JP3394391B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板に形成
された絶縁膜上に、シリコン膜とその上のタングステン
シリサイド膜との積層構造を有する電極又は配線を含む
半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゲ−ト電極や配線構造としてポリサイド
構造が用いられている。ポリサイド構造は、ゲ−ト酸化
膜上に不純物を含んだアモルファス又は多結晶のシリコ
ン膜を形成し、その上にタングステンなどの高融点金属
シリサイド膜を形成した積層構造である。
【0003】シリサイド中での不純物の拡散係数は、シ
リコン中での不純物の拡散係数より大きく、例えばリン
では約3桁大きい。その結果、ポリサイド構造を形成し
た後の熱処理により、アモルファス又は多結晶のシリコ
ン膜中の不純物濃度が低下し、トランジスタ動作時にゲ
−ト電極下部、すなわちゲ−ト酸化膜近傍に空乏層が生
成し、ドレイン電流が減少するなどの問題が生じる。
【0004】ポリシリコン膜からシリサイド膜への不純
物の外方拡散を抑制する手段として、以下の(1)〜
(3)のような方法が提案されている。 (1)ポリシリコン膜とシリサイド膜の間に拡散を防ぐ
ためのシリコン窒化膜を形成する方法(特開平6−23
6994号公報参照)。 (2)ゲ−ト酸化膜上にアモルファスシリコン膜と多結
晶シリコン膜を順次形成した後、不純物イオンを注入し
て熱処理し、その上に高融点金属膜を形成し、熱処理し
てポリサイド構造を形成する方法(特開平7−1472
60号公報参照)。 (3)タングステンシリサイド膜の少なくとも表面で
は、その組成式WSixのxを2.4以下にする方法
(特開平7−263674号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法では、拡
散防止膜としてシリコン窒化膜を使用しているが、シリ
コン窒化膜によりゲ−ト電極の抵抗が上昇する懸念があ
る。特にトランジスタを高速動作させたときにゲ−ト電
極のスイッチング速度が低下し、トランジスタの遅延時
間が増大するおそれがある。(2)の方法では、不純物
イオンを注入した状態では表面の多結晶シリコン膜がア
モルファス化するが、その後の熱処理で下層のアモルフ
ァスシリコンとともに多結晶化するので、現実的には不
純物の外方拡散を抑制する効果は低いと考えられる。
(3)の方法では、タングステンシリサイド膜の表面の
組成WSixのxを2.4以下にすると膜応力が増大
し、ゲート酸化膜の絶縁耐圧不良や信頼性不良が発生す
る懸念がある。
【0006】本発明はゲート電極の抵抗上昇がなく、ゲ
ート酸化膜の絶縁耐圧不良や信頼性不良も抑えながら、
ポリサイド構造の多結晶シリコン膜中の不純物の外方拡
散を抑制する方法と、その方法を適用した半導体装置を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
半導体基板に形成された絶縁膜上に、シリコン膜とその
上のタングステンシリサイド膜との積層構造を有する
ート電極又は配線を含み、そのタングステンシリサイド
膜は、その側面及び上面の組成式WSixのxが2.4
より大きく、その他の部分ではxが2.4以下となって
いる。
【0008】タングステンシリサイドWSixのxを
2.4以下にすると不純物が拡散によりタングステンシ
リサイド膜を透過する透過率が低くなることが知られて
いる。このことは、例えば特開平7−263674号公
報の図4に示されているように、x=2.4とすると7
50℃や775℃での高温酸化膜の成長時においても不
純物リンの透過率が低く、x=2.55以上では750
℃より高い温度での高温酸化膜の成長では不純物リンの
透過率が高く、殆ど抜けてしまうことが報告されてい
る。本発明ではシリサイド膜の表面を除いて、WSix
のxを2.4以下とするので、不純物の透過率が低く、
シリコン膜の不純物の外方拡散を抑えることができる。
【0009】一方、タングステンシリサイド膜のWSi
xのxと応力との関係は、図1に示されるように、xが
大きくなるほど小さくなることが明らかになった。本発
明では、シリサイド膜の表面の少なくとも1部でWSi
xのxを2.4より大きくしているので、ゲート電極の
エッジ部分の直下に加わる応力が小さくなり、応力に起
因するゲート酸化膜の絶縁耐圧不良や信頼性劣化を抑え
ることができる。
【0010】本発明の半導体装置製造方法は、次の工程
(A)から(C)を順に含んで電極又は配線を形成す
る。 (A)半導体基板に絶縁膜を形成し、その上にシリコン
膜を形成し、さらにその上に組成式WSixのxが2.
4以下のタングステンシリサイド膜を形成する工程、 (B)フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によ
り前記シリコン膜及びタングステンシリサイド膜を電極
形状又は配線形状にパターン化する工程、 (C)前記半導体基板の表面側からシリコンイオンを回
転斜めイオン注入して前記タングステンシリサイド膜の
側面及び上面の組成式WSixのxを2.4より大きく
する工程。
【0011】工程(B)と(C)の間に、半導体基板の
表面側にシリコン酸化膜を堆積させる工程と、異方性エ
ッチングによりそのシリコン酸化膜をエッチバックし、
タングステンシリサイド膜の側面の少なくとも一部が露
出する高さのシリコン酸化膜サイドウォールを形成する
工程とを追加してもよい。このように、サイドウォール
を形成を形成した後にシリコンイオンを注入することに
より、シリコンイオンがゲート電極エッジ下部に注入さ
れるのを防止してゲート酸化膜の信頼性を一層向上させ
るのに役立つ。
【0012】
【実施例】
(実施例1)図2は第1の実施例をその製造方法ととも
に表わしたものである。 (a)P型シリコン基板1を熱酸化し、ゲート酸化膜2
を厚さ60〜120Å、例えば70Åに形成する。その
上にリンを含んだ多結晶シリコン膜3aを厚さ500〜
3000Å、例えば1500Åに形成する。このリンを
含んだ多結晶シリコン膜3aを形成するには、既知の種
々の方法を利用することができる。例えば、不純物を含
まない多結晶シリコン膜をCVD法で堆積した後、リン
をイオン注入法で例えば4×1015/cm2導入する。
他の方法では、CVD反応室内にSiH4とPH3を同時
に導入することにより、in-situで多結晶シリコン膜中
にリンを導入できる。その他の方法として、多結晶シリ
コン膜を堆積した後、リンを含んだ酸化膜をその上に堆
積し、固相拡散法でリンを多結晶シリコン膜中に導入す
る方法でもよく、いずれの方法を採用してもよい。
【0013】その後、多結晶シリコン膜3a上にタング
ステンシリサイド膜4aを形成する。このときの組成式
WSixのx=2.40が好ましい。タングステンシリ
サイド膜4aの膜厚は500〜2000Å、例えば10
00Åである。タングステンシリサイド膜4aの形成方
法は、既知の種々の方法を用いることができる。例えば
SiH4とWF6を用いたLPCVD法でもよく、WSi
ターゲットを用いたスパッタ法でもよく、いずれの方法
でもよい。
【0014】(b)フォトリソグラフィー工程とエッチ
ング工程を経て、パターン化された多結晶シリコン膜
3、タングステンシリサイド膜4とする。
【0015】(c)矢印で示すように、Siイオンを回
転斜めイオン注入する。注入量は例えば3×1015/c
2、注入エネルギーは例えば40keVである。この
とき、斜め角度は、例えば20°が適当である。Siイ
オンの注入によりシリコン基板1の表面にアモルファス
シリコン層5、多結晶シリコン膜3の側壁部分にアモル
ファスシリコン層6、タングステンシリサイド膜4の側
壁及び上面にWSixのxが2.40より大きい層7が
形成される。
【0016】図2(c)で示されるMOSトランジスタ
構造が本発明の半導体装置の第1の実施例である。図2
の工程(b)でのエッチング工程では、ゲート電極から
露出したゲート酸化膜2をパターン化せずに残している
が、タングステンシリサイド膜4a、多結晶シリコン膜
3aをパターン化する際に同時にパターン化してもよ
い。
【0017】(実施例2)図3は第2の実施例をその製
造方法とともに表わしたものである。 (a),(b)図2の実施例と同じ工程(a),(b)を経
て、パターン化された多結晶シリコン膜3とタングステ
ンシリサイド膜4をもつポリサイドゲート電極を形成す
る。
【0018】(c)ゲート電極上から基板上全面にシリ
コン酸化膜8aを堆積させる。シリコン酸化膜8aの膜
厚は500〜3000Å、例えば1500Åである。シ
リコン酸化膜8aを形成する方法は、LPCVD法が一
般的であるが、その他の方法でもよい。
【0019】(d)続いて、異方性エッチングにて、シ
リコン酸化膜8aをエッチバックし、多結晶シリコン膜
3とタングステンシリサイド膜4の側面に接するよう
に、シリコン酸化膜サイドウォール8を形成する。この
とき、異方性エッチングはシリサイド膜4の側面の少な
くとも一部が露出するまで行なう。
【0020】(e)矢印で示すように、Siイオンを回
転斜めイオン注入する。注入量は例えば3×1015/c
2、注入エネルギーは例えば40keVである。この
とき、斜め角度は、例えば20°が適当である。Siイ
オンの注入によりシリコン基板1の表面にアモルファス
シリコン層5、多結晶シリコン膜3の側壁部分にアモル
ファスシリコン層6、タングステンシリサイド膜4の側
壁及び上面にWSixのxが2.40より大きい層7が
形成される。
【0021】図3(e)で示されるMOSトランジスタ
構造が本発明の半導体装置の第2の実施例である。図3
の実施例では、シリコンイオン注入前にサイドウォール
8を形成することにより、シリコンイオンがゲート電極
エッジ部Xのゲート酸化膜2に注入されるのを防止し、
ゲート酸化膜2の信頼性を向上させることができる。
【0022】サイドウォール8はまた、LDD(Lightl
y Doped Drain)構造を形成するためのサイドウォール
として使用することもできる。その場合、図3の工程
(c)でシリコン酸化膜8aを形成する前に、低濃度拡
散層を形成するための不純物イオン注入を行ない、工程
(d)でエッチバックを施してサイドウォール8を形成
した後に、工程(e)のシリコンイオン回転斜め注入
と、ソース・ドレインの高濃度拡散層を形成するための
不純物イオン注入を順次行なうことにより、LDD構造
を形成することができる。
【0023】図2、図3の実施例で、多結晶シリコン膜
3aの代りにアモルファスシリコン膜を用いてもよい。
図2、図3の実施例は本発明をゲート電極に適用した場
合を例示しているが、同様にしてポリサイド配線に適用
することもできる。
【0024】
【発明の効果】本発明の半導体装置では、ゲート電極又
は配線のポリサイド構造のタングステンシリサイド膜
は、その側面及び上面の組成式WSixのxが2.4よ
り大きく、その他の部分ではWSixのxが2.4以下
となっている。そのため、不純物が拡散によりタングス
テンシリサイド膜を透過する透過率が低くなり、シリコ
ン膜の不純物の外方拡散を抑えることができる。そし
て、シリサイド膜の側面及び上面でWSixのxを2.
4より大きくしているので、ゲート電極のエッジ部分の
直下に加わる応力が小さくなり、応力に起因するゲート
酸化膜の絶縁耐圧不良や信頼性劣化を抑えることができ
る。また、ポリサイド構造にシリコン窒化膜などの絶縁
体を用いる必要がないので、ゲート電極の抵抗が上昇す
ることもない。本発明の製造方法ではシリコン膜とシリ
サイド膜との積層構造を有する電極又は配線に、回転イ
オン注入によりシリコンを導入するので、シリサイド膜
側面及び上面にWSixのxが2.4より大きくなる
膜を効果的に形成することができる。回転イオン注入に
先立ち、シリサイド膜の側面の少なくとも下部を被う
うなサイドウォールを形成すれば、シリコンイオンがゲ
ート電極エッジ下部に注入されるのを防止し、ゲート酸
化膜中にシリコンイオンが注入されるのも防止してゲー
ト酸化膜の信頼性を更に向上させることができる。回転
イオン注入によりシリコンを導入するので、ポリサイド
構造以外の領域の半導体基板表面がアモルファスシリコ
ンとなり、後にMOSトランジスタの拡散領域形成のた
めの高濃度不純物イオン注入の際に注入深さが浅くな
り、拡散深さが浅くなるので、トランジスタのショート
チャネル効果を抑制する働きもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】タングステンシリサイドの組成WSixにおけ
るxと応力の関係を示す図である。
【図2】第1の実施例を製造方法とともに示す工程断面
図である。
【図3】第2の実施例を製造方法とともに示す工程断面
図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 ゲート酸化膜 3 多結晶シリコン膜 4 タングステンシリサイド膜 5,6 アモルファスシリコン層 7 WSixのxが2.40より大きいタングステ
ンシリサイド層 8 シリコン酸化膜サイドウォール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 29/49 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/78 H01L 21/28 301 H01L 21/3205 H01L 21/336 H01L 29/423 H01L 29/49

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板に形成された絶縁膜上に、シ
    リコン膜とその上のタングステンシリサイド膜との積層
    構造を有するゲート電極又は配線を含む半導体装置にお
    いて、 前記タングステンシリサイド膜は、その側面及び上面の
    組成式WSixのxが2.4より大きく、その他の部分
    ではxが2.4以下となっていることを特徴とする半導
    体装置。
  2. 【請求項2】 次の工程(A)から(C)を順に含んで
    ゲート電極又は配線を形成することを特徴とする半導体
    装置の製造方法。 (A)半導体基板に絶縁膜を形成し、その上にシリコン
    膜を形成し、さらにその上に組成式WSixのxが2.
    4以下のタングステンシリサイド膜を形成する工程、 (B)フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によ
    り前記シリコン膜及びタングステンシリサイド膜を電極
    形状又は配線形状にパターン化する工程、 (C)前記半導体基板の表面側からシリコンイオンを回
    転斜めイオン注入して前記タングステンシリサイド膜の
    側面及び上面の組成式WSixのxを2.4より大きく
    する工程。
  3. 【請求項3】 次の工程(A)から(E)を順に含んで
    ゲート電極又は配線を形成することを特徴とする半導体
    装置の製造方法。 (A)半導体基板に絶縁膜を形成し、その上にシリコン
    膜を形成し、さらにその上に組成式WSixのxが2.
    4以下のタングステンシリサイド膜を形成する工程、 (B)フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によ
    り前記シリコン膜及びタングステンシリサイド膜を電極
    形状又は配線形状にパターン化する工程、 (C)前記半導体基板の表面側にシリコン酸化膜を堆積
    させる工程、 (D)異方性エッチングにより前記シリコン酸化膜をエ
    ッチバックし、前記タングステンシリサイド膜の側面の
    少なくとも一部が露出する高さのシリコン酸化膜サイド
    ウォールを形成する工程、 (E)前記半導体基板の表面側からシリコンイオンを回
    転斜めイオン注入して前記タングステンシリサイド膜の
    側面及び上面の組成式WSixのxを2.4より大きく
    する工程。
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