JP3390619B2 - 高周波加熱装置の温度検出器 - Google Patents

高周波加熱装置の温度検出器

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JP3390619B2
JP3390619B2 JP00595997A JP595997A JP3390619B2 JP 3390619 B2 JP3390619 B2 JP 3390619B2 JP 00595997 A JP00595997 A JP 00595997A JP 595997 A JP595997 A JP 595997A JP 3390619 B2 JP3390619 B2 JP 3390619B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジなどの
高周波加熱装置に関し、特に、加熱制御機能を備えた高
周波加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子レンジなどの高周波加熱装置
において、被加熱物からの赤外線の輻射熱を検出して被
加熱物の温度を測定して加熱量を制御する加熱制御機能
を備えたものがあり、この機能により、被加熱物への加
熱の不足や超過を防いで適切に加熱を行うものとなって
いる。
【0003】被加熱物からの赤外線輻射熱を検出する検
出器には様々な種類があり、主に半導体の光電効果を利
用した量子型センサと、赤外線輻射熱の量に応じて温度
が上昇することを利用した熱効果型センサの2種類に大
別される。ここで、前者は測定精度が高く、応答性に優
れる反面、測定可能な光の波長帯域が狭く、しかも常温
で使用できないという欠点を有する。これに対して後者
は、感度や応答性の点では量子型センサに劣る反面、構
造が簡単で機械的強度も強く、広い範囲の光の波長を感
知でき、しかも常温での使用も可能であるという利点を
有する。
【0004】代表的な熱効果型センサとして、圧電体の
焦電効果を利用した焦電タイプや、サーミスタの導電率
の変化を利用したサーミスタボロメータタイプ、或いは
小型の熱電対を多数直列に接続したサーモパイル(熱電
堆)を用いたサーモパイルタイプがある。ここで、焦電
タイプは焦電素子自体は比較的安価であるが、出力を得
るためには光線を断続するチョッパー機構が必要で、測
定システムが複雑で高価なものとなる。また、サーミス
タボロメータタイプは2個以上のサーミスタと集光部と
により構成することができ、潜在的なコストダウンの可
能性を有しているものの、実用上の技術的課題が多い。
これに対し、サーモパイルタイプは安価に構成でき、現
在、放射線温度計として広く実用化されている。
【0005】図10にサーモパイルの拡大図を示す。同
図に示すように、熱効果型センサに分類されるサーモパ
イルは、熱の吸収性に優れた金黒という一種の黒体から
なる受光部12を中央に配設し、この受光部12を囲む
ようにして直列接続された複数の熱電対を配設して構成
される。
【0006】このような構成を有するサーモパイルで
は、被加熱物からの赤外線輻射熱を受光部12が受けて
発熱する。そして、この受光部12の温度変化をその周
囲に直列接続して形成した複数の熱電対13が検出して
端子11に電気信号として出力する。このように、受光
部12の周囲に熱電対13を直列に接続して形成するこ
とにより、受光部12の温度変化を各熱電対で効率的に
検出し、これら熱電対の熱起電力の合計値を出力信号の
電圧とする。
【0007】従来、このサーモパイルを利用して被加熱
物の温度を検出する機能を備えた高周波加熱装置とし
て、特開平7−98123号公報に記載されたものがあ
る。この高周波加熱装置は、図11に示すように、後述
の制御手段に制御されて被加熱物22を加熱するマグネ
トロンなどの加熱手段25と、被加熱物22の温度を検
出する温度検出手段33と、温度検出手段33の検出方
向を変える駆動手段28と、温度検出手段33の出力か
ら被加熱物22の温度分布を求める温度分布測定手段2
9と、温度分布測定手段29の出力に基づいて上述の加
熱手段25を制御する制御手段26と、非加熱時に温度
検出手段33に入射する輻射熱を遮断する遮断手段27
とを備える。
【0008】また、上述の温度検出手段33は、被加熱
物22からの光を集光する集光レンズ(図示なし)と、
該集光レンズに集光された光を受光して電気信号を出力
するサーモパイル(図示なし)とを備えて構成され、駆
動手段28はこれらを一体的に駆動して検出方向を変え
る。
【0009】このような構成を有する高周波加熱装置に
よれば、駆動手段28により温度検出手段33の検出方
向を変えて、温度検出手段33により被加熱物22の各
部の表面温度を検出する。この検出結果から温度分布測
定手段29により被加熱物22の温度分布を求め、この
温度分布に基づいて制御部26により加熱手段25を制
御することにより、出来映えにバラツキの無いように自
動調理を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の装置によれば、温度検出手段33の検出精度
は、被加熱物22の大きさの影響を受けることはない
が、温度検出手段33の周囲温度が変化するとその特性
が変動して検出誤差が生じ、被加熱物22の温度を正確
に検出できない場合がある。即ち、加熱手段25を構成
するマグネトロン自身の発熱や、このマグネトロンから
発振されたマイクロ波による加熱室の壁面温度上昇等に
より、加熱中は温度検出手段33の周囲温度が上昇を続
け、一般的な調理の場合、加熱の開始から周囲温度が安
定するまでには、数分から数十分を要する。この周囲温
度の不安定な状態ではセンサ自身の特性が安定せず、こ
のため、温度の検出誤差を生じる。
【0011】これに対して、特開平7−119980号
公報に開示されているように、温度の変動に起因した検
出精度の低下を改善することを目的として、サーモパイ
ルの周囲温度の安定化を図った装置があ。即ち、図12
に示すように、この装置は、断熱材34を介して集光レ
ンズ32とサーモパイル31をケース33に一体的に組
み込むことによって、検出誤差の要因となる周囲温度の
変動を緩和し、これにより検出精度の向上を図ってい
る。しかしながら、断熱材34の熱伝導率はゼロとはな
らないので、連続して長時間にわたって調理する場合、
周囲温度が上昇して検出誤差を生じるようになる。
【0012】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、サーモパイルの周囲温度の影響を排除し
て、極めて高精度に被加熱物の温度を検出することがで
きる高周波加熱装置の温度検出器を提供することを課題
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決達成するため、以下の構成を有する。即ち、請求項1
に記載の発明に係る高周波加熱装置の温度検出器は、被
加熱物からの赤外線を入力して該被加熱物からの輻射熱
を熱電変換する熱電変換手段と、前記熱電変換手段の周
囲温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の
検出値に基づき前記熱電変換手段の出力値を補正する補
正手段とを備え、前記補正手段は、前記熱電変換手段の
出力値を変数とする第1の多次元関数に基づき前記被加
熱物の温度を算出すると共に、前記被加熱物の温度を算
出するに際し、前記第1の多次元関数の係数を前記温度
検出手段の検出値を変数とする第2の多次元関数に基づ
き補正し、熱電変換手段の熱電変換特性の経時的変化に
基づき第2の多次元関数の係数として複数種類を用意
、所定の加熱時間の経過を契機として、前記係数を入
れ替え、所定の加熱時間の経過は、重みづけされたマイ
クロ波加熱の累積時間と、オーブン加熱の累積時間との
合算値に基づき判断することを特徴とする高周波加熱装
置の温度検出器の構成を有する。
【0014】また、請求項2に記載の発明に係る高周波
加熱装置の温度検出器は、熱電変換手段は、被加熱物か
らの赤外線の入射方向に開口する概略円筒状の筺体と、
該筺体の開口部より離れて前記筺体の内部に配設され、
前記開口部から入射する前記赤外線を集光する集光レン
ズと、前記集光レンズに関して前記開口部とは反対側に
位置するように前記筺体内部に配設され、前記集光レン
ズに集光された前記赤外線の輻射熱を熱電変換するサー
モパイルと、概略円筒状の形状を呈し且つ長手方向に沿
ってその内周面に複数のリブ状の凸部が形成された構造
体とを有し、前記構造体を、前記集光レンズの赤外線入
射側に位置するように前記筺体の開口部に嵌合して備え
たことを特徴とする請求項1に記載の高周波加熱装置の
温度検出器の構成を有する。
【0015】
【0016】さらにまた、請求項に記載の発明に係る
高周波加熱装置の温度検出器は、第2の多次元関数の係
数の入れ替えを、温度検出手段の検出値が有為に変動し
ない時間帯に行うことを特徴とする請求項に記載の高
周波加熱装置の温度検出器の構成を有する。
【0017】
【0018】
【0019】上記構成された本発明は以下のように作用
する。即ち、請求項1に記載の発明に係る高周波加熱装
置の温度検出器によれば、熱電変換手段は、被加熱物か
らの赤外線を入力して前記被加熱物の輻射熱を熱電変換
して補正手段に出力する。この一方、温度検出手段は、
熱電変換手段の周囲温度を検出して補正手段に出力す
る。補正手段は、前記温度検出手段の検出値に基づき前
記熱電変換手段の出力値を補正する。
【0020】即ち、補正手段は、前記熱電変換手段の出
力値を変数とする第1の多次元関数を用いて被加熱物の
温度を算出する。このとき、第1の多次元関数の係数と
して前記温度検出手段の検出値を変数とする第2の多次
元関数に基づき補正したものを用いる。従って、第1の
多次元関数の係数は熱電変換手段の周囲温度に応じて修
正され、この結果、熱電変換手段の熱電変換特性はその
周囲温度に応じて補正される。また、熱電変換手段の熱
電変換特性の経時的変化(劣化)に応じて、この変化分
を打ち消すように、第2の多次元関数の係数を複数種類
用意する。そして、所定の加熱時間の経過を契機とし
て、第1の多次元関数の係数を入れ替え、熱電変換特性
を初期状態に維持する。また、所定の加熱時間の経過
を、重みづけされたマイクロ波加熱時間と、オーブン加
熱時間との合算値に基づき判断するので、加熱方法の違
いによる劣化の進行度合いの違いを加味して係数の入れ
替え時期(契機)が判断される。
【0021】また、請求項2に記載の発明に係る高周波
加熱装置の温度検出器によれば、集光レンズは筺体の開
口部より奥まった位置に配設されて入射する赤外線を集
光するので、人の指などが直接的に集光レンズに触れる
ことがなくなる。
【0022】
【0023】さらにまた、請求項に記載の発明に係る
高周波加熱装置の温度検出器によれば、第2の多次元関
数の係数の入れ替えを、温度検出手段の検出値が有為に
変動しない時間帯に行う。従って、係数の入れ替えを行
うに際して、周囲温度の影響を排除して特性の劣化を判
断することができる。
【0024】
【0025】
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係る高
周波加熱装置の温度検出器について、図1〜9を参照し
て詳細に説明する。なお、各図において、同一要素、或
いは相当する要素には同一符号を付す。
【0027】図1に示す本実施形態の温度検出器の構成
において、41はサーモパイルセンサユニット(熱電変
換手段)、41aはサーモパイル、41bはサーモパイ
ルセンサユニット41に内蔵されたサーミスタ(温度検
出手段)、R1及びR2は電源電圧を分圧してリファレ
ンス電圧を生成する抵抗、VR1はリファレンス電圧を
微調整するための可変抵抗、R3は入力抵抗、OPはF
ET入力(高入力インピーダンス)の正転アンプ、R4
は負帰還抵抗、R5は出力抵抗、R6はサーミスタ負荷
抵抗、C1〜C3は安定化容量、C4はスピードアップ
容量、Eは演算部である。サーモパイルセンサユニット
41を除いて補正部(符号なし)(補正手段)を構成す
る。
【0028】同図に示す温度検出器によれば、サーモパ
イルセンサユニット41構成するサーモパイル41aが
被加熱物(図示なし)からの赤外線輻射熱を電気信号に
熱電変換し、正転アンプOPがこの電気信号を次式
(1)に従って増幅して出力AOUTを演算部Eに与え
る。ただし、同式において、V1はリファレンス電圧、
V2はサーモパイル41aの出力値である。
【0029】 AOUT=V2+(V2−V1)*R4/(R3+VR1) ・・・(1)
【0030】ここで、被加熱物の温度がサーモパイル4
1aの周囲温度と等しい場合にサーモパイル出力電圧V
2がリファレンス電圧V1に等しくなるように可変抵抗
VR1を調整して予めキャリブレーションしておく。従
って、この場合(即ち、V1=V2のとき)には、式
(1)より、AOUT=V2=V1となり、正転アンプO
Pの出力AOUTはリファレンス電圧V1と同値となる。
【0031】また、サーモパイル41aの周囲温度に対
して被加熱物の温度に変化が生ずると、サーモパイル4
1aの起電力に変化が生ずる。この結果、リファレンス
電圧V1とサーモパイル出力電圧V2と間に電位差が生
じ、このサーモパイル出力電圧V2が(1)式で表され
る値AOUT(以下、「サーモパイル検出値」と記す)に
増幅されて出力される。一方、サーミスタ41bは、サ
ーモパイル41aの周囲温度を検出して演算部Eにその
検出値SOUT(以下、「サーミスタ検出値」と記す)を
出力する。
【0032】演算部Eは、サーミスタ検出値SOUTに基
づきサーモパイル検出値AOUTを補正して、被加熱物の
温度を演算する。即ち、演算部Eは、以下に説明するよ
うに、サーミスタ検出値SOUTを参照することにより、
周囲温度の変動に起因するサーモパイル41aの熱電変
換特性の変動分を補正して、被加熱物の温度を検出す
る。
【0033】以下、サーモパイル41aの熱電変換特性
の補正の方法について、図2及び図3を参照して説明す
る。図2は、図1に示すサーモパイル41aの熱電変換
特性の実測値から求めた特性図であり、横軸Xをサーモ
パイル検出値、縦軸Yを被加熱物温度とし、サーモパイ
ル41aの周囲温度Tをパラメータにとって表示したも
のである。
【0034】同図に示すように、サーモパイル41aの
熱電変換特性を、被加熱物の表面から輻射する赤外線を
検知して得られるサーモパイル検出値AOUT(X軸)
と、被測定物表面温度(Y軸)と、サーモパイル41a
自身の周囲温度を表すサーミスタ検出値SOUTとの3種
類のファクターの関係で管理することにより、サーモパ
イル41aの熱電変換特性曲線を周囲温度別に実測して
求める。そして、これらの特性曲線を用いて周囲温度T
の効果が反映されるようにサーモパイルの熱電変換特性
を関数化する。
【0035】2次関数回帰を用いてサーモパイルの熱電
変換特性を関数化する場合を例として、図4に示すフロ
ーチャートに沿って図2及び図3を参照しながら説明す
る。先ず、例えば周囲温度Tを0℃、20℃、40℃、
60℃、80℃として、或る被加熱物温度に対して得ら
れるサーモパイル検出値の実測値を周囲温度Tをパラメ
ータとして実測により求め(ステップS1)、図2に示
す周囲温度毎の熱電変換特性の特性曲線を得る(ステッ
プS2)。
【0036】次に、同図に示す各々の特性曲線がサーモ
パイル検出値を変数(X)とする2次関数(第1の多次
元関数)で表現されるものと仮定し、2次回帰計算処理
を行なって、各特性曲線に対する関数の係数を求め(ス
テップS3)、次式(2a)〜(2e)を得る。
【0037】 Y=a12+b1X+c1 (T= 0℃) ・・・(2a) Y=a22+b2X+c2 (T=20℃) ・・・(2b) Y=a32+b3X+c3 (T=40℃) ・・・(2c) Y=a42+b4X+c4 (T=60℃) ・・・(2d) Y=a52+b5X+c5 (T=80℃) ・・・(2e)
【0038】さらに、これら2次関数式の各項の係数
は、周囲温度Tに依存して変化したものであることか
ら、図3に(a)〜(c)示すように、各次数項別に各
周囲温度に対する係数をプロットすることにより、2次
の項、1次の項、定数項について、周囲温度Tを変数と
する特性曲線を得る(ステップS4)。この特性曲線に
ついて同様に2次関数回帰を行って、次式(3a)〜
(3c)(第2の多次元関数)を得る(ステップS
5)。
【0039】 a=d12+e1T+f1 ・・・(3a) b=d22+e2T+f2 ・・・(3b) c=d32+e3T+f3 ・・・(3c)
【0040】これら式(3a)〜(3c)を用いること
により、上述の式(2a)〜(2e)を一般化した次式
(4)を得る。即ち、式(4)は、サーモパイル検出値
OUTを変数Xとする関数であって、その係数a,b,
cが周囲温度Tの変動が反映されたものとなる。
【0041】 Y=aX2+bX+c ・・・(4)
【0042】このようにして求めた式(4)を用いて、
演算部Eは正転アンプOPの出力AOUT(サーモパイル
検出値)と、サーミスタ41bの出力SOUT(サーミス
タ検出値)とから、被加熱物の温度を演算する。即ち、
演算部Eは、サーミスタ検出値SOUTを式(3a)〜
(3c)の変数Tに代入して係数a,b,cを求める
(ステップS6)。この係数を有する式(4)は、周囲
温度Tに応じて図2に示す複数の特性曲線の何れかとな
る。そして、この係数が設定された演算式(4)の変数
Xに対して、正転アンプAMPの出力AOUTを代入し
て、被加熱物の温度(Y)を算出する(ステップS
7)。
【0043】このようにして、演算部Eが式(4)によ
り求めた温度(Y)は、サーモパイル41aの出力が、
その周囲温度Tに応じて修正されたものとなり、これに
より、周囲温度Tの変動分が打ち消されて、被加熱物の
表面温度が正確に算出される。この場合、サーモパイル
41aの熱電変換特性は、d1〜d3、e1〜e3、f
の計9個の係数を用いて表現されるので、極めて高
精度に補正を行うことができ、正確に温度を検出でき
る。
【0044】次に、本発明のサーモパイルセンサユニッ
ト41の構造について図5を参照して説明する。同図に
示すように、サーモパイルセンサユニット41(熱電変
換手段)は、被加熱物からの赤外線輻射熱の入射方向に
開口する概略円筒状の筺体60と、該筺体60の開口部
から数センチ程度離して筺体60の内部に配設されたフ
レネルレンズなどの集光レンズ63と、この集光レンズ
63を挟んで開口端部と反対側の筺体内部に配設された
サーモパイル64とからなる。
【0045】また、筺体60は、その開口部に嵌合する
ようにして、概略円筒状の形状を呈し且つ長手方向に沿
って内周面に複数のリブ状の凸部61aが形成されたレ
ンズ表面接触防止器具61(構造体)を集光レンズ63
の赤外線入射側に位置させて備える。ここで、同図5に
示すように、リブ状の凸部61aはレンズ表面接触防止
器具61の中心領域を避けて形成されており、これによ
り、集光レンズ63の中心部への赤外線の入射を阻害せ
ずに、人の指が集光レンズ63に直接触れることのない
よう対策される。
【0046】次に、本実施形態の温度検出器の温度補正
方法に関連する事項について説明する。一般に、図6に
破線で示すように、サーモパイル41aの熱電変換特性
(実線)は経時的に劣化し、やがて誤差ΔY℃を生じる
ようになる。このような特性の劣化は、高周波加熱装置
の通常の使用状態で油蒸気の付着後メンテナンスを行な
わない場合、或いは行なった場合であっても、集光レン
ズ自体の経時的劣化によりその透過率が低下したときに
起こる。
【0047】そこで、このような集光レンズ自体の経時
的劣化や油蒸気の付着等による誤差を打ち消して検出精
度を向上させるために、劣化の程度に応じて、前述の式
(3a)〜(3c)の係数として複数種類を用意し、集
光レンズの透過率の低下または所定時間の経過を契機と
して、係数を入れ替える。
【0048】この場合、例えば、最初の係数は図6に実
線で示す劣化前の関数を記述するものとして、例えば出
荷時に前述の式(4)にセットしておき、図6に破線で
示す関数を記述する係数をフラッシュメモリ等の不揮発
性メモリに格納しておく。そして、例えば図5に示すサ
ーモパイルセンサユニット41を構成する集光レンズ6
3の透過率が低下して熱電変換特性が低下したとき、或
いは所定の加熱時間を経過したときに、これを契機とし
て演算部Eが内蔵するマイクロコンピュータなどにより
制御して式(4)の係数を入れ替える。
【0049】これにより、経時的劣化により生じる誤差
ΔY℃を打ち消すことができ、経時的な検出精度の低下
を回避することができる。また、図6に示す領域外での
誤差についても、これに対する係数を適宜用意して入れ
替えれば、同様に打ち消すことができる。
【0050】次に、上述のようにサーモパイルセンサユ
ニット41の熱電変換特性の劣化の進行に応じて式
(4)の係数を入れ替えるに際し、その特性が劣化した
か否かを判断する必要がある。この場合、前述のよう
に、サーモパイルの熱電変換特性は周囲温度に対する依
存性を持つので、この周囲温度の影響を排除する必要が
ある。このため、特性の劣化を判断する場合、サーモパ
イル41aの周囲温度を例えば室温などの略一定の値に
固定して同一条件とする必要がある。
【0051】そこで、図7の例えば期間8−Zに示すよ
うに、係数の入れ替えの判断を、装置が動作していない
状態であって、且つ周囲温度が有為に変動せず、安定し
た状態で行うものとする。ここで、図7は図1に示すサ
ーミスタ41bの出力値の時間特性を示し、期間8−B
で高周波加熱装置を動作させた場合の特性である。
【0052】同図に示すように、装置を一旦動作させる
と、停止後もサーモパイル41aの周囲温度は上昇を続
け、一定時間後に下降を開始して、やがて室温に落ち着
き安定する。その後高周波加熱装置が動作しない限り周
囲温度は落ち着いた状態を維持する。この周囲温度が室
温に落ち着いた時間帯を利用して、補正式の係数を切り
替えるか否かを判断して係数の入れ替えを行う。
【0053】さらに具体的に説明すると、図7に例示す
る特性で周囲温度が変化する場合、例えば30分毎にサ
ーミスタの出力を読み取ってサーモパイルの周囲温度の
変動を監視すれば、期間8−Zの前後でサーミスタの出
力に変動が無いことを知ることができる。つまりこの期
間8−Zのように安定した期間が1回、2回と連続して
続いた場合に、高周波加熱装置が動作状態になく、周囲
温度が室温に落ち着いているものと判断することがで
き、この時間帯を利用して式(4)の係数を入れ替え
る。
【0054】また、上述の例では、周囲温度を室温に安
定させて、サーモパイルセンサユニットの熱電変換特性
の低下を判断するものとしたが、所定の温度で発熱する
発熱体を発熱させて熱電変換特性の劣化を判断するもの
とすれば、より正確に特性の劣化を判断することができ
る。
【0055】即ち、前述のように、サーミスタの出力に
変動がない期間が連続して検出された場合、図8に示す
ように、高周波加熱装置の加熱室21の内部に設置した
発熱体97を所定の温度で発熱させ、この温度をサーモ
パイルセンサユニット41で検出する。この検出結果か
ら、制御部90がサーモパイルセンサユニット41に内
蔵されたサーモパイルの熱電変換特性の劣化の程度を探
り、式(4)の係数を切り替えるか否かを判断して加熱
制御部26に指令を与え、加熱部25による加熱量を制
御する。
【0056】さらに、具体的に説明する。図9(a)に
示すように、仮に特性に劣化がなければ、周囲温度Tが
例えば20℃付近におけるサーモパイル検出値(X)の
値が電位Rとなることは、劣化前の熱電変換特性から容
易に知ることができる。また、集光レンズの透過率が低
下して熱電変換特性(感度)が低下すると、例えば図9
(a)に示す特性線9b−1は、図9(b)に拡大して
示すように、特性線9b−1→特性線9b−2→特性線
9b−3というように次第にシフトする。
【0057】ここで、例えば図8に示す発熱体97が6
0℃で発熱するものであれば、同図に示すように、サー
モパイル検出値(X)の値も、電位R→電位R1→電位
R2と次第にシフトしていく。したがって、図9(b)
において、例えば特性が特性線9b−2となった場合に
劣化したものと定義すれば、図8に示す発熱体97の温
度(60℃)を検出して得られるサーモパイル検出値
(X)が、図9(b)に示す電位R1に達した場合に特
性が劣化したものと判断することができる。このように
判断された場合、前述の式(4)の係数を特性線9b−
2から求められるものに入れ替え、サーモパイルセンサ
ユニットの熱電変換特性の周囲温度の変動分を修正して
被加熱物の温度の検出を行う。
【0058】さらに、特性の劣化が同図に示す特性線9
b−3で表される程に進んだ場合には、サーモパイル検
出値(X)が電位R2となり、この場合、特性線9b−
3から求められる係数に入れ替えて温度の検出を行う。
同様にして、劣化の度合いに応じて複数の係数を準備し
ておき、劣化の進行に応じて段階的に係数の入れ替えを
行う。
【0059】上述の例では、サーモパイルの特性の劣化
の度合いから係数の入れ替えを行う時期を判断するもの
としたが、この係数の入れ替えを行う時期を、マイクロ
波加熱の累積時間とオーブン加熱の累積時間との合算時
間から判断するように構成してもよい。ここで、マイク
ロ波加熱の累積時間とオーブン加熱の累積時間とを合算
する場合、油の飛び散りや食品の破裂等による集光レン
ズの汚れが起こり得るマイクロ波加熱の累積時間の方に
重み付けをし、例えば、次式(5)で示すように、オー
ブン加熱の累積時間に比して1.2倍位の重み付けをマ
イクロ波加熱の累積時間に対して行う。
【0060】 (合算時間)= (マイクロ波加熱の累積時間)×1.2 +(オーブン加熱の累積時間) ・・・(5)
【0061】即ち、式(5)によれば、オーブン加熱に
比較してマイクロ波加熱を使用する場合、サーモパイル
センサユニットの特性の劣化が1.2倍だけ早く進行する
ものとして合算時間が求められ、この合算時間が、劣化
を判断する上での基準となる所定の加熱時間に到達した
時点で係数の入れ替えを行う。
【0062】ここで、この“所定の加熱時間”を、例え
ば、オーブン加熱のみによりサーモパイルの特性を実験
的に劣化させて、係数の入れ替えを必要とする程に検出
誤差が大きくなった時間として予め実験的に求めてお
く。従って、式(5)によれば、マイクロ波加熱を使用
せず、もっぱらオーブン加熱のみを使用する場合、オー
ブン加熱の累積時間が合算時間に等しくなり、これが予
め求めた“所定の加熱時間”に到達したときに、式
(4)の係数の入れ替えを行う。
【0063】また、式(5)によれば、オーブン加熱に
加えて、劣化の進行が早いマイクロ波加熱を使用した場
合には、マイクロ波加熱の累積時間とオーブン加熱の累
積時間との単純な合計値が“所定の加熱時間”に到達す
る前に、合算時間が“所定の加熱時間”に到達するの
で、より短い時間で、劣化の進行に見合った時期に係数
の入れ替えが行われる。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、以下のような効果を得ることができる。即
ち、請求項1に記載の発明によれば、サーモパイルセン
サユニット(熱電変換手段)の熱電変換特性を、サーミ
スタ(温度検出手段)の検出結果に基づいて補正するよ
うに構成したので、サーモパイルの周囲温度の変動によ
る影響を排除して、極めて高精度に被加熱物の温度を検
出することができる。また、サーモパイルセンサユニッ
ト(熱電変換手段)の経時劣化の進行に応じて変換特性
を記述する関数の係数を複数用意して入れ替えるように
したので、集光レンズの経年劣化に起因する誤差を打ち
消すことができ、検出精度を略初期の状態に維持するこ
とができる。また、マイクロ波加熱の累積時間とオーブ
ン加熱の累積時間とに基づき係数の入れ替え時期を判断
するように構成したので、簡単な構成で、サーモパイル
センサユニットの特性を記述する係数の入れ替え時期を
判断することができる。
【0065】また、請求項2に記載の発明によれば、サ
ーモパイルセンサユニット(熱電変換手段)を構成する
集光レンズがその筐体の開口端部より奥まった位置に配
設され、且つレンズ表面接触防止器具(構造体)を集光
レンズの入射光側に配置したので、集光レンズの最も重
要な中心部を覆うことなく、人の指等がレンズに直接触
れないように対策することができる。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】さらにまた、請求項に記載の発明によれ
ば、サーミスタ(温度検出手段)の出力に変動が無い時
間帯を利用して係数の入れ替えを行うようにしたので、
経年劣化の度合いを安定的に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る高周波加熱装置の温度
検出器の回路図である。
【図2】サーモパイルの熱電変換特性図である。
【図3】(a)〜(c)のそれぞれは、サーモパイルの
熱電変換特性を2次関数回帰して得られる関数の2次項
の係数、1次項の係数、定数項の温度依存性を表す特性
図である。
【図4】サーモパイルの熱電変換特性を記述する関数を
求めて、被加熱物の温度を算出するまでの手順の流れを
説明するためのフローチャートである。
【図5】サーモパイルセンサユニットの断面図である。
【図6】サーモパイルの経時劣化を示す特性図である。
【図7】サーモパイルの周囲温度の経時変化を示す説明
図である。
【図8】サーモパイルセンサユニットの特性の劣化を正
確に評価するための発熱体を備えた高周波加熱装置の概
略図である。
【図9】(a)及び(b)は、サーモパイルセンサユニ
ットの特性劣化程度を正確に評価する方法を説明するた
めの説明図である。
【図10】サーモパイルの外観図である。
【図11】高周波加熱装置の概略図である。
【図12】高周波加熱装置が備える従来のサーモパイル
センサユニットの断面図である。
【符号の説明】
21 加熱室 41 サーモパイルセンサユニット 41a サーモパイル 41b サーミスタ 60 筺体 61 レンズ表面接触防止器具 61a リブ状の凸部 63 集光レンズ(フレネルレンズ) 64 サーモパイル 90 制御部 97 発熱体 C1〜C4 容量 E 演算部 OP 正転アンプ R1〜R6 抵抗 VR1 可変抵抗

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱物からの赤外線を入力して該被加
    熱物からの輻射熱を熱電変換する熱電変換手段と、 前記熱電変換手段の周囲温度を検出する温度検出手段
    と、 前記温度検出手段の検出値に基づき前記熱電変換手段の
    出力値を補正する補正手段とを備え、 前記補正手段は、前記熱電変換手段の出力値を変数とす
    る第1の多次元関数に基づき前記被加熱物の温度を算出
    すると共に、前記被加熱物の温度を算出するに際し、前
    記第1の多次元関数の係数を前記温度検出手段の検出値
    を変数とする第2の多次元関数に基づき補正し、 熱電変換手段の熱電変換特性の経時的変化に基づき第2
    の多次元関数の係数として複数種類を用意し、所定の加
    熱時間の経過を契機として、前記係数を入れ替え、 所定の加熱時間の経過は、重みづけされたマイクロ波加
    熱の累積時間と、オーブン加熱の累積時間との合算値に
    基づき判断することを特徴とする高周波加熱装置の温度
    検出器。
  2. 【請求項2】 熱電変換手段は、 被加熱物からの赤外線の入射方向に開口する概略円筒状
    の筺体と、 該筺体の開口部より離れて前記筺体の内部に配設され、
    前記開口部から入射する前記赤外線を集光する集光レン
    ズと、 前記集光レンズに関して前記開口部とは反対側に位置す
    るように前記筺体内部に配設され、前記集光レンズに集
    光された前記赤外線の輻射熱を熱電変換するサーモパイ
    ルと、 概略円筒状の形状を呈し且つ長手方向に沿ってその内周
    面に複数のリブ状の凸部が形成された構造体とを有し、 前記構造体を、前記集光レンズの赤外線入射側に位置す
    るように前記筺体の開口部に嵌合して備えたことを特徴
    とする請求項1に記載の高周波加熱装置の温度検出器。
  3. 【請求項3】 第2の多次元関数の係数の入れ替えを、
    温度検出手段の検出値が有為に変動しない時間帯に行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波加熱装置の温
    度検出器。
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