JP3391949B2 - 像加熱装置 - Google Patents

像加熱装置

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JP3391949B2
JP3391949B2 JP23109695A JP23109695A JP3391949B2 JP 3391949 B2 JP3391949 B2 JP 3391949B2 JP 23109695 A JP23109695 A JP 23109695A JP 23109695 A JP23109695 A JP 23109695A JP 3391949 B2 JP3391949 B2 JP 3391949B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録材上の画像を
加熱する像加熱装置に関し、特に記録材の未定着画像を
加熱定着する装置に好適な像加熱装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、未定着画像の加熱定着や、画像の
表面性の改質を行う像加熱装置としては、加熱ローラと
加圧ローラとで画像を支持した記録材を挟持搬送する熱
ローラ方式が広く用いられてきたが、このような熱ロー
ラ方式では、加熱ローラの熱容量が大きいため、熱ロー
ラを所定の定着温度まで加熱するのに要する時間(いわ
ゆるウォームアップ時間)が長くかかるという問題があ
った。そこで、特開昭63−313182号公報、特開
平2−157878号公報等において、低熱容量のサー
マルヘッドと、このサーマルヘッドと摺動する薄肉のフ
ィルムを用い、ウォームアップ時間を短縮したフィルム
加熱定着方式が提案されている。
【0003】上記加熱装置は、複写機・レーザビームプ
リンタ・ファクシミリ・マイクロフィルムリーダプリン
タ・画像表示(ディスプレイ)装置・記録機等の画像形
成装置に用いられるものであり、電子写真・静電記録・
磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により加熱溶
融性の樹脂等により成るトナーを用いて記録材(エレク
トロファックスシート・静電記録シート・転写シート・
印刷紙等)の面に直接方式もしくは間接(転写)方式で
形成した、目的の画像に対応した顕画像(未定着のトナ
ー画像)を該画像を担持している記録面に永久固着像と
して加熱定着処理する画像定着装置である。また、この
装置は画像定着装置に限定されず、例えば画像を担持し
た記録材を加熱して表面性を改質する装置等、広く像担
持体を加熱処理する手段・装置として使用されるもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では以下のような問題があった。
【0005】まず、第1の問題点は、いわゆる非通紙部
昇温によるヒータ及びフィルム等の耐久性の低下に関す
る問題点である。
【0006】上記装置に用いるヒータは、記録材の移動
通過方向と交差する方向を長手方向とする通電発熱層を
有し、発熱層の有効全長域の各部が単位長さ当たりの所
定の発熱量をもって通電発熱することで、使用記録材が
最大幅のものでも、それより小さい各種サイズ幅のもの
でも供給記録材面に対する加熱処理を行うようになって
いる。
【0007】しかし、発熱層の有効全長域の各部が単位
長さ当たりの所定の発熱量をもつヒータを備えた従来例
においては、装置に供給した使用記録材の幅が最大幅よ
り小さい場合は、ヒータの長手方向の非通紙部におい
て、いわゆる非通紙部昇温が発生し、ヒータまたはヒー
タを支持する部材の熱損傷による耐久寿命の低下、フィ
ルム等の耐久性低下、フィルムの走行不安定化(フィル
ムのシワや蛇行)などを生じさせるという問題点があっ
た。
【0008】このような問題の解決手段として、フィル
ムを介してヒータに圧接する加圧手段である加圧ローラ
に、金属等の高熱伝導率の物質で形成したローラ(放熱
ローラと称する)を従動回転させる構成が知られてい
る。
【0009】ところが、上記のような放熱ローラを常時
加圧ローラに対し圧接し従動回転するようにすると、ヒ
ータからの熱量がフィルムを介して加圧ローラに伝わ
り、さらに放熱ローラへと伝わる。その結果、ヒータの
昇温速度が放熱ローラがない場合と比較すると、小さく
なる。そこで、低温環境下では、通電開始後、最初の定
着処理(以後、朝一の定着処理と称する)が不良となる
虞れがあった。
【0010】本出願に係る発明の目的は、上記問題点を
解決し、良好な朝一の定着処理性能を維持しつつ、非通
紙部昇温を防止し耐久寿命の低下及びフィルムの走行不
安定性を発生させることのない画像形成装置等に使用さ
れる像加熱装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
固定支持された発熱体に摺接しながら有端または無端移
動自在に配設されたフィルム部材と、該フィルム部材を
介して上記発熱体に圧接するように配設された回転自在
に支持されている弾性ローラ体の加圧手段と、前記加圧
手段に対して接触又は近接するように配設された回転自
在のローラ体である放熱手段と、前記加圧手段と前記放
熱手段との軸間距離dが所定距離d C より大きくなるよ
うに規制する規制手段とを有し、前記フィルム部材と
加圧手段の圧接部にて記録材を挟持搬送せしめる像加
熱装置において、前記放熱手段が回転軸方向に関し分割
され、回転軸に沿って同軸的に配された複数の円筒部材
を有することを特徴とする。
【0012】この構成によれば、通電開始後、最初の定
着処理において、放熱手段は前記規制手段により加圧手
段と離間、あるいは従動しない程度のわずかな圧力でも
って当接しているので、最初の定着処理において加圧手
段から放熱手段へ伝達される熱量は極めて小さく、良好
な最初の定着処理を可能とする像加熱装置において、放
熱手段が隣り合う円筒の間に隙間が発生してもその部分
で加圧手段の昇温が発生することがなくなり、熱効率が
良く、電力も削減でき、装置の信頼性が向上する。
【0013】また、連続して定着装置を使用(特に幅の
狭く厚い記録材を使用)したときには、加圧手段に対し
圧接し従動回転するようにでき、常時良好な定着性が得
られる。
【0014】さらに、非通紙部の昇温によるフィルム部
材の走行不良や蛇行、放熱手段、加圧手段およびフィル
ム部材の熱損傷による装置のダメージを防止することが
でき、装置全体の長寿命化が実現できる。
【0015】
【0016】
【0017】請求項に係る発明は、前記所定距離dC
を環境温度に応じて調節する調節手段を有することを特
徴とする。
【0018】この構成によれば、通電開始後、連続する
定着処理において、定着装置が昇温したときに規制手段
による所定の距離dC を自動的に短縮することができ、
より安定かつ確実に加圧手段と放熱手段とを圧接従動で
き、装置の非通紙部昇温を確実に防止することができ
る。
【0019】
【0020】
【0021】請求項に係る発明は、前記放熱手段を複
数本有することを特徴とする。
【0022】この構成によれば、熱効率が良く放熱を促
進することができる。
【0023】請求項に係る発明は、前記放熱手段を形
成する円筒部材同士の境界が他の放熱手段を形成する円
筒部材同士の境界と回転軸方向に関して異なる位置にな
るように配置したことを特徴とする。
【0024】この構成によれば、隣り合う円筒部材の間
に隙間が発生してもその部分で加圧手段の昇温が発生す
ることがなくなり、熱効率が良く、電力も削減でき、装
置の信頼性が向上する。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【発明の実施の形態】(第1の前提技術) 図1、図2に基づき本出願に係る発明の前提となる技術
を示す第1の前提例について説明する。図2は第1の前
提例の定着装置60を用いた画像形成装置の一例の概略
構成を示す断面図である。図2に示すように本前提例
画像形成装置は、原稿台固定、光学系移動型、回転ドラ
ム型、転写式の電子写真複写装置である。
【0030】本前提例による装置においては、図2に示
すように固定の原稿台ガラス20上に原稿19を所要に
載置し、所要の複写条件を設定した後、コピースタート
キーを押すと、感光体ドラム39が矢印で示す時計方向
に所定の周速度、本例では120mm/secで回転駆
動される。また、光源21(22は反射笠)と第一ミラ
ー23が原稿台ガラス20の下面に沿ってガラス左辺側
のホームポジションからガラス右辺側へ所定の速度Vで
移動し、第二ミラー24、第三ミラー25が同方向にV
/2の速度で移動することで、原稿台ガラス20上の載
置原稿19の下向き画像面が左辺側から右辺側に照明走
査され、その照明走査光の原稿面反射光が結像レンズ2
9、固定第四〜第六ミラー26,27,28を介して回
転感光体ドラム39面に結像露光(スリット露光)され
る。
【0031】回転感光体ドラム39の表面は、この露光
前に一次帯電器30により正または負の所定電位に一様
に帯電処理されており、この帯電面に対して上記の露光
がなされることで、ドラム39面に原稿画像に対応した
パターンの静電潜像が順次に形成される。感光体ドラム
39面に形成される静電潜像は、現像装置31の現像ロ
ーラ32でトナー像として顕画像化される。
【0032】一方、給紙ローラ51により記録材Pが給
送され、ガイド33を通って所定のタイミングでドラム
39と転写帯電器34との間の転写部へ導入されて転写
コロナを受けることでドラム39に接し、ドラム39面
側のトナー顕画像が記録材下面に順次転写される。
【0033】像転写部を通過した記録材Pは除電針35
によって背面電荷の除電を受けつつ、ドラム39面から
順次に分離され、搬送部38、入口ガイド10で定着装
置60へ導入され、後述するようにトナー画像定着を受
け、画像形成物として機外へ排出される。
【0034】転写後のドラム39の表面はクリーニング
器36のクリーニングブレード37によって残りトナー
等の汚れが清掃除去され、繰り返して像形成に供され
る。
【0035】上述のように往路を移動した移動光学部材
21〜25は所定の往路終点に到達すると、復路を移動
するように設定されており、初めのホームポジションへ
戻り、次のコピーサイクルの開始まで待機する(以下、
この工程を光学系のバック工程と称する)。
【0036】次に、本前提例での装置に装着される定着
装置60を図1に基づいて詳しく説明する。図1におい
て、6はエンドレスベルト状の定着フィルムであり、該
定着フィルム6は左側の駆動ローラ7と、右側の従動ロ
ーラ8と、この両ローラ7,8間の下方に固定配設した
低熱容量線状ヒータ1との間に張設してある。
【0037】従動ローラ8は定着フィルム6を外側に張
る方向にテンションを与えるテンションローラを兼ねて
おり、定着フィルムは表面にシリコーンゴム等を被覆し
て摩擦係数を高めた駆動ローラ7の時計方向の回転駆動
に伴い、時計方向に所定の周速度をもってシワや蛇行、
速度遅れなく回転駆動される。
【0038】9は加圧手段としてのシリコーンゴム等の
離型性の良いゴム弾性層を有する加圧ローラであり、上
記のエンドレスベルト状定着フィルム6の下方側フィル
ム部分をヒータ1との間に挟ませて、ヒータ1の下面に
対してバネ等の付勢手段により、例えば5〜10kg/
cmの当接力をもって対向圧接させており、記録材Pの
搬送方向に順方向の反時計方向に回転する。なお、加圧
ローラ9は、0℃において直径40mm、弾性層厚16
mmである。
【0039】尚、加圧ローラ9の構成としては、芯金の
廻りにシリコーンゴムまたはシリコーンスポンジ層を形
成し、その廻りにPFA等のフッ素樹脂、フッ素ゴム等
をコートした2層構成のものを用いても良い。
【0040】13は加圧ローラ9に対向して配設された
放熱ローラであり、該放熱ローラ13は、0℃で直径2
0mm、軸径6mmのアルミローラである。また、この
放熱ローラ13にはSUS製のスクレープ部材45がカ
ウンタ方向に当接しており、放熱ローラ13に付着した
トナーを除去するようになっている。
【0041】回転駆動されるエンドレス状の定着フィル
ム6は繰り返してトナー画像の加熱定着に供されるの
で、耐熱性・離型性・耐久性に優れ、一般的には100
μm以下、好ましくは40μm以下の薄肉のものを使用
する。一例としては、厚さ20μmのポリイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテ
ル、エーテルケトン等の高耐熱樹脂や、ニッケル、SU
S等の金属の薄肉エンドレスベルトの外周面にPTFE
(四フッ化エチレン樹脂)、PFA(四フッ化エチレン
・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)
等の低表面エネルギーの樹脂、又はこれらの樹脂にカー
ボンブラック等の導電材を添加した離型コート層を10
μm厚に施した総厚30μmのエンドレスベルトであ
る。
【0042】低熱容量のヒータ1は、例えば厚さ1.0
mm、幅10mm、長手方向長さ340mmのアルミナ
基板2に、銀パラジウムや酸化ルテニウム等の抵抗材料
を厚さ10μm、幅1.0mmに塗工して発熱層3を形
成し、さらにその上に厚さ10μmのフィルム6との摺
動を考慮したガラス等の保護層4を形成したものであ
り、ヒータ支持体11に取り付け保持させて固定支持さ
せる。
【0043】ヒータ支持体11は、ヒータ1を定着装置
60及び画像形成装置に対し断熱支持する、断熱性、高
耐熱性、剛性を有するもので、例えばPPS(ポリフェ
ニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテ
ルケトン)、液晶ポリマ等の高耐熱性樹脂や、これらの
樹脂とセラミックス、金属等との複合材料などで構成さ
れる。
【0044】ヒータの発熱層3には長手方向両端から通
電される。通電は交流100Vであり、基板2の裏面に
熱伝導性シリコーンゴム接着剤等で接着または圧接ある
いは一体的に形成されたNTCサーミスタ等のサーミス
タ5の検知温度に応じ、MPU18により通電制御され
る。
【0045】次に、本前提例での装置の定着動作につい
て説明する。
【0046】画像形成スタート信号により画像形成装置
が像形成動作を開始したときに、定着フィルム6の回動
が開始し、ヒータ1への通電が開始される。未定着トナ
ー画像Tを上面に担持した記録材Pは、転写部34から
定着装置60へ搬送される。記録材Pは入口ガイド10
に案内されて急速に所定の定着温度(本前提例では20
0℃)まで昇温したヒータ1と、加圧ローラ9との圧接
部Nに未定着トナーをヒータ側にして定着フィルム6と
密着して進入する。なお、ヒータ1への通電開始から記
録材Pの圧接部Nへの進入までの時間は5秒である。
【0047】進入した記録材Pは面ズレやシワ寄りを生
じることなく移動定着フィルム6と一緒の重なり状態で
ヒータ1と加圧ローラ9との定着ニップ部Nを挟圧力を
受けつつ通過し、記録材Pのトナー画像担持面は定着フ
ィルム面に押圧定着状態で定着ニップ部Nを通過する過
程で発熱層3の熱を定着フィルム6を介して受け、トナ
ー画像が高温溶融して記録材P面に軟化接着化した像T
aとなる。
【0048】なお、本前提例での装置の場合は、記録材
Pと定着フィルム6との分離は記録材Pが定着ニップ部
Nを通過して出た時点で行わせている。この分離時点に
おいて溶融トナーTaの温度は未だトナーのガラス転移
点より高温の状態にある。この分離点でガラス転移点よ
り高温の状態にあるトナーTaは、適度なゴム特性を有
するので、分離時のトナー画像面は定着フィルム表面に
ならうことなく適度な凹凸表面性を有したものとなり、
この表面性が保たれて冷却固化するに至るので、定着済
のトナー画像面には過度の画像光沢が発生せず高品位な
画質となる。
【0049】定着フィルム6と分離された記録材Pは排
紙ガイド12で案内されて排紙ローラ対15へ至る間に
ガラス転移点より高温のトナーTaの温度が自然降温
(自然冷却)してガラス転移点以下の温度になった固化
し、画像Tbに至る。記録材Pが定着ニップNを抜けた
後、画像定着済の記録材Pが出力される。
【0050】次に、図1、図3、図4、図5によって加
圧ローラ9に対する放熱ローラ13の当接状態を説明す
る。
【0051】加圧ローラ9及び放熱ローラ13の軸は、
それぞれ肉厚1mmのポリフェニレンサルファイド(P
PS)製の軸受41,42で支持されている。なお、P
PSの線膨張係数は20×10-6/degである。この
軸受41,42は、パイレックスガラス(線膨張係数3
×10-6/deg)製の放熱ローラ位置規制部材43に
より支持され、一方の軸受42にはバネ44が係合して
おり、このバネ44の押圧力により放熱ローラ13を加
圧ローラ9に向けて押圧している。
【0052】図3は、0℃環境における、加圧ローラ9
と放熱ローラ13の位置関係を示す図である。
【0053】この環境において、加圧ローラ9の軸半径
(rp )は、rp =8.00mm、芯金材である炭素鋼
の線膨張係数は11×10-6/degであり、加圧ロー
ラ9の弾性層厚(tp )は、tp =16.00mm、弾
性層材質であるシリコーンゴムの線膨張係数は100×
10-6/degであり、軸受41,42の肉厚はt=
1.00mmである。また、放熱ローラ13の軸半径
(rr )は、rr =3.00mm、放熱部肉厚はtr
7.00mm、放熱ローラ13の材質であるアルミの線
膨張係数は23×10-6/degである。また、放熱ロ
ーラ13の位置規制部材43の穴間隔をdC とすると、
加圧ローラ9と放熱ローラ13の間のギャップg(m
m)は、 g=dC −(tp +tr −2t) =21.15−21.00 =0.15 すなわち、加圧ローラ9と放熱ローラ13は、0.15
mm離れていることになる。
【0054】図4は、ギャップgの環境温度依存性を示
すグラフである。
【0055】ギャップg(mm)は、環境温度をT
(℃)とすると、環境温度Tが上昇するにつれ、次の式
のように変化する。
【0056】g=0.15−1.658×10-3T すなわち、上記の関数に従って、g=0となるまで単調
減少する。
【0057】T=90.5(℃)でg=0となり、加圧
ローラ9と放熱ローラ13が接触する。それ以上環境温
度が上昇すると、加圧ローラ9が弾性変形して放熱ロー
ラ13との間に圧接部を形成し、放熱ローラ13が加圧
ローラ9の回転に従って従動回転する。このとき放熱ロ
ーラ規制部材43と放熱ローラ軸受42の間に図5に示
すような空隙Sが生じる。
【0058】このような構成の定着装置60を用い、以
下のような2つのテスト(実施例1、実施例2)を行っ
た。
【0059】(実施例1):環境温度を5℃から35℃
まで変化させ、定着装置が冷えた状態から、1000枚
連続して定着処理を夫々行ったところ、いずれの環境に
おいても1枚目から1000枚目まで良好な定着性が得
られた。
【0060】(実施例2):このような構成の定着装置
60を用いて、 20℃の環境で、幅210mm,長さ297mm,
重さ128gr/m2の記録材を、1分間15枚の速度
で、連続1000枚定着処理した。その後2時間の送風
冷却又は8時間以上の自然冷却を行った。上記した定着
処理−冷却のサイクルを計300回繰り返し、計30万
枚の定着処理を行った、その結果、 フィルム6の軸方向に関し記録材が通過しない部分
(以下非通紙部と称す)の表面温度の最高値(圧接部N
の出口部での観測値)は、40枚目の定着処理時に24
5℃に達した。このとき、非通紙部における加圧ローラ
の表面の最高温度は約150℃であったが、加圧ローラ
9の弾性層の平均温度としては約90℃であった。この
とき、加圧ローラ9と放熱ローラ13の間のギャップg
は、ほぼ0mmとなり、加圧ローラ9と放熱ローラ13
は、非通紙部において略接触した。
【0061】さらに定着処理を続け、50枚目に至る
と、フィルム6の表面温度は最高250℃まで達した。
このとき、加圧ローラ9や、そのまわりの部材の温度も
上昇し、加圧ローラ9と放熱ローラ13は非通紙部にお
いて十分広い圧接部を形成し、放熱ローラ13は加圧ロ
ーラ9の回転と共に従動回転を開始した。すると、加圧
ローラ9の非通紙部に蓄積された熱量は放熱ローラ13
に伝達され、加圧ローラ9の温度が低下した。それに伴
い、加圧ローラ9の非通紙部の温度も低下し、結局、1
00枚目の定着処理中には、フィルム6の表面温度は2
40℃にとどまった。その後、定着処理を1000枚ま
で続行したところ、フィルム6の表面温度は再び上昇し
ていったが、約245℃で飽和した。
【0062】 上記のサイクルを300回繰り返した
ところ、 1)フィルム6の蛇行やシワ等は発生しなかった。
【0063】2)フィルム6や加圧ローラ9に損傷は発
生しなかった。
【0064】なお、本前提例では、加圧ローラ9の構成
を種々試した中で、特にシリコーンスポンジ又はシリコ
ーンゴムのまわりをPFA等の樹脂チューブで覆った2
層構成のものが、耐久性による外径の変化(特に、細
り)がなく、非通紙部のフィルム6が加圧ローラ9の昇
温を低減する効果が安定して得られた。
【0065】(比較例1)第1の前提例のように、放熱
ローラ位置規制部材43を設けず、放熱ローラ13を常
時加圧ローラ9に当接させた場合には、低温(5℃)環
境での1枚目の記録材Pの定着性が不良となる不具合が
発生した。その原因は、ヒータへの通電開始から定着ニ
ップ部に記録材が突入するまで、放熱ローラ13が加圧
ローラ9に接して従動回転しているため、加圧ローラ9
が暖まらないためであり、また、ヒータからの熱量が定
着フィルム6を介して加圧ローラ9へ伝わった後、さら
に放熱ローラ13へ伝わるため、ヒータの昇温速度が遅
れるためである。
【0066】(比較例2) 第1の前提例のように、放熱ローラ13を設けない場
合、前述した実施例2と同様のテストを実施したとこ
ろ、1000枚の定着処理後のフィルム6の表面温度が
265℃に達した。そして、定着処理を50000枚行
ったときに、フィルムが軸方向の片側に寄る傾向が大き
くなり、フィルム6の走行安定性が損なわれた。そし
て、2万枚の定着処理を行ったところ、フィルム6にシ
ワが発生し、使用不能となった。
【0067】(第2の前提例) 放熱ローラ位置規制部材43の寸法は、第1の前提例
記載の数値に限定されない。例えば、30℃の環境にお
いて、加圧ローラ9と放熱ローラ13の間のギャップg
が0(mm)となるように設定してもよい。
【0068】すなわち、1枚目の定着性が不良となり易
い低温(5℃〜10℃)環境では、ギャップgは、g>
0なので、加圧ローラ9が放熱ローラ13に接触せず、
良好な定着性が得られる。
【0069】また、第1の前提例に比べ、加圧ローラ9
が低温状態にあるとき、放熱ローラ13が加圧ローラ9
に対して従動回転を開始するため、装置の非通紙部にお
ける昇温がより早期に低減できる。
【0070】(第3の前提例) 本前提例の特徴は、温度0℃乃至10℃の環境におい
て、ギャップg=0(mm)となるように設定したこと
にある。
【0071】(特有の効果)放熱ローラ13は、加圧ロ
ーラ9に常時当接しているものの、定着処理の開始当初
は、加圧ローラ9との間に十分な圧接力が得られないの
で、加圧ローラ9と放熱ローラ13の摩擦力が放熱ロー
ラ13の軸部の摺動抵抗より小さいため、加圧ローラ9
に対し停止している。そのため、加圧ローラ9から放熱
ローラ13へ伝達される熱量は少なく、5℃の環境下に
おける1枚目の定着性も実用上問題がない。
【0072】一方、第2の前提例と比べても、加圧ロー
ラ9がさらに低温の状態で、放熱ローラ13が加圧ロー
ラ9に対し従動回転を開始するため、装置の非通紙部に
おける昇温をさらに低減できる。
【0073】(第4の前提例) 本前提例の特徴は、放熱ローラ位置規制部材43の一部
を公知のバイメタルに変更し、図3における穴間隔dC
が、環境温度50℃になったとき、該バイメタルが約1
0mmだけ短縮するように屈曲せしめた点にある。
【0074】(特有の効果)連続して定着処理を行い、
定着装置が昇温したとき、放熱ローラ位置規制部材43
が自動的に変形し、穴間隔dC が短縮することにより、
より確実に加圧ローラ9に対し放熱ローラ13を圧接従
動させることができるので、装置の非通紙部が昇温する
のを安定して防止できる。
【0075】(第5の前提例) 本前提例の特徴は、放熱ローラ13の材質として第1の
前提例で使用した熱伝導率Wが240Wm-1-1のアル
ミニウム以外の材質、例えば、アルミ芯金のまわりに、
アルミナ、シリカ、カーボン、チタン等の高熱伝導性の
フィラーを混入したシリコーンゴムを厚さ0.1mm乃
至1mmの肉厚で被覆したものを用いた点にある。
【0076】(特有の効果)加圧ローラ9との間の摩擦
係数が向上するので、放熱ローラ13が加圧ローラ9と
接触したとき、安定して従動回転する。そのため、安定
した放熱効果が得られると共に、加圧ローラを清掃する
という更なる効果も大きくなる。
【0077】又、ステンレス鋼(W=15)、又はパイ
レックスガラス(W=1.1、好ましくはW≧10)を
用いてもよい。
【0078】(特有の効果)表面性がアルミよりも向上
するので、図1に示すスクレープ材45による表面清掃
能力が向上する。その結果、放熱ローラ13の径の太り
が発生せず、長期にわたって安定した放熱性能が得られ
た。なお、放熱ローラの材料としてパイレックスガラス
を用いたときは、スクレープ部材45にPPS等の樹脂
を用いるのが好ましい。
【0079】(第1の実施の形態) 図6は本第1の実施の形態の定着装置の側面図を示す。
なお、図6において図1〜図5に示す上記した前提例の
部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略す
る。 本実施の形態において、放熱ローラとして、外径6
mmのSUS芯金47のまわりに、面長約20mmで内
径6mm、外径20mmのアルミ製円筒48が16個回
転自在に配置されている。芯金47と円筒48の間に
は、熱伝導性の高いフィラーを添加したシリコーンオイ
ルを塗布している。芯金47の両端には、芯金47の軸
受と、円筒48の長手方向の移動を防止する部材を兼ね
る軸受46(PPS製)が配置されている。軸受46
は、バネ44により加圧ローラ9の方向に付勢されてい
る。
【0080】(特有の効果) 上記構成の定着装置を用いて、第1の前提例と同じ
テスト2(実施例2)を行ったところ、非通紙部の昇温
した部分の円筒48のみが加圧ローラ9に当接し、その
部分のみ、加圧ローラの放熱が促進された。
【0081】そのため、加圧ローラ9の軸方向温度分布
が第1の前提例よりも均一化され、加圧ローラ9と接触
するフィルム6の温度分布も均一化された。その結果、
フィルム6の走行安定性が第1の前提例よりもさらに向
上した。
【0082】 定着処理中に、記録材が通過する部分
の加圧ローラ表面には、放熱を促進する円筒48が当接
しない。そのため、連続定着処理中の記録材通過部の放
熱が第1の前提例よりも小さくなり、熱効率が良く、省
電力化が図れる。
【0083】(第の実施の形態) 図7は本実施の形態の定着装置の断面図を示すもので、
芯金47と円筒48等で構成される図6に示す機構を加
圧ローラ9に近接して2組配置している。
【0084】各組の機構において、円筒48は、図8に
示すように、隣接する円筒48同志の接合部Aが互いに
一致しないように配置されている。
【0085】(特有の効果)隣接する円筒48の間にす
き間が発生しても、その部分で加圧ローラ9の昇温が発
生することがなくなるので、装置の信頼性が向上する。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【発明の効果】発明によれば、隣り合う円筒部材の間
に隙間が発生してもその部分で加圧手段の昇温が発生す
ることがなくなり、熱効率が良く、電力も削減でき、装
置の信頼性が向上する。 そして、通電開始後、最初の定
着処理(朝一の定着処理)において、放熱手段は前記規
制手段により加圧手段と離間、あるいは従動しない程度
のわずかな圧力でもって当接しているので、朝一の定着
処理において加圧手段から放熱手段へ伝達される熱量は
極めて小さく、良好な朝一の定着処理を可能とすること
ができる。また、連続して定着装置を使用(特に幅の狭
く厚い記録材を使用)したときには加圧手段に対し圧接
し従動回転するようにでき、常時良好な定着性が得られ
る。さらに、非通紙部昇温によるフィルム部材の走行不
良や蛇行、放熱手段、加圧手段およびフィルム部材の熱
損傷による装置のダメージを防止することができ、装置
全体の長寿命化が実現できる。
【0092】
【0093】請求項に係る発明によれば、上記した請
求項に係る発明の効果に加え、通電開始後、連続する
定着処理において、定着装置が昇温したときに規制手段
による所定の距離dCを自動的に短縮することができ、
より安定かつ確実に加圧手段と放熱手段とを圧接従動で
き、装置の非通紙部昇温を確実に防止することができ
る。
【0094】
【0095】請求項に係る発明によれば、熱効率が良
く放熱を促進することができる。
【0096】請求項に係る発明によれば、隣り合う円
筒部材の間に隙間が発生してもその部分で加圧手段の昇
温が発生することがなくなり、熱効率が良く、電力も削
減でき、装置の信頼性が向上する。
【0097】
【0098】
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願に係る発明の前提となる技術を示す第1
の前提例における定着装置の概略構成を示した断面図。
【図2】図1の定着装置を組み込んだ画像形成装置の概
略構成を示す断面図。
【図3】図1の加圧ローラと放熱ローラの0℃の環境に
おける位置関係を示す説明図。
【図4】図1の加圧ローラと放熱ローラのギャップgの
環境温度依存性を示すグラフ図。
【図5】図1の加圧ローラと放熱ローラの連続定着処理
中の位置関係を示す説明図。
【図6】本出願に係る発明の第の実施の形態における
定着装置の加圧ローラと放熱ローラの周辺の概略構成を
示す側面図。
【図7】本出願に係る発明の第の実施の形態における
定着装置の概略構成を示す断面図。
【図8】本出願に係る発明の第の実施の形態における
定着装置に用いられる加圧ローラと放熱ローラの軸方向
位置関係を示す断面図。
【符号の説明】
1…発熱体 6…フィルム部材 9…加圧手段 13…放熱手段 43…規制手段 P…記録材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/20 101 G03G 15/20 107

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定支持された発熱体に摺接しながら有
    端または無端移動自在に配設されたフィルム部材と、該
    フィルム部材を介して上記発熱体に圧接するように配設
    された回転自在に支持されている弾性ローラ体の加圧手
    段と、前記加圧手段に対して接触又は近接するように配
    設された回転自在のローラ体である放熱手段と、前記加
    圧手段と前記放熱手段との軸間距離dが所定距離dC
    り大きくなるように規制する規制手段とを有し、前記フ
    ィルム部材と前記加圧手段の圧接部にて記録材を挟持搬
    送せしめる像加熱装置において、前記放熱手段が回転軸
    方向に関し分割され、回転軸に沿って同軸的に配された
    複数の円筒部材を有することを特徴とする像加熱装置。
  2. 【請求項2】 請求項において、前記所定距離dC
    環境温度に応じて調節する調節手段を有することを特徴
    とする像加熱装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記放熱手
    段を複数有することを特徴とする像加熱装置。
  4. 【請求項4】請求項において、前記一方の放熱手段を
    形成する円筒部材同士の境界が他方の放熱手段を形成す
    る円筒部材同士の境界と回転軸方向に関して異なる位置
    になるように配置したことを特徴とする像加熱装置。
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