JP3393378B2 - 高融点超合金とその製造方法 - Google Patents

高融点超合金とその製造方法

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JP3393378B2 JP2000061161A JP2000061161A JP3393378B2 JP 3393378 B2 JP3393378 B2 JP 3393378B2 JP 2000061161 A JP2000061161 A JP 2000061161A JP 2000061161 A JP2000061161 A JP 2000061161A JP 3393378 B2 JP3393378 B2 JP 3393378B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、高融点超
合金に関するものである。さらに詳しくは、この出願の
発明は、発電用ガスタービン、ジェットエンジン、ロケ
ットエンジンなどの高温機器等の材料として有用な、高
温強度とともに延性も良好なものとした新しい高融点超
合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】発電用ガスタービン、ジェッ
トエンジン、ロケットエンジンなどの高温機器に用いら
れるタービンブレードやタービンベーンは高温・高応力
下で使用される。従来、これらタービンブレードやター
ビンベーンには、高い耐熱性を有し、高温強度にも優れ
たNi基超合金が適用されているが、その使用温度は年
々過酷になってきている。それと言うのも、燃焼ガス温
度を高めることが、高温機器の出力及び熱効率をさらに
高めるのに最も効果的な対応だからである。したがっ
て、タービンブレードやタービンベーンには、高温強度
を改善することが望まれ、これはとりもなおさず、ター
ビンブレードやタービンベーンに適用される材料の高温
強度の改善が必要不可欠であることを意味する。Ni基
超合金の実質的な強度を有する耐用温度はおよそ110
0℃である。この温度以上においても使用可能で、しか
もそれを比較的安価に実現することのできる新しい材料
が開発されれば、実用上きわめて有望である。
【0003】高温強度に優れたNi基超合金について
は、これまでにも、耐酸化性、耐腐食性等の向上のため
に様々な検討が行われてきており、たとえばこの出願の
発明者らによっても、0.1〜5原子%のイリジウム
(Ir)を添加して、γ相およびγ′相中にイリジウム
が固溶して固溶強化されたNi基超合金によって、高温
強度とともに、耐高温腐食性を改善することが提案され
ている(特開平10−183281号公報)。
【0004】一方、この出願の発明者らは、高い耐用温
度の高温強度特性と優れた耐酸化特性を有する合金とし
てイリジウム、ロジウム、またはこれらの混合物に、ニ
オブ、タンタル、チタン、アルミニウム等を添加してF
CC構造とLl構造との二つの結晶構造を持つ高融点
合金もすでに提案している(特開平8−311584号
公報)。しかしながら、これらの高融点合金は、強度の
向上とともにどうしても延性が低下し、実用耐熱材料と
しては課題が残されていた。
【0005】また、このようなイリジウム基合金、ロジ
ウム基合金については、その原料価格が高く、汎用性の
点で難点がある。その意味でも、比較的安価で取扱いや
すいNi基超合金には利点がある。だが、従来のNi基
超耐熱合金の場合には、融点である1300℃を超えて
の利用は不可能である。
【0006】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、高温機器の出力及び熱効率を
さらに向上させることのできる、高温強度とともに延性
の点においても従来のNi基超合金を上回る特性を有
し、これを比較的安価に実現することも可能な、新しい
高融点超合金を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明の発明者
らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を加えたとこ
ろ、融点が高く、高温で高強度を持ち、また、耐酸化性
に優れたイリジウム基超合金(融点2447℃)又はロ
ジウム基超合金(融点1960℃)と、これらに比べ軽
量で延性に優れ、安価でもあるニッケル、又はニッケル
基合金(密度8.9g/cm(cf.イリジウム基超
合金:22.4g/cm、ロジウム基超合金:12.
44g/cm))を添加配合、又は混合し、溶製する
ことにより、組織中にfcc相及びLl相の両相が形
成され、fcc構造を持つ母相中にLl構造を持つ析
出物が整合析出した超合金が得られ、これらの超合金
は、高温強度及び耐酸化性に優れるばかりでなく、比較
的軽量で、延性をも有することを見出し、この出願の発
明を完成した。
【0008】すなわち、この出願の発明は、第1には、
組成が、 <A>ニッケル:5〜65原子% <B>ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種
以上の金属:5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
30〜75原子%からなり、かつ、母相のfcc相中に
L12相が析出される範囲であって、L12相の体積が2
0〜80%であることを特徴とする高融点超合金を提供
する。
【0009】また、第2には、この出願の発明は、前記
組成について、 20原子% ≦ <A>+<B> ≧ 70原子% である高融点超合金を提供し、第3には、成分<C>が
イリジウムの場合、その原子比が 0.3 ≦ <A>/<B> ≦ 8 である高融点超合金を、第4には、成分<C>がロジウ
ムである場合、その原子比が 0.25 ≦ <A>/<B> ≦ 12 である高融点超合金を提供する。
【0010】さらにこの出願の発明は、第5には、組成
、 <A>ニッケル:4〜86原子% <B>ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種
以上の金属:0.5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
4〜86原子% <D>アルミニウム:0.4〜20原子%からなり、か
、母相のfcc相中にL12相が析出される範囲であ
って、L12相の体積が20〜80%である高融点超合
金を提供し、第6には、この組成について、 <A>+<B> ≧ 75原子% <B>+<D> ≦ 25原子% である高融点超合金を提供する。
【0011】またこの出願の発明は、第7には、高融点
超合金の製造方法として、イリジウムをベースに、チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、
及びタンタルからなる金属群から選択される1種以上の
金属を添加したイリジウム基超合金と、ロジウムをベー
スに前記金属群から選択される1種以上の金属を添加し
たロジウム基超合金の少なくともいずれか一方に、ニッ
ケルを添加配合して溶製し、高融点超合金を製造するこ
とを特徴とする高融点超合金の製造方法を提供する。
【0012】さらにこの出願の発明は、第8には、高融
点超合金の製造方法として、イイリジウムをベースに
オブ、及びタンタルからなる金属群から選択される1種
以上の金属を添加したイリジウム基超合金と、ロジウム
をベースに前記金属群から選択される1種以上の金属を
添加したロジウム基超合金の少なくともいずれか一方
に、ニッケルをベースとし前記金属群から選択される1
種以上の金属、もしくはアルミニウムを添加したニッケ
ル記号金を混合して溶製し、高融点超合金を製造するこ
とを特徴とする高融点超合金の製造方法を提供する。加
えてこの出願の発明は、第9には、上記発明の方法にお
いて、溶製後に、1200〜1800℃で168時間ま
での熱処理を行うことを特徴とする高融点超合金の製造
方法をも提供する。
【0013】以下、この出願の発明の高融点超合金とそ
の製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願の発明に係わる高融点超
合金は、前記のとおりの特徴をもつものであるが、その
基本は、 <A>ニッケル:5〜65原子% <B>ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種
以上の金属:5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
30〜75原子%からなり、かつ、母相のfcc相中に
L12相が析出される範囲であって、L12相の体積が2
0〜80%であることを特徴としている
【0015】この組成においては、製造時の原料や製造
工程において混入される不可避的不純物の存在が許容さ
れてよいことは言うまでもない。組成における残部とし
ての成分<C>イリジウムまたはロジウム、もしくはそ
の両者の割合は、実質的には30〜75原子%となる。
そして、この発明の高融点超合金においては、前記成分
<A><B><C>が上記の原子%範囲外にある場合に
は、この発明の超合金の組成構成として欠かせない 1)fcc構造を持つ母相中にLl構造を持つ析出物
が析出していること、そしてさらには、 2)Ll構造を持つ析出相は、20〜80体積%を占
めていること との要件が満たされないため、所要の高温強度ととも
に、期待される延性の向上効果は得られないことにな
る。
【0016】なかでも、この発明においては、高温強度
とともに延性の向上を図るためには、前記組成成分<A
><B><C>について、成分<A>と成分<B>との
和が20〜70原子%の範囲にあること、また、成分<
C>がイリジウム(Ir)の場合、原子比が、 0.3≦<A>/<B>≦8 であり、成分<C>がロジウムの場合、原子比 0.25≦<A>/<B>≦12 とすることが望ましい。
【0017】また、成分<B>のチタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、バナジウム、ニオブおよびタンタルに
ついては、なかでも、ニオブ、タンタル、チタンがより
好適なものとして挙げられる。これらの高融点超合金
は、所定の組成となるように合金構成元素材料を混合し
て溶製することや、より実際的には、イリジウムをベー
スに、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、及びタンタルからなる金属群から選択され
る1種以上の金属を5〜20原子%添加したイリジウム
基超合金と、ロジウムをベースに前記金属群から選択さ
れる1種以上の金属を添加したロジウム基超合金の少な
くともいずれか一方に、ニッケルを添加配合し、溶製す
ることにより製造される。
【0018】また、これらの高融点超合金は、イリジウ
ムをベースに、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バ
ナジウム、ニオブ、及びタンタルからなる金属群から選
択される1種以上の金属を添加したイリジウム基超合金
と、ロジウムをベースに前記金属群から選択される1種
以上の金属を添加したロジウム基超合金の少なくともい
ずれか一方に、ニッケルをベースとして前記金属群から
選択される1種以上の金属を添加したニッケル基合金を
混合し、溶製することによっても製造される。
【0019】そして、この出願の発明では、さらにアル
ミニウムが成分として添加されてもよい。この場合に
は、前記のとおり、 <A>ニッケル:4〜86原子% <B>チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種以
上の金属:0.5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
4〜86原子% <D>アルミニウム:0.4〜20原子% の組成とし、<A><B><C><D>の和は100原
子%となるようにしている。
【0020】なかでも、 <A>+<C> ≧ 75原子% <B>+<D> ≦ 25原子% であることがより好ましい。このアルミニウムを添加し
た合金は、四元素の新しいNi系高融点超合金の可能性
を拓くものである。
【0021】このアルミニウムを含有する合金の製造に
際しては、前記のニッケル基合金として、現在耐熱材料
として高温機器に適用されているニッケル−アルミニウ
ム(Ni−Al)合金が用いられてよい。製造方法にお
いての溶製は、その方式に特に制限はない。たとえば、
アーク溶解、及びその後に行われる組成を均一化する均
一化処理を一例として例示することができる。均一化処
理は、熱処理として行われるが、fcc相中でのLl
相の析出を整合のあるもの(整合析出)とするために
は、1800℃程度までの高温熱処理が好適である。
【0022】これらの製造方法により製造されるこの出
願の発明の高融点超合金は、上記の通りに、組織中にf
cc相及びLl相の両相を有し、これら両相の形成に
より十分な強度が確保される。また、超合金における各
金属成分の組成比が大きな因子と考えられるが、fcc
構造を持つ母相中にLl構造を持つ析出物が整合析出
した二相整合組織が形成される。ここで、二相整合組織
とは、隣接する結晶格子の並びが途切れずに連続してい
る組織を言う。二相整合組織が形成されると、単にfc
c相及びLl相の二相からなる超合金よりも強度が増
大する。母相と析出物の間の整合界面が転位の移動を妨
げるのがその原因ではないかと考えられる。このような
二相整合組織は、前記の製造方法において、原料とし
て、イリジウム基超合金とロジウム基超合金の少なくと
も一方と、ニッケル基合金を用い、しかもそれぞれがf
cc相とLl相との二相整合組織を持つ場合により確
実に形成される。
【0023】fcc相及びLl相は、必ずしも各々が
構成物質の種類において1種類ずつである必要はない。
この出願の発明の高融点超合金は、上記の通りの多元合
金であるため、存在濃度の異なる数種類のfcc相とL
相が混在することも可能である。これらfcc相及
びLl相の両相が形成した組織において、Ll
は、体積率で20〜80%とするのが好ましい。下限を
下回る場合には強度の低下が見られる。一方、上限はこ
れを上回っても構わないが、そのような超合金を作製す
るのはかなり難しくなる。
【0024】そして、この出願の発明の高融点超合金
は、前記の製造方法において、イリジウム基超合金、ロ
ジウム基超合金、そしてニッケルまたはニッケル基合金
を原料として用いる場合には、用いる場合のイリジウム
基超合金又はロジウム基超合金と、ニッケル又はニッケ
ル基合金の特性をそれぞれ独立して発現することができ
る。つまり、この出願の発明の高融点超合金は、イリジ
ウム基超合金やロジウム基超合金が持つ高融点、高温高
強度、及び優れた耐酸化性とともに、ニッケル又はニッ
ケル基合金が持つ軽量かつ優れた延性を全て示すのであ
る。また、ニッケル又はニッケル基合金の存在によって
この出願の発明の高融点超合金は、比較的安価ともな
る。
【0025】イリジウム基超合金又はロジウム基超合金
それ自体の原子%に換算して含有量が50原子%以下を
含む高融点超合金は、軽量であり、タービンブレード等
の回転部材として有効と考えられ、一方、含有量がそれ
よりも多い場合には、より高温で使用される部材への適
用が有望視される。次にこの出願の発明の高融点超合金
とその製造方法の実施例を示す。
【0026】
【実施例】(実施例1)イリジウム−15ニオブ(Ir
−15at%Nb)合金及びニッケル(Ni)を配合
し、真空炉中でアルゴン雰囲気下にアーク溶解して、表
1に示した組成を有するA、B、C、及びDの4種類の
超合金(インゴット)を製造した。
【0027】
【表1】
【0028】このインゴットから高さ6mm、直径3m
mの供試片を切り出し、これを、5×10−7torr
の真空炉内で1300℃、1週間の時効処理を行った。
そして、供試片に形成した相をX線回折分析(XRD)
及びエネルギー分散型X線分析器(EDAX)で決定し
た。その結果、表1の超合金A及びBは、fcc相及び
Ll相の二相のみからなる組織を有していた。特に、
超合金Aには、fcc構造を持つ母相中にLl構造を
持つ析出物が整合析出した二相整合組織が形成されてい
た。fcc相はIrからなり、Ll相はIrNbか
らなっていた。また、これらいずれにもNiが固溶して
いた。一方、超合金C及びDは、上記二相の他に、斜方
晶系に属するδ相((Ir,Ni)11Nb)が第三
の相として確認された。なお、いずれの超合金において
もLl構造を持つIrNbは、体積率で20〜80
%の範囲内に収まっていた。また、Ll相はfcc相
中に析出していた。
【0029】図1a〜dは、各々、供試片の光学顕微鏡
写真である。超合金Aでは樹枝状組織(図1a)が、超
合金B、C、及びDでは微細組織(図1b、c、及び
d)が形成している。また、Niの配合量が増加するに
したがって組織が厚く、粗くなっていることも確認され
る。そして、上記供試材について、圧縮試験(大気中、
応力速度3.0×10−4−1)を室温から1200
℃までにおいて行った。その結果を示したのが図2のグ
ラフである。
【0030】この図2のグラフから明らかなように、超
合金Aの圧縮強度は、室温ではIr−15at%Nbの
ほぼ2倍であり、1200℃ではIr−15at%Nb
と同等である。超合金B、C、及びDの圧縮強度は、室
温及び1200℃ともにIr−15at%Nbの圧縮強
度を下回る。だが、いずれの超合金の圧縮強度も、高温
機器に適用されていたNi基超合金よりは高い。
【0031】また、いずれの超合金においてもNiの添
加により延性が改善されている。特に、超合金Bは、お
よそ13%であり、Ir−15at%Nbの延性をはる
かに凌いでいる。Ir−15at%Nb合金よりも実用
性が高いと認められる。しかもNiは、Irは一部置換
するため、超合金中のIr量を低減することができ、低
価格化が図られる。この点においても実用性の高さが確
認される。 (実施例2)イリジウム基超合金としてイリジウム−2
0ニオブ(Ir−20at%Nb)合金及びイリジウム
−20タンタル(Ir−20at%Ta)合金を、ま
た、ニッケル基合金としてニッケル−16.8アルミニ
ウム(Ni−16.8at%Al)合金を選択し た。
これらイリジウム基超合金及びニッケル基合金の比率を
Ir基超合 金:Ni基超合金=25:75(A群)、
50:50(B群)、75:25(C群)とし、合計6
種類の以下の表2に示す組成の4元合金をアルゴン雰囲
気中でアーク溶解により作製した。
【0032】
【表2】
【0033】これら6種類の4元合金について、実施例
1と同様の相決定及び組織観察を行った。その結果、A
群及びC群の4種類の超合金には、fcc相((Ir,
Ni))と2種類のLl相((Ni,Ir)(A
l,Nb)及び(Ir,Ni)(Nb,Al)、又は
(Ni,Ir)(Al,Ta)及び(Ir,Ni)
(Ta,Al))からなる二相整合組織が形成してい
た。一方、B群の2種類の超合金では、A群及びC群の
超合金と同じfcc相と2種類のLI相による二相整
合組織が形成されていたが、B2相((Ir,Ni)
(Al,Nb)又は(Ir,Ni)(Al,Ta))が
他に認められた。
【0034】なお、上記組成式において、たとえば、
(Ni,Ir)(Al,Nb)は、Ir及びNbを含
有するNiAlで、IrがNiを、また、NbがAl
をそれぞれ一部置換していることを意味している。他の
組成式も同様の標記方式を採用している。図3a〜c
は、各々、A群、B群、及びC群に属するIr−Nb−
Ni−Al4元合金の組織を示した二次電子像である。
【0035】超合金Aでは、fcc相、及びIr及びN
bを含むNiAlの第1のLl相が観察された。超
合金B及びCでは、より大きなLl相が析出してい
る。B2相は、上記の通りに、超合金Bのみに観察され
た。これら3つの超合金A〜Cでは、Ir及びNbを含
むNiAlの第1のLi相とともに、Ni及びAl
を含むIrNbの小さな第2のLl相が、fcc母
相の中に確認された。
【0036】次いで、作製した合金を真空中1300℃
及び1400℃で1週間時効処理を行い、再び、組織観
察した。1300℃の時効処理を行った超合金には、2
種類の小さな第2のLl相がfcc母相から析出し
た。超合金B及びCの相解析の結果、この第2のLl
相は、第1のLl相よりもNiを多く含んでいること
が確認された。超合金Aでは、第1のLl相には23
at%のIrが含まれていた。母相中のIr量は、超合
金のIr量に伴って増加する。一方、母相中のNb量
は、ほぼ5at%のレベルにある。1400℃の時効処
理後には、より大きな第1のLl相に加え、fcc相
中に異なる形状及びサイズの第2のLl相が多量に形
成した。また、超合金Bでは、B2相が消失した。この
ことから、超合金BにおけるB2相の融点が1400℃
であると考えられる。そして、いずれの超合金において
もLl相は、fcc相中に析出し、体積率で20〜8
0%の範囲内に収まっていた。
【0037】以上の組織観察結果は、Ir−Ta−Ni
−Al4元合金についても同様であった。次いで、上記
6種類の4元合金を1400℃に1週間加熱し、120
0℃における圧縮強度を測定した。その結果を示したの
が、図4及び図5の相関図である。
【0038】これら図4及び図5図中には、比較のため
に、従来のNi基超合金(MarM247)、及びIr
−15at%Nb、Ir−20at%Nbのイリジウム
基超合金の強度も合わせて示した。4元合金のいずれ
も、高温機器に適用されていたNi基超合金に比べ、高
い圧縮強度を示した。一方、これら4元合金の圧縮強度
は、Ir−Nbよりも低い。しかしながら、延性は、ニ
ッケル基合金の混合により、最低でも18%、最高で8
9%が得られ、改善されている。Ir−15at%Nb
よりも実用性が高いと認められる。
【0039】また、図4からは、4元合金の圧縮強度
は、イリジウム基超合金の添加成分であるNb又はTa
の添加量が多くなるにつれて増大することも確認され
る。 (実施例3)Rh85−xNb15Ni(X=10,
20,30,50)の組成を有する4つの試料をアーク
溶解により作製し、各々のインゴットから高さ6mm、
直径3mmの供試片を切り出した。この供試片には、真
空中(<10−5Pa)において1200℃、100時
間の時効処理を行った。そして、圧縮試験(大気中、応
力速度3.0×10−4−1)を20〜1200℃に
おいて行った。試験中に均一な温度分布が得られるよう
に、各供試片を炉中で12〜20分間試験温度まで加熱
し、負荷開始前に5分間その温度に保持した。圧縮強度
は、試験前後の供試材の高さの変化から算出した。
【0040】また、超合金の組織を走査電子顕微鏡(S
EM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し
た。走査電子顕微鏡観察を行った供試片については、5
%HClのエチルアルコール溶液で電子研磨した。熱処
理後の超合金の結晶構造及び相組成は、X線回折分析
(XRD)及びエネルギー分散型X線分析器(EDA
X)で決定した。
【0041】X30のRh85−xNb15Ni
合金は、fcc相と、Niを含むRhNbのLl
の二相のみからなる組織を有していた。特に、X=10
のRh75Nb 15Ni10超合金には、fcc構造を
持つ母相中にLl構造を持つ析出物が整合析出した二
相整合組織が形成されていた。一方、X=50のRh
35Nb15Ni50超合金には、斜方晶系に属する
γ″相((Ni,Rh)Nb)も確認された。Rh
Nbに含まれるNiの含有量は、Rh75Nb15Ni
10(X=10)の4.8at%からRh35Nb15
Ni50(X=50)の19.6at%までであった。
また、いずれの超合金においてもLl相は、fcc相
中に析出され、体積率で20〜80%の範囲内に収まっ
ていた。
【0042】図6は、1200℃で100時間熱処理し
た超合金の顕微鏡写真である。図6のa〜dは、各々、
Rh85−xNb15Ni(X=10,20,30,
50)の組成に対応しているが、いずれの超合金におい
ても樹枝状組織が形成している。また、これらa〜dの
比較から、実施例1と同様に、Niの配合量が増加する
にしたがって組織が粗くなっていることが確認される。
【0043】図7は、Rh85−xNb15Ni超合
金の圧縮強度及び延性をNiの含有量との関係において
示した相関図である。この図7には、比較のために、R
h−15at%Nb合金のデータも合わせて示してい
る。室温では、Niを添加した超合金は、Rh−Nb二
相合金に比べ高い圧縮強度を示す。1200℃では、R
75Nb15Ni10(X=10)が473MPa
と、Rh−Nb二相合金の圧縮強度を上回るが、Niの
含有量の増加につれて低下する。だが、いずれの超合金
の圧縮強度は、高温機器に適用されていたNi基超合金
よりは高い。
【0044】室温延性についても、Niを添加した超合
金は、Rh55Nb15Ni30(X=30)の組成に
おいてRh−Nb二相合金に匹敵するものの、これ以外
では低い値を示す。しかしながら、最低でも11%(R
75Nb15Ni10(X=10))であり、実施例
1に示したInベースの超合金以上の室温延性を有す
る。 (実施例4)実施例2において、イリジウムに代え、ロ
ジウムを超合金の構成成分に採用した他は、同様に超合
金を作製し、その相決定及び組織観察とともに、圧縮強
度及び延性を測定した。イリジウムについての実施例2
とほぼ同様に、高温機器に適用されていたNi基超合金
に比べ、高い圧縮強度を示すとともに、延性が改善され
てもいる。 (実施例5)実施例1と同様にして次の2種の組成(原
子%)の合金を製造した。
【0045】Rh50Ir25Nb15Ni10 Rh25Ir50Nb15Ni10 この2種の合金について圧縮強度(室温および1200
℃での)と室温圧縮歪みとを測定し、すでに説明したこ
の発明のRh75Nb15Ni10並びにIr75Nb
15Ni10の高融点超合金と、さらに従来のIr−N
15(Ir−15at%Nb)の合金の場合と比較
し、その結果を図8に示した。
【0046】この図8より、RhとIrをともに含有す
るこの発明の超合金においては、Ir−Nb15の二元
系合金に比べて、室温では圧縮強度が2倍程大きく、1
200℃ではほぼ同程度であること、つまり高温強度が
落ちていないことがわかる。また、室温圧縮歪みはRh
量が多くなるほど改善されていることがわかる。図9お
よび図10は、合金の破断面の観察写真と合金組織とを
示した写真であって、各々、次のものを示している。
【0047】a:Rh75Nb15Ni10 b:Rh50Ir25Nb15Ni10 c:Rh25Ir50Nb15Ni10 d:Ir75Nb15Ni10 図9からは、いずれの合金も粒内破壊を示しており、粒
界破壊を起こして脆いIr−Nb二元系合金の性質を改
善していることが確認された。
【0048】また、図10からは、いずれの場合も、第
三相が生成せずに、fcc+Llの二相組織になって
いることが確認された。もちろんこの出願の発明は、以
上の実施例によって限定されるものではない。超合金の
組成、配合割合、作製方法等の細部については様々な態
様が可能であることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、Ni基超合金を上回る特性を有し、これを
比較的安価に実現することもできる、新しい高融点超合
金が提供される。高温機器の出力及び熱効率のさらなる
向上が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】a、b、c、及びdは、各々、実施例1におけ
る供試材の組織を示した光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例1における供試材の圧縮強度及び延性を
Ir−15Nbとともに比較した棒グラフである。
【図3】a、b、及びcは、各々、実施例2におけるI
r−Nb−Ni−Al4元合金の組織を示した二次電子
像写真である。
【図4】イリジウム基超合金の比率と実施例2で作製し
た超合金の圧縮強度との相関関係を示した相関図であ
る。
【図5】イリジウム基超合金におけるニオブ又はタンタ
ルの添加量と実施例2で作製した超合金の圧縮強度との
相関関係を示した相関図である。
【図6】a、b、c、及びdは、各々、実施例3におけ
る供試材の組織を示した顕微鏡写真である。
【図7】実施例3で作製した超合金におけるニッケルの
含有量と圧縮強度及び延性との相関関係を示した相関図
である。
【図8】RhおよびIr含有のこの発明の超合金につい
て圧縮強度と室温圧縮歪みを示した図である。
【図9】この発明の超合金の破断面を示した写真であ
る。
【図10】この発明の超合金の組織を示した写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/00 651 C22F 1/00 651B 691 691B 691C (72)発明者 中沢 静夫 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科 学技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 原田 広史 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科 学技術庁金属材料技術研究所内 (56)参考文献 特開 平8−311584(JP,A) 特開 平10−183281(JP,A) 特開 昭48−22333(JP,A) 特開 昭51−30529(JP,A) 特開 昭55−47351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 5/04 C22C 19/00 - 19/05

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成が、 <A>ニッケル:5〜65原子% <B>ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種
    以上の金属:5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
    30〜75原子%からなり、かつ、母相のfcc相中に
    L12相が析出される範囲であって、L12相の体積が2
    0〜80%であることを特徴とする高融点超合金。
  2. 【請求項2】 成分<A>と成分<B>との和が20〜
    70原子%の範囲にある請求項1の高融点超合金。
  3. 【請求項3】 前記組成成分<A><B><C>につい
    て、成分<C>がイリジウムの場合、その原子比が、 0.3≦<A>/<B>≦8 であることを特徴とする請求項1または2の高融点合
    金。
  4. 【請求項4】 前記組成成分<A><B><C>につい
    て、成分<C>がロジウムの場合、原子比が、 0.25≦<A>/<B>≦12 であることを特徴とする請求項1または2の高融点合
    金。
  5. 【請求項5】 組成が、 <A>ニッケル:4〜86原子% <B>ニオブ、およびタンタルの群から選択される1種
    以上の金属:0.5〜20原子% <C>イリジウムまたはロジウム、もしくはその両者:
    4〜86原子% <D>アルミニウム:0.4〜20原子%からなり、か
    、母相のfcc相中にL12相が析出される範囲であ
    って、L12相の体積が20〜80%であることを特徴
    とする高融点超合金。
  6. 【請求項6】 前記成分<A><B><C><D>につ
    いて、 <A>+<B> ≧ 75原子% <B>+<D> ≦ 25原子% であることを特徴とする請求項5の高融点超合金
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかの高融点超
    合金の製造方法であって、イリジウムをベースにニオ
    、及びタンタルからなる金属群から選択される1種以
    上の金属を添加したイリジウム基超合金と、ロジウムを
    ベースに前記金属群から選択される1種以上の金属を添
    加したロジウム基超合金の少なくともいずれか一方に、
    ニッケルを添加配合して溶製し、高融点超合金を製造す
    ることを特徴とする高融点超合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6の高融点超合金の製造
    方法であって、イリジウムをベースにニオブ、及びタン
    タルからなる金属群から選択される1種以上の金属を添
    加したイリジウム基超合金と、ロジウムをベースに前記
    金属群から選択される1種以上の金属を添加したロジウ
    ム基超合金の少なくともいずれか一方に、ニッケルをベ
    ースとし前記金属群から選択される1種以上の金属、も
    しくはアルミニウムを添加したニッケル基合金を混合し
    て溶製し、高融点超合金を製造することを特徴とする高
    融点超合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 溶製後に、1200〜1800℃で16
    8時間までの熱処理を行うことを特徴とする請求項7ま
    たは8の高融点超合金の製造方法。
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