JP3388551B2 - 印刷物 - Google Patents

印刷物

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JP3388551B2
JP3388551B2 JP36052692A JP36052692A JP3388551B2 JP 3388551 B2 JP3388551 B2 JP 3388551B2 JP 36052692 A JP36052692 A JP 36052692A JP 36052692 A JP36052692 A JP 36052692A JP 3388551 B2 JP3388551 B2 JP 3388551B2
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聡 木下
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は複写機による悪意のコピ
ーを実質的に無効ならしめるコピー牽制パターンを有す
る印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー複写機の分解能(解像度または解
像力)、複写の色再現性などの性能の向上につれて、種
々のカラー印刷文書の精巧な複写が可能になっている。
その反面、小切手、株券などの有価証券、あるいは、権
利書などの文書として重要な印刷物の悪意の(不都合
な)複写による複写物の悪用が問題になっている。
【0003】そのような複写による悪用を防止するため
複製を困難にする、または、牽制する試みがすでに種々
提案されている。たとえば、特開昭53−142237
号公報は、元の印刷物に狭いピッチ、たとえば、133
線/インチの平網の第1の警告マークと、広いピッチ、
たとえば、65線/インチの平網の第2の警告マークと
の2つの警告マークによる混成マークを構成し、さらに
これらの混成警告マークを目視困難にするカムフラージ
ュパターン(隠し地紋)を組み合わせることを開示す
る。このようなパターンを有する印刷物は目視では判別
が困難であるが、この印刷物を複写機で複写すると警告
マークが現出され、複写物であることが容易に判るの
で、悪意の複写が困難になることを意図している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ただし、上記カムフラ
ージュを用いて混成警告マークを目視困難にしても拡大
鏡を用いれば、人間の眼で判る。また、そのようなマー
クは悪意の複写を牽制する点に着目している反面、印刷
物の美観という観点で好ましくない。
【0005】カラー印刷物に対して、モノクロ複写機は
有効に複写できないから、コピー牽制パターンをカラー
で印刷することは有効となるが、性能高いカラー複写
機はすでに広く使用されており、単にコピー牽制パター
ンをカラー化するだけでは有効ではない。また、カラー
複写機には種々の性能のものがあり、さらに日々、性能
が向上している。カラー印刷文書がいずれの性能のカラ
ー複写機で複写されるか通常、不明である。このよう
な、不明な複写形態に対して、また、将来のカラー複写
機の性能向上に対して、コピー牽制に有効に機能させる
方法はまだ提案されていない。
【0006】さらに、かりに悪意の複写が試みられると
しても、通常、文書の重要度に応じた性能のカラー複写
機が使用される。そのため、常に、全ての印刷物に最新
の性能のカラー複写機の性能に対応するコピー牽引パタ
ーンを印刷することは、価格的に妥当ではない。このよ
うな観点から、経済的にコピー牽引を機能させる方法が
まだ提案されていない。
【0007】本発明は、上述した問題を解決することを
図するものであり、印刷物としての美観を有し、ある
いは、印刷物としての美観を損なわず、種々の性能のカ
ラー複写機によっても、あるいは、将来のカラー複写機
の性能向上に対しても、有効にコピー牽制が機能するコ
ピー牽制パターンを有する印刷物を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】カラー複写機は、その機
種自体の分光感度特性を有しており、ある種の色につい
ては特に良好な色再現性の特性を有する一方、他の種の
色については色再現性が幾分低下する傾向がある。つま
り、ある種のカラーに対しては、複写しても充分にその
色が再現されない消色性、あるいは、全く異なる色にな
ってしまう変色性を有する傾向がある。したがって、コ
ピー牽制パターンとして、消色性の色(ドロップアウト
カラー)または変色性のある色を用いてパターンを印刷
すると、複写しても正確に複写できない。本発明はかか
るカラー複写機の消色性または変色性に着目して、コピ
ー牽制パターンを形成する。またカラー複写機(あるい
は、単なる複写機)は、光学的分解能から、ある大きさ
以下の網点、または、ある太さ以下の万線に対しては、
有効に複写できないという限界がある。本発明は、この
点についても、着目して有効ナコピー牽制を行う。
【0009】発明によれば、光学的感度および分光感
度の異なる複数のカラー複写機それぞれによるカラー
写時の分光感度に依存してカラー複写すると消色または
変色する色を複数用い、かつ、前記複数のカラー複写機
それぞれの光学的感度以下の大きさの網点または太さの
万線を含むパターンを有することを特徴とする印刷物が
提供される。
【0010】好ましくは、前記パターンは、前記印刷物
の印刷面において、前記パターンを構成する網点の大き
さまたは万線の太さが、傾斜状または段階的に変化する
部分を含む。
【0011】さらに好ましくは、前記パターンが前記印
刷物の印刷面において、複数形成され、それぞれの前記
パターンは前記印刷物の中心線や中心点を基準に対称に
傾斜状または段階的に変化し、かつ、それぞれの前記パ
ターンを形成する色が、カラー複写時の光学的な認識限
界濃度が異なる2色以上から形成される。
【0012】
【0013】
【作用】通常、印刷物のパターンは網点または万線で構
成される。したがって、コピー牽制パターンも網点また
は万線を集合して構成する。複写時の分光感度に依存し
て複写すると消色または変色する色で、複数の網点また
は複数の万線を用いて形成したパターンが印刷された印
刷物を、あるカラー複写機で複写すると、そのカラー複
写機の分光感度特性に依存して、変色または消色する色
は正確に複写できない。従って、有効にコピー牽制パタ
ーンとして機能する。なお、網点のスクリーン濃度が高
くなると、または万線の線巾が大きくなると、ドロップ
アウトカラーとしての効果が低下するので、スクリーン
濃度または線巾は所定値にしておく。
【0014】カラー複写機の上記消色性または変色性に
加えて、複写機には光学的な感度(または分解能)があ
り、ある大きさ(面積)以下の網点、あるいは、ある太
さ以下の万線は正確に複写できない。一方、これらの網
点、万線は集合すると、薄いパターンとして目視できる
か、目視できない程面積の小さい網点(または細い万
線)の場合、拡大鏡を用いると判別できる。このような
網点または万線を用いて上記コピー牽制パターンの少な
くとも一部を形成すると、カラー複写機で複写してもそ
の部分は正確に複写されないから、上記パターンは有効
にコピー牽制パターンとして機能する。
【0015】前記網点の面積、または万線の太さを傾斜
状または段階的に変化させておくと、カラー複写機の性
能に応じて、正確に複写される程度が異なる。したがっ
て、種々の性能のカラー複写機の性能に応じたコピー牽
制パターンとなる。
【0016】種々の分光感度特性の複写のカラー複写機
に対しても有効にコピー牽制を機能させるには、それら
のカラー複写機の種々の消色性または変色性の色を複数
用いてコピー牽制パターンが形成されると、複数のカラ
ー複写機のいずれに対しても、有効にコピー牽制機能を
発揮する。
【0017】上記網点のスクリーン濃度または万線の太
さ、消色性または変色性カラーを複数用いるなど適宜組
み合わせると、非常に高度なコピー牽制パターンとな
る。従って、将来のカラー複写機の性能向上に対して
も、有効なコピー牽制パターンとなる。
【0018】
【実施例】図1(A)に本発明のコピー牽制パターンを
有する印刷物の好適実施例の第1の実施例として網点を
用いてパターンを形成した印刷物2の平面図を示す。印
刷物2は、中心線C−Cを挟んで、上部背景(下地)4
と、下部背景6とを有する。印刷物2の元々の下地は色
があるが、上部背景4の色はライトグリーンであり、下
部背景6の色はライトマゼンダである。この例では、上
部背景4と下部背景6とが、コピー牽制パターンとして
のパターン例である。上部背景4は、中心線C−Cから
上端部に向かって濃度が高く形成(印刷)されている。
同様に、下部背景6も、中心線C−Cから下端部に向か
って濃度が高く形成(印刷)されている。
【0019】図2に中央線C−Cに直交する線Y−Yに
おける上部背景4を構成する網点401〜406の拡大
図を示す。網点相互間の縦方向ピッチP41は、たとえ
ば、150線/インチ(または、DPI:Dot Per Inc
h)である。横方向ピッチP42は、この例では、ピッ
チP41と同じ150線/インチであるが、異ならせる
こともできる。中心線C−C近傍の中央部の低濃度部分
41を構成する網点401,402の面積の大きさは、
上端部の高濃度部分42を構成する網点405,406
の面積の大きさより小さい。つまり、この例では、網点
の面積が連続的に傾斜状に変化している。このように、
網点401〜406の面積が中心線C−Cから上端部に
向かって傾斜状に変化しているので、網点それぞれが、
同じライトグリーンで、同じスクリーン濃度(または色
の濃さ)でこれらの網点を印刷したとき、目視では、中
央部の低濃度部分41から端部の高濃度部分42に向か
って濃度(あるいは、グラデーション(階調))が高く
なるように見える。
【0020】下部背景6を構成する網点も、中心線C─
Cを挟んで、網点401〜406と対称に、網点(図示
せず)の面積の大きさが傾斜状に変化する大きさで形成
されている。その結果、目視では、中央部の低濃度部分
61から下端部の高濃度部分62に向かって濃度が高く
なるように見える。下部背景6を構成する網点のピッチ
(図示せず)を上部背景4を構成する網点401〜40
6のピッチP41,P42と同じ、150線/インチと
してもよく、このピッチより広い。たとえば、65線/
インチにすることもできる。この実施例では、下部背景
6を構成するう網点のピッチを150線/インチとした
場合について例示する。このように、印刷物2は、図1
(B)の曲線CV4に示すように、中心線C−Cから上
部端部に向かって、ライトグリーンの背景が階調(濃
度)を増していき、中心線C−Cから下端部に向かっ
て、ライトマゼンダの背景が階調を増していくように、
コピー牽制パターンとしての上部背景4と下部背景6と
が印刷されている。
【0021】上記スクリーン濃度の具体例について例示
する。ただし、条件としては、網点、特に、判りやすく
平網の場合で、ピッチが150線/インチ(DPI)の
場合である。
【表1】表−1 (a)グリーン系のカラーの場合 (1)Aメーカの200DPIの分解能のカラー複写機
のとき、55%(認識限界濃度) (2)Aメーカの400DPIの分解能のカラー複写機
のとき、40%(認識限界濃度) (3)Bメーカの400DPIの分解能のカラー複写機
のとき、45%(認識限界濃度)
【表2】表−2 (b)マゼンダ系のカラーの場合 (1)Aメーカの200DPIの分解能のカラー複写機
のとき、60%(認識限界濃度) (2)Aメーカの400DPIの分解能のカラー複写機
のとき、35%(認識限界濃度) (3)Bメーカの400DPIの分解能のカラー複写機
のとき、35%(認識限界濃度)
【0022】表1,表2は、メーカ(カラー複写機の種
別)、そして、カラー複写機の分解能によって、認識限
界が異なることを示している。表1から明らかなよう
に、グリーン系カラーは、40%未満では、どのスクリ
ーンでもドロップアウト(消色)、または、変色を起こ
す。また表2から、明らかなよに、マゼンダ系カラー
は、35%未満では、どのスクリーンでもドロップアウ
ト(消色)、または、変色を起こす。従って、現在のカ
ラー複写機の消色性または変色性の観点からは、第1例
として、上記認識限界濃度を参照して、例えば、上部背
景4のライトグリーンは35%〜25%の範囲で、下部
背景6のライトマゼンダは30%〜20%の範囲で、図
2に示した網点の面積を順次傾斜させて形成する。この
ような条件下では、現在のカラー複写機で複写しても、
上記コピー牽制パターンは複写されない。
【0023】また、第2例として、将来のカラー複写機
の性能の向上に対しては、例えば、上部背景4のライト
グリーンは35%〜15%の範囲で、下部背景6のライ
トマゼンダは30%〜10%の範囲で、図2に示した網
点の面積を順次傾斜させて形成する。
【0024】一方、第3例として、善意の複写を想定し
たとき、しかも、種々の性能のカラー複写機で複写され
る場合を想定し、ある程度のパターンの複写を許可する
が、悪意の複写に悪用される場合にも想定し、カラー複
写機のそれぞれの性能に応じて複写限界が生じるように
配慮した場合には、下記のように設定することもでき
る。図2に図解した上部背景4を構成する網点401〜
406のそれぞれの面積の大きさとして、現在の最新の
高性能のカラー複写機の分解能レベルL1、たとえば、
400DPIでは識別できない面積の網点401〜40
2を含んでいる。さらに好適には、最低のカラー複写機
の分解能レベルL3、たとえば、200DPIで充分識
別できる面積の網点405〜406を含んでいる。分解
能レベルL2は、最高の分解能レベルL1と、最低の分
解能レベルL3との間の分解能を示す。
【0025】判りやすいように、第3例について、複写
したときの複写物について述べる。この例では、消色性
について例示する。図3(A)〜(C)はそれぞれ、グ
リーン系統の色再現性は高いがマゼンダ系統の色再現性
の低い、それぞれ、分解能レベルL3、L2、L1のカ
ラー複写機で、上述した印刷物2を複写したときの複写
物12を示す。図4(A)〜(C)はそれぞれ、マゼン
ダ系統の色再現性は高いが、グリーン系統の色再現性の
低い(消色性が高い)、それぞれ、分解能レベルL3、
L2、L1のカラー複写機で、上述した印刷物2を複写
したときの複写物12を示す。なお、図3(A)〜
(C)、および、図4(A)〜(C)における傾線で示
した部分は、カラー複写機で複写された部分を示す。た
だし、図解の関係で同じ濃度で複写されているように示
しており、実際は、後述するカラー複写機の分解能のレ
ベルに応じた再現性で、下の上部背景4および元の下部
背景6の濃度に応じて複写されるものとする。
【0026】図3(A)〜(C)に示した複写につい
て、共通することは、マゼンタ系統の色再現性が低いカ
ラー複写機を用いているので、同じ濃度でも、下部背景
6が上部背景4よりも複写できない部分が多い。この状
態に加えて、下記に考察する網点の面積の大きさに起因
する複写の程度がある。図3(A)に示すように、分解
能レベルL3のカラー複写機で複写した場合、そのカラ
ー複写機では分解能レベルL3以下の網点は再生できな
いから、そのライトグリーン複写部分141aとして、
元の印刷物2の上部背景4の端部の高濃度部分42のみ
がほぼ、ベタ状に複写されるが、もとの上部背景4の中
央部の低濃度部分41は複写されない。さらに、同じ面
積のピッチで形成されていても、この複写に使用したカ
ラー複写機はマゼンタ系統の色再現性が低いので、元の
端部の高濃度部分62よりもやや薄い状態で、しかも、
ライトグリーン複写領域141aより狭いライトマゼン
タ複写領域161aとして複写される。このように、マ
ゼンタ系統の色再現性が低く、分解能レベルL3の複写
機で複写すると、中央部の低濃度部分41および低濃度
部分61が全く複写されていず、複写物12が複写した
ものであることが目視でも容易に識別できるから、上述
した上部背景4および下部背景6がコピー牽制パターン
として有効であることが判る。特に、ライトマゼンタ複
写領域161aがライトグリーン複写領域141aより
も狭いので、複写物12がマゼンタ系統の色再現性の低
いカラー複写機で複写したことが判る。
【0027】図3(B)に示すように、分解能レベルL
2のカラー複写機で複写した場合、そのカラー複写機で
は分解能レベルL2以下の網点は再生できないが、上部
背景4について、そのライトグリーン複写領域141b
は、図3(A)に示したライトグリーン複写領域141
aよりは拡大する。しかしながら、依然として、上部背
景4の中央部の低濃度部分41は複写されない。同様
に、下部背景6について、そのライトマゼンタ複写領域
161bは、図3(A)に示したライトマゼンタ複写領
域161aよりは拡大するが、上部のライトグリーン複
写領域141bより狭く、依然として、下部背景6の低
濃度部分61は複写されない。この場合も、複写物12
があまり分解能が高くなく、マゼンタ系統に色再現性の
低いカラー複写機で複写したものであることが、目視で
も容易に識別できるから、上述した上部背景4および下
部背景6がコピー牽制パターンとして有効であることが
判る。
【0028】図3(C)に示すように、分解能レベルL
1のカラー複写機で複写した場合、上部背景4について
ライトグリーン複写領域141cは、中央部の低濃度部
分41の近傍まで拡大する。しかしながら、依然とし
て、上部背景4の中心線C−C近傍の低濃度部分41は
完全に複写されない。複写されない上部背景4の中央部
の低濃度部分41は、元の印刷物2についても目視では
その存在の識別は必ずしも容易ではない。しかしなが
ら、拡大鏡などを用いれば、上部背景4の中央部の低濃
度部分41は図2に図解したように、網点の形状を正確
に識別できる。したがって、複写物12を拡大鏡などを
用いて検分すれば、存在するはずの網点がないことか
ら、複写したものであることが識別できる。ライトマゼ
ンタ複写領域161cは、ライトグリーン複写領域14
1cより狭い。この点は、目視でも識別できるから、上
記のように、ライトグリーン複写領域141cの網点を
拡大鏡を用いて検分することなく、複写物12が複写さ
れたものであることが判る。したがって、分解能の高い
カラー複写機に対しても、本発明のコピー牽制パターン
が複写牽制に有効であることが判る。つまり、分解能レ
ベルの高いカラー複写機を用いても、上記本発明のコピ
ー牽制パターンは有効にコピー牽制機能を発揮する。
【0029】将来的には、分解能レベルL1よりもさら
に高い分解能のカラー複写機が出現する可能性がある。
この場合には、図3(C)に示したライトグリーン複写
領域141cが中心線C−Cの近傍まで拡大することに
なる。しかしながら、ライトマゼンタ複写領域161c
は、ライトグリーン複写領域141cほど拡大しない。
まず、この点から、容易に複写物12が複写したもので
あることが判る。さらに、上部背景4は階調の変化がつ
けられているから、ライトグリーン複写領域141cを
拡大鏡を用いて詳細に検分すれば、複写物12が複写さ
れたものであることが、識別できる。上述したように、
下部背景6内の複写部分は、背景4の複写部分よりも顕
著に複写される傾向があるから、複写物の識別が容易で
ある。つまり、上述した異なるカラーを用いて面積の大
きさに傾斜(変化)をつけた網点からなるコピー牽制パ
ターンは、カラー複写機の分解能が向上した場合にも、
将来的にもコピー牽制を有効ならしめる。
【0030】図4(A)〜(C)には、図3(A)〜
(C)に示した例とは逆に、グリーン系統の色再現性は
高いがマゼンタ系統の色再現性の低い、それぞれ、分解
能レベルL3、L2、L1のカラー複写機で、上述した
印刷物2を複写したときの複写物12を示す。この例
は、図3(A)〜(C)と逆の効果を示しており、その
詳細説明を省略する。つまり、グリーン系統の色再現性
は高いがマゼンタ系統の色再現性の低い、それぞれ、分
解能レベルL3、L2、L1のカラー複写機で、上述し
た印刷物2を複写したとしても、その複写物12が複写
されたものであることが、識別できる。
【0031】このように、図1に示した傾斜づけられた
濃淡のライトグリーン上部背景4と、同じく傾斜づけら
れた濃淡のライトマゼンタの下部背景6を組み合わせて
用いることで、グリーン系統またはマゼンタ系統のいず
れかに色再現性の低いカラー複写機による複写を識別で
きるから、上述したコピー牽制パターンは、いずれのカ
ラー複写機に対しても、有効に複写を牽制できる。ま
た、上部背景4および下部背景6を構成する網点の大き
さが傾斜づけられているので、この点からも、容易に複
写物12が複写されたものであることが識別できる。
【0032】なお、色再現性の低いカラー複写機に対す
る消色の例として、上部背景4をライトグリーン、下部
背景6をライトマゼンタとして例示したが、単なる例示
であり、本発明はライトグリーンおよびライトマゼンタ
に限定されるものではない。本発明の実施に際しては、
現在および将来を見越して、色再現性の低い(消色性の
高い)カラーを上部背景4または上部背景6として選択
することが好適である。また上記実施例は、2種の色、
ライトグリーンとライトマゼンタを例示したが、複数の
色を用いて上部背景4、下部背景6を印刷することがで
きる。そうすれば、本発明のコピー牽制パターンは種々
の色再現性の優劣を持つカラー複写機に対して、広く有
効になる。
【0033】図2に示した上部背景4を構成する網点4
01〜406の形状は丸に限らず、その他種々の形状に
することができる。たとえば、図5に示したように、網
点の個々の形状を「花びら様」の形状にし、しかも、位
置に応じて、図2に示したように、その面積を段階的に
変化させる。花びら様の形状は接近した部分があるの
で、分解能のかなり高いカラー複写機でも、複写すると
隣接する花びらがくっついて丸に近い形状に複写する傾
向がある。したがって、複写されたものを拡大鏡で検査
すると、複写されたものであることが識別できる。
【0034】以上の実施例は、パターンを構成する要素
として網点を用いた例を示したが、本発明のパターンを
構成する要素としては、網点に限らない。たとえば、
「万線」を用いてもよい。万線とは、ある単位領域に非
常に多くの線を有するものをいう。カラー複写機による
複写は網点に対する複写と同等に考えることができる。
【0035】また、網点と万線とを組み合わせてもよ
い。たとえば、図1に示した印刷物2について、上部背
景4を図2に示したような網点で構成し、下部背景6を
万線で構成する。網点の面積に変化をつけたと同様に、
上部背景4を構成する万線の太さを傾斜状に変化させる
ことができる。図6にその万線601〜606の形状を
示す。線Y−Yに沿って、中心線C−C位置近傍の低濃
度部分61から下部背景6の端部の高濃度部分62に向
けて万線601〜606の太さは細くなる。万線601
〜606の太さは、現在の最新の高性能のカラー複写機
の分解能レベルL1では識別できない太さの万線601
〜602を含んでいる。さらに好適には、最低のカラー
複写機の分解能レベルL3で充分識別できる太さの万線
605〜606を含んでいる。
【0036】これら万線についても、好適には、第1例
として、カラー複写機の消色性、または変色性で規定さ
れる線巾以下にすることが好ましい。また、第2例とし
て、将来のカラー複写機の性能向上に対して、さらに低
い線巾を有するものを形成しておくことができる。さら
に、第3例として、上記した網点と同様に、万線につい
ても、カラー複写機の分解能レベルL1、L2、L3に
対応した太さにすることもできる。分解能レベルL2
は、最高の分解能レベルL1と、最低の分解能レベルL
3との間の分解能レベルを示す。上述した網点および万
線の構成により、図1(B)に図示したように、網点で
構成される上部背景4の濃度曲線CV4と下部背景6の
濃度曲線CV6となる。
【0037】この第2実施例の第3例についても、種々
の分解能のカラー複写機で複写すると、図3(A)〜
(C)、図4(A)〜(C)と同様の複写となる。した
がって、このような網点と万線とを組み合わせて用いた
パターンも、有効にコピー牽制機能を発揮する。
【0038】第1のパターンとしての上部背景4、およ
び、第2のパターンとしての下部背景6は、上述したも
のに限らない。たとえば、上部背景4に代えて図形、英
数字などを用いてもよい。
【0039】以上の実施例では、消色性のインクを用い
て上部背景4および下部背景6を印刷した例を示した
が、変色性インクを用いて上部背景4および下部背景6
を印刷しても上記同様の効果を得ることができる。つま
り、カラー複写機で複写しても、変色するから、容易に
複写物12であることが判る。
【0040】消色性カラーまたは変色性カラーは上述し
たように、上部背景4と下部背景6のように2種または
2種以上組み合わせて使用する必要性はないが、上記に
ように、組み合わせることによって、複数種類の色再現
性を有するカラー複写機に対しても有効に複写を形成す
ることができる。
【0041】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、種々
の分解能、種々の色再現性を持つカラー複写機に対して
も、有効にコピー牽制を機能させる印刷物が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明のコピー牽制パターンを有
する印刷物の第1実施例として、網点を用いた印刷物の
平面図であり、図1(B)はその濃度分布を示すグラフ
である。
【図2】図1(A)に示した印刷物の背景および図形を
構成する網点の詳細を示す図である。
【図3】図1(A)に示した印刷物を解像度の異なる、
マゼンタ系統の色再現性の低いカラー複写機で複写した
ときのそれぞれの複写状態を示す図である。
【図4】図1(A)に示した印刷物を解像度の異なる、
グリーン系統の色再現性の低いカラー複写機で複写した
ときのそれぞれの複写状態を示す図である。
【図5】網点の他の形状を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例として、図1(A)に示し
た印刷物の下部背景を万線を用いて構成したときの万線
の詳細を示す図である。
【符号の説明】
2・・・印刷物 4・・・ライトグリーン上部背景 41・・・中央部の低濃度部分 42・・・端部の高濃度部分 401〜406・・・網点 6・・・ライトマゼンタ下部背景 61・・・低濃度部分 62・・・端部の高濃度部分 601〜606・・・万線 12・・・複写物 141a〜141c・・ライトグリーン複写領域 161a〜161c・・ライトマゼンタ複写領域 142a〜142c・・ライトグリーン複写領域 162a〜162c・・ライトマゼンタ複写領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B42D 5/00 - 15/10 B41M 3/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学的感度および分光感度の異なる複数の
    カラー複写機それぞれによるカラー複写時の分光感度に
    依存してカラー複写すると消色または変色する色を複数
    用い、かつ、前記複数のカラー複写機それぞれの光学的
    感度以下の大きさの網点または太さの万線を含むパター
    ンを有することを特徴とする印刷物。
  2. 【請求項2】前記パターンは、前記印刷物の印刷面にお
    いて、前記パターンを構成する網点の大きさまたは万線
    の太さが、傾斜状または段階的に変化する部分を含む請
    求項1記載の印刷物。
  3. 【請求項3】前記パターンが前記印刷物の印刷面におい
    て、複数形成され、それぞれの前記パターンは前記印刷
    物の中心線や中心点を基準に対称に傾斜状または段階的
    に変化し、かつ、それぞれの前記パターンを形成する色
    が、カラー複写時の光学的な認識限界濃度が異なる2色
    以上から形成される、請求項2記載の印刷物。
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