JP3394540B2 - O−フコシルトランスフェラーゼ - Google Patents

O−フコシルトランスフェラーゼ

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JP3394540B2 JP53287798A JP53287798A JP3394540B2 JP 3394540 B2 JP3394540 B2 JP 3394540B2 JP 53287798 A JP53287798 A JP 53287798A JP 53287798 A JP53287798 A JP 53287798A JP 3394540 B2 JP3394540 B2 JP 3394540B2
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Description

【発明の詳細な説明】 背景 本発明はグリコシルトランスフェラーゼ、あるいは活
性化供与基質からアミノ酸またはカルボヒドレート基へ
糖残基を転移させる酵素の分野に関する。
糖タンパク質および糖脂質の糖鎖の生合成に関与する
グリコシルトランスフェラーゼは小胞体およびゴルジ装
置の膜内在タンパク質である。これらは存在するグリカ
ン鎖か、あるいは鎖を開始するペプチドまたは脂質受容
体かに対する単糖類単位付加の触媒作用に関与する。供
与単糖類は一般に、ヌクレオチド糖、例えばGDPマンノ
ースとしてか、またはより少ない頻度で脂質−結合供与
体、例えばドリコール−P−グルコース(Dol−P−Gl
c)としての活性化形態で用いられる。グリコシルトラ
ンスフェラーゼの大部分は、内腔の方を向いており、す
なわちその触媒ドメインが膜結合コンパートメント内に
ある。内腔の方を向いている酵素の例には、ガラクトシ
ルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラー
ゼがある。これらの構造を図1に表す。これらの酵素は
一般にこれらが転移させる糖のタイプに基づくファミリ
ーに分類される(ガラクトシルトランスフェラーゼ、シ
アリルトランスフェラーゼなど)。グリコシルトランス
フェラーゼの既知のcDNAクローンの間の比較(Paulson,
J.C.&Colley,K.J.,J.Biol.Chem.264(30),17615−618
(1989))により、酵素間の配列相同性がほとんどない
ことが示されている。しかし、図1に示すようにすべて
のグリコシルトランスフェラーゼはいくつかの共通の構
造的特徴:短いNH4末端細胞質尾部、16−20アミノ酸シ
グナルアンカードメインおよび大きなCOOH末端の触媒ド
メインが後続する大きいステム領域を有する。このシグ
ナルアンカードメインは開裂不可能なシグナルペプチド
および膜スパンニング領域の両方として働き、これらの
グリコシルトランスフェラーゼの触媒ドメインをゴルジ
装置の内腔内へ向けている。
発生、分化および腫瘍形成トランスフォーメーション
時に細胞表面のカルボヒドレート基が種々の細胞相互作
用を媒介するというたくさんの証拠が存在するため、細
胞が特定のカルボヒドレート配列の発現を調節する方法
は非常に興味深い。von Figura,K.& Hasilik,A.,Annu.
Rev.Biochem.55,167−193(1986);Kornfield,S.,J.Cli
n.Invest.77,1−6(1986);Munro,S.& Pelham,H.R.
B.,Cell 48,899−907(1987);Pelham,H.R.B.,EMBO J.
7,913−918(1988);Paabo,S.et al.,Cell 50,311−317
(1987)。糖タンパク質および糖脂質上の既知のカルボ
ヒドレート構造の合成には、少なくとも100個のグリコ
シルトランスフェラーゼが必要とされ、これらのほとん
どが高度に多様な末端配列の合成に関与すると推定され
ている。Paulson,J.C.& Colly,K.J.,J.Biol.Chem.264
(30),17615−618(1989)。末端合成に関与するこれ
らの酵素の中で、以下の3つの酵素が特に興味深い:ガ
ラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェ
ラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ。
フコシルトランスフェラーゼはα1−2、α1−3、
α1−4およびα1−6結合のUDPから糖フコースを転
移させる。フコースは最初、ヒト尿およびラット組織中
のセリンまたはスレオニンに対するグリコシジル結合中
に存在するタイプGlucb1→3Fuca1→O−Ser/ThrおよびF
uca1→O−Ser/Thrの化合物として同定された。Hallgre
n,P.et al.,J.Biol.Chem.250,5312−5314(1975);Klin
ger,M.M.et al.,J.Biol.Chem.256,7932−7935(198
1)。組換えウロキナーゼの表皮成長因子(EGF)ドメイ
ンから派生のペプチドに共有結合したフコース残基を発
見したKentzer et al.によって初めて特定のタンパク質
に結合したO結合フコースが同定された。Kentzer,E.J.
et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,171,401−406(1
990)。組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)
(Harris,R.J.& Spellman,M.W.,Biochemistry 30,2311
−14(1991))、ヒト因子VII(Bjoern et al.J.Biol.C
hem.,266,11051−11057(1991))、ヒト因子XII(Harr
is et al.,J.Biol.Chem.,267,5102−5107(1992))お
よび吸血コウモリプラスミノーゲンアクチベーター(Ga
rdell et al.,J.Biol.Chem.264,17947−52(1989))に
も同様のグリコシル化様式が発見されている。またヒト
因子IXのEGFドメインは、テトラサッカライド:NeuAca2
→6Galb1→4GlcNAcb1→3Fuca1→O−Ser61の還元末端に
おいて、O−フコシル化を受けていることが示されてい
る。Nishimura et al.,J.Biol.Chem.,267,17520−17525
(1992);Harris et al.,Glycobiology 3,219−224(19
93)。しかし、検出されたすべての場合で、O結合フコ
ースは配列:Cys−Xaa−Xaa−Gly−Gly−Ser/Thr−Cys内
に存在する。Harris et al.,Glycobiology 3,219−224
(1993)。
EGFは53アミノ酸の強力な有糸分裂促進物質であり、
その活性はEGFレセプターに結合することによって媒介
される。Carpenter,G and Cohen,C,J.Biol.Chem.265,77
09−7712(1990)。EGF配列相同領域は、その数が増え
続けている多数の凝固、繊維素溶解、補体およびレセプ
タータンパク質において認められている。Paathy,L.,FE
BS Lett.214,1−7(1987);Doolittle,R.F.,Trends Bi
ochem.Sci.14,244−245(1989)。これらの多ユニット
タンパク質のEFGユニットはEGFレセプターと相互作用し
ないと信じられている。むしろ、このようなEGFユニッ
トは、リガンド結合(Appella et al.,J.Biol.Chem.26
2,4437−4440(1987);Kurosawa et al.,J.Biol.Chem.2
63,5993−5996(1988)、細胞分裂促進活性(Engel,FEB
S Lett.251,1−7(1989))およびレセプター再利用
(Davis et al.,Nature 326,760−765(1987))を含む
異なる性質を有する。ビタミンK依存性凝固タンパク質
のEGFユニットはγ−カルボキシルグルタミン酸残基を
含む隣接ユニットの適当なフォールディングに必要とさ
れ(Astermark et al.,J.Biol.Chem.266,2430−2437(1
991)、一方、他のものは単に、種々の機能的活性領域
間のスペーサーとして働くかもしれない(Stenflo,J.,B
lood 78,1637−1651(1991))。
EGFドメインは、EGFに関して得られる1−3、2−
4、および5−6様式の3個の鎖間ジスルフィド結合を
形成することが予期される6個の保存システムイン残基
によって特徴付けられる。Savage et al.,J.Biol.Chem.
248,7669−7672(1973)。ヒト補体タンパク質ClsのEGF
ドメインにも同様のジスルフィド結合様式が確認されて
いる(Hess et al.,Biochemisry 30,2827−2833(199
1))。ヒト因子XおよびIXの個々のN末端EGFユニット
を含む合成の三次元液構造をNMRスペクトル分析実験に
よって得た(Selander et al.,Biochemistry 29,8111−
8118(1990);Huang et al.,Biochemistry 30,7402−74
09(1991);Baron et al.,Protein Sci.1,81−90(199
2);Ullner et al.,Biochemistry 31,5974−5983(199
2))。派生構造はEGF(Cook et al.,Nature 327,339−
341(1987))およびTGF−α(Kohda et al.,Biochemis
try 28,953−958(1989);Tappin et al.,Eur.J.Bioche
m.179,629−637(1989))に対して決定された構造とほ
とんど同一である。
グリコシジル結合にO−フコースを含むタンパク質の
合成に強い関心が存在する。このことはO−フコシル化
されているEGFドメインを有するタンパク質において特
に真実である。これらのタンパク質を適当かつ効果的に
O−フコシル化するために、O−フコース結合の創出に
特異的な酵素が非常に望まれている。しかし、O−フコ
シルトランスフェラーゼを単離および精製する従来の試
みは不成功であることが判明しており、高度に純粋で、
同質のO−フコシルトランスフェラーゼおよび有効な検
出アッセイに対する多大な要求が存在する。
要旨 本発明は新規O−フコシルトランスフェラーゼ酵素の
同定、組換え生産および特徴付けに関する。より詳細に
は、本発明は種々の形態のO−フコシルトランスフェラ
ーゼをコードするcDNAの単離およびO−フコシルトラン
スフェラーゼの発現および特徴付けに関する。
1つの側面では、本発明は、図12Aに示す配列[配列
番号2]と実質的に同一なアミノ酸配列を含む実質的に
純粋なO−フコシルトランスフェラーゼに関する。好ま
しい態様では、実質的に純粋なO−フコシルトランスフ
ェラーゼを哺乳類(例えばヒト、ハムスター)ソースか
ら得る。
もう1つの側面では、本発明は、活性化フコース部分
でペプチドのEGFドメインをグリコシル化することがで
きる実質的に純粋なO−フコシルトランスフェラーゼに
関する。より限定された側面では、本発明は、配列:−
Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr−Cys−をグリコシ
ル化することができる実質的に純粋なO−フコシルトラ
ンスフェラーゼに関する。さらにより限定された側面で
は、この配列は−Cys−Xaa−Xaa−Gly−Gly−Ser/Thr−
Cys−である。
関連する側面では、本発明は、図12Bに示す配列[配
列番号9]と実質的に同一なアミノ酸配列を含むO−フ
コシルトランスフェラーゼの機能的断片または類似体に
関する。より限定された側面では、この機能的断片また
は類似体は配列:−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr
−Cys−をグリコシル化することができる。さらにより
限定された側面では、この配列は−Cys−Xaa−Xaa−Gly
−Gly−Ser/Thr−Cysである。
もう1つの側面では、本発明は、図12Aに示すヌクレ
オチド[配列番号1]と実質的に同一な配列を有する実
質的に純粋なDNAであって、ポリペプチドのEGFドメイン
をグリコシル化することができるタンパク質をコードす
るDNAに関する。より限定された側面では、このDNAは配
列:−Cys−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr−Cys−をグ
リコシル化することができる。さらにより限定された側
面では、この配列は−Cys−Xaa−Xaa−Gly−Gly−Ser/T
hr−Cysである。
さらにもう1つの側面では、本発明は、図12Aの配列
[配列番号1]を含むO−フコシルトランスフェラーゼ
に結合可能な抗体に関する。これらの抗体はポリクロー
ナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性またはヘテ
ロ特異性の抗体であり得る。
さらにもう1つの側面では、本発明はポリペプチドの
EGFドメインにO−フコースを導入する方法に関する。
より限定された側面では、グリコシル化配列は−Cys−X
aa−Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr−Cys−である。さらによ
り限定された側面では、この配列は−Cys−Xaa−Xaa−G
ly−Gly−Ser/Thr−Cysである。
さらにもう1つの側面では、本発明は、O−フコシル
トランスフェラーゼの存在を検出する方法またはアッセ
イであって、以下の工程を含むものに関する: a)O−フコシルトランスフェラーゼを発現しているセ
ルラインからの抽出物の調製; b)アニオン交換樹脂およびヌクレオチド結合樹脂での
第一クロマトグラフィー精製; c)金属キレートアガロース樹脂に結合した受容体基質
リガンドでの第二クロマトグラフィー精製; d)アガロースに結合した供与体基質類似体リガンドで
の第三クロマトグラフィー精製。
さらにもう1つの側面では、本発明はO−フコシルト
ランスフェラーゼの阻害剤、および少なくとも部分的に
O結合フコースの存在により決定された効力を有するタ
ンパク質によって媒介される疾患の処置におけるその使
用方法に関する。
本発明の他の側面は、以下の詳細な説明および請求の
範囲から明白となるであろう。
図面の簡単な説明 図2−4では、1単位は、1分当たりに転移されたフ
コース1μmolに相当する。
図1はグリコシルトランスフェラーゼの構造を図示し
たものであり、細胞の細胞質、膜および内腔に関連して
触媒ドメイン、ステムおよび膜貫通ドメインを示す。
図2はDE−52/Affi−Gelブルー複合カラムでのクロマ
トグラフィーを表す。白抜きの丸はタンパク質濃度を表
し、白抜きのひし形は酵素活性を表す。点Aで、DE−52
カラムを分離し、Affi−Gelブルーカラムを125mM NaCl
を含む緩衝液で洗浄した。点Bにおいて、1M NaClを含
む緩衝液で酵素の溶出を開始する。
図3は、受容基質に結合したアフィニティー樹脂、こ
こでは因子VII EGF−1−His6−Ni2+NTA−アガロースの
カラムでのクロマトグラフィーを表す。白抜きのひし形
は酵素活性を表し、白抜きの丸は280nmでモニターした
タンパク質濃度を表す。点AおよびBにおいて、0.5M N
aClおよび25mMイミダゾールを含む緩衝液でカラムを洗
浄した。酵素および因子VII EGFドメインを点Cで0.3M
イミダゾールを用いて溶出させた。
図4は供与基質類似体に結合したアフィニティー樹
脂、ここではGDP−ヘキサノールアミン−アガロースの
カラムでのクロマトグラフィーを表す。白抜きの丸は28
0nmでモニターしたタンパク質濃度を表し、白抜きのひ
し形は酵素活性を表す。断続線は溶出に0−2mM GDP濃
度勾配(280nmでモニター、尺度は示していない)を用
いたことを示す。サンプルを載せた後、カラムを平衡緩
衝液および125mM NaClを含む平衡緩衝液で洗浄した。こ
れを点Aで表す。点Bで酵素の溶出が始まった。
図5は,アフィニティークロマトグラフィーによって
調製したO−フコシルトランスフェラーゼのSDS−PAGE
ゲルを表す。それぞれの欄は、図4に示すカラムから収
集したフラクション中の銀染色によって検出されたタン
パク質を示す。
図6はO−フコシルトランスフェラーゼのグリコシダ
ーゼ消化の結果を表す。SDSを伴う12%ゲルで還元サン
プルを電気泳動した。レーン1はグリコシダーゼを含ま
ない対照標準反応物由来のものである。レーン2はPNG
アーゼF消化物であり、レーン3はエンドグリコシダー
ゼH消化物である。レーン2およびレーン3の低分子量
のバンドはそれぞれPNGアーゼFおよびエンドグリコシ
ダーゼHである。外側の2つのレーンは分子量マーカー
である。
図7は逆相HPLCによる因子IX EGFドメインおよびその
突然変異体のクロマトグラフィーを表す。組換え突然変
異体は表2に記載のものである。保持時間でラベル(表
示)したピークは、エレクトロスプレー質量分析によっ
て確認された組換えタンパク質である。1つのクロマト
グラフ図中、ラベルしたすべてのピークは同じ分子量を
有する。
図8は突然変異体EGF.AAに対するO−フコシルトラン
スフェラーゼの反応生成物のLC/MSを表す。非フコシル
化形態の逆相HPLCクロマトグラムは図7、パネルAに示
されている。図8の上のパネルはO−フコシル化EGF.AA
のRP−HPLCのクロマトグラムである。主要なピークを保
持時間でラベルし、その対応する質量分析を下のパネル
に示す。主要なイオンをその質量/電荷でラベルする。
分子量の計算値は5817(ピーク28.8、29.3&33.0)およ
び5964(ピーク30.4のみ)である。
図9は単離されたCHO O−フコシルトランスフェラー
ゼの部分配列および既知のヒトおよびC.elegans配列間
のアミノ酸配列の比較である。CHO O−フコシルトラン
スフェラーゼのN末端ポリペプチド配列は陰にした部分
である。これらの配列は各々、骨髄芽セルラインおよび
C.elegans配列由来の未知のタンパク質の部分cDNAから
製造された。
図10はO−フコシルトランスフェラーゼについてのノ
ザンブロットである。プローブは図11に示すヒトKIAA配
列由来のものを用いた。分子量マーカーはキロ塩基単位
で表す。
図11はヒトKIAA0180第一EcoR1断片のDNA配列である。
cDNAの第一EcoR1断片は完全なアミノ末端内の部分的コ
ード配列を含む。CHOポリペプチド配列と合致する領域
に陰影を付けている。ノザンブロット(図10)用のプロ
ーブの作品に用いる2つのオリゴヌクレオチドは上線お
よび二重下線を引いている。上線および一重下線を引い
たヌクレオチドはPCR増幅に用いたものである。
図12はヒト心臓O−フコシルトランスフェラーゼのDN
A配列である。上のパネル(A)はポジティブcDNAクロ
ーンから編集した配列である。単離のCHO配列に合致す
る領域を陰にしている。(二重下線で示した)DNA配列
の540位の残基「A」はヒトKIAA0180(図11の475位の
G)と異なっているが、コードするポリペプチドは同じ
である。下のパネル(B)はヒト心臓およびCHO細胞か
ら単離したO−フコシルトランスフェラーゼアミノ末端
配列の比較である。
図13はヒトO−フコシルトランスフェラーゼの発現の
ための、プラスミド構築体を表す。上のパネル(A)は
プラスミドの模式図を表す。下のパネル(B)はDNA配
列および対応するポリペプチド配列を表す。人工のシグ
ナルポリペプチドは陰にしてあり、ポリヒスチジンタグ
は二重下線を引いている。ヒト心臓O−フコシルトラン
スフェラーゼ部分は図12に記載したものと同じである。
図14は5個の試験した組換えクローンにおけるO−フ
コシルトランスフェラーゼ活性の比較図である。培養物
を5個の精製組換えクローンで感染させ、本発明の方法
にしたがい、酵素活性を試験した。非感染細胞(Sf9)
の培養物を対照として用いた。
図15は組換えヒトO−フコシルトランスフェラーゼの
12%SDS−PAGE銀染色ゲルである。レーン1は感染培養
培地を含む。レーン2はNi2+−NTAカラムのフロースル
ーフラクションを含む。レーン3は25mMイミダゾール洗
浄の結果であり、レーン4は0.3Mイミダゾール溶出物で
ある。分子量マーカーはキロダルトン単位である。
配列番号1は、実施例1で単離され、図12Aに示され
ているヒト心臓O−フコシルトランスフェラーゼの連続
ヌクレオチド配列である。
配列番号2は、図12Aに示すSf9細胞から単離したヒト
心臓O−フコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列で
ある。
配列番号3は、図12Bに示すCHO O−フコシルトランス
フェラーゼのN末端アミノ酸配列である。
配列番号4は塩基対4101から始まり、5399までのヌク
レオチド配列であり、図13Bに記載のヌクレオチド配列
を表す。この配列はまた、ヒト心臓O−フコシルトラン
スフェラーゼのクローニングおよび発現に用いるDNA挿
入物を含む。
配列番号5は、配列番号4を含む発現プラスミドの全
長ヌクレオチド配列である。
配列番号6は、図13Bに示すプラスミド挿入物を表す
アミノ酸配列である。
配列番号7は、図11に記載のヒトKIAA0180の第一EcoR
1ヌクレオチド配列である。
配列番号8は、図9に記載のC.elegans由来のゲノムD
NAに対応するコンピューター合成アミノ酸配列である。
配列番号9は、図12Bに記載のヒト心臓O−フコシル
トランスフェラーゼの最初の61N末端アミノ酸残基であ
る。
配列番号10は、実施例1のノザンブロットハイブリッ
ド形成に用いる第一プローブのヌクレオチド配列であ
る。
配列番号11は、実施例1のノザンブロットハイブリッ
ド形成に用いる第二プローブのヌクレオチド配列であ
る。
配列番号12は、実施例1に記載の増幅に用いる第一PC
Rプライマーである。
配列番号13は、実施例1に記載の増幅に用いる第二PC
Rプライマーである。
配列番号14は、実施例1に記載のSf9細胞で発現した
ポリペプチドのN末端アミノ酸配列である。
配列番号15は、実施例2に記載の受容類似体リガンド
の作成に用いる発現した、EGF因子ドメイン由来の第一
配列である。
配列番号16は、図12Aに示す活発に発現されたヒト心
臓O−フコシルトランスフェラーゼの最初の1100ヌクレ
オチドである。
配列番号17は、骨髄芽セルライン由来の未知の機能を
有する公知の部分ヒト配列である。
好ましい態様の詳細な説明 定義 本明細書を通して用いる用語は、当業者がその用語に
対して与える意味と解釈すべきである。しかし、発明者
らは、次の用語に以下に記載の特定の定義を与えること
を望む。
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は互換可
能に用いることを意図するものである。これらは、翻訳
後修飾(例えばグリコシル化またはリン酸化)に関係な
く、ペプチド結合またはアミド結合によって互いに連結
した2つまたはそれ以上のアミノ酸を意味する。用語
「酵素」もまた、O−フコシルトランスフェラーゼと互
換可能に解釈されるべきである。
用語「実質的に純粋」とは、生産時にこの酵素に自然
に付随する成分から分離されたO−フコシルトランスフ
ェラーゼを意味する。このような生産は、天然ソース
(セルライン、組織)、組換えソース、さらには、例え
ば段階的アミノ酸化学付加による合成由来のいずれかで
ある。典型的には、このポリペプチドは少なくとも60重
量%で、合成時に付随するタンパク質および他の有機分
子を含まない場合に実質的に純粋である。好ましくはこ
の調製物は少なくとも75重量%、より好ましくは少なく
とも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%のO
−フコシルトランスフェラーゼである。実質的に純粋な
O−フコシルトランスフェラーゼは、天然ソース(例え
ばCHO細胞、ヒト心臓、肝臓、筋肉、膵臓組織または組
織派生セルライン)からの抽出、O−フコシルトランス
フェラーゼポリペプチドをコードする組換え核酸の発
現、またはこのタンパク質の化学合成によって得ること
ができる。純度は適当な方法、例えばカラムクロマトグ
ラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC
分析によって測定できる。
ポリペプチド配列に関する用語「実質的に同一」と
は、リファレンスのポリペプチド配列に対し、少なくと
も70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好
ましくは95%の配列同一性を示すポリペプチドと解釈す
る。核酸配列に関するこの用語は、リファレンスの核酸
配列に対し少なくとも85%、好ましくは90%、より好ま
しくは95%、最も好ましくは97%の配列同一性を示すヌ
クレオチド配列と解釈する。ポリペプチドに関し、比較
配列の長さは一般に少なくとも25アミノ酸であろう。核
酸に関し、その長さは一般に少なくとも75ヌクレオチド
である。
用語「同一性」または「相同性」は、必要ならば全体
配列に関して最大%相同性を達成しするように配列を並
べ、ギャップを埋めた後の、比較される対応する配列の
残基と同一な候補配列中のアミノ酸残基の百分率を意味
すると解釈し、いかなる保存的置換も配列同一性の一部
と考えない。NおよびC末端延長および挿入はいずれ
も、同一性または相同性を減じるものと解釈しない。配
列の整列の方法およびコンピュータープログラムは当分
野に周知である。
配列同一性は配列分析ソフトウェア(例えば、Sequen
ce Analysis,Software Package,Genetics Computer Gro
up,University of Wisconsin Biotechnology Center,17
10 University Ave.,Madison,WI 53705)を用いて測定
することができる。このソフトウェアは、相同性の程度
を種々の置換、欠失および他の修飾に割り当てることに
よって類似の配列をマッチさせる。
用語「EGFドメイン」または「表皮成長因子ドメイ
ン」は、1−3、2−4および5−6様式の少なくとも
3個の鎖内ジスルフィド結合を形成することが予期され
る6個の保存システイン残基が存在することによって特
徴付けられる分泌ポリペプチドのセクション、繰り返し
領域、モチーフまたは構造単位意味する。
用語、天然ポリペプチドの「機能的断片または類似
体」は、天然ポリペプチドに共通の定性的生物学的活性
を有する化合物である。したがって、O−フコシルトラ
ンスフェラーゼの機能的断片または類似体はO−フコシ
ルトランスフェラーゼに共通の定性的生物学的活性を有
する化合物であり、すなわち活性化O−フコース部分を
アミノ酸またはカルボヒドレート鎖に転移させることが
できる。「機能的断片」には、いずれかの動物種(ヒト
を含む)由来の天然ポリペプチドのペプチド断片および
天然(ヒトおよび非ヒト)ポリペプチドの誘導体および
その断片(ただしこれらは全長ポリペプチドと同様に機
能することができる)があるが、これらに限定されな
い。用語「類似体」は、全長活性O−フコシルトランス
フェラーゼ分子と同様の機能性を持つアミノ酸配列およ
びそのグリコシル化変異体を意味する。
用語「アミノ酸」および「アミノ酸群」は天然発生の
L−α−アミノ酸群を表す。このアミノ酸群を1文字表
記または3文字表記によって同定する: 上記アミノ酸群はその側鎖の化学組成および性質にし
たがって分類することができる。これらは広く2つの
群、荷電および非荷電に分類される。これらの各群をサ
ブ群に分け、アミノ酸をより厳密に分類する: 1.荷電: 酸性残基:アスパラギン酸、グルタミン酸 塩基性残基:リシン、アルギニン、ヒスチジン 2.非荷電: 親水性残基:セリン、スレオニン、アスパラギン、グ
ルタミン 脂肪族残基:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン 非極性残基:システイン、メチオニン、プロリン 用語「アミノ酸変異体」は、天然のアミノ酸配列と比
較して、そのアミノ酸配列にいくつかの相違点を有する
分子を表す。
置換変異体は、天然配列中の少なくとも1アミノ酸残
基が除去され、異なるアミノ酸がその同じ位置に挿入さ
れている分子を表す。置換は単一(分子中のただ1つの
アミノ酸が置換されている)であり得、あるいは複数
(同じ分子内の2個またはそれ以上のアミノ酸が置換さ
れている)であり得る。
挿入変異体は、天然配列中の特定の位置の1アミノ酸
のすぐ隣に1個またはそれ以上のアミノ酸が挿入されて
いる分子である。アミノ酸のすぐ隣とは、そのアミノ酸
のα−カルボキシルか、またはα−アミノ官能基かどち
らかに連結していることを意味する。
欠失変異体は、天然アミノ酸配列中の1個またはそれ
以上のアミノ酸が除去されている分子である。通常、欠
失変異体は分子の特定領域の1個または2個のアミノ酸
が欠失している。
用語「グリコシル化変異体」を用いて、天然の相対物
と異なるグリコシル化プロファイルを有する糖タンパク
質または天然形態(群)ではグリコシル化されていない
ポリペプチドのグリコシル化変異体を表す。ポリペプチ
ドのグリコシル化は一般にN結合またはO結合のもので
ある。N結合は、アスパラギン残基の側鎖に対するカル
ボヒドレート部分の結合を表す。3ペプチド配列、アス
パラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオ
ニン(ここにXはプロリンを除くいずれかのアミノ酸で
ある)は、アスパラギン側鎖に対するカルボヒドレート
部分の酵素的結合に関する認識配列である。O結合グリ
コシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリ
ンまたはスレオニンに対する糖、N−アセチルガラクト
サミン、ガラクトース、キシロースまたはフコースの1
つの結合を表すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−
ヒドロキシリシンもまた、O結合グリコシル化に関与し
得る。
用語「細胞「セルライン」および「細胞培養物」は互
換可能に用い、これらの表記はすべて後代(子孫)を含
むものである。また、ゆっくりした、あるいは偶然の突
然変異のせいで、すべての後代はDNA内容物が全く同一
であるわけではない。元々の形質転換細胞のスクリーニ
ングにおけると同じ機能または生物学的性質を有する突
然変異の後代が含まれる。
本発明で用いる「宿主細胞」は一般に原核生物または
真核生物宿主である。これらの宿主細胞は、例えば1992
年4月28日発行の米国特許第5,108,901号に開示されて
いる。適当な原核生物にはグラム陰性またはグラム陽性
生物、例えば大腸菌またはバチルスが含まれる。好まし
いクローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,446)である
が、他のグラム陰性またはグラム陽性原核生物、例えば
大腸菌B、大腸菌x1776(ATCC 31,537)、大腸菌W3110
(ATCC 27,325)もある。シュードモナス種、または霊
菌(Serrtia Marcesans)が適当である。原核生物に加
えて、糸状菌および酵母のような真核微生物は本発明の
適当なベクターに適切な宿主である。サッカロミセスセ
レビセシエまたは一般のパン酵母は、下等真核宿主微生
物の中で最も一般的に用いられるものの1つである。し
かし、上記引用特許および特許出願に開示されているよ
うなたくさんの他の属、種および株は一般に利用可能で
あり、本明細書中で有用である。本発明に好ましい酵母
株はサッカロミセスセレビシエHF7c(CLONTECH)であ
る。
適当な宿主細胞を多細胞生物から誘導することもでき
る。このような宿主細胞は複雑なプロセッシングおよび
グリコシル化活性を可能とする。ヒトのような哺乳類由
来の細胞が好ましいが、原理的には脊椎動物または無脊
椎動物培養細胞のいずれか由来の高等真核生物細胞培養
物が作動可能である。無脊椎動物細胞の例には植物およ
び昆虫細胞がある。例えば、Luckow et al.,Bio/Techno
logy 6,47−55(1988);Miller et al.,Genetic Engine
ering,Setlow et al.,eds.,vol.8,pp.277−279(Plenam
publishing 1986);and Mseda et al.,Nature 315,592
−594(1985)。脊椎動物細胞に最も大きな関心が寄せ
られ、培養物(組織培養物)中の脊椎動物細胞の増殖は
それ自体既知である。Tissue Culture,Academic Press,
Kruse and Patterson,eds.(1973)参照。有用な哺乳類
宿主セルラインの例にはSV40で形質転換したサル腎臓CV
1ライン(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓セ
ルライン(293または懸濁培養物中での成長に対してサ
ブクローニングした293細胞、Graham et al.,H.Gen.Vir
ol.,36,59(1977);仔ハムスター腎臓細胞9BHK,(ATCC
CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR
(CHO、Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,7
7,4216(1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Gi
ol.Reprod.23,243−251(1980);サル腎臓細胞(CV1AT
CC CCL 70);アフリカ緑ザル腎臓細胞(dells)(VERO
−76、ATCC CRL−1587);ヒト頸部ガン腫細胞(HELA、
ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);
バッファローラット肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マ
ウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mat
her et al.,Annual N.Y.Acad.Sci.383,44068(198
2));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝腫瘍セルライン
(Hep G2)がある。好ましい宿主細胞はヒト胎児腎臓29
3およびチャイニーズハムスター卵巣細胞である。本発
明に特に好ましいのは昆虫セルラインsf9およびバキュ
ロウイルス発現に適当な他の宿主である。Ausubel,Ch.1
6.9−16.11. 「形質転換」はDNAを生物内へ導入することにより、
染色体外成分として、あるいは染色体への組み込みによ
って、このDNAを複製可能とすることを意味する。
「作動可能に連結」は、適当な分子(例えば転写アク
チベータータンパク質)が調節配列に結合した場合、遺
伝子発現を可能とするように遺伝子および調節配列
(群)が連結されていることを意味する。
「トランスフェクション」は、コード配列が実際に発
現されるか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベク
ターの取り込みを表す。
用語「トランスフェクションされた宿主細胞」および
「形質転換された」は細胞へのDNAの導入を表す。この
細胞は用語「宿主細胞」で表し、原核細胞か、真核細胞
であり得る。代表的な原核宿主細胞には大腸菌の種々の
株が含まれる。代表的な真核宿主細胞は哺乳類のもの、
例えばチャイニーズハムスター卵巣またはヒト起源の細
胞である。導入されたDNA配列は宿主細胞と同じ種また
は異なる種由来のものであり得、あるいはいくつかの外
来および同種なDNAを含むハイブリッドDNA配列であって
よい。
用語「複製可能発現ベクター」および「発現ベクタ
ー」は、通常、外来DNA片を挿入されている二本鎖DNA片
を表す。外来DNAを宿主細胞中に天然には見られない異
種DNAと定義する。ベクターを用いて、外来または異種D
NAを適当な宿主細胞に輸送する。宿主細胞内に入った
後、このベクターは宿主染色体DNAから独立して複製す
ることができ、数コピーのベクターおよびその挿入(外
来)DNAが生じ得る。
用語「ベクター」は、適当な宿主内でDNA発現を行う
ことができる適当な制御配列に作動可能に連結されてい
るDNA配列を含むDNA構築体を意味する。このような制御
配列には、転写をもたらすプロモーター、このような転
写を制御する任意のオペレーター配列、適当なmRNAリボ
ソーム結合部位をコードする配列および転写および翻訳
の終結を制御する配列が含まれる。ベクターはプラスミ
ド、ファージ粒子または単なる潜在的ゲノム挿入物であ
り得る。適当な宿主に形質導入された後、このベクター
は宿主ゲノムから独立して複製し、機能することがで
き、あるいはいくつかの例ではゲノム自体に組み込まれ
得る。プラスミドは現在最も一般に用いられるベクター
の形態であるため、本明細書中では、「プラスミド」お
よび「ベクター」は互換可能に用いられるときもある。
しかし、本発明は、同等に機能し、当分野に既知であ
り、あるいは既知となる他の形態のベクターを含むこと
を意図するものである。哺乳類細胞培養物用の好ましい
発現ベクターはpRK5(EP 307,247、Rothe et al.,Cell,
supra)、pSV16B(WO 91/08291)およびpVL1392(Pharm
ingen)を基盤とするものである。
用語「抗体」は最も広い意味で用い、詳細には、単一
のモノクローナル抗体(アゴニストおよびアンタゴニス
ト抗体を含む)、多エピトープ特異性を有する抗体組成
物および所望の生物学的活性を示す限りの抗体断片(例
えばFab、F(ab')およびFv)を含む。抗体(Abs)
および免疫グロブリン(Igs)は同じ構造的特徴を有す
る糖タンパク質である。抗体は特異的抗原に対する結合
特異性を示すが、免疫グロブリンには抗体および抗原特
異性を持たない他の抗体様分子の両方が含まれる。後者
のポリペプチドは、例えばリンパ系によって少量生産さ
れ、骨髄腫によって大量に生産される。
天然の抗体および免疫グロブリンは通常、約150,000
ダルトンのヘテロ4量体糖タンパク質であり、2個の同
一の軽(L)鎖および2個の同一の重(H)鎖から構成
されている。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合で重
鎖と結合し、一方、重鎖間のジスルフィド結合の数は、
異なる免疫グロブリンイソタイプ間で変化する。また各
重鎖および軽鎖は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド橋
を有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(VH)を有し、
いくつかの不変(定常)領域が続いている。各軽鎖は一
端に可変ドメイン(VL)を有し、他端に不変領域を有す
る。軽鎖の不変ドメインは重鎖の第一不変ドメインと並
べられ、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並
べられている。特定のアミノ酸残基は軽鎖可変ドメイン
および重鎖可変ドメイン間のインターフェイスを形成す
ると信じられている(Clothis et al.,J.Mol.Biol.186,
651−663(1985);Novothy and Haber,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,82,4592−4596(1985)。
用語「可変」とは、可変ドメインのある部分の配列が
抗体間で大きく異なっていることであり、これはその特
定抗原に対する各特定抗体の結合および特異性に利用さ
れる。しかし、この可変性は、抗体の可変ドメインを通
して均等に分布しているわけではない。これは、軽鎖お
よび重鎖の両可変ドメイン中、相補性決定領域(CDRs)
または超可変領域と称される3つのセグメントに集中し
ている。可変ドメインのより高度に保存されている部分
はフレームワーク(FR)と称される。天然重鎖および軽
鎖の可変ドメインはそれぞれ、大部分がβシート配置を
とり、3個のCDRが連結している4個のFR領域を含み、
βシート構造に連結するか、その一部を形成しているこ
ともあるループを形成する。各鎖のCDRはFR領域に近接
していっしょに存在し、他の鎖のCDRとともに抗体の抗
原結合部位の形成に寄与する(Kabat,E.A.,Sequences o
f Proteins Immunological Interest,National Institu
te of Health,Bethesda,MD 1991参照)。不変ドメイン
は、抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、抗体
依存性細胞毒性への抗体の関与などの種々のエフェクタ
ー機能を示す。
抗体をパパイン消化すると、それぞれ単一の抗原結合
部位を有するFab断片と称される2個の同一の抗原結合
断片および残りの「FC」断片(この名称は容易に結晶化
する能力を反映している)を生じる。ペプシンで処理す
ると、2個の抗原結合部位を有し、さらに抗原を架橋す
ることができるF(ab')断片が生じる。
「Fv」は完全な抗原認識および結合部位を有する最小
抗体断片である。この領域は1個の重鎖および1個の軽
鎖の可変ドメインの堅い非共有結合性2量体から構成さ
れる。この配置では、各可変ドメインの3個のCDRが相
互作用し、VH−VL2量体表面の抗原結合部位を規定して
いる。6個のCDRは集合体として抗体に抗原結合特異性
を与える。しかし、完全な結合部位より低いアフィニテ
ィーではあるが、単一の可変ドメイン(または抗原に特
異的な3個のCDRのみを含む半分のFv)でさえ抗原を認
識し、結合する能力を有する。
また、Fab断片は軽鎖の不変ドメインおよび重鎖の第
一不変ドメイン(CH1)を含む。Fab'断片は重鎖CH1ドメ
インのカルボキシル末端に抗体ヒンジ領域由来の1個ま
たはそれ以上のシステインを含む数残基が付加している
点で、Fab断片と異なる。本明細書中、Fab'−SHは、不
変ドメインのシステイン残基(群)が遊離のチオール基
を有しているFab'に対する表記である。F(ab')
体断片は元来、間にヒンジシステインを有するFab'断片
の対として生じたものである。抗体断片の他の化学的カ
ップリングもまた既知である。
脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の軽鎖は、
その不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパー
(κ)およびラムダ(λ)と称される2つの明確なタイ
プのうちの1つに分類される。
重鎖の不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて、免疫
グロブリンを種々のクラスに分類することができる。5
個の免疫グロブリンの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、Ig
GおよびIgMが存在し、これらのいくつかはさらにサブク
ラス(イソタイプ)、例えばIgG−1、IgG−2、IgG−
3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2に分けることが
できる。種々のクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖
不変ドメインはそれぞれα、Δおよびμと称される。種
々のクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および
三次元配置は周知である。
本明細書中で用いる用語「モノクローナル抗体」は、
実質的に均質な抗体集団から得られる抗体、すなわちそ
の集団を構成する個々の抗体が、少量存在し得る可能な
自然発生の突然変異を除いて同一であることを特徴とす
る抗体を表す。モノクローナル抗体は高度に特異的な、
単一の抗原部位に対するものである。さらに、通常、種
々の決定子(エピトープ)に対する種々の抗体を含む慣
用の(ポリクローナル)抗体と対照的に、各モノクロー
ナル抗体は抗原の単一の決定子に対するものである。そ
の特異性に加えて、モノクローナル抗体はハイブリドー
マ培養物により他の免疫グロブリンを混入させずに合成
できる点で有利である。修飾語「モノクローナル」と
は、実質的に均質な抗体集団から得られたという抗体の
特徴を示すが、これはいずれかの特定の方法による抗体
の生産を必要とするものであると考えるべきではない。
例えば、本発明にしたがって用いるモノクローナル抗体
は、Kohler and Milstein,Nature 256,495(1975)に初
めて記載されたハイブリドーマ法によって製造するか、
あるいは組換えDNA法によって製造することができる
(例えば、U.S.P.4,816,567参照)。
詳細には本明細書中のモノクローナル抗体は、重鎖お
よび/または軽鎖の一部が、特定の種由来の抗体の対応
する配列と同一または相同であるか、あるいは特定の抗
体クラスまたはサブクラスに属し、一方、鎖(群)の残
りがもう1つの種由来の抗体の対応する配列と同一また
は相同であるか、あるいはもう1つの抗体クラスまたは
サブクラスに属する「キメラ」抗体(免疫グロブリン)
および所望の生物学的活性を示す限りのその断片を含む
(USP 4,816,567);Morrison et al,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,81,6851−6855(1984)。
「ヒト化」形態の非ヒト(例えばマウス)抗体は、非
ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含むキメラ免疫グ
ロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えばF
v、Fab、Fab'、F(ab')または抗体の他の抗原結合
配列)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、受容者
の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異
性、アフィニティーおよび能力を有する非ヒト種(供与
抗体)、例えばマウス、ラットまたはウサギのCDR由来
の残基で置換されているヒト免疫グロブリン(受容抗
体)である。ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残
基が対応する非ヒト残基で置換されていることもある。
さらにヒト化抗体は、受容抗体にも導入CDRまたはフレ
ームワーク配列にも見られない残基を含み得る。これら
の修飾を行い、抗体の能力をさらに洗練し、最適化す
る。一般に、ヒト化抗体は、すべてあるいは実質的にす
べてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応
し、すべてあるいは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫
グロブリンコンセンサス配列のFR領域である実質的にす
べての、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイ
ンを含む。このヒト化抗体はまた、免疫グロブリン不変
領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロ
ブリン由来のものを含むのが最適である。さらに詳細に
は、Jones et al,Nature 321,522−525(1986);Reichm
ann et al.,Nature 332,323−329(1988)and Presta,C
urr.Op.Struct.Biol.2,593−596(1992)参照。
I. O−フコシルトランスフェラーゼの同定および精製 例えば天然のO−フコシルトランスフェラーゼを、O
−フコシルトランスフェラーゼmRNAを保持し、それを検
出可能なレベルで発現している組織から同定し、精製す
ることができる。例えば、ラットO−フコシルトランス
フェラーゼをラット肝臓mRNAから得ることができる(手
法はSadler et al.,Methods Enzymol.83,458−514(198
2)参照)。例えば、本発明にしたがって、ヒトO−フ
コシルトランスフェラーゼを心臓、筋肉、腎臓および膵
臓から調製することができる(図10参照)。さらに、組
織ソースからの発現タンパク質中にO−フコースが存在
することに基づいて、そのmRNAを発現している組織から
天然O−フコシルトランスフェラーゼを同定し、精製す
ることができる。
当分野で一般に用いる技術によって細胞溶解物を調製
する。例えば、イミダゾール緩衝NaCl水溶液中で超音波
処理後、遠心する。次いでこの上清を、所望の精製度に
応じて一連のアフィニティーカラムにアプライすること
ができる。まず、我々は、アニオン交換カラム、次いで
ヌクレオチド結合樹脂カラムが効率的であることを発見
した。当分野で一般に用いるいずれかのアニオン交換樹
脂が適当であるが、DE−52(Whatman)が好ましい。適
当なヌクレオチド結合樹脂は当業者には明白であるが、
本発明での使用に好ましいのは色素樹脂、例えばCibacr
on Blue 3GAである。特に好ましいのはAffi−Gel Blue
(BioRad)である。これらの初期精製工程後に、いくつ
かのO−フコシルトランスフェラーゼ活性が得られる
が、実質的により高度な活性を得るため、O−フコシル
トランスフェラーゼに対する受容基質および供与基質類
似体がアフィニティー樹脂に結合しているアフィニティ
ーカラムを含むさらなるクロマトグラフィー工程が連続
適用されるべきである。この供与基質類似体はフコシル
トランスフェラーゼの精製に一般に用いられるいずれか
のものであり得る。例えば、Sepharose 4Bまたは他の適
当なアガロース樹脂と結合しているGDP−ヘキサノール
アミンである.Beyer et al.,J.Biol.Chem.255(11),53
64−5372(1980)。
まず、O−グリコシル化フコースを含むポリペプチド
ドメインを同定し、次いで一般に用いるクローニング技
術を適用して増幅した後、発現産物を精製することによ
って、受容基質リガンドを調節する。組換え発現に用い
ることができる特定の技術は、以下にO−フコシルトラ
ンスフェラーゼの発現に関して説明されている技術と同
様である。特に有用なリガンドはヒト因子VIIの第一EGF
ドメインから創出することができる。我々は、通常、シ
グナルペプチドおよび発現リガンド間に位置するポリヒ
スチジンタグをC末端に置いた場合、リガンドおよびア
フィニティー樹脂間の結合が高められることを発見し
た。
受容基質リガンドとともに用いるのに好ましいアフィ
ニティー樹脂はアガロースと結合した金属キレート樹脂
またはIMAC(固定化金属アフィニティークロマトグラフ
ィー)である。金属キレート樹脂の使用により、EGFリ
ガンドが、ポリヒスチジン配列の位置にしたがい、規定
の方向で樹脂に結合することが可能となる。前述のよう
に、我々は、ポリヒスチジンタグがcDNA挿入物のN末端
よりもC末端に挿入された場合に、リガンド−樹脂結合
が高められることを発見した。非常に穏やかな条件下、
イミダゾールまたはEDTAのようなリガンドを用いてタン
パク質を溶出させることができる。組換えEGFと金属ア
フィニティー樹脂アガロースのカップリングは非常に単
純かつ迅速であり、好ましくはこの樹脂とリガンドをト
リス緩衝液中で混合することによって行う。さらに、組
換えEGFをニッケルカラムでの初期精製なしに用いるこ
とが可能である。適当な金属アフィニティー樹脂の例
は、IMAC樹脂、例えばNi2+−NTA(ニトロ三酢酸)(Qia
gen)およびイミノ二酢酸(Pharmacia)と結合している
金属リガンド樹脂である。
II. O−フコシルトランスフェラーゼの組換え生産 好ましくは、O−フコシルトランスフェラーゼ核酸を
発現するようにトランスフェクションされた細胞を培養
する標準組換え法によって、本発明のO−フコシルトラ
ンスフェラーゼポリペプチドを調製する。代表的な標準
方法は、細胞を発現ベクターで形質転換し、細胞からポ
リペプチドを回収することによる方法である。しかし、
相同組換えによって、あるいはO−フコシルトランスフ
ェラーゼをコードするDNAをすでに含有する細胞に導入
された制御因子を利用する組換え生産方法によってO−
フコシルトランスフェラーゼポリペプチドを生産し得る
ことも考えられる。例えば、目的の宿主細胞に、所望の
O−フコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコード
するDNAの転写に影響するのに十分な配向に近接して、
強力なプロモーター/エンハンサー因子、サプレッサー
または外因性の転写調節因子を挿入することができる。
この制御因子はO−フコシルトランスフェラーゼをコー
ドするものではなく、このDNAは宿主制御ゲノムに固有
のものである。次に、細胞を本発明のポリペプチドの産
生または発現量の増加もしくは減少に関して望ましいよ
うにスクリーニングする。組換えDNA技術の一般技術に
ついては、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:
A Laboratory Manual,2d Edition,(Cold Spring Harbo
r Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)およびA
usubel et al,Current Protocols in Molecular Biolog
y,John Wiley and Sons,Inc.,USA(1995)に開示されて
いる。
したがって、本発明は、O−フコシルトランスフェラ
ーゼポリペプチドをコードする核酸を含む細胞のゲノム
に、該核酸分子の転写に影響するのに十分な近接さおよ
び配向で転写調節エレメントを挿入すること、および所
望により、転写調節因子および核酸分子を含む細胞を培
養するさらなる工程を含むO−フコシルトランスフェラ
ーゼの製造方法を考慮する。また、本発明は、宿主細胞
によって認識される外因性制御配列と作動可能に連結し
ている固有のO−フコシルトランスフェラーゼペプチド
ヌクレオチドを含む宿主細胞を考慮する。
A. O−フコシルトランスフェラーゼをコードするDNA
の単離 本発明の目的のため、O−フコシルトランスフェラー
ゼポリペプチドをコードするDNAをO−フコースグリコ
シル化ポリペプチドをコードするmRNAを含み、それを検
出可能なレベルで発現すると考えられている組織から調
製されたcDNAライブラリーから得ることができる。例え
ば、EGFドメインを有するO−フコースグリコシル化ポ
リペプチドを発現することが知られているセルライン由
来のポリペプチド化mRNAを得、このmRNAを鋳型として用
いて二本鎖cDNAを合成することによって、cDNAライブラ
リーを構築することができる。この目的に適当なヒトお
よび非ヒトセルラインを「宿主細胞」と表記して上記リ
ストに挙げた。
関心ある遺伝子またはそれによってコードされるタン
パク質の同定用のプローブでcDNAまたはゲノムのライブ
ラリーをスクリーニングする。cDNA発現ライブラリーに
関して、適当なプローブには、O−フコシルトランスフ
ェラーゼ酵素を認識し、特異的に結合するモノクローナ
ルおよびポリクローナル抗体がある。cDNAライブラリに
関して、適当なプローブには、同種または異種由来のO
−フコシルトランスフェラーゼポリペプチドの既知の、
あるいは疑わしい部分をコードする注意深く選択された
オリゴヌクレオチドプローブ(通常、長さ約20〜80塩
基)、および/または同遺伝子または類似の遺伝子をコ
ードする相補的な、あるいは相同なcDNAまたはその断片
が含まれる。ゲノムDNAライブラリーのスクリーニング
に適当なプローブには、同じあるいは類似の遺伝子をコ
ードするオリゴヌクレオチド、cDNAまたはその断片、お
よび/または相同なゲノムDNAまたはその断片が含まれ
るが、これらに限定されない。Sambrook et al,Molecul
ar Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor
Press,New York(1989)の10−12章;およびAusubel et
al,Current Protocols in Molecular Biology,John Wi
ley and Sons,USA(1995)の6章に記載の標準手法を用
いて、選択されたプローブでcDNAまたはゲノムのライブ
ラリーのスクリーニングを行うことができる。
本発明の好ましい実施方法は、注意深く選択されたオ
リゴヌクレオチド配列を用いて種々の組織由来のcDNAラ
イブラリーをスクリーニングすることである。この選択
されたオリゴヌクレオチド配列は、偽陽性が最小になる
ように十分な長さを有し、十分に明確であるべきであ
る。実際のヌクレオチド配列(群)は通常、最小のコド
ン重複性(縮重)を有するO−フコシルトランスフェラ
ーゼの領域に基づいて設計される。このオリゴヌクレオ
チドを1個またはそれ以上の位置で縮重させることがで
きる(すなわち規定のアミノ酸(群)に対する可能なコ
ドンの混合物)。優先的なコドンの使用が未知である種
由来のライブラリーをスクリーニングするのに、縮重オ
リゴヌクレオチドの使用は特に重要である。
オリゴヌクレオチドはスクリーニングされるライブラ
リー中のDNAに対するハイブリッド形成について検出可
能であるようにラベルされていなければならない。好ま
しいラベル方法はATP(例えばγ32P)およびポリヌクレ
オチドキナーゼを用いてオリゴヌクレオチドの5'末端を
放射性ラベルすることである。しかし、ビオチニル化ま
たは酵素ラベリング(これらに限定されない)などの他
の方法を用いて、オリゴヌクレオチドをラベルしてもよ
い。
他の既知の組換えDNA技術、例えば、1987年7月28日
発行のU.S.P.4,683,195、上記Sambrookらのセクション1
4または上記Ausubelらの15章に記載の直接発現クローニ
ングまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いること
によってO−フコシルトランスフェラーゼをコードする
cDNAを同定し、単離することができる。この方法はO−
フコシルトランスフェラーゼをコードするDNAとハイブ
リッド形成するオリゴヌクレオチドプローブの使用を必
要とする。
1つの種由来のO−フコシルトランスフェラーゼをコ
ードするcDNAを単離すると、種交差ハイブリッド形成に
よって他の種由来のcDNAを単離することができる。この
アプローチによれば、間違ったポジティブを最小にする
ように、配列が十分な長さを有し、十分に明確であるべ
きであるという既知の判断基準にしたがい、既知のO−
フコシルトランスフェラーゼ配列(例えば、ヒト心臓ま
たはCHO)から選択されたラベルしたオリゴヌクレオチ
ド配列でヒトまたは他の哺乳類のcDNAまたはゲノムライ
ブラリーをプローブする。通常、特に1個またはそれ以
上のメチオニンまたはトリプトファンのコドンを含む場
合には、約30〜50塩基を有する32Pラベルオリゴヌクレ
オチドが十分である。単離される核酸は、核酸ソース由
来の他のポリペプチドをコードする混入核酸から分離同
定されるDNAである。
配列が既知となれば、既知の技術に基づく化学合成に
よって、特定のO−フコシルトランスフェラーゼポリペ
プチドをコードする遺伝子を得ることができる。例え
ば、Engles and Uhlmann,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.28,7
16(1989)。これらの方法にはトリエステル、ホスファ
イト、ホスホルアミダイトおよびH−ホスホレート法、
PCRおよび他のオートプライマー法、および固形支持体
でのオリゴヌクレオチド合成が含まれる。
B.天然O−フコシルトランスフェラーゼタンパク質また
は断片のアミノ酸配列変異体 適当なヌクレオチド変化を天然または変異O−フコシ
ルトランスフェラーゼに導入するか、あるいは所望のポ
リペプチドをインビトロ合成する当分野に既知の方法に
よって、天然O−フコシルトランスフェラーゼおよびそ
の機能的断片のアミノ酸配列変異体を調製する。アミノ
酸配列変異体の構築には2つの主要な可変因子があり、
それらは突然変異部位の位置および突然変異の性質であ
る。O−フコシルトランスフェラーゼをコードするDNA
配列の操作を必要としない自然発生の対立遺伝子を除い
て、O−フコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列の
変異体はDNAを突然変異させ、自然発生しない対立遺伝
子またはアミノ酸配列の変異を導くことによって構築す
ることが好ましい。
達成すべき目的に応じて、種々の種由来のO−フコシ
ルトランスフェラーゼの種々の位置に、あるいは高度に
保存されている領域にアミノ酸変更を施すことができ
る。例えば、ポリペプチドのEGFドメインに対するより
高いアフィニティーを有する酵素を生じる突然変異は天
然O−フコシルトランスフェラーゼの阻害物質として有
用であろう。さらにまた、このような変異体はO−フコ
シルトランスフェラーゼの過剰発現に付随する病的症状
の診断に有用である。さらに、O−フコシルトランスフ
ェラーゼの阻害物質は、O結合フコースが存在すること
によって少なくとも部分的に決定される効力を有するタ
ンパク質または因子に関連する症状の処置に有用である
ことが予期されよう。
突然変異部位は典型的に、例えば(1)まず保存的選
択、次いで達成される結果に応じて、より急進的な選択
による置換、(2)残基中の標的残基の欠失、あるいは
(3)同じクラスまたは異なるクラスの残基のその位置
決定部位に近接した挿入、または任意の(1)−(3)
の組み合わせによって連続して修飾される。
1つの有用な技術は「アラニンスキャン」(Cunningh
am and Wells,Science 244,1081−1085(1985))と称
されるものである。ここでは、残基または標的残基群を
同定し、アラニンまたはポリアラニンで置換する。次い
で、さらなるまたは他の置換分をアラニン置換部位に、
あるいはそれに対して導入することによって、アラニン
置換に対して機能的感受性を示すこれらのドメインを洗
練する。
所望の突然変異(群)を同定した後、例えば、本明細
書中上記の化学合成によってO−フコシルトランスフェ
ラーゼ変異体をコードする遺伝子を得ることができる。
より好ましくは、O−フコシルトランスフェラーゼの
初期調製変異体または非変異体をコードするDNAの部位
標的突然変異誘発によって、O−フコシルトランスフェ
ラーゼアミノ酸変異体配列をコードするDNAを調製す
る。部位標的(部位特異的)突然変異誘発は、所望の突
然変異のDNA配列および十分な数の隣接ヌクレオチドを
コードする特異的オリゴヌクレオチド配列を用いて、ト
ラバースされた欠失連結部位の両側に安定な二本鎖を形
成するのに十分なサイズおよび配列の複雑さのプライマ
ー配列を得ることにより、O−フコシルトランスフェラ
ーゼ変異体の生産を可能とする。典型的には、変更され
る配列の連結部位の両端の約5〜10残基を有する約20〜
25ヌクレオチド長のプライマーが好ましい。Edelman et
al,DNA 2,183(1983)のような出版物に例示されてい
るように、概して、部位特異的突然変異誘発技術は当分
野に周知である。部位特異的突然変異誘発技術は一般
に、一本鎖および二本鎖両形態で存在するファージベク
ターを用いることが認識されよう。部位標的突然変異誘
発に有用な代表的ベクターには、例えばMessing et al,
Third Cleveland Symposium on Macromolecules and Re
combinant DNA,A.Walton,ed.,Elsevier,Amsterdam(198
1)に開示のM13ファージのようなベクターが含まれる。
このファージベクターおよび他のものは市販されてお
り、その使用は当業者に周知である。M13派生ベクター
を用い、DNA断片の部位特異的突然変異用のオリゴデオ
キシリボヌクレオチドを構築する広い用途の効率的な手
法は、Zoller,MJ and Smith,M,Nucleic Acids Res.10,6
487−6500(1982)に公開されている。また、一本鎖フ
ァージ複製起点を含むプラスミドベクター、Veira et a
l.,Meth.Enzymol.153,3(1987)を用いて、一本鎖DNAを
得ることができる。別法として、適当なDNA断片をイン
ビトロで合成し、それを当分野に既知のPCR手法で増幅
することによって、ヌクレオチド置換を導入する。
一般に、まず本タンパク質をコードするDNA配列をそ
の配列内に含む一本鎖ベクターを得ることによって、部
位特異的突然変異誘発を行う。例えば、Crea et al,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 75,5765(1978)に記載の方法に
よって、通常、合成により所望の突然変異配列を有する
オリゴヌクレオチドプライマーを製造する。次いでこの
プライマーを一本鎖のタンパク質配列含有ベクターとア
ニーリングし、DNAポリマー化酵素、例えば大腸菌ポリ
メラーゼIクレノー断片に付し、突然変異含有鎖の合成
を完了させる。これにより、一方の鎖は本来の非突然変
異配列をコードし、第二の鎖は所望の突然変異を有する
ヘテロ二本鎖が形成される。次いで、このヘテロ二本鎖
ベクターを用いて、適当な宿主細胞、例えばJP101細胞
を形質転換させ、突然変異配列を有する組換えベクター
を含むクローンを選択する。その後、この突然変異領域
を取り出し、適当なタンパク質生産用発現ベクターに導
入することができる。
また、PCR技術を用いて、O−フコシルトランスフェ
ラーゼのアミノ酸配列変異体を創出することができる。
少量の鋳型DNAをPCRの出発物質として用い、鋳型DNAの
対応領域と配列がわずかに異なるプライマーを用いて、
プライマーが鋳型と異なる位置でのみ鋳型配列と異なる
比較的大量の特定DNA断片を製造することができる。プ
ラスミドDNAに突然変異を導入するためには、一方のプ
ライマーを突然変異部位とオーバーラップさせ、その突
然変異を含むように設計し;他方にプライマーの配列が
プラスミドのある範囲の反対鎖の配列と同一でなければ
ならないが、この配列はプラスミドDNAに沿っていずれ
の位置にでも存在可能である。しかし、第二のプライマ
ーの配列は第一のプライマーの配列から200ヌクレオチ
ド以内に存在し、最終的にプライマーが結合したDANの
全増幅領域の配列を容易に決定できるようにするのが好
ましい。記載のようなプライマー対を用いるPCR増幅の
結果、プライマーによって特定される突然変異部位、お
よび鋳型複製がいくらかエラーを起こす傾向があるた
め、おそらく他の部位で異なるDNA断片集団が生じる。
生成物質に対する鋳型の割合が極端に少ない場合、大
多数の生成DNA断片は所望の突然変異(群)を有する。
この生成物質を用い、標準DNA技術を用いてPCR鋳型とし
て働くプラスミドの対応領域を置換する。突然変異の第
二のプライマーを用いるか、あるいは異なる突然変異プ
ライマーを用いて第二のPCRを行い、得られた2種のPCR
断片を同時に3個(またはそれ以上)の部分の連結によ
ってベクター断片に連結することによって、種々の部位
の突然変異を同時に導入できる。
PCR突然変異誘発の具体例では、鋳型プラスミドDNA
(1μg)を、増幅すべき領域の外側のプラスミドDNA
中に唯一の認識部位を有する制限エンドヌクレアーゼで
消化することによって直線状にする。この物質のうち、
100ngをGeneAmpRキット(Perkin−Elmer Cetus,Norwal
k,CT and Emeryville,CAより入手)に含まれる4種のデ
オキシヌクレオチド三リン酸を含むPCR緩衝液およびそ
れぞれのオリゴヌクレオチドプライマー25pmoleを含有
するPCR混合物に加え、最終容量を50μLとする。この
反応混合物に鉱油35μLを重ねる。この反応物を100℃
で5分間変性させ、氷上に短時間置き、次いでThermus
aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ(5ユニット/L)(P
erkin−Elmer Cetus,Norwalk,CT and Emeryville,CAか
ら購入)1μLを鉱油層下に加える。次いでこの反応混
合物をDNA熱サイクラー(サーマルサイクラー、Cetusか
ら購入)に挿入し、以下のようにプログラムする: 2分間55℃ 30秒間72℃、次いで以下を19サイクル: 30秒間94℃ 30秒間72℃ 計画の最後で、反応容器を熱サイクラーから取り出
し、水相を新しい容器に移し、フェノール/クロロホル
ム(50:50容量)で抽出し、エタノール沈殿させ、標準
手法によってDNAを回収する。次いでこの物質をベクタ
ーに挿入するために適当に処理する。
もう1つの変異体の調製方法であるカセット突然変異
誘発は、Wells et al,Gene 34,315(1985)に記載の技
術に基づくものである。この出発物質は、変異を受ける
O−フコシルトランスフェラーゼDNAを含むプラスミド
(またはベクター)である。変異を受けるO−フコシル
トランスフェラーゼ内のコドン(群)を同定する。同定
された突然変異部位(群)の各側に唯一の制限エンドヌ
クレアーゼ部位が存在しなければならない。このような
制限部位が存在しない場合、上記オリゴヌクレオチド媒
介の突然変異誘発法を用いてこれらを作成し、O−フコ
シルトランスフェラーゼDNAの適当な部位に導入するこ
とができる。制限部位をプラスミドに導入した後、この
プラスミドをこれらの部位で切断し、直線状にする。標
準手法を用いて、この制限部位間のDNA配列をコードす
るが、所望の突然変異(群)を含む二本鎖オリゴヌクレ
オチドは合成する。2つの鎖を別々に合成し、次いで標
準技術を用いて、互いにハイブリッド形成させる。この
二本鎖オリゴヌクレオチドをカセットと称する。このカ
セットは直線状プラスミドの末端と互換性のある3'末端
および5'末端を有するようにし、プラスミドに直接連結
可能とする。このプラスミドは今や突然変異O−フコシ
ルトランスフェラーゼDNA配列を含む。
前述および類似の突然変異誘発技術についてのさらな
る詳細な記述は、一般的分子生物学の文献、例えばSamb
rook et al、上記およびCurrent Protocols in Molecul
ar Biology,Ausubel,et al.、上記に見られる。
一般的な側鎖の性質に基づく特定のアミノ酸残基の置
換もまた、本発明の範囲内において想定される。一般的
な側鎖の性質に基づいて、天然発生のアミノ酸を以下の
群に分類する: (1)疎水性:ノルロイシン、メチオニ、アラニン、バ
リン、ロイシン、イソロイシン; (2)中性疎水性:システイン、セリン、スレオニン; (3)酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸; (4)塩基性:アスパラギン、グルタミン、ヒスチジ
ン、リシン、アルギニン; (5)鎖の方向に影響する残基:グリシン、プロリン;
ならびに (6)芳香族:トリプトファン、チロシン、フェニルア
ラニン。
保存的置換には、1つの群内のメンバーを同じ群内の
もう1つのメンバーと交換することが関与するが、一
方、非保存的置換はこれらの群の1つのうちのメンバー
を他のものと交換することを意味する。非保存的置換に
よって得られた変異により、得られた変異体の生物学的
性質/機能において重大な変化が生じ、非機能的O−フ
コシルトランスフェラーゼが得られることがあり得ると
予期される。生物学的機能の保持が目的であれば、概し
て、種々の種間で保存されているアミノ酸位置を比較的
保存的な様式で置換する。
アミノ酸配列欠失は約1〜30残基、より好ましくは約
1〜10残基の範囲であり、典型的には隣接するものであ
る。欠失は触媒ドメインに直接含まれない領域に導入す
ることができる。
アミノ酸挿入には、長さが1残基から100またはそれ
以上の残基を含むポリペプチドまでの範囲のアミノおよ
び/またはカルボキシル末端融合、および単一または複
数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。配列内挿入
(すなわち、O−フコシルトランスフェラーゼアミノ酸
配列の範囲内の挿入)は概して、約1〜約10残基、より
好ましくは1〜5残基、最も好ましくは1〜3残基の範
囲であり得る。末端挿入の例には、N末端メチオニン残
基を有するO−フコシルトランスフェラーゼポリペプチ
ド、細菌組換え細胞培養物内のその直接発現の人工産物
および組換え宿主細胞からの成熟O−フコシルトランス
フェラーゼの分泌を促進する異種のN−末端シグナル配
列のO−フコシルトランスフェラーゼ分子のN末端への
融合が含まれる。このようなシグナル配列は概して、意
図する宿主細胞種から得られ、それゆえ意図する宿主細
胞種と相同なものであろう。適当な配列には、大腸菌用
のSTIIまたはlpp、酵母用のα因子、および哺乳類細胞
用のヘルペスgDのようなウイルスシグナルが含まれる。
変異O−フコシルトランスフェラーゼの性質を前もっ
て予測することは困難であることが多いため、最適な変
異体を選択するいくつかのスクリーニングが必要である
ことが認識されよう。
C. DNAのクローニングビヒクルへの挿入 天然または変異O−フコシルトランスフェラーゼをコ
ードする核酸が利用可能となった後は、通常、これをさ
らなるクローニング(このDNAの増幅)用または発現用
の複製可能な発現ベクターに連結する。
発現ベクターおよびクローニングベクターは当分野に
周知であり、1つまたはそれ以上の選択された宿主細胞
内でベクターを複製可能とする核酸配列を含む。適当な
ベクターの選択は、1)DNA増幅用に用いるのか、ある
いはDNA発現用に用いるのか、2)ベクターに挿入するD
NAのサイズ、および3)ベクターで形質転換する宿主細
胞に依存する。各ベクターはその機能(DNAの増幅また
はDNAの発現)および適合性のある宿主細胞に応じて種
々の成分を含む。概して、ベクター成分には1つまたは
それ以上の以下のものが含まれるがこれらに限定されな
い:シグナル配列、複製起点、1つまたはそれ以上のマ
ーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモータおよび転
写終結因子。
(1)シグナル配列成分 概して、シグナル配列はベクターの成分であり得、あ
るいはベクターに挿入されるO−フコシルトランスフェ
ラーゼ分子の一部であり得る。シグナル配列が異種のも
のである場合、これが宿主細胞によって認識され、処理
(プロセッシング)(例えば、シグナルペプチドダーゼ
による開裂)されるように選択するべきである。
O−フコシルトランスフェラーゼはおそらく膜結合タ
ンパク質であるため、天然のシグナル配列を有している
可能性が高い。この天然シグナル配列を用いることがで
き、あるいは他のものを選択することができる。原核宿
主細胞に適当な異種シグナル配列は原核シグナル配列、
例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lp
p、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーであ
る。酵母分泌用には、酵母インベルターゼ、α因子また
は酸ホスファターゼリーダーを用いることができる。哺
乳類細胞発現では、哺乳類のシグナル配列が適当であ
る。
(2)複製起点成分 発現およびクローニングベクターの両者は、1つまた
はそれ以上の選択された宿主細胞内でのベクターの複製
を可能とする核酸を含む。概して、クローニングベクタ
ー中、本配列はベクターが宿主染色体から独立して複製
することを可能とする配列であり、複製起点または自立
複製配列を含む。このような配列は種々の細菌、酵母お
よびウイルスについて周知である。周知のプラスミドpB
R322由来の複製起点はほとんどのグラム陰性細菌に適当
であり、2μプラスミドの起点は酵母に適当であり、種
々のウイルスの起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイル
ス、VSV、BPV)は哺乳類細胞内のクローニングベクター
として有用である。哺乳類の発現ベクターについては複
製起点が必要ない(SV40の起点は、一般にそれが初期プ
ロモーターを含んでいるという理由で用いられるにすぎ
ない)。ほとんどの発現ベクターは「シャトル」ベクタ
ーであり、すなわちこれらは少なくとも1つのクラスの
生物内で複製可能であるが、発現用の他の生物にトラン
スフェクションされ得る。例えば、ベクターを大腸菌内
でクローニングした後、同ベクターを、たとえ宿主染色
体から独立して複製できなくても、発現用の酵母または
哺乳類細胞に導入、形質転換することができる。
また、DNAを宿主ゲノム内に挿入することによってク
ローニングする。これはバチルス種を宿主として用い、
例えばバチルスゲノムDNA内に見られる配列に相補的なD
NA配列をベクターに含ませることによって容易に行うこ
とができる。このベクターでバチルスをトランスフェク
ションした結果、ゲノムと相同組換えを生じ、所望の異
種ポリペプチドをコードするDNAが挿入される。しか
し、コード化ポリペプチド分子を切り出すのに制限酵素
消化が必要であるため、ゲノムDNAの回収は外因性の複
製ベクターの回収より複雑である。
(3)選択遺伝子成分 発現ベクターおよびクローニングベクターは選択可能
マーカーと称されることもある選択遺伝子を含むべきで
ある。これは、ベクターで形質転換された宿主細胞の生
存または生育に必要なタンパク質をコードする遺伝子で
ある。本遺伝子の存在は、このベクターを欠失した宿主
細胞が形質転換宿主と比べ、生育または複製における利
点を得ないであろうことを保証する。典型的な選択遺伝
子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシ
リン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサ
イクリンに対する耐性を与えるタンパク質、(b)自主
栄養欠損を補うタンパク質または(c)混合培地から利
用不能な重要な栄養素を供給するタンパク質をコードす
る。例えばバチルスに関するD−アラニンラセミ化酵素
をコードする遺伝子である。
選択機構の1つの例は薬物を用いて宿主細胞の生育を
抑制することである。異種遺伝子により首尾よく形質転
換された細胞は、薬物耐性を与えるタンパク質を発現
し、選択支配から生存する。このような支配的選択の例
は、薬物ネオマイシン(Southern et al.,J.Molec.App
l.Genet.1,327(1982))、ミコフェノール酸(Mulliga
n et al.,Science 209,1422(1980))またはヒグロマ
イシン(Sudgen et al.,Mol.Cel.Biol.5,410−413(198
5)を用いるものである。上記3例は真核制御下で細菌
の遺伝子を用い、適当な薬物G418またはネオマイシン
(ジェネティシン(geneticin))、xgpt(マイコフェ
ノール酸)またはヒグロマイシンそれぞれに対する耐性
を与える。
哺乳類細胞に関する適当な選択可能マーカーの他の例
は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナ
ーゼである。このようなマーカーは、所望の核酸を取り
込む能力を有した細胞の同定を可能とする。形質転換体
のみがマーカーを取り込んだ効果により唯一生存適合す
る選択圧下に、哺乳類細胞の形質転換体を置く。培地中
の選択物質の濃度を連続的に変化させた条件下で形質転
換体を培養することにより、選択圧を課し、それにより
選択遺伝子および所望のポリペプチドをコードするDNA
の両方の増幅を導く。増幅とは、生育に重要なタンパク
質の生産に大きな需要のある遺伝子を組換え細胞の継承
世代の染色体内に一列に反復する工程である。増幅され
たDNAから大量の所望のポリペプチドが合成される。
例えば、まずヒポキサンチン、グリシンおよびチミジ
ンを欠く培養培地中ですべての形質転換体を培養するこ
とによって、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞を同
定する。本ケースに適当な宿主細胞は、Urlaub and Cha
sin,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 77,4216(1980)に記載
のように調製し、増殖させたDHFR活性欠損チャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)セルラインである。特に有用なD
HFRは、MTXに対して高度に耐性の突然変異DHFR(EP 11
7,060)である。この選択物質を、内因性DHFRの存在の
如何にかかわらず他の適当ないずれかの宿主、例えばAT
CC No.CCL61 CHO−K1と用いることができる。次いでDHF
RをコードするDNAおよび所望のポリペプチドをそれぞれ
DHFRを不活化する物質(メトトレキサートまたはMTX)
に暴露することによって増幅する。常により高いMTX濃
度の連続ラウンドで生育可能な細胞に関してのみ選択す
ることによって、この細胞がよりたくさんのDHFRを必要
と(し、結果的にすべての外因性DNAを増幅)すること
を保証する。別法として、所望のポリプチド、野生型DH
FRおよびもう1つの選択可能マーカー、例えばneo遺伝
子をコードする同時形質転換された宿主を、選択可能マ
ーカー、例えばG418に関する選択物質を用いて同定し、
次いで内因性DHFRを含む野生型宿主においてメトトレキ
サートを用いて選択し、増幅することができる。また米
国特許第4,965,199号参照。
酵母において用いるために適当な選択遺伝子は、酵母
プラスミドYRp7中に存在するtrp1遺伝子である(Stinch
comb et al.,1979,Nature 282:39;Kingsman et al.,197
9,Gene 7:141;or Tschemper et al..,1980,Gene 10:15
7)。このtrp1遺伝子は、トリプトファン中での生育能
を欠いている酵母突然変異株、例えばATCC No.44076ま
たはPEP4−1(Jones,1977 Genetics 85:12)に対する
選択マーカーを提供する。次いで、酵母宿主細胞ゲノム
中のtrp1障害の存在は、トリプトファン不在下での生育
によって形質転換を検出するのに有用な環境を提供す
る。同様にして、Leu2欠損酵母株(ATCC 20,622または3
8,626)はLeu2遺伝子を有する既知のプラスミドによて
補われる。
(4)プロモーター成分 クローニングベクターと違い、発現ベクターは、宿主
生物によって認識され、所望のポリペプチドをコードす
る核酸と機能可能に連結されているプロモーターを含む
べきである。プロモーターは、構造遺伝子の出発コドン
から上流(一般に約100〜1000bpの範囲内)に位置する
非翻訳配列であって、核酸の転写および翻訳をその制御
下におくものである。これらは典型的に2つのクラス、
誘導性および構成性に分けられる。誘導プロモーターと
は、培養条件の変化、例えば栄養素の存在もしくは不存
在または温度変化に応じて、その制御下にDNAから高レ
ベルの転写を開始するプロモーターである。現在、種々
の潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモータ
ーが周知である。これらのプロモーターは、制限酵素消
化により元の遺伝子から取り出され、次いで発現される
ポリペプチドの出発コドンの5'側に挿入されることによ
って、所望のポリペプチドをコードするDNAと機能可能
に連結される。このことは、O−フコシルトランスフェ
ラーゼポリペプチド用のゲノムプロモーターが使用不可
能であることを述べているわけではない。しかし、異種
プロモーターは一般に、天然のO−フコシルトランスフ
ェラーゼと比べ、発現O−フコシルトランスフェラーゼ
をより多数転写し、より高い収量を生じるであろう。
原核宿主とともに用いるのに適当なプロモーターに
は、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系
(Chang et al.,Nature 275:615(1978);and Goeddel
et al.,Nature 281:544(179))、アルカリホスファタ
ーゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goedde
l,Nucleic Acids Res.8:4057(1980)and EPO Appln.Pu
bl.No.36,776)およびハイブリッドプロモーター、例え
ばtacプロモーター(H.de Boer et al.,Proc.Nat'l.Aca
d.Sci.USA 80:21−25(1983))が含まれる。しかし、
他の既知の細菌プロモーターは適当である。これらのヌ
クレオチド配列は公開されており、それにより必要な制
限部位を供給するリンカーまたはアダプターを用いて、
当業者がこれらを、O−フコシルトランスフェラーゼを
コードするDNAと連結すること(Siebenlist et al.,Cel
l 20:269(1980))が可能となる。また細菌系で用いる
ためのプロモーターは、O−フコシルトランスフェラー
ゼをコードするDNAと機能可能に連結されているシャイ
ン−ダルガルノ(S.D.)配列を含むであろう。
酵母宿主とともに用いるのに適当なプロモーター配列
には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman et
al.,J.Biol.Chem.255:2073(1980))または他の糖分解
酵素(Hess et al.,J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1978);a
nd Holland,Biochemistry 17:4900(1978))、例えば
エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵
素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、
ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソ
メラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン
酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグ
ルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼに関するプ
ロモーターが含まれる。
他の酵母プロモーターであって、生育条件によって制
御される転写のさらなる利点を有している誘導プロモー
ターであるものは、アルコール脱水素酵素2、イソシト
クロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分
解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−
リン酸脱水素酵素およびマルトースおよびガラクトース
利用を請け負う酵素のプロモーター領域である。酵母発
現に用いるのに適当なベクターおよびプロモーターは、
R.Hitzeman et al.,EP 73,657Aにさらに記載されてい
る。また、酵母エンハンサーは酵母プロモーターととも
に有益に用いられる。
真核生物用のプロモーター配列は既知である。事実上
すべての真核遺伝子は、転写が開始される部位から約25
〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの
遺伝子の転写開始部位から70〜80塩基上流に見られるも
う1つの配列はCXCAAT領域(ここにXはいずれかのヌク
レオチドである)である。ポリA尾部をコード化配列の
3'末端に付加するためのシグナルであり得るAATAAA配列
は、ほとんどの真核遺伝子の3'末端に存在する。これら
のすべての配列を哺乳類発現ベクターに適当に挿入す
る。
哺乳類宿主細胞におけるベクターからのO−フコシル
トランスフェラーゼ転写は、ポリオーマウイルス、鶏痘
ウイルス(1989年7月5日公開のUK 2,211,504)、アデ
ノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウ
イルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レ
トロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくは
シミアンウイルス40(SV40)のようなうイルスのゲノム
由来のプロモーター、異種哺乳類プロモーター、例えば
アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモータ
ー、熱ショックプロモーターならびに通常、O−フコシ
ルトランスフェラーゼ配列と関連するプロモーターによ
って制御され得る。ただしこれらのプロモーターは宿主
細胞系と両立可能なものである。
SV40の初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス
複製起点をも含むSV40制限断片として都合よく得られる
[Fiers et al.,Nature 273:113(1978),Mulligan and
Berg,Science 209,1422−1427(1980);Pavlakis et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78,7398−7402(198
1)]。ヒトサイトメガロウイルスの即時型プロモータ
ーはHind III E制限断片として都合よく得られる[Gree
naway et al.,Gene 18,355−360(1982)]。ウシ乳頭
腫ウイルスをベクターとして用い、哺乳類宿主内でDNA
を発現するための系は米国第4,419,446号に開示されて
いる。この系の修飾は米国第4,601,978号に記載されて
いる。また、サル細胞内でのヒト免疫インターフェロン
をコードするcDNAの発現についてはGray et al.,Nature
295,503−508(1982);ヘルペス単純ウイルス由来の
チミジンキナーゼプロモーターの制御下におけるマウス
細胞内でのヒトβ−インターフェロンcDNAの発現につい
てはRyes et al.,Nature 297,598−601(1982);培養
マウスおよびウサギ細胞内でのヒトインターフェロンβ
1遺伝子の発現についてはCanaani and Berg,Proc.Nat.
Acad.Sci.USA 79,5166−5170(1982);ならびにRous肉
腫ウイルス長末端繰り返し配列をプロモーターとして用
いるCV−1サル腎臓細胞、チキン胎児繊維芽細胞、チャ
イニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞およびマウスHI
N−3T3細胞内での細菌CAT配列の発現についてはGorman
et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 79,6777−6781(198
2)参照。
(5)エンハンサー因子成分 高等真核生物による本発明のO−フコシルトランスフ
ェーラゼをコードするDNAの転写は、ベクター内にエン
ハンサー配列を挿入することによって増加することが多
い。エンハンサーは、通常約10〜300bpのDNAのシス−作
用因子であり、プロモーターに作用してその転写を増加
させる。エンハンサーは比較的独立した方位および位置
にあり、イントロン内[Banerji et al.,Cell 33,729
(1983)]およびそのコード化配列自体の範囲内[Osbo
rne et al.,Mol.Cel..Biol.4,1293(1984)]におい
て、転写単位の5'側[Laimins et al.,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 78,993(1981)]および3'側[Lasky et al.,M
ol Cel.Biol.3,1108(1983)]に見られている。現在、
哺乳類遺伝子(グロブリン、エラスターゼ、アルブミ
ン、α−フェトプロテイン、およびインシュリン)由来
の多くのエンハンサー配列が既知である。しかし、一般
には真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられる
であろう。その例には、複製起点の後期側のSV40エンハ
ンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロ
モーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマ
エンハンサー、アデノウイルスエンハンサーがある。ま
た、真核プロモーター活性化用のエンハンス因子につい
てはYaniv,Nature 297,17−18(1982)参照。O−フコ
シルトランスフェーラゼDNAの5'側または3'側の位置で
エンハンサーをスプライスすることができるが、プロモ
ーターの5'側に位置するのが好ましい。
(6)転写終結成分 また、真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動
物、ヒトまたは他の多細胞生物由来の有核細胞)内で用
いる発現ベクターは、転写終結およびmRNAの安定化に必
要な配列を含むであろう。このような配列は一般に、真
核またはウイルスDNAまたはcDNAの5'および場合により
3'非翻訳領域から得られる。これらの領域は、O−フコ
シルトランスフェーラゼをコードするmRNAの非翻訳部分
のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセ
グメントを含む。3'非翻訳領域はまた、転写終結部位を
含む。
1つまたはそれ以上の上記成分、所望のコード配列お
よび制御配列を含む適当なベクターの構築には標準連結
技術を用いる。単離したプラスミドまたはDNA切断を切
断し、仕立て、必要なプラスミドを調製するのに望まし
い形態で再連結する。
構築されたプラスミド中の配列が正確であることを確
認する分析のために、連結混合物を用いて大腸菌K12株2
94(ATCC 31,446)を形質転換し、首尾よい形質転換体
を適当なアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によ
って選択する。形質転換体由来のプラスミドを調製し、
制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析し、ならびに
/あるいはMessing et al.,Nucleic Acids Res.9,309
(1981)の方法またはMaxam et al.,Methods in Enzymo
logy 65,499(1980)の方法によって配列決定する。
O−フコシルトランスフェーラゼをコードするDNAを
哺乳類細胞内において一時的に発現する発現ベクターは
本発明の実施に特に有用である。概して、宿主細胞内で
効率的に複製することができ、宿主細胞内にその発現ベ
クターの多数のコピーが蓄積し、次いで該発現ベクター
によってコードされる高レベルの所望のポリペプチドが
合成されるような発現ベクターの使用が一時的な発現に
関与する。適当な発現ベクターおよび宿主細胞を含む一
時的な系は、クローンDNAによってコードされるポリペ
プチドの都合のよいポジティブ同定、および所望の生物
学的または生理学的性質に関するポリペプチドの迅速な
スクリーニングを可能とする。したがって、本発明にお
いて、O−フコシルトランスフェーラゼの類似体および
変異体を同定するために、一時的な発現系は特に有用で
ある。
組換え脊椎動物細胞培養物におけるO−フコシルトラ
ンスフェーラゼポリペプチドの合成に用いるのに適当な
他の方法、ベクターおよび宿主細胞は、Getting et a
l.,Nature 293,620−625(1981);Mantel et al.,Natur
e 281,40−46(1979);Levinson et al.;EP 117,060 an
d EP 117,058に記載されている。哺乳類細胞培養物での
O−フコシルトランスフェーラゼポリペプチドの発現に
特に有用なプラスミドはpRK5(EP 307,247)である。上
記Ausuble,Ch.16.9−16.11に記載のバキュロウイルス発
現系が特に好ましく、特にpVL1392(Pharmingen)が好
ましい。
(7)ベクターの構築および分析 1つまたはそれ以上の上記成分を含む適当なベクター
の構築には、標準連結技術を用いる。単離したプラスミ
ドまたはDNA断片を切断し、仕立て、必要とされるプラ
スミドの調製に望ましい形態で再連結する。
構築されたプラスミド中の配列が正確であることを確
認する分析のために、連結混合物を用いて大腸菌K12株2
94(ATCC 31,446)を形質転換し、首尾よい形質転換体
を適当なアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によ
って選択する。形質転換体由来のプラスミドを調製し、
制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析し、ならびに
/あるいはMessing et al.,Nucleic Acids Res.9,309
(1981)の方法またはMaxam et al.,Methods in Enzymo
logy 65,499(1980)の方法によって配列決定する。
(8)一時的発現ベクター O−フコシルトランスフェーラゼポリペプチドをコー
ドするDNAを哺乳類細胞内において一時的に発現する発
現ベクターは本発明の実施に特に有用である。概して、
宿主細胞内で効率的に複製することができ、宿主細胞内
にその発現ベクターの多数のコピーが蓄積し、次いで該
発現ベクターによってコードされる高レベルの所望のポ
リペプチドが合成されるような発現ベクターの使用が一
時的な発現に関与する。Sambrook et al.,同上、pp.16.
17−16.22。適当な発現ベクターおよび宿主細胞を含む
一時的な系は、所望の生物学的または生理学的性質に関
してポリペプチドを都合よくポジティブスクリーニング
することを可能とする。したがって、本発明におけるO
−フコシルトランスフェーラゼ酵素活性を有する天然O
−フコシルトランスフェーラゼポリペプチドの類似体お
よび変位体の同定のために、一時的発現系は特に有用で
ある。
(9)適当な典型的脊椎動物ベクター 組換え脊椎動物細胞培養物におけるO−フコシルトラ
ンスフェーラゼポリペプチド(天然タンパク質の機能的
誘導体を含む)の合成に用いるのに適当な他の方法、ベ
クターおよび宿主細胞は、Gething et al.,Nature 293,
620−625(1981);Mantei et al.,Nature 281,40−46
(1979);EP 117,060 and EP 117,058に記載されてい
る。哺乳類細胞培養物でのO−フコシルトランスフェー
ラゼポリペプチドの発現に特に有用なプラスミドはpRK5
(EP 307,247)、pSVI06B(PCT公開公報No.WO 91/0829
1)である。上記Ausubel,Ch.16.9−16.11に記載のバキ
ュロウイルス発現系pVL1392(Pharmingen)が特に好ま
しい。
III.宿主細胞の選択および形質転換 本明細書中のベクターのクローニングまたは発現に適
当な宿主細胞は、上記の原核生物、酵母または高等真核
生物である。適当な原核生物には、グラム陰性またはグ
ラム陽性生物、例えば大腸菌またはバチルスが含まれ
る。好ましいクローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,4
46)であるが、他のグラム陰性またはグラム陽性原核生
物、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、大
腸菌W3110(ATCC 27,325)、シュードモナス種またはセ
ラチアマルセサンス(Serratia Marcesans)も適当であ
る。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母のような真核微
生物は本明細書中のベクターに適当な宿主である。サッ
カロミセスセレビシエまたは一般パン酵母は、低級真核
宿主微生物のうちで最も一般的に用いられるものであ
る。しかし、たくさんの他の属、種および株、例えばS.
pombe[Beach and Nurse,Nature 290,140(1981)]、
クルイベロミセスラクティス[Louvencourt et al.,J.B
acteriol.737(1983)];yarrowia(EP 402,226);Pich
ia pastoris(EP 183,070)、Trichoderma reesia(EP
244,234)、Neurospora crassa[Case et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 76,5259−5263(1979)];およびA.ni
dulans[Ballance et al.,Biochem.Biophys.Res.Commo
n.112,284−289(1983);Tilburn et al.,Gene 26,205
−221(1983);Yelton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
81,1470−1474(1984)]およびA.niger[Kelly and H
ynes,EMBO J.4,475−479(1985)]のようなコウジカビ
属宿主は一般に利用可能であり、ここに有用である。
多細胞生物から適当な宿主細胞を誘導することもでき
る。このような宿主細胞は複雑な処理およびグリコシル
化活性を可能とする。哺乳類、例えばヒト由来の細胞が
好ましいが、原理的には、脊椎動物または無脊椎動物培
養物由来のいずれの高等真核生物細胞培養物も作動可能
である。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫細胞
がある。多数のバキュロウイルス株および変異体、およ
びSpodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti
(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanga
ster(ショウジョウバエ)およびBombyx mori宿主細胞
のような宿主由来の対応する複製許容の昆虫宿主細胞が
同定されている。例えば、Luckow et al.,Bio/Technolo
gy 6,47−55(1988);Miller et al.,in Genetic Engin
eering,Setlow,J.K.et al.,eds.,Vol.8(Plenum Publis
hing,1986),pp.277−279;およびMaeda et al.,Nature
315,592−594(1985)参照。種々の上記ウイルス種、例
えばAutographa californica NPVのL−1変異体は公的
に利用可能であり、本発明にしたがって、このようなウ
イルスを本明細書中のウイルスとして、特にSpodoptera
frugiperda細胞のトランスフェクションに用いること
ができる。
綿、トウモロコシ、じゃがいも、大豆、ペチュニア、
トマトおよびタバコの植物細胞培養物を宿主として利用
することができる。典型的には、植物細胞を、あらかじ
め操作してO−フコシルトランスフェーラゼDNAを含ま
せておいた細菌アグロバクテリウムツメファシエンスの
ある株とインキュベートすることによってトランスフェ
クションする。植物細胞培養物をA.ツメファシエンスと
インキュベートしている間に、O−フコシルトランスフ
ェーラゼをコードするDNAが植物細胞宿主中に移動し、
宿主がトランスフェクションされ、適当な条件下でO−
フコシルトランスフェーラゼDNAが発現されるようにな
る。さらに植物細胞と互換性のある調節およびシグナル
配列、例えばオパール様シンターゼプロモーターおよび
ポリアデニル化シグナル配列が利用可能である。Depick
er et al.,J.Mol.Appl.Gen.1,561(1982)。さらに、T
−DNA 780遺伝子の上流領域から単離したDNAセグメント
は、組換えDNA含有植物組織における植物が発現可能な
遺伝子の転写量を活性化し、あるいは増加させることが
できる。1989年6月21日公開のEP 321,196参照。
しかし、脊椎動物細胞への関心が最も高く、培養物中
の脊椎動物細胞の増殖(組織培養)は本質的に周知であ
る。Tissue Culture,Academic Press,Kruse and Patter
son,editors(1973)参照。有用な哺乳類宿主セルライ
ンの例は、SV40で形質転換されるサル腎臓CV1ライン(C
OS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓セルライン[2
93または懸濁培養物中の生育に関してサブクローニング
された293細胞、Graham et al.,J.Gen.Virol.36,59(19
77)];ベビーハムスター腎臓細胞9BHK(ATCC CCL 1
0);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR[CHO,U
rlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77,4216(1
980)];マウスセルトリ細胞[TM4,Mather,Biol.Repro
d.23,243−251(1980)];サル腎臓細胞(CV1 ATCC CC
L 70);アフリカ緑ザル腎臓細胞(VERO−76,ATCC CRL
−1587);ヒト頸部ガン細胞(HELA,ATCC CCL 2);イ
ヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット
肝臓細胞(BRL3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,
ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2,HB 8065);マ
ウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞[Mat
ehr et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383,44068(198
2)];MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝ガンセルライン
(Hep G2)である。好ましい宿主細胞はヒト胎児腎臓29
3およびチャイニーズハムスター卵巣細胞である。最も
好ましいのはバキュロウイルスの発現が可能な昆虫細
胞:Sf9細胞、ATCC−CRL 1711、Pharmingen(21300C),I
nvitrogen(B825−01)またはSf21細胞、Clontech(K16
01−E)またはInvitrogenである。上記Ausubel,ch.16.
9−16.11参照。
本発明の目的に特に好ましい宿主細胞は、O−フコシ
ルトランスフェーラゼポリペプチドを産生する脊椎動物
細胞である。
上記発現ベクターまたはクローニングベクターを用い
て、宿主細胞をトランスフェクションし、好ましくは形
質転換し、プロモーターの誘導または増幅遺伝子を含む
形質転換体の選択に適当なように修飾した都合のよい栄
養培地で培養する。
IV.宿主細胞の培養 本発明のO−フコシルトランスフェーラゼポリペプチ
ドの生産に用いる原核生物細胞を、Sambrook et al.同
上に概説の適当な培地中で培養する。
哺乳類細胞を種々の培地中で培養することができる。
ハムのF10(Sigma)、最小必須培地(MEM,Sigma)、RPM
I−1640(Sigma)およびダルベッコの修飾イーグル培地
(DMEM,Sigma)のような市販の培地は宿主細胞の培養に
適当である。さらに、Ham and Wallace,Meth.Enzymol.5
8,44(1979);Barnes and Sato,Anal.Beiochem.102,255
(1980),US 4,767,704;4,657,866;4,927,762;or 4,56
0,655;WO 90/03430;WO 87/00195 or US Pat.Re.30,985
の記載にいずれかの培地を宿主細胞用培養培地として用
いることができる。これらのいずれかの培地に必要なホ
ルモンおよび/または他の成長因子(例えば、インシュ
リン、トランスフェリンまたは表皮成長因子)、塩(例
えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよび
リン酸塩)、バッファー(例えばヘペス)、ヌクレオシ
ド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質
(例えば、ゲンタマイシンTM薬物)、微量元素(通常、
μM範囲の最終濃度で存在する無機化合物を表す)およ
びグルコースまたは等価なエネルギー源を補うことがで
きる。当業者に既知の他の必要な補足物を適当な濃度で
含んでいてもよい。適当な培養条件、例えば温度、pHな
どは、場合により、クローニングまたは発現に関して選
択された宿主細胞に対して以前に用いた条件であり、こ
れは当業者の理解するところであろう。
本開示中で言及した宿主細胞には、インビトロ細胞培
養物中の細胞および宿主動物または植物内の細胞を含
む。
本発明のO−フコシルトランスフェーラゼポリペプチ
ドを相同組換えによって生産でき、あるいは特定のO−
フコシルトランスフェーラゼをコードするDNAをすでに
含んでいる細胞に導入した制限配列を利用する組換え生
産方法を用いて生産できることをさらに示す。
V.遺伝子増幅/発現の検出 サンプル中の遺伝子増幅および/または発現を、例え
ば本明細書中に提供の配列に基づく適当なラベルプロー
ブを用い、慣用のサザンブロッティング、ノザンブロッ
ティングでmRNAの転写を定量すること[Thomas,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 77,5201−5205(1980)]、ドットブ
ロッティング(DNA分析)またはインシトゥーハイブリ
ッド形式によって直接測定することができる。種々のラ
ベルを用いることができ、最も一般的には放射性同位
体、特に32Pを用いる。しかし、ポリヌクレオチド中へ
の導入にビチオン修飾ヌクレオチドを用いることのよう
な他の技術を用いることもできる。次いでこのビオチン
は、放射性核種、蛍光剤、酵素などの幅広い種々のラベ
ルでラベルすることができるアビジンまたは抗体の結合
部位として働く。別法では、DNA二本鎖、RNA二本鎖およ
びDNA−RNAハイブリッド二本鎖またはDNA−タンパク質
二本鎖を含む特異的な二本鎖を認識可能な抗体を用いる
ことができる。次いで、表面での二本鎖形成時に二本鎖
に結合した抗体の存在が検出できるように、この抗体を
ラベルし、二本鎖が表面に結合する場所でアッセイを行
う。
一方、免疫学的方法、例えば組織切片の免疫組織化学
染色および細胞培養物または体液のアッセイによって遺
伝子発現を測定し、遺伝子産物の発現を直接定量でき
る。免疫組織化学染色技術を用い、典型的には脱水およ
び固定によって細胞サンプルを調製し、次いでカップリ
ングした遺伝子産物に特異的なラベル抗体(ここにこの
ラベルは通常、視覚的に検出可能なもの、例えば酵素ラ
ベル、蛍光ラベル、発光ラベルなどである)と反応させ
る。本発明での使用に適当な特に感度のよい染色技術
は、Hse et al.,Am.J.Clin.Pharm.75.734−738(1980)
に記載されている。
免疫組織化学染色および/またはサンプル液のアッセ
イに有用な抗体はモノクローナルまたはポリクローナル
のいずれであってもよく、いずれかの動物において調製
することができる。天然O−フコシルトランスフェラー
ゼポリペプチドに対する抗体、または以下にさらに記載
の本明細書中で提供するDNA配列に基づく合成ポリペプ
チドに対する抗体を都合よく調製することができる。
VI. O−フコシルトランスフェラーゼポリペプチドの
共有結合修飾 O−フコシルトランスフェラーゼの共有結合修飾は本
発明の範囲内に含まれる。通常、O−フコシルトランス
フェーラゼの標的アミノ酸残基を、選択された側鎖また
は末端残基と反応可能な有機誘導物質と反応させること
によって、あるいは選択された組換え宿主細胞において
機能する翻訳後修飾のハーネシング機構によってこのよ
うな修飾を導入する。得られた共有結合性誘導体は、生
物学的活性、フコシルトランスフェーラゼの免疫アッセ
イまたは組換え体の免疫アフィニティー精製用フコシル
トランスフェーラゼ抗体の調製のために重要な残基を同
定するプログラムにおいて有用である。例えば、ニンヒ
ドリンと反応後の本タンパク質の生物学的活性の完全な
不活化により、少なくとも1個のアルギニンまたはリシ
ン残基がその活性に重要であることが示され、その後、
修飾アミノ酸残基を含むペプチド断片を単離することに
よって、選択された条件下で修飾された個々の残基が同
定された。このような修飾は当業者の範囲内であり、過
度の実験なしで行うことができる。
最も通常には、システイン残基をα−ハロアセテート
(および対応するアミン)、例えばクロロ酢酸またはク
ロロアセトアミドと反応させ、カルボキシメチルまたは
カルボキシアミドメチル誘導体を得る。またシステイン
残基をブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−
(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホ
スフェイト、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2
−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフ
ィド、p−クロロ水銀ベンゾエート、2−クロロ水銀−
4−ニトロフェノールまたはクロロ−7−ニトロベンゾ
−2−オキサ−1,3−ジアゾールと反応させて誘導体化
する。
ヒスチジン残基をpH5.5−7.0でジエチルピロ−カルボ
ネートと反応させることによって誘導体化する。これは
この物質がヒスチジン側鎖に比較的特異的であるからで
ある。パラ−ブロモフェナシルブロミドもまた有用であ
り;この反応は好ましくはpH6.0の0.1Mカコジル酸ナト
リウム中で行う。
リシンおよびアミノ末端残基を琥珀酸または他のカル
ボン酸無水物と反応させる。これらの物質を用いる誘導
体化はリシン残基の電荷を逆転させる効果を有する。α
−アミノ含有残基の誘導体化に適当な他の試薬には、例
えばメチルピコリンイミデートのようなイミドエステ
ル;ピリドキサルリン酸;ピリドキサル;クロロホウ水
素化物;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイソ
尿素;2,4−ペンタンジオン;およびグリコシレートとの
トランスアミナーゼ触媒化反応が含まれる。
アルギニン残基を1個またはそれ以上の慣用試薬(こ
れらの中には、フェニルグリオキサル、2,3−ブタンジ
オン、1,2−シクロヘキサンジオンおよびニンヒドリン
がある)と反応させ、修飾する。アルギニン残基の誘導
体化には、グアニジン官能基が高いpKaを有するため、
アルカリ性条件で反応を行うことが必要である。さら
に、これらの試薬をリシンの基およびアルギニンイプシ
ロン−アミノ基と反応させることができる。
特にチロシン残基にスペクトルラベルを導入するため
に、この残基を芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラ
ニトロメタンと反応させ、チロシン残基の特異的修飾を
行うことができる。最も一般には、N−アセチルイミダ
ゾールおよびテトラニトロメタンを用いて、それぞれO
−アセチルチロシン種および3−ニトロ誘導体を形成さ
せる。125Iまたは131Iを用いてチロシン残基をヨウ素化
し、放射性免疫アッセイに用いるラベルタンパク質を調
製する。
カルボキシル側鎖を有する基(アスパラギン酸または
グルタミン酸)をカルボジイミド化合物(R'−N=C=
N−R')、例えば1−シクロヘキシル−3−(2−モル
ホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチ
ル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルフェニル)カ
ルボジイミドと反応させ、選択的に修飾する。さらに、
アスパラギン酸およびグルタミン酸残基をアンモニウム
イオンと反応させ、アスパラギンおよびグルタミン残基
に変換する。
度々、グルタミンおよびアスパラギン残基を対応する
グルタミン酸およびアスパラギン酸残基に脱アミド化す
る。別法として、これらの残基を穏やかな酸性条件下で
脱アミド化する。これらの残基のいずれの形態も本発明
の範囲内に含まれる。
他の修飾には、プロリンおよびリシンのヒドロキシル
化、セリン、スレオニンまたはチロシン残基のヒドロキ
シル基のリン酸化、リシン、アルギニンおよびヒスチジ
ン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Prot
eins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freema
n & Co.,San Francisco,pp.79−86[1983])、N末端
アミンのアシル化ならびにC末端カルボキシル基のアミ
ド化が含まれる。さらに米国特許第4,640,835号;第4,4
96,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;4,791,192号
または4,179,337号に記載の様式で、この分子を非タン
パク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポ
リプロピルレングリコールまたはポリオキシアルキレン
に共有結合させることができる。
二官能性物質での誘導体化は、O−フコシルトランス
フェーラゼのポリペプチドとの分子内凝集物を調製し、
ならびにアッセイまたはアフィニティー精製に用いる水
不溶性支持マトリックスまたは表面にO−フコシルトラ
ンスフェーラゼポリペプチドを架橋するのに有用であ
る。さらに、鎖間架橋実験はコンフォメーション構造に
関する直接情報を提供するであろう。一般に用いる架橋
剤には、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニル
エタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシン
イミドエステル、ホモ二官能性イミドエステルおよび二
官能性マレイミドがある。メチル−3−[(p−アジド
フェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような誘導体
化剤は、光の存在下で架橋形成が可能な光活性化可能中
間体を生じる。また、臭化シアン活性化炭水化物のよう
な反応性不溶性基質および米国特許第3,959,642号;第
3,969,287号;第3,691,016号;第4,195,128号;第4,24
7,642号;第4,229,537号;第4,055,635号;および第4,3
30,440号に記載の系反応性物質をタンパク質の固定およ
び架橋に用いる。
ある翻訳後修飾は、発現ポリペプチドに対する組換え
宿主細胞の作用の結果である。グルタミンおよびアスパ
ラギン残基は、翻訳後に度々、対応するグルタミン酸お
よびアスパラギン酸残基に脱アミド化される。または、
これらの残基を穏やかな酸性条件下で脱アミド化する。
これらのいずれの形態の残基も本発明の範囲内である。
他の翻訳後修飾には、プロリンおよびリシンのヒドロ
キシル化、セリン、スレオニン、チロシン残基のヒドロ
キシル基のリン酸化、リシン、アルギニンおよびヒスチ
ジン側鎖のα−アミノ基のメチル化[T.E.Creighton,Pr
oteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Free
man & Co.,San Francisco,pp,79−86(1983)]があ
る。
他の誘導体は、非タンパク質性ポリマーに共有結合し
た本発明の新規ポリペプチドを含む。この非タンパク質
性ポリマーは通常、親水性合成ポリマー、すなわち天然
には見られないポリマーである。しかし、天然に存在す
るポリマーおよび組換えまたはインビトロ法によって生
産されるポリマーは、天然から単離されたポリマー同様
有用である。親水性ポリビニルポリマー、例えばポリビ
ニルアルコールおよびポリビニルピロリドンは本発明の
範囲内に含まれる。ポリビニルアルキレンエーテル、例
えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルは特に有用である。
米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,14
4号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337
号に記載の様式で、O−フコシルトランスフェーラゼポ
リペプチドを種々の非タンパク質性ポリマー、例えばポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまた
はポリオキシアルキレンと結合させることができる。
例えばコロイド性薬物デリバリーシステム(例えば、
リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロエマル
ジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)におけるコアセ
ルベーション技術または界面ポリマー化によって調製し
たミクロカプセルまたはマクロエマルジョン中にO−フ
コシルトランスフェーラゼをトラップすることができ
る。このような技術は、Remington's Pharmaceutical S
ciences,16th Edition,Osol,A.,Ed.(1980)に開示され
ている。
VII. O−フコシルトランスフェーラゼのグリコシル化
変異体 天然O−フコシルトランスフェーラゼの実際のグリコ
シル化様式は未知であるが、実際の天然配列と異なるグ
リコシル化を有する変異体は本発明の範囲内である。簡
単には、天然ポリペプチドのグリコシル化様式は通常、
本質的に上記アミノ酸配列変異体に関して議論した技術
を用い、DNAレベルで変化させる。かくして、グリコシ
ル化シグナルを天然O−フコシル化ポリペプチドのDNA
配列に導入することができる。
本発明の分子のO−フコシル化分子に対してグリコシ
ドを化学的または酵素的カップリングさせ、炭水化物置
換を加えることもできる。これらの手法は、O−結合
(またはN−結合)グリコシル化が可能なポリペプチド
の生産を必要としない点で有利である。用いるカップリ
ング様式に依存して、糖(群)を(a)アルギニンおよ
びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)シス
テインのヒドロキシル基のような遊離ヒドロキシル基、
(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンの
スルフヒドリル基のような遊離スルフヒドリル基、
(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファ
ンの芳香族残基のような芳香族残基または(f)グルタ
ミンのアミド基に結合させることができる。これらの方
法は、WO 87/05330(1987年9月11日公開)、およびApl
in and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306に
記載されている。
VIII.抗O−フコシルトランスフェーラゼ抗体の調製 (A)ポリクローナル抗体 O−フコシルトランスフェーラゼ分子のポリクローナ
ル抗体は一般に、O−フコシルトランスフェーラゼおよ
びアジュバントを皮下(sc)または腹膜内(ip)へ複数
回注射して、動物内で生じさせる。二機能性または派生
化物質、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイ
ミドエステル(システイン残基を介する結合)、N−ヒ
ドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して)、グル
タルアルデヒド、琥珀酸無水物、SOCl2またはR1N=C=
NR(式中、RおよびR1は異なるアルキル基である)を用
いて、O−フコシルトランスフェーラゼまたは標的アミ
ノ酸配列を含む断片を、免疫化される種において免疫原
性であるタンパク質(例えば、カサガイヘモシアニン、
血清アルブミン、ウシ甲状腺グロブリンまたは大豆トリ
プシン阻害剤と結合させることは有用であり得る。
免疫原性複合体1mgまたは1μg(それぞれウサギま
たはマウスに対して)を3容量のフロイト完全アジュバ
ントと混合し、複数部位にこの溶液を皮内注射すること
によって動物を免疫原性複合体または誘導体に対して免
疫する。1月後、フロイト完全アジュバント中の元の量
の1/5〜1/10の結合物を複数部位に皮下注射してこの動
物をブースト(追加免疫)する。7〜14日後、この動物
から採血し、血清を抗O−フコシルトランスフェーラゼ
抗体力価に関してアッセイする。力価が安定水準に達す
るまで動物をブーストする。動物を同一のO−フコシル
トランスフェーラゼ複合体でブーストすることが好まし
いが、異なるタンパク質に結合し、ならびに/あるいは
異なる架橋剤にて結合したものでもよい。また、組換え
細胞培養物中、この結合物をタンパク質融合物として作
成することができる。また、明礬のような凝集剤を用い
て免疫反応を高めることができる。
(B)モノクローナル抗体 実質的に相同な抗体の集団、すなわち集団を構成する
個々の抗体が、少量存在し得る可能な天然発生の突然変
異体を除いて同一であるその集団からモノクローナル抗
体を得る。したがって、用語「モノクローナル」は種々
の抗体の混合物ではない抗体の性質を示す。
例えば、本発明の抗O−フコシルトランスフェーラゼ
モノクローナル抗体を、Kohler & Milstein,Nature 25
6:495(1975)によってはじめて記載されたハイブリド
ーマ法を用いて作成することができ、あるいは組換えDN
A法[Cabilly,et al.,U.S.Pat.No.4,816,567]を用いて
作成することができる。
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適当な宿主
細胞、例えばハムスターを上記のように免疫化し、免疫
化に用いたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生す
るか、あるいは産生することができるリンパ球を誘導す
る。別法として、リンパ球をインビトロで免疫化するこ
とができる。次いで、ポリエチレングリコールのような
適当な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合さ
せ、ハイブリドーマ細胞を形成させる[Goding,Monoclo
nal Antibodies:Prnciples and Practice,pp.59−103
(Academic Press,1986)。
このように調製したハイブリドーマ細胞を、好ましく
は、融合していない親骨髄腫細胞の生育または生存を阻
害する1つまたはそれ以上の物質を含む適当な培養培地
にまき、生育させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素、ヒ
ポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラー
ゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、ハイブリド
ーマ用の培養培地は一般に、HGPRT欠損細胞の生育を阻
害する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリンおよ
びチミジン(HAT培地)を含むものとする。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された
抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を支持
し、HAT培地のような培地に対して感受性であるもので
ある。これらのうち、好ましい骨髄腫セルラインは、マ
ウス骨髄腫ライン、例えば、Salk Institute Cell Dist
ribution Center,San Diego,California USAから入手可
能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍およびthe Ameri
can Type Culture Collection,Rockville,Maryland USA
から入手可能なSP−2細胞から誘導されるものである。
また、ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫セル
ラインがヒトモノクローナル抗体の生産のために記載さ
れている[Kozbor,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeu
r,et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques
and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,Ne
w York,1987)]。
ハイブリドーマ細胞が生育する培養培地を、O−フコ
シルトランスフェーラゼに対するモノクローナル抗体の
産生についてアッセイする。好ましくは、免疫沈降また
はインビトロ結合アッセイ、例えば放射性免疫アッセイ
(RIA)または酵素結合イムノアブソルベントアッセイ
(ELISA)によって、ハイブリドーマ細胞が産生するモ
ノクローナル抗体の結合特異性を決定する。
例えば、Munson & Pollard,Anal.Biochem.107:220
(1980)のスカッチャード分析によって、モノクローナ
ル抗体の結合アフィニティーを決定できる。
所望の特異性、アフィニティーおよび/または活性の
抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、限定
希釈手法によってクローンをサブクローニングし、標準
方法で生育させることができる。Goding,Monoclonal An
tibodies:Principles and Practice,pp.59−104(Acade
mic Press,1986)。この目的に適当な培養培地には例え
ば、ダルベッコ修飾イーグル培地またはRPMI−1640培地
が含まれる。さらにハイブリドーマ細胞を動物内の腹水
腫瘍としてインビボ生育させることができる。
慣用の免疫グロブリン精製手法、例えばプロテインA
−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラ
フィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティークロ
マトグラフィーによって、培養培地、腹水液または血清
からサブクローンが分泌するモノクローナル抗体を適当
に分離することができる。
常法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖
をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレ
オチドプローブを用いることによって)本発明のモノク
ローナル抗体をコードするDNAを容易に単離し、配列決
定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はこ
のようなDNAの好ましいソースである。単離後、このDNA
を発現ベクター中に置き、次いでこれを宿主細胞、例え
ばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細
胞またはトランスフェクションしなければ免疫グロブリ
ンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞中にトランスフェ
クションし、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体を
合成し得る。また、例えばヒト重鎖および軽鎖不変ドメ
インに対するコード化配列を相同なマウス配列のかわり
に置換する(Morrison,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.81,6
851(1984))ことによって、あるいは非免疫グロブリ
ンポリペプチドに対するコード化配列のすべてまたは一
部をコードする免疫グロブリンと共有結合させることに
よって、このDNAを修飾することができる。このように
して、本明細書中の抗O−フコシルトランスフェーラゼ
モノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」ま
たは「ハイブリッド」抗体を調製する。
一般にこのような非免疫グロブリンポリペプチドを本
発明の抗体の不変ドメインに対して置換し、あるいはこ
れらを本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメイ
ンに対して置換し、O−フコシルトランスフェーラゼに
対する特異性を有する1つの抗原結合部位および異なる
抗原に対する特異性を有するもう1つの抗原結合部位を
含むキメラ二価抗体を作成する。
また、架橋剤が関与する方法を含む合成タンパク質化
学における既知の方法を用いて、キメラまたはハイブリ
ッド抗体をインビトロで調製することができる。例え
ば、ジスルフィド交換反応を用いて、あるいはチオエー
テル結合を形成することによって免疫トキシン(抗毒
素)を構築することができる。この目的のために適当な
試薬の例にはイミノチオレートおよびメチル−4−メル
カプトブチルイミデート(methyl−4−mercaptobutyri
midate)がある。
診断的適用のため、一般に本発明の抗体を検出可能な
部分でラベルする。この検出可能な部分は直接または間
接に検出可能なシグナルを発生可能な部分である。例え
ば、検出可能な部分は、3H、14C、32P、35Sまたは125I
のような放射性同位体、蛍光イソチオシアネート、ロー
ダミンまたはルシフェリンのような蛍光または化学発光
化合物;ビオチン;例えば125I、32P、14Cまたは3Hのよ
うな放射能同位体ラベルまたはアルカリホスファター
ゼ、ベータガラクトシダーゼまたは西洋ワサビペルオキ
シダーゼであり得る。
Hunter,et al.,Nature 144:945(1962);David,et a
l.,Biochemistry 13:1014(1974);Pain,et al.,J.Immu
nol.Meth.40:219(1981);and Nygren,J.Histochem.and
Cytochem.30:407(1982)に記載の方法を含む抗体を検
出可能な部分と別々に結合させる当分野に既知の任意の
方法を用いることができる。
競合結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッ
セイおよび免疫沈降アッセイのようないずれかの既知の
アッセイ方法において、本発明の抗体を用いることがで
きる。Zola,Monoclonal Antibodies;A Manual of Techn
iques,pp.147−158(CRC Press,Inc.,1987)。
競合結合アッセイは、限定量の抗体との結合に関し、
ラベル標準物(O−フコシルトランスフェーラゼポリペ
プチドまたはその免疫反応部分であり得る)が試験サン
プル被検物(アナライト)(O−フコシルトランスフェ
ーラゼ)と競合する能力に依存するものである。試験サ
ンプル中のO−フコシルトランスフェーラゼ量は抗体に
結合した標準物の量に反比例する。結合した標準物の量
を決定するために、一般に競合前または後に抗体を不溶
化し、抗体に結合している標準物および被検物を、結合
しないで残っている標準物および被検物から都合よく分
離できるようにする。
サンドイッチアッセイでは、検出すべきタンパク質の
異なる免疫原性部分またはエピトープに結合可能な2種
の抗体を使用する。サンドイッチアッセイでは、固形支
持体に固定した第一抗体が試験サンプル被検物と結合
し、その後、第二抗体がこの被検物に結合して、不溶性
三者複合体を形成する。David & Greene,U.S.Pat No.
4,376,110。この第二抗体自体を検出可能な部分でラベ
ルする(直接サンドイッチアッセイ)か、あるいは検出
可能な部分でラベルした抗免疫グロブリン抗体を用いて
測定する(間接サンドイッチアッセイ)ことができる。
例えばサンドイッチアッセイの1つのタイプはELISAア
ッセイであり、この場合、検出可能な部分は酵素であ
る。
(C)ヒト化抗体 非ヒト抗体をヒト化する方法は当分野に周知である。
一般にヒト化抗体は、その抗体に導入された非ヒトであ
るソース由来の1個またはそれ以上のアミノ酸残基を有
する。これらの非ヒトアミノ酸残基は「インポート」残
基と称されることが多く、通常これらは「インポート」
可変ドメイン由来のものである。本質的に、Winter and
co−workers[Jones et al.,Nature 321,522−525(19
88);Riechmann et al.,Nature 332,323−327(1988);
Verhoeyen et al.,Science 239,1534−1536(1988)]
の方法にしたがい、ヒト抗体の対応する配列を齧歯類CD
R群またはCDR配列群で置換することによってヒト化を行
うことができる。したがって、このような「ヒト化」抗
体は、実質的に無傷のヒト可変ドメインより少ない部分
が、非ヒト種由来の対応する配列で置換されているキメ
ラ抗体(Cabilly、同上)である。実際には、ヒト化抗
体は典型的に、CDR残基および可能なFR残基が齧歯類の
類似部位由来の残基で置換されているヒト抗体である。
重要なのは、抗原に対する高アフィニティーおよび他
の好ましい生物学的性質を維持したまま抗体をヒト化す
ることである。この目的を達成するため、好ましい方法
にしたがい、親およびヒト化配列の三次元モデルを用
い、親配列および種々の概念的ヒト化産物を分析する方
法によってヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリ
ンモデルは一般に入手可能であり、当業者によく知られ
ている。選択された候補の免疫グロブリン配列の可能性
ある三次元コンフォメーション構造を図解し、表示する
コンピュータープログラムは入手可能である。これらの
表示を調査することにより、候補の免疫グロブリン配列
の機能における残基の可能性ある役割の分析、すなわ
ち、候補免疫グロブリンがその抗原と結合する能力に影
響する残基の分析が可能となる。このように、コンセン
サス配列およびインポート配列由来のFR残基を選択し、
結合し、所望の抗体の性質、例えば標的抗原(群)に対
する高いアフィニティーを達成することができる。概し
て、CDR残基は、抗原の結合への影響に直接ならびに最
も実質的に関与する。
一方、現在では、免疫化の際、内因性免疫グロブリン
の産生なしにフルレパートリーのヒト抗体を産生するこ
とができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を
作成することが可能である。例えば、キメラおよび生殖
細胞系突然変異マウスの抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子
の同型接合体が欠失した結果、内因性抗体の産生が完全
に阻害されることが示されている。上記生殖細胞系突然
変異マウスのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子配列
が転移した結果、抗原対抗量に対するヒト抗体の産生が
生じるであろう。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 90,2551−255(1993);Jakobovits et
al.,Nature 362,255−258(1993)参照。
(D)二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対
して結合特異性を有する、モノクローナル抗体、好まし
くはヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である。この
ケースでは、結合特異性の一方がO−フコシルトランス
フェーラゼに対するものであり、もう一方がいずれかの
他の抗原、好ましくは他のレセプターまたはレセプター
サブユニットに対するものである。例えば、2種の異な
るO−フコシルトランスフェーラゼと特異的に結合する
二重特異性抗体は本発明の範囲内である。
二重特異性抗体の作成方法は当分野に既知である。伝
統的には二重特異性抗体の組換え生産は、2種の重鎖が
異なる特異性を有する2種の免疫グロブリン重鎖−軽鎖
対の同時発現に基づく(Millstein and Cuello,Nature
305,537−539(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽
鎖の無作為な分類のために、これらのハイブリドーマ
(quadromas)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物
を産生し、そのうちの1種のみが正しい二重特異性構造
を有する。通常アフィニティークロマトグラフィー工程
によって行われる正しい分子の精製はむしろ厄介であ
り、生成物収率は低い。同様の方法がPCT出願公報第WO
93/08829号(1993年5月13日公開)およびTraunecker e
t al.,EMBO 10,3655−3659(1991)に記載されている。
より好ましい異なるアプローチにしたがって、所望の
結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合
部位)を免疫グロブリン不変ドメイン配列に融合する。
この融合物は、ヒンジの少なくとも一部を含む免疫グロ
ブリン重鎖不変ドメイン、および免疫グロブリン重鎖の
第二および第三不変領域(CH2およびCH3)を有するのが
好ましい。少なくとも融合物の1つに存在する軽鎖の結
合に必要な部位を含む第一重鎖不変領域(CH1)を有す
るのが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物および所望
ならば免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを種々の発
現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時トランスフ
ェクションする。こうすることで、構築における不均質
な割合の3つのポリペプチドの使用が最適な収量を提供
する場合には、具体化における3つのポリペプチド断片
相互の割合の調節に大きな融通性が提供される。しか
し、少なくとも2つのポリペプチド鎖が等しい割合で発
現された結果、高い収量が生じる場合、あるいはその割
合が特に重要でない場合には、2つまたは3つすべての
ポリペプチド鎖に対するコード化配列を1個の発現ベク
ターに挿入することができる。このアプローチの好まし
い態様では、二重特異性抗体は、一方のアームに第一の
結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖お
よびもう一方のアームにおける(第二の結合特異性を提
供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対から
構成される。二重特異性分子の1/2のみに免疫グロブリ
ン軽鎖が存在するために容易な分離方法が提供されるの
で、この非対称構造により、望ましくない免疫グロブリ
ン鎖の組み合わせから所望の二重特異性化合物を分離し
やすくなることがわかった。このアプローチは、例えば
Suresh et al.,Methods in Enzymology 121,210(198
6)に開示されている。
(5)ヘテロ結合抗体 また、ヘテロ結合抗体も本発明の範囲内である。ヘテ
ロ結合抗体は2個の共有結合抗体から構成される。この
ような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞
に向けること(米国特許第4,676,980号)、ならびにHIV
感染の処置用(PCT出願公開第WO 91/00360号および第WO
92/200373号;第EP 03089号)に提案されている。任意
の好都合な架橋法を用いて、ヘテロ結合抗体を作成する
ことができる。適当な架橋剤は当分野に周知であり、米
国特許第4,676,980号にたくさんの架橋技術とともに開
示されている。
IX. O−フコシルトランスフェーラゼ阻害剤の使用方
法 以前に報告されているように、O−結合フコースはた
くさんの興味深い生物学的分子に見られている。さら
に、O−結合フコースを含むグリコシル化物は、これら
の生物学的分子の適当な活性に不可欠であることが決定
されている。より重要なことに、このようなこれらの分
子中のO−結合フコースが不在であると、これらの分子
の効力は阻害され、あるいは減少する。例えば、ウロキ
ナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)のそ
のレセプター(uPAR)に対する結合はEGFドメインによ
って媒介されることが、S.A.Rabbani et al.,J.Biol.Ch
em.(1992)267:14151−56に報告されている。さらに、
Rabbaniらは、uPAのフコシル化EGFドメインが骨肉腫セ
ルライン、SaOS−2の細胞分裂を促進し、非フコシル化
EGFドメインが細胞分裂の促進を全く示さないことを報
告している。フコシル化uPAとの競合阻害アッセイで非
フコシル化uPAがモデルの細胞分裂促進性を減少させた
ので、このことは特に興味深い。
以下のタンパク質は本発明のO−フコシルトランスフ
ェーラゼによってグリコシル化され得るものと類似のEG
Fドメインを有することが知られている:凝固因子VII、
凝固因子VII(b)、フィブロペリンC(III)、スカベ
ンジャーレセプターCysリッチ表皮成長因子、ノッチ4
(notch 4)、C−セレート−1(C−serate−1)、
モッチB(Motch B)タンパク質、神経原性座ノッチ3
(neurogenic locus notch 3)、ノッチ2、主要脂肪球
膜タンパク質/MGF−E8、凝固因子IX、凝固因子XII、肝
細胞成長因子、アグリン(agrin)、α−2−マクログ
ロブリンレセプター(低密度リポタンパク質レセプター
関連タンパク質1前駆体)、ベルシカン(versican)、
コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、プラスミノーゲ
ンアクチベーター(uPA)、奇形がん腫誘導性成長因子
(Cripto成長因子)、奇形がん腫成長因子−3(Cripto
−3成長因子)、モッチA、乳脂肪球−EGF因子VIII(M
FGM)、フィブロペリンI a、フィブロペリンI b、プロ
テオグリカンPG−M(V3)、フィブロペリンI、C−セ
レート−2、貫膜タンパク質ジャグド(transmembrane
protein jagged)、貫膜タンパク質ジャグド−1、ベル
シカンv2、神経原性座ノッチ相同体4(形質転換タンパ
ク質int−3)、クラムス(crumbs)、タイレセプター
(tie receptor)チロシンキナーゼ、繊維芽細胞成長因
子レセプターリガンド(ligan)、胎児抗原1、プレ脂
肪細胞因子1、デルタ様dlkタンパク質、ストロマ細胞
誘導性タンパク質−1、デルタD貫膜タンパク質、x−
デルタ−1、アグリン関連タンパク質1、神経原性タン
パク質デルタ前駆体、プレプロマルチメリン、セレート
タンパク質、スリット(slit)タンパク質2、スリッ
ト、Gタンパク質共役レセプター、EGFリピート貫膜タ
ンパク質および神経原性座ノッチ1。
O−フコシルトランスフェーラゼ阻害剤の製造方法
は、パートIIのセクションB:O−フコシルトランスフェ
ーラゼの組換え生産にO−フコシルトランスフェーラゼ
変異体の製造に関して記載の方法と同様である。
所望の程度の純度を有するポリペプチドを、当分野に
おいて典型的に用いられる任意の「医薬的に許容され
る」担体、賦形剤または安定化剤(これらすべてを「賦
形剤」と称する)と混合することによって、本ポリペプ
チドまたは抗体の治療用製剤を凍結乾燥製剤または水溶
液として保存用に製造する。例えば、緩衝化剤、安定化
剤、保存剤、等張化剤、非イオン化界面活性剤、抗酸化
剤および他の種々の添加剤である(例えば、Remington'
s Pharmaceutical Sciences,16th edition,A.Osol,Ed.
(1980))。これらの添加剤は用いられる用量および濃
度において受容者に無毒でなければならない。
緩衝化剤は生理的条件に近い範囲内にpHを維持するこ
とを助ける。これらは約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存
在するのが好ましい。本発明の用いる適当な緩衝化剤に
は、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム−
クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナ
トリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合
物など)、琥珀酸緩衝液(例えば、琥珀酸−琥珀酸一ナ
トリウム混合物、琥珀酸−水酸化ナトリウム混合物、琥
珀酸−琥珀酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝液
(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−
酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合
物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル
酸一ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(フマル
酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸
二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸
二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝液(例え
ば、グルコン酸−グリコン酸ナトリウム混合物、グルコ
ン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グリコン
酸カリウム混合物など)、蓚酸緩衝液(蓚酸−蓚酸ナト
リウム混合物、蓚酸−水酸化ナトリウム混合物、蓚酸−
蓚酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸
−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合
物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)および酢酸緩衝液
(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化
ナトリウム混合物など)のような有機および無機酸両者
およびその塩がある。さらに、リン酸緩衝液、ヒスチジ
ン緩衝液およびトリスのようなトリメチルアミン塩を挙
げることができる。
0.2%−1%(w/v)の範囲の量の保存剤を加え、微生
物の生育を阻害する。本発明で用いる適当な保存剤に
は、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾー
ル、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンゾアル
コニウムハライド(例えば、クロライド、ブロミド、ヨ
ーダイド)、ヘキサメトニウムクロライド、メチルまた
はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン、カテコ
ール、レゾルシノール、シクロヘキサノールおよび3−
ペンタノールが含まれる。
「安定化剤」として知られることもある等張化剤を加
え、本発明の液状組成物の等張性を確実にする。等張化
剤には、多価糖アルコール、好ましくは三価またはそれ
以上の糖アルコール、例えばグリセリン、エリトリトー
ル、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよび
マンニトールなどが含まれる。他の成分の相対量を考慮
すると、多価アルコールは0.1重量%〜25重量%、好ま
しくは1重量%〜5重量%の間の量で存在可能である。
安定化剤とは、機能的に増量剤から治療物質を溶解さ
せ、あるいは変性または容器壁への付着を防ぐのを助け
る添加剤に及ぶ広い範疇の賦形剤を表す。代表的な安定
化剤は(上記列挙の)多価糖アルコール;アルギニン、
リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチ
ジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェ
ニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなどのアミノ
酸;イノシトールのようなシクリトールを含むラクトー
ス、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソル
ビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトー
ル、ガラクチトール、グリセロールなどの有機糖または
糖アルコール;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリ
マー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコレ
ートナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリ
セロールおよびチオ硫酸ナトリウムのような硫黄含有還
元剤;低分子量ポリペプチド(すなわち<10残基);ヒ
ト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまた
は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロ
リドンモノサッカライド、例えばキシロース、マンノー
ス、フルクトース、グルコース;ジサッカライド、例え
ばラクトース、マルトース、スクロースおよびトリサッ
カライド、例えばラフィノース;ポリサッカライド、例
えばデキストランのような親水性ポリマーであり得る。
安定化剤は0.1〜10,000重量/部分重量活性タンパク質
の範囲内である。
非イオン性界面活性剤または洗剤(「湿潤剤」として
も知られる)を加え、治療物質の溶解を補助し、ならび
に治療タンパク質を攪拌誘導性凝集から保護し、また、
タンパク質の変性を引き起こすことなしに、製剤を剪断
表面に圧迫暴露させる。適当な非イオン性界面活性剤に
は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー
(184、188など)、プルロニックポリオール、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノエーテル(トゥイーン
20、トゥイーン−80など)がある。非イオン性界面活
性剤は、約0.05mg/mLから約1.0mg/mL、好ましくは約0.0
7mg/mL〜約0.2mg/mLの範囲で存在し得る。
さらなる種々の賦形剤には、増量剤(例えばデンプ
ン)、キレート剤(例えばEDTA)、抗酸化剤(例えば、
アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)および共溶
媒がある。
本明細書中の製剤はまた、処置すべき特定の徴候に対
して必要な1つ以上の活性化合物、好ましくは互いに反
対に作用しない相補的活性を有する活性化合物を含む。
例えば、さらに免疫抑制剤を提供するのが望ましいかも
しれない。このような分子は意図する目的に有効な量を
組み合わせて適当に存在させる。
例えばコアセルベーション技術によって、あるいは界
面ポリマー化によって調製されたミクロカプセル、それ
ぞれコロイド薬物デリバリー系(例えばリポソーム、ア
ルブミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒
子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン中の
例えばヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンミク
ロカプセルおよびポリ−(メチルメタシレート(methyl
methacylate))ミクロカプセル、中にこの活性成分を
入れる。このような技術は、Remington's Sciences,16t
h edition,A.Osal,Ed.(1980)に開示されている。
インビボ投与に用いる製剤は滅菌しなければならな
い。これは例えば滅菌ろ過膜を介するろ過によって容易
に行うことができる。
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適
当な例には、突然変異抗体を含む固形疎水性ポリマーの
半透性マトリックスであって、同左が成形加工粒子形
態、例えばフィルムまたはミクロカプセルであるものが
ある。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒ
ドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタ
クリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ
ラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン
酸およびエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分
解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコ
ール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸−グリ
コール酸コポリマーおよびロイプロリドアセテートから
構成される注入可能ミクロスフェア)およびポリ−D−
(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−ビ
ニルアセテートおよび乳酸−グリコール酸のようなポリ
マーは100日以上にわたって分子を放出することができ
るが、あるヒドロゲルはより短い期間しかタンパク質を
放出できない。カプセル化抗体が長期間体内にとどまる
場合、これらは37℃で水分に暴露された結果、変性また
は凝集し、生物学的活性の喪失および免疫原性の可能な
変化を生じ得る。関与する機構に応じて安定化用の合理
的な戦略を考案することができる。例えば、凝集機構が
チオ−ジスルフィド交換を介する分子間S−S結合形成
であることが発見された場合、スルフヒドリル残基の修
飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含量の制御、適当な
添加剤の使用および特定のポリマー基質組成物の開発に
よって安定化を行うことができる。
特定の障害または症状の処置に有効な治療的ポリペプ
チド、抗体またはその断片の量は、その障害または症状
の性質に依存するであろうし、標準臨床技術によって決
定できる。可能ならば、ヒトで試験する前に、まずイン
ビトロで、次いで有用な動物モデル系において、用量−
応答曲線および本発明の医薬組成物を決定するのが望ま
しい。しかし、当分野の一般的知識に基づいて、感覚ニ
ューロンの生存を促進するのに有効な医薬組成物は約5
および20ng/mLの間、好ましくは約10および20ng/mLの間
の局所的治療薬濃度を提供し得る。本発明のさらなる具
体的な態様では、網膜ニューロンの生育および生存を促
進するのに有効な医薬組成物は約10ng/mLおよび100ng/m
Lの間の局所的治療薬濃度を提供し得る。
好ましい態様では、治療的ポリペプチド、抗体または
その断片の水溶液を皮下注射によって投与する。各用量
は、体重1kg当たり約0.5μg〜約50μg、より好ましく
は体重1kgあたり約3μg〜約30μgの範囲とすること
ができる。
皮下投与用の投与計画は、疾患のタイプ、疾患の重篤
度および治療薬に対する患者の感受性を含むいくつかの
臨床的要因に基づいて週一回の投与から毎日の投与まで
変化させることができる。
以下の実施例は例示的であり、限定的なものではな
い。本明細書中のすべての引用文献の開示内容は引用に
より本明細書中に包含される。
実施例 実施例I 配列分析 自動気相シーケンサーを用い、CHO細胞由来の精製O
−フコシルトランスフェラーゼのアミノ末端配列を得
た。タンパク質(2μg)を61サイクルの分析に付し
た。得られた配列は以下のものである: RLAGSWDLAGYLLYXPXMGRFGNQADHFLGSLAFAKLXVRTLAVPPWIEY
QHHKPPFTNLH[配列番号3]。
不確実な残基を与えるサイクルはXと表した。これらは
おそらくグリコシル化部位であるか、あるいはタンパク
質の他の部分とジスルフィド結合を形成しているシステ
イン残基である。上記配列に関するGenBankの調査で
は、ヒトおよびC.elegans由来の未知の機能の2つの相
同な遺伝子が発見された(図9)。このヒト配列、KIAA
0180は、骨髄芽球セルラインKG−1由来の未知の機能の
タンパク質をコードする5009bpの部分的cDNAである。発
明者らのCHO細胞および公開されているヒト配列の間の
相同性は、これらがオーバーラップする領域(CHO細胞
配列のカルボキシル側の39アミノ酸残基)で約95%であ
る。C.elegansゲノム配列、CELC15C7_5のコンピュータ
ー分析によって、C.elegans由来のポリペプチドを製造
した。発明者らのCHO細胞の全61残基配列はC.elegans配
列と37%の相同性を有する。しかし、CHO細胞配列のC
末端43アミノ酸残基のみを比較した場合、相同性は76%
に増加する。ヒト配列に関して、不完全な配列情報しか
得られないせいで、このCHO細胞および公開されている
ヒト配列の実際の比較は不可能である。ヒトおよびC.el
egans配列間の相同性は約40%である。
ノザンブロット分析 ヒトKIAA0180由来の2つの部分的に相補的なオリゴヌ
クレオチド(配列16−55および80−41)を充填し、オリ
ゴヌクレオチドプローブを作成した。また、これらの配
列は、図11に示されるCHO細胞ポリペプチド配列とオー
バーラップしていた。これら2つのノザンプローブは以
下の配列に相当するものである: 5'−CTTCTTGGGCTCTCTGGCATTTGCAAAGCTGCTAAACCGT−3'
[配列番号10] [配列番号11]3'−TTCGACGATTTGGCATGGAACCGACAGGGAGG
AACCTAAC−5'。
Clontechからヒト多組織RNAブロットを購入し、その
指示にしたがって、実験を行った。このブロッティング
では、心臓、胎盤、肝臓、筋肉および膵臓には存在する
が、肺、腎臓および脳には存在しないそれぞれ約5およ
び5.5kbの2個のバンドを生じた(図10参照)。これら
のプローブの配列は、ヒトKIAA0180の16−80位由来のも
のであり、図11のCHO細胞O−フコシルトランスフェー
ラゼN末端ポリペプチド配列とマッチする領域である。
cDNAクローンの単離 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のプライマーはKIAA0
180由来のものであり、kiaa16−55およびkiaa1110−107
1に相当するものであった。これらのプライマーは以下
の配列に相当するものである: 5'−CTTCTTGGGCTCTCTGGCATTTGCAAAGCTGCTAAACCGT−3'
[配列番号12] 3'−TCCCTGGGGAGTTCCTCCCTCTGCGAGGTA−5'[配列番号1
3]。
予測される生成物は約1.1kbのものである(図11参
照)。次いで、PCR産物を鋳型として用いるランダムプ
ライマー法によってプローブを作成した。
Clontechからヒト心臓cDNAライブラリーを購入した。
製品マニュアルにしたがってスクリーニングを行った。
百万個の組換えクローンをスクリーニングした後、31個
のポジティブクローンを同定し、確認のため、そのうち
20個をさらに2回のスクリーニングに付した。単離した
クローン由来の組換えラムダDNAをEcoR Iで消化し、上
記ノザンブロット用と同じプローブを用い、サザンブロ
ッティング(Ausubel et al.,Ch.2,同上)に付した結
果、O−フコシルトランスフェーラゼのコード配列を含
む可能性のある8個のクローンを得た。
サブクローニングおよびDNA配列決定: サザンブロットによって同定したポジティブEcoR I断
片をQiagen抽出キットを用いてアガロースゲルから精製
し、pBluescript II SK+プラスミド(Srratagene)中
にサブクローニングした。Qiagen Maxiprepキットを用
いてプラスミドDNAを製造し、これをDNA配列決定用に用
いた。ABI370自動DNAシーケンサーでDNA配列決定を行
い、8個のクローンのうち7個がKIAA0180配列を含むこ
とを同定した。KIAA0180第一EcoR I断片およびCHO細胞
由来のO−フコシルトランスフェーラゼのN末端ポリペ
プチド配列の両者を含むデータから編集された配列を得
た(図12A)。翻訳されたポリペプチドはMet残基で始ま
るが、正確なN末端残基はまだ決定されていない。5'メ
チオニン残基を超えて伸びるクローンは全て、おそらく
GCリッチ領域によって導入されたクローニング人工産物
のせいで、異なる配列を有していた。活性CHO酵素のN
末端配列と同じ位置、ただし、メチオニンではなくアル
ギニンであるが、で始まるため、図12Bに示す得られた
配列由来のポリペプチドは活性ヒトO−フコシルトラン
スフェーラゼの配列を表す可能性が最も高い。また、ヒ
トおよびCHO細胞配列を図12Bに示す。
発現 バキュロウイルス発現系を用いて、Sf9昆虫細胞内で
このタンパク質を発現させた。図13に示すような修飾形
態のプラスミドpVL1392をベクターとして用いた。この
プラスミドを特にバキュロウイルス−昆虫発現系での発
現用に設計した。これは分泌用に設計した人工シグナル
ペプチド、精製用6ヒスチジンタグおよび上記の推定ヒ
トO−フコシルトランスフェーラゼを含む。BaculoGold
発現キット(Pharmingen)でトランスフェクションを行
う。5個の組換えウイルスクローンを3回プラーク精製
した。増幅を繰り返し、108pfu/mLのウイルスストック
を調製した。5×108pfu組換えウイルスを2×107Sf9細
胞にトランスフェクションし、発現を行った。ウイルス
感染後のSf9培養培地のO−フコシルトランスフェーラ
ゼ活性のアッセイでは、5個のクローンのうち4個が分
泌O−フコシルトランスフェーラゼを発現し、5番目の
ウイルスに感染した培養物および非感染Sf9細胞は酵素
活性を有していなかった(図14)。
感染72時間後に培養培地および細胞を収集し、製造元
の指示にしたがい、Ni2+−NTAアガロースを用いて、組
換えO−フコシルトランスフェーラゼを精製した。細胞
溶解物から精製したタンパク質は銀染色SDS−PAGEで、
予測される分子サイズと一致する43kdの単一のバンドを
示した(図15)。気相配列決定を用いて、N末端配列分
析によって決定されたアミノ末端配列を得て、発現され
たタンパク質が組換え物であり、Sf9細胞の内因性酵素
ではないことを確認した。N末端配列は以下のものであ
ることが決定された: RSHHHHHHMPAGSWDPAGYLLYXPXMGR[配列番号14]。
実施例2 フコシルトランスフェーラゼアッセイ 反応容量50μLは以下の成分を含んでいた:0.1Mイミ
ダゾール−HCl、pH7.0;50mM MnCl2;0.1mM GDP−14C−フ
コース(40000−8000cpm/nmol)、20μM組換えヒト因
子VII EGF−1ドメインおよび約0.01−0.1ミリユニット
の酵素活性。この混合物を37℃で10〜20分間インキュベ
ートした。この混合物を氷上に置き、次いで0.25M EDT
A、pH8.0、950μLで希釈して反応を停止した。C18カー
トリッジ(Alltech,Extract Clean,C18,200mg)を介し
て溶液を通すことによって、GDP−フコース、フコース
−リン酸および遊離フコースから取り込まれたフコース
を分離した。このカートリッジをH2O5mLで洗浄し、次い
で0.052%TFAを含む80%アセトニトリル3mLで生成物を
溶出させた。この溶出物をAquasol II(NEN/Du Pont)1
0mLと混合し、液体シンチレーション計数器を用いて計
数した。
組換えヒト因子VIIおよびIX EGFドメインおよび突然変
異体 ヒト因子IX EGFドメインおよびその突然変異遺伝子を
因子VII EGFドメインと同じように構築した。ヒト因子V
II由来の組換え形態の第一EGFドメインを大腸菌内で生
産した。このEGFドメインの配列は成熟タンパク質の残
基45〜87由来のものであり、C末端に6個のヒスチジン
残基、次いでクローニングベクター由来の3残基を有す
る。この構築物には以下の第一の配列が含まれる: TVDGDQCESNPCLNGGSCKDDINSYECWCPFGFEGKNCELDVTHHHHHHG
SA[配列番号15]。
カセット突然変異誘発、Wells et al.,Gene 34,315
(1985)の方法にしたがい、突然変異配列を有する同じ
オリゴヌクレオチドカセットを用いて、突然変異体を構
築した。1リットル規模で発現を行った。非変性精製に
関する製造元の指示にしたがい、Ni2+−NTAアガロース
(Qiagen)を用いてペリプラズムショケイト(periplas
mic shokates)から組換えEFGドメインを精製した。培
養液1Lに対して、樹脂0.5mLを用い、次いで溶出液をセ
ントリコン−3で約200μLにまで濃縮し、続く工程に
用いた。
実施例3 CHO細胞抽出物からのO−フコシルトランスフェーラゼ
の精製 O−フコシルトランスフェーラゼの精製:ほとんどの
酵素活性は細胞溶解液の可溶性フラクションにおいて回
復可能である。この活性はDE−52アニオン交換カラムに
結合しないが、Affi−Gelブルー樹脂に定量的に残留し
ているのが認められるはずである。さらに我々は、この
酵素がその受容基質である組換えEGFドメインおよび供
与基質類似体であるGDP−ヘキサノールアミンの両者に
対して高いアフィニティーを有していることを発見し
た。この結果から、これら2つの分子をリガンドとして
有するアフィニティー樹脂を作成した。これは鍵となる
精製工程である。この酵素を細胞ペーストから5000倍精
製し、活性によって測定した収率は20%であった。この
情報を表1に報告する。
工程1:CHO細胞抽出物の精製: また、O−フコシルトランスフェーラゼは他の膜結合
タンパク質と同様の性質を示すので、極めてタンパク質
分解されやすいステム領域をも有している可能性があ
る。膜粒子のプロセッシングを避けるため、初期ホモジ
ネート調製時はプロテアーゼ阻害剤を省略すべきであ
る。凍結CHO細胞ペーストを室温で解凍し、その後の全
工程中4℃に冷却して維持した。ホモジネーション時に
は低イオン強度緩衝液を用い、細胞の崩壊を助け、この
ホモジネートにDNアーゼIを加え、粘度を減少させ、そ
の後のクロマトグラフィー工程を容易にした。表1に示
すように、2.2倍精製を達成した第一工程後にほとんど
の活性が回復した。
凍結したCHO細胞ペースト(100g)を室温で解凍し、
氷上で冷却維持した。20mMイミダゾール−CHl、pH7.0お
よび25mM NaClの緩衝液300mL中、この細胞を30秒破裂3
回の超音波破砕に付し、ホモジナイズした(Virsonic 5
50,at 20% output with 1/2 inch probe)。DNアーゼ
I(2mg/mL、1mL)および1M MgCl2(0.4mL)をホモジネ
ートに加え、次いでこれを10,000×g(Sorvell RC−5,
GSA rotor)で45分間遠心した。上清(355mL)をさらな
る精製用に確保した。
工程2:DE−52およびAffi−Gelクロマトグラフィー: 本酵素はDE−52カラムを通して流出し、Affi−Gelブ
ルーに結合したので、2つのカラムをローディングおよ
び初期洗浄工程用に連結した。図2に示す点AでDE−52
カラムをAffi−Gelブルーカラムから分離した。ゆるく
結合したタンパク質を高い塩濃度(125mM NaCl)で洗い
落とした。次いで図2に示す点Bにおいて、酵素を1M N
aClで溶出させた。ここでNaClの濃度勾配を用いても、
精製は改良されなかった。図2では、酵素活性をもたな
いタンパク質はその大部分がDE−52に結合したため、相
対的に量が少なく、クロマトグラムに示されなかった。
2個のカラムでの精製をあわせて、70%収率で7.3倍で
あった。調製物の総容量は350mLから40mLに減少した。
一方はDE−52(2.5×3.0cm)であり、もう一方はAffi
−Gelブルー(2.5×15cm)である2つのカラムを連結
し、ホモジナイズに用いたのと同じ緩衝液で平衡化し
た。CHO細胞抽出工程からの上清をDE−52カラム(1mL/
分)に載せ、このカラムを同緩衝液で洗浄した。次い
で、De−52カラムをAffi−Gelカラムから分離した。こ
のAffi−Gelカラムを25mMイミダゾール−HCl、pH7.0お
よび125mM NaClの緩衝液200mLで洗浄し、次いで高塩(2
5mMイミダゾール−HCl、pH7.0、1M NaCl)溶出を行っ
た。酵素活性を含む溶出フラクションをプールし、25mM
トリス−HCl、pH8.0、25mM NaClおよび25%(w/v)グリ
セロールの緩衝液に対して透析した。最終容量は40mLで
あった。
工程3:FVII−EGF−H6−Ni2+−NTA−アガロース(受容基
質) 本発明で用いるのに望ましい受容体類似樹脂は因子VI
I−EGF−his6およびNi2+−NTAアガロースである。Ni2+
−NTAアガロースの使用は慣用の共有結合架橋樹脂と比
べていくつかの利点を有する。第一にEGFリガンドはポ
リヒスチジン配列の位置にしたがい、定まった方向で樹
脂に結合する。このEGFリガンドは実施例2に記載のよ
うに製造することができる。ヒスチジンタグがEGFドメ
インのアミノ末端ではなくカルボキシル末端にある場
合、O−フコシルトランスフェラーゼ酵素はこの樹脂に
よりよく結合したので、精製用にはEGFドメインのカル
ボキシル末端のヒスチジンタグを用いた。第二にNi2+
NTA樹脂に対するポリヒスチジンタグの結合はタンパク
質精製に用いるほとんどの条件下で安定であった。Ni2+
−NTA−アガロースに対するEGFのカップリングはほぼ定
量的であり、この樹脂は非常に安定であった。非常に穏
やかな条件下例えばイミダゾールまたはEDTAでリガンド
とともにこのタンパク質を溶出させることが可能であ
る。Ni2+−NTAアガロースに対する組換えEGFのカップリ
ングは非常に単純かつ速いものであり、樹脂およびリガ
ンドをトリス緩衝液中で混合することによって行うのが
好ましい。さらにニッケルカラムでの初期精製なしに組
換えEGFを用いることができる。
過度に洗浄した後でさえ、組換えEGFドメインの漏出
は観察されなかった。図3に示すように、樹脂に対する
酵素の結合は定量的であった。図3の点Aの時点で、0.
5M NaClを含有する緩衝液でカラムを洗浄し、多量の非
特異的結合タンパク質を溶出させた。EGFドメインに対
する酵素の結合は2M NaClでの洗浄に耐え得るほど十分
に強いものであった。
酵素が変性する可能性があり、Ni2+−NTA樹脂への結
合が非共有的であることから、まずEGFドメインを樹脂
から解離させることによって酵素を回収した。図3に示
す点Bにおいて、25mMイミダゾールを含む緩衝液でカラ
ムを洗浄し、より多くの非特異的結合タンパク質を取り
除いた。図3に示す点Cにおいて、0.3Mイミダゾール溶
液を用いて、ポリヒスチジンタグ付EGFドメインを酵素
とともに溶出させた。溶出物中にほぼ6mgの組換え因子V
II EGFドメインが存在したので、実際の段階的精製は表
1に示す16倍よりも有意に高かった。
FVII−EGF−H66mgを0.1Mトリス−HCl、pH8.0中のNi2+
−NTA−アガロース樹脂10mLと4℃で4時間混合し、リ
ガンドとして受容基質を有するアフィニティー樹脂を作
成した。次いで、この樹脂をカラム(1.5×6.0cm)に詰
め、pH8.0の0.1Mトリス−HCl40mLで洗浄し、次いで0.1M
トリス−HCl、0.5M NaCl30mLでもう1回洗浄した。次い
でDE−52およびAffi−Gelブルークロマトグラフ工程で
の透析に用いたのと同じ緩衝液でこれを平衡化した。
透析サンプルに1mM MnCl2および0.1mM GDPを補い、ア
フィニティーカラムに流速0.5mL/分で載せ、次いで同緩
衝液(1mM MnCl2および0.2mM GDPを含む)40mLを載せ
た。次いで、0.5M NaClを含む同緩衝液45mL、およびpH
7.0の25mMイミダゾール−HCl、25mM NaClおよび25%(w
/v)グリセロール45mLそれぞれでこのカラムを洗浄し
た。次いで、pH7.0の0.3Mイミダゾール−HCl、25%(w/
v)グリセロール90mLでカラムから酵素を溶出させた。
活性を含むフラクションをプールし、pH7.0の25mMイミ
ダゾール−HCl、25mM NaCl、25%(w/v)グリセロール
に対して透析した。
工程4:GDP−ヘキサノールアミンアガロース(供与基
質) GDP−ヘキサノールアミン−アガロースは多くのフコ
シルトランスフェーラゼの精製に広範に用いられる。Be
yer et al.,J.Biol.Chem.255(11),5364−5372(198
0)。またO−フコシルトランスフェーラゼはこの樹脂
に結合する。しかし、図4に示すように、サンプルをGD
P−ヘキサノールアミン−アガロースを含むカラムに載
せた場合、酵素の総量の少なくとも半分はカラムを通し
て流出した。図4に示す点Aにおいて、125mM NaClを含
む緩衝液でカラム洗浄し、非特異的結合タンパク質を溶
出させた。この点以降で、本酵素を特異的に溶出させる
ためにGDP濃度勾配(0−2mM)を用いた。図5に示すよ
うに、この濃度勾配から収集したフラクションは非常に
限られた量のタンパク質しか含んでいなかった。図5の
銀染色で過剰染色したSDS−PAGEゲルでは、44KDの単一
バンドのみが見られた。また、このバンドの強度変化は
異なるフラクション間の酵素活性を反映している。
製造元の指示にしたがい、CDP−ヘキサノールアミン
(30μmol)をCNBr活性化セファロース4B樹脂(10mL、P
harmacia)とカップリングさせることによって、リガン
ドとして供与基質類似体を有するアフィニティー樹脂を
作成した。次いでこの樹脂をカラムに詰め、受容基質カ
ラムの調製に用いたのと同じ緩衝液で平衡化した。
透析サンプル(13mL)に5mM MnCl2を補い、5mL/時で
カラムに載せた。次いで、このカラムをpH7.0の25mMイ
ミダゾール−HCl、25mM NaCl、5mM MnCl2および25%(w
/v)グリセロール30mL、次いで125mM NaClを含む同緩衝
液45mLで洗浄した後、24mM NaClを含むもう10mLの緩衝
液で洗浄した。総容量50mL中のpH7.0の25mMイミダゾー
ル−HCl、25mM NaCl、5mM MnCl2、25%(w/v)グリセロ
ール100%で出発し、2mM GDPを含む同緩衝液100%で終
了する0−2mM GDPの直線状濃度勾配を用いて溶出を行
った。このカラムをもう40mLの後者の緩衝液で洗浄し
た。活性を含むフラクションをまず銀染色SDS−PAGEに
よって試験し、単一バンドのみを含むフラクションをプ
ールした。次いで−20℃での保存用に、グリセロールを
最終濃度50%(w/v)まで加えた。
CHO細胞ペースト100gからの酵素の調製結果を示す精
製結果を表1に報告する。工程2−4のクロマトグラム
をそれぞれ図2−4に報告する。
実施例3 精製O−フコシルトランスフェーラゼのグリコシダーゼ
消化 1.PNGアーゼF消化 保存緩衝液(50μL)中の純粋なタンパク質をまず、−
20℃のアセトン250μLで沈殿させ、次いで小型遠心機
で15分間回した。ペレットをアセトン200μLで洗浄
し、空気乾燥した。次いで、このタンパク質を0.5%SD
S、10mM β−メルカプトエタノールおよびpH8.0の0.15M
トリス−HCl10μL中に再溶解し、100℃で3分間加熱し
た。pH8.0の2%NP−40、30mM EDTA20μL中の0.5ユニ
ットのPNGアーゼFを加えて消化を行い、この溶液を37
℃で一晩インキュベートした。消化したサンプル(10μ
L)を直接SDS−PAGEで分析した。
2.EndoH消化 上記のようにタンパク質を変性させた。pH5.5の50mM
クエン酸ナトリウム、2mM PMSF、0.25%NP−40、30μL
中の1mUのグリコシダーゼを用い、37℃で4.5時間消化を
行った。ある量(10μL)のサンプルをSDS−PAGEで分
析し、消化の進行を決定した。
逆相HPLCおよびエレクトロスプレー質量分析 Hewlett−Packard1090液体クロマトグラフ系と相互作
用するPE/Sciex AP−300三重四重極質量分析計でLCーMS
分析を行った。C−18カラム(2.1×250mm、Vydac)に
水/アセトニトリル/TFA濃度勾配を0.2mL/分で流して分
離を行った。緩衝液Aは0.06%TFAおよび水を含み、緩
衝液Bは0.052%TFAおよび80%アセトニトリルを含む。
濃度勾配は以下の工程を有する:0−1分、2−10%B;1
−5分、10−25%B;5−25分、25−35%B;25−30分、35
−98%B。カラム流出物を214nmでタンパク質について
モニターし、次いで標準イオン噴霧器の前の1:5スプラ
イサーを通して質量分析計に導入した。オリフィス電位
を50Vにセットし、イオンスプレー電位を4700Vとした。
ステップサイズ0.5amuおよびドエル時間0.1msで400−25
00m/zから質量スキャンを行った。BioMultiView1.2を用
いてデータを分析した。
特徴付け 1.グリコシダーゼ消化 多くのグリコシルトランスフェラーゼはそれ自身糖タン
パク質であり、種々のタイプおよび量のオリゴ糖類を含
む。さらに、これらのグリコシルトランスフェラーゼの
大部分は小胞体またはゴルジ装置に存する。2つのエン
ドグリコシダーゼ、PNGアーゼFおよびEndoHを用いて精
製O−フコシルトランスフェーラゼのグリコシル化の性
質を試験した。図6は、PNGアーゼ消化後、タンパク質
の分子量が約4kd減少して40kdとなり(レーン2)、N
結合オリゴ糖類の存在を示すことを示している。また、
この結果は1つ以上の高マンノース型オリゴ糖類が酵素
に存在することを示す。
2.受容基質特異性: 上記のように、EGFドメインのO−フコシル化はすべ
て、推定のコンセンサス配列のCXXGGS/TCの範囲内で生
じる。2個のグリシン残基がO−フコシル化に必要とさ
れるか否かを証明するため、表IIに示すヒト因子IX EGF
ドメイン変異体を構築した。2個のうちどちらか、また
は両グリシン残基のかわりにアラニンを用いて3つの突
然変異体を構築し、精製O−フコシルトランスフェーラ
ゼに対する受容基質として試験した。4つの組換えEGF
ドメインを用いるアッセイはすべてポジティブカウント
を示した。2個のグリシン残基が絶対的に活性に必要で
あるわけではないと考えられる。
逆相HPLCを用いる組換え因子IX EGFドメインの分析で
は、野生型がクロマトグラムでただ1つのピークを示す
のに対して、グリシンをアラニンに変化させた突然変異
EGFドメインは複数のピークを示すことが示された(図
7)。エレクトロスプレー質量分析による種々のピーク
のさらなる特徴付けでは、1つの突然変異体由来のすべ
てのピークは同じ分子量を有することが示され、複数の
ピークは異なるフォールディング形式の突然変異EGFド
メインを表すことが示された。また、この分析は、いず
れかのグリシン残基の変化がEGFドメインのフォールデ
ィングに重大な影響を及ぼすという結論を導くものであ
る。
種々の形態の突然変異体がすべてO−フコシルトラン
スフェーラゼの基質として働くかどうかを決定するた
め、エレクトロスプレー質量分析と直結した逆相HPLCを
用い、フコシル化反応の生成物を分析した。突然変異体
ala−alaを用いた実験を図8に示す。他の試験突然変異
体の分析でも類似の結果が得られた。フコシル化反応
後、4つのピークのうち3つ(30.4)の分子量は異なる
分子量(5964)を有し、これは他のピーク(5817)およ
びフコシル化反応前の対応するピークより146多かっ
た。これらの結果から、4つの異なるフォールディング
形式のうち1つのみがO−フコシルトランスフェーラゼ
の受容基質として働くことが示される。2個のグリシン
残基は無条件に活性に必要とされるわけではないが、こ
れらが存在することはEGFドメインの適当なフォールデ
ィングに重要であり、これゆえ野生型のEGFドメインは
突然変異体より良好な基質であった。酵素O−フコシル
トランスフェーラゼは、適当に機能するための適当な三
次元構造を有するためにその基質を必要とした。
配列表 (1) 一般的情報: (i) 出願人:ヤン・ワン、マイケル・ダブリュ・
スペルマン (ii) 発明の名称:O−フコシルトランスフェーラゼ (iii) 配列の数:17 (iv) 連絡先: (A) 宛名:ジェネンテック,インコーポレイテ
ッド (B) 通り:ディエヌエイ・ウェイ1番 (C) 市:サウス・サンフランシスコ (D) 州:カリフォルニア (E) 国:アメリカ合衆国 (F) ZIP:94080 (v) コンピューター解読書式: (A) 媒体型:3.5インチ,1.44Mbフロッピーディ
スク (B) コンピューター:IBM PC適合 (C) オペレーティング・システム:PC−DOS/MS
−DOS (D) ソフトウエア:WinPatin(ウィンパトイ
ン)(ジェネンテック) (vi) 本出願のデータ: (A) 出願番号: (B) 出願日: (C) 分類: (vii) 優先権主張出願のデータ: (A) 出願番号:08/792498 (B) 出願日:1997年1月31日 (viii) 弁理士/代理人情報: (A) 氏名:スヴォボーダ、クレイグ・ジー (B) 登録番号:39,044 (C) 参照/整理番号:P1041P1PCT (ix) 電話連絡先情報: (A) 電話番号:650/225−1489 (B) ファックス番号:650/952−9881 (2) 配列番号1の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:1514塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号1: (2) 配列番号2の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:365アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号2: (2) 配列番号3の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:61アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号3: (2)配列番号4の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:1300塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号4: (2) 配列番号5の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:11284塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号5: (2) 配列番号6の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:397アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号6: (2) 配列番号7の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:5009塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号7: (2) 配列番号8の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:474アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号8: (2) 配列番号9の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:61アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号9: (2) 配列番号10の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:40塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号10: (2) 配列番号11の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:40塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号11: (2) 配列番号12の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:40塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号12: (2) 配列番号13の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:30塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号13: (2) 配列番号14の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:28アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号14: (2) 配列番号15の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:52アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号15: (2) 配列番号16の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:1100塩基対 (B) 型:核酸 (C) 鎖の数:一本鎖 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号16: (2) 配列番号17の情報: (i) 配列の特徴: (A) 長さ:343アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (xi) 配列:配列番号17:
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12Q 1/48 C12R 1:91 // C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA (C12N 5/10 5/00 B C12R 1:91) (C12N 9/10 C12R 1:91) (56)参考文献 Glycobiology,1996年, Vol.6,No.8,p.832−842 DNA RESEARCH,1996年, Vol.3,p.17−24 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/00 - 9/99 C12N 5/00 - 5/28 C07K 14/00 - 19/00 C12P 21/00 - 21/08 C12Q 1/00 - 1/70 G01N 33/00 - 33/98 C12N 9/99 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) EUROPAT(QUESTEL) MEDLINE(STN) PCI(DIALOG) REGISTRY(STN) WPI/L(QUESTEL) WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単離され精製されたO−フコシルトランス
    フェラーゼ酵素であって、SDS−PAGEゲルの銀染色によ
    り単一のバンドのみが見えるよう精製され、ポリペプチ
    ドの表皮成長因子ドメインを活性化O−フコース部分で
    グリコシル化することができ、配列番号9の配列を含む
    ポリペプチド、配列番号3の配列を含むポリペプチド、
    配列番号2の配列を含むポリペプチド、保存的置換を1
    つ有する配列番号9の配列を含むポリペプチド、保存的
    置換を1つ有する配列番号3の配列を有するポリペプチ
    ド、及び、保存的置換を1つ有する配列番号2の配列を
    有するポリペプチドからなる群から選択される酵素。
  2. 【請求項2】配列番号9の配列を含む、請求項1に記載
    のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素。
  3. 【請求項3】配列番号3の配列を含む、請求項1に記載
    のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素。
  4. 【請求項4】配列番号2の配列を含む、請求項1に記載
    のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素。
  5. 【請求項5】保存的置換を1つ有する配列番号9の配列
    を含む、請求項1に記載のO−フコシルトランスフェラ
    ーゼ酵素。
  6. 【請求項6】保存的置換を1つ有する配列番号3の配列
    を含む、請求項1に記載のO−フコシルトランスフェラ
    ーゼ酵素。
  7. 【請求項7】保存的置換を1つ有する配列番号2の配列
    を含む、請求項1に記載のO−フコシルトランスフェラ
    ーゼ酵素。
  8. 【請求項8】表皮成長因子ドメインが配列:−Cys−Xaa
    −Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr−Cys−を含む、請求項1に
    記載のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素。
  9. 【請求項9】表皮成長因子ドメインが配列:−Cys−Xaa
    −Xaa−Gly−Gly−Ser/Thr−Cys−を含む、請求項1に
    記載のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素。
  10. 【請求項10】ポリペプチドの表皮成長因子ドメインを
    活性化O−フコース部分でグリコシル化することができ
    るO−フコシルトランスフェラーゼ酵素をコードする単
    離された核酸配列であって、ここで該酵素は、配列番号
    9の配列を含むポリペプチド、配列番号3の配列を含む
    ポリペプチド、配列番号2の配列を含むポリペプチド、
    保存的置換を1つ有する配列番号9の配列を含むポリペ
    プチド、保存的置換を1つ有する配列番号3の配列を有
    するポリペプチド、及び、保存的置換を1つ有する配列
    番号2の配列を有するポリペプチドからなる群から選択
    される。
  11. 【請求項11】配列番号9の配列を含むO−フコシルト
    ランスフェラーゼ酵素をコードする、請求項10に記載の
    単離された核酸配列。
  12. 【請求項12】配列番号3の配列を含むO−フコシルト
    ランスフェラーゼ酵素をコードする、請求項10に記載の
    単離された核酸配列。
  13. 【請求項13】配列番号2の配列を含むO−フコシルト
    ランスフェラーゼ酵素をコードする、請求項10に記載の
    単離された核酸配列。
  14. 【請求項14】保存的置換を1つ有する配列番号9の配
    列を含むO−フコシルトランスフェラーゼ酵素をコード
    する、請求項10に記載の単離された核酸配列。
  15. 【請求項15】保存的置換を1つ有する配列番号3の配
    列を含むO−フコシルトランスフェラーゼ酵素をコード
    する、請求項10に記載の単離された核酸配列。
  16. 【請求項16】保存的置換を1つ有する配列番号2の配
    列を含むO−フコシルトランスフェラーゼ酵素をコード
    する、請求項10に記載の単離された核酸配列。
  17. 【請求項17】該核酸配列が配列番号1または配列番号
    16の配列を含む、請求項10に記載の単離された核酸配
    列。
  18. 【請求項18】請求項11から17のいずれか1項に記載の
    配列を含むベクター。
  19. 【請求項19】請求項18に記載のベクターを含む宿主細
    胞。
  20. 【請求項20】O−フコシルトランスフェラーゼ酵素に
    結合するモノクローナル抗体であって、ここで該酵素は
    配列番号9、配列番号3または配列番号2の配列を含
    む。
  21. 【請求項21】該酵素が配列番号9の配列を含む、請求
    項20に記載のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素に結
    合するモノクローナル抗体。
  22. 【請求項22】該酵素が配列番号3の配列を含む、請求
    項20に記載のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素に結
    合するモノクローナル抗体。
  23. 【請求項23】該酵素が配列番号2の配列を含む、請求
    項20に記載のO−フコシルトランスフェラーゼ酵素に結
    合するモノクローナル抗体。
  24. 【請求項24】ヒト化された、請求項21から23のいずれ
    か1項に記載のモノクローナル抗体。
  25. 【請求項25】ポリペプチドの上皮成長因子ドメインを
    活性化O−フコース部分でグリコシル化する方法であっ
    て、該ポリペプチドを、 (a)配列番号9; (b)配列番号3; (c)配列番号2; (d)保存的置換を1つ有する配列番号9; (e)保存的置換を1つ有する配列番号3; (f)保存的置換を1つ有する配列番号2 からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む酵素的に
    活性なO−フコシルトランスフェラーゼと接触させるこ
    とを含む方法。
  26. 【請求項26】該表皮成長因子ドメインが配列:−Cys
    −Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Ser/Thr−Cys−を含む、請求項
    25に記載の方法。
  27. 【請求項27】該表皮成長因子ドメインが配列:−Cys
    −Xaa−Xaa−Gly−Gly−Ser−Cys−または−Cys−Xaa−
    Xaa−Gly−Gly−Thr−Cys−を含む、請求項25に記載の
    方法。
  28. 【請求項28】該O−フコシルトランスフェラーゼが配
    列番号9の配列を含む、請求項25に記載の方法。
  29. 【請求項29】該O−フコシルトランスフェラーゼが配
    列番号3の配列を含む、請求項25に記載の方法。
  30. 【請求項30】該O−フコシルトランスフェラーゼが配
    列番号2の配列を含む、請求項25に記載の方法。
  31. 【請求項31】該O−フコシルトランスフェラーゼが保
    存的置換を1つ有する配列番号9の配列を含む、請求項
    25に記載の方法。
  32. 【請求項32】該O−フコシルトランスフェラーゼが保
    存的置換を1つ有する配列番号3の配列を含む、請求項
    25に記載の方法。
  33. 【請求項33】該O−フコシルトランスフェラーゼが保
    存的置換を1つ有する配列番号2の配列を含む、請求項
    25に記載の方法。
JP53287798A 1997-01-31 1997-12-17 O−フコシルトランスフェラーゼ Expired - Lifetime JP3394540B2 (ja)

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