JP3392196B2 - 偏光フイルムの製造法 - Google Patents
偏光フイルムの製造法Info
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- polarizing
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
系樹脂偏光フイルムの製造法に関し、更に詳しくは、光
学耐久性に優れ、かつ耐熱寸法安定性にも優れたポリビ
ニルアルコール系樹脂偏光フイルムの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、卓上電子計算機、電子時計、ワー
プロ、自動車や機械類の計器類等に液晶表示装置が用い
られ、これに伴い偏光板の需要も増大している。特に、
精度な計器類には高偏光度のフイルムが要請されてい
る。 【0003】現在、知られている代表的な偏光フイルム
の一つにポリビニルアルコール系偏光フイルムがあり、
該偏光フイルムはポリビニルアルコール系フイルムにヨ
ウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものが
あり、これはポリビニルアルコールの水溶液を製膜し、
これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸
してから、好ましくはホウ素化合物で耐久化処理を行う
ことによって製造されている。そこで、上記の如き延伸
工程において、より高度の偏光性能をもつフイルムを製
造するための本出願人は、ホウ素化合物処理工程中に
4.5倍以下で一軸延伸した後、続いて2倍以下で一軸
延伸する2段延伸法を提案した。(特願平2−4176
81号) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により得られたポリビニルアルコール系偏光フイル
ムの場合、偏光性能については十分良好なものが得られ
るものの、高温時の寸法安定性についてはまだまだ改善
の余地があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる問
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化リチ
ウムを含まないポリビニルアルコール系樹脂フイルムを
製膜し、ヨウ素染料又は二色性染料で染色後ホウ素化合
物で処理して最終延伸倍率ab倍の偏光フイルムを製造
するに当たり、下記(I)式を満足するように染色或い
はそれ以前の工程において30〜70℃でa倍一軸延伸
し、更にホウ素化合物処理工程でb倍一軸延伸する場
合、偏光性能に優れ、かつ高温時の寸法安定性に優れた
偏光フイルムが得られることを見いだし本発明を完成す
るに到った。 0.1<(a−1)/(ab−1) ・・・ (I) (但し、1.2≦a≦4,b>1) 【0006】本発明のかかる効果は、上記したようにホ
ウ素化合物での処理工程より前にまず30〜70℃で一
軸延伸し、ホウ素化合物処理工程で最終延伸倍率に達す
るように一軸延伸するという、特定の延伸条件を採用す
ることによって得られるものである。以下本発明を具体
的に説明する。 【0007】本発明の偏光フイルムは、ハロゲン化リチ
ウムを含まないポリビニルアルコール系樹脂フイルムの
一軸延伸フイルムである。かかるポリビニルアルコール
は通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化
して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定され
るものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステ
ル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニ
ルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共
重合可能な成分を含有していても良い。かかるポリビニ
ルアルコールにおける平均ケン化度は85〜100モル
%、好ましくは98〜100モル%が実用的である。 【0008】本発明の効果を得るためには、平均重合度
が500〜5000のいずれであっても良いが、通常は
500〜4000が有利である。該ポリビニルアルコー
ルは、公知の方法に従って製膜される。ポリビニルアル
コールを水、有機溶剤、水/有機溶剤混合溶剤等に溶解
し流延する方法が一般的である。溶液の濃度は5〜20
重量%程度が実用的である。その他ポリビニルアルコー
ルの溶液を凝固浴中に導入してフイルム化するいわゆる
ゲル製膜法等も実施可能である。原反フイルムとしてそ
の膜厚は40〜120μが適当である。 【0009】次に、上記の原反フイルムを染色し、ホウ
素化合物処理するのであるが、該ホウ素化合物処理をす
る前に原反フイルムの延伸倍率aとホウ素化合物処理時
の延伸倍率bの関係が上記の(I)式の関係を満たすよ
うに一軸延伸しておく必要がある。換言すれば、所望さ
れる最終延伸倍率abを基にして、上記の(I)式の関
係を満たすように延伸倍率aを設定するのである。該延
伸は、染色の前後或いは染色中のいずれでもよい。該フ
イルムへのヨード染色つまり偏光素子の吸着は、フイル
ムに偏光素子を含有する液体を接触させることによって
行なわれる。通常はヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用い
られ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの
濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比
は20〜100が適当である。染色時間は30〜500
秒程度が実用的である。水溶媒以外に水と相溶性のある
有機溶媒を少量含有させても差し支えない。 【0010】接触手段としては、浸漬が好ましいが、塗
布、噴霧等の任意の手段も適用出来る。 【0011】本発明におけるホウ素化合物処理前の原反
フイルムは上記の如く一軸延伸されるのであるが、通常
aの倍率は、1.2〜4倍の範囲から選択される。本発
明においては、最終延伸倍率abと該延伸倍率aが、上
記の(I)式を満足するように延伸することを特徴とす
るもので、つまり、(I)式の値が0.1より大きいこ
とが必須条件で、好ましくは、0.15〜0.95の範
囲である。該範囲よりも、小さいと耐熱寸法安定性に劣
るようになり、逆に大きいと偏光度変化や透過率変化の
光学耐久性に劣る。該延伸処理における延伸時の温度は
30〜70℃であることが必要で、処理時間は60〜6
00秒程度が好ましく、又必要に応じて処理後前に多少
の延伸操作を行っても良い。 【0012】かかる範囲に延伸するにはロール延伸、テ
ンター延伸等の任意の方法が実施されるが、通常は前者
が行われる。ロール延伸は一段式、多段式のいずれも実
施可能である。 【0013】このように延伸及び染色処理されたフイル
ムは、次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素
化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素
化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.
5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化
カリを共存させるのが実用上望ましい。処理法は浸漬法
が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。該
ホウ素化合物処理時に該フイルムは、最終延伸倍率ab
になるまで再度延伸されて偏光フイルムとなる。該延伸
時においても、ホウ素化合物処理前の延伸方法が同様に
採用することができる。こうして得られた偏光フイルム
は、常法に従って適宜洗浄、乾燥、熱処理後その両面あ
るいは片面に光学的透明度と機械的強度に優れた保護膜
を貼合、乾燥して偏光板として使用される。保護膜とし
ては、従来から知られているセルロースアセテート系フ
イルム、アクリル系フイルム、ポリエステル系樹脂フイ
ルム、ポリオレフィン系樹脂フイルム、ポリカーボネー
ト系フイルム、ポリエーテルケトン系フイルム、ポリス
ルホン系フイルムが挙げられる。 【0014】 【作用】本発明の偏光フイルムは、特別な延伸方法によ
り製造されているため、偏光性能に優れ、かつ高温時の
寸法安定性にも優れており、かかる特性を利用して液晶
表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工業計器
類、家庭用電化製品の表示等に有用である。 【0015】 【実施例】次に実例をあげて本発明の偏光フイルムを更
に詳しく説明する。尚、本発明で言う偏光度は次式で示
される。 【0016】〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
× 100(%) 【0017】ここでH11は2枚の偏光フイルムサンプル
の重ね合わせ時において、偏光フイルムの配向方向が同
一方向になる様に重ね合わせた状態で分光光度計を用い
て測定した透過率(%)、H1は2枚のサンプルの重ね
合わせ時において、偏光フイルムの配向方向が互いに直
交する方向になる様に重ね合わせた状態で測定した透過
率(%)である。 【0018】実施例1 平均重合度1700、平均ケン化度99.5モル%のポ
リビニルアルコールを水に溶解し、5.0重量%濃度の
水溶液を得た。該液をポリエチレンテレフタレートフイ
ルム上に流延後、乾燥して膜厚60μのフイルムを得
た。このフイルムを10cm巾に切断しチャックに装着し
た。該フイルムをヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリ50
g/lよりなる水溶液中に30℃にて1.5倍に一軸延
伸し、ついでホウ酸60g/l、ヨウ化カリ30g/l
の組成の水溶液に浸漬すると共に、40〜60℃の温度
にて2.7倍(最終延伸倍率4.05倍)に一軸延伸し
た。最後に室温にて24時間乾燥させて本発明の偏光フ
イルムを得た。該偏光フイルムの偏光性能を測定するた
めに、該フイルムの両面にアクリル系接着剤を介して膜
厚80μのトリアセチルセルロースフイルムを貼着し5
0℃で乾燥して偏光板を得た。 【0019】この偏光板の偏光度は99.8%、単体透
過率は41.5%であった。更に、該偏光板を70℃9
0%RHの条件下に20日間放置した後に同様の測定を
行ったところ、偏光度は99.5%、単体透過率は4
1.8%で、偏光度変化は−0.3%、単体透過率変化
は0.3%であった。また、該偏光フイルム(MD×T
D=180mm×25mm)を105℃(ドライ)で2
時間放置してMD方向の寸法変化率を測定したところ−
1.1%であった。 【0020】実施例2〜5及び比較例1〜3 ホウ素化合物処理前の延伸条件及びホウ素化合物処理時
の延伸条件を表1のごとく変化させて、実施例1に準じ
て偏光フイルムを作製して同様に評価を行った。但し、
実施例3では、染色処理工程前にa倍の延伸処理を行
い、実施例4では、染色処理工程後にa倍の延伸処理を
行った。又、実施例4、5では平均重合度3800のポ
リビニルアルコールを用いた。評価結果を表2に示す。 【0021】 【表1】 延伸倍率a 延伸倍率b 最終延伸倍率ab (a-1)/(ab-1)の値 実施例1 1.5 2.7 4.05 0.16 〃 2 2.0 2.0 4.00 0.33 〃 3 3.8 1.05 3.99 0.94 〃 4 2.5 1.6 4.00 0.50 〃 5 2.2 1.6 3.52 0.47 比較例1 1.2 3.3 3.96 0.07 〃 2 1.4 4.3 6.02 0.08 〃 3 1.1 3.0 3.30 0.04 【0022】 【表2】 偏 光 性 能* 寸法変化率 偏光度変化(%) 透過率変化(%) (%) 実施例1 −0.3 0.3 −1.1 〃 2 −0.2 0.3 −0.7 〃 3 −0.2 0.3 −0.6 〃 4 −0.1 0.2 −0.8 〃 5 −0.1 0.2 −0.6 比較例1 −2.0 4.0 −2.1 〃 2 −2.0 4.0 −2.4 〃 3 −1.7 3.9 −1.9 *湿熱処理後の測定値(%)−処理前の測定値(%)の
差(%)を表す。 【0023】 【発明の効果】本発明の偏光フイルムは、特別な延伸方
法により製造されているため、偏光性能に優れ、かつ高
温時の寸法安定性にも優れており、かかる特性を利用し
て液晶表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工
業計器類、家庭用電化製品の表示等に有用である。
系樹脂偏光フイルムの製造法に関し、更に詳しくは、光
学耐久性に優れ、かつ耐熱寸法安定性にも優れたポリビ
ニルアルコール系樹脂偏光フイルムの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、卓上電子計算機、電子時計、ワー
プロ、自動車や機械類の計器類等に液晶表示装置が用い
られ、これに伴い偏光板の需要も増大している。特に、
精度な計器類には高偏光度のフイルムが要請されてい
る。 【0003】現在、知られている代表的な偏光フイルム
の一つにポリビニルアルコール系偏光フイルムがあり、
該偏光フイルムはポリビニルアルコール系フイルムにヨ
ウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものが
あり、これはポリビニルアルコールの水溶液を製膜し、
これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸
してから、好ましくはホウ素化合物で耐久化処理を行う
ことによって製造されている。そこで、上記の如き延伸
工程において、より高度の偏光性能をもつフイルムを製
造するための本出願人は、ホウ素化合物処理工程中に
4.5倍以下で一軸延伸した後、続いて2倍以下で一軸
延伸する2段延伸法を提案した。(特願平2−4176
81号) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により得られたポリビニルアルコール系偏光フイル
ムの場合、偏光性能については十分良好なものが得られ
るものの、高温時の寸法安定性についてはまだまだ改善
の余地があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる問
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化リチ
ウムを含まないポリビニルアルコール系樹脂フイルムを
製膜し、ヨウ素染料又は二色性染料で染色後ホウ素化合
物で処理して最終延伸倍率ab倍の偏光フイルムを製造
するに当たり、下記(I)式を満足するように染色或い
はそれ以前の工程において30〜70℃でa倍一軸延伸
し、更にホウ素化合物処理工程でb倍一軸延伸する場
合、偏光性能に優れ、かつ高温時の寸法安定性に優れた
偏光フイルムが得られることを見いだし本発明を完成す
るに到った。 0.1<(a−1)/(ab−1) ・・・ (I) (但し、1.2≦a≦4,b>1) 【0006】本発明のかかる効果は、上記したようにホ
ウ素化合物での処理工程より前にまず30〜70℃で一
軸延伸し、ホウ素化合物処理工程で最終延伸倍率に達す
るように一軸延伸するという、特定の延伸条件を採用す
ることによって得られるものである。以下本発明を具体
的に説明する。 【0007】本発明の偏光フイルムは、ハロゲン化リチ
ウムを含まないポリビニルアルコール系樹脂フイルムの
一軸延伸フイルムである。かかるポリビニルアルコール
は通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化
して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定され
るものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステ
ル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニ
ルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共
重合可能な成分を含有していても良い。かかるポリビニ
ルアルコールにおける平均ケン化度は85〜100モル
%、好ましくは98〜100モル%が実用的である。 【0008】本発明の効果を得るためには、平均重合度
が500〜5000のいずれであっても良いが、通常は
500〜4000が有利である。該ポリビニルアルコー
ルは、公知の方法に従って製膜される。ポリビニルアル
コールを水、有機溶剤、水/有機溶剤混合溶剤等に溶解
し流延する方法が一般的である。溶液の濃度は5〜20
重量%程度が実用的である。その他ポリビニルアルコー
ルの溶液を凝固浴中に導入してフイルム化するいわゆる
ゲル製膜法等も実施可能である。原反フイルムとしてそ
の膜厚は40〜120μが適当である。 【0009】次に、上記の原反フイルムを染色し、ホウ
素化合物処理するのであるが、該ホウ素化合物処理をす
る前に原反フイルムの延伸倍率aとホウ素化合物処理時
の延伸倍率bの関係が上記の(I)式の関係を満たすよ
うに一軸延伸しておく必要がある。換言すれば、所望さ
れる最終延伸倍率abを基にして、上記の(I)式の関
係を満たすように延伸倍率aを設定するのである。該延
伸は、染色の前後或いは染色中のいずれでもよい。該フ
イルムへのヨード染色つまり偏光素子の吸着は、フイル
ムに偏光素子を含有する液体を接触させることによって
行なわれる。通常はヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用い
られ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの
濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比
は20〜100が適当である。染色時間は30〜500
秒程度が実用的である。水溶媒以外に水と相溶性のある
有機溶媒を少量含有させても差し支えない。 【0010】接触手段としては、浸漬が好ましいが、塗
布、噴霧等の任意の手段も適用出来る。 【0011】本発明におけるホウ素化合物処理前の原反
フイルムは上記の如く一軸延伸されるのであるが、通常
aの倍率は、1.2〜4倍の範囲から選択される。本発
明においては、最終延伸倍率abと該延伸倍率aが、上
記の(I)式を満足するように延伸することを特徴とす
るもので、つまり、(I)式の値が0.1より大きいこ
とが必須条件で、好ましくは、0.15〜0.95の範
囲である。該範囲よりも、小さいと耐熱寸法安定性に劣
るようになり、逆に大きいと偏光度変化や透過率変化の
光学耐久性に劣る。該延伸処理における延伸時の温度は
30〜70℃であることが必要で、処理時間は60〜6
00秒程度が好ましく、又必要に応じて処理後前に多少
の延伸操作を行っても良い。 【0012】かかる範囲に延伸するにはロール延伸、テ
ンター延伸等の任意の方法が実施されるが、通常は前者
が行われる。ロール延伸は一段式、多段式のいずれも実
施可能である。 【0013】このように延伸及び染色処理されたフイル
ムは、次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素
化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素
化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.
5〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化
カリを共存させるのが実用上望ましい。処理法は浸漬法
が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。該
ホウ素化合物処理時に該フイルムは、最終延伸倍率ab
になるまで再度延伸されて偏光フイルムとなる。該延伸
時においても、ホウ素化合物処理前の延伸方法が同様に
採用することができる。こうして得られた偏光フイルム
は、常法に従って適宜洗浄、乾燥、熱処理後その両面あ
るいは片面に光学的透明度と機械的強度に優れた保護膜
を貼合、乾燥して偏光板として使用される。保護膜とし
ては、従来から知られているセルロースアセテート系フ
イルム、アクリル系フイルム、ポリエステル系樹脂フイ
ルム、ポリオレフィン系樹脂フイルム、ポリカーボネー
ト系フイルム、ポリエーテルケトン系フイルム、ポリス
ルホン系フイルムが挙げられる。 【0014】 【作用】本発明の偏光フイルムは、特別な延伸方法によ
り製造されているため、偏光性能に優れ、かつ高温時の
寸法安定性にも優れており、かかる特性を利用して液晶
表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工業計器
類、家庭用電化製品の表示等に有用である。 【0015】 【実施例】次に実例をあげて本発明の偏光フイルムを更
に詳しく説明する。尚、本発明で言う偏光度は次式で示
される。 【0016】〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
× 100(%) 【0017】ここでH11は2枚の偏光フイルムサンプル
の重ね合わせ時において、偏光フイルムの配向方向が同
一方向になる様に重ね合わせた状態で分光光度計を用い
て測定した透過率(%)、H1は2枚のサンプルの重ね
合わせ時において、偏光フイルムの配向方向が互いに直
交する方向になる様に重ね合わせた状態で測定した透過
率(%)である。 【0018】実施例1 平均重合度1700、平均ケン化度99.5モル%のポ
リビニルアルコールを水に溶解し、5.0重量%濃度の
水溶液を得た。該液をポリエチレンテレフタレートフイ
ルム上に流延後、乾燥して膜厚60μのフイルムを得
た。このフイルムを10cm巾に切断しチャックに装着し
た。該フイルムをヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリ50
g/lよりなる水溶液中に30℃にて1.5倍に一軸延
伸し、ついでホウ酸60g/l、ヨウ化カリ30g/l
の組成の水溶液に浸漬すると共に、40〜60℃の温度
にて2.7倍(最終延伸倍率4.05倍)に一軸延伸し
た。最後に室温にて24時間乾燥させて本発明の偏光フ
イルムを得た。該偏光フイルムの偏光性能を測定するた
めに、該フイルムの両面にアクリル系接着剤を介して膜
厚80μのトリアセチルセルロースフイルムを貼着し5
0℃で乾燥して偏光板を得た。 【0019】この偏光板の偏光度は99.8%、単体透
過率は41.5%であった。更に、該偏光板を70℃9
0%RHの条件下に20日間放置した後に同様の測定を
行ったところ、偏光度は99.5%、単体透過率は4
1.8%で、偏光度変化は−0.3%、単体透過率変化
は0.3%であった。また、該偏光フイルム(MD×T
D=180mm×25mm)を105℃(ドライ)で2
時間放置してMD方向の寸法変化率を測定したところ−
1.1%であった。 【0020】実施例2〜5及び比較例1〜3 ホウ素化合物処理前の延伸条件及びホウ素化合物処理時
の延伸条件を表1のごとく変化させて、実施例1に準じ
て偏光フイルムを作製して同様に評価を行った。但し、
実施例3では、染色処理工程前にa倍の延伸処理を行
い、実施例4では、染色処理工程後にa倍の延伸処理を
行った。又、実施例4、5では平均重合度3800のポ
リビニルアルコールを用いた。評価結果を表2に示す。 【0021】 【表1】 延伸倍率a 延伸倍率b 最終延伸倍率ab (a-1)/(ab-1)の値 実施例1 1.5 2.7 4.05 0.16 〃 2 2.0 2.0 4.00 0.33 〃 3 3.8 1.05 3.99 0.94 〃 4 2.5 1.6 4.00 0.50 〃 5 2.2 1.6 3.52 0.47 比較例1 1.2 3.3 3.96 0.07 〃 2 1.4 4.3 6.02 0.08 〃 3 1.1 3.0 3.30 0.04 【0022】 【表2】 偏 光 性 能* 寸法変化率 偏光度変化(%) 透過率変化(%) (%) 実施例1 −0.3 0.3 −1.1 〃 2 −0.2 0.3 −0.7 〃 3 −0.2 0.3 −0.6 〃 4 −0.1 0.2 −0.8 〃 5 −0.1 0.2 −0.6 比較例1 −2.0 4.0 −2.1 〃 2 −2.0 4.0 −2.4 〃 3 −1.7 3.9 −1.9 *湿熱処理後の測定値(%)−処理前の測定値(%)の
差(%)を表す。 【0023】 【発明の効果】本発明の偏光フイルムは、特別な延伸方
法により製造されているため、偏光性能に優れ、かつ高
温時の寸法安定性にも優れており、かかる特性を利用し
て液晶表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工
業計器類、家庭用電化製品の表示等に有用である。
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平4−223404(JP,A)
特開 昭61−175602(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ハロゲン化リチウムを含まないポリビニ
ルアルコール系樹脂フイルムを製膜し、ヨウ素染料又は
二色性染料で染色後ホウ素化合物で処理して最終延伸倍
率ab倍の偏光フイルムを製造するに当たり、下記
(I)式を満足するように染色或いはそれ以前の工程に
おいて30〜70℃でa倍一軸延伸し、更にホウ素化合
物処理工程でb倍一軸延伸することを特徴とする偏光フ
イルムの製造法。 0.1<(a−1)/(ab−1) ・・・ (I) (但し、1.2≦a≦4,b>1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28761093A JP3392196B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 偏光フイルムの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28761093A JP3392196B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 偏光フイルムの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07120618A JPH07120618A (ja) | 1995-05-12 |
JP3392196B2 true JP3392196B2 (ja) | 2003-03-31 |
Family
ID=17719505
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28761093A Expired - Lifetime JP3392196B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 偏光フイルムの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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