JP2022025094A - 深共融溶媒におけるソルターゼaを利用したアミド基転移 - Google Patents
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Abstract
【課題】深共融溶媒におけるソルターゼを使用したポリペプチドの酵素的作製のための方法を提供する。【解決手段】深共融溶媒において、(i)特定のアミノ酸残基である第1のポリペプチド、(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドをインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法を提供する。【選択図】図5
Description
深共融溶媒におけるソルターゼを使用したアミド基転移反応が、本明細書において報告される。
発明の背景
深共融溶媒(DES)は、100℃未満の融点を有する、水を含まない溶液である。DESは水素結合に基づく。DESにおいては、水および有機溶媒の特性が組み合わせられる。大部分のDESは、生体触媒のために適当な温度において液体である。DESは、水より疎水性であるが、いくつかの場合において、疎水性によって誘導される生体触媒の不活化をもたらさない(Gorke,J.,et al.,Biotechnol.Bioprocess E 15(2010)40-53(非特許文献1))。さらに、深共融溶媒は、水を含まずに作製され得、従って、加水分解に関して不活性である。イオン溶液は、DESと類似した特性を有するが、作製するのがより困難であり、環境にとってより有害である。プロテアーゼは、DESにおいて活性を示した(Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzym 72(2011)163-167(非特許文献2))。
深共融溶媒(DES)は、100℃未満の融点を有する、水を含まない溶液である。DESは水素結合に基づく。DESにおいては、水および有機溶媒の特性が組み合わせられる。大部分のDESは、生体触媒のために適当な温度において液体である。DESは、水より疎水性であるが、いくつかの場合において、疎水性によって誘導される生体触媒の不活化をもたらさない(Gorke,J.,et al.,Biotechnol.Bioprocess E 15(2010)40-53(非特許文献1))。さらに、深共融溶媒は、水を含まずに作製され得、従って、加水分解に関して不活性である。イオン溶液は、DESと類似した特性を有するが、作製するのがより困難であり、環境にとってより有害である。プロテアーゼは、DESにおいて活性を示した(Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzym 72(2011)163-167(非特許文献2))。
さらに、いくつかの研究が、DESは、従来の有機溶媒より酵素と適合性の溶媒であることを示唆している(Gorke,J.T.,et al.,Chem.Commun.(2008)1235-1237(非特許文献3);Lindberg,D.,et al.,J.Biotechnol 147(2010)169-171(非特許文献4))。
数種の酵素によって触媒される反応について、最良の性能を示したDESは、1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である(Gorke,J.T.,et al.,Chem.Commun.(2008)1235-1237(非特許文献3);Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzym 72(2011)163-167(非特許文献2))。ソルターゼA(SrtA)は、タンパク質を細菌細胞壁に共有結合で付着させる膜結合型酵素である。SrtA基質上の特異的な認識モチーフは、LPXTGであり、酵素は、残基トレオニンとグリシンとの間で切断する。ペプチドグリカン上の認識モチーフは、ペンタグリシンモチーフである。N末端のトリグリシンモチーフ、そしてジグリシンモチーフですら、SrtA反応を支持するのに十分であることが示されている(Clancy, K. W., et al., Peptide science 94(2010)385-396(非特許文献5))。その反応は、チオエステルアシル酵素中間体を通して進行し、それが、オリゴグリシンからのアミン求核剤の攻撃によって分離され、ペプチドグリカンがタンパク質基質に共有結合で連結され、SrtAが再生される。化学合成されたペプチドを組換え発現されたタンパク質に共有結合でコンジュゲートするため、SrtAを使用することが可能である。
技術的バイオコンジュゲーションのために適用可能なソルターゼは限定されている。最も広く使用されている黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ソルターゼA(St.au. SrtA)は、技術的適用のために適当な変換動力学を示すが、限定された基質スペクトルを有し、LPXTGソルターゼモチーフのみを認識する。N末端膜アンカリングモチーフを欠くSt.au. SrtAは、細胞表面タンパク質の標識、共有結合性のタンパク質固定化、およびタンパク質への新規官能性の組み入れのために使用されている。直交/二重の標識戦略のためには、新しい基質スペクトルを有するソルターゼが必要とされる。標準的なソルターゼによって媒介されるバイオコンジュゲーションアプローチについても、産物内のLPXTGモチーフが、例えば、その構造および/または機能に対して負の効果を有する場合、同様である。従って、LPXTGと異なる認識配列を有するソルターゼは、高度に有益であろう。化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)SrtA(St.py. SrtA)は、LPXTAソルターゼモチーフを認識するが、酵素の変換動力学的パラメータのため、技術的スケールで適当なソルターゼではない。
LPXTGと異なるソルターゼモチーフを受け入れるソルターゼは、文献において報告されている。それらには、野生型、例えば、化膿性連鎖球菌由来のソルターゼA(St.py. SrtA)およびクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)由来のソルターゼA(Cl.di. SrtA)が含まれ、改変型ソルターゼも含まれる。LPXTAモチーフを認識するソルターゼは、St. py. SrtA以外には報告されていない(例えば、van Leeuwen, H. C., et al., FEBS Lett. 588(2014)4325-4333(非特許文献6);Dorr, B. M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111(2014)13343-13348(非特許文献7);Bentley, M. L., et al., J. Biol. Chem. 282(2007)6571-6581(非特許文献8);Race, P. R., et al., J. Biol. Chem. 284(2009)6924-33(非特許文献9);Antos, J. M., et al., J. Am. Chem. Soc. 131(2009)10800-10801(非特許文献10)を参照すること)。
ソルターゼ反応は、水溶液において実施されるが、水溶液は、いくつかの欠点を有する。一つは、多くの化合物が、水における低い可溶性を有する点であり、これは、多くのフルオロフォアに特に当てはまる。さらに、ソルターゼは、極めて低いKmを有するため、疎水性基質は、ソルターゼ反応のために利用可能でない(Chen,I.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108(2011)11399-11404(非特許文献11))。しかしながら、フルオロフォアに連結される抗体/結合タンパク質は、おそらく、バイオコンジュゲーションにおいて最も重要な適用である(Shreve,P.and Aisen,A.M.,Magnetic resonance in medicine:official journal of the Society of Magnetic Resonance in Medicine/Society of Magnetic Resonance in Medicine 3(1986)336-340(非特許文献12);Drapkin,R.L.,et al.,Am.J.Hematol.7(1979)163-172(非特許文献13))。もう一つの問題は、反応中に形成される酵素中間体である。それは、加水分解され、生成物の損失をもたらす。このため、水を含まない有機溶媒は、興味深い水の代用物である。しかしながら、ソルターゼは、有機溶媒中で安定しておらず、例えば、20%を越えるジメチルスルホキシド(DMSO)はソルターゼ活性を減じる(Pritz,S.(2008)Enzymatische Ligation von Peptiden,Peptidnucleinsauren und Proteinen(非特許文献14))。
WO 2010/087994(特許文献1)に、ライゲーションのための方法およびその使用が報告されている。IgG様二重特異性抗体の組換えアプローチは、Marvin, J. S.ら(Acta Pharmacol. Sinica 26(2005)649-658(非特許文献15))によって報告されている。WO 2013/003555(特許文献2)には、タンパク質ライゲーションのためのクリックケミストリーハンドルを設置するためのソルターゼの使用が報告されている。
Strijbis, K.ら(Traffic 13(2012)780-789(非特許文献16))は、ソルターゼを使用した生細胞におけるタンパク質ライゲーションを報告している。Ca2+依存性の黄色ブドウ球菌ソルターゼAは、細胞内で機能性でないが、Ca2+非依存性の化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)ソルターゼAは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)および哺乳動物HEK293T細胞の両方のサイトゾルおよび小胞体(ER)内腔において機能性であることが記述されている。
Levary, D. A.らは、ソルターゼAによって触媒されたタンパク質間融合を報告している(PLOS ONE 6(2011)(非特許文献17))。抗上皮増殖因子受容体抗体の単鎖フォーマットへの設計およびソルターゼAによって媒介されるタンパク質ライゲーションによる標識は、Madej, M. P.ら(Biotechnol. Bioeng. 109(2012)1461-1470(非特許文献18))によって報告されている。Ta, H. T.らは、心血管疾患における分子標的イメージングおよび細胞ホーミングのためのユニバーサルなアプローチとして、酵素的単鎖抗体タグ付けを報告している(Cir. Res. 109(2011)365-373(非特許文献19))。Popp, M.らは、ソルターゼを使用した、ペプチド結合の作成および破壊、即ち、タンパク質設計を報告している(Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 50(2011)5024-5032(非特許文献20))。DOTAキレートに対する高い親和性を有するよう設計されたタンパク質は、WO 2010/099536(特許文献3)に報告されている。
ソルターゼの逆向き反応を阻止するための種々の努力が報告されている。Yamamura,Y.ら(Chem. Commun. 47(2011)4742-4744(非特許文献21))は、基質の認識部位の周辺にβヘアピンを導入することによって、ライゲーション部位の周辺にβヘアピン構造を誘導することによる、ソルターゼAによって媒介されるタンパク質ライゲーションの増強を報告した。
原型ソルターゼAによるLPXTGペプチドの選別、酵素動力学をモジュレートするための不変基質残基の役割、および生成基質のコンフォメーションサインは、Biswas, T.ら(Biochem. 53(2014)2515-2524(非特許文献22))によって報告された。
Li, Y. M.らは、ソルターゼの使用による、タンパク質の不可逆性の部位特異的なヒドラジン分解を報告している(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 53(2014)2198-2202(非特許文献23))。
Lingらは、ソルターゼを介したチオエステルの導入を示した(Ling, J. J. J., et al., J. Am. Chem. Soc. 134(2012)10749-10752(非特許文献24))。
Lindberg,D.ら(J.Biotechnol.147(2010)169-171(非特許文献4))は、深共融溶媒(DES)が、酵素によって触媒されるエポキシド加水分解のための実現可能な共溶媒であることを報告した。Gorke,J.T.らは、深共融溶媒における加水分解酵素によって触媒される生体内変換を報告した(Chem.Commun.(2008)1235-1237(非特許文献3))。
米国特許第8,247,198号(特許文献4)においては、深共融溶媒における酵素的処理が報告されている。
Bellucci,J.J.らは、求核剤としてのリジンの使用を報告している(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.53(2014)1-6(非特許文献25))。
WO 2013/016653(特許文献5)は、生物学的試料における少なくとも2種の標的の同時存在を検出する方法を提供する。方法は、生物学的試料を、第1のソルターゼ分子に機能的に連結された、第1の標的に特異的に結合する第1の結合剤と接触させる工程;生物学的試料を、第1のソルターゼ認識配列ペプチドに機能的に連結された、第2の標的に特異的に結合する第2の結合剤と接触させる工程;第1のソルターゼ認識配列へのソルターゼ基質の第1のソルターゼによって媒介されるライゲーションが、ライゲーション生成物を生じる条件の下で、ソルターゼ基質を添加し、ライゲーション生成物を検出する工程を含み、ライゲーション生成物の検出は、生物学的試料における第1の標的および第2の標的の同時存在を示す。
Schmohl,L.およびSchwarzer,D.は、タンパク質の部位特異的な修飾のためのソルターゼによって媒介されるライゲーションに関して報告した(Curr.Opin.Chem.Biol.22(2014)122-128(非特許文献26))。
Gorke,J.,et al.,Biotechnol.Bioprocess E 15(2010)40-53
Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzym 72(2011)163-167
Gorke,J.T.,et al.,Chem.Commun.(2008)1235-1237
Lindberg,D.,et al.,J.Biotechnol 147(2010)169-171
Clancy, K. W., et al., Peptide science 94(2010)385-396
van Leeuwen, H. C., et al., FEBS Lett. 588(2014)4325-4333
Dorr, B. M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111(2014)13343-13348
Bentley, M. L., et al., J. Biol. Chem. 282(2007)6571-6581
Race, P. R., et al., J. Biol. Chem. 284(2009)6924-33
Antos, J. M., et al., J. Am. Chem. Soc. 131(2009)10800-10801
Chen,I.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108(2011)11399-11404
Shreve,P.and Aisen,A.M.,Magnetic resonance in medicine:official journal of the Society of Magnetic Resonance in Medicine/Society of Magnetic Resonance in Medicine 3(1986)336-340
Drapkin,R.L.,et al.,Am.J.Hematol.7(1979)163-172
Pritz,S.(2008)Enzymatische Ligation von Peptiden,Peptidnucleinsauren und Proteinen
Marvin, J. S.ら、Acta Pharmacol. Sinica 26(2005)649-658
Strijbis, K.ら、Traffic 13(2012)780-789
Levary, D. A.ら、PLOS ONE 6(2011)
Madej, M. P.ら、Biotechnol. Bioeng. 109(2012)1461-1470
Ta, H. T.ら、Cir. Res. 109(2011)365-373
Popp, M.ら、Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 50(2011)5024-5032
Yamamura,Y.ら、Chem. Commun. 47(2011)4742-4744
Biswas, T.ら、Biochem. 53(2014)2515-2524
Li, Y. M.ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 53(2014)2198-2202
Ling, J. J. J., et al., J. Am. Chem. Soc. 134(2012)10749-10752
Bellucci,J.J.ら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.53(2014)1-6
Schmohl,L.およびSchwarzer,D.、Curr.Opin.Chem.Biol.22(2014)122-128
ペプチド転移反応が深共融溶媒において実施され得ることが見出された。水の低下またはさらには欠如は、反応にとって不利ではなく、加水分解副反応を抑制することが、さらに見出された。
本明細書において報告される一つの局面は、深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に含むか(即ち、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するシステインアミノ酸残基を1位に含む化合物、もしくは、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するアラニンアミノ酸残基を1位に含む化合物、もしくは、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するグリシンアミノ酸残基を1位に含む化合物)、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に含むか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に含む第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド(即ち、ソルターゼAであるか、またはその触媒活性断片、即ち、ソルターゼA活性を有する断片である第3のポリペプチド)
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法である。
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に含むか(即ち、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するシステインアミノ酸残基を1位に含む化合物、もしくは、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するアラニンアミノ酸残基を1位に含む化合物、もしくは、例えば、NH2もしくはNH3 +としてのフリーなαアミノ基およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するグリシンアミノ酸残基を1位に含む化合物)、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に含むか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に含む第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド(即ち、ソルターゼAであるか、またはその触媒活性断片、即ち、ソルターゼA活性を有する断片である第3のポリペプチド)
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法である。
一つの態様において、ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドは、黄色ブドウ球菌ソルターゼAまたは化膿性連鎖球菌ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ソルターゼAに由来する。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、黄色ブドウ球菌ソルターゼAまたは化膿性連鎖球菌ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネスソルターゼAに由来する。
一つの態様において、ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドは、黄色ブドウ球菌ソルターゼAもしくは化膿性連鎖球菌ソルターゼAもしくはリステリア・モノサイトゲネスソルターゼAに由来するか、またはそれらの触媒活性断片である。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:05、SEQ ID NO:06、またはSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含む。一つの好ましい態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含む。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、直接的にまたは介在するリンカーを介してN末端またはC末端にコンジュゲートされたタグをさらに含む。一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列およびSEQ ID NO:32のC末端タグからなる。一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなる。
一つの態様において、方法は、2種のポリペプチドの酵素的コンジュゲーションのためのものである。一つの態様において、方法は、2種のポリペプチドの酵素的ペプチド転移のためのものである。一つの態様において、第1または第2または両方のポリペプチドが、水(100%(v/v))に不溶性である。
一つの態様において、深共融溶媒は、塩化コリンを含む。一つの態様において、深共融溶媒は、1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。一つの態様において、深共融溶媒は、水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、最大30%(v/v)の水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、20%(v/v)の水性共溶媒(20%(v/v)を含む)~30%(v/v)の水性共溶媒(30%(v/v)を含む)を含む。一つの好ましい態様において、深共融溶媒は、約25%(v/v)の水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、最大15%(v/v)の水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、最大5%(v/v)の水性共溶媒を含む、1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。一つの態様において、深共融溶媒は、最大30%(v/v)の水性共溶媒を含む、1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。
一つの態様において、インキュベーションは、30℃~40℃の温度でなされる。一つの態様において、インキュベーションは、約37℃の温度でなされる。
一つの態様において、第2のポリペプチドは、アミノ酸配列GGG、AAA、CGG、CAA、KGG、またはKAAをN末端に有する。
一つの態様において、第1のポリペプチドはアミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を、C末端に含む。一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPETG(SEQ ID NO:04)またはLPETA(SEQ ID NO:42)をC末端に含む。
一つの態様において、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは相互に独立に、抗体可変ドメイン、抗体重鎖Fab断片、抗体Fc領域、タグ、ならびに、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)、リンカー、および非ソルターゼモチーフ部分を含むペプチドより選択される。
本明細書において報告される一つの局面は、1:2のモル比で塩化コリンとグリセロールとを含み、最大5%(v/v)の水性共溶媒をさらに含む深共融溶媒の、ソルターゼ、好ましくは、ソルターゼAによって触媒される酵素的アミド基転移反応における溶媒としての使用である。
[本発明1001]
深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法。
[本発明1002]
ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ソルターゼAに由来する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
2種のポリペプチドの酵素的コンジュゲーションのための、本発明1001または1002のいずれかの方法。
[本発明1004]
深共融溶媒が塩化コリンを含む、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
深共融溶媒が1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物または1:3のモル比の塩化コリンとエチレングリコールとの混合物である、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
深共融溶媒が水性共溶媒を含む、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
深共融溶媒が最大30%の共溶媒を含む、本発明1006の方法。
[本発明1008]
深共融溶媒が最大約25体積%の共溶媒を含む、本発明1006~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
第2のポリペプチドがN末端にアミノ酸配列GGG、AAA、CGG、CAA、KGG、またはKAAを有する、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端に含む、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPETG(SEQ ID NO:04)またはLPETA(SEQ ID NO:42)をC末端に含む、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが相互に独立に、抗体可変ドメイン、抗体重鎖Fab断片、抗体Fc領域、タグ、ならびに、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)、リンカー、および非ソルターゼモチーフ部分を含むペプチドからなる群より選択される、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1001]
深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法。
[本発明1002]
ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ソルターゼAに由来する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
2種のポリペプチドの酵素的コンジュゲーションのための、本発明1001または1002のいずれかの方法。
[本発明1004]
深共融溶媒が塩化コリンを含む、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
深共融溶媒が1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物または1:3のモル比の塩化コリンとエチレングリコールとの混合物である、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
深共融溶媒が水性共溶媒を含む、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
深共融溶媒が最大30%の共溶媒を含む、本発明1006の方法。
[本発明1008]
深共融溶媒が最大約25体積%の共溶媒を含む、本発明1006~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
第2のポリペプチドがN末端にアミノ酸配列GGG、AAA、CGG、CAA、KGG、またはKAAを有する、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端に含む、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPETG(SEQ ID NO:04)またはLPETA(SEQ ID NO:42)をC末端に含む、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが相互に独立に、抗体可変ドメイン、抗体重鎖Fab断片、抗体Fc領域、タグ、ならびに、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)、リンカー、および非ソルターゼモチーフ部分を含むペプチドからなる群より選択される、本発明1001~1011のいずれかの方法。
発明の詳細な説明
本発明は、深共融溶媒が、アミド基転移反応、具体的には、ソルターゼによって触媒される反応を実施するために使用され得るという所見に少なくとも一部分基づく。
本発明は、深共融溶媒が、アミド基転移反応、具体的には、ソルターゼによって触媒される反応を実施するために使用され得るという所見に少なくとも一部分基づく。
本発明は、水に難溶性の基質が、(低水含量)深共融溶媒においてコンジュゲートされ得るという所見に、少なくとも一部分、基づく。
I.定義
「に由来する」という用語は、それぞれのアミノ酸配列が、同一のアミノ酸配列を含むか、または1~10箇所のアミノ酸配列の変化を含有しているか、または親アミノ酸配列の短縮バリアントもしくは融合バリアントであることを示す。
「に由来する」という用語は、それぞれのアミノ酸配列が、同一のアミノ酸配列を含むか、または1~10箇所のアミノ酸配列の変化を含有しているか、または親アミノ酸配列の短縮バリアントもしくは融合バリアントであることを示す。
「を含む」という用語は、本明細書において使用される時、「からなる」という用語を明確に含む。
「グリシニル、アラニニル、またはシステイニル化合物」という用語は、フリーなαアミノ基を、例えば、NH2またはNH3
+として含み、もう一つの部分とのペプチド結合内にある/該ペプチド結合の一部であるカルボキシ基を含むグリシンまたはアラニンまたはシステインアミノ酸残基を1位に含む化合物を意味し、部分は、単離されたアミノ酸残基、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、低分子、色素、または(合成もしくは天然)リンカーのような、任意のアミノ基含有部分であり得る。
本明細書および特許請求の範囲において、免疫グロブリン重鎖Fc領域の残基のナンバリングは、カバットのEUインデックス(参照によって明確に本明細書に組み入れられるKabat,E.A.,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991),NIH Publication 91 3242)のものである。
「改変」という用語は、バリアント抗体または融合ポリペプチドを入手するための、例えば、Fc領域のFcRn結合部分を少なくとも含む抗体または融合ポリペプチドの親アミノ酸配列の1または複数のアミノ酸残基の変異、付加、または欠失を意味する。
「アミノ酸変異」という用語は、親アミノ酸配列のアミノ酸配列における修飾を意味する。例示的な修飾には、アミノ酸の置換、挿入、および/または欠失が含まれる。一つの態様において、アミノ酸変異は置換である。「位置におけるアミノ酸変異」という用語は、指定された残基の置換もしくは欠失、または指定された残基の近位への少なくとも1個のアミノ酸残基の挿入を意味する。「指定された残基の近位への挿入」という用語は、その1~2残基以内への挿入を意味する。挿入は、指定された残基のN末端側またはC末端側であり得る。
「アミノ酸置換」という用語は、予定された親アミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸残基の、異なる「交換」アミノ酸残基への交換を意味する。交換残基は、「天然に存在するアミノ酸残基」(即ち、遺伝暗号によってコードされたもの)であってよく、アラニン(Ala);アルギニン(Arg);アスパラギン(Asn);アスパラギン酸(Asp);システイン(Cys);グルタミン(Gln);グルタミン酸(Glu);グリシン(Gly);ヒスチジン(His);イソロイシン(Ile):ロイシン(Leu);リジン(Lys);メチオニン(Met);フェニルアラニン(Phe);プロリン(Pro);セリン(Ser);トレオニン(Thr);トリプトファン(Trp);チロシン(Tyr);およびバリン(Val)からなる群より選択される。一つの態様において、交換残基はシステインではない。1または複数の天然に存在しないアミノ酸残基への置換も、本明細書におけるアミノ酸置換の定義に包含される。「天然に存在しないアミノ酸残基」とは、ポリペプチド鎖において近位アミノ酸残基と共有結合することができる、上記の天然に存在するアミノ酸残基以外の残基を意味する。天然に存在しないアミノ酸残基の例には、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、α-アミノイソ酪酸、およびEllman,et al.,Meth.Enzym.202(1991)301-336に記載されたもののようなその他のアミノ酸残基類似体が含まれる。そのような天然に存在しないアミノ酸残基を生成するためには、Norenら(Science 244(1989)182)および/またはEllmanら(前記)の手法を使用することができる。簡単に説明すると、これらの手法は、天然に存在しないアミノ酸残基を含むサプレッサーtRNAの化学的な活性化に続く、RNAのインビトロの転写および翻訳を含む。化学的なペプチド合成、およびその後の抗体または抗体断片のような組換え作製されたポリペプチドとのこれらのペプチドの融合により、天然に存在しないアミノ酸をペプチドへ組み込むこともできる。
「アミノ酸挿入」という用語は、少なくとも1個の付加的なアミノ酸残基の予定された親アミノ酸配列への組み込みを意味する。挿入は、通常、1個または2個のアミノ酸残基の挿入からなるであろうが、本願は、より大きい「ペプチド挿入」、例えば、約3~約5個またはさらには約10個ものアミノ酸残基の挿入を企図する。挿入される残基は、前記定義のような、天然に存在するものまたは天然に存在しないものであり得る。
「アミノ酸欠失」という用語は、アミノ酸配列の予定された位置における少なくとも1個のアミノ酸残基の除去を意味する。
本願において、アミノ酸改変に言及する場合には常に、それはランダムなアミノ酸修飾ではなく計画的なアミノ酸改変である。
「タグ」という用語は、特異的結合特性を有する、ペプチド結合によって相互に接続されたアミノ酸残基の配列を意味する。一つの態様において、タグは、アフィニティタグまたは精製タグである。一つの態様において、タグは、Argタグ、Hisタグ、Flagタグ、3×Flagタグ、Strepタグ、HAタグ、ナノタグ、SBPタグ、c-mycタグ、Sタグ、SNUTタグ、NusA、T7、チオレドキシン、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、GSTタグ、またはMBPタグより選択される(例えば、Amau, J., et al., Prot. Expr. Purif. 48 (2006) 1-13を参照すること)。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、所望の治療的または予防的な結果を達成するために必要な投薬量および期間で有効な量をさす。
「個体」または「対象」という用語は、哺乳動物を意味する。哺乳動物には、飼育された動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルのような非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス、ラット、およびハムスター)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。ある種の態様において、個体または対象はヒトである。
「薬学的製剤」という用語は、そこに含有されている活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態をとっており、その製剤が投与される対象に対して許容され得ないほど毒性である付加的な成分を含有していない調製物をさす。
「薬学的に許容される担体」とは、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分をさす。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
「位置」という用語は、ポリペプチドのアミノ酸配列内のアミノ酸残基の位置を意味する。位置は、連続的にナンバリングされてもよいし、または確立されているフォーマット、例えば、抗体ナンバリングのためのカバットのEUインデックスに従ってナンバリングされてもよい。
本明細書において使用されるように、「治療」(および「治療する」または「治療すること」のようなそれらの文法上の変動)とは、治療されている個体の自然経過を改変する試みにおける臨床的介入をさし、予防のために実施されてもよいしまたは臨床病理の経過中に実施されてもよい。治療の望ましい効果には、疾患の発生もしくは再発の防止、症状の軽減、疾患の直接もしくは間接の病理学的事象の縮小、転移の防止、疾患進行の速度の減少、疾患状態の回復もしくは緩和、および寛解、または予後の改善が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるかまたは疾患の進行を遅くするために使用される。
「ソルターゼA酵素活性」という用語は、本明細書において使用されるように、レポーター固定化アッセイ(即ち、実施例6による;(参照によって本明細書に組み入れられる)WO 2016/096740において報告されたようなアッセイ)においてペプチド転移活性を示すポリペプチドを示す。
II.深共融溶媒
深共融溶媒(DES)とは、組み合わせられた時に減少した融解温度を有する極性成分(液体または固体)を含む混合物である。DESは、塩化コリン(ChCl)を、有機水素ドナー、例えば、アミン、アミド、アルコール、またはカルボン酸と混合することによって作製され得る(例えば、Abbott,A.P.,et al.,J.Am.Chem.Soc.126(2004)9142-9147;ibid.Chem.Commun.(2003)70-71を参照すること)。DESは、DESがイオン性溶媒の特性および有機溶媒の特性の両方を有するよう、陰イオン、陽イオン、および中性成分を含む(Zhang et al.,Angew.Chem.Int.Ed.48(2009)3486-3490)。
深共融溶媒(DES)とは、組み合わせられた時に減少した融解温度を有する極性成分(液体または固体)を含む混合物である。DESは、塩化コリン(ChCl)を、有機水素ドナー、例えば、アミン、アミド、アルコール、またはカルボン酸と混合することによって作製され得る(例えば、Abbott,A.P.,et al.,J.Am.Chem.Soc.126(2004)9142-9147;ibid.Chem.Commun.(2003)70-71を参照すること)。DESは、DESがイオン性溶媒の特性および有機溶媒の特性の両方を有するよう、陰イオン、陽イオン、および中性成分を含む(Zhang et al.,Angew.Chem.Int.Ed.48(2009)3486-3490)。
プロテアーゼは、DESにおいて活性を示した(Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzym 72(2011)163-167)。同様に、リパーゼは、1%(v/v)の水を有する50℃のDESにおいて(Zhao,H.,et al.,J.Mol.Catal.B-Enzymatic 85-86(2013)243-247)、または37℃の0.135mL 2-プロパノール、1.215mLトリスHCl緩衝液(50mmol L-1、pH8.0)、および0~1.2mol L-1のDESを含む溶液、または50℃(Huang,Z .-L.,et al.,J.Chem.Technol.Biotechnol.89(2014)1975-1981)もしくは40℃~60℃(米国特許第8,247,198号)の水の追加なしの0.4~0.5ml油、2.1mL DES、0.9mLメタノール、および300mg酵素粉末が組み合わせられた溶液において活性を示した。
一般に、DESは、一定時間、単純に成分を加温し撹拌することによって、任意で、連続的な乾燥工程によって作成され得る。例えば、予め混合された成分の熱処理(Abbott(2003)(前記);Abbott,A.P.,et al.,ChemPhysChem 7(2006)803を参照すること)または凍結乾燥手法(Gutierrez,M.C.,et al.,Langmuir 25(2009)5509;ibid Angew.Chem.Int.Ed.49(2010)2158)によって、DESを調製することができる。
例えば、30分間、かき混ぜながら、必要とされたモル比で、高温(例えば、80℃)で、塩化コリンを水素結合ドナー(例えば、グリセロール)と混合する。微量の水を除去するため、その後、(例えば、45℃で2週間)五酸化リンによる乾燥を実施することができる。
また、例えば、塩化コリンと水素結合ドナー(グリセロールまたはエチレングリコール)とを、意図された比(即ち、それぞれ1:2または1:3)で混合し、1~2時間、80℃で、例えば、磁気撹拌機を使用して混合する。無色透明な液体が形成された後、混合物を室温に冷却し、(例えば、室温で2週間)デシケーターにおいて五酸化リンで乾燥させる。
もう一つの例示的な方法は、米国特許第8,247,198号において報告されている:透明な均質の液体が形成されるまで、典型的には、1時間、窒素塩(0.05mol)および水素結合ドナー(塩化コリン混合物については0.1mol、塩化エチルアンモニウム混合物については0.075mol)を、20mlのバイアルに添加し、80℃で加熱した。
米国特許第8,247,198号によると、DES内の成分は、驚くべきことにかつ有意に、酵素に対する反応性が予想の1/20から1/600を下回るまで低い。それにおいて、深共融溶媒を含む溶液における化学反応の酵素的触媒作用を含む方法が、報告されている。反応は、例えば、エステル転移、アミノリシス、加水分解、ペルヒドロリシス(perhydrolysis)、および/またはアルコール脱水素酵素活性であり得る。反応は重合反応であり得る。重合反応は、例えば、エステル転移、アミノリシス、加水分解、ペルヒドロリシス、アルコール脱水素、酸化還元、または脱水素を触媒する酵素からなる群のメンバーである酵素によって触媒され得る。反応は、例えば、付加生成物または縮合生成物を生じ得る。重合反応は、例えば、ポリエステルまたはポリアミドを生じ得る。酵素によって触媒される化学反応を触媒する酵素は、例えば、トランスエステラーゼ(transesterase)、加水分解酵素、リパーゼ、アミダーゼ、および脱水素酵素からなる群のメンバーであり得る(カラム2、4~19行目)。
深共融溶媒は、第1の成分として強力な水素結合ドナーを含み、第2の成分として金属塩または窒素塩を含むことができる。有機成分または水性成分が共溶媒として存在してもよい。例えば、一つの態様において、深共融溶媒は、10%~99%(v/v)の深共融溶媒を含み、残りは非深共融溶媒である。一つの態様において、第2の成分は、アミンまたは金属のハロゲン化物含有塩である。一つの態様において、金属は遷移金属である。一つの態様において、第1の成分は、ヒドロキシル、アミド、アミン、アルデヒド、およびカルボン酸からなる群より選択される。一つの態様において、第1の成分は、有機酸、尿素、チオ尿素、アミド、ヒドロキシル基、ジオール、グリセロール、塩化コリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。一つの態様において、第1の成分は、塩化コリン、塩化エチルアンモニウム、臭化コリン、グリセロール、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化亜鉛、および塩化アセチルコリンを含む群より選択される。一つの態様において、第2の成分は、アセトアミドエチレングリコール、グリセロール、尿素、マロン酸、ホルムアミド、アラビノース、グルコース、およびキシロースからなる群より選択される。一つの好ましい態様において、深共融溶媒は、第1の成分として塩化コリンを含み、第2の成分としてグリセロールを含む。
本明細書において交換可能に使用され得る「深共融溶媒」または「DES」という用語は、特定の適用された比で共融点を形成する、窒素または金属の塩と水素結合ドナーとを含む混合物を示す。
一つの態様において、窒素塩は、陽性荷電窒素原子を有する化合物より選択される。一つの態様において、窒素塩は、一級、二級、三級、および四級の窒素成分からなる群より選択される。一つの態様において、窒素塩は、アンモニウム塩または置換アンモニウム化合物である。一つの態様において、窒素塩は、ハロゲン化物窒素塩である。一つの態様において、金属塩は、遷移金属塩である。一つの態様において、金属塩は、ハロゲン化物金属塩である。一つの態様において、水素結合ドナーは、ヒドロキシル、アミド、アミン、アルデヒド、およびカルボン酸からなる群より選択される。一つの態様において、水素結合ドナーは、水素ハロゲン化物、有機酸、尿素、塩化コリン、チオ尿素、グリセロール、ジオール、およびプロパンジオールからなる群より選択される。遷移金属は、21~30、39~48、71~80、および103~112の番号を有する化学元素の周期表からの元素である。ハロゲン化物は、フッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)、およびアスタチン化物(astatide)(At-)である。一つの態様において、DESの成分は、使用される体積に基づき特定の比を有する。一つの態様において、比は、約1:3部~約3:1部の窒素または金属の塩と強力な水素結合ドナーとである。酵素反応において使用される時には、例えば、酵素およびその基質のような他の成分も、DES中に存在するであろう。酵素が固体で使用されない場合には、酵素が溶解している緩衝液も、反応混合物のDES中に存在するであろう。一つの態様において、酵素反応の反応混合物は、少なくとも95%DES、少なくとも90%DES、少なくとも85%DES、少なくとも80%DESを含む。
いくつかの酵素は、固体の形態で(固体支持体にコンジュゲートされて、または粉末として)入手可能でないという事実のため、酵素反応において使用されるDESは、共溶媒、大部分の場合において、水または水性緩衝液を一定の割合で含むであろう。従って、DESは、酵素反応混合物の体積の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、または少なくとも80%を占め、残りは水または水性緩衝液から構成される。一つの好ましい態様において、酵素反応混合物は、少なくとも90%のDES、より好ましくは、約95%のDESを含む。
酵素反応のために有用な深共融溶媒は、例えば、塩化コリンおよびアセトアミド(ChCl:Acet)、塩化コリンおよびエチレングリコール(ChCl:EG)、塩化コリンおよびグリセロール(ChCl:G)、塩化コリンおよび尿素(ChCl:U)、塩化コリンおよびマロン酸(ChCl:MA)、塩化エチルアンモニウムおよびアセトアミド(EAC:Acet)、塩化エチルアンモニウムおよびエチレングリコール(EAC:EG)、塩化エチルアンモニウムおよびグリセロール(EAC:Gly)、臭化コリンおよびグリセロール(ChBr:Gly)、塩化テトラブチルアンモニウムおよびグリセロール(Bu4NCl:Gly)、塩化トリエチルベンジルアンモニウムおよびグリセロール(Et3BzNCl:Gly)、塩化アセチルコリンおよびグリセロール(AcChCl:Gly)、塩化コリンおよびホルムアミド(ChCl:F)、塩化コリンおよびアラビノース(ChCl:Ara)、塩化コリンおよびグルコース(ChCl:Glc)、ならびに塩化コリンおよびキシロース(ChCl:Xyl)の混合物である。
例えば、酵素およびDESを含み、任意で、共溶媒を含むDESにおいて、多くの反応が実施され得る。酵素およびその基質は、意図された生成物を作成するために有効な濃度で有用な比で存在する。意味のある量および合理的な時間で意図された生成物を作成するために適当でない濃度は、有効な濃度に含まれない。一つの態様において、酵素は、溶媒1ml当たり少なくとも約0.1mg、少なくとも約1mg、少なくとも約5mg、少なくとも約10mg、または少なくとも約20mgの酵素、即ち、約0.1~約10mg/mlの量/濃度で使用され/存在する。同様に、酵素基質は、一つの態様において、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%wt基質/wt溶媒、即ち、約1%~約25%の濃度で存在する。
III.ソルターゼAを使用した酵素的コンジュゲーション
インビボでは共有結合で会合していない2種の要素を含む共有結合コンジュゲート(すなわち、融合ポリペプチド)を、酵素ソルターゼ、特に、ソルターゼAを使用することによって、インビトロで入手することができる。
インビボでは共有結合で会合していない2種の要素を含む共有結合コンジュゲート(すなわち、融合ポリペプチド)を、酵素ソルターゼ、特に、ソルターゼAを使用することによって、インビトロで入手することができる。
トランスアミダーゼは、一般に、アシルドナーと求核性アシルアクセプターとの間のペプチド結合(アミド結合)の形成を触媒する。ペプチド結合を形成するため、アシルアクセプターは、NH2-CH2部分を含有していなければならない。グラム陽性菌には、以下の属が含まれる:アクチノミセス(Actinomyces)、バチルス、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、セルロモナス(Cellulomonas)、クロストリジウム、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ノカルジア(Nocardia)、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、およびストレプトマイセス(Streptomyces)。
ソルターゼは、グラム陽性菌ゲノム由来の61のソルターゼの配列アライメントおよび系統発生学的分析に基づき、A、B、C、およびDと名付けられた四つのクラスへ分類されている(Dramsi,S.,et al.,Res.Microbiol.l56(2005)289-297)。これらのクラスは、ComfortおよびClubb(Comfort,D.and Clubb,R.T.,Infect.Immun.72(2004)2710-2722)によってソルターゼが分類された以下のサブファミリーに相当する:クラスA(サブファミリー1)、クラスB(サブファミリー2)、クラスC(サブファミリー3)、クラスD(サブファミリー4および5)。前記の参照は、多数のソルターゼおよび認識モチーフを開示している(Pallen,M.J.,et al.,Trends Microbiol.9(2001)97-101も参照すること)。この情報によって、当業者は、Dramsi(前記)に記載されたもののような、配列および/またはその他の特徴に基づき、正確なクラスにソルターゼを割り当てることができる。
ソルターゼA(SrtA)は、トランスアミダーゼ活性を有する膜結合型酵素であり、グラム陽性菌から同定され単離された。インビボでソルターゼAは、タンパク質を細菌細胞壁に共有結合で付着させる。SrtA基質上の特異的認識モチーフは、LPXTGであり、酵素は、残基トレオニンとグリシンとの間で切断する。ペプチドグリカン上の認識モチーフは、ペンタグリシンモチーフである。N末端のトリグリシンモチーフ、そしてジグリシンモチーフですら、SrtA反応を支持するのに十分であることが示されている(Clancy, K. W., et al., Peptide Science 94(2010)385-396)。反応は、チオエステルアシル酵素中間体を通して進行し、それが、オリゴグリシンからのアミン求核剤の攻撃によって分離され、ペプチドグリカンがタンパク質基質に共有結合で連結され、SrtAが再生される。化学的に合成されたペプチドを、組換え発現されたタンパク質に共有結合でコンジュゲートするため、SrtAを使用することが可能である。
多くのグラム陽性菌が、病原性因子を含む多様な表面タンパク質を細胞壁(ペプチドグリカン)に共有結合でアンカリングするためにソルターゼを使用する。ソルターゼは膜会合型酵素である。野生型黄色ブドウ球菌ソルターゼA(SrtA)は、N末端膜貫通領域を含む206アミノ酸のポリペプチドである。第1工程において、ソルターゼAが、LPXTG(SEQ ID NO:01)アミノ酸配列モチーフを含有している基質タンパク質を認識し、活性部位Cysによって、ThrとGlyとの間のアミド結合を切断する。このペプチド切断反応は、ソルターゼA基質チオエステル中間体をもたらす。第2工程において、(黄色ブドウ球菌のペプチドグリカンのペンタグリシン単位に相当する)オリゴグリシンを含有している第2の基質ポリペプチドのアミノ基の求核攻撃によって、チオエステルアシル酵素中間体が分離され、共有結合で連結された細胞壁タンパク質およびソルターゼAの再生に至る。オリゴグリシン求核剤の非存在下では、アシル酵素中間体は水分子によって加水分解され得る。
ソルターゼによって媒介されるライゲーション/コンジュゲーションは、多様なタンパク質工学およびバイオコンジュゲーションの目的のために適用され始めている。この技術は、LPXTGタグ付きの組換えのまたは化学的に合成されたポリペプチドへの天然および合成の官能性の導入を可能にする。例には、オリゴグリシンによって誘導体化されたポリマー(例えば、PEG)、フルオロフォア、ビタミン(例えば、ビオチンおよび葉酸)、脂質、炭水化物、核酸、合成のペプチドおよびタンパク質(例えば、GFP)の共有結合性の付着が含まれる(例えば、Tsukiji,S.and Nagamune,T.,ChemBioChem 10(2009)787-798;Popp,M.W.L.and Ploegh,H.L.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.50(2011)5024-5032を参照すること)。
酵素的コンジュゲーションのため、膜通過領域を欠く可溶性短縮型ソルターゼA(SrtA;黄色ブドウ球菌SrtAのアミノ酸残基60~206)を使用することができる(SEQ ID NO:05;Ton-That,H.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(1999)12424-12429;Ilangovan,H.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98(2001)6056-6061も参照すること)。
ソルターゼAによって媒介される反応は、ソルターゼモチーフ(配列)を含有している種の、1個または複数個のN末端グリシン残基を保持するものとのライゲーションをもたらす。ソルターゼモチーフは、アミノ酸配列LPXTGであってもよいが、それと異なっていてもよい(以下を参照すること)。しかしながら、そのような配列をアシルドナーとして使用することの欠点は、求核性アシルアクセプターへのLPXT単位の転移が、少なくとも1個のN末端グリシン残基を含有している対応する断片を、化学量論的な量、遊離させるということである。遊離したグリシン含有断片は、意図されたアシルアクセプターと酵素中間体について競合し、酵素的ライゲーション反応の進行に拮抗する。さらに、酵素中間体およびLPXTG含有基質の加水分解的切断も、比較的遅いプロセスであるが、その反応と競合する。ソルターゼによって媒介される反応の使用の最初に、少なくとも5mMの濃度のソルターゼモチーフを含むアシルドナーを使用した場合にのみ、有用なレベルのライゲーションが入手され得る。
一般的なソルターゼモチーフは、アミノ酸配列LPXT[Xは任意のアミノ酸残基、即ち、天然に存在するアミノ酸残基または天然に存在しないアミノ酸残基であり得る]を有する。いくつかの態様において、Xは、(1文字コードにおいて)D、E、A、N、Q、K、およびRを含むかまたはそれらからなるアミノ酸残基の群より選択される。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、アミノ酸配列LPXT、LPXA、SPXT、LAXT、LSXT、NPXT、VPXT、IPXT、LGXT、およびYPXRを含むかまたはそれらからなる群より選択される。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、LPST、LPKT、LPIT、LPDT、SPKT、LAET、LAAT、LAET、LAST、LAET、LPLT、LSRT、LPET、VPDT、IPQT、YPRR、LPMT、LPLT、LAFT、およびLPQTからなるアミノ酸配列の群より選択される。ソルターゼAが使用されるある種の態様において、ソルターゼモチーフは、アミノ酸配列X1PX2X3[(i)X1はアミノ酸残基ロイシン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンからなる群より選択され、(ii)X2は任意のアミノ酸であり、(iii)X3はトレオニン、セリン、およびアラニンからなる群より選択される]を含む。具体的な態様において、前述のように、X1はロイシンであり、X3はトレオニンである。ある種の態様において、X2は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グルタミン、リジン、およびメチオニンからなる群より選択される。
いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、LPKTG、LPITG、LPDTA、SPKTG、LAETG、LAATG、LAHTG、LASTG、LAETG、LPLTG、LSRTG、LPETG、VPDTG、IPQTG、YPRRG、LPMTG、LPLTG、LAFTG、およびLPQTSを含むかまたはそれらからなるアミノ酸残基の群より選択される。本発明のいくつかの態様において、ソルターゼはソルターゼA(SrtA)である。SrtAは、アミノ酸配列LPXTGを有するソルターゼモチーフを認識する。一般的なソルターゼモチーフアミノ酸配列は、例えば、LPKTG、LPATG、LPETG、およびLPNTGである。いくつかの態様において、LPETGが使用される。しかしながら、このコンセンサスソルターゼモチーフアミノ酸配列に一致しないソルターゼモチーフも認識され得る。例えば、いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、4位にアミノ酸残基Tではなくアミノ酸残基Aを含む(例えば、LPXAGまたはLPNAG)。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、5位にアミノ酸残基Gではなくアミノ酸残基Aを含む(例えば、LPXTAまたはLPNTA)。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、2位にアミノ酸残基Pではなくアミノ酸残基Gを含む(例えば、LGXTGまたはLGATG)。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフは、1位にアミノ酸残基Lではなくアミノ酸残基Iを含む(例えば、IPXTGまたはIPNTGまたはIPETG)。
いくつかの態様において、ソルターゼモチーフがLPXTGまたはLPXTである場合、Xは、D、E、A、N、Q、K、およびRからなる群より選択される。いくつかの態様において、ソルターゼがソルターゼAである場合、LPXTGモチーフまたはLPXTモチーフのXは、K、E、N、Q、およびAからなるアミノ酸残基の群より選択される。一つの態様において、ソルターゼモチーフは、LPETまたはLPETGまたはLPETAである。
黄色ブドウ球菌由来のソルターゼA(St.au.SrtA)が使用されるある種の態様において、ソルターゼモチーフは、アミノ酸配列LPX1TX2[(i)X1はD、E、A、N、Q、K、およびRからなるアミノ酸残基の群より選択され、(ii)X2はアラニンおよびグリシンからなるアミノ酸残基の群より選択される]を有する。ある種の態様において、St.au.SrtAのソルターゼモチーフはLPX1TAである。他の態様において、St.au.SrtAのソルターゼモチーフはLPX1TGである。X1は前述の意味を有する。
化膿性連鎖球菌ソルターゼA(St.py.SrtA)は、ジアラニンに基づく求核剤を受容するであろう。このソルターゼは、トレオニン残基とアラニン残基との間でソルターゼモチーフアミノ酸配列LPXTAを効率的に切断し、修飾されたアラニンに基づく求核剤をインストールするであろう。St.py.SrtAは、低下した効率ではあるが、LPXTGモチーフも認識し切断するであろう。
黄色ブドウ球菌ソルターゼA(St.au.SrtA)は、LPXTAモチーフを有意に切断せず、アラニンに基づく求核剤も受容しないであろう。
一つの態様において、ポリペプチドは、Strep.SrtAおよびアラニン含有求核剤と接触させられる。ポリペプチドは、Strep.SrtAによって認識され得るソルターゼモチーフアミノ酸配列をC末端またはその付近に含み、求核剤は、St.au.SrtAによって媒介される反応のための求核剤として役立つことができる1個または複数個のアミノ酸(例えば、(G)n[nは1~10、例えば、1~5である])をN末端またはその付近に含む。これによって、St.au.SrtAによる切断を受けにくいモチーフLPXTA配列が反応部位に形成される。これは、例えば、Strep.SrtAによってインストールされたC末端修飾に影響を与えることなく、St.au.SrtAがN末端に作用することを可能にする。
ソルターゼアミド基転移活性を有するソルターゼ断片は、本明細書において報告される方法において使用され得る。ソルターゼ断片は、例えば、組換え技術または全長ソルターゼのタンパク質分解消化によって、ソルターゼの断片を作製し、ペプチド結合形成、即ち、ライゲーションの速度を決定することによって同定され得る。断片は、黄色ブドウ球菌ソルターゼA(GenBankアクセッション番号AAD48437)のもののような全長ソルターゼのアミノ酸配列の約80%、全長ソルターゼのアミノ酸配列の約70%、約60%、約50%、約40%、または約30%を含んでいてよい。いくつかの態様において、断片は、ソルターゼの触媒活性に必須でない全長ソルターゼアミノ酸配列のN末端部分を欠き、例えば、断片は、膜アンカー配列の末端までのN末端部分を欠く。いくつかの態様において、断片は、全長ソルターゼアミノ酸配列のC末端を含む。いくつかの態様において、断片は、ソルターゼの触媒コア領域を含む。一つの態様において、コア領域は、SrtA、例えば、黄色ブドウ球菌SrtAの約60位~約206位、またはStrep.SrtAの約82位~約249位である。
他の生物由来のソルターゼを、本明細書において報告される手法において利用することもできる。そのようなソルターゼは、しばしば、SrtAをコードするヌクレオチド配列と実質的に同一であるかまたは類似しているヌクレオチド配列によってコードされる。類似しているかまたは実質的に同一であるヌクレオチド配列は、1個または複数個のヌクレオチドの置換、欠失、または挿入のような、ネイティブ配列への修飾を含んでいてよい。ネイティブヌクレオチド配列と少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、もしくは85%、またはそれ以上同一であるヌクレオチド配列が含まれ、しばしば、ネイティブヌクレオチド配列と90%もしくは95%またはそれ以上同一であるヌクレオチド配列が含まれる(同一率は各々1%、2%、3%、または4%の分散を含み得る)。二つの核酸が実質的に同一であるか否かを決定するための一つの試験は、二つの核酸の間で共有される同一ヌクレオチド位置の百分率を決定することである。
関連配列を同定するため、公のデータベースに対する検索を実施するための「クエリー配列」として、SrtAヌクレオチド配列を使用することができる。そのような検索は、Altschulら(J.Mol.Biol.215(1990)403-410)のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施され得る。BLASTヌクレオチド検索は、相同ヌクレオチド配列を入手するため、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12によって実施され得る。比較目的のためのギャップ付きアライメントを入手するため、Altschulら(Nuc.Acids Res.25(1997)3389-3402)に記載されるように、ギャップド(gapped)BLASTを利用することができる。BLASTプログラムおよびギャップドBLASTプログラムを利用する時、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる(例えば、www.ncbi.nlm.nih.govを参照すること)。
バリアントアミノ酸配列は、ネイティブアミノ酸配列と相違している。極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、ヘリックス形成特性、および/または両親媒特性の類似性に基づき、アミノ酸置換を施すことができ、欧州特許出願EP14198535において報告されたもののような適当なアッセイによって、得られたバリアントを酵素活性についてスクリーニングする。例えば、陰性荷電アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ;陽性荷電アミノ酸には、リジンおよびアルギニンが含まれ;類似した親水性値を有する非荷電の極性または非極性の頭部を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが含まれる。ある種の態様において、保存的置換は、以下の表に従って作成され得る。第2列の同一ブロック、第3列の同一行のアミノ酸は、保存的置換において相互に置換され得る。ある種の保存的置換は、第2列のあるブロックに対応する第3列の一つの行のアミノ酸の、第2列の同一ブロック内の第3列のもう一つの行からのアミノ酸との置換である。
ある種の態様において、例えば、塩基性と塩基性、酸性と酸性、極性アミノ酸と極性アミノ酸、疎水性と疎水性のような、類似アミノ酸の置換または取り替えである相同的置換が存在してもよい。ネイティブ配列に対して、あるクラスの残基から異なるクラスの残基(例えば、非疎水性アミノ酸と疎水性アミノ酸)への、または非天然アミノ酸を用いた天然アミノ酸による置換、または非古典的アミノ酸取り替えのような、非相同的置換が導入されてもよい。
本明細書において報告される方法において、ソルターゼ、ソルターゼモチーフを含むポリペプチド(即ち、アシルドナー)、および求核剤(即ち、アシルアクセプター)が、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドのN末端部分と求核剤との間のペプチド結合の形成を達成するのに適当な条件の下で、共にインキュベートされる。本明細書において使用されるように、「インキュベートする」という用語またはその文法的な等価物は、分子の間の接触を可能にするため、プロセスの成分を相互に密接に接近させることを示す。例えば、1個の反応容器にそれらを添加することによって、インキュベーションを行うことができる。多様な様式で、例えば、容器を振とうするか、容器をボルテックス生成装置に供するか、またはピペットによって繰り返し混合することによって、系内の成分を混合することができる。成分は、任意の順序で、系に添加されてよい。
ソルターゼ反応は、任意の便利な容器(例えば、微量遠心管のような試験管、フラスコ、ディッシュ)、マイクロタイタープレート(例えば、96穴もしくは384穴のプレート)、ガラススライド、シリコンチップ、フィルタ、または分子が固定化され任意でアレイ状に配置された(任意でコーティングされた)表面を有する固体もしくは半固体の支持体(例えば、米国特許第6,261,776号およびFodor,Nature 364(1993)555-556を参照すること)、ならびにマイクロ流体デバイス(例えば、米国特許第6,440,722号;米国特許第6,429,025号;米国特許第6,379,974号;および米国特許第6,316,781号を参照すること)において実施され得る。
反応混合物は、一般に、細胞を含まず、さらに、細菌細胞壁成分または完全細菌細胞壁を含まない。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドおよび/または求核剤は、ヌクレオチド配列が細胞ゲノムへ組み込まれているかまたは組み込まれていない(例えば、プラスミド内に存在する)細胞において、1種または複数種の組換えヌクレオチド配列によって発現される。
反応混合物は、ソルターゼ反応が実施され得る任意の便利な温度に維持される。いくつかの態様において、ソルターゼ反応は、約15℃~約50℃の温度で実施される。いくつかの態様において、ソルターゼ反応は、約23℃~約37℃の温度で実施される。ある種の態様において、温度は室温(即ち、約20℃~25℃)である。温度は、異なる温度で同一のソルターゼ反応を反復的に実施し、ライゲーション速度を決定することによって最適化されてよい。
任意の便利な体積および成分比を使用することができる。
ある種の態様において、ソルターゼ酵素とソルターゼモチーフを含むポリペプチドとの1:1000以上の(モル濃度)比が利用され、またはソルターゼ酵素と求核剤との1:1000以上の(モル濃度)比が利用される。具体的な態様において、ソルターゼ酵素とソルターゼモチーフを含むポリペプチドとの比または酵素と求核剤との比は、約1:1、例えば、1:2以上、1:3以上、1:4以上、1:5以上、1:6以上、1:7以上、1:8以上、および1:9以上である。
いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約10μM~約10mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約100μM~約1mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約100μM~約50mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約200μM~約1mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約200μM~約800μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの態様において、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドは、約400μM~約600μMの範囲の濃度で存在する。
ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフを含むポリペプチドに対して過剰に存在する。ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフポリペプチドに対して10倍過剰に存在する。ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフポリペプチドに対して25倍過剰に存在する。ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフポリペプチドに対して50倍過剰に存在する。ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフポリペプチドに対して100倍過剰に存在する。ある種の態様において、求核剤は、ソルターゼモチーフポリペプチドに対して250倍過剰に存在する。
ある種の態様において、求核剤は、約1μM~約50mMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、求核剤は、約15μM~約1500μMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、求核剤は、約25μM~約1000μMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、求核剤は、約40μM~約250μMの範囲の濃度で存在する。
ある種の態様において、ソルターゼは、約1μM~約500μMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、ソルターゼは、約15μM~約150μMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、ソルターゼは、約25μM~約100μMの範囲の濃度で存在する。ある種の態様において、ソルターゼは、約40μM~約60μMの範囲の濃度で存在する。
ある種の態様において、方法は、水性環境を含む反応混合物において実施される。適切な緩衝剤および/または塩含量を含む水が、しばしば、利用され得る。アルコールまたは有機溶媒が、ある種の態様において、含まれていてもよい。有機溶媒の量は、しばしば、ライゲーション処理においてタンパク質またはペプチドを認識可能な程度にエステル化しないものである(例えば、アルコールまたは有機溶媒の添加によって、エステル化されたタンパク質またはペプチドは、しばしば、5%以下しか増加しない)。アルコールおよび/または有機溶媒の含量は、時に、20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下であり、より多量のアルコールまたは有機溶媒が利用される態様において、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、または80%以下のアルコールまたは有機溶媒が存在する。ある種の態様において、反応混合物は、アルコールまたは有機溶媒のみを含み、存在する場合、限定された量の水しか含まない。
いくつかの態様において、反応混合物は緩衝液を含む。本明細書において報告される方法に従って使用され得る多様な緩衝液は、当業者に周知であろう。いくつかの態様において、緩衝溶液はカルシウムイオンを含む。ある種の態様において、緩衝溶液は、カルシウムイオンを沈殿させる物質を含有していない。いくつかの態様において、緩衝溶液はリン酸イオンを含まない。いくつかの態様において、緩衝溶液はキレート剤を含有していない。
いくつかの態様において、方法は、6~8.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、6~8の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、6~7.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、6.5~8.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、7~8.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、7.5~8.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、7.0~8.5の範囲のpH値で実施される。いくつかの態様において、方法は、7.3~7.8の範囲のpH値で実施される。
反応混合物の1個もしくは複数個の成分または生成物が、固体支持体に固定化されてもよい。反応混合物成分と固体支持体との間の付着は、共有結合性または非共有結合性であり得る(非共有結合性の付着については、例えば、米国特許第6,022,688号を参照すること)。固体支持体は、例えば、マイクロタイタープレートの各ウェルの1個または複数個の表面、ガラススライドまたはシリコンウエハ、BIAcoreチップの表面、もう一つの固体支持体に任意で連結されていてもよい粒子、例えば、ビーズ(例えば、Lam,Nature 354(1991)82-84を参照すること)、またはマイクロ流体デバイスのチャンネルの表面のような、系の1個または複数個の表面であり得る。固体支持体の型、固体支持体への共有結合性および非共有結合性の付着のためのリンカー分子、ならびに固体支持体へ分子を固定化する方法は、公知である(例えば、米国特許第6,261,776号;米国特許第5,900,481号;米国特許第6,133,436号;米国特許第6,022,688号;WO 2001/18234を参照すること)。任意の材料、例えば、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、金属、ガラス、セルロース、(例えば、PDMSのような有機ポリマーから少なくとも一部分形成された)ゲル等が使用され得る。いくつかの態様において、固体支持体は、半固体かつ/またはゲル様、変形可能、フレキシブル等である。
任意のポリペプチドが、ソルターゼモチーフまたはオリゴグリシンもしくはオリゴアラニンの導入後、最終的には、本明細書において報告される方法においてソルターゼモチーフを含むポリペプチドまたは求核剤として使用され得る。
以上を要約すると、ドナーとも示される第1の基質は、ソルターゼ認識モチーフを含む。それは、認識モチーフ内のトレオニン残基の後でソルターゼによって切断される。それによって、C末端の活性化されたカルボキシル基(アシル中間体)が生成される。アクセプターまたは求核剤とも示される第2の基質は、フリーなN末端アミノ基を提供する。ソルターゼによって触媒されるペプチド転移反応において、フリーなアミノ基と活性化されたカルボキシル基との間にペプチド結合が形成される。
従って、ソルターゼによって媒介される酵素的ペプチド転移反応のためには、ソルターゼ認識モチーフを含むドナー、およびN末端のフリーなグリシン、アラニン、システイン、または等価な官能基を含むアクセプターが、ソルターゼA触媒活性を有するポリペプチドと共にインキュベートされることのみが必要とされる。ドナーおよびアクセプターの残りは、反応に干渉しない。
従って、ソルターゼによって媒介されるペプチド転移反応は、ソルターゼ認識配列および求核剤の対を含む限り、事実上任意のタンパク質または低分子を、相互に独立に、ドナーまたはアクセプターとして用いて、実施され得る。
これは当技術分野によって確認されている。
例えば、Marraffiniら(Microbiol.Mol.Biol.Rev.70(2006)192-221)は、フリーなアミノ基を有するグリシン残基を含有している化学物質を、組換えタンパク質のLPXTGモチーフへ組み入れるため、ソルターゼAを使用することができ、即ち、タンパク質が制限されないことを報告した。提示された例は、トリグリシル-リジン-葉酸と(GFPまたはCreまたはp27)-LPETG-His6との高い効率でのコンジュゲーション、分岐型ペプチドAT-P-022のポリペプチドへの組み入れ、およびHis6-ソルターゼ-LPETG-標的タンパク質のキメラの自己切断(酵素がカルシウムおよびトリグリシンの添加によって活性化された後、融合物は自己を切断する)である。
さらに、Antosら(J.Am.Chem.Soc.131(2009)10800-10801)は、ソルターゼAによって触媒されたペプチド転移反応が、事実上任意の型の機能性材料によるタンパク質の部位特異的な誘導体化を可能にすることを報告した。標的タンパク質は、C末端付近に認識部位(LPXTG)を含有し、従って、トレオニンのC末端側の残基が合成オリゴグリシンペプチドと交換されるアシル基転移反応を可能にするよう改変される。反応に影響を与えることなく、ソルターゼ認識モチーフの末端G残基をメチルエステルに取り替えることができることが報告されている。この文書においては、蛍光性の標識またはタンパク質のいずれかを含む求核剤が、コレラ毒素Bサブユニットへのコンジュゲーションのために使用された。
さらに、Poppら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108(2011)3169-3174)は、ポリペプチドの環化およびPEG化のためのソルターゼの使用を報告した。方法は、一般的であり、多様なタンパク質に適用可能である。インターフェロンa2、GCSF、およびエリスロポエチンを使用して例示されたように、ソルターゼトランスペプチダーゼ反応は、複数の別個のタンパク質の容易な部位特異的PEG化を可能にする。試験された全てのケースにおいて、部位特異的C末端PEG化が効率的に進行した。
EP 2 990 423には、自己切断ソルターゼ構築物が報告されている。この構築物においては、ソルターゼ認識配列LPETGおよび触媒ソルターゼドメインが、同一分子において組み合わせられた。ソルターゼ認識配列を含むタンパク質として、例えば、ポリマータンパク質、糖タンパク質、サイトカイン、増殖因子、血液製剤、ワクチン、ホルモン、酵素、抗体およびその一部または断片(単離された軽鎖または重鎖)を含む群より選択されるタンパク質のような任意のタンパク質。
実施例6において報告されるアッセイによって、ソルターゼAのどのポリペプチドまたは断片がソルターゼA酵素活性を(未だに)有するかを決定することは、容易に可能である。
V.異なる溶媒系におけるソルターゼ
黄色ブドウ球菌由来のソルターゼAを、ヘキサン、トリエチルアミン、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DES(塩化コリン:グリセロール1:2、塩化コリン:エチレングリコール、塩化コリン:グルコース/フルクトース1:1、および塩化コリン:2,3-ブタンジオール2,3-ブタンジオール1:4)、または水と混合し、可溶性について分析した。Sa-SrtAは、DESおよび水において高度に可溶性であるが、他の溶媒においてはそうでない。
黄色ブドウ球菌由来のソルターゼAを、ヘキサン、トリエチルアミン、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DES(塩化コリン:グリセロール1:2、塩化コリン:エチレングリコール、塩化コリン:グルコース/フルクトース1:1、および塩化コリン:2,3-ブタンジオール2,3-ブタンジオール1:4)、または水と混合し、可溶性について分析した。Sa-SrtAは、DESおよび水において高度に可溶性であるが、他の溶媒においてはそうでない。
全ての言及された溶媒においてSa-SrtAの活性を試験した。水溶性のまたは水に基づく溶媒には、最適のpHおよびCa2+濃度を確実にするため、15%緩衝剤を補足した。反応混合物(0.1mM Sa-SrtAならびに1mMの基質(ULPETGGRRおよびGGGG-PEG-ビオチン))をインキュベートした(8時間、37℃)。反応混合物をHPLCによって分析し、質量分析によってピークを同定した。
以下の表に、異なる溶媒におけるSa-SrtAの可溶性および活性を示す(+:完全に可溶性/有意な量のライゲーション生成物が形成される)。フルクトースまたはグルコースからのDESは、RTでほぼ固体であり、従って、このアプローチのために適当でない。エチレングリコールからのDESにおいては、ライゲーション生成物を観察することができたが、Sa-SrtAは経時的に安定していない。
従って、Sa-SrtAは、水性共溶媒を含有しているChCl:グリセロールに基づくDESにおいて活性である。ソルターゼ反応に対する共溶媒の量の影響を評価するため、水とDESとの様々な比を調査した。反応物を、ライゲーション生成物形成について経時的に分析した。結果は図7に示される。
DESに対するSa-SrtAの安定性問題を排除するため、0.1mMソルターゼを90%DESにおいて室温で24時間インキュベートしたところ、活性の損失は検出され得なかった。
VI.本明細書において報告される方法および使用
本明細書において報告される一つの局面は、深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法である。
本明細書において報告される一つの局面は、深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法である。
一つの態様において、システイニル化合物は、フリーなαアミノ基(一つの態様において、NH2またはNH3
+)およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するシステインアミノ酸残基を1位に含む化合物である。
一つの態様において、アラニル化合物は、フリーなαアミノ基(一つの態様において、NH2またはNH3
+)およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するアラニンアミノ酸残基を1位に含む化合物である。
一つの態様において、グリシニル化合物は、フリーなαアミノ基(一つの態様において、NH2またはNH3
+)およびペプチド結合の一部であるカルボキシ基を有するグリシンアミノ酸残基を1位に含む化合物である。
一つの態様において、ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドは、黄色ブドウ球菌ソルターゼAまたは化膿性連鎖球菌ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネスソルターゼAに由来する。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、ソルターゼA、またはソルターゼA触媒活性を有するソルターゼA断片である。一つの態様において、ソルターゼA触媒活性は、結合形成アッセイを使用して決定される。一つの態様において、結合形成アッセイは、本発明の実施例6によるアッセイである。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:05、SEQ ID NO:06、またはSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含む。一つの好ましい態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含む。
一つの態様において、第3のポリペプチドは、直接的にまたは介在するリンカーを介してN末端またはC末端にコンジュゲートされたタグをさらに含む。一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列およびSEQ ID NO:32のC末端タグからなる。一つの態様において、第3のポリペプチドは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなる。
一つの態様において、方法は、2種のポリペプチドの酵素的コンジュゲーションのためのものである。
一つの態様において、深共融溶媒は、塩化コリンを含む。一つの態様において、深共融溶媒は、1:2(v/v)のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。一つの態様において、深共融溶媒は、水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、最大10%(v/v)の水性共溶媒を含む。一つの態様において、深共融溶媒は、最大5%(v/v)の共溶媒を含む。一つの好ましい態様において、深共融溶媒は、最大5%(v/v)の水性共溶媒を含む、1:2(v/v)のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。
一つの態様において、第2のポリペプチドは、アミノ酸配列GGG、AAA、CGG、CAA、KGG、またはKAAをN末端に有する。
一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端の250アミノ酸残基内に含む。一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端の100アミノ酸残基内に含む。一つの態様において、第1のポリペプチドはアミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を、C末端の25アミノ酸残基内に含む。一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端の10アミノ酸残基内に含む。
一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端に含む。一つの態様において、第1のポリペプチドは、アミノ酸配列LPETG(SEQ ID NO:04)またはLPETA(SEQ ID NO:42)をC末端に含む。
一つの態様において、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは相互に独立に、抗体可変ドメイン、抗体重鎖Fab断片、抗体Fc領域、タグ、ならびに、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)、リンカー、および非ソルターゼモチーフ部分を含むペプチドより選択される。
本明細書において報告される一つの局面は、1:2(v/v)のモル比で塩化コリンおよびグリセロールを含み、最大5%(v/v)の水性共溶媒をさらに含む深共融溶媒の、ソルターゼAによって触媒される酵素的アミド基転移反応における溶媒としての使用である。
本明細書において報告される一つの局面は、1:2(v/v)のモル比で塩化コリンおよびグリセロールを含み、最大5%(v/v)の水性共溶媒をさらに含む深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)SEQ ID NO:05またはSEQ ID NO:06またはSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有し、任意で、SEQ ID NO:32のC末端タグを含む(可溶性)ソルターゼ
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ソルターゼAによって触媒されるポリペプチドの作製のための方法である。
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)SEQ ID NO:05またはSEQ ID NO:06またはSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有し、任意で、SEQ ID NO:32のC末端タグを含む(可溶性)ソルターゼ
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ソルターゼAによって触媒されるポリペプチドの作製のための方法である。
第1または第2のポリペプチド
ソルターゼモチーフ(アミノ酸配列)は、これらの分子、治療剤(薬)、細胞傷害性薬剤(例えば、ドキソルビシンもしくは百日咳毒素のような毒素)、フルオレセインもしくはローダミンのような蛍光色素のようなフルオロフォア、イメージングもしくは放射線治療のための金属のキレート剤、ペプチド性もしくは非ペプチド性の標識、タグ、またはポリエチレングリコールの様々な異性体のようなクリアランス修飾剤、第3の成分に結合するペプチド、もう一つの炭水化物もしくは親油性薬剤、または、例えば、合成低分子(例えば、アセチルサリチル酸)のような低分子のうちの一つに直接含まれていない場合、コンジュゲートされてもよいしまたは組み入れられてもよい。モチーフがコンジュゲーションを介して組み入れられる場合、コンジュゲーションは、直接的であってもよいしまたは介在リンカーを介していてもよい。さらに、第1および/または第2のポリペプチドは、組換えによって作製されてもよいし、または合成であってもよいし、または半合成、即ち、組換えによって作製され、その後、化学的に修飾されたものであってもよい。
ソルターゼモチーフ(アミノ酸配列)は、これらの分子、治療剤(薬)、細胞傷害性薬剤(例えば、ドキソルビシンもしくは百日咳毒素のような毒素)、フルオレセインもしくはローダミンのような蛍光色素のようなフルオロフォア、イメージングもしくは放射線治療のための金属のキレート剤、ペプチド性もしくは非ペプチド性の標識、タグ、またはポリエチレングリコールの様々な異性体のようなクリアランス修飾剤、第3の成分に結合するペプチド、もう一つの炭水化物もしくは親油性薬剤、または、例えば、合成低分子(例えば、アセチルサリチル酸)のような低分子のうちの一つに直接含まれていない場合、コンジュゲートされてもよいしまたは組み入れられてもよい。モチーフがコンジュゲーションを介して組み入れられる場合、コンジュゲーションは、直接的であってもよいしまたは介在リンカーを介していてもよい。さらに、第1および/または第2のポリペプチドは、組換えによって作製されてもよいし、または合成であってもよいし、または半合成、即ち、組換えによって作製され、その後、化学的に修飾されたものであってもよい。
(a)治療剤
治療剤は、例えば、抗体、細胞傷害性もしくは細胞分裂阻害性の化合物のような、治療効果を有する任意の化合物、部分、または基であり得る。抗体は、全長のもしくは完全な抗体であってもよいしまたはそれらの抗原結合断片であってもよい。
治療剤は、例えば、抗体、細胞傷害性もしくは細胞分裂阻害性の化合物のような、治療効果を有する任意の化合物、部分、または基であり得る。抗体は、全長のもしくは完全な抗体であってもよいしまたはそれらの抗原結合断片であってもよい。
リツキサン(Rituxan)/マブセラ(MabThera)/リツキシマブ、2H7/オクレリズマブ、ゼヴァリン(Zevalin)/イブリツモマブ、アーゼラ(Arzerra)/オファツムマブ(CD20)、HLL2/エプラツズマブ、イノツズマブ(CD22)、ゼナパックス(Zenapax)/ダクリズマブ、シムレクト(Simulect)/バシリキシマブ(CD25)、ハーセプチン(Herceptin)/トラスツズマブ、ペルツズマブ(Her2/ERBB2)、マイロターグ(Mylotarg)/ゲムツズマブ(CD33)、ラプティバ(Raptiva)/エファリズマブ(Cd11a)、アービタックス(Erbitux)/セツキシマブ(EGFR、上皮増殖因子受容体)、IMC-1121B(VEGF受容体2)、タイサブリ(Tysabri)/ナタリズマブ(α4β1インテグリンおよびα4β7インテグリンのα4サブユニット)、レオプロ(ReoPro)/アブシキシマブ(gpIIb-gpIIaおよびαvβ3インテグリン)、オルソクローン(Orthoclone)OKT3/ムロモナブ-CD3(CD3)、ベンリスタ(Benlysta)/ベリムマブ(BAFF)、Tolerx/オテリキシズマブ(CD3)、ソリリス(Soliris)/エクリズマブ(C5補体タンパク質)、アクテムラ(Actemra)/トシリズマブ(IL-6R)、パノレックス(Panorex)/エドレコロマブ(EpCAM、上皮細胞接着分子)、CEA-CAM5/ラベツズマブ(CD66/CEA、癌胎児抗原)、CT-11(PD-1、プログラム死1、T細胞阻害性受容体、CD-d279)、H224G11(c-Met受容体)、SAR3419(CD19)、IMC-A12/シズツムマブ(IGF-1R、インスリン様増殖因子1受容体)、MEDI-575(PDGF-R、血小板由来増殖因子受容体)、CP-675、206/トレメリムマブ(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)、RO5323441(胎盤増殖因子またはPGF)、HGS1012/マパツズマブ(TRAIL-R1)、SGN-70(CD70)、ベドチン(Vedotin)(SGN-35)/ブレンツキシマブ(CD30)、ならびにARH460-16-2(CD44)のような、細胞表面分子およびそれらのリガンドに対する多数の治療用抗体が公知である。
本明細書において報告される方法によって入手されたコンジュゲートは、例えば、腫瘍性疾患、心血管疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝性(例えば、内分泌腺)疾患、または神経学的(例えば、神経変性)疾患の治療のための医薬の調製において使用され得る。これらの疾患の例示的な非限定的な例は、アルツハイマー病、非ホジキンリンパ腫、急性および慢性のB細胞リンパ性白血病、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、ヘアリーセル白血病、急性および慢性の骨髄性白血病、T細胞リンパ腫およびT細胞白血病、多発性骨髄腫、神経膠腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、(口腔、胃腸管、結腸、胃、気道、肺、乳房、卵巣、前立腺、子宮、子宮内膜、子宮頚部、膀胱、膵臓、骨、肝臓、胆嚢、腎臓、皮膚、および精巣の細胞腫のような)細胞腫、黒色腫、肉腫、神経膠腫、および皮膚癌、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、硬皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、または線維性肺胞炎である。
多数の細胞表面マーカーおよびそれらのリガンドが公知である。例えば、癌細胞は、炭酸脱水酵素IX、αフェトプロテイン、αアクチニン4、A3(A33抗体に特異的な抗原)、ART-4、B7、Ba-733、BAGE、BrE3抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、CASP-8/m、CCCL19、CCCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CDS、CD8、CD1-1A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a-e、CD67、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK-4/m、CDKN2A、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF-1α、結腸特異的抗原p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c-met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM、Flt-1、Flt-3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、GROB、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、HMGB-1、低酸素誘導因子(HIF-1)、HSP70-2M、HST-2または1a、IGF-1R、IFNγ、IFNα、IFNβ、IL-2、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-25、インスリン様増殖因子1(IGF-1)、KC4抗原、KS-1抗原、KS1-4、Le-Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、NY-ESO-1、TRAG-3、mCRP、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUM-1/2、MUM-3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、胎盤増殖因子、p53、PLAGL2、前立腺酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、ILGF、ILGF-1R、IL-6、IL-25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン2B、TAC、TAG-72、テネイシン、TRAIL受容体、TNFα、Tn抗原、トムソン・フリーデンライヒ(Thomson-Friedenreich)抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED-Bフィブロネクチン、WT-1、17-1A抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管形成マーカー、bcl-2、bcl-6、Kras、cMET、癌遺伝子マーカー、および癌遺伝子産物(例えば、Sensi,et al.,Clin.Cancer Res.12(2006)5023-5032;Parmiani,et al,J.Immunol.178(2007)1975-1979;Novellino,et al.,Cancer Immunol.Immunother.54(2005)187-207を参照すること)を含むが、これらに限定されるわけではない細胞表面マーカーおよびまたはリガンドのうちの少なくとも一つを発現することが報告されている。
従って、リガンドを含む特異的な細胞表面受容体を認識する抗体は、疾患に関連している多数/複数の細胞表面マーカーへの特異的かつ選択的なターゲティングおよび結合のために使用され得る。細胞表面マーカーは、例えば、シグナリングイベントまたはリガンド結合に関連している、細胞(例えば、疾患関連細胞)の表面に位置するポリペプチドである。
一つの態様において、癌/腫瘍の治療のため、Herberman,"Immunodiagnosis of Cancer",in Fleisher(ed.),"The Clinical Biochemistry of Cancer",page 347(American Association of Clinical Chemists(1979))、ならびにUS 4,150,149;US 4,361,544;およびUS 4,444,744において報告されたもののような、腫瘍関連抗原を標的とする多重特異性結合分子/二重特異性抗体が作製される。
腫瘍関連抗原(TAA)に関する報告には、同定されたTAAに関して、参照によって各々本明細書に組み入れられる、Mizukamiら(Nature Med.11(2005)992-997);Hatfieldら(Curr.Cancer Drug Targets 5(2005)229-248);Vallbohmerら(J Clin.Oncol.23(2005)3536-3544);およびRenら(Ann.Surg.242(2005)55-63)が含まれる。
疾患がリンパ腫、白血病、または自己免疫障害を含む場合、標的とされる抗原は、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD54、CD67、CD74、CD79a、CD80、CD126、CD138、CD154、CXCR4、B7、MUC1または1a、HM1.24、HLA-DR、テネイシン、VEGF、P1GF、ED-Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物(例えば、c-metまたはPLAGL2)、CD66a-d、壊死抗原、IL-2、T101、TAG、IL-6、MIF、TRAIL-R1(DR4)、およびTRAIL-R2(DR5)からなる群より選択され得る。
BCMA/CD3、HERファミリーの異なる抗原(EGFR、HER2、HER3)の組み合わせ、CD19/CD3、IL17RA/IL7R、IL-6/IL-23、IL-1β/IL-8、IL-6またはIL-6R/IL-21またはIL-21R、ルイスx構造、ルイスb構造、およびルイスy構造、グロボ(Globo)H構造、KH1、Tn抗原、TF抗原、およびムチンの炭水化物構造、CD44、Gg3、Gb3、GD3、GD2、Gb5、Gm1、Gm2、シアリルテトラオシルセラミドのような糖脂質および糖スフィンゴ脂質からなる群より選択される抗原の糖鎖エピトープに対する第1の特異性、ならびにEGFR、HER2、HER3、およびHER4からなる群より選択されるErbB受容体チロシンキナーゼに対する第2の特異性、Tリンパ球、NK細胞、Bリンパ球、樹状細胞、単球、マクロファージ、好中球、間葉系幹細胞、神経幹細胞からなる群より選択される免疫学的細胞に関連している第2の抗原結合部位と組み合わせられたGD2、ANG2/VEGF、VEGF/PDGFRβ、血管内皮増殖因子(VEGF)アクセプター2/CD3、PSMA/CD3、EPCAM/CD3、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、FLT3、c-FMS/CSF1R、RET、c-Met、EGFR、Her2/neu、HER3、HER4、IGFR、PDGFR、c-KIT、BCR、インテグリン、およびMMPからなる群より選択される抗原と、VEGF、EGF、PIGF、PDGF、HGF、およびアンジオポエチンからなる群より選択される水溶性リガンドとの組み合わせ、ERBB-3/C-MET、ERBB-2/C-MET、EGF受容体1/CD3、EGFR/HER3、PSCA/CD3、C-MET/CD3、エンドシアリン/CD3、EPCAM/CD3、IGF-1R/CD3、FAPALPHA/CD3、EGFR/IGF-1R、IL 17A/F、EGF受容体1/CD3、ならびにCD19/CD16のような、2種の異なる標的に対する多数の二重特異性抗体が、公知である。
毒性薬物部分には、(i)微小管阻害剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、またはDNA挿入剤として機能し得る化学療法剤;(ii)酵素的に機能し得るタンパク質毒素;および(iii)放射性同位体が含まれる。
例示的な毒性薬物部分には、マイタンシノイド、アウリスタチン(auristatin)、ドラスタチン、トリコテシン、CC1065、カリチアマイシンおよびその他のエンジイン抗生物質、タキサン、アントラサイクリン、ならびにそれらの立体異性体、アイソスター、類似体、または誘導体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
タンパク質毒素には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の)外毒素A鎖、リシンA鎖(Vitetta et al(1987)Science,238:1098)、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αサルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-5)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、ならびにトリコテシン(WO 93/21232)が含まれる。
治療用放射性同位体には、32P、33P、90Y、125I、131I、131In、153Sm、186Re、188Re、211At、212B、212Pb、およびLuの放射性同位体が含まれる。
放射性同位体またはその他の標識は、公知の方式で組み入れられ得る(Fraker et al(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49-57;"Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy"Chatal,CRC Press 1989)。炭素14によって標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、複合体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(WO 94/11026)。
(b)標識
非ソルターゼモチーフ部分は、標識であり得る。ソルターゼアミノ酸配列に共有結合で付着し得る任意の標識部分が使用され得る(例えば、Singh et al(2002)Anal.Biochem.304:147-15;Harlow E.and Lane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,2nd ed.CRC Press,Boca Raton,Fla.を参照すること)。標識は、(i)検出可能なシグナルを提供するか;(ii)第1もしくは第2の標識によって提供される検出可能なシグナルを修飾するため、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を与えるため、第2の標識と相互作用するか;(iii)電荷、疎水性、形、もしくはその他の物理的パラメータによって、移動度、例えば、電気泳動移動度もしくは細胞透過性に影響を与えるか、または(iv)例えば、イオン複合体化をモジュレートするため、キャプチャー部分を提供するよう、機能し得る。
非ソルターゼモチーフ部分は、標識であり得る。ソルターゼアミノ酸配列に共有結合で付着し得る任意の標識部分が使用され得る(例えば、Singh et al(2002)Anal.Biochem.304:147-15;Harlow E.and Lane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,2nd ed.CRC Press,Boca Raton,Fla.を参照すること)。標識は、(i)検出可能なシグナルを提供するか;(ii)第1もしくは第2の標識によって提供される検出可能なシグナルを修飾するため、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を与えるため、第2の標識と相互作用するか;(iii)電荷、疎水性、形、もしくはその他の物理的パラメータによって、移動度、例えば、電気泳動移動度もしくは細胞透過性に影響を与えるか、または(iv)例えば、イオン複合体化をモジュレートするため、キャプチャー部分を提供するよう、機能し得る。
本明細書において報告されるハプテン化された標識を含むコンジュゲートは、例えば、特異的な細胞、組織、または血清における関心対象の抗原の発現を検出するための診断アッセイにおいて有用であり得る。診断的な適用のため、第1の結合特異性が標的に結合し、第2の結合特異性がハプテン化された標識に結合する二重特異性抗体が使用されるであろう。ハプテンは、典型的には、検出可能部分によって標識されるであろう。一般に以下のカテゴリへ分類され得る多数の標識が入手可能である:
(a)3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Gn、86Y、89Zr、99TC、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、または131Biのような放射性同位体(放射性核種)。放射性同位体によって標識されたコンジュゲートは、受容体標的イメージング実験において有用である。抗原(ハプテン)は、Current Protocols in Immunology,(1991)Volumes 1 and 2,Coligen et al,Ed.Wiley-Interscience,New York,N.Y.,Pubsに記載された技術を使用して、放射性同位体金属に結合するか、キレート化するか、またはその他の方法で錯体化するリガンド試薬によって標識され得る。金属イオンを錯体化し得るキレーティングリガンドには、DOTA、DOTP、DOTMA、DTPA、およびTETA(Macrocyclics,Dallas,Tex.)が含まれる。放射性核種は、本明細書において報告される複合体との錯体化を介してターゲティングされ得る(Wu et al,Nature Biotechnology 23(9)(2005)1137-1146)。放射性核種によって標識された複合体による受容体標的イメージングは、腫瘍組織における複合体または対応する治療用抗体の進行的な蓄積の検出および定量化によって経路活性化のマーカーを提供することができる(Albert et al(1998)Bioorg.Med.Chem.Lett.8:1207-1210)。
(b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)、FITC、5-カルボキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインを含むフルオレセイン型;TAMRAを含むローダミン型;ダンシル;リサミン;シアニン;フィコエリトリン;テキサスレッド;およびそれらの類似体のような蛍光標識。蛍光標識は、例えば、Current Protocols in Immunology(前記)において開示された技術を使用して、抗原(ハプテン)にコンジュゲートされ得る。蛍光色素および蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene,Oregon,USA)およびPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,Ill.)から市販されているものが含まれる。
蛍光色素および化学発光色素のような検出標識(Briggs et al "Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids," J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1(1997)1051-1058)は、検出可能なシグナルを提供し、特に、以下の特性によって、標識のために一般に適用可能である:(i)少量のコンジュゲートが無細胞アッセイおよび細胞アッセイの両方において高感度に検出され得るよう、標識されたコンジュゲートは低いバックグラウンドで極めて高いシグナルを生ずるべきであり;かつ(ii)蛍光シグナルが有意な光退色なしに観察され、モニタリングされ、記録され得るよう、標識されたコンジュゲートは光に対して安定であるべきである。標識されたコンジュゲートの膜または細胞表面、特に、生細胞への細胞表面結合を含む適用のため、標識は、(iii)有効なコンジュゲート濃度および検出感度を達成するために良好な水溶解度を有しており、かつ(iv)細胞の正常な代謝プロセスを妨害せず早熟の細胞死を引き起こさないよう、生細胞に対して非毒性であるべきである。
(c)様々な酵素基質標識が、入手可能であるかまたは開示されている(例えば、US 4,275,149を参照すること)。酵素は、一般に、様々な技術を使用して測定され得る発色性基質の化学的改変を触媒する。例えば、酵素は、分光測光法によって測定され得る基質の色変化を触媒してもよい。あるいは、酵素は、基質の蛍光または化学発光を改変してもよい。化学発光基質は、化学反応によって電子的に励起され、次いで、(例えば、ケミルミノメーターを使用して)測定され得る光を放射するか、または蛍光アクセプターにエネルギーを供与することができる。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;US 4,737,456)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)のようなペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(AP)、(3-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸脱水素酵素)、(ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼのような)複素環オキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ(microperoxidase)等が含まれる。酵素をポリペプチドへコンジュゲートするための技術は、O'Sullivan et al "Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay",in Methods in Enzym.(ed.by J.Langone & IT Van Vunakis),Academic Press,New York,73(1981)147-166に記載されている。
酵素と基質の組み合わせ(US 4,275,149;US 4,318,980)の例には、例えば、以下のものが含まれる:
(i)過酸化水素が色素前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する、過酸化水素を基質として用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP);
(ii)発色性基質としてパラニトロフェニルリン酸を用いるアルカリホスファターゼ(AP);および
(iii)発色性基質(例えば、p-ニトロフェニル-(3-D-ガラクトシダーゼ)または蛍光発生性基質4-メチルウンベリフェリル-(3-D-ガラクトシダーゼを用いる(3-D-ガラクトシダーゼ((3-D-Gal)。
(i)過酸化水素が色素前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する、過酸化水素を基質として用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP);
(ii)発色性基質としてパラニトロフェニルリン酸を用いるアルカリホスファターゼ(AP);および
(iii)発色性基質(例えば、p-ニトロフェニル-(3-D-ガラクトシダーゼ)または蛍光発生性基質4-メチルウンベリフェリル-(3-D-ガラクトシダーゼを用いる(3-D-ガラクトシダーゼ((3-D-Gal)。
本明細書において報告される標識されたコンジュゲートは、ELISA、競合結合アッセイ、直接および間接のサンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイのような任意の公知のアッセイ法において利用され得る(Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques(1987)pp.147-158,CRC Press,Inc.)。
本明細書において報告される標識されたコンジュゲートは、以下のもののような、生物医学的イメージングおよび分子イメージングの様々な方法および技術によるイメージングバイオマーカーおよびイメージングプローブとして有用である:(i)MRI(磁気共鳴画像法);(ii)マイクロCT(コンピュータ断層撮影法);(iii)SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法);(iv)PET(ポジトロン放出断層撮影法)(Tinianow,J.et al,Nuclear Medicine and Biology,37(3)(2010)289-297;Chen et al,Bioconjugate Chem.15(2004)41-49;US 2010/0111856)、(v)生物発光;(vi)蛍光;ならびに(vii)超音波。イムノシンチグラフィは、放射性物質によって標識されたコンジュゲートを動物またはヒトの患者へ投与し、コンジュゲートが局在する体内の部位の写真を撮影するイメージング手法である(US 6,528,624)。イメージングバイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定され評価され得る。バイオマーカーは、いくつかの型のものであり得る:0型マーカーは、疾患の自然経過マーカーであり、公知の臨床的指標、例えば、慢性関節リウマチにおける滑膜炎症のMRI査定と長期的に相関する;I型マーカーは、機序が臨床的転帰に関連していないとしても、作用機序によって介入の効果を捕獲する;II型マーカーは、バイオマーカーの変化またはバイオマーカーからのシグナルが、CTによって測定された慢性関節リウマチにおける骨びらんのような標的とされた応答を「バリデートする」ため、臨床的利益を予測する、代理終点として機能する。従って、イメージングバイオマーカーは、以下のものに関する薬力学的(PD)な治療情報を提供し得る:(i)標的タンパク質の発現、(ii)治療薬の標的タンパク質への結合、即ち、選択性、ならびに(iii)クリアランスおよび半減期の薬物動態学的データ。実験室に基づくバイオマーカーと比べたインビボイメージングバイオマーカーの利点には、以下のものが含まれる:非侵襲的な処置、定量可能な全身査定、反復的な投薬および査定、即ち、複数の時点、ならびに前臨床の結果(小動物)から臨床の結果(ヒト)への可能性のある転移可能な効果。いくつかの適用のため、バイオイメージングは、前臨床研究における動物実験に取って代わるかまたはその数を最小化する。
(c)リンカー
「リンカー」という用語は、第1の部分を第2の部分とコンジュゲート(連結)するために使用され得る二官能性または多官能性の部分を意味する。2種の反応官能性を有するリンカーを使用して、連結されたコンジュゲートを便利に調製することができる。
「リンカー」という用語は、第1の部分を第2の部分とコンジュゲート(連結)するために使用され得る二官能性または多官能性の部分を意味する。2種の反応官能性を有するリンカーを使用して、連結されたコンジュゲートを便利に調製することができる。
一つの態様において、リンカーは、ソルターゼアミノ酸配列内に存在する求核基に対して反応性の求電子基を有する反応部位を有する。有用な求電子基には、もう一つのチオール基、マレイミド基、およびハロアセトアミド基が含まれるが、これらに限定されるわけではない(例えば、Klussman et al,Bioconjugate Chemistry 15(4)(2004)765-773の766頁のコンジュゲーション法を参照すること)。
チオール反応官能基の例には、チオール、マレイミド、およびαハロアセチルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
リンカーには、ソルターゼアミノ酸配列を非ソルターゼモチーフ部分に連結するアミノ酸残基が含まれ得る。アミノ酸残基は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド、またはドデカペプチドの単位を形成していてよい。アミノ酸残基には、天然に存在するものが含まれ、例えば、シトルリンのような天然に存在しないアミノ酸類似体、または、例えば、βアラニンのようなβアミノ酸、または4-アミノ酪酸のようなωアミノ酸も含まれる。
もう一つの態様において、リンカーは、ソルターゼアミノ酸配列内に存在する求電子基に対して反応性の求核基を有する反応官能基を有する。有用な求電子基には、アルデヒドおよびケトンのカルボニル基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。リンカーの求核基のヘテロ原子は、ソルターゼアミノ酸配列内の求電子基と反応し、ソルターゼアミノ酸配列との共有結合を形成することができる。リンカー上の有用な求核基には、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。抗原(ハプテン)上の求電子基は、リンカーとの付着のために便利な部位を提供する。
典型的には、ペプチド型リンカーは、2個以上のアミノ酸および/またはペプチド断片の間のペプチド結合の形成によって調製され得る。そのようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の領域において周知である液相合成法(E.Schroder and K.Lubke "The Peptides",volume 1(1965)76-136,Academic Press)によって調製され得る。
もう一つの態様において、リンカーは、可溶性または反応性をモジュレートする基によって置換されていてもよい。例えば、スルホネート(SO3
-)もしくはアンモニウムのような荷電置換基またはPEGのようなポリマーは、試薬の水溶解度を増加させ、リンカー試薬の抗原(ハプテン)もしくは薬物部分とのカップリング反応を容易にするか、または利用された合成経路に依るカップリング反応を容易にすることができる。
本明細書において報告される非ソルターゼモチーフ部分を含むコンジュゲートは、以下のリンカー試薬:BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホEMCS、スルホGMBS、スルホKMUS、スルホMBS、スルホSIAB、スルホSMCC、およびスルホSMPB、およびSVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)、ならびにPierce Biotechnology,Incより市販されているビスマレイミド試薬:DTME、BMB、BMDB、BMH、BMOE、BM(PEO)3、およびBM(PEO)4によって調製された複合体を明確に企図するが、これらに限定されるわけではない。ビスマレイミド試薬は、例えば、チオール基のチオール含有薬物部分、標識、またはリンカー中間体への連続的なまたは同時の付着を可能にする。例えば、チオール基と反応性であるマレイミド以外の官能基には、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネート、およびイソチオシアネートが含まれる。
例示的なリンカーには、マレイミドストレッチャーおよびパラアミノベンジルカルバモイル(PAB)自己犠牲スペーサーを有するバリンシトルリン(val-citまたはvc)ジペプチドリンカー試薬、ならびにマレイミドストレッチャー単位およびp-アミノベンジル自己犠牲スペーサーを有するphe-lys(Mtr)ジペプチドリンカー試薬が含まれる。
システインチオール基は、求核性であり、以下のものを含む、リンカー試薬および非ソルターゼモチーフ部分またはソルターゼアミノ酸配列の求電子基と共有結合を形成するよう反応することができる:(i)NHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート、および酸ハロゲン化物のような活性エステル;(ii)ハロアセトアミドのようなアルキルハロゲン化物およびベンジルハロゲン化物;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル基、およびマレイミド基;ならびに(iv)スルフィド交換を介したピリジルジスルフィドを含むジスルフィド。ハプテン化された化合物の求核基には、リンカー部分およびリンカー試薬の求電子基と共有結合を形成するよう反応することができる、アミン基、チオール基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、オキシム基、ヒドラジン基、ヒドラジンカルボキシレート基、およびアリールヒドラジド基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
2種の親油性基質のカップリング
ChCl:グリセロールおよび25%(v/v)の水性共溶媒を含むDESを、いずれも高度に親油性の2種の化合物のコンジュゲーションのために使用した。等モル(0.15mM)量の基質を利用し、反応を経時的に分析した。時間経過は図8に示される。25%水性共溶媒を含むDESにおいては39%の変換を入手することができたが、100%水性系においては、変換を検出することができなかった。
ChCl:グリセロールおよび25%(v/v)の水性共溶媒を含むDESを、いずれも高度に親油性の2種の化合物のコンジュゲーションのために使用した。等モル(0.15mM)量の基質を利用し、反応を経時的に分析した。時間経過は図8に示される。25%水性共溶媒を含むDESにおいては39%の変換を入手することができたが、100%水性系においては、変換を検出することができなかった。
グリセロールは深共融溶媒において求核剤として機能することができる
ChCl:グリセロールおよび25%(v/v)の水性共溶媒を含むDESを、いずれも高度に親油性の2種の化合物のコンジュゲーションのために使用した。
ChCl:グリセロールおよび25%(v/v)の水性共溶媒を含むDESを、いずれも高度に親油性の2種の化合物のコンジュゲーションのために使用した。
第2の予想外のライゲーション生成物が形成されることが見出された。質量分光分析は、溶媒からのグリセロールによるソルターゼ中間体からの反応生成物(LCRed640-LPET-ソルターゼ)の存在を明らかにした。この高度の混乱は、求核剤の基質スペクトルが極めて狭く(Kruger,R.G.,et al.,Anal.Biochem.326(2004)42-48;Baer,S.,et al.,Org.Biomol.Chem.12(2014)2675-2685)、野生型Sa-SrtAによって加水分解すらほとんど観察されない(Pritz,S.(2008)"Enzymatische Ligation von Peptiden,Peptidnucleinsauren und Proteinen";Heck,T.,et al.,Bioconj.Chem.25(2014)1492-1500)という事実のため、予測されないものであった。
従って、本明細書において報告される一つの局面は、塩化コリンおよびグリセロールを含む深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含むポリペプチドを、
(iii)ソルターゼA活性を有する第2のポリペプチド
と共にインキュベートし、それによって、グリセロールにコンジュゲートされたポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドとグリセロールとの酵素的コンジュゲーションのための方法である。
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を(任意で、C末端の100アミノ酸残基内に)含むポリペプチドを、
(iii)ソルターゼA活性を有する第2のポリペプチド
と共にインキュベートし、それによって、グリセロールにコンジュゲートされたポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドとグリセロールとの酵素的コンジュゲーションのための方法である。
一つの態様において、深共融溶媒は、約25%(v/v)の水性共溶媒を含む、1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物である。
VII.組換え方法
例えばオリゴグリシンモチーフ(GG(SEQ ID NO: 28)、GGG(SEQ ID NO: 29)、GGGG(SEQ ID NO: 30)、GGGGG(SEQ ID NO: 31))などの求核性アミノ酸配列をN末端に含む任意のポリペプチドドメイン(例えば、scFv、scFab、もしくはdarpinのような単鎖抗原結合ポリペプチド、またはdsFvもしくはFabのような多鎖抗原結合ポリペプチド)を、発現させ、真核細胞(例えば、HEK293細胞、CHO細胞)の上清から精製することができる。ポリペプチドが、単離されたポリペプチドであるか、それとも多量体またはヘテロマーの要素に含まれているかは、重要でない。
例えばオリゴグリシンモチーフ(GG(SEQ ID NO: 28)、GGG(SEQ ID NO: 29)、GGGG(SEQ ID NO: 30)、GGGGG(SEQ ID NO: 31))などの求核性アミノ酸配列をN末端に含む任意のポリペプチドドメイン(例えば、scFv、scFab、もしくはdarpinのような単鎖抗原結合ポリペプチド、またはdsFvもしくはFabのような多鎖抗原結合ポリペプチド)を、発現させ、真核細胞(例えば、HEK293細胞、CHO細胞)の上清から精製することができる。ポリペプチドが、単離されたポリペプチドであるか、それとも多量体またはヘテロマーの要素に含まれているかは、重要でない。
ポリペプチドをコードするベクターのクローニングまたは発現/分泌のために適当な宿主細胞には、本明細書に記載された原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、ポリペプチドは、特に、グリコシル化が必要でない時、細菌において作製され得る(例えば、大腸菌(E.coli)における抗体断片の発現を記載している、US 5,648,237、US 5,789,199、およびUS 5,840,523、Charlton,Methods in Molecular Biology 248(2003)245-254(B.K.C.Lo,(ed.),Humana Press,Totowa,NJ)を参照すること)。発現の後、ポリペプチドは、細菌細胞ペーストから可溶性画分へ単離されてもよいし、または可溶化され生理活性型へと再び折り畳まれ得る不溶性画分、いわゆる封入体から単離されてもよい。その後、ポリペプチドはさらに精製され得る。
原核生物に加えて、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的にまたは完全にヒトのグリコシル化パターンを有するポリペプチドの産生をもたらす真菌株および酵母株を含む、糸状菌または酵母のような真核微生物も、ポリペプチドをコードするベクターのための適当なクローニング宿主または発現宿主である(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22(2004)1409-1414およびLi,et al.,Nat.Biotech.24(2006)210-215を参照すること)。
グリコシル化ポリペプチドの発現のために適当な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が含まれる。具体的には、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのため、昆虫細胞と共に使用され得る多数のバキュロウイルス株が同定されている。
植物細胞培養物も宿主として利用され得る(例えば、(トランスジェニック植物における抗体の作製のためのPLANTIBODIES(商標)テクノロジーを記載している)US 5,959,177、US 6,040,498、US 6,420,548、US 7,125,978、およびUS 6,417,429を参照すること)。
脊椎動物細胞も宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中での増殖に適した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、COS-7細胞株(SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1細胞);HEK293細胞株(ヒト胎児腎臓);BHK細胞株(ベビーハムスター腎臓);TM4マウスセルトリ細胞株(例えば、Mather,Biol.Reprod.23(1980)243-251に記載されたようなTM4細胞);CV1細胞株(サル腎臓細胞);VERO-76細胞株(アフリカミドリザル腎臓細胞);HELA細胞株(ヒト子宮頚癌細胞);MDCK細胞株(イヌ腎臓細胞);BRL-3A細胞株(バッファローラット肝臓細胞);W138細胞株(ヒト肺細胞);HepG2細胞株(ヒト肝臓細胞);MMT 060562細胞株(マウス乳房腫瘍細胞);(例えば、Mather,et al.,Anal.N.Y.Acad.Sci.383(1982)44-68に記載された)TRI細胞株;MRC5細胞株;およびFS4細胞株である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR陰性CHO細胞株(例えば、Urlaub,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(1980)4216を参照すること)を含むCHO細胞株(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、ならびにY0細胞株、NS0細胞株、およびSp2/0細胞株のような骨髄腫細胞株が含まれる。ポリペプチド産生のために適当なある種の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki,and Wu,Methods in Molecular Biology,Antibody Engineering 248(2004)255-268(B.K.C.Lo,(ed.),Humana Press,Totowa,NJ)を参照すること。
以下の実施例、添付の図面、および配列は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲において示される。本発明の本旨から逸脱することなく、示された手法に修飾を施し得ることが理解される。
組換えDNA技術
Sambrook,J.et al.,Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されているような標準的な方法を、DNAを操作するために使用した。分子生物学的試薬は、製造業者の説明書に従って使用された。
Sambrook,J.et al.,Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されているような標準的な方法を、DNAを操作するために使用した。分子生物学的試薬は、製造業者の説明書に従って使用された。
遺伝子およびオリゴヌクレオチドの合成
所望の遺伝子セグメントは、Geneart GmbH(Regensburg,Germany)において、化学合成によって調製された。合成された遺伝子断片を、増大/増幅のため、大腸菌プラスミドへクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。あるいは、化学合成されたオリゴヌクレオチドのアニーリングによって、またはPCRによって、短い合成DNA断片を組み立てた。それぞれのオリゴヌクレオチドは、metabion GmbH(Planegg-Martinsried,Germany)によって調製された。
所望の遺伝子セグメントは、Geneart GmbH(Regensburg,Germany)において、化学合成によって調製された。合成された遺伝子断片を、増大/増幅のため、大腸菌プラスミドへクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。あるいは、化学合成されたオリゴヌクレオチドのアニーリングによって、またはPCRによって、短い合成DNA断片を組み立てた。それぞれのオリゴヌクレオチドは、metabion GmbH(Planegg-Martinsried,Germany)によって調製された。
基本的/標準的な哺乳動物発現プラスミドの説明
所望の遺伝子/タンパク質(例えば、全長抗体重鎖、全長抗体軽鎖、またはN末端にオリゴグリシンを含有しているFc鎖)の発現のため、以下の機能要素を含む転写単位を使用する:
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の前初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-発現させるべき遺伝子/タンパク質(例えば、黄色ブドウ球菌の短縮型ソルターゼA)、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
所望の遺伝子/タンパク質(例えば、全長抗体重鎖、全長抗体軽鎖、またはN末端にオリゴグリシンを含有しているFc鎖)の発現のため、以下の機能要素を含む転写単位を使用する:
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の前初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-発現させるべき遺伝子/タンパク質(例えば、黄色ブドウ球菌の短縮型ソルターゼA)、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
発現させるべき所望の遺伝子を含む発現単位/カセットの他に、基本的/標準的な哺乳動物発現プラスミドは、以下のものを含有している:
-大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および
-大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子。
-大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および
-大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子。
タンパク質測定
ポリペプチドのアミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmにおける光学濃度(OD)を決定することによって、精製されたポリペプチドのタンパク質濃度を決定した。
ポリペプチドのアミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmにおける光学濃度(OD)を決定することによって、精製されたポリペプチドのタンパク質濃度を決定した。
実施例1
ソルターゼAのための発現プラスミドの生成
黄色ブドウ球菌由来ソルターゼA
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼA(60~206)分子(SEQ ID NO:05のアミノ酸配列)をコードする。
ソルターゼAのための発現プラスミドの生成
黄色ブドウ球菌由来ソルターゼA
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼA(60~206)分子(SEQ ID NO:05のアミノ酸配列)をコードする。
大腸菌(E.coli)細胞におけるソルターゼの発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および選択可能マーカーとしてのURA3遺伝子、およびIPTGを使用した転写の誘導を可能にするLacI遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
HEK293細胞におけるソルターゼの一過性発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端が短縮された黄色ブドウ球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
化膿性連鎖球菌由来ソルターゼA
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼA分子(SEQ ID NO:06のアミノ酸配列)をコードする。
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼA分子(SEQ ID NO:06のアミノ酸配列)をコードする。
大腸菌細胞におけるソルターゼの発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および選択可能マーカーとしてのURA3遺伝子、およびIPTGを使用した転写の誘導を可能にするLacI遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
HEK293細胞におけるソルターゼの一過性発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端が短縮された化膿性連鎖球菌ソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
リステリア・モノサイトゲネス由来ソルターゼA
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮されたリステリア・モノサイトゲネスソルターゼA(73-222)分子(SEQ ID NO:38のアミノ酸配列)をコードする。
ソルターゼ遺伝子は、N末端が短縮されたリステリア・モノサイトゲネスソルターゼA(73-222)分子(SEQ ID NO:38のアミノ酸配列)をコードする。
大腸菌(E.coli)細胞における短縮型リステリア・モノサイトゲネスソルターゼの発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および選択可能マーカーとしてのURA3遺伝子、およびIPTGを使用した転写の誘導を可能にするLacI遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-リステリア・モノサイトゲネスソルターゼAバリアントをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
-T5プロモーター、
-精製タグ、
-リステリア・モノサイトゲネスソルターゼAバリアントをコードする核酸、ならびに
-Toおよびfdの終結配列。
HEK293細胞における短縮型ソルターゼの一過性発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。
HEK293細胞におけるソルターゼの一過性発現のための発現プラスミドは、ソルターゼ発現カセットに加えて、大腸菌におけるこのプラスミドの複製を可能にするベクターpUC18由来の複製開始点、および大腸菌にアンピシリン耐性を付与するβラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。
ソルターゼの転写単位は、以下の機能性要素を含んでいた:
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端短縮型L.モノサイトゲネスソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
-イントロンAを含むヒトサイトメガロウイルス(P-CMV)由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-ヒト重鎖免疫グロブリン5'非翻訳領域(5'UTR)、
-マウス免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
-精製タグをコードする核酸、
-N末端短縮型L.モノサイトゲネスソルターゼAをコードする核酸、ならびに
-ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGH pA)。
精製タグは、アミノ酸配列MRGSHHHHHHGS(SEQ ID NO:32)を有する。
実施例2
一過性発現および分析的特徴決定
大腸菌:
それぞれのソルターゼ発現プラスミドによって形質転換された大腸菌細胞を37℃でおよそ0.9のOD578にまで増殖させること(予備培養)によって、ソルターゼの組換え作製を実施した。このおよそ0.9のOD578で、2mM IPTGを添加し、28℃においてさらに24時間細胞を増殖させることによって、タンパク質発現を誘導した。その後、細胞を遠心分離によって採集し、ホモジナイザーを使用して高圧を介して溶解した。細胞片を除去するため、細胞溶解物を遠心分離し、その後、精製まで、低温(例えば、-80℃)で細胞溶解物を保管した。可溶性ソルターゼを、Ni-NTAクロマトグラフィ後のサイズ排除クロマトグラフィを使用して精製した。内毒素の枯渇のため、陰イオン交換クロマトグラフィをフロースルーモードで実施した。アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmでの光学濃度(OD)を測定することによって、ソルターゼ調製物のタンパク質濃度を決定した。還元剤(5mM 1,4-ジチオスレイトール)の存在下および非存在下でのSDS-PAGEならびにクーマシーブリリアントブルーによる染色によって、ソルターゼの純度および完全性を決定した。
一過性発現および分析的特徴決定
大腸菌:
それぞれのソルターゼ発現プラスミドによって形質転換された大腸菌細胞を37℃でおよそ0.9のOD578にまで増殖させること(予備培養)によって、ソルターゼの組換え作製を実施した。このおよそ0.9のOD578で、2mM IPTGを添加し、28℃においてさらに24時間細胞を増殖させることによって、タンパク質発現を誘導した。その後、細胞を遠心分離によって採集し、ホモジナイザーを使用して高圧を介して溶解した。細胞片を除去するため、細胞溶解物を遠心分離し、その後、精製まで、低温(例えば、-80℃)で細胞溶解物を保管した。可溶性ソルターゼを、Ni-NTAクロマトグラフィ後のサイズ排除クロマトグラフィを使用して精製した。内毒素の枯渇のため、陰イオン交換クロマトグラフィをフロースルーモードで実施した。アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmでの光学濃度(OD)を測定することによって、ソルターゼ調製物のタンパク質濃度を決定した。還元剤(5mM 1,4-ジチオスレイトール)の存在下および非存在下でのSDS-PAGEならびにクーマシーブリリアントブルーによる染色によって、ソルターゼの純度および完全性を決定した。
アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmでの光学濃度(OD)を測定することによって、タンパク質濃度を決定した。還元剤(5mM 1,4-ジチオスレイトール)の存在下および非存在下でのSDS-PAGEならびにクーマシーブリリアントブルーによる染色によって、純度を分析した。
HEK:
F17培地(Invitrogen Corp.)において培養されたHEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞株293由来)の一過性トランスフェクションによって、組換え作製を実施した。トランスフェクションのため、「293-Fectin」トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用した。製造業者の説明書に指定されたように、トランスフェクションを実施した。細胞培養上清をトランスフェクションの3~7日後に採集した。上清を低温(例えば、-80℃)で保管した。
F17培地(Invitrogen Corp.)において培養されたHEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞株293由来)の一過性トランスフェクションによって、組換え作製を実施した。トランスフェクションのため、「293-Fectin」トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用した。製造業者の説明書に指定されたように、トランスフェクションを実施した。細胞培養上清をトランスフェクションの3~7日後に採集した。上清を低温(例えば、-80℃)で保管した。
例えば、HEK293細胞における、ヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般情報は、Meissner,P.et al.,Biotechnol.Bioeng.75(2001)197-203に与えられる。
アミノ酸配列に基づき計算されたモル吸光係数を使用して、280nmでの光学濃度(OD)を測定することによって、タンパク質濃度を決定した。還元剤(5 mM 1,4-ジチオスレイトール)の存在下および非存在下でのSDS-PAGEならびにクーマシーブリリアントブルーによる染色によって、純度を分析した。
実施例3
深共融溶媒におけるソルターゼによって媒介されるアミド基転移
この実施例におけるDES-1は、1:2のモル比でグリセロールと混合された塩化コリンである。
深共融溶媒におけるソルターゼによって媒介されるアミド基転移
この実施例におけるDES-1は、1:2のモル比でグリセロールと混合された塩化コリンである。
基質として、以下の成分を使用した:
ソルターゼモチーフ含有化合物:LCR640-ULPETGGRRC(SEQ ID NO:45)
求核剤:GGGWW-BHQ2(SEQ ID NO:46)
ソルターゼモチーフ含有化合物:LCR640-ULPETGGRRC(SEQ ID NO:45)
求核剤:GGGWW-BHQ2(SEQ ID NO:46)
水においては低い可溶性を有するが、DESにおいては良好な可溶性を有する2種の基質を、2種の異なるソルターゼと共にインキュベートし、活性を決定した。
ソルターゼ1:可溶性黄色ブドウ球菌ソルターゼA(SEQ ID NO:05)
ソルターゼ2:可溶性リステリア・モノサイトゲネスソルターゼA(SEQ ID NO:38)
ソルターゼ1:可溶性黄色ブドウ球菌ソルターゼA(SEQ ID NO:05)
ソルターゼ2:可溶性リステリア・モノサイトゲネスソルターゼA(SEQ ID NO:38)
抽出物を、0.5mMの最終濃度で、DES-1(グリセロールおよび塩化コリン2:1)に溶解させた。1mMソルターゼ1を、50mMトリス*HCl pH7.5、150mM NaCl、および10mM CaClにおいて保管した。この2種の溶液を、19:1(v/v)で混合し、37℃で18時間インキュベートした。
反応混合物(10μl)を、LC-Ms系のVydac C18カラムへ注入し、100%緩衝液Bへの30分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。それぞれのクロマトグラムは、図1に示される。
LC-MSによる反応混合物の分析は、ピーク4にソルターゼ反応の生成物を示す。
実施例4
水性溶液におけるソルターゼによって媒介されるアミド基転移
50mMトリスpH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2中の0.5mMのポリペプチドLCR640-ULPETGGGRRC(βアラニン(U)にコンジュゲートされたLCR640フルオロフォア;SEQ ID NO:45)、LPETGソルターゼモチーフ(SEQ ID NO:04)を含むFc領域断片、1.5mMのC末端ビオチン化アミノ酸配列CAAA(SEQ ID NO:03)を有するN末端ビオチン化N末端システインを含むペプチド、および50μM黄色ブドウ球菌ソルターゼAを含む反応混合物を、37℃で18時間インキュベートした。
水性溶液におけるソルターゼによって媒介されるアミド基転移
50mMトリスpH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2中の0.5mMのポリペプチドLCR640-ULPETGGGRRC(βアラニン(U)にコンジュゲートされたLCR640フルオロフォア;SEQ ID NO:45)、LPETGソルターゼモチーフ(SEQ ID NO:04)を含むFc領域断片、1.5mMのC末端ビオチン化アミノ酸配列CAAA(SEQ ID NO:03)を有するN末端ビオチン化N末端システインを含むペプチド、および50μM黄色ブドウ球菌ソルターゼAを含む反応混合物を、37℃で18時間インキュベートした。
反応を停止させることなく分析した。
試料(10μl)を、LC-Ms系のVydac C18カラムに注入し、100%緩衝液Bへの30分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。それぞれのクロマトグラムは、図3に示される。
ポジティブイオンモードにおけるLC-ESI-TOF MSによる反応混合物の分析は、2155Daの質量を有するネイティブケミカルライゲーション反応の生成物をピーク4に示す。
実施例5
動力学的アッセイ
この実施例においては、2種の深共融溶媒を試験した。DES-1は、1:2のモル比でグリセロールと混合された塩化コリンである。DES-2は、1:3のモル比でエチレングリコールと混合された塩化コリンである。
動力学的アッセイ
この実施例においては、2種の深共融溶媒を試験した。DES-1は、1:2のモル比でグリセロールと混合された塩化コリンである。DES-2は、1:3のモル比でエチレングリコールと混合された塩化コリンである。
2種の化合物を含む混合物を、透明な均一な溶液が形成されるまで、炎で徐々に加熱し振とうした。
次いで、液体を、室温にまで冷却した。収率は定量的であり、生成物は室温より低い融点を有していた。
反応混合物を、37℃で、1時間、2時間、3時間、4時間までインキュベートした。20倍過剰の阻害緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、10mM CaCl2、5mMヨードアセトアミド)の添加によって反応を停止させた。停止した反応混合物を、5000×gで10分間遠心分離した。上清(50μL)を、200mM NaCl、10mM CaCl2、およびストレプトアビジンによってコーティングされた磁気ビーズを含む、100μLの50mMトリス緩衝液(pH7.5)に添加した。混合物を、200rpmで振とうしながら30℃で30分間インキュベートした。その後、磁気ビーズを、磁石および真空ポンプを使用して、V底マルチタイタープレートにおいて各300μLの洗浄緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、10mM CaCl2、5mg/mL BSA、0.1%トリトンX-100)によって5回洗浄した。その後、ビーズを、100μLクエン酸緩衝液(200mM、pH5.8)に再懸濁させ、そのうちの50μLを新しいウェルに移した。それに、150μLの試験緩衝液(0.2Mクエン酸ナトリウム、pH5.8、0.3g/L 4-ニトロソアニリン、1mM CaCl2、30mMグルコース)を添加した。レポーター酵素の動力学を、620nmで5分間にわたり測定した。
比較のため、同一の反応を水性緩衝液系において実施した。
結果は、図5および6に示される。
実施例6
レポーター固定化アッセイ
ソルターゼA酵素活性の決定は、欧州特許出願EP14198535に報告され、以下に概説されるようなレポーター固定化アッセイ(REIA)を使用して行われ得る。
レポーター固定化アッセイ
ソルターゼA酵素活性の決定は、欧州特許出願EP14198535に報告され、以下に概説されるようなレポーター固定化アッセイ(REIA)を使用して行われ得る。
反応混合物:
20μM当該ポリペプチド
100μM求核剤(GGGG/AAAA/CAAA)
20μM C末端ソルターゼモチーフ(LPXTG)を有するグルコース脱水素酵素
250mM MESNA
0.5mM TCEP。
20μM当該ポリペプチド
100μM求核剤(GGGG/AAAA/CAAA)
20μM C末端ソルターゼモチーフ(LPXTG)を有するグルコース脱水素酵素
250mM MESNA
0.5mM TCEP。
WO 2007/118647に記載されるように、グルコース脱水素酵素を発現させ精製する。
反応混合物を、50mMトリスHCl緩衝液pH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2において調製する。
反応混合物を、37℃で、60分までインキュベートする。60倍過剰の阻害緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、10mM CaCl2、5mMヨードアセトアミド)の添加によって、反応を停止させる。停止した反応混合物を、5000×gで10分間遠心分離する。上清(50μL)を、200mM NaCl、10mM CaCl2、およびストレプトアビジンによってコーティングされた磁気ビーズを含む、100μLの50mMトリス緩衝液(pH7.5)に添加する。混合物を、200rpmで振とうしながら、30℃で30分間インキュベートする。その後、磁気ビーズを、磁石および真空ポンプを使用して、V底マルチタイタープレートにおいて各300μLの洗浄緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、10mM CaCl2、5mg/mL BSA、0.1%トリトンX-100)によって5回洗浄する。その後、ビーズを、100μLクエン酸緩衝液に再懸濁させ、そのうちの80μLを新しいウェルに移す。それに、150μLの試験緩衝液(0.2Mクエン酸ナトリウム、pH5.8、0.3g/L 4-ニトロソアニリン、1mM CaCl2、30mMグルコース)を添加する。レポーター酵素の動力学を、620nmで5分間にわたり測定する。
シグナルの生成は、試験されたポリペプチドがソルターゼA酵素活性を有することを示す。
実施例7
異なる溶媒における反応
トリメチルアミン、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DES(ChCl:グリセロール1:2、ChCl:エチレングリコール1:3、およびChCl:2,3-ブタンジオール)および水を、溶媒として使用した。ヘキサンに加えて、(15%水、200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)が補足された溶媒。0.1mM Sa-SrtA、2mM ULPETGGRR、および4mM GGGG-PEG-ビオチンを使用した。ヘキサンの場合、Sa-SrtAを凍結乾燥させて使用した。反応物を、800rpmで37℃で6時間インキュベートし、反応ミックスに0.2M HCl 1:1(v:v)を添加することによって停止させた。20μlを、HPLC系のAeris C18カラムに注入し、2%から100%への緩衝液Bの31分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。ピークを、同一条件下でLC-MS-ESI系を使用して同定した。
異なる溶媒における反応
トリメチルアミン、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DES(ChCl:グリセロール1:2、ChCl:エチレングリコール1:3、およびChCl:2,3-ブタンジオール)および水を、溶媒として使用した。ヘキサンに加えて、(15%水、200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)が補足された溶媒。0.1mM Sa-SrtA、2mM ULPETGGRR、および4mM GGGG-PEG-ビオチンを使用した。ヘキサンの場合、Sa-SrtAを凍結乾燥させて使用した。反応物を、800rpmで37℃で6時間インキュベートし、反応ミックスに0.2M HCl 1:1(v:v)を添加することによって停止させた。20μlを、HPLC系のAeris C18カラムに注入し、2%から100%への緩衝液Bの31分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。ピークを、同一条件下でLC-MS-ESI系を使用して同定した。
実施例8
水含量の影響
(ChCl:グリセロール)DESと水(10%、20%、30%、40%、および50%)との混合物を調製し、添加剤を(200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)の最終濃度で添加した。0.05mM Sa-SrtA、0.5mM LCRed640-LPETGGRRC、および5mM GGGG-PEG-ビオチンを使用した。0.5時間後、1.5時間後、2.5時間後、6時間後、および20時間後に、反応ミックスへ0.2M HCl 1:1(v:v)を添加することによって、反応を停止させた。20μlを、HPLC系のAeris C18カラムへ注入し、2%から100%への緩衝液Bの31分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。ピークをLC-MS-ESI系を使用して同定した。保持時間:8.1分 Sort-タグ(ULPETGGRR)、8.6分 求核剤(GGGG-Peg-ビオチン)、10.2 ライゲーション生成物(ULPETGGGG-Peg-ビオチン)、および13.5分 Sa-SrtA。
水含量の影響
(ChCl:グリセロール)DESと水(10%、20%、30%、40%、および50%)との混合物を調製し、添加剤を(200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)の最終濃度で添加した。0.05mM Sa-SrtA、0.5mM LCRed640-LPETGGRRC、および5mM GGGG-PEG-ビオチンを使用した。0.5時間後、1.5時間後、2.5時間後、6時間後、および20時間後に、反応ミックスへ0.2M HCl 1:1(v:v)を添加することによって、反応を停止させた。20μlを、HPLC系のAeris C18カラムへ注入し、2%から100%への緩衝液Bの31分の直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%アセトニトリル、0.1%TFA)によって分離した。ピークをLC-MS-ESI系を使用して同定した。保持時間:8.1分 Sort-タグ(ULPETGGRR)、8.6分 求核剤(GGGG-Peg-ビオチン)、10.2 ライゲーション生成物(ULPETGGGG-Peg-ビオチン)、および13.5分 Sa-SrtA。
実施例9
2種の親油性基質のカップリング
(200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)と共にDES(ChCl:グリセロール)中に25%および100%の水を含有している緩衝液を使用し、0.15mMの両基質(LCRed640-LPETGGRRCおよびGGWWK-BHQ2)を計量した。混合物を、40℃で1時間、振とうし遠心分離した。反応を開始させるため、30μM Sa-SrtAを上清に添加し、37℃でインキュベートした。示された時点で、(20μl)をHPLC系のAeris C18カラムに注入し、8分で5%から48%へ、そして15分で48%から95%への緩衝液Bの直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%、0.1%TFA)によって分離した。ピークをLC-MS-ESI系を使用して同定した。
2種の親油性基質のカップリング
(200mM NaCl、10mM CaCl2、および50mMトリス/HCl pH7.5)と共にDES(ChCl:グリセロール)中に25%および100%の水を含有している緩衝液を使用し、0.15mMの両基質(LCRed640-LPETGGRRCおよびGGWWK-BHQ2)を計量した。混合物を、40℃で1時間、振とうし遠心分離した。反応を開始させるため、30μM Sa-SrtAを上清に添加し、37℃でインキュベートした。示された時点で、(20μl)をHPLC系のAeris C18カラムに注入し、8分で5%から48%へ、そして15分で48%から95%への緩衝液Bの直線勾配(緩衝液A(v/v):95%水、5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);緩衝液B(v/v):5%水、95%、0.1%TFA)によって分離した。ピークをLC-MS-ESI系を使用して同定した。
上記の発明は、理解を明確にするため、例示および実施例によってある程度詳細に記載されたが、説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
Claims (12)
- 深共融溶媒において、
(i)アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)を含む第1のポリペプチド、
(ii)(i)グリシニル化合物、アラニニル化合物、もしくはシステイニル化合物をN末端に有するか、または(ii)オリゴグリシンもしくはオリゴアラニンもしくはシステインアミノ酸残基に続く1~3個のグリシンもしくはアラニンアミノ酸残基をN末端に有するか、または(iii)リジンアミノ酸残基をN末端の5アミノ酸残基内に有する第2のポリペプチド、および
(iii)ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチド
をインキュベートし、それによって、ポリペプチドを作製する工程
を含む、ポリペプチドの酵素的作製のための方法。 - ソルターゼA活性を有する第3のポリペプチドが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ソルターゼAまたはリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)ソルターゼAに由来する、請求項1記載の方法。
- 2種のポリペプチドの酵素的コンジュゲーションのための、請求項1または2のいずれか一項記載の方法。
- 深共融溶媒が塩化コリンを含む、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
- 深共融溶媒が1:2のモル比の塩化コリンとグリセロールとの混合物または1:3のモル比の塩化コリンとエチレングリコールとの混合物である、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
- 深共融溶媒が水性共溶媒を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
- 深共融溶媒が最大30%の共溶媒を含む、請求項6記載の方法。
- 深共融溶媒が最大約25体積%の共溶媒を含む、請求項6~7のいずれか一項記載の方法。
- 第2のポリペプチドがN末端にアミノ酸配列GGG、AAA、CGG、CAA、KGG、またはKAAを有する、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
- 第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)をC末端に含む、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
- 第1のポリペプチドがアミノ酸配列LPETG(SEQ ID NO:04)またはLPETA(SEQ ID NO:42)をC末端に含む、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
- 第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが相互に独立に、抗体可変ドメイン、抗体重鎖Fab断片、抗体Fc領域、タグ、ならびに、アミノ酸配列LPXTG(SEQ ID NO:01、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)またはLPXTA(SEQ ID NO:41、Xは任意のアミノ酸残基であり得る)、リンカー、および非ソルターゼモチーフ部分を含むペプチドからなる群より選択される、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
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