブコ社)にて10日
間培養をして形質転換細胞を得た。
得られた細胞株から培養上清中の肝細胞増殖因子活性
の高い細胞株を選び、50nMメソトレキセート及び10%ウ
シ胎児血清を含む核酸不含αMEMにて培養し、肝細胞増
殖因子産生能の高いクローンを得、CHO−6−23−2と
名付けた。この細胞の正常線維芽細胞由来ヒト肝細胞増
殖因子の産生能はNES60細胞の増殖を指標とした測定系
で3500単位/ml/2日であった。
実施例4 実施例3(6)で得られた正常線維芽細胞由来ヒト肝
細胞増殖因子産生サルCOS−1細胞の培養上清より正常
線維芽細胞由来組換え型ヒト肝細胞増殖因子を精製し
た。
(1)硫安塩析 COS−1細胞の培養上清13.5Lに5265gの硫酸アンモニ
ウムを徐々に加え溶解した後、4℃に一夜置いた。6500
回転で20分間遠心することにより沈殿を集め、20mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0)で溶解し、同緩衝液にて十分透
析し、硫安濃縮液とした。
(2)陰イオン交換クロマトグラフィー 上記(1)で得られた硫安濃縮液を20mMトリス塩酸緩衝
液(pH8.0)で平衡化した10mlのDEAEセファセル(ファ
ルマシ社)に添加した。20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)で未吸着物質を洗浄後、それぞれ0.05M,0.3M,0.5Mの
NaClを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)100mlを順次
添加することによる吸着物を溶出した。クロマトパター
ンを第4図に示す。NFS60細胞増殖刺激活性をもつ画分
を集め、DEAEセファセル溶出液とした。
(3)ヘパリン・セファロースCL−6Bクロマトグラフィ
ー DEAEセファセル溶出液を0.3MNaClを含む20mMトリス塩
酸緩衝液(pH8.0)で平衡化した2mlのヘパリン・セファ
ロースCL−6B(ファルマシア社)に添加した。0.3M、お
よび0.5MNaClを含む20mMトリス塩酸緩衝液にて順次十分
洗浄した後、1MNaClを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
0)により溶出した。そのクロマトパターンを第5図に
示す。NFA60細胞増殖刺激活性画分を集め、ヘパリン溶
出液とした。
(4)亜鉛キレートアフィニティークロマトグラフィー 0.3mlのキレーティング セファロース 6B(ファル
マシア社)をカラムに充填し、0.5%塩化亜鉛水溶液を
添加後、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄し、亜
鉛キレートアフィニティークロマトを調製した。これに
ヘパリン溶出液12mlを添加し、1M NaCl含む20mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.0)にて洗浄する。さらに、50mM NH4
Clを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄後、50m
Mインダゾール及び0.5M NaCLを含む20mMトリス塩酸緩
衝液にて溶出した。そのクロマトパターンを第6図に示
す。NFS60細胞増殖刺激活性のある画分を集め、亜鉛溶
出液とした。精製された組換え型の肝細胞増殖因子の収
量は約750μgであり、硫安濃縮液からの活性回収率は
約44%であった。
(5)SDSポリアクリルアミド電気泳動 上記の工程にて精製された組換え型肝細胞増殖因子を
非還元下でSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(4−20
%ゲル)にかけた。組換え型肝細胞増殖因子は非還元下
では分子量6.6万−8.5万の単一バンドを示した。結果を
第7図に示す。
実施例5 実施例3(7)で得られた正常線維芽細胞由来ヒト肝
細胞増殖因子産生チャイニーズハムスターCHO組換え細
胞株CHO−6−23−2の培養上清液より、正常線維芽細
胞由来組換え型ヒト肝細胞増殖因子を精製した。
(1)陽イオン交換クロマトグラフィー CHO−6−23−2細胞の培養液25mlを20mMトリス塩酸
緩衝液(pH6.8)で十分透析し、20mMトリス塩酸緩衝液
(pH6.8)で平衡化した0.5mlのCM−セファデクス(ファ
ルマシア社)カラムに添加した。20mMトリス塩酸緩衝液
(pH6.8)で洗浄後、0.5MのNaClを含む20mMトリス塩酸
緩衝液(pH6.8)で溶出した。NFS60細胞増殖刺激活性の
ある画分を集め、CM−セファデクス溶出液とした。
(2)ヘパリン・セファロースCL−6Bクロマトグラフィ
ー “0.5MのNaClを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)
で平衡化した0.1mlのヘパリン・セファロースCL−6BにC
M−セファデクス溶出液を添加し、0.5MのNaClを含む20m
Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄後、1MのNaClを含む
20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で溶出した。NFS60細胞
増殖刺激活性のある画分を集め、ヘパリン溶出画分とし
た。
(3)亜鉛キレートアフィニティークロマトグラフィー 0.1mlのキレーティング セファロース 6B(ファル
マシア社)をカラムに充填し、0.5%塩化亜鉛水溶液を
添加後、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄し、亜
鉛キレートアフィニティークロマトを調製した。これに
ヘパリン溶出液を添加し、1M NaCl含む20mMトリス塩酸
緩衝液(pH8.0)にて洗浄する。さらに、50mM NH4Clを
含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄後、50mMイ
ミダゾール及び0.5M NaClを含む20mMトリス塩酸緩衝液
にて溶出した。NFS60細胞増殖刺激活性のある画分を集
め、亜鉛溶出液とした。
(4)SDSポリアクリルアミド電気泳動 上記の工程にて精製された正常線維芽細胞由来組換え
型肝細胞増殖因子を非還元下でSDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動(4−20%ゲル)にかけ、銀染色法にてゲル
を染色した。その結果、組換え型肝細胞増殖因子は非還
元下では分子量6.6万−8.5万の単一バンドを示した。
実施例6 未分化のマウス骨髄芽球細胞(NFS60)に対する増殖活
性の測定: MTT Assay法[T.Mosman:J.ImmunologicalMethods,6
5,55−63(1983)]に従い、以下の操作により細胞の増
殖を測定した。
96穴マイクロプレートに50μlの培養液(10%FBS−R
PM1640)を入れ、実施例1で精製されたヒト正常線維芽
細胞由来天然型肝細胞増殖因子(天然型ヒトHGF)を含
む溶液50μlを加えて2段階希釈した後、NFS60株を2x1
05個/mlに調整し、各ウエルに50μl入れ、炭酸ガスイ
ンキュベータで37℃、2日間培養した。
次いで、MTT試薬[3−(4,5−ジメチルチアゾール−
2−イル)−2,5−ジフェニル テトラゾニウム ブロ
マイド)をPBSに溶解して、5mg/mlに調製]を10μl各
ウエルに加え、37℃、炭酸ガスインキュベータで5時間
培養した。これに0.04N塩酸添加イソプロパノール150μ
lを加え色素を抽出し、590nmの吸光度をイムノリーダ
を用いて測定した。
OD590nmの値がコンフルエントに対し、50%を示す希
釈率で実施例1で精製されたヒト正常線維芽細胞由来天
然型肝細胞増殖因子(天然型ヒトHGF)は、活性を示し
た。
実施例7 成熟ラット初代培養肝細胞に対するDNA合成促進活性の
測定: 成熟ラット肝細胞はSeglenの方法[Seglen,P.O;Metho
ds in Cell Biology,13,29−83(1976)]に従っ
て、分離・調製した。
新鮮な1×105個の肝細胞を以下の組成の培地に加
え、1mlとした。MEM(ギブコ社製)、100mMインシュリ
ン(Sigma社製)、50μg/mlゲンタマイシン(Sigma社
製)、5%子牛血清(ギブコ社製)およびHGFを含む溶
液を加えたものを各々培地として、コラーゲンコートの
35mmプラスチックシャーレ(ファルコン社製)に分注し
た。
37℃、7%CO2、湿度90%の培養器内で4時間培養し
た後、血清無添加の5μCi/mm[3H]thimidineを含むME
Mメディムで培地交換した。さらに、45時間、上記の培
養条件で培養した。培養したシャーレを0.9%NaClで6
回洗浄した。細胞を1.5mlの0.33N NaOHに溶解後、全量
を氷水中で試験管に移した。
これに0.5mlの40%トリクロロ酢酸の1.2N塩酸溶液を
添加し、生じた沈殿を、2,000rpm、10分間の遠心分離で
分離した。この沈殿を0.5mlの.33N NaOHに溶解し、こ
のうちの0.3mlをシンチレーションバイアルにとり、0.5
mlのAquasol(New England Nuclear社製)と0.1mlの4
0%トリクロル酢酸の1.2N塩酸溶液を加えた。[3H]チ
ミヂン(thimidine)の取り込みをシンチレーションカ
ウンターで測定した。実施例1で精製されたヒト正常線
維芽細胞由来天然型肝細胞増殖因子(天然型ヒトHGF)
は、活性を示した。
実施例8 ヒト正常骨髄細胞を用いる造血幹細胞に対する増殖活性
の測定: ヘパリン加正常ヒト骨髄血2〜3mlを採取し、シリカ
存在下で37℃、30分間浮置後、Ficoll−Paque(ファル
マシア社製)比重遠心法にて非貧食性単核細胞を分離し
た。洗浄後、10cmプラスチック培養シャーレを用いて付
着性細胞を除去し、非貧食性非付着性単核細胞(NPNAMN
C)とし、α−メディウム(Flow Labs社製)に浮遊さ
せた。
培養は、Iscoveらの方法[Iscove,N.N.et.al.:J.Cell
Physiol.,83,309〜320(1974)]を改変したメチルセ
ルロース法にて行った。上記のNPNAMNC 4x104個を以下
の組成の無血清培地に加え、1mlとした。α−メティウ
ム、0.8%メチルセルロース(信越化学社製)、0.1%
再結晶処理された脱イオン化牛血清アルブミン(crysta
llized deionized bovine serum albumin、Sigma社
製)、300μg/mlFe−飽和ヒトトランスフェリン(Fe−s
aturated human transferrin、Sigma社製)、40μg/m
l 大豆レクチン(soy bean lecithin、Sigma社
製)、24μg/ml コレステロール(ナカライ社製)、5x
10-5M 2−メルカプトエタノール(2−Mercaptoethan
ol)、及び試料を加えたものを各々を培地として、35mm
Lux 培養ディシュ(culture dish、Miles Labs社
製)に分注した。培養は37℃、5%CO2、湿度100%の培
養器内で培養した。18日間培養後のコロニーを倒立顕微
鏡下にて観察し、各コロニー数を算定した。
結果を表2に示す。
実施例9 マウス骨髄細胞を用いる造血幹細胞に対する増殖活性の
測定: BDF1雌性マウスに150mg/Kgの5−フルオロウラシルを
静注し、48時間後に大腿骨から骨髄細胞を採取した。
培養はIscoveらの方法を改変したメチルセルロース法
にて行った。5x104個の骨髄細胞を以下の組成の無血清
培地に加え、1mlとした。
α−メディウム、0.9%メチルセルロース、1%再結
晶処理された脱イオン化牛血清アルブミン、300μg/ml
Fe−飽和ヒトトランスフェリン、160μg/ml 大豆レ
クチン(Sigma社製)、96μg/ml コレステロール(ナ
カライ社製)、10-4M 2−メルカプトエタノール、及
び試料或いは各種造血因子を加えたものを各々培地とし
て、35mmLux 培養ディシュに分注した。各造血因子は
以下の濃度で添加した:rmuIL−3(コスモバイオ):200
u/ml、rmuIL−7(コスモバイオ):20u/ml。
培養は、37℃、5%CO2、湿度100%の培養器内で培養
した。培養17日間後のコロニーを倒立顕微鏡下にて観察
し、各コロニー数を算定した。
ヒト正常線維芽細胞由来の天然型肝細胞増殖因子につ
いての結果を表3に示す。
実施例10 ヒト正常線維芽細胞由来組換え型及び天然型HGFの肝細
胞増殖活性の測定 4週齢のウイスタ−ラットからコラゲナーゼ還流法に
て肝実質細胞を分離した。得られた肝実質細胞を5%の
ウシ胎児血清、1X10-9Mインスリン、および1X10-9Mデキ
サメサゾンを含むウイリアムスE培地に2X105個/mlとな
るように懸濁した。コラーゲンでコートした24ウエルマ
ルチプレートに、上記細胞懸濁液を0.5mlずつ播き、5
%CO2の存在下で37℃、20時間培養した。次に、1X10-9M
インスリン、および1X10-9Mデキサメサゾンを含むウイ
リアムスE培地に交換すると同時に所定量のサンプルを
添加した。さらに23時間培養し、ウエル当たり0.5μCi
125Iデオキシウリジンを添加して7時間培養を続け
た。細胞をPBSで2回洗浄後、冷10%トリクロロ酢酸水
溶液で固定した。細胞を1ウエル当たり0.5mlの1N NaO
Hで可溶化し、その放射能をガンマカウンターにて測定
した。また放射能測定後の試料の一部をとり、ローリー
法にて蛋白量を測定した。種々のサンプルを添加したと
き肝実質細胞に取り込まれた放射能の量を求め、これを
肝実質細胞蛋白質1μg当たりに換算して、DNA合成活
性(cpm/μg蛋白質)とした。
その結果を表4に示した。
実施例1で精製されたヒト正常線維芽細胞由来の天然
型、実施例4で精製されたCOS細胞由来の組換え型、い
ずれのHGFも10ng/mlでDNA合成活性を示し、インスリン
および/または上皮細胞成長因子の存在下で肝実質細胞
のDNA合成活性が増強された。
実施例11 ヒト正常線維芽細胞由来組換え型および天然型HGFの正
常マウス骨髄細胞を用いたコロニー形成刺激活性 BDF1マウスの大腿骨から骨髄細胞を採取し常法(Metc
alf Clonal culture of hemopoietic cells:techn
iques and applications.Elsevier Amsterdam)に従
って2X104個の骨髄細胞を0.9%メチルセルロース、1X10
−4M2−メルカプトエタノール、20%ウシ胎児血清、お
よび種々の濃度のHGF試料を含む1mlのαMEM培地に懸濁
し、5%CO2存在下で37℃7日間培養し、コロニーを倒
立顕微鏡下にて観察しコロニー数を算定した。
その結果を表5に示した。
実施例12 ヒト胎盤由来肝細胞増殖因子のNFS60細胞増殖刺激活性
の測定 ヒト胎児由来肝細胞増殖因子(Becton Dickinson L
abware社)と実施例1で精製したヒト正常線維芽細胞由
来の天然型肝細胞増殖因子のNFS60細胞増殖刺激活性を
実施例6に示した方法で測定した。その結果を第8図に
示した。
同様にヒト正常肝細胞由来の組換え型肝細胞増殖因子
(Nature,Vol.342,pp.440−443,November 23,(1989)
及びヒト胎児肺の線維芽細胞M426由来の組換え型肝細胞
増殖因子(Proc.Natl.Acod.Sci.USA.Vol.88,pp.415−41
9,January,(1991))のNFS60細胞増殖刺激活性も実施
例6に示した方法で測定できる。
産業上の利用可能性 肝細胞増殖因子は、マウス由来の未分化骨髄芽球細胞
の増殖を支持する活性を有する。また、ヒト骨髄細胞及
びマウス骨髄細胞を用いた評価系において造血幹細胞の
増殖を支持することから、該肝細胞増殖因子を有効成分
とする幹細胞増加剤として、骨髄抑制(例えば抗癌剤使
用後や骨髄移植後等)に対する治療、骨髄機能不全(例
えば再生不良性貧血等)に対する治療、あるいは末梢血
幹細胞及び骨髄幹細胞のin vitro増殖の用途に利用す
ることができる。また本発明の造血幹細胞増加剤は、結
果的には種々の血液細胞ばかりでなく造血幹細胞の子孫
である破骨細胞の増殖も促進するため、骨粗鬆症等の治
療剤としての適用も可能である。
配列表 配列番号:1 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 配列番号:2 配列の長さ:2172 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ヒト正常線維芽細胞(human normal fibrobl
ast) 配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07K 14/475 C12P 21/02 C12N 15/09 ZNA C12R 1:91 C12P 21/02 A61K 37/24 (C12P 21/02 37/02 C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 河野 源 神奈川県鎌倉市津西2−3−13 東レ社 宅D−1 (72)発明者 須藤 哲央 神奈川県鎌倉市津西2−3−6 東レ社 宅I−1 (72)発明者 佐野 恵海子 神奈川県横浜市旭区中希望ケ丘212−21 (72)発明者 児島 勝明 神奈川県横浜市西区浅間台91 東レ社宅 B−403 (56)参考文献 Nature,Vol.342,pp. 440−443(1989) Biochem.Biophys.R es.Commun.,Vol.122, No.3,pp.1450−1459(1984) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.88,pp.415− 419(1991) Science,Vol.251,pp. 802−804(1991) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 - 38/58 C07K 14/475 - 14/66 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】肝細胞増殖因子を有効成分として含有する
    造血幹細胞増加剤。
  2. 【請求項2】有効成分として更にインターロイキン3及
    び/またはインターロイキン7を含有する請求項1記載
    の造血幹細胞増加剤。
  3. 【請求項3】骨髄抑制の治療剤としての請求項1または
    2記載の造血幹細胞増加剤。
  4. 【請求項4】骨髄機能不全の治療剤としての請求項1ま
    たは2記載の造血幹細胞増加剤。
  5. 【請求項5】肝細胞増殖因子が、ヒト肝細胞由来の組換
    え肝細胞増殖因子、線維芽細胞由来の組換え肝細胞増殖
    因子またはヒト胎盤由来肝細胞増殖因子である請求項1
    〜4のいずれか1項記載の造血幹細胞増加剤。
  6. 【請求項6】肝細胞増殖因子が、亜鉛をキレート結合さ
    せた担体を用いたクロマトグラフィーにより精製して得
    られるものである請求項1〜5のいずれか1項記載の造
    血幹細胞増加剤。
  7. 【請求項7】担体として更にヘパリンを結合した担体を
    用いる請求項6記載の造血幹細胞増加剤。
  8. 【請求項8】肝細胞増殖因子が、配列表の配列番号2に
    示したアミノ酸配列を含むタンパク質である請求項1〜
    7のいずれか1項記載の造血幹細胞増加剤。
  9. 【請求項9】抹消血中の造血幹細胞または骨髄中の造血
    幹細胞をin vitroで増殖させる請求項1〜8のいずれ
    か1項記載の造血幹細胞増加剤。
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